タグ: F1

  • F1ベルギーGP ドライバーたちがW杯決勝を前に母国代表へ熱いエール

    F1ベルギーGP ドライバーたちがW杯決勝を前に母国代表へ熱いエール

    F1ベルギーGPが開催されるスパ・フランコルシャンでは、コース上の戦いだけでなく、日曜日に行われるFIFAワールドカップ決勝にも大きな注目が集まっている。

    決勝はスペイン対アルゼンチン、3位決定戦はイングランド対フランスという顔合わせとなり、各国出身のドライバーたちもそれぞれの母国代表へ熱いエールを送っている。

    大会開幕時には11チームから18人のドライバーの母国が出場していたが、102試合を経て決勝に残ったのはフェルナンド・アロンソとカルロス・サインツJr.を擁するスペイン、そしてフランコ・コラピントの母国アルゼンチンの2か国となった。一方、3位決定戦ではイングランドとフランスが対戦し、パドックでも大きな話題となっている。

    スペイン勢は2度目の世界一へ期待
    スペインは華麗な攻撃こそ控えめながらも、堅固な守備と安定した中盤を武器に決勝まで勝ち進んだ。準決勝では好調だったフランスを2-0で下し、2024年欧州王者の実力を改めて示した。

    大会開幕前、カルロス・サインツJr.はスペイン代表へ応援メッセージを送っていた。

    「スペイン代表のみんなに心から幸運を祈っている。このワールドカップではずっと応援している。スペイン中がみんなを支えている。幸運を祈るよ」

    フェルナンド・アロンソも、ベルギーGP以上にワールドカップ決勝を楽しみにしていることを隠さなかった。

    「日曜日で一番楽しみなのは試合だよ」

    そう冗談交じりに語ったアロンソは、2010年にスペインが初優勝を飾った当時を振り返りながら、今年の代表にも期待を寄せた。

    「今は状況が違うけれど、僕たちは代表を応援している。彼らが何を成し遂げられるチームなのか分かっているからね」

    もっとも、レース後の移動もあり、決勝戦を最後まで見届けられるかは分からないという。

    今季はウィリアムズ、アストンマーティンともに苦戦が続くなか、サインツJr.とアロンソはレースだけでなく、スペイン代表がユニフォームに2つ目の星を刻む瞬間にも期待を寄せている。


    コラピント「決勝の方がレースより緊張する」
    今回の週末で最も上機嫌だったドライバーのひとりが、アルピーヌのフランコ・コラピントだった。

    ベルギーGPのパドックには、リオネル・メッシの背番号「10」が入ったアルゼンチン代表ユニフォーム姿で登場。水曜日の準決勝では、イングランド相手に終盤10分間で逆転勝利を収めた母国代表を誇らしげに祝福していた。

    コラピントは、この勝利には特別な意味があったと語る。

    「結局はサッカーの試合なんだけど、僕たちにとっては特別な一戦だった。相手がイングランドということもあって、いろいろな背景があった。本当に久しぶりの対戦だったし、勝ててとても嬉しい。チームのみんな、メッシ、そして国を誇りに思う。最後まで決して諦めなかったことも誇らしい」

    アルゼンチン代表の戦いぶりにも胸を打たれたという。

    「アルゼンチンらしさを存分に見せてくれた。何度か鳥肌が立ったよ。ただ前へ進み、戦い続け、決して諦めない姿は本当に印象的だった。もう一度言うけれど、僕はアルゼンチン人であることを誇りに思う。彼らにはその価値があるし、国中が幸せになっている」

    木曜日のメディアデーでも、レースよりサッカーの話題を語りたそうな様子を見せたコラピントは、Sky Sports F1の取材で代表チームについて次のように語った。

    「アルゼンチンでは子どもの頃から決して諦めず、苦しい状況でも前へ進み続けることを学ぶ。彼らはまさにそれをやってのけた。だからこそ僕はアルゼンチン人であることを誇りに思うし、自分たちの国と代表チームを応援できることを誇りに思う。彼らがユニフォームのために戦う姿を誇りに思う」

    「このワールドカップでは、内容が完璧だった試合ばかりではない。でも彼らは最後まで全力を尽くしてきた。彼らが僕たちと国のためにやってくれたことに本当に感謝している」

    「僕は自分の国を応援できることを誇りに思う。彼らは僕に、自分のスポーツでも最後まで諦めず、最後まで挑戦し続けることを教えてくれる。終わるまでは何も終わっていない。それを彼らはピッチで示してくれた」

    決勝ではスペインとの対戦となるが、自身のレース以上に緊張すると笑う。

    「決勝の方がレースよりずっと緊張すると思う。スペインとはここ数年ライバル関係が強くなった。メッシやアルゼンチン代表についてスペインでいろいろ語られてきたこともあってね」

    「でも、お互いラテンの国だし、同じ言葉を話す。ピッチで言い合う悪口まで理解できるから面白いよ(笑)。アルゼンチンとスペインの決勝は最高のカードだと思う。本当に楽しみだ」

    コラピントにとってはチェッカーフラッグを受けても緊張は終わらない。4年前の優勝に続くアルゼンチンの連覇へ期待を膨らませている。


    フランス勢は失意の3位決定戦へ
    F1グリッドでも屈指のサッカーファンが多いフランス勢にとって、準決勝敗退は大きなショックとなった。

    グループリーグから優勝候補の一角と目されていたフランスだったが、準決勝ではスペインに完敗。2022年大会に続く決勝進出は果たせず、3位決定戦でイングランドと対戦することになった。

    イングランド勢「誇れる戦いだった」
    イングランドはアルゼンチンとの準決勝で終盤に逆転を許し、60年ぶりの世界一への夢はまたしても実現しなかった。

    ルイス・ハミルトンは試合を振り返り、悔しさを隠さなかった。

    「昨夜は苦しい気持ちで見ていた。でも選手たちがここまで勝ち進んだことを本当に誇りに思う。どれだけ努力し、多くの時間を費やしてきたか想像できるし、もちろんたくさんの応援もあった」

    「アルゼンチンは強かった。本当に悔しかったよ。ずっと指を組みながら、何とか勝ってくれることを願っていた。でも僕たちはまた立ち上がる」

    同じイングランド出身のアービッド・リンドブラッドも落胆を口にした。

    「試合は見ていたけれど、楽しめなかった。本当に難しい相手だったし、ファンとしてはただ悲しかった。久しぶりにイングランド代表を見て、本当に勝ちたいという気持ちが伝わってきた」

    「アルゼンチンと戦っていて、失点するまでは僕たちの方が良かったと思う。その後、相手の戦い方が変わってしまったのが少し残念だった。結果を守りたいのは理解できるけれど、少し守りすぎたと思う。チームは十分に勝ち進めるだけの戦いをしていた」

    オリバー・ベアマンは結果を受け止めながらも、大会全体を前向きに評価した。

    「久しぶりにサッカーを楽しめた。望んだ結果ではなかったけれど、とても良い戦いだったと思う。イギリス人として誇りに思えるパフォーマンスだった」

    ベルギーGPでは世界屈指の名コースで熱戦が繰り広げられる一方、ドライバーたちはレース終了後も母国代表の行方を見守ることになる。F1とワールドカップという世界最高峰の舞台が重なる特別な週末は、パドックでも普段とは違った熱気を生み出している。

  • シャルル・ルクレール F1新世代マシンに苦戦「自分の武器が通用しなくなった」

    シャルル・ルクレール F1新世代マシンに苦戦「自分の武器が通用しなくなった」

    フェラーリのシャルル・ルクレールは、2026年のF1新レギュレーションで導入されたマシンによって、自身最大の武器だったアグレッシブなドライビングスタイルを見直さざるを得なくなったと明かした。

    イギリスGPで今季初優勝を飾ったルクレールは、シルバーストンでの改善はマシンだけでなく、自身のドライビングへの小さな変更が大きく影響したと説明している。一方で、それが本物の進歩かどうかは今後複数のサーキットで証明する必要があると冷静に語った。

    ルクレール「問題はフェラーリではなく新世代マシン」
    2026年のF1はダウンフォース低下に加え、エネルギーマネジメントやパワーユニット効率の重要性が大きく増したことで、ドライバーに求められる走らせ方が従来とは大きく変化した。

    ルクレールは、フェラーリのマシンがチームメイトのルイス・ハミルトン向きという見方を否定し、苦戦の原因は自身のドライビングスタイルにあると説明した。

    「フェラーリ自体の問題ではないと思う。むしろ、この世代のマシンによるものだと思う」

    「僕は基本的にかなりアグレッシブなドライビングスタイルなんだ」

    「それはキャリアを通して自分の強みだった。でも、この世代のマシンでは、限界を少し越えてしまうと一気にパフォーマンスが落ちてしまうことがある」

    アクセル操作がラップ全体に影響
    ルクレールは、現在のマシンではアクセルワークのわずかな違いがエネルギー効率に直結し、その影響がコーナー全体へ連鎖していくと説明した。

    「効率よく走れなかったり、アクセルをスムーズに踏めなかったり、一貫性がなかったりすると、パワーユニットの面でかなりパフォーマンスを失ってしまう」

    「そうなると次のコーナーへの進入速度も変わり、ブレーキングポイントまで変わってしまう。毎回基準を修正し続けることになり、とても難しくなるんだ」

    「そういう部分が少しあったと思う」

    シルバーストンで見つけた小さな改善
    イギリスGPでは、シルバーストンでドライビングとセットアップに小さな変更を加えたことで、大きくフィーリングが改善したという。

    「シルバーストンでは、この世代のマシンに合わせて自分のドライビングを少し変えてみた。それが本当に大きな改善につながった」

    ただし、1勝だけで問題が解決したとは考えていない。

    「この改善を複数のサーキットで証明したい。優勝できたのは本当にうれしいけど、1勝したからすべて解決したとは思っていない」

    「このフィーリングを維持するためには、まだ多くの作業が必要だ」

    「以前からそうだけど、マシンに良い感触を持てているときは、自然とラップタイムやパフォーマンスもついてくる」

    シャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリ)

    データ解析が導いた転機
    ルクレールによると、転機となったのは劇的な発見ではなく、シルバーストンのスプリント予選後に行ったデータ解析だった。

    「すべてを理解した瞬間があったわけではない。データを見ながら、なぜ自分がこのマシンを快適に感じられないのかを分析し続けた結果なんだ」

    「シルバーストンの金曜日の夜、ひとつ細かなポイントに気づいた」

    「『数値化するのは難しいけど、ここを自分好みに変えられれば、フィーリングはかなり良くなるはずだ』と思った」

    その変更を土曜日に施した結果、マシンの感触は大幅に改善したという。

    「土曜日の午後にマシンを変更できたら、すべてがかなり良くなった」

    一方で、その具体的な内容については明かさなかった。

    「残念ながら詳しいことは話せない。詳細を言わずに説明してもあまり意味がないと思う」

    「本当にごく小さなディテールに関わる話で、外から見えるほど単純なものではない。でも、それが結果につながったのは良かった」

    ルクレールにとってシルバーストンでの優勝は、単に今季初勝利というだけでなく、新世代F1マシンへの適応に向けた確かな手応えを得た週末となった。

  • フェルスタッペン F1ベルギーGP初日で現実認識「FP2が本当の実力差だった」

    フェルスタッペン F1ベルギーGP初日で現実認識「FP2が本当の実力差だった」

    マックス・フェルスタッペンは、2026年F1ベルギーGP初日のフリー走行1回目(FP1)でトップタイムを記録したものの、レッドブル・レーシングの本当の競争力はフリー走行2回目(FP2)で明らかになったとの見方を示した。

    スパ・フランコルシャンでの初日は好スタートを切ったように見えたが、フェルスタッペンはFP2こそが勢力図を正確に映し出したセッションだったと評価。アンドレア・キミ・アントネッリが率いるメルセデスとの差は「驚くようなものではない」と受け止めている。

    FP2で見えた「本当のギャップ」
    FP1では最速だったフェルスタッペンだが、その結果だけでは実力を判断できないと語る。一方で、マシンが初日から適正なセットアップ領域に入っていたことは収穫だったという。

    「僕自身は問題なく走れたし、大きなトラブルもなかった」

    「マシンはかなり良いウインドウに入っていた。FP2では本当のギャップがもう少し見えたと思うけど、それは驚きでも予想外でもない」

    FP2ではアントネッリから約0.5秒遅れとなったが、その差はレッドブルが事前に想定していた範囲内だったと説明した。

    エネルギーマネジメントが弱点
    フェルスタッペンは、マシンバランスには満足しながらも、スパ特有の長いストレートで露呈する弱点を認めた。

    「このサーキットはエネルギーマネジメントがかなり重要になる。僕たちは何チームかのライバルよりストレートで少し遅いようだ。でもバランス自体はかなり良かった」

    2026年型パワーユニットでは電力の使い方がラップタイムに大きく影響するため、スパではその差がより鮮明になったとみられる。一方で、RB22のコーナリングバランスは予想以上に良好だったことも前向きな材料となった。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    ダウンシフトの問題は改善
    FP2ではダウンシフト時の挙動に不満を示し、無線では「受け入れられない」と訴える場面もあった。しかし走行後には、大きな問題ではないとの認識を示した。

    「僕はそういう部分にはすごく敏感なんだ。改善したいと思っているからね」

    「ソフトウェアのアップデートかダウングレードがあって、シフトが学習するまで少し時間がかかったんだと思う。終盤にはまた良くなっていた」

    新リアウイングでも悲観せず
    レッドブル・レーシングは、オーストリアGPとイギリスGPで発生したリアウイング関連のトラブルを受け、ベルギーGPでは回転式リアウイングの使用を見送り、従来型の仕様へ変更している。改良版は次戦ハンガリーGPで投入される見込みだ。

    スパでは空気抵抗の面で若干不利になる可能性があるものの、フェルスタッペンは大きな影響はないと考えている。

    「開き方が違うだけだよ。でも僕たちは自分たちに集中しているし、がっかりするようなことはない。今日は良い一日だった」

    「ライバルと比べてどれだけ余力があるかは分からない。でもドライビングの感触は悪くなかった」

    初日はマシンの仕上がりに一定の手応えを得た一方で、FP2ではメルセデスとの純粋な速さの差も確認された。フェルスタッペンは、レッドブル・レーシングが正しい方向へ進んでいることを認めつつも、現時点ではライバルが依然として優位に立っているとの現実を冷静に受け止めている。

  • アルピーヌF1 ガスリーが大クラッシュ「ピエールは無事。マシンは無事ではない」

    アルピーヌF1 ガスリーが大クラッシュ「ピエールは無事。マシンは無事ではない」

    アルピーヌF1は、2026年F1ベルギーGPのフリー走行2回目(FP2)でピエール・ガスリーがクラッシュを喫したものの、土曜日までにマシンを修復できるとの見通しを示した。チームはもともと金曜日夜にパワーユニット交換を予定していたことから、修復作業の一部は当初の計画に含まれていたという。

    ガスリーはFP2残り約15分、スパ・フランコルシャンのターン13立ち上がりでコースアウトし、リアを失ったマシンはグラベルを横切ってバリアへ激しく衝突。

    リアウイングが吹き飛ぶなど車体後部を中心に大きなダメージを負い、セッションは赤旗中断となった。

    幸いガスリー本人にけがはなく、自力でマシンを降りている。

    ガスリー「何が起きたのか理解する必要がある」
    セッション後、ガスリーはクラッシュは残念だったものの、1日全体としては収穫の多い内容だったと振り返った。

    「全体としては良いテストができた一日だった。2台でいろいろなパーツを試したので、どれが良くて、どのセットアップがベストなのかを見極めて、明日に向けてまとめていく必要がある」

    一方で、クラッシュについては原因究明が必要だと語っている。

    「FP2で何が起きたのかを理解しなければならない。大きくリアが滑ってマシンを失ってしまった。立て直すまでに思った以上に時間がかかり、気付いたときにはすでにコース外にいて、戻すことはできなかった」

    メカニックへの信頼も口にした。

    「望んでいた一日の終わり方ではなかった。でもメカニックたちは明日までにマシンを仕上げてくれるはずだし、そのうえでトップ10を目指したい」

    ニールセン「ピエールは無事だ。マシンは無事ではない」
    アルピーヌF1のマネージングディレクターを務めるスティーブ・ニールセンは、クラッシュによる損傷は大きかったものの、パワーユニット交換を当初から予定していたため、修復作業は想定より複雑にはならないと説明した。

    「ピエールは無事だ。マシンは無事ではない」

    「今夜はもともとそのマシンのパワーユニットを交換する予定だった。メカニックの作業リストはかなり長くなったが、その半分は最初から予定していた作業だ。明日までに準備できないという心配はしていない」


    スパではここ数戦以上の競争力に手応え
    ニールセンによれば、この日のFP1はラップタイムを狙うのではなく、空力データの収集を最優先としていた。一方、FP2ではパフォーマンス評価へ重点を移し、予選を見据えたセットアップ確認を進めていたという。

    「今朝はラップタイムを狙うセッションではなく、データを蓄積することが目的だった。そして午後は、よりラップタイムに焦点を当てた」

    ガスリーは一時、競争力のあるタイムを記録していたものの、そのラップはターン4でのトラックリミット違反によって抹消された。

    「ピエールは十分に競争力のあるタイムを記録したが、ターン4のトラックリミット違反で抹消されてしまった。それは残念だった。しかし、このサーキットではここ数戦よりもマシンに競争力があるように見える。明日もそのパフォーマンスを発揮できるようにしなければならない」

    アルピーヌF1は、大きなクラッシュにもかかわらず予選までの修復に自信を示している。また、スパ・フランコルシャンではここ数戦よりも競争力があるとの手応えも得ており、ガスリーはマシンの復旧後、トップ10進出を目指して予選に臨む。

  • ホンダF1 ベルギーGP初日にトップから5秒差「パフォーマンス不足を認識」

    ホンダF1 ベルギーGP初日にトップから5秒差「パフォーマンス不足を認識」

    ホンダは、2026年F1第10戦ベルギーGP初日を終え、パワーユニット(PU)の運用は順調だった一方で、パフォーマンス面には課題が残ったとの認識を示した。

    ホンダF1トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、予選と決勝に向けて一晩かけて改善を進める考えを明らかにした。

    ベルギーGPは7月17日(金)、スパ・フランコルシャンで開幕。初日はフリー走行1回目(FP1)とフリー走行2回目(FP2)が行われ、FP1ではアストンマーティンのリザーブドライバー、ジャック・クロフォードがフェルナンド・アロンソに代わって走行した。

    FP2ではアストンマーティン勢が苦戦し、ランス・ストロールが21番手でトップから5.187秒差、アロンソも22番手で5.474秒差と、ともにトップから5秒以上遅れる厳しい初日となった。

    初日を終えた折原は、PUの信頼性には問題がなかったとしながらも、マシン全体の競争力向上が必要だと語った。

    「本日のベルギーGP初日は、パワーユニットの運用面ではスムーズに進めることができました。一方で、パフォーマンスが不足していることは認識しています。明日の予選と日曜の決勝に向けて、パッケージ全体のパフォーマンスを最大限引き出せるよう、一晩かけて改善に取り組みます」

    高速区間と中高速コーナーが続くスパ・フランコルシャンでは、パワーユニット性能だけでなく、空力やセットアップを含めたパッケージ全体の完成度が重要となる。ホンダ陣営は初日に得たデータを分析し、予選と決勝での巻き返しを目指す。

    ホンダF1 本田技研工業 ベルギーGP

    【関連】
    ・ホンダF1 新PUに手応え「目標としていたレベルには達している」

  • レーシングブルズF1 リンドブラッドのみアップデート投入「予選結果で決めた」

    レーシングブルズF1 リンドブラッドのみアップデート投入「予選結果で決めた」

    レーシングブルズはF1ベルギーGPで最新アップデートを投入したが、その恩恵を受けたのはアービッド・リンドブラッドのみだった。チーム代表のアラン・パーメインは、短期間で2台分を準備できなかった事情と、リアム・ローソンとの公平性を保つために採ったユニークな決定方法を明かした。

    レーシングブルズは現在、4戦連続でダブル入賞を記録しており、コンストラクターズランキングではアルピーヌを逆転して「ベスト・オブ・ザ・レスト」の座を狙っている。

    その一環としてベルギーGPにはサイドポッドやロールフープ、ブレーキドラム、リアウイングなどの改良を持ち込んだが、冷却系アップデートはリンドブラッド車だけに搭載された。

    2台同時投入は不可能だった
    パーメイン代表は、1台だけにアップデートを投入することは本意ではなかったと説明した。

    「正直なところ、1台だけにアップデートを持ち込むのは好きではない」

    「2台とも改修するのは不可能だった。これはシャシーの改造で、ロールフープを小型化する必要があった。シルバーストンからスパまでの短い期間では、2台とも間に合わせることができなかった」

    そのため、どちらのドライバーにアップデートを与えるか決める必要があったという。

    オーストリアで2人に事情を説明
    パーメイン代表は、オーストリアGP予選後の土曜日にローソンとリンドブラッドを呼び、状況を説明したことを明かした。

    最初に提示した案は、ベルギーGPでは誰もアップデートを使わず、次戦ハンガリーGPで2台同時に投入するというものだった。

    「オーストリアの土曜日の夜、2人と話をした。予選がとても良かったので、みんな機嫌がいい時に悪い知らせを伝えようと思った。スパには良いアップデートを持っていくけれど、1台分しか用意できない。もう1台はブダペストになると伝えた」

    「最初に提案したのは、とてもシンプルで公平な方法だった。スパでは誰もアップデートを使わず、ブダペストで2台ともアップデートするという案だ。当然、2人とも『何を言っているんだ』という顔をしたし、私自身も本気で考えていたわけではなかった」

    アービッド・リンドブラッド(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム)

    予選で前に出たドライバーが獲得
    その後、パーメイン代表はコイントスという案も提示したが、最終的にはイギリスGP予選で上位だったドライバーがアップデートを獲得する方法に決まった。

    「次に『コイントスでもいいし、少し楽しさを加えて、シルバーストンで予選が上だった方がスパでアップデートを使うというのはどうだろう』と提案した」

    「2人ともその案に同意し、その方法で決めた」

    結果として、イギリスGP予選でローソンを上回ったリンドブラッドがベルギーGPで新仕様マシンを走らせることになった。

    次回はローソンを優先
    パーメイン代表は、今季中に再び同じ状況になれば、次はローソンを優先すると明言している。

    「シーズン後半でもう一度同じようなことが起きるかもしれない。まだ大きなアップデートを予定している。その時はリアムに渡す。同じやり方は繰り返さない」

    「次回は自動的に彼の番だ。今回は誰かに割り当てるだけではなく、少し楽しさを加えて決めようとした」

  • F1ベルギーGP FP2:アントネッリ最速 ガスリー大クラッシュやラッセル不振

    F1ベルギーGP FP2:アントネッリ最速 ガスリー大クラッシュやラッセル不振

    2026年F1第10戦ベルギーGPのフリー走行2回目がスパ・フランコルシャンで行われ、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が1分45秒944を記録してトップタイムをマークした。

    ランド・ノリス(マクラーレン)が0.190秒差の2番手、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が3番手に続き、予選を前にメルセデスが存在感を示した。

    一方で、セッションは2度の赤旗に見舞われ、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)の大クラッシュや、ジョージ・ラッセル(メルセデス)の不振、フェルスタッペンの無線での不満など、話題の多い1時間となった。

    アントネッリが一気に主導権
    FP1では6番手に終わったアントネッリだったが、FP2では開始直後から快調なペースを披露。ミディアムタイヤでいきなり1分46秒911を記録し、FP1最速だったフェルスタッペンのタイムを早々に上回った。

    ソフトタイヤへ履き替えるとさらに約1秒短縮し、1分45秒944をマーク。ノリスに0.190秒差、フェルスタッペンに0.472秒差をつけ、予選へ向けて最有力候補に躍り出た。

    ピアストリは修復作業で出遅れ
    FP1終盤に油圧トラブルが発生したオスカー・ピアストリ(マクラーレン)は、修復作業の影響でセッション開始から約20分間ガレージで待機することになった。

    ようやくコースインした後はミディアムタイヤでロングランを消化し、その後ソフトタイヤでアタック。しかし中間セクターでタイムを失い、最終的には6番手に留まった。

    フェルスタッペンは変速に不満
    開始早々、コース上に大量のグラベルが散乱したため赤旗が提示された。

    その最中、フェルスタッペンは無線でシフトダウンの不具合を訴え、「このシフトは何なんだ。本当にひどい」と苛立ちをあらわにした。

    それでも再開後は着実にタイムをまとめ、3番手につけるあたりはさすがの一言だった。

    ベルギーGP F1

    ノリスが2番手 ハジャーも好調維持
    10グリッド降格が決まっているノリスは、ソフトタイヤでアントネッリに迫る2番手タイムを記録。決勝では後方スタートとなるものの、一発の速さは依然として高いことを示した。

    最後尾スタートが決まっているアイザック・ハジャー(レッドブル・レーシング)も序盤から好調で、アントネッリにわずか0.011秒差まで迫る場面を見せるなど、FP1に続いて高い競争力を披露した。

    ラッセルだけが伸び悩む
    一方で、メルセデス勢の明暗は鮮明だった。

    アントネッリがトップタイムを記録したのに対し、ラッセルは終始ペースが上がらず8番手。ソフトタイヤでもアントネッリから1秒以上遅れ、一時はフランコ・コラピント(アルピーヌ)にも後れを取った。

    解説では「マシンの滑りを気にし過ぎて限界まで攻め切れていないように見える」と分析され、FP1に続く不振が大きな話題となった。

    コラピントが7番手の快走
    アルピーヌではフランコ・コラピントが印象的な走りを披露。

    FP1では下位に沈んでいたが、FP2では7番手まで浮上し、ラッセルを上回るタイムを記録。中団勢の中では最も存在感を示したドライバーとなった。

    ガスリーが大クラッシュ
    セッション終盤にはガスリーがファーニュ出口で突然リアを失い、そのままバリアへ激突する大クラッシュを喫した。

    マシンはフロントだけでなくリアウイングにも大きなダメージを負い、赤旗が提示。ガスリーは自力でマシンを降り、大きなけがはなかったものの、「突然リアを失った」と無線で状況を説明した。

    メカニックは予選へ向けて深夜まで修復作業を強いられることになりそうだ。


    ロングランでは各チーム接近
    アタック終了後は各車とも決勝を見据えたロングランへ移行。

    今年もスパは1ストップか2ストップかの戦略判断が勝敗を左右するとみられ、各チームはタイヤデータの収集に時間を費やした。

    天候は終始ドライだったものの、スパ特有の変わりやすい空模様は健在で、決勝でも天候が戦略を左右する可能性がある。

    アントネッリが予選最有力候補に
    FP2はアントネッリがトップで締めくくり、ノリス、フェルスタッペン、ハミルトンが続く結果となった。

    ノリスとハジャーは決勝でグリッド降格が決まっており、予選ではアントネッリ、フェルスタッペン、ハミルトンによるポールポジション争いが中心となりそうだ。一方で、ラッセルの復調やガスリーのマシン修復など、各チームは多くの課題を抱えたまま金曜日を終えた。

    【関連】
    ・F1ベルギーGP フリー走行2回目 結果・タイムシート:アントネッリ最速

  • F1ベルギーGP フリー走行2回目 結果・タイムシート:アントネッリ最速

    F1ベルギーGP フリー走行2回目 結果・タイムシート:アントネッリ最速

    2026年F1ベルギーGP フリー走行2回目の結果・タイムシート。7月17(金)にスパ・フランコルシャンに2026年のF1世界選手権 第10戦 ベルギーグランプリのフリープラクティスが行われた。

    トップタイムを記録したのはアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)。2番手にランド・ノリス(マクラーレン)、3番手にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続いた。アストンマーティン・ホンダは、ランス・ストロールが21番手、フェルナンド・アロンソが22番手だった。

    ■ アントネッリがFP2最速
    メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリがソフトタイヤで1分45秒944を記録し、ランド・ノリスに0.190秒差をつけてトップタイムをマーク。マックス・フェルスタッペンが3番手に続き、予選へ向けてメルセデスが高い競争力を示した。

    ■ ガスリーが大クラッシュ
    ピエール・ガスリーはターン13出口で突然リアを失い、バリアへ激しくクラッシュ。マシンはリアウイングなどに大きなダメージを負って赤旗中断となったが、本人に大きなけがはなく、自力でマシンを降りている。

    ■ フェルスタッペンは好調維持
    FP1最速のフェルスタッペンはFP2でも3番手と好調を維持。走行中にはギアシフトの不調を無線で訴える場面があったものの、レッドブル・レーシングは週末を通じて有力候補の一角となっている。

    ■ ピアストリが走行再開
    FP1終盤の油圧トラブルで走行時間を失ったオスカー・ピアストリは、FP2開始直後はガレージ待機となったが、その後コースへ復帰。十分なアタックはできず6番手に終わったものの、決勝へ向けたロングランデータを収集した。

    ■ ラッセルは苦戦
    ジョージ・ラッセルはチームメイトのアントネッリから大きく遅れ、トップから1秒以上離される場面もあった。メルセデスはアントネッリが好調な一方で、ラッセルはセットアップ面で課題を抱えている様子だ。

    ■ フェラーリも上位争い
    ルイス・ハミルトンはFP2で3番手タイムを記録し、フェラーリは引き続き上位争いを展開。シャルル・ルクレールはトラックリミット違反でベストタイムを失ったものの、速さそのものは十分に示していた。

    ■ アストンマーティンは苦戦続く
    フェルナンド・アロンソとランス・ストロールは初日から下位に低迷。ストロールは追加PUコンポーネント投入により10グリッド降格が決定しており、アストンマーティンにとって厳しい週末のスタートとなった。

    ■ 天候と戦略が勝負を左右
    スパ・フランコルシャンは天候の変化が激しく、決勝は1ストップと2ストップの選択が勝敗を左右する可能性がある。各チームはロングランを重ね、タイヤのデータ収集と戦略検証を進めた。

    ベルギーGP 2026年のF1世界選手権

    F1ベルギーGP フリー走行2回目 結果・タイムシート

    順位 No ドライバー チーム タイム GAP LAP
    1 12 アンドレア・キミ・アントネッリ メルセデス 1分45秒944   16
    2 1 ランド・ノリス マクラーレン 1分46秒134 0.190 16
    3 3 マックス・フェルスタッペン レッドブル・レーシング 1分46秒416 0.472 20
    4 44 ルイス・ハミルトン フェラーリ 1分46秒691 0.747 15
    5 6 アイザック・ハジャー レッドブル・レーシング 1分46秒714 0.770 18
    6 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン 1分46秒926 0.982 10
    7 43 フランコ・コラピント アルピーヌ 1分47秒147 1.203 18
    8 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 1分47秒229 1.285 18
    9 41 アービッド・リンドブラッド レーシングブルズ 1分47秒294 1.350 19
    10 30 リアム・ローソン レーシングブルズ 1分47秒434 1.490 15
    11 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 1分47秒468 1.524 17
    12 87 オリバー・ベアマン ハース 1分47秒792 1.848 15
    13 98 ガブリエル・ボルトレト アウディ 1分47秒952 2.008 16
    14 31 エステバン・オコン ハース 1分47秒958 2.014 18
    15 23 アレクサンダー・アルボン ウィリアムズ 1分48秒019 2.075 18
    16 55 カルロス・サインツJr. ウィリアムズ 1分48秒256 2.312 18
    17 27 ニコ・ヒュルケンベルグ アウディ 1分48秒333 2.389 15
    18 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ 1分48秒955 3.011 15
    19 77 バルテリ・ボッタス キャデラック 1分49秒199 3.255 17
    20 11 セルジオ・ペレス キャデラック 1分49秒596 3.652 18
    21 18 ランス・ストロール アストンマーティン 1分51秒131 5.187 16
    22 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーティン 1分51秒418 5.474 18

    【レポート】
    ・F1ベルギーGP FP2展開:アントネッリ最速 ガスリー大クラッシュやラッセル不振

  • ジョージ・ラッセル F1苦戦の理由を「モナ・リザ」で説明 適応への葛藤を明かす

    ジョージ・ラッセル F1苦戦の理由を「モナ・リザ」で説明 適応への葛藤を明かす

    メルセデスF1のジョージ・ラッセルは、2026年型マシンへの適応に苦戦している理由について、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画『モナ・リザ』を例えに用いて説明した。

    ラッセルは問題点そのものはデータで明確に把握できているとしながらも、それを実際の走りで再現する難しさが現在の最大の課題だと語った。

    データでは原因が明確になっている
    2026年シーズンのラッセルは開幕戦オーストラリアGPと第8戦オーストリアGPで優勝を飾った一方、チームメイトのキミ・アントネッリに対して苦戦が続いている。

    アントネッリは中国GPからモナコGPまで5連勝を達成し、一時はランキングで68ポイント差を築いた。その後、スペインGPとイギリスGPでアントネッリが信頼性トラブルに見舞われたことで差は25ポイントまで縮まったものの、シルバーストンではラッセルが大きく後れを取り、アントネッリはトラブルがなければ優勝争いを演じる速さを見せていた。

    ラッセルは、自身の苦戦について原因は明確だと説明した。

    「データを見ると本当に明確で、解決できる問題なんだ。過去には他のドライバーや以前のチームメイトで、なぜ遅いのか分からず頭を抱えているケースも見てきた」

    「僕は優勝できなかったり、ポールポジションを獲れなかったりした理由がデータではっきり分かっているし、改善すべき点も理解している。ある日突然運転の仕方を忘れて、翌日になって思い出すような話ではない」

    「問題はマシンを理想的な状態に持ち込めていないことだ。昨年はマシンやセットアップ、タイヤの性能を最大限に引き出せる確率が非常に高かった。でも今年はその成功率が大きく下がっている」

    『モナ・リザ』を例に適応の難しさを説明
    なぜ問題点が明確なのに改善できないのかと問われると、ラッセルは世界的な名画『モナ・リザ』を引き合いに出した。

    「例えば誰かに『モナ・リザを描いてほしい』と言われて、本物のモナ・リザが目の前に置かれていたとする。それですぐ同じように描けると思う?」

    「練習すればできるようになるかもしれない。でも新しいパワーユニット、新しいタイヤ、新しいマシンでは、自分のドライビングスタイルに合わないセットアップで走らなければならないし、これまでのキャリアで一度もやってこなかった運転の仕方に適応しなければならない」

    ラッセルは20年間積み上げてきた運転スタイルを変える難しさを率直に語った。

    「何をしなければならないかは分かっている。でも20年間ずっと同じやり方で成功してきたものを、実際に変えるのは簡単ではない。今年はそれが半分くらいしか機能していない」

    「週末ごとに『いつもの走り方で通用するのか、それともアプローチを変えるべきなのか』を見極めなければならない。そして変えるなら、どうすれば速さを維持できるのかを考えなければならない」

    無意識で走れる領域を取り戻すことが課題
    ラッセルは、これまで最高のパフォーマンスを発揮できたときは、運転について意識的に考える必要がなかったと振り返る。

    「最高の走りができていたときは、無意識に運転していた。運転そのものを考える必要すらなかった」

    「今は新しいテクニックを身につけ、それを無意識にできるレベルまで落とし込まなければならない。そのプロセスこそが今の最大のチャレンジなんだ」

    2026年の新レギュレーションでは、新型パワーユニットやタイヤ、車両特性への対応が各ドライバーに求められている。ラッセルは自身の課題を「原因が分からない苦戦」ではなく、「理解していることを自然に実践できるレベルまで適応する過程」と位置づけ、その難しさを『モナ・リザ』という分かりやすい比喩で表現した。

  • 【動画】オリバー・ベアマン セナの伝説ロータス試乗で涙「レース愛を思い出した」

    【動画】オリバー・ベアマン セナの伝説ロータス試乗で涙「レース愛を思い出した」

    ハースF1のオリバー・ベアマンが、アイルトン・セナが1985年に初優勝を飾った伝説のマシン「ロータス97T」をシルバーストンでドライブし、その特別な体験に思わず涙を流した。

    現役F1ドライバーが歴史的なマシンを走らせる企画として実現した今回の試乗では、Sky Sports F1のカルン・チャンドックが案内役を務め、ベアマンはセナが初優勝を挙げた1985年エストリルGPのマシンと対面した。

    「1985年へタイムスリップしたような気分」
    走行前のベアマンは、黒と金の象徴的なカラーリングをまとったロータス97Tを前に感激を隠さなかった。

    「1985年という時代へタイムスリップしたような気分だ。数時間後にこのマシンを運転できるなんて本当に信じられない」

    グッドウッドで同時代のF1マシンを見た経験はあったものの、実際にセナの実車を目の前にしたのは初めてだったという。

    さらに、セナ本人が1985年エストリルGPで残した直筆のセッティングノートも見せられ、「今と同じ専門用語が並んでいる。こんな貴重な資料を見ることができるなんて信じられない」と興味深そうに目を通した。

    コックピットに乗り込むと、当時のオリジナルシートやクイックリリース機構のない小径ステアリング、Hパターンのマニュアルシフトなど、現代のF1とはまったく異なる構造にも驚きを見せた。

    「セナは史上最高のドライバーの一人だ。その彼が初優勝を挙げたマシンを目の前にして、これから自分が運転できるというのは本当に感情が込み上げてくる瞬間だ」

    予定より1周多く走行「もっと走っていたかった」
    走行では、ターボエンジン特有のパワーデリバリーやマニュアルシフトを慎重に確かめながらシルバーストンを周回。予定されていた周回数を忘れてしまうほど夢中になり、1周多く走ったことも明かした。

    「ギアボックスの感覚やマシンのグリップをようやくつかめたところだった。あまりにも楽しくて、もっと走り続けたかった」

    現代のF1とはまったく異なるドライビングフィールについても、「とても軽快で俊敏だった。最後のほうにはかなり自信を持って走れるようになったけれど、当時のドライバーたちはさらに10秒近く速いペースで限界まで攻めていた。本当に信じられない」と歴代ドライバーへの敬意を口にした。

    オリバー・ベアマン アイルトン・セナ

    ヘルメットの中で涙「レースを好きになった理由を思い出した」
    ピットへ戻ったベアマンは感極まり、ヘルメットの中で涙を流した。

    「本当に特別な体験だった」

    そう語ったベアマンは、涙をぬぐいながら今回の経験が自身にとってどれほど大きな意味を持ったかを説明した。

    「こういう日があると、自分がなぜレースを好きになったのかを思い出す」

    「僕はアイルトン・セナが走っていた時代をリアルタイムで見ていたわけではない。でも子どもの頃の僕にとって、セナはF1の王様だった。そのマシンを運転する機会をもらえたことに心から感謝している」

    また、1985年エストリルGPでセナが大雨の中、約1分もの大差を築いて初優勝を飾ったことにも触れ、「ドライコンディションでも十分難しかった。あのレースをウエットで戦ったことを想像すると本当に驚異的だ」と、その偉業の大きさを改めて称えた。

    今回の体験は、単に歴史的マシンをドライブしたというだけでなく、F1というスポーツの歴史と情熱を次世代へ受け継ぐ特別な一日となった。