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  • メルセデスF1 ラッセルの意外な2ストップ戦略を解説「ルクレールと逆を選んだ」

    メルセデスF1 ラッセルの意外な2ストップ戦略を解説「ルクレールと逆を選んだ」

    メルセデスF1は、2026年F1スペインGPでジョージ・ラッセルに採用した意外な2ストップ戦略について、その狙いを明らかにした。ハードタイヤでスタートしながらVSC(バーチャル・セーフティカー)中にピットインしたのは、同じハードで前を走っていたシャルル・ルクレールと異なる戦略を取るためだった。

    オーバーテイクが極めて難しかったマドリンクでは、同程度のタイヤを履いたままルクレールの後方を走り続けても順位を上げる可能性は低かった。

    そこでメルセデスはラッセルをミディアムに交換し、その後再びハードへ戻す2ストップを選択。結果的にこの戦略はルクレールへのプレッシャーとなり、キミ・アントネッリの優勝にも間接的に貢献した。

    VSCはラッセルにとって「最悪のタイミング」
    ラッセルとルクレールはともにハードタイヤでF1スペインGPをスタートした。しかしVSCが導入されると、フェラーリはルクレールをコース上に残した一方、メルセデスはラッセルをピットへ呼び、ミディアムタイヤを装着した。

    ルクレールはそのまま首位を走り、45周目までピットストップを引き延ばした。対してラッセルはミディアムで約20周を走った後、28周目に再びピットインしてハードへ交換した。

    メルセデスF1の副チーム代表ブラッドリー・ロードは、VSCのタイミングそのものはラッセルにとって好都合ではなかったと説明した。

    「ジョージにとってVSCはまったく違う展開になった。彼はハードタイヤでスタートして長いスティントを走り、その後レース中に起こる何らかの出来事を利用するつもりだったから、最悪のタイミングでVSCが出たと言える」

    「彼は6番グリッドからハードタイヤでスタートし、1ストップで走る予定だった。VSCが出た時点で、ハードタイヤを履いているマシンの中ではフェラーリのルクレールに続く2台目だった。そのため、我々はジョージにルクレールと逆のことをさせた」

    同じ戦略ではルクレールを抜けないと判断
    メルセデスが戦略を変更した最大の理由は、マドリンクでのオーバーテイクの難しさだった。同じような使用歴のタイヤでルクレールの後ろを走り続ければ、そのまま順位が固定される可能性が高いと判断した。

    「なぜか。それをしなければ、彼はただルクレールの後ろについてフィニッシュまで走ることになったからだ」

    「アンダーカットできるチャンスは非常に、非常に限られていたし、同程度の使用歴のタイヤを履いたマシン同士では、オーバーテイクのチャンスは事実上なかった。そこでジョージにミディアムを履かせた」

    ただし、ミディアムでそのままチェッカーまで走り切ることは最初から想定していなかった。

    「そのミディアムが残り43周を持たないことは分かっていた。それでも違うことを試すことで、ジョージは約20周のスティントを走り、その後もう一度ハードに戻した。レースのできるだけ長い部分をハードで走りたかったからだ」

    「そこからジョージは本当に印象的なペースを発揮した」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    ラッセルの速さがルクレールのピットインを誘発
    新品タイヤを履いたラッセルのペースは、前方を走るルクレールに対してフェラーリが反応せざるを得ない状況を作り出した。

    「彼は十分に速く走っていたので、実際にはフェラーリが望んでいたよりも早くルクレールをピットに入れさせることができたと思う」

    「それによってルクレールをピットへ引き込み、前を走るキミにはクリーンエアが与えられた。同時にジョージも終盤、かなりデリケートだったソフトタイヤを履くルクレールにプレッシャーをかけることができた。そして最終的にはわずか0.7秒差でレースを終えた」

    ルクレールを予定より早くピットへ向かわせたことで、前方のアントネッリには自由に走れる状況が生まれた。メルセデスにとってラッセルの戦略は、自身の順位を上げるだけではなく、チームメイトのレース展開にも影響を与えるものとなった。

    ラッセル本人は「結局5位だったと思う」
    一方、ラッセル自身はレース後、戦略の違いが最終順位を大きく変えたとは考えていなかったという。

    「レース後、ジョージは非常に現実的だった。我々が何をしたかは、それほど重要ではなかったと思うと言っていた」

    「コース上に残していても、ピットストップさせていても、マドリンクではオーバーテイクがあれほど難しかったことを考えれば、どちらにしてもおそらく5位でフィニッシュしていただろう、と」

    結果としてラッセルは5位に終わったものの、メルセデスF1が選んだ2ストップは単純なタイヤ交換ではなく、ルクレールと同じ戦略から抜け出すための戦術的な判断だった。ラッセルの終盤のペースによってフェラーリに対応を迫り、アントネッリの前方を開ける効果も生み出したことで、チーム全体のレース展開に重要な役割を果たした。

  • メルセデスF1 11歳のイタリア人逸材ニッコロ・ペリコと育成契約

    メルセデスF1 11歳のイタリア人逸材ニッコロ・ペリコと育成契約

    メルセデスF1は、イタリア出身の11歳のカートドライバー、ニッコロ・ペリコをジュニアプログラムに迎え入れた。ペリコはすでに国内外のカートカテゴリーでタイトルを獲得しており、キミ・アントネッリをF1まで育て上げたメルセデスの育成システムで新たなキャリアをスタートさせる。

    2026年F1イタリアGPが行われたモンツァでは、メルセデスのチームカラーを身にまとったペリコがガレージを訪問。

    トト・ヴォルフ、シモーネ・レスタ、ブラッドリー・ロードらとともに過ごし、ヘッドセットを装着してエンジニアの無線に耳を傾ける姿も見られた。

    11歳ですでに国内外のタイトルを獲得
    ニッコロ・ペリコは2014年12月、イタリア・アルツァーノ・ロンバルドで生まれた。父親はラリードライバーとして活動してきたアレッサンドロ“アレックス”・ペリコで、幼い頃からモータースポーツに身近な環境で育った。

    ペリコはカートを始めてから早い段階で頭角を現した。2023年にはMini U10クラスのトロフェオ・デッレ・インドゥストリエを制覇。翌2024年には同カテゴリーのACIイタリア・カート選手権でチャンピオンに輝いた。

    2025年には活動の舞台をさらに広げ、ROKスーパーファイナルとChampions of the Future Academy Trophyで勝利を記録。イタリア国内だけでなく、国際舞台でも将来性を示す結果を残した。

    そして2026年には、WSKスーパーマスターシリーズのOK-NJクラスで5大会中4勝を挙げ、タイトルを獲得。現在はKart Republicからレースに参戦しており、メルセデスのサポートを受けながら国際ジュニアカテゴリーへのステップアップを進めている。

    メルセデス育成責任者「国際デビューは並外れていた」
    メルセデスのドライバー育成アドバイザーを務めるグウェン・ラグリューは、ペリコがMiniカテゴリーで見せてきた走りだけでなく、OK-NJへの移行後すぐに結果を残した点を高く評価している。

    「彼はMiniでの最初の数シーズンから非常に印象的だった。そして、国際舞台でのOK-NJデビューは並外れたものだった」

    ラグリューによれば、ペリコは次のステップとしてOKJカテゴリーへの昇格を予定しており、参戦時には同カテゴリーで最年少ドライバーになる見込みだという。メルセデスは目先の成績だけではなく、長期的な育成対象としてペリコに大きな可能性を見いだしている。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    アントネッリを育てたメルセデスの育成プログラム
    11歳のイタリア人ドライバーをメルセデスが早い段階から支援するという構図から、キミ・アントネッリとの比較は避けられない。

    アントネッリも幼少期からカートで実績を積み、メルセデスのジュニアプログラムによる長期的な支援を受けてフォーミュラカテゴリーへ進出。最終的にメルセデスのF1ドライバーへと昇格した。

    もっとも、ペリコはまだ11歳だ。現段階でF1への道筋を語るにはあまりにも早く、今後もカートやジュニアフォーミュラで多くのステップを踏む必要がある。

    それでも、MiniからOK-NJへとカテゴリーを上げてもすぐに結果を残し、メルセデスがこの年齢から育成プログラムに加えたことは、その評価の高さを物語っている。アントネッリに続くイタリアの新たな才能として、ニッコロ・ペリコの成長が長期的な注目を集めることになりそうだ。

  • メルセデスF1 ヴォルフは“迷信深い” アントネッリ50点リードにも慎重

    メルセデスF1 ヴォルフは“迷信深い” アントネッリ50点リードにも慎重

    メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、2026年F1世界選手権でランキング首位に立つアンドレア・キミ・アントネッリについて、現時点でタイトル最有力候補と位置づけるのは「まだ早すぎる」と慎重な姿勢を示した。

    アントネッリはシーズン前半に6勝を挙げ、ドライバーズ選手権でルイス・ハミルトンに50ポイント差をつけて首位に立っている。それでもヴォルフが警戒しているのが、残されたレース数の多さとメルセデスが抱える信頼性の問題だ。

    アントネッリが50ポイント差で首位
    2026年のアントネッリは、F1キャリアでいくつもの「初」を経験してきた。初ポールポジションを獲得し、中国GPではF1初勝利。その後も勝利を重ね、シーズン前半だけで6勝を記録した。

    現在、ランキング2位のハミルトンとの差は50ポイント。メルセデスのチームメイトであるジョージ・ラッセルは、そこからさらに9ポイント後方につけている。

    メルセデスのW17は今季ここまで総合的に最速と評価できるパッケージを備えてきた。一方、夏休み前にはフェラーリ勢やランド・ノリスも勝利を挙げ、直近5戦では5人の異なるウイナーが誕生。シーズン序盤と比べてトップ争いは混戦の様相を強めている。

    50ポイントというリードは、現在のポイント制度ではグランプリ2勝分に相当する。それでもヴォルフは、アントネッリをタイトル争いの明確な本命と呼ぶことを避けた。

    「そう言うにはまだ早すぎる」

    アントネッリがタイトル最有力候補と考えられるかを問われたヴォルフはそう答えた。

    「私は迷信深いんだ。たとえ50ポイントの差があったとしてもね。まだ非常に多くのレースが残っている。1回か2回リタイアするだけで、選手権の状況は大きく変わってしまう。それに、我々は信頼性の面で素晴らしかったわけではない」

    「だから、金曜日から日曜日まで、毎日すべてを最大限に生かし続けなければならない。そして最後に、それで十分だったという結果になればいい」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    最大の不安材料はパワーユニットの信頼性
    ヴォルフが慎重になる背景には、単なる警戒心だけでなく具体的なリスクがある。

    アントネッリとラッセルは今季、いずれもパワーユニット関連のトラブルによるリタイアを経験している。シーズン後半に向けて規定数を超えるパワーユニットコンポーネントが必要になれば、グリッド降格ペナルティを受ける可能性がある。

    メルセデスの副チーム代表ブラッドリー・ロードも、追加コンポーネントの投入によるグリッドペナルティについて、今季のどこかで「避けられない」との見方を示している。

    アントネッリが50ポイントのリードを持っていても、リタイアとグリッド降格が重なれば、その優位は急速に縮小する可能性がある。ヴォルフの発言は、タイトル争いを左右しかねないメルセデスの弱点を踏まえたものでもある。

    アップグレードとコスト上限のバランス
    さらにメルセデスは、W17の開発をどこまで継続するかという判断も迫られている。

    F1ではコスト上限の中でマシン開発を進める必要があり、シーズン中の追加支出は無制限ではない。アップグレードの投入時期や追加パーツにかかるコストを管理しながら、タイトル争いに必要なパフォーマンスを確保する必要がある。

    ヴォルフは、こうした要素がチーム運営に影響することを認めている。

    「すべてが影響してくる」

    「もちろんマレーシアに行くのは素晴らしいことだが、我々はチームとしてのコストも引き続き監視しなければならない」

    「これはマレーシアそのものに関係する話ではない。むしろ、いつアップグレードを投入できるかということだ。ただ、我々はアップグレードを投入していく」

    メルセデスにとってシーズン後半は、W17の速さを維持するだけでは十分ではない。信頼性を確保しながら、コスト上限の範囲内で開発を続け、パワーユニットのグリッドペナルティによる損失も最小限に抑える必要がある。

    6勝を挙げ、50ポイント差でランキング首位に立つアントネッリは数字上ではタイトル争いをリードしている。しかし、ヴォルフが「まだ早すぎる」と強調するように、メルセデスにとって最大の課題は、その優位をシーズン最後まで守れるだけの信頼性と開発力を確保できるかどうかにある。

  • メルセデスF1 PU最強説をヴォルフ否定「フェラーリは文句を言い続けている」

    メルセデスF1 PU最強説をヴォルフ否定「フェラーリは文句を言い続けている」

    メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ヴォルフは、2026年F1のパワーユニット(PU)勢力図について、メルセデスが他メーカーを圧倒しているとの見方を否定した。FIAの評価では内燃エンジン(ICE)単体でレッドブル・フォードが最強だと指摘し、総合的にはメルセデスがわずかに優位な可能性を認めながらも「ほぼ横並び」との見解を示した。

    メルセデスは2026年シーズン前半の11戦で8勝を挙げ、ドライバーズ、コンストラクターズの両選手権をリードしている。

    しかし直近5戦ではフェラーリが2勝、マクラーレンが1勝を挙げるなど、その差は縮まりつつある。ヴォルフは、2014年の新PU時代にメルセデスが築いたような長期的な独走状態が再現される可能性は低いと考えている。

    「2014年のような支配はもう起こらない」
    2014年にV6ターボ・ハイブリッド規則が導入された際、メルセデスはPU性能でライバルを大きくリードし、その後長期間にわたってF1を支配した。

    だがヴォルフは、2026年の状況は当時とは明確に異なると説明する。

    「2014年のハイブリッド時代の初期に我々があれほど支配的だった理由は、長い間、我々のパワーユニットが圧倒的に優れていたからだ」

    「今はフェラーリが我々に非常に近いことが分かる」

    「セットアップでミスをしたり、我々にアップグレードがなくて相手にアップグレードが入ったりすれば、すぐに後手に回ることになる」

    「だから、F1であのような支配の時代が再び訪れるとは思っていない」

    実際、メルセデスはシーズン序盤に大きな結果を残した一方、夏休み前にはフェラーリやマクラーレンが勝利を重ねている。ヴォルフの発言は、現在の競争力がPUだけで決まるものではなく、シャシーや空力、セットアップ、開発競争を含めた総合力によって簡単に勢力図が変化し得ることを示している。

    FIA評価ではICE最強はレッドブル・フォード
    2026年からFIAは、基準となる性能から遅れているPUメーカーに追加の開発機会を与える「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」制度を導入している。

    ただし、ADUOの評価対象となるのはPU全体ではなく内燃エンジン部分だ。最初の評価では、レッドブル・フォードのICEがベンチマークとなり、最も高い性能を示した。

    ヴォルフもこの点を強調し、「メルセデスが圧倒的に最強」という見方に反論した。

    「FIAによれば、内燃エンジンではレッドブルがトップだ。彼らはそういう測定結果を出している」

    そのうえで、電動系やエネルギーマネジメントなどを含めたPU全体ではメルセデスが最も完成度の高いパッケージである可能性を認めた。

    「全体的なパッケージとして見れば、我々かもしれない」

    ただし、それは2014年当時のような決定的な性能差ではないというのがヴォルフの主張だ。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    フェラーリに皮肉「最強エンジンではないと文句を言い続けている」
    ヴォルフはさらに、メルセデスPUとの性能差をめぐるフェラーリ側の主張にも踏み込んだ。

    「フェラーリは、自分たちには最強のエンジンがないと文句を言い続けている」

    「でも、彼らには間違いなく競争力のあるパワーユニットがあると思う。しかも、エキゾーストの半分を覆うようなウイングレットを備えた、ハイダウンフォース仕様として設計されたマシンに搭載されている」

    「だから、我々はほぼ横並びだと思っている」

    フェラーリのマシン側の空力コンセプトにも言及したヴォルフは、ストレート性能などから単純にPU出力の優劣を判断することはできないとの考えを示した形だ。

    2026年F1は「PU単独」では測れない競争へ
    2026年のPU規則では電動側の比重が大幅に高まり、ICE性能だけでなく、バッテリー、MGU-K、エネルギー回生とデプロイメントの効率がラップタイムを左右する。

    そのため、FIAのADUO評価でレッドブル・フォードがICEのベンチマークになっていることと、メルセデスがPU全体で高く評価されていることは矛盾しない。

    また、メルセデスが11戦8勝という数字を残している一方、直近ではフェラーリとマクラーレンが勝利を挙げていることも、2014年当時とは異なる構図を裏付けている。

    ヴォルフ自身もメルセデスの総合パッケージが最強である可能性までは否定していない。しかし、そのアドバンテージはセットアップやアップグレードひとつで逆転し得る程度のものだと強調する。

    2026年F1のPU競争は「メルセデス一強」という単純な構図ではなく、ICEではレッドブル・フォード、総合パッケージではメルセデスがわずかに優位に立ち、フェラーリもほぼ同等の競争力を持つ――それがヴォルフの描く現在の勢力図である。

  • メルセデスF1 フェラーリの「マカレナ」型リアウイングを2025年に検討も不採用

    メルセデスF1 フェラーリの「マカレナ」型リアウイングを2025年に検討も不採用

    メルセデスF1は、フェラーリが2026年シーズンに投入して注目を集めている通称「マカレナ」と呼ばれる反転型リアウイングについて、実は2025年の段階ですでに検討していたという。

    メルセデスの副テクニカルディレクターを務めるシモーネ・レスタが、FormulaPassion.itの独占インタビューで明かした。メルセデスは技術的な理由から当時は採用を見送ったものの、今後あらためて評価する可能性については否定していない。

    フェラーリが投入した「マカレナ」型リアウイング
    2026年のF1では、フェラーリがいくつかの技術的なアイデアで他チームに影響を与えている。そのひとつが、通常とは異なるレイアウトを採用した反転型リアウイング、いわゆる「マカレナ」だ。

    トップチームのなかで、現時点まで独自のマカレナ型リアウイングを実戦投入していないのがメルセデスだ。しかし、それは同チームがこのコンセプトを検討してこなかったことを意味するわけではない。

    レスタによれば、メルセデスは2025年の時点ですでに同様のリアウイングを研究し、実際に評価を行っていたという。

    「フェラーリはシーズン開幕直後からそれを導入していた」とレスタは語った。

    「僕たちも昨年に評価していた。ただ、いくつかの技術的な理由から導入しないことを選んだ。別のアプローチの方が優れていると判断したからだ」

    もっとも、当時の判断が今後も変わらないとは限らない。

    「だからといって、将来に向けて物事を再評価できないという意味ではない。僕たちは常に、自分たちの決定を見直すことに対してオープンだ」

    フロントウイングでもフェラーリとは異なる設計思想
    メルセデスとフェラーリの違いはリアウイングだけではない。2026年F1で導入されたアクティブエアロへのアプローチでは、フロントウイングにも明確な設計思想の違いが表れている。

    メルセデスのW17では、ノーズのピラーを第2エレメントに接続し、可動する領域を最後方のエレメントに限定する方式を採用している。

    「これは、最初から進めてきた開発プロセスから生まれたものだ」とレスタは説明した。

    「フロントウイングの使い方に特別な弱点があるとは考えていない。もちろんチーム、特に空力部門は両方の構成を評価してきたし、これからも評価を続けていく」

    現在の仕様を選択したからといって、別のコンセプトを検討していないわけではないという。

    「今はひとつの方向性に集中している。ただ、ほかのことを考えず、何も分からないままこの方式を選んだわけではない。両方のステップを評価してきた」

    メルセデスが警戒するフェラーリの開発ペース
    メルセデスがフェラーリを意識しているのは、個々の技術的アイデアだけではない。レスタは、シーズンを通じてアップデートを投入し続けるフェラーリの開発ペースにも注目している。

    特にF1では予算上限のなかで開発を進めなければならず、シーズン中に多くの新パーツを投入するには、開発リソースをどこに振り分けるかという判断も重要になる。

    「彼らはうまくやっている。明らかに多くのアップデートをコースに持ち込んでいるし、それは予算上限との関係で見ても興味深い」

    「間違いなく今シーズンのライバルだ。彼らが近づいてきていることで、戦いはさらに面白くなっている。僕たちはコース上で彼らと戦いたい」

    2026年のタイトル争いを続けるメルセデスにとって、フェラーリは無視できない存在となっている。かつて自ら検討しながら採用を見送った「マカレナ」型リアウイングについても、ライバルの実戦データや開発状況を踏まえ、再び選択肢として浮上する可能性がある。

  • メルセデス会長 フェルスタッペンとの交渉決裂「信念を売ることになる」

    メルセデス会長 フェルスタッペンとの交渉決裂「信念を売ることになる」

    2027年シーズンのドライバーラインアップをジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリで固めたメルセデスF1。その裏では、マックス・フェルスタッペンとの交渉が進められていたものの、最終的には契約条件を巡る考え方の違いが決裂の要因となったようだ。

    イタリア人ジャーナリストのフランコ・ヌニェスは、メルセデス会長オラ・ケレニウスが「信念を売ることになる(sell his soul)」と感じたことが、交渉打ち切りにつながったと明かしている。

    フェルスタッペンは大幅減俸も受け入れる姿勢
    Motorsport ITのYouTubeチャンネルでフランコ・ヌニェスは、フェルスタッペンがオラ・ケレニウス会長と直接交渉を行っていたと報告した。

    メルセデスはF1チームの株式を3分の1保有しており、ジム・ラトクリフが同じく3分の1を所有。残る28.3%をチーム代表のトト・ヴォルフが保有している。

    ヌニェスによると、フェルスタッペンはレッドブルで受け取っている年間約8000万ユーロ(約145億円)から、約5000万ユーロ(約91億円)まで大幅な減俸を受け入れる用意があったという。

    これまでメルセデスの給与体系ではフェルスタッペンの高額年俸が障害になると報じられていたが、本人は移籍実現のために条件面で譲歩する姿勢を示していたとされる。

    3年契約を巡る考え方の違いが決定打
    しかし、交渉は契約期間を巡って行き詰まった。

    フェルスタッペンは3年契約を希望していた一方、ケレニウス会長の任期は残り約2年。そのため、自身の任期を超える長期契約を結ぶことは「信念を売ることになる」と考えたという。

    こうした原則的な判断から交渉は決裂し、ヴォルフ代表はチームの安定性を優先。ジョージ・ラッセルとアントネッリのコンビを2027年も継続する決断を下したと報じられている。

    ラッセル自身も最近、「来季も100%メルセデスのドライバーだ」と語っており、契約延長への自信を示している。

    移籍先候補はマクラーレンのみとの見方
    メルセデスとの交渉が実現しなかったことで、フェルスタッペンの移籍先候補はさらに限られることになった。

    フェラーリは2027年も現行ラインアップを維持する見通しであり、仮にレッドブルを離れるとしても、有力候補はマクラーレンくらいしか残されていない。

    しかし、マクラーレンもランド・ノリスとオスカー・ピアストリが長期契約下にあるとみられており、ヌニェスは「フェルスタッペンのマクラーレン移籍を語る人は幻を見ているようなものだ」と否定的な見方を示した。

    今回の報道が事実であれば、メルセデスはフェルスタッペン獲得という大きなチャンスよりも、組織としての原則と長期的な安定を優先したことになる。一方で、フェルスタッペンの将来については依然として不透明な部分も多く、今後の動向に引き続き注目が集まりそうだ。

  • メルセデス会長に社内外から圧力 フェルスタッペン獲得反対派に逆風

    メルセデス会長に社内外から圧力 フェルスタッペン獲得反対派に逆風

    メルセデスF1によるマックス・フェルスタッペン獲得の可能性を巡り、親会社メルセデス・ベンツの会長オラ・ケレニウスが社内外から強い圧力を受けていると報じられた。

    チーム代表のトト・ヴォルフは近年フェルスタッペン獲得への関心を公言してきたが、最近ではその可能性を否定する姿勢を見せており、ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリの現ラインアップを維持する意向を示している。

    その背景には、フェルスタッペン獲得に慎重な姿勢を取るケレニウス会長の意向もあるとみられている。

    ケレニウス会長に高まる社内の不満
    ドイツメディア『F1 Insider』のラルフ・バッハによると、ケレニウス会長はアントネッリを「理想的な社員」の模範として社内で紹介するほど高く評価しているという。

    メルセデスは19歳のアントネッリを将来のスター候補と位置付けており、チームメイトのキャリアに大きな影響を与えてきたフェルスタッペンを迎え入れれば、その成長を妨げる可能性があると考えているようだ。

    また、フェルスタッペンとの契約には数年に及ぶ総額1億ドル規模ともされる大型契約が必要になる可能性があり、任期を2年残すケレニウス会長は、そのような長期的なコミットメントにも慎重な姿勢を示していると報じられている。

    しかし、バッハによれば現在のケレニウス会長は社内外から大きなプレッシャーを受けているという。

    「メルセデスは今、別の問題を抱えている」とバッハは語った。

    「ケレニウスは従業員から非常に強い圧力を受けている。3週間前にはメルセデス博物館や工場の前で抗議活動まで行われた」

    さらに在宅勤務制度の見直しなど会社運営を巡る方針にも反発が広がっているとされる。

    「一貫性がない。今度は在宅勤務も廃止して全員を出社させようとしている。何の計画があるのか誰にも見えていない。従業員だけでなく監査役会もそれに気付き始めており、彼は大きなプレッシャーを受けている」

    F1より本業優先を求める声も
    バッハは、ケレニウス会長がイギリスGPを訪問した際の行動についても批判的に言及した。

    「本来の業務よりもシルバーストンへ行くことを優先している。そして現地ではプレッシャーが大きすぎたため、予定されていたSkyのインタビューもキャンセルしたと聞いている」

    また、アントネッリへの評価は依然として非常に高いという。

    「彼はアントネッリの熱烈な支持者だ。従業員向けのメルセデスの動画でも、理想的な社員の例としてアントネッリを取り上げている。彼がいる限り、フェルスタッペンに居場所はない」

    経営トップ交代ならF1戦略も変化する可能性
    メルセデス・ベンツはメルセデスF1チームの株式の3分の1を保有しており、親会社トップの交代はF1チームの意思決定にも影響を与える可能性がある。

    仮にケレニウス会長の立場が変化すれば、フェルスタッペン獲得に対する障壁の一つが取り除かれる可能性もある。一方で、チーム首脳陣はアントネッリを中心とした長期的なプロジェクトを高く評価しており、経営体制が変わったとしても方針が直ちに転換するとは限らない。

    なお、週末にはレッドブルがフェルスタッペンに対し、2029年までの契約延長を提示したとの報道も浮上している。ただし、その条件として、今季終了後にも行使可能とされる成績条項による離脱オプションを放棄する必要があると伝えられている。

    メルセデスを巡る経営環境の変化は、フェルスタッペンの将来にも少なからず影響を及ぼす可能性があり、今後の動向が注目される。

  • メルセデスF1 マクラーレン躍進の要因分析「アップデートだけではない」

    メルセデスF1 マクラーレン躍進の要因分析「アップデートだけではない」

    マクラーレンがF1第11戦ハンガリーGPで今季初優勝を飾ったことについて、メルセデスF1はアップデートの効果を認めつつも、「それだけでは説明できない」と分析した。

    マクラーレンはブダペストで大規模なアップデートを投入。ランド・ノリスがポールポジションを獲得すると、そのまま決勝も制して今季初優勝を挙げた。これは2026年シーズンにおけるメルセデス勢以外では3勝目となる。

    アップデートだけでは説明できない
    メルセデスF1の副テクニカルディレクターを務めるシモーネ・レスタは、『Nu Silver Arrows Radio Show』で、マクラーレンの進歩にはアップデートが大きく貢献したと認めながらも、それだけが要因ではないとの見方を示した。

    「アップデートパッケージは間違いなく重要なものだったし、彼らのパフォーマンス向上に貢献したはずだ」

    「ただ、2台のタイム差を見ると、アップデートだけでは説明できない部分が明らかにある」

    レスタは、今季のマクラーレンはドライバーごとにパフォーマンスの波が見られることにも言及し、今回のハンガリーGPではノリスが特に高いレベルの走りを見せたと分析した。

    「今年のマクラーレンは非常に高い競争力を発揮してきたが、2人のドライバーのパフォーマンスバランスはレースごとに変化している」

    「ランドが今季何度も素晴らしい走りを見せてきたことも分かっている」

    「ブダペストは、彼がマシンやセットアップ、そしてタイヤマネジメントと特にうまく噛み合った週末だったのかもしれない」

    「おそらくアップデートとドライバーのパフォーマンス、その両方が組み合わさった結果だったのだと思う」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    メルセデスはドライバーラインアップにも自信
    ここ数戦でメルセデスの優位性はやや縮まりつつあるものの、チームは依然としてドライバーズ、コンストラクターズの両ランキングで首位を維持している。

    レスタは、ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリという強力なドライバーラインアップが、タイトル争いにおける大きな武器になっていると強調した。

    「私たちも非常に強力なドライバーラインアップに恵まれている。ジョージもキミも驚くほど速く、2人とも今季ポールポジションを獲得し、優勝も果たしている」

    「それぞれ異なる週末、異なる状況でチームに素晴らしいパフォーマンスをもたらしてくれた。それは私たちにとって非常に大きな強みだ」

    「2人が互いに競い合うことでチーム全体のレベルも引き上げられ、最終的にはより良い結果につながっている」

    マクラーレンのアップデートによって勢力図に変化の兆しが見え始めた一方で、メルセデスは依然としてチャンピオンシップの主導権を握っている。残るシーズンでは、両チームの開発競争とドライバーのパフォーマンスがタイトル争いの行方を左右する重要な要素となりそうだ。

  • メルセデスF1代表 ラッセル擁護「アントネッリとの差は彼の責任ではない」

    メルセデスF1代表 ラッセル擁護「アントネッリとの差は彼の責任ではない」

    ジョージ・ラッセルはF1ベルギーGP予選で4番手に終わり、チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリに約0.5秒差をつけられた。だが、メルセデスF1のチーム代表であるトト・ヴォルフは、その差のすべてをラッセルの責任とは考えていないと明かした。

    アントネッリはスパ・フランコルシャンで今季6度目のポールポジションを獲得。一方のラッセルは4番手だったものの、ランド・ノリスの10グリッド降格により決勝は3番グリッドからスタートする。

    それでも予選ではストレートスピード不足が目立ち、FP1から予選まで一貫してアントネッリに後れを取る結果となった。

    ヴォルフ「原因不明のストレートスピード不足がある」
    ヴォルフは予選後、ラッセルの苦戦について「マシン側にも要因がある」と説明し、現在も原因を調査していることを明らかにした。

    「ジョージは明らかにストレートスピード不足に苦しんでいる。我々にも説明できない数コンマ秒の差がある」

    「文字どおり、あらゆる可能性を調べ尽くした。パワーユニットなのか? キミは新品のパワーユニットを使っているので、それが違いを生んでいるのかもしれない。ただ、次の数戦はここまでエネルギーマネジメントが厳しいサーキットではないので、大きな差にはならないだろう」

    その一方で、ドライバー側にも改善の余地は残されていると分析する。

    「ジョージ自身も数コンマ秒を見つける必要がある。その多くはすでに改善できているが、いくつかのコーナーではまだ0.2~0.25秒ほど失っている」

    「全体としてはよく巻き返している。ただ現時点では彼はマシンと噛み合っていない。この2戦ほどその状態が続いているが、おそらく彼の責任ではない。我々がマシンとのバランスをうまく合わせる必要がある」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    アントネッリには王者の資質を感じている
    一方でヴォルフは、今季ランキング首位を走るアントネッリの精神面を高く評価した。直近3戦で2度のノーポイントという不運に見舞われながらも、ベルギーGPで今季6回目のポールポジションを獲得したことは、その強さを示しているという。

    「彼はこの世界で戦うために生まれてきたようなドライバーだ。物事を冷静に振り返ることができるし、うまくいかない状況でも落ち着いている」

    「彼の周囲に余計な複雑さはない。レースエンジニアのボノやステファンとともに仕事を進め、状況を整理して分析し、一度切り替えてから次へ向かう能力がある」

    さらに、ランキング首位として勢いに乗っていることも大きな強みだと語った。

    「勢いも味方している。それに若い挑戦者という立場のほうが、期待を一身に背負う立場よりも物事はうまく進みやすいものだ」

    メルセデスはラッセルのストレートスピード不足の原因究明を続けており、エネルギーマネジメントの影響が比較的小さい今後のサーキットで状況が改善するか注目される。一方で、アントネッリは速さだけでなく精神的な成熟ぶりでもチーム首脳陣から高い評価を受けており、タイトル争いをリードする理由が改めて浮き彫りになった。

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  • メルセデスF1代表 信頼性に危機感「3回のリタイアでは王者になれない」

    メルセデスF1代表 信頼性に危機感「3回のリタイアでは王者になれない」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、F1イギリスGPで再び発生したマシントラブルを受け、2026年のタイトル争いにおいて信頼性が深刻な課題になりつつあるとの認識を示した。

    シルバーストンではアンドレア・キミ・アントネッリが優勝争いを演じていたものの、縁石を乗り越えた際のダメージによってペースを失い、勝利のチャンスを逃した。ヴォルフはドライバーではなく、マシン側の問題だったと強調している。

    信頼性がタイトル争いの最大の課題に
    アントネッリは優勝したシャルル・ルクレールを追撃していたが、縁石を通過した際にマシンへダメージを負い、戦闘力を失った。

    ヴォルフは、このトラブルはドライバーのミスではないと説明した。

    「事実として、この部品は壊れてはいけないものだ」

    メルセデスはここ数戦でバッテリー関連の信頼性問題にも苦しんでおり、一方でフェラーリは再び優勝を挙げて復調ぶりを印象づけた。

    ヴォルフは、信頼性の問題がタイトル争いに直接影響していると危機感を示した。

    「3回もリタイアして世界選手権を勝ち取ることはできない」

    「間違いなく、選手権争いはまだ終わっていない」

    ラッセル「25ポイント差は妥当」
    アントネッリのリタイアにより、チームメイトのジョージ・ラッセルはランキング差を25ポイントまで縮めた。

    ラッセルは、その差は両者のパフォーマンスを考えれば妥当だと受け止めている。

    「僕のパフォーマンスと彼のパフォーマンスを、この9戦を通して振り返れば、25ポイント差で彼がリードしているのは妥当だと思う」

    「今年ここまで、彼は僕よりいい仕事をしてきた。だから前にいるのは当然だ」

    「25ポイント差であるべきなのか、10ポイントなのか、35ポイントなのかは議論の余地がある。でも10〜30ポイント差くらいというのは、おおむね妥当なところだと思う」

    一方で、自身のタイトル獲得については慎重な見方を示した。

    「正直に言えば、このままのパフォーマンスでは選手権を争うことはできない。だから今週末の内容には満足していない」

    アントネッリ「選手権は意識せず自由に戦う」
    5連勝を達成していたアントネッリは、不運な結果にも冷静な姿勢を崩さなかった。

    「5連勝という素晴らしい流れが続いていたし、すべてがうまくいき過ぎていたのかもしれない」

    「今回は優勝を狙っていたし、本当に勝てるチャンスがあった。十分に勝負できる位置にいたのに、その挑戦すらできなかったのは残念だ」

    「大事なのは、もっと強くなって戻ってくることだ」

    また、ランキング争いを意識して走るつもりはないと強調した。

    「選手権のことを考えながらレースをしたくはない。3戦前には66ポイントリードしていたのに、今は25ポイント差になっている」

    「2度リタイアして多くのポイントを失った。だからこそ、余計なことを考えず、自由な気持ちでレースをする必要がある」

    今回のシルバーストンでは、メルセデスの速さそのものは優勝争いが可能なレベルにあった。しかし、相次ぐ信頼性トラブルが貴重なポイントを失わせており、タイトル獲得へ向けては速さだけでなく耐久性の改善が急務となっている。