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  • ホンダF1、レッドブルとのエンジン契約にむけてスペインGPで更なる交渉

    ホンダF1、レッドブルとのエンジン契約にむけてスペインGPで更なる交渉

    ホンダF1とレッドブル・レーシングは、2019年以降のF1エンジン契約についてF1スペインGPが開催されるバルセロナでさらなる交渉を予定している。

    先週末、F1アゼルバイジャンGPが開催されたバクーで、本田技研工業のモータースポーツ部長を務める山本雅史とレッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコが2019年以降のエンジン契約について正式に交渉を開始した。

    そして、バルセロナで開催される次戦F1スペインGPにも山本雅史が訪問し、2回目の交渉が行われることが明らかになった。

    両者はレッドブル・ホンダの契約を成立させるために懸命にプッシュしているが、情報源によるとホンダF1と現在のレッドブルのサプライヤーであるルノーの両方がアップグレードを導入する6月のF1カナダGPが最終決定の鍵を握る可能性があるという。

    レッドブル・レーシングは、交渉の進捗について口を閉ざしているが、ホンダの完全なポテンシャルを判断するために最新のアップグレードのパフォーマンスを待っていることを示唆している。

    「我々は(ホンダの)トロロッソとのパートナーシップの進み具合に非常に満足している」とヘルムート・マルコは Autosport にコメント。

    「信頼性はすでに大幅に改善している。パフォーマンスに関しては、次のアップグレードを待つつもりだ」

    レッドブル・レーシングは、6月のカナダGPまで決定を待つことを望んでるが、F1の競技規則ではパワーユニット製造者は来シーズンにどのチームにパワーユニットを供給するかについて5月15日以前までにFIA(国際自動車連盟)に通知する必要があると記されている。

    そのため、現在のサプライヤーであるルノーが、その日までにレッドブル・レーシングからコミットメントがなかった場合にどのような対応をとるかは不明な状況となっている。

    レッドブル・ホンダの提携は、マクラーレン・ホンダのようにホンダが資金を投入することはないと考えられているが、エンジンパートナー以上のより強力な提携になる可能性があると考えている。

    ホンダは、日本人の育成ドライバーをF1で走らせたいと考えており、トロロッソがその受け皿になる可能性が高い。

    現在、最もF1に近いドライバーは、F1とスーパーフォーミュラに参戦している福住仁嶺がいる。今年、福住仁嶺がF1参戦に必要なスーパーライセンスポイントを獲得できれば、2019年のF1デビューは確実とみられている。

    福住仁嶺がトロロッソに加入する場合、現在のドライバーを務めるピエール・ガスリーもしくはブレンドン・ハートレーがシートを失うことになるが、おそらくブレンドン・ハートレーがシートを失う可能性が高い。

    ブレンドン・ハートレーは、開幕4戦でパフォーマンスをできておらず、F1中国GPではチームの指示にきとんと対応できずにピエール・ガスリーとの同士討ちを起こしており、先週末のF1アゼルバイジャンGPでも予選Q1でピエール・ガスリーのアタックを妨害している。

  • トロロッソ・ホンダ:前戦からの問題解決には至らないパフォーマンス

    トロロッソ・ホンダ:前戦からの問題解決には至らないパフォーマンス

    トロロッソ・ホンダは、F1アゼルバイジャンGPの決勝で、予想通り、バクーならではの波乱の展開となったレースで生き残り、2台揃って完走を果たした。

    ブレンドン・ハートレーは10位入賞。F1で自身初となるポイントを獲得した。ブレンドン・ハートレー自身の喜びとともに、チームにとってもこれまでの苦労が少し報われ、今後の励みになる成果だった一方で、前戦からの問題解決には至らないパフォーマンスに終わった。

    第4戦アゼルバイジャンGPの舞台であるバクーの市街地コースは、シリーズの中でも特徴的で難易度の高いサーキットである。全長約6kmの中に、グランプリコースの中でも1、2を争う2kmの長いストレートがあるほか、ほぼ直角の低速コーナーが多く、市街地コースの特徴である路面のうねりや非常にタイトなコース幅の要所があり、ドライバーにとっても、マシンにとってもギリギリのチャレンジを要求するコースとなっている。

    加えて今年は、例年よりもおよそ2カ月早い開催となったことで、気温、路面温度が従来よりも上がらないコンディションとなった。このことが、すべてのドライバー、チームを、タイヤの温度管理という面で悩ませ、市街地路面と相まってグリップ不足を引き起こしている。

    トロロッソ・ホンダにとっては、この難しい状況の中で、前戦での不振をばん回しなければならないという課題があった。

    「前戦を終えての解析で、ある程度原因の特定はできているのですが、それをこのコースで検証し確認することはとても難しいことです。さまざまなトライも含め、できるだけのことを進めるしかありません」と田辺豊治。

    ドライバーの経験も大きい要素となるコースで、ピエール・ガスリーはGP2での走行経験はあるが、ブレンドン・ハートレーにとっては初めてのコースで、マシン、ドライバーともに手探りの状態で走行が始まった。

    前戦同様に、プラクティスでのパフォーマンスは低迷した。チームは空力を中心にさまざまなセットアップを試したが、「マシンのバランスとグリップがなかなか向上せず、いい感触を得られていない」とピエール・ガスリーはコメント。予選に向けてさらなる改善が必要だった。

    そうして迎えた予選では、チームにアンラッキーが襲いかかる。1回目のアタックでピエール・ガスリーはまずまずのタイムを出したものの、セッション序盤のコンディションはあまりよくなく、路面が改善する2回目に賭けるしかない。ブレンドン・ハートレーは、コースインしたもののイエローフラッグが相次ぎ、アタックには至らずピットに戻った。

    勝負はセッション終盤の2回目のアタックに託されたが、ブレンドン・ハートレーはアタック中にバリアと接触しパンクを喫する。スローダウンしたブレンドン・ハートレーが、タイムアタック中のピエール・ガスリーのラインを阻み、ピエール・ガスリーはギリギリで避けたがコースオフ。チームメート同士の激突という、あわや大事故の状況だった。

    「今までレースをしてきて一番怖い瞬間だった。時速320㎞でぶつかるところだった」とピエール・ガスリー。「完全に僕の判断ミスだった。ピエールには申し訳ないことをした」とブレンドン・ハートレー。激突を免れたことは、チームにとって今回最大のラッキーだったかもしれない。

    予選後、ホンダF1 テクニカルディレクターの田辺豊治は「予選の結果は厳しいものでしたが、ここでのレースは何が起こるか分からない。決勝に向けて全力を尽くします」と17番手とノータイムに低迷した結果を踏まえながらも、レースへの意気込みを語った。

    予選でタイムアタックが不発に終わったトロロッソ・ホンダは、ピエール・ガスリーが17番手、ブレンドン・ハートレーが19番手からの決勝スタートとなった。予想通り、レースは波乱の展開となる。オープニングラップからクラッシュが発生し、セーフティカーが導入。好スタートを決めたピエール・ガスリーは4周後のレース再開時点では7番手にまでポジションを上げた。しかし、ストレートで度々後続に抜かれ、13周目にピットインする時点では13番手まで順位を下げていた。

    レースが小康状態となった中盤から終盤にかけて、トロロッソ・ホンダの2台は14、15番手を走行していたが、残り10周あまりとなった時点で、レースは大波乱の様相を呈した。上位を走るレッドブルの2台がメインストレートで接触し、これによりセーフティカーが導入される。セーフティカー中にハースがクラッシュするアクシデントも起こり、セーフティカー先導は7周と長引いた、この間にピエール・ガスリー、ブレンドン・ハートレーはともにウルトラソフトタイヤへ交換し、最後の戦いに備える。残り5周でレースが再開した後も波乱は続き、上位の脱落が相次いだ。目まぐるしい展開の中、11番手から入賞を狙って追撃していたピエール・ガスリーにもアクシデントが襲った。前を行くハースのマグヌッセンがストレートで無謀なブロックを仕掛け、ピエール・ガスリーは逃げ場を失いマシンにダメージを負ってしまう。それでもピエール・ガスリーは残りのレースを走り切り12位完走を果たした。このアクシデントで、ブレンドン・ハートレーが10番手にポジションを上げ、チェッカーフラッグを受ける。ピエール・ガスリーの脱落は残念だったが、ブレンドン・ハートレーの入賞がそれを補うかたちとなり、大波乱のレースは幕を閉じた。

    「この展開の中、2台が生き残って完走を果たし、入賞したことはよかったと思います。しかし、ストレートスピードが伸びず、苦戦した部分がありました。パワーで劣っていることは分かっていますが、加えてエネルギーマネジメントについて、セットアップ面とレース中のオペレーション面での差が大きく出たとも感じています。課題は多く、まだまだやることがたくさんあるという状況です」とレース後、田辺豊治は語った。マシンについても「週末を通して、期待したレベルにはなかった」とチーム代表のフランツ・トストが語るように、前戦からの問題解決には至らないパフォーマンスに終わった。

    シーズン序盤の4戦が終わり、F1はホームグラウンドであるヨーロッパに戻る。次戦スペインGPは、例年シーズン第2幕の始まりとも、実質的な開幕戦とも言われる戦いとなる。それまでの2週間、トロロッソもホンダも、問題の解決とさらなるパフォーマンス向上へ、休む間も無く準備を進め、戦いに挑み続ける。

  • レッドブル、ホンダのF1パワーユニットを搭載する可能性は五分五分?

    レッドブル、ホンダのF1パワーユニットを搭載する可能性は五分五分?

    レッドブル・レーシングが、2019年以降にホンダのF1パワーユニットを搭載する可能性はまだ五分五分だとスペインの Marca が報じている。

    F1アゼルバイジャンGPの週末、バクーのパドックでレッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコと本田技研工業のモータースポーツ部長を務める山本雅史が2019年以降のエンジン契約について正式に交渉を開始した。

    レッドブル・レーシングは、F1スペインGPの2日後までである5月15日までに2019年からホンダのF1パワーユニットに切り替えるのか、もしくはルノーを使い続けるのかの決断を迫られることになる。

    今年、ホンダはレッドブル・レーシングの姉妹チームであるトロロッソにF1パワーユニットを供給しているが、パフォーマンスにはかなりムラがある。第2戦バーレーンGPでは4位入賞を果たしたものの、それ以外は下位グループに属している。

    ホンダは、マクラーレンとの3年間のパートナーシップでパドックの評価を落としており、マクラーレンとの愛憎関係はまだ続いている。

    レッドブル・レーシングは、過去にルノーとダブルタイトルを4連覇してきたが、成功に対するルノーの重要性についてしばしば感謝に欠ける対応を行ってきた。レッドブル・レーシングは、レースに勝った場合にシャシー、ドライバー、戦略、メカニックを称えるものの、タグホイヤーとアストンマーティンがスポンサードするエンジンに関して話題はあまり登場してこない。

    すでに両社の関係は冷え切っている。ルノー・スポーツF1のマネージングディレクターを務めるシリル・アビテブールは、レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコに少なくとも広告効果のシェアを望んでおり、中国での勝利はルノーのF1エンジンでのものであることを忘れないようと強調。レッドブルの勝利を祝福せず、ヘルムート・マルコを怒らせた。

    逆にレッドブル・レーシングは、ダニエル・リカルドのターボが故障した際にスペアエンジンを用意していないかったルノーを批判。「我々はエンジンを迅速に交換する経験があるので、素早くそれを実施するのは普通のことだ」と述べ、火に油を注いだ。

    レッドブル・レーシングのスタッフの間ではまだ意見が分かれているものの、第2戦バーレーンGPでは、トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーが4位入賞を果たしたことで、ホンダのエンジンに切り替える見通しが強まったとされている。エンジニアのなかには、2014年以降ルノーとわずか6勝しか挙げられていないことを不満に思っており、ホンダに切り替えることでギャップを埋められると考えているものもいるようだ。

    スペインの Marca は、実際、ミルトンキーンズで行われた分析では、ホンダのF1エンジンに切り替えることへの不安を払拭される結果が出ているという。また、エンジニアの意見も重要ではあるが、経済的な節約も大きな役割を果たすことになる。レッドブル・レーシングがホンダとワークス契約を結べば、現在ルノーに支払っているエンジン代金は節約できることになる。

    いずれにせよ、レッドブル・レーシングがホンダとルノーのどちらを選択するかはまだ五分五分の状態だと同紙は伝えている。

    また、レッドブルとルノーの間にはカルロス・サインツというドライバーの問題もある。レッドブルはダニエル・リカルドとの契約が今シーズン限りとなっており、現状ではルノーを継続した場合はフェラリ、もしくはメルセデスに移籍する可能性が高いとみられている。その場合はカルロス・サインツがレッドブルに復帰するのは既定路線だ。

    ルノーはカルロス・サインツを保持することを望んでいるが、レッドブル・レーシングがホンダとの契約を決断し、ダニエル・リカルドが残留を決意した場合、ルノーとレッドブルの関係は完全に切れることになる。同紙はその隙をついてマクラーレンがカルロス・サインツの獲得を狙っているとスペイン紙らしい推測を展開している。

  • ホンダF1 特集:高速クラッシュがF1パワーユニットに与える影響

    ホンダF1 特集:高速クラッシュがF1パワーユニットに与える影響

    ホンダF1で副テクニカルディレクターを務める本橋正充が、マシンがウォールに激突したとき、F1パワーユニットに何が起こるかを解説した。

    ストリートサーキットには、普段のサーキットとは異なる特徴がある。比較的最近建設されたサーキットは、滑らかな路面と広いランオフエリアを持つ一方で、市街地コースの場合は公道を限界ギリギリまで壁に近づいて駆け抜けるため、マシンの性能以上にドライバーの腕が求められることになる。

    全てがうまく行くときは、ドライバーは狭いコースで完璧なコントロールを披露し、この上ない喜びを感じられるだろう。しかし、ひとたびミスを犯せば、その代償は高くつく。

    市街地サーキットでのクラッシュは、劇的な見え方になりがちだ。ただ、一旦ドライバーの無事が確認できれば、ガレージではマシンを修復すべく、非常に忙しい時間を過ごさなくてはならなくなる。コース上にカーボンファイバーの破片やマシンのパーツが散らばる様を見れば、そのダメージが深刻であるのは一目瞭然だが、ボディワークの下では、パワーユニットも大きなダメージを負っていることがある。

    クラッシュ後にチームが行う作業はどんなものなのか、ホンダF1で副テクニカルディレクターを務める本橋正充が解説した。

    「重要なのはデータの解析です。マシンが止まったときには、特に細かくデータチェックを行います。エンジン内部の温度や、大きな負荷がかかっていないかなど、マシン内部のセンサーで検知される項目を確認します」

    「マシンがクラッシュした際には、一度エンジンを切らなければなりませんが、そうすると電気系統を落とすことになるので、そのあとのデータは得られなくなります。ガレージに戻したら、全体を細かく検査し、サブユニットの電源を入れ、可能であれば、シャシーの電源も入れます。その上でセンサーからの情報を吟味し、修復可能かそうでないかを判別します」

    クラッシュが起こると、例えほかの部分が衝撃のほとんどを受け止めていたとしても、パワーユニットのコンポーネントを交換しなくてはならないことがある。クラッシュの瞬間にはマシン全体をとてつもない量のエネルギーが駆け巡るため、パワーユニットとシャシーの結合部など、荷重のかかる部位に影響を与えることがあるからだ。

    「最も壊れやすいのは、シャシーとエンジンの結合部分です。これは、クラッシュの衝撃が、シャシーからパワーユニットに伝わってしまうためです。ここにはシリンダーヘッドやシリンダーブロックなど、パワーユニットにとって非常に重要な部品も含まれています」

    「さらに、マウント部以外の結合部分もあります。例えば、インタークーラーとラジエーターの間を通るパイプですが、クラッシュの際には、ここを経由してシリンダーヘッドやオイルポンプ、吸気チャンバーにダメージが伝わってしまうこともあるんです。ダメージの有無を調べるため、目視のほか、超音波を使った検査をすることもあります」

    「ですから、まず明らかにしなくてはいけないのは、シャシーからの衝撃がどのように広がったかです。ガレージに戻ったら、まずは、パワーユニットを含めマシン全体を検査して衝撃の強さと流れを確認し、その後クラッシュによる負荷の大きさがどの程度だったのかなどのデータを、シャシーチームと一緒に解析します」

    「そのあとで、日本にいるHRD Sakuraの開発チームと状況を共有します。基本的には、その後日本のファクトリーにパワーユニットを戻し、さらなる検査やメンテナンスを行っていきます」

    「レギュレーションにより、一度使用したパワーユニットをダイナモでテストすることはできません。ただし、液漏れのチェックや負荷チェックなどは、手動ポンプなどの方法で確認することができます。そこで、何らかの漏れや、ねじれがないかを把握しなければなりません。さらには、油圧システムのアクチュエーターもチェックします。こうすることで、すべてのコンポーネントが正常に作動しているかを確かめることができます」

    当然のことながら、パワーユニットはクラッシュを想定して設計されているわけではありません。さらに、ストリートサーキットに点在する縁石やバンプは、普段のレースとは異なる負荷を与える場合があり、さまざまなコンポーネントに影響が出ることもある。

    「基本的に、パワーユニットの構造は、パフォーマンスに特化して設計しています。シーズン前にはシャシーチームととともに、ねじれや振動のチェックなどを行い、マシン全体をテストしますが、その主な目的はシャシーの性能を把握することです。エンジンは非常に大きく、重量もあるので、アクシデントの対策も盛り込んでしまうとさらに重くなってしまうんです。だから、パフォーマンスを発揮するためだけのことを考えて設計されています」

    「しかし、エネルギー回生(ERS)システムは、非常にデリケートな構造になっている上、フロアのすぐ近くに配置され衝撃の影響を受けやすい部分です。マシンが縁石に乗り上げて衝撃を受けることもあるので、詳細な検査が必要になります。車載のセンサーがあるので、ドライバーの走行が終わると、そこからデータを回収してシステムが正常に作動しているかを確認します」

    「例えば、縁石でフロアを打ち付けてしまうと、パワーユニットはその衝撃と振動を受けます。パワーユニットとシャシー双方に加速度計が設置されているので、それを見比べることで、振動がパワーユニットに負荷を与えていないかを確認できるのです」

    パワーユニットの交換には数時間を要するので、チームにとっては、クラッシュによって交換が必要となるレベルのダメージがあるのか否かを一刻も早く見極めることが必要不可欠となる。

    「素早い判断が必要とされる場合には、まずテレメトリーデータを見てパワーユニットの状態をチェックします。チェックの結果がOKであれば、マシンをガレージに戻したあとで実際にコンポーネントをチェックし、パワーユニットを交換するかを決めます。もちろん、念の為にバックアップ用のスペアPUはいつも用意してあります」

    「パワーユニットを交換せずに済めば、その次のセッションでは走行前の確認を行います。これは、レースウイークで最初の走行の前に必ず起こっているインスタレーションラップとほぼ同じ内容のものです」

    「クラッシュ後のチェックを経て戻ってきたPUは、大丈夫なように見えたらインスタレーションラップで動作を確認します。さらにマシンがピットに帰ってきてから、カバーを外してさらに細かい検査を終えて、初めてパワーユニットを実戦で使用します」

    アクシデントが起きると、ギアボックスを交換することがあり、それによるグリッド降格を目にすることも多くありますが、このギアボックスも、パワーユニットに大きな影響を与えてしまうコンポーネントの一つだ。

    「ギアボックスはパワーユニットとつながっているため、ここが損傷するとクランクシャフトを圧迫して、スラストベアリング(軸受)を傷つけてしまうことがあります。なので、そのエリアを目視で確認するための窓が取り付けられています。これは大変な作業です。こうした問題は発見するのが非常に難しいのですが、安全性の観点からも必ず確認しなければなりません」

    F1での経験が長い本橋正充は、これまで数多くのエンジンを扱ってきた。現在、採用されているV6エンジンは、非常に精密で、また高度なテクノロジーを使用している。しかもレギュレーションにより、シーズン中に使えるコンポーネントの数は厳しく制限されているため、耐久性も必要だ。

    「V8エンジンとV6エンジンにおける設計の違いは、パワーユニットの使用制限と大きく関係しています。過去には交換の制限が現在のように厳しくありませんでしたから、第三期の終盤には一つのエンジンを2大会、およそ1600kmの走行距離で使用していました」

    「使用距離がかなり短かったので、パフォーマンスを向上させるために軽量化することができました。しかし、軽ければ、それだけクラッシュの際にダメージを受けやすくなります」

    本橋正充がこれまでに目撃した中で最も激しく損傷したパワーユニットは、2016年の開幕戦オーストラリアGPで、フェルナンド・アロンソ選手がクラッシュを起こしたあとのものでした。高速走行中にハースのエステバン・グティエレス選手が駆るマシンのリアに乗り上げ、大クラッシュとなった。

    「これまで、あんなに損傷してしまったパワーユニットは見たことがありません。さくらで実物を見ましたが、いくつかのシリンダーヘッドは抜け落ちてしまっていたんです」

    「現在のレギュレーションでは、シリンダーヘッドはFIAによる封印の対象であるため単体での交換や修理はできず、我々はパワーユニットの交換を行うしかありませんでした。ある場面では、いくつかのパーツを交換していいか、FIAと交渉することもありますが、このときはパワーユニットの交換以外、選択肢がないという状況でした」

    「でも、そんな大きなアクシデントであっても、またレース戻らなければならないんです」

    ストリートサーキットでは、ウォールに激突すればタイムをロスするだけでは済まない。でもだからこそ、ドライバーがそこでミスのない走りを見せたとき、それは特別な瞬間だと言えるのだ。

  • ホンダF1、レッドブルとF1エンジン契約について正式に交渉を開始

    ホンダF1、レッドブルとF1エンジン契約について正式に交渉を開始

    ホンダF1は、2019年のF1エンジン供給契約についてレッドブル・レーシングと正式に交渉を開始した。

    2015年にマクラーレンのパートナーとしてF1に復帰したホンダだが、それ以降の3シーズンは信頼性とパフォーマンス不足が露呈し、昨シーズン限りでマクラーレンから契約を打ち切られることになった。

    今年からホンダは、レッドブルの姉妹チームであるトロロッソと新たなパートナーシップを開始。

    トロロッソ・ホンダはF1バーレーンGPでは4位入賞を果たすなど、信頼性・パフォーマンスともに“戦える”エンジンであることを証明しつつある。

    一方、レッドブル・レーシングはルノーとの現行のエンジン契約が今シーズン末で期限を迎える。過去にF1でダブルタイトルを4連覇したレッドブルとルノーだが、2014年にV6ターボ“パワーユニット”が導入されて以降、ルノーのエンジンは競争力を発揮できておらず、両者の関係は冷え切ったものとなっている。

    レッドブル・レーシングは、2019年にホンダのF1パワーユニットが選択肢であることを公にしており、姉妹チームであるトロロッソのパフォーマンスを詳細に分析している。

    そして、F1アゼルバイジャンGPが開催された週末の28日(土)、バクーのパドックでレッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコと本田技研工業のモータースポーツ部長を務める山本雅史が2019年以降のエンジン契約について正式に交渉を開始。ホンダ側が表だってエンジン交渉の事実を認めたのは今回が初めてとなる。

    山本雅史は「全く初めての会談でしたので、お互いがどのようなことを期待しているのか、両社の条件などについて話し合いました。話し合ったのは今回が初めてです」とF1公式サイトにコメント。

    「そうですね、ポジティブな話し合いができました。どちらも満足できたと思います。我々の間には良い関係があります。ですが、正式に話し合いの場をもったのは本当に初めてでした。将来の可能性についての出発点です」

    F1の競技規則では、F1のパワーユニット製造者は来シーズンにどのチームにパワーユニットを供給するかについて5月15日以前までにFIA(国際自動車連盟)に通知する必要があると記されている。

    “公認されたパワーユニットの各パワーユニット製造者はそのパワーユニットを供給する前のシーズンの5月15日以前に(または、すべてのパワーユニット製造者とFIAの間で書面で合意された他の日)、所与の選手権シーズンに向けて供給契約が締結されているチームのリスト(ある場合は指定の「ワークス/ファクトリー」チームを明確に特定する)を添えてFIAに提供しなければならない”

    山本雅史も「我々には5月15日にFIAに文書を提出する義務があります」と語る。

    「今、我々が議論を開始しているのはそれがありますし、ホンダとレッドブルとの間でスムーズに進めていかなければなりません」

    「レッドブルにフィードバックして次の段階に進む前に残された時間を田技研工業の取締役と議論するために使いたいと思っています」

    「我々がF1に復帰することを決定した際、1つのチームにだけ固辞するのではなく、複数のチームと一緒に仕事をするという計画を立てていました。取締役会のメンバーは議論を認識していますし、レッドブルの組織との関係には大きな敬意を表しています」

    現在、F1とFIAは2021年からエンジン形式の変更することについて議論しており、山本雅史はレッドブル・レーシングと契約を結ぶ場合は2019年と2020年の2年契約になるだろうと付け加えた。ホンダとトロロッソとの契約も2020年までとなっている。

    競技規則で定められた文書提出期限である5月15日(火)は、次戦F1スペインGPの2日後にあたる。そのため、F1スペインGPの週末にホンダとレッドブル側から何らかの発表がなされる可能性がある。

  • ホンダF1 「バクー市街地コースのロングストレートは“チャレンジング”」

    ホンダF1 「バクー市街地コースのロングストレートは“チャレンジング”」

    ホンダは、2018年にF1パワーユニットを進歩させているが、F1アゼルバイジャンGPが開催されるバクー市街地コースのロングストレートは“チャレンジング”だとホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は語る。

    過去3年間、ホンダは他のパワーユニットメーカーと比較してエネルギー回生システム(ERS)のデプロイメントに苦労しており、ドライバーがロングストレートで防御するのが困難な状況となっていた。

    バクー市街地コースはターン1への1.3kmの全開セクションを備えており、またデプロイメントをフルに活用することが求められるためERSへの要求が高い。

    ホンダにとってバクーのロングストレートはどうかと質問された田辺豊治は「チャレンジングです!」と RACER にコメント。

    「もちろん、改善する必要のあるエリアがいくつかあります。中国はストレートでのパフォーマンスという点では落胆するような結果ではなかったと思います。全体的なパッケージは改善しています」

    田辺豊治は、多くのストレートがあるバーレーンでピエール・ガスリーが4位入賞を果たしたことでトロッソのパフォーマンス能力を確認できたのはホンダにとって良いことだったとし、今後は定期的に中団バトルで高い順位でフィニッシュできるように一貫性を高めることに焦点を当てていくと語る。

    「車体、パワーユニットだけでなく、ドライバーも含めたパッケージとしての競争力を確認することができました。特に我々の場合は開幕戦は駄目で、2戦目は満足できるものでしたが、中国では期待外れな結果でした」

    「我々はパフォーマンスを改善できると信じていますし、このポジションに留まっているつもりはありません。もっと改善したいと思っています。全体的な競争力は確認できましたが、抜け出しているわけではありません。中国ではウィナーと表彰台に大きな変化がありました・・・」

    「我々は目標として具体的なポジションは設定してません。常に言っているように、パフォーマンスと信頼性を発展させて、シーズン中に段階的な改善を目指していきます」

    関連:2018 F1アゼルバイジャンGP テレビ放送時間&タイムスケジュール

  • ホンダF1 「バクーではPUの燃費とエネルギーマネジメントが重要」

    ホンダF1 「バクーではPUの燃費とエネルギーマネジメントが重要」

    ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、F1アゼルバイジャンGPが開催されるバクー市街地コースでのパワーユニットに関するポイントを語った。

    昨年、バクーでのレースは、3度のセーフティカー出動と赤旗中断により、大波乱の展開となった。超ロングストレートはカレンダー中でも一番の最高速を叩き出し、その一方で精密なコントロールを必要とするタイトコーナーも出現。効率よくエネルギーを活用することが重要となる。

    「長距離移動の連続だった開幕からの3戦を終え、今回はヨーロッパの東端、アゼルバイジャンでのレースになります」と田辺豊治はコメント。

    「バクー市街地サーキットは、旧市街にあるタイトなセクションと、2キロに及ぶロングストレートを持ち、同じように市街地を走るモナコやシンガポールとは異なるトラックレイアウトになっています。パワーユニットにとっては厳しいサーキットなので、燃費とエネルギーマネジメントが重要になります」

    「今年のアゼルバイジャンGPは第4戦での開催になったため、例年より早い時期にレースがあります。気温や路面温度も高めだった過去3年より下がると見込まれるので、それに合わせてセットアップを進めます」

    関連:2018 F1アゼルバイジャンGP テレビ放送時間&タイムスケジュール

  • ブレンドン・ハートレー 「F1カーとLMP1カーの最大の違いはタイヤ」

    ブレンドン・ハートレー 「F1カーとLMP1カーの最大の違いはタイヤ」

    トロロッソ・ホンダのブレンドン・ハートレーは、F1カーとLMP1カーの最大の違いは車体自体ではなくタイヤだと語る。

    昨年、ポルシェでWECチャンピオンを獲得したブレンドン・ハートレーは、昨シーズン後半にトロロッソでF1デビュー。今年、トロロッソ・ホンダで初のフルシーズンを迎えて3レースを終えている。

    ブレンドン・ハートレーは、WECのミシュランタイヤとF1で使われているピレリタイヤの違いになれることには時間がかかったと語る。

    「やっぱり最大の違いはタイヤだ。最大限の引き出す方法が完全に異なるビーストだ」とブレンドン・ハートレーはコメント。

    「ピレリは非常に敏感なので、全てをまとめるのはよりトリッキーだ。悪いことだと言っているのではなく、とにかくピレリは全てを機能させるために非常に微妙な違いがある」

    また、ブレンドン・ハートレーは、F1のハイブリッドエンジンは、WECのエンジンよりもドライバーからのインプットが少なくて済むと語る。

    「現代のF1エンジンは物凄い。エンジンとパワーユニット全体の背後は非常に複雑だけど、ドライバーの観点では非常に扱いやすいし、クルマの後ろについてあまり考えなくてもいい」

    ブレンドン・ハートレーは、F1ではハイブリッドパワーのデプロイメントについてはほぼやることはないと語る。

    「もちろん、レースや舞台裏で管理しなければならないことはいくつかあるけど、全体的に言えば、ドライバーが管理しなければならないことはあまりない。全チームが最初から全てをかなり正しく行えるように舞台裏で十分なシミュレーションとエンジニアリングを行っている。だから、特性もかなり異なる。LMP1では1周あたり多くのエネルギーマネジメントをしなければならないけど、F1ではそれほどでもない」

    最近、ポルシェはWECレギュレーションの制限を取っ払って究極のスピードを追求したLMP1カー『ポルシェ919ハイブリッドEvo』でスパ・フランコルシャンのトラックレコードを樹立。2017年のF1ベルギーGPでルイス・ハミルトンが記録したタイムを0.783秒上回った。

    ブレンドン・ハートレーは「F1のトップスピードは非常に高い。1周あたりかなり多くの燃料を使えるからね。LMP1ではかなり不足していた」とコメント。

    「コーナーからの立ち上がりの純粋な加速はかなり似ている。LMP1では4輪駆動とトラクションコントロールによって低速コーナーからの立ち上がりが驚異的な走りだったけど、F1は加速し続けている」

    ブレンドン・ハートレーは、F1カーのラップタイムの優位性の大部分を見い出しているのはトップエンドのパフォーマンスだと語る。

    「F1カーの方が高速でのダウンフォースが多いし、ブレーキーのポテンシャルも高い。F1カーでラップタイムを稼ぐ多くを占めるのは高速コーナーとトップスピードによるものだ。F1ははるかに速いスピードで制動するし、停止するパワーもダウンフォース量によって非常に印象的だ」

    トロロッソのチーム代表フランツ・トストは、ブレンドン・ハートレーのWECで燃料を節約していた経験がF1でうまくいっていると語る。

    ブレンドン・ハートレーは「WECでは燃料がかなり制限されていたので、非常に効率的に走ることに慣れている」と語る。

    「燃料をとても制限されているレースでは、そこが僕の良い強みになると思う。こちろん、そのようなプロジェクトに取り組んできたことは非常に貴重だ。マーク(ウェバー)やティモ(ベルンハルト)のようなドライバーと働けたことで彼ら二人から多くのことが学ぶことができた。全てが良い経験だった」

  • レッドブル 「ホンダとルノーのどちらを搭載するか選べる立場にいる」

    レッドブル 「ホンダとルノーのどちらを搭載するか選べる立場にいる」

    レッドブル・レーシングは、2019年にF1エンジンサプライヤーを選べる立場にいるとチーム代表のクリスチャン・ホーナーは強調する。

    レッドブル・レーシングは、2015年にルノーとの関係が悪化して契約解消を申し出たが、他のエンジンサプライヤーがエンジン供給を拒否。エンジンがないという危機的な状況となり、F1撤退さえも報じられた。

    最終的にレッドブル・レーシングはルノーとの契約を更新。タグホイヤーのバッチをつけて現在もルノーのF1パワーユニットを搭載している。

    しかし、クリスチャン・ホーナーは今は当時とは異なり、レッドブル・レーシングは2019年にルノーとホンダのどちらを搭載するかを選べる立場にいると語る。

    「幸いなことに、我々には選択肢がある」とクリスチャン・ホーナーは Auto Motor und Sport にコメント。

    「ルノーは我々と仕事を続けたいと思っている。そして、我々はホンダに関して最前列に座っている。我々が彼らがどのように発展しているかを観察できる」とクリスチャン・ホーナーは、姉妹チームのトロロッソとホンダとの新しいパートナーシップに言及した。

    またクリスチャン・ホーナーは、レッドブル・レーシングが“夏休み”までに決断を下す必要があると述べた。

    クリスチャン・ホーナーは、ホンダとの提携に備えてモータースポーツアドバイザーのヘルムート・マルコが、日本語を磨いていることを認める。

    「ヘルムートには常に才能があった。現在、彼は我々の日本語のマスコットだ」とクリスチャン・ホーナーは語った。

  • トロロッソ・ホンダ:ジョン・ブースがチームを離脱

    トロロッソ・ホンダ:ジョン・ブースがチームを離脱

    トロロッソ・ホンダでコンサルタント的な役割を担ってきたジョーン・ブースがチームを離脱したことが明らかになった。

    元マノーF1のチーム代表であるジョン・ブースは、2016年4月にトロロッソのレーシングディレクターに就任。ドライバーとチームの運営をサポートするコンサルタント的な役割を担ってきた。

    しかし、ジョン・ブースがチーム代表を務めるマノーWECチームは、今期からLMP1クラスへ以降。プログラムの強化に伴い、ジョン・ブースはF1から身を引くことを決定した。

    「トロロッソとの私の関わりは自然な終わりを迎えた。私は今のF1にはあまりに年を取りすぎているかもしれない。それで十分ではないか?」とジョン・ブースは Autosport にコメント。

    ジョン・ブースは、トロロッソのワークスエンジンパートナーとしてホンダが到着し、チームのリソースが増えたことが離脱の原因ではないかとの見方を否定した。

    「このように説明しよう。私の年齢では飛行機での移動やホテル暮らしなどに疲れてしまうものだ。その一方で、私はプライベートでの旅行は好きだがね・・・何度か日本に帰ることさえあるかもしれない」

    2年間LMP2クラスを戦ったマノーWECチームは、今期からジネッタとペアを組んでLMP1クラスに挑む。

    「これからはLMP1クラスのプログラムに完全に集中する」とジョン・ブースは付け加えた」

    「トヨタに勝つチャンスはないかもしれないが、我々には多くの計画がある。我々は1億ユーロも持っていない。それにLMP1はF1と同じようにパフォーマンスを買うことができる」