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  • ポルシェ 919ハイブリッド:ステアリングホイール解説

    ポルシェ 919ハイブリッド:ステアリングホイール解説

    ポルシェのワークスチームからFIA世界耐久選手権(WEC)のル・マン・プロトタイプ・クラス1(LMP1)に参戦する919ハイブリッドは、ステアリングホイールで各種のセッティングを行うことができる。

    ドライバーは両手でコンピューターを操作することができる。彼らは、ポルシェが製造した最も複雑なレーシングカーを制御するために、ステアリング上24個のボタン/スイッチと裏側6つのパドルを操作しなければならない。

    一般的にはステアリングホイールと呼ばれているが、919ハイブリッドのそれは多くのレーシングカーと同じように円形ではなくフラットな矩形で、これはドライバー交代に必要なスペースを確保するための形状。この形状でなければ、特にマーク・ウェバーやブレンドン・ハートレーなど長身のドライバーは、長い脚を迅速に収めるために苦労することになる。

    ポルシェ 919ハイブリッド ステアリングホイール

    中央の大型ディスプレイは、ドライバーに多くの情報を提供する。情報には、速度、選択ギア、選択中のエンジンマネージメント、リチウムイオンバッテリーの充電状態(前輪を駆動するためにどのくらいの電気エネルギーを使用できるか)が含まれる。919ハイブリッドでは、フロントアクスルの電気モーターが後輪を駆動する2リッター4気筒ターボエンジンをアシストする。左上のコントロールボタンで表示される情報を選択し、右グリップのコントロールボタンで夜間にディスプレイの輝度を下げる。同様に左グリップのコントロールボタンは、ピット無線の音量調節用で、右上の4つめのロータリースイッチはフロントワイパーの作動間隔を変更するためのもの。

    ステアリングホイールのボタン/スイッチは、ドライバーがレースで確実に操作できるように、慎重に配置されている。最も頻繁に使用するボタンは、親指が届くように上部外端に沿って配置されている。最も頻繁に使用する右上のブルーボタンは、ヘッドライトフラッシャー。これは、WECにおいて、速いプロトタイプが遅い車両を追い越す前に警告用に使用する。一度押すとヘッドライトが3回点滅する。当然、昼間はヘッドライトの点滅を確認するのが難しいので、ドライバーはほとんど親指をそこに置いたままになる。

    左上のレッドボタンも使用頻度が高く、バッテリーからエレクトリックパワーを引き出すときに使用する。いわゆる「ブースト」。ドライバーは追い越すためにブーストできるが、1周のエネルギー量は規定されているので、パワーの割り当てには注意が必要。ル・マンの1周で使用できるエネルギー量は6MJで、短い距離のサーキットでは変わってくる。トラフィックから抜け出すために周回の途中でエネルギーを消費すると、ストレートの最後で使えなくなる。

    左右のさらに内側には、駆動力を前輪と後輪にバランス良く配分するために、フロントとリアのトラクションコントロールを調節するプラスとマイナスのスイッチがある。イエロー、ブルー、ピンクのこれらのスイッチは、それほど頻繁に使用されることはない。

    さらに下のオレンジボタンは、ドリンクシステム(左)と、トランスミッションのニュートラルボタン(右)。左下のレッドボタンは、フロントウインドウウォッシャーで、右側のレッドボタンは、速度が制限されているピットレーンを走行するときに使用するスピードリミッター。

    中央上部には無線コミュニケーションのグリーンボタン(左)と、OKボタン(右)がある。ドライバーは、OKボタンを使用してピット無線を介して要求のあったセッティングの変更を実施したことを伝える。ロータリースイッチを使用するセッティングの変更は、片方の手をステアリングホイールのグリップから放す必要があるため通常はストレートで行う。

    「マルチ」と呼ばれる2つのロータリースイッチは互いに連携している。左側はABC設定、右側は数値設定。エンジンマネージメントやフューエルマネージメントのプログラムは、A2やB3など文字と数字の組み合わせによって指示される。他の3つのロータリースイッチは、ブレーキバランスのプリセレクト、トラクションコントロールのウェットコンディションまたはドライコンディションのセッティング、およびハイブリッドプログラムに使用する。

    スイッチは夜間でも簡単に識別できるように、ドライバーのヘルメットに取り付けたブラックライトランプに反応する蛍光カラーが使用されている。

    ステアリングホイールはカーボン製で、グリップハンドルは滑り止めラバーで覆われている。パワーステアリングシステムにより、細いグリップにもかかわらずドライバーはステアリングを問題なく操作することができる。ステアリングホイール裏側には6つのパドルが配置されている。中央のパドルはギアチェンジに使用し、右パドルを引くとシフトアップ、左パドルを引くとシフトダウンする。左右が同じ機能をもつ一番下のパドルはクラッチ操作用。右コーナーか左コーナーかによって、使いやすいほうを選択することができる。左上のパドルはブースト用で、ドライバーは好みでフロントのボタンかこのパドルを使用することができ、右上のパドルによってエネルギーの回生を手動で作動させることができる。ドライバーはハンドブレーキをかけるような感覚で、運動エネルギーから得た電気エネルギーをバッテリーのリザーバーに供給できる。

  • トヨタ、1-2フィニッシュでホームレース3連覇 (WEC第5戦富士)

    トヨタ、1-2フィニッシュでホームレース3連覇 (WEC第5戦富士)

    トヨタは、富士スピードウェイで行われたFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦富士6時間耐久レースで1、2位を独占。ホームレースである日本ラウンドで2012年の参戦以来、無敵の3連勝を打ち立てた。優勝はアンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミが駆ったTS040 HYBRID #8。

    富士のレースで過去2連勝を挙げているTS040 HYBRID #7は、アレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、中嶋一貴のドライブで僅差の2位に入った。

    2台のTS040 HYBRIDは3位以下のライバルに1周の差を付け、マニュファクチャラーズ選手権でもアウディを逆転、8ポイント差の首位に立った。

    ドライバーズ選手権の順位は、勝利を得た#8のアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミがチームメイトで今回欠場したニコラス・ラピエールに26ポイント差を付けてトップ、ラピエールの背後にはアウディ#2のドライバー達が29点差で続いている。

    昨年のレースは大雨に祟られて僅か16周で終了したが、今年は天気にも恵まれ、気温は摂氏14度と涼しい気候ではあったが、コース上では熱を帯びた激しい戦いが繰り広げられた。

    ポールポジションからスタートを切った#8のブエミは、1コーナーで後続から軽く追突され3位へと後退したが、1000馬力を4輪で駆動するトヨタ・ハイブリッド・システム・レーシング(THS-R)のパフォーマンスにも助けられ、1周目の間にライバルを抜き返し、首位でストレートへと戻って来た。

    中嶋もスタート直後の激しいバトルの中で順位を上げ3位へ躍進。ライバルのポルシェ#20が早めのピットインを行ったこともあり、レース序盤にして2台のTS040 HYBRIDが1-2体制となり、後続との差を広げていった。

    スタートからまもなく1時間になろうかというタイミングでチームは1回目のピットストップを行い、#7はサラザン、#8はデビッドソンへとドライバーチェンジ。タイヤも交換し、首位争いに復帰した。

    他クラスの車両により混雑したコース上での首位争いを繰り広げながらも、3秒ほどの差で連なったまま周回を重ねた2台のTS040 HYBRIDは、両ドライバー共に2回のスティントを問題なくこなし、3位以下との差を約1周近くまで広げた。

    レースが半分ほどを消化したところで、ブエミが#8のコクピットへと戻り、#7もブルツがステアリングを握り、後半戦も2台のTS040 HYBRIDによるレースの支配が続いた。

    ライバルに1周以上の差をつけたことで、この週末、最大のポイントを獲得することを目標に、チームは慎重なタイヤ戦略を採り、ドライバーもコース上の周回遅れを用心深くクリアしていった。

    その後、#8はデビッドソン、#7は中嶋が再びステアリングを引き継ぎ、さらに、#7は最後の1時間をサラザンへと託し、2台のTS040 HYBRIDは、この週末、富士スピードウェイに集まった5万1千人のファンの前で、1-2フィニッシュという最高の結果でチェッカーフラッグを受けた。

    WECは、来月11月にシリーズ終盤の3戦をこなすクライマックスを迎える。11月2日(日)には第6戦上海6時間レース、そして第7戦はバーレーン、最終戦はブラジル・サンパウロで行われる。

    木下美明 チーム代表:
    ホームレースで1-2フィニッシュを果たしたチームとドライバーを本当に誇りに思う。ここ富士では過去2連勝を挙げているが、今年の勝利は格別だ。多くの人が、ホームレースということに特別なプレッシャーを感じるかと尋ねてきた。しかし、実際には特別なサポートを感じていただけだった。全てのファン、富士スピードウェイの方々、それから今週末にこのような勇気を与えてくれたトヨタの仲間たちに感謝したい。TS040 HYBRIDはこの週末、本当に強かった。この力を今シーズンの残り3レースでも出せるように努めたい。

    TS040 HYBRID #7:
    (アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/中嶋一貴)
    決勝結果: 2位 236周、ピットストップ6回、最高ラップタイム:1分27秒887

    アレックス・ブルツ:
    ホームレースで1-2フィニッシュ出来たことは本当に素晴らしいし、予想もしていなかった。非常に攻略の難しいコースだが、タイヤの選択とセットアップで課題を上手く克服出来た。これが、今日この結果を得るチャンスになった。このような1-2フィニッシュを果たせ、ファン、トヨタの仲間たち、そしてチームと喜びを分かちあえた。これで絶対の確信をもって、次戦中国に臨める。

    ステファン・サラザン:
    トヨタとチーム全体にとって輝かしい結果で、本当に素晴らしい。チームは良い仕事をこなし、1,2位独占は最高の戦績だ。2台のTS040 HYBRIDが一緒にゴールを目指し、本当に僅差でレースを終えた。再び表彰台に上れたのは、本当に幸せだ。ここ富士での目標はマニュファクチャラーズ選手権でリードを奪うことだった。今、その目標を達成出来た。ル・マンとオースティンでのフラストレーション後、我々にとって、偉大な結果になった。次なる勝利を目指す。

    中嶋一貴:
    TS040 HYBRID #8のメンバーを祝福したい。彼らは本当に良い仕事をして、チームにとって最高の結果を得た。マニュファクチャラーズ選手権も素晴らしい結果だ。日本のファンとサポーターの前で勝利することが出来て嬉しい。実はWECでスタートドライバーを担当するのは初めてだった。2台の燃費戦略は異なっており、それをこなすのは若干難しかったが、スタート直後の混乱にも巻き込まれることなく、ペースも良かったと思う。本当に良い一日になった。

    TS040 HYBRID #8:
    (アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ)
    決勝レース:1位 236周、ピットストップ6回、最高ラップタイム:1分27秒815

    アンソニー・デビッドソン:
    全てが完璧なレースであり、トヨタ・レーシングにとって完璧な週末だった。チームの皆の頑張りで、最強のTS040 HYBRIDと、完璧な戦略、それにピットストップもバッチリ決まった。ホームレースでの1-2フィニッシュ以上に望むものはない。チームにとって、ここ富士での3連覇は格別だ。ドライバーズ選手権でのリードを更に広げ、マニュファクチャラーズ選手権でも首位を奪還したので、チームとしてもこれ以上言うことはない。すべての人々、特に、この週末熱心に応援してくれたトヨタの人たちには特にお礼を言いたい。

    セバスチャン・ブエミ:
    1-2フィニッシュを成し遂げ、ドライバーとマニュファクチャラーの2つの選手権をリードしながら富士を後にするというのは格別な気分だ。スタートではタイヤを温めるのが少し難しく、そのため激しい戦いにさらされた。最初の周回は大変だったが、その後はレースを制することができた。アンソニーとチームの皆は良い仕事をしてくれた。正直言って、これほどリード出来るとは思わなかったが、これはハードワークの成果だ。今はこの瞬間を味わいたいが、すぐに次のレースへと切り替えなえればならない。今日の戦績はシーズン残りへの良い兆候だ。

  • ポルシェ、3位表彰台を獲得 (WEC第5戦富士)

    ポルシェ、3位表彰台を獲得 (WEC第5戦富士)

    ポルシェのワークスチームから世界耐久選手権(WEC)にエントリーする919ハイブリッドは、今シーズン2度目となるポディウムフィニッシュを富士スピードウェイにて開催された6時間耐久レースで達成した。

    WECの第5戦として開催された富士でのレースは大きな混乱も無くドライコンディションの中、進んだ。ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー20)のティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)/マーク・ウェバー(オーストラリア)組は見事3位でゴール。マーク・ウェバーは 1:27.759 (12周目)でファステストラップも記録している。

    カーナンバー14 の919ハイブリッドをドライブするロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)組は続いて4位でチェッカーを受けた。

    マルク・リープがスタートドライバーを務めたカーナンバー14 はオープニングラップを4位で終えた後、36ラップを周回して3位にあがりジャニに交代した。ニール・ジャニは73周目にタイヤ交換を行い、110ラップした時点でロマン・デュマにステアリングを託した。ロマン・デュマは147ラップ目にタイヤ交換と給油をして3位でコースに戻った。最終スティントの184ラップでは3位に浮上したが、220ラップ目にピットストップを行い4位でクルマをゴールまで運んだ。

    カーナンバー20はスタートからしばらくトップ争いを繰り広げたが、スローパンクチャーによりピットストップを余儀なくされる。ダブルスティントを1セットのタイヤで走りきった後、84周でティモ・ベルンハルトにシートを譲った。ティモ・ベルンハルトもダブルスティントを担当し122周でタイヤ交換および給油を行い、ブrネンドン・ハートレーに交代。919ハイブリッドは197周目に最後のタイヤ交換および給油を行う。見事、重責を果たした形のブレンドン・ハートレーは3位でチェッカーを受けた。

    ヴォルフガング・ハッツ (ポルシェAGの研究開発担当役員)
    「このレースにおける目標は達成いたしました。2台は完走し、そのうち1台は表彰台にのりました。序盤はトップ争いにも絡み力強いパフォーマンスを見せて、3位と4位を獲得出来たのです。このレースで見せたように、今後も進歩しつづけます」

    フリッツ・エンツィンガー (ポルシェAG LMP1プロジェクト トップ)
    「素晴らしい結果です。何よりも今週末に我々が遂げた大きな進歩を誇らしく思います。金曜日は大変な思いをしましたが、セッションごとに改善を重ねて見事な予選、そして決勝ではしっかりと結果につなげることができました」

    アンドレア・ザイドル (LMP1チーム監督)
    「3位と4位は最良の出来といって良いでしょう。クルマもチームも優れたパフォーマンスを発揮しました。現場に居るスタッフだけでなくヴァイザッハに残った皆と一緒に勝ち取った成績です。デビューから5レースにして、初めて2台ともトラブル無くレースを完走しました。ゼッケン20は戦略面でも上手くいきました。ゼッケン14のドライバーは素晴らしい走りをしてくれました。ワンツーフィニッシュで完勝したトヨタにも拍手を送ります」

    ロマン・デュマ (カーナンバー14)
    「3位と4位を獲得したことがチームにとって重要です。しかし、まだまだやるべきことはたくさんあります。919ハイブリッドのポテンシャルはこんなものではありません」

    ニール・ジャニ (カーナンバー14)
    「トリッキーなコンディションの中、ダブルスティントを1セットのタイヤで走り切りました。他者を抜かす際にラインを外すとタイヤがすぐにタイヤカスを拾ってしまうと、なかなかキレイな状態には戻らなかったのです。スティント後半には、路面状況は悪化していきました」

    マルク・リーブ (カーナンバー14)
    「スタートとフィニッシュを担当しました。最初の周では何度もポジションが入れ替わりました。幸いなことにトラブルとは無縁で、後半は特にGTクラスの車両をパスする際には注意を払いました。タイヤのでグレーションは思ったほどではなかったのですが、それでもダブルスティントでは大きな負担になりました。しかし919ハイブリッドは間違いなく進歩しています」

    ティモ・ベルンハルト (カーナンバー20)
    「トラブル無くダブルスティントを終えました。しかし早い段階でタイヤ交換を行いライバルたちと争うことがなかったため、レース中のリズムを失ったのも事実です。タイヤマネージメントには手こずりましたが、2度目の表彰台を獲得しました。これ以上、何を望むことがあるのでしょうか?メカニックとエンジニアに感謝しています」。

    ブレンドン・ハートレー(カーナンバー20)
    「レースを楽しむことができました。ポルシェのワークスドライバーとして2度目のポディウムは素晴らしい経験となりました。スタート直後のスローパンクチャーにも関わらず、チームはレース中ほとんどをダブルスティントでこなしました。チームメイトのマークとティモを誇りに思います。我々ドライバーはチームとともに急激に成長できました。このままで行けば初勝利にも近づけるでしょう。クルマも素晴らしく、ここでは大きく2歩前進したと言ってよいと思います」

    マーク・ウェバー (カーナンバー20)
    「良いスタートでトヨタにプレッシャーを掛けることができました。しかし左リヤがパンクし、優勝のチャンスが遠のいたのです。交換したタイヤでダブルスティントを走行しましたが、このピットストップでタイムを失いました。ティモとブレンドンの素晴らしいドライビングで3位を獲得することが出来ました」

  • トヨタ、ホームコースでポールポジション獲得 (WEC第5戦富士)

    トヨタ、ホームコースでポールポジション獲得 (WEC第5戦富士)

    富士スピードウェイで開催されているFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦富士6時間耐久レースは、10月11日(土)に予選を行い、トヨタ・レーシングが今季第3戦より3戦連続、“ホーム”富士では2年ぶりとなるポールポジションを獲得した。

    アンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミの駆るTS040 HYBRID #8が予選最後のアタックで2番手に0.043秒差の差をつけてポールポジションを獲得。リードしているドライバーズ選手権で、ボーナスポイントを得て2位との差を12ポイントへと広げた。

    また、2位につけるマニュファクチャラーズポイントでも、首位アウディとの差を17ポイントへと縮め、明日のシリーズ第5戦決勝に臨むこととなった。

    過去2年の富士6時間耐久レースを制しているTS040 HYBRID #7は、アレックス・ブルツと中嶋一貴が予選アタックを担当。4番手グリッドを獲得し、ステファン・サラザンを加えた3人で、明日の決勝で3連覇を目指す。

    WECの予選は、2名のドライバーが最低2回のアタックラップをこなし、それぞれ2人のベスト2周のタイム、計4周の平均タイムで決勝レースのグリッドを決定する。

    #7のブルツと#8のデビッドソンは、コース上の混雑を避けるため、予選でのコースインを遅らせた。この決断が功を奏し、2台はトップ争いを展開。#8のデビッドソンはこのセッションでの最速ラップを刻んだ。

    その後、#8はデビッドソンからブエミへ、#7はブルツから中嶋へとドライバーチェンジ。しかし、7分半ほどを残して赤旗によりセッションは中断。アタック途中だった中嶋とブエミはこれ以上のタイムアップを果たせなかった。

    セッション再開後、コース状況の改善を待つライバルの4台がピットで待機する中、トヨタ・レーシングの2台のTS040 HYBRIDはコースへ復帰しアタックを再開した。この挑戦は報われ、ブエミは最後のラップでタイムを更新。トヨタ・レーシングにとっては2014年シーズン5戦目にして4度目、3戦連続のポールポジションを獲得した。

    チームは午前中の1時間の練習走行で、予選及びレースへ向けたセットアップの最終調整を行った。この練習走行で#8のデビッドソンが最速ラップを記録、#7はサラザンが4番手タイムをマークしていた。

    明日12日(日)の決勝レースは、午前11時に6時間の長い戦いへのスタートが切られる。

    TS040 HYBRID #7:
    (アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/中嶋一貴)
    公式練習3回目: 4番手(1分27秒980) 27周
    予選:  4番手(平均1分27秒437)

    アレックス・ブルツ:
    TS040 HYBRID #8がポールポジションを獲得出来て嬉しい。我々のTS040 HYBRID #7は今週末セッティングで苦労していて、#8とのギャップを縮めることが出来なかった。我々にとっては少しがっかりだが、問題ない。レースは6時間あるし、これからだ。レースでは良い結果を残せると思う。

    中嶋一貴:
    まずはチームにおめでとうと言いたい。特にこのようなドラマチックな展開でのポールポジション獲得は素晴らしい。#7は少し苦労しているが、レースでは強いことを確信しているし、ライバル勢と比べても悪くない。6時間レースなので、勝利を目指しチャレンジする。

    TS040 HYBRID #8:
    (アンソニー・デビッドソン/セバスチャン・ブエミ)
    公式練習3回目: 1番手(1分27秒033) 28周
    予選:  1番手(平均1分26秒886)

    アンソニー・デビッドソン:
    トヨタにとってのホームレースでポールポジションを獲得出来るとは、夢のような予選だった。予選では何が起こるかわからないが、我々には速さがあったので心配はしていなかった。私の2度目のアタックはもっと速いはずだったが、ターン15のコース上に土が出ていて、少しタイムが伸びなかった。それでも何とかなると思っていた。とにかく努力の結果が報われたと言うことだ。チームのメンバー、トヨタの人々の応援がなければ獲れなかったポールポジションだ。

    セバスチャン・ブエミ:
    最後の最後に、こんな僅差でポールポジションを獲得出来、最高の予選だった。前戦オースティンのようにある程度の差をつけてポールポジションを獲得するのも素晴らしいことだが、ハードなバトルの末に勝ち取ったポールポジションは格別だ。アンソニーのアタック1周目を見た限りでは、楽な展開になるかと思ったが、実際にはそうはならなかった。タイヤを温めるのに若干苦戦し、グリップが低いままに1周目のアタックをせざるを得ず、その後赤旗が出てしまった。ピットレーンで待機している間にもタイヤは更に冷えてしまった。しかし、最後のラップまでに温度を上げることが出来、タイムを更新出来た。

  • トヨタ、WEC富士6時間耐久レースで3連覇を目指す

    トヨタ、WEC富士6時間耐久レースで3連覇を目指す

    トヨタは、今週末富士スピードウェイで開催されるFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦富士6時間耐久レースに2台のTS040 HYBRIDで参戦するが、#8のドライバーとしてWEC前半戦に出場してきたニコラス・ラピエールは、都合により今大会を欠場することとなった。

    今回のWEC第5戦については、ニコラス・ラピエールに代えて別のドライバーを起用することは無く、#8はアンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミの2人で6時間を戦う。

    2人は全8戦中4戦終了時点で、11点差で首位につけるドライバーズ選手権でのリードを守るべく富士6時間耐久レースに臨むこととなる。

    TS040 HYBRID #7は中嶋一貴がチームに復帰。アメリカ・オースティンで行われた第4戦は、日本国内のレースとの日程都合上参加を見合わせた中嶋一貴だが、富士では昨年、一昨年の優勝時のパートナーでもあるアレックス・ブルツと、今年からチームを組んだステファン・サラザンと共にTS040 HYBRID #7のステアリングを握る。

    WECはシーズン前半4戦を終えたが、TS040 HYBRIDは4輪で駆動される1000馬力のパフォーマンスを十分に発揮し、全てのレースで勝利を争い、3回のポールポジションと2回の優勝を飾っている。

    WEC第5戦となる富士6時間耐久レースを前に、トヨタ・レーシングはマニュファクチャラーズ選手権で18ポイント差の2位につけている。

    トヨタ・レーシングは過去2年のWEC富士戦を制しているが、昨年のレースは台風接近の影響による大雨に祟られ、セーフティカー先導の下、僅か16周を周回したのみでレースは赤旗中断、終了となった。

    富士スピードウェイでのレースは、トヨタ・レーシングにとってまさしくホームレース。それは日本開催というだけでなく、TS040 HYBRIDの心臓部とも言える、トヨタ・ハイブリッド・システム・レーシング(THS-R)が開発された東富士研究所がサーキットから僅か20kmの場所にあるからだ。

    前戦第4戦では、序盤にレースを支配しながらも、突然の豪雨による混乱の中で順位を落とし、#8が3位、#7が6位に終わった。その雪辱を果たし表彰台の中央に立つことこそが、富士6時間耐久レースにおけるトヨタ・レーシングの最大の目標だ。

    週末のスケジュールは、10日(金)に午前11時と午後3時30分から2回にわたり90分の公式練習。11日(土)は公式練習第3回目が午前9時30分から1時間行われ、午後1時55分から25分間、LMPクラスの予選が行われる。6時間の決勝レースは12日(日)午前11時にスタートが切られる。

    木下美明 チーム代表:
    「富士に戻り、日本のファンの前でレースが出来るのはいつでも嬉しいことだ。今年は、富士での連勝記録を更新するというだけでなく、素晴らしいレースをファンに見せたいと思っている。去年は豪雨のために、我々がいつも繰り広げているエキサイティングなバトルを見せることが出来ず残念だった。しかし、そんな中でもファンの皆さんは本当に熱い応援をしてくれた。今年こそは天候に恵まれ、応援に応えるべく素晴らしいレースをお見せしたい。前戦が無念の結果に終わってしまっただけに、勝利への意欲は究極に高まっており、この雪辱を果たすのに富士は最高の場所だ」

    アレックス・ブルツ (TS040 HYBRID #7):
    「富士は我々のホームレースであり、非常にエキサイティングで好きなコースだ。中嶋一貴という、富士用の秘密兵器もあるし。コースは我々の4輪駆動ハイブリッドシステムと空力にはすごく合っていると思う。日本も、日本の文化も大好きなので、このレースは本当に楽しみにしていた。レースに向けて100%集中しており、第4戦での悔しさも踏まえて更に戦闘力を上げるために全力でプッシュしなければならないことも分かっている。あとはそれを成し遂げるだけだ」

    ステファン・サラザン (TS040 HYBRID #7):
    「富士は素晴らしいところで、大好きだ。雰囲気も良いし、トヨタドライバーとしてすごく応援してもらっていることがわかる。大勢のファンがサーキットに来てくれて、熱心にレースを観戦してくれるのを目の当たりにするのは格別だ。コースも好きだ。長い歴史を持ち、伝統的な耐久レースが行われて来たコースであり、タイプの異なるコーナーが組み合わされた、変化に富んだレイアウトを持っている。我々のTS030 HYBRIDは昨年本当に速かったし、今年も同様だと信じている」

    中嶋一貴 (TS040 HYBRID #7):
    「オースティンでの第4戦を欠場したので、TS040 HYBRIDに再び乗れるのは嬉しい。チームと一緒にいたわけではないが、前戦での出来事に対するフラストレーションは共有しており、我々は皆、日本でこの埋め合わせをしようと心に決めている。私はSUPER GTやスーパーフォーミュラでの経験から、富士のコースは熟知しているし、大好きなコースの一つだ。今年、ここでは既にスーパーフォーミュラで優勝しているし、もちろん過去2年のWECでも勝っている。この週末には、またあの勝利に酔う感覚を味わいたいし、我々にはそれを成しうるTS040 HYBRIDがある」

    アンソニー・デビッドソン (TS040 HYBRID #8):
    「いつも日本に来るのが楽しみだ。この国と、その文化と、もちろん人々が大好きだ。特に今回は、さらに競争力のあるTS040 HYBRIDを持ち込めるので、富士はとても楽しみだ。昨年は悪天候でファンの皆さんには本当に申し訳なかったが、観客は本当に熱心で、すごく応援してもらっていることを感じた。今年は良いレースが出来ることを望みたい。前戦オースティンでは勝てたはずなので、あの悔しい思いがトヨタのホームコースである富士で再び勝つための励みになっている」

    セバスチャン・ブエミ (TS040 HYBRID #8):
    「我々のホームレースである富士に、また帰って来ることが出来てとても嬉しい。以前にトヨタが経験したかは知らないが、ドライバー選手権ポイントをリードして日本に向かうのは格別だ。富士は素晴らしいコースだが、何にも増してその雰囲気がとにかく素晴らしい。私は昨年よりも良い天気に恵まれることを切に願い、また勝てると確信している。我々には強力なTS040 HYBRIDとチームがあり、勝つために戦える自信がある。前戦が残念なレースだっただけに、絶対に富士で最高の結果を出したい」

    富士スピードウェイでのトヨタ・レーシングの戦績
    2012年 #7:予選1番手、決勝1位
    2013年 #7:予選3番手、決勝1位 #8:予選2番手、決勝27位

  • トヨタ、8号車がポールポジション獲得 (WEC第4戦)

    トヨタ、8号車がポールポジション獲得 (WEC第4戦)

    トヨタは、米国テキサス州オースティンで開催されている、FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦サーキット・オブ・ジ・アメリカズ6時間レースの予選でポールポジションを獲得。シリーズポイントを1点追加し、ドライバーズ及びマニュファクチャラーズランキングでのライバルとの差を更に広げることとなった。

    アンソニー・デビッドソンとニコラス・ラピエール、セバスチャン・ブエミの3名が駆るTS040 HYBRID #8は、デビッドソンとブエミが予選アタックを担当。ライバルに1秒以上の大差をつけてポールポジションを獲得。ポールポジション獲得によるボーナスポイントを得たことで、ドライバーズ選手権での2位との差を21ポイントとした。

    トヨタ・レーシングにとっては今季4戦目にして3回目のポールポジション。マニュファクチャラーズランキングでのポイント差も2点へと広がった。

    今大会、トヨタ・レーシングのレースドライバーとしてデビューしたマイク・コンウェイはステファン・サラザンと共に予選アタックを担当。アレックス・ブルツを加えた3名が決勝を戦うTS040 HYBRID #7は、僅差での5番手グリッドとなった。

    WECの予選フォーマットは2人のドライバーが最低2周のアタックを行い、合計4周の平均タイムによって決勝のスターティンググリッドが決定される。

    予選前に降った雨により、コースの一部が濡れた状態で25分間の予選セッションが開始された。TS040 HYBRID #8は3分ほどピットで待機後、他車のラップタイムから路面が乾き始めているのを確認し、コースイン。

    第11コーナーでまだ濡れた部分が残っていたにもかかわらず、デビッドソンはトップタイムをマーク。TS040 HYBRID #7はサラザンがセッション開始と共にコースインし、着実なラップタイムを刻んだ。

    TS040 HYBRID #7はコンウェイ、#8はブエミへとドライバーを交代し、共に1周ずつのアタックを終えたところで赤旗が出され、セッションは中断。

    残り4分でセッションが再開されると、2台のTS040 HYBRIDはポールポジション獲得へ向け、最後のアタックを開始。ブエミは再び好タイムを叩き出し、2人の4周平均タイムで、2位に1.190秒もの大差をつけてポールポジションを獲得した。

    コンウェイも初めての予選アタックながら好走を見せ、TS040 HYBRID #7は平均で5番手タイム。しかしながら、2位から5位までの4台は0.1秒以内という僅差での争いとなった。

    TS040 HYBRID #7:
    (アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ)
    公式練習3回目: 5番手(1分51秒506)23周
    予選: 5番手(平均1分50秒363)

    ステファン・サラザン:
    チームにとって良い予選だった。TS040 HYBRID #8がポールポジションを獲得出来たことは素晴らしいし、我々の#7も2番手とはとても僅差だ。明日は非常に長いレースで多くのバトルを繰り広げることになるだろう。予選では、我々がコースインした時にはまだ路面が濡れており、タイミングが早すぎた。多分少し待つべきだったのだろう。TS040 HYBRIDは非常に好調で、決勝レースに向けてもバランスは良い。車両の感触がいいので、自信はある。明日はどうなるか楽しみだ。

    マイク・コンウェイ:
    問題ないセッションだった。1周目は若干のミスを犯してしまい、アタックを諦めざるを得なかった。2回目のアタックでは良い走りが出来たが、その後赤旗が出されてしまったのが残念だった。そのまま続いていれば良いアタックが出来たと思うが、中断からの再開後は同じように走ることは出来なかった。少し残念だが、決勝レースは長い。#8がポールポジションを獲得したことを祝福したい。チームにとって良い一日になった。

    TS040 HYBRID #8:
    (アンソニー・デビッドソン/ニコラス・ラピエール/セバスチャン・ブエミ)
    公式練習3回目: 3番手(1分50秒677)26周
    予選: 1番手(平均1分49秒093)

    アンソニー・デビッドソン:
    今シーズン初めてポールポジションを獲得することが出来て最高の気分だ。それもセバスチャンと私が初めてタイムを分かち合った。TS040 HYBRIDの本当の速さを証明出来た結果だ。ル・マンの後、長いインターバルがあったが、速さは失っていなかった。明日のレースはまた別物だが、今はポールポジション獲得を喜びたい。すべてが予想通りに運んだ。コンディションは変化したが、チームは見事に対応してくれた。チームスタッフ全員を誇りに思う。

    セバスチャン・ブエミ:
    ポールポジションを獲得出来て非常に嬉しい。TS040 HYBRIDは最高の状態で、タイヤの劣化も最小限だった。公式練習走行結果で1秒以上離されていたので、正直言ってポールポジションは期待していなかった。それだけに喜びもひとしおで、明日が楽しみだ。十分にトップ争いの出来るTS040 HYBRIDがあるのだから、あとは万全の準備を怠らないだけだ。

  • トヨタ、WEC第4戦の公式練習初日を順調にこなす

    トヨタ、WEC第4戦の公式練習初日を順調にこなす

    FIA世界耐久選手権(WEC)の全8戦中第4戦となるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ6時間レースが開幕。ポイントリーダーであるトヨタ・レーシングも公式練習初日でサーキットでの走行を再開した。

    第3戦ル・マン24時間レースから3ヶ月ぶりに、90分ずつ2回に分けて行われる公式練習走行で、2台のTS040 HYBRIDは、四輪駆動・1000馬力の性能を発揮することとなった。

    マイク・コンウェイにとってはトヨタ・レーシングで初めての公式練習セッションに、アレックス・ブルツ、ステファン・サラザンと共にTS040 HYBRID #7のドライバーとして参加。コンウェイは公式練習1回目のセッション終盤に、初めてのラップを刻んだ。

    アンソニー・デビッドソン、ニコラス・ラピエール、ステファン・サラザンの駆るTS040 HYBRID #8は、ドライバーズ選手権で20ポイント差の首位につけており、そのポジションを守ると共に、アウディに対し1ポイント差での首位につけるチーム選手権でも、その差を広げるべく、今大会に挑む。

    今シーズン残りの5戦は、ル・マン・サーキットに比べると狭く、テクニカルなコースが続く。このため、TS040 HYBRIDはハイダウンフォース仕様で臨む。このハイダウンフォース仕様は、先月フランスのマニクール・サーキットで2日間のテストを行っている。

    今大会の初日におけるチームの優先事項は、車両パッケージを1周5.516kmのサーキット・オブ・ジ・アメリカズに適応させることであり、2台のTS040 HYBRIDはそれぞれ4番手、5番手で多忙なセッションを終了した。

    昨年のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ6時間レースには、トヨタ・レーシングはTS030 HYBRID #8が1台体制で参戦。首位争いを繰り広げ、2位でフィニッシュした。今年の決勝レースはスタート時間が夕刻からのナイトレースとされたが、今日の公式練習1回目はまだ暑い日中から実施された。

    気温32度という暑さは、ドライバーだけでなく車両にとっても試練となる。しかしながら、公式練習2回目のセッションは全く異なるチャレンジとなった。サーキットはセッション開始直前から激しい雷雨に見舞われ、予定よりも1時間遅れて開始された。

    ナイトレースにおいては、全てのドライバーが決勝までに最低3周の夜間走行を行う必要があり、公式練習2回目セッションがその唯一の機会となった。このため、トヨタ・レーシングの6人のドライバーは困難なコンディションの中で勇敢な走りを見せ、迅速にこの条件をクリアした。

    2台のTS040 HYBRIDはその後も走行を続け、雨に見舞われた際のコースコンディションの変化について、有意義なデータを得た。そして、デビッドソンはセッションの終了間際にトップタイムをマークした。

    明日19日(金)は午前10時20分(日本時間翌20日午前0時20分)から最後の1時間の公式練習走行を行い、LMPクラスの予選は午後6時35分(同午前8時35分)から開始される。決勝日の20日(土)は午後5時(同午前7時)に午後11時まで行われる6時間レースのスタートが切られる。

    TS040 HYBRID #7:
    (アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/マイク・コンウェイ)
    公式練習1回目: 4番手(1分52秒405) 36周
    公式練習2回目: 3番手(2分04秒419) 28周

    アレックス・ブルツ:
    このコースを走ったのは初めてだ。コース建設の時にシミュレーターで手伝いをしたが、それは数年も前のこと。実際に走ってみると気持ちが良い、非常に走り甲斐のあるコースだが、セットアップでは多くの妥協をしなくてはならない。データを解析し、検討を重ねると、我々が進む方向が見えて来ると思う。エンジニアと意見交換をし、正しいセットアップを見つけるために努力しなければならない。

    ステファン・サラザン:
    ドライコンディションの公式練習1回目は、TS040 HYBRIDの調子は最高だった。しかし、公式練習2回目が始まる寸前に激しい雨に見舞われた。豪雨の中を運転するのは結構面白いが、バランスはウエットの方がドライコンディションより良かった。もちろん限界で走ったり、リスクを追ってまでは走らなかったが、興味あるセッションだった。さて、明日はどうなるだろうか。

    マイク・コンウェイ:
    TS040 HYBRIDで初めての公式練習を走るのは気持ちが良かった。ドライビング・リズムは掴めたと思う。それほど多くの周回は走らなかったが、公式練習2回目の終盤に向けて調子が上がって来て、競争力のあるタイムも刻めたと思う。良い感じだが、明日はもっと走り込みたい。まだコースを学んでいるところもあり、予選、決勝で上位につけるためにプッシュし続けるつもりだ。

    TS040 HYBRID #8:
    (アンソニー・デビッドソン/ニコラス・ラピエール/セバスチャン・ブエミ)
    公式練習1回目: 5番手(1分52秒657) 31周
    公式練習2回目: 1番手(2分01秒333) 29周

    アンソニー・デビッドソン:
    基本的には順調な初日だった。我々は、今週末に直面するかもしれないすべての気象条件を体験した。ドライコンディションよりもウェットコンディションを多く走れたことも含め、両方のコンディションを走れたことは良かった。公式練習初日を一生懸命走ったが、ドライコンディションにならないと、本当の意味でのスピードとバランスについて判断するのは難しい。 我々は、行くべき方向は分かっているので、明日に期待している。

    ニコラス・ラピエール:
    良い初日だった。天候は誰にとっても同じで問題は無い。私にとっては初めてのサーキットであり、多くのアップダウンと、高速コーナーがあるので、学ぶことは、そう簡単ではない。しかし、ここに来る前に、多くのオンボードカメラを見て、コースレイアウトを学んで準備をして来た。TS040 HYBRIDは、素晴らしく、ドライコンディションもウェットコンディションも良い兆候を示しているのが幸いだ。

    セバスチャン・ブエミ:
    ここ数日天候が荒れていたようだが、今日も非常に変わりやすい天候だった。そんな中でひとつ言えることは、公式練習1回目のタイムこそ満足のいくものではなかったけれど、我々はウエットでもドライでもかなり調子が良かったということだ。明日は万全を期し、最高のセットアップに務める。それが出来れば良い結果に結びつくはずだ。きっと良い週末になる事と信じている。

  • トヨタ、ル・マン24時間レースに向け好発進

    トヨタ、ル・マン24時間レースに向け好発進

    6月1日(日)フランスのサルト・サーキットでル・マン24時間レースの公式テストが実施された。トヨタはFIA世界耐久選手権(WEC)のポイントリーダーとして、2014年ル・マン24時間レースに挑む。

    2台のTS040 HYBRIDはこの日の午後に叩き出したベストラップでトップ2を独占してテストを終えたが、それ以上に重要なのは、トラブルフリーで順調にテストを完了したことである。2台はこの日、それぞれ88周、約1200kmを走破した。

    ル・マンはWEC第3戦となるが、トヨタ・レーシングは開幕戦のシルバーストン、第2戦のスパ・フランコルシャンと連勝している。この連勝により、トヨタはマニュファクチャラーズポイントで、ライバルのアウディやポルシェに対し、48ポイントリードの首位につけている。

    今日の公式テストデーは、4時間のセッションが2回実施された。チームにとってはレースウィークの公式練習走行が始まる6月11日(水)以前において、初めてかつ唯一、実際のコースで走行テストが出来るチャンスである。

    TS040 HYBRIDにとってもル・マン初走行となり、アレックス・ブルツ、ステファン・サラザン、中嶋一貴の#7と、アンソニー・デビッドソン、ニコラス・ラピエール、セバスチャン・ブエミの#8の2台は、盛り沢山のメニューをこなした。

    レースウィークまで2週間を切っての、わずか8時間の走行とあって、空力やメカニカル・セットアップの評価、ミシュランのスリックタイヤの作動領域など、チームは一時も無駄にすることなくテストを行った。

    2014年仕様として改良されたトヨタ・ハイブリッドシステム・レーシング(THS-R)も同様に、4輪駆動で伝えられる480馬力のハイブリッドブーストを、最も効率的に使えるようにするための分析が行われた。

    ハイブリッドシステムは、高熱効率エンジンと組み合わされて合計1000馬力という高出力に貢献するだけでなく、同時に2013年仕様よりも25%の低燃費化を達成している。

    レースウィークは6月11日(水)の16:00(日本時間23:00)からの4時間にわたる練習走行に始まり、22:00(同翌5:00)からは2時間の予選セッションが行われる。予選は、更に12日(木)の19:00(同翌2:00)と22:00(同翌5:00)からの2回にわたる2時間のセッションまで続き、決勝のスターティングリッドを決定。14日(土)は9:00(同16:00)からの45分間のウォームアップ走行の後、15:00(同22:00)に24時間レースのスタートが切られる。

    木下美明 (チーム代表)
    「今日、サルト・サーキットで初めてTS040 HYBRIDを走らせ、良いパフォーマンスが発揮出来たのは、本当に嬉しい。しかし、これはあくまでもテストであり、これが全てではないが、レース本番に向けて大変良い試験になった。昨年から準備し、今日はチームも良い仕事を行った結果だと思う。この気持ちを24時間レースの最後まで、持ち続けたい。レーススタートが待ち遠しい」

    TS040 HYBRID #7
    (アレックス・ブルツ/ステファン・サラザン/中嶋一貴)
    午前のセッション:4番手(3分26秒371)44周
    午後のセッション:2番手(3分23秒156)44周

    アレックス・ブルツ
    「ここル・マンに戻って来て、このコースでTS040 HYBRIDを初めて走らせられて良かった。今日は非常に興味深い一日だった。全てがこのレースでの3メーカーによる素晴らしい戦いのためのように思う。ありがたいことに今や我々は、レースの勝敗を決しうるような細部の煮詰めをするところまで来ており、非常に実りある一日だった」

    ステファン・サラザン
    「今日やり遂げたことには満足している。我々はレース用のセットアップをし、午後にはそのいくつかを変更した。上手くいかなかったものもあるが、今のうちに発覚して良かったと思っている。クルマの状態は良く、本当に速いしバランスの良さが気に入っている。去年に比べれば大きな前進と言えるのが4輪駆動の素晴らしさとハイブリッドがとてもパワフルなことだ。あらゆる点で改良をしており、運転はとてもエキサイティングだ」

    中嶋一貴
    「我々にとってポジティブな1日だった。午前中いきなり良いペースで走れ、クルマにはとても満足している。午後には少しだけ些細な変更を試みたが、いくつか有意義な結果は得られた。全ての変更が正しかったわけではないが、少なくともデータが取れて、レースウィークに向けての良い準備が出来たと思っている。今は非常に心強いスピードを手にしていると言っていい。我々はレースウィークに向け非常に士気が高まっているが、レースが終わるまではまだ長い時間がある」

    TS040 HYBRID #8
    (アンソニー・デビッドソン/ニコラス・ラピエール/セバスチャン・ブエミ)
    午前のセッション:2番手(3分25秒881)42周
    午後のセッション:1番手(3分23秒014)46周

    アンソニー・デビッドソン
    「毎年あっという間に感じるが、1年ぶりのル・マンでのレースカードライブを楽しむことが出来た。TS040 HYBRIDは一日を通して強力で、バランスも良く感じた。プログラムを遂行し、多くの成果を得た。今朝の走り始めから車両のバランスは良く、細かい部分の作業まで進めることが出来た。全体的に見て順調な一日であり、レースウィークにまたここに戻ってくるのが待ち遠しい」

    ニコラス・ラピエール
    「ル・マンに戻ってくることが出来て喜んでいる。本当にファンタスティックなコースだ。今日は昨年と比較して、いくつかのコーナーに新設された縁石に関する小さな変更について経験を積むことが出来た。建設的な一日となり、満足している。全てが順調にいき、様々なセットアップやタイヤを試し、ハイブリッドのセッティング作業も行った。上手く行っていると思うし、3人のドライバーは全員TS040 HYBRID #8に満足している。安定しており、かつ非常に速い」

    セバスチャン・ブエミ
    「多くの距離を走破し、良い仕事が出来た。それlこそが今回のテストの目標であり、成果に満足している。ル・マンにいられることは本当にファンタスティックで、来週再び戻ってくるのを楽しみにしている。TS040 HYBRIDは好感触で、望んでいたテストを全てこなせた。我々はセットアップに有用ないくつかの指標を見出した。我々にはまだ学ぶべきことが多くあり、これから得られたデータの全てを分析する必要がある。我々のパッケージから可能な限りのパフォーマンスを発揮させるべく試み、レースウィークには最高のポジションにつけられるようにしたい」

  • ポルシェ919ハイブリッド:パワーユニット解説

    ポルシェ919ハイブリッド:パワーユニット解説

    ポルシェは、ポルシェ919ハイブリッドによりシルバーストンで開催されたFIA世界耐久選手権(WEC)の開幕戦で表彰台に登り、スパ・フランコルシャンではポールポジションを獲得して、スポーツカーレースのトップカテゴリーへ見事な復帰を果たした。

    新たに結成されたポルシェ ワークスチームにとっては幸先の良いスタートとなったが、ポルシェ919ハイブリッドの大胆なイノベーションを考えると、決して予測可能な結果ではなかった。

    この結果はWECとル・マンにおける新時代の到来を告げている。ポルシェ919ハイブリッドは、未来の市販車のための技術プラットフォームであり、実証試験でもある。「WECのスターティンググリッドに並ぶ他のプロトタイプには、ポルシェ919ハイブリッドほど効率的で複雑なハイブリッドシステムを備えた車はない」とポルシェは自信をみせる。

    ポルシェは、WECのトップクラスへの復帰によって重要な課題に直面している。第一に、919ハイブリッドは、スポーツカーメーカーがかつて製造した中でも最も複雑なレーシングカーであるということ。第二に、ポルシェはライバル達とは異なり、比較するための前年度の経験やデータを持ち合わせていないということだった。そして第三に、新設のLMP1レーシングチーム内において、ポルシェは自社のエンジニアでプロトタイプを開発したということ。それは、他の企業から既存のコンポーネントを購入するより遥かに困難なことだが、長期的には、より将来性のある道筋といえる。このような試みにおいて、LMP1テクニカルディレクターのアレクサンダー・ヒッツィンガーと彼のチームは、将来の市販車カスタマーにメリットをもたらすソリューションを探し出すというポルシェ伝統の経路を辿ることになる。

    最適なエネルギー変換効率(供給されるエネルギーと使用するエネルギーの間の最良の比率)の追求が、エアロダイナミクスや重量が最適化された各コンポーネントなどポルシェ919ハイブリッドのあらゆる側面に大きな影響を与えている。高度で先進性溢れるエネルギー回生システムとドライブシステムは、2つの際立った特徴となっている。WECの画期的な2014年シーズンの新しいレギュレーションは、ポルシェのスペシャリストたちに大きな裁量を与えた。周回ごとに使用可能な燃料の量が、車の性能の主な制限要因になっている。このアプローチでは、エネルギー効率が主要な要因となる。一方、ハイブリッドシステムも、LMP1-Hカテゴリーから出場するワークスカーの必要条件となる。レギュレーションの制定者は、エンジンの気筒数と最大排気量の選択とともに、回生エネルギーの貯蔵のタイプと方法をメーカーの裁量に任せた。

    ポルシェ919ハイブリッドは24時間に4,500kmを超えるエネルギーを発生
    ル・マンにおいては、周回ごとにドライバーが使用できるブーストとして供給される電気エネルギーの総量は制限される。規定では、2〜8メガジュール(MJ)までのエネルギーレベルに応じて4つのカテゴリーに分かれている。ポルシェは、ポルシェ919ハイブリッドを6メガジュールのカテゴリーで登録した。つまりこのLMP1プロトタイプは、サルトサーキットの13,629kmのロングコースにおいて、厳密に1.67kWhのエネルギーを使用できるということになる。それは実質的にどういうことを表すのだろうか?

    2013年のル・マンの覇者は348周を走破した。同じ距離から算出すると、ニューポルシェ919ハイブリッドは581.2 kWhを発生し、使用する。それは、60Wの電球を9,687時間という莫大な時間点灯させる電力に相当する。言い換えると、LMP1ポルシェ プロトタイプがル・マンのレース中に回生するエネルギーによって、フォルクスワーゲンの新しいe-Golfなど、現在販売されているコンパクトクラスの最も効率的な電気自動車で、4,576kmを走行できることになる。それは米国の東海岸から西海岸、すなわちニューヨークからロサンゼルスまでを横断できる距離にあたる。

    熱エネルギー回生における新たなベンチマークを設定
    「フロントアクスルにおける制動時の運動エネルギーの回生は、ブレーキング時にダイナミックに前方に移動する軸荷重によって大きなポテンシャルを備えるので、これを利用するシステムが論理的な展開といえました。私達は、このソリューションの選択によってリアアクスルへのKERSの適用を諦めました。自然吸気エンジンから始めるとKERSが唯一の選択肢になります。しかしターボチャージャーを使用することによって他の選択肢が生じました。私達が、ターボチャージャーによって排気ガスからエネルギーを引き出すことを選択した理由はそこにあります」とアレクサンダー・ヒッツィンガーは説明する。

    極めて革新的な排気ガスによる熱エネルギー回生を備えた、新しいル・マン・プロトタイプの複雑なハイブリッドシステムは、WECにおいては唯一ポルシェが採用している。このシステムでは、基本的にいわゆるウェイストゲートバルブの代わりに追加のタービンジェネレーターユニットを使用している。このバルブは通常、コンプレッサーの駆動に必要のない、排気ガスによる余分なエネルギーを大気中に逃す。ポルシェは、排気ガスによるこの過剰なエネルギーを利用している。すなわち、このエネルギーが、電気エネルギーを発生するジェネレーターを駆動する2つめのタービンを動かす。この新しいテクノロジーは、他のシステムでは常に失われていたエネルギーを回生する。ポルシェ919ハイブリッドは、このような排気ガスからのエネルギーの使用により、同クラスの車両において唯一、制動時だけでなく加速時にもエネルギーを回生する車となっている。両方のシステムが、電気エネルギーに変換された運動エネルギーと熱エネルギーを、水冷式リチウムイオンバッテリーに戻す。

    走行性能はそのままに、燃料消費量を30%削減
    電気エネルギーの貯蔵方法においてもポルシェは自らの方針に基づく独自の手法をとった。それは効果が少なくても簡単に利用できるシステムを採用する代わりに、将来性のあるテクノロジー、この場合は水冷式リチウムイオンバッテリーを使用すること。

    「ポルシェのエンジニアとの協力で開発されたこのノウハウは、未来のハイブリッド車にメリットを与えます」とヒッツィンガーは強調する。ヒッツィンガーは、フライホイールによる貯蔵とウルトラキャパシターとも呼ばれるスーパーキャパシターの研究も行ったが、リチウムイオンバッテリーが最高の解決策であることを見つけ出した。「しかしあくまで、高出力密度に高度な貯蔵容量を提供するために適切なセルテクノロジーが利用できる場合に限られます」と彼は付け加えている。ポルシェはこれを達成するために、パートナーのA123システムズによるバッテリーセルに信頼を置いている。

    ポルシェがエンジンのために採用したアプローチも同様に他に類がない。2リッターの排気量と直噴を備えた新開発のV型4気筒ターボエンジンは、ポルシェにとっては異型のシステムで、ダウンサイジングの先駆的な例となる。4気筒エンジンは、低重量なコンパクトサイズと構造的剛性および高出力の理想的な組み合わせ。ポルシェが選択した6-MJカテゴリーでは500PSを超えるガソエンエンジンには、ル・マンの1周に対してわずか4.78リッターの燃料消費しか許可されない。回生システムがパワフルになるほど燃料の燃焼は減少することになる。走行性能は同じにもかかわらず、エネルギーの許容量は昨年より30%減少している。

    ル・マン挑戦のための最先端テクノロジーソリューション
    FIA世界耐久選手権(WEC)の今年のカレンダーには、8つのレースが含まれる。イギリスのシルバーストンと「アルデンヌのジェットコースター」スパ・フランコルシャンの2つの6時間レースの後、待望の第3戦は、シーズンのハイライトであると同時に比類のない挑戦となる伝説のル・マン24時間。13.629kmのサルトサーキットの大半(9km)は、普段は通勤車や重量物運搬車も通行する、わだちの残る地方道を閉鎖して走る。長いストレートもル・マンの特徴。LMP1のワークスカーは、昼夜を問わず周回ごとに320km/hを超えることが数回におよび、2ヶ所のシケインでは、市街地での走行速度まで減速しなければならない。しかも周回の約70%でエンジンはフルスロットル。

    急ブレーキと長く続くパワフルな加速。ポルシェはこの特別な条件に合わせて、運動および熱エネルギー回生システムを備えた、パートタイム4WDのポルシェ919ハイブリッドを開発した。精巧なバランスのエアロダイナミクスも、ル・マンにおいてポルシェ919ハイブリッドの優位性を保つ上で決定的な役割を果たす。結果、発生するダウンフォースは、「ポルシェカーブ」などの高速コーナーで抜群のスピードをもたらす。これに対して可能な限り空気抵抗を減らすることにより、ロングストレートでは最高速度に達することができる。

    フランスのサルト県で行われるル・マン24時間の後、WECは3ヶ月のインターバルをおいてから、ヨーロッパを離れる。スケジュールには、米国(オースティン、9月20日)、日本(富士、10月12日)、中国(上海、11月2日)、バーレーン(サヒール、11月15日)、ブラジル(サンパウロ、11月30日)の5つの6時間レースが含まれる。

  • アウディ、徹底的に磨かれたエアロダイナミクスでル・マンに臨む

    アウディ、徹底的に磨かれたエアロダイナミクスでル・マンに臨む

    アウディ R18 e-tron クアトロ 2014年モデルは、アウディのプロトタイプカー史上、最高の燃費性能を誇っている。

    燃費とラップタイムの向上には、パワートレインだけではなく、優れたエアロダイナミクスが大きく貢献する。FIA世界耐久選手権(WEC)第2戦スパ・フランコルシャンでは、ル・マンのハイスピードレイアウト向けに最適化したエアロダイナミクスを持つ、別バージョンのアウディ R18 e-tron クアトロがデビューを飾った。

    レースマシンのエアロダイナミクス開発は、マシンの基本コンセプトと密接に関連するのが通例。アウディスポーツの2014年モデルのエアロダイナミクス開発は、2012年の夏に新型マシンのコンセプトが決定した時から始まった。

    アウディスポーツ エアロダイナミクス部門リーダーのヤン・モンショーは「最初に大まかなレイアウトを作ります。エンジンの基本コンセプト、ホイールベース、ラフデザインの3要素をキーとして、基本的なエアロダイナミクス形状を決定します。その後、コンピューターによる空力シミュレーション(CFD : Computational Fluid Dynamics)を活用しポテンシャルを分析します。その結果をもとに、作業に無駄が出ない様に少しずつ詳細を煮詰めました」と説明しています。コンピューターによるCFDは、マシンの設計データをもとにボディ表面の空力を算出します。開発の初期段階でCFDを活用することで、より多くのコストを必要とする風洞実験を省略することが出来ます」と説明する。

    アウディスポーツ技術開発部門リーダーのDr. マーティン・ミュルメイアーは「レギュレーションにより、これまで以上に高い燃費性能が必要となったため、空気抵抗とダウンフォースのベストバランスを探さなければなりませんでした。実走行テストの前に何度もシミュレーションを行い、必要なコーナリングスピードを支えるダウンフォースを発生させる形状を探しました。その一方で、ストレートでのトップスピード向上のために、空気抵抗は出来るだけ抑えなければなりません。2014年から始まったより厳しい燃費規制は、パワートレインだけでなく、エアロダイナミクス開発にも新しいチャレンジを生み出しました」と述べた。

    ル・マンは長いストレートと多くのハイスピードコーナーからなっており、他のサーキットとは次元の異なる高速領域で闘われる。昨年のレースで、アウディのアンドレ・ロッテラーが記録したファステストラップ(3分22.746秒)の平均速度は242km/hにも達している

    アウディはこの問題に対処するため、多くのダウンフォースが求められる他のWEC開催サーキット向けとは別に、空気抵抗を最小限に抑えたル・マン バージョンのボディを専用開発した。

    2つのバージョンは、一目見ただけで違いが明らかだが、スパ フランコルシャン大会で2台が並ぶことにより、違いがより一層明らかになった。

    フロント部分は、開口部が上部から内側に移されたフェンダーが特徴的。そしてリヤ部分はもっと顕著な違いが生まれている。ル・マン専用マシンのボディはリヤウイングと一体化され、全長がレギュレーションで認められる4,650mm最大長まで伸ばされている。これに比べ、通常モデルの全長は短め。テールパイプの形状も異なる。ル・マン専用モデルでは、センターフィンの左右に分かれたレイアウトから、ディフューザーの上部ボディへ変更されている。

    アウディは、新しい燃費規制に対応するためボディの空気抵抗を徹底的に低減するシミュレーションを繰り返した。しかし、それと同時にコーナリングスピード向上のためのダウンフォースも必要とされる。

    ル・マン専用モデル開発についてヤン・モンショーは「ボディのほぼ全ての部分で、通常モデルと対照的な違いが現れています。2014年からの燃費規制によって、空気抵抗低減の要求がより一層厳しさを増しました。我々は、今までにない厳しい状況の中、針に糸を通すかのようなわずかな可能性を探し当てました」と説明。

    5月3日のスパ・フランコルシャンで初めて、2種のボディが同じ環境で同時に走行した。ル・マンのデータ収集のためにエントリーしたアウディ R18 e-tron クアトロのゼッケン3号車は、フィリップ・アルバカーキーとマルコ・ボナノミのドライブによって、アウディスポーツが狙った効果が発揮されていることを確認した。それらの成果を踏まえ、アウディは6月に行われるル・マン24時間レースに磨き抜かれたエアロダイナミクスで臨む。