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  • マクラーレンF1がロバート・クビサを獲らなかった理由「鼻が大きかったから」

    マクラーレンF1がロバート・クビサを獲らなかった理由「鼻が大きかったから」

    マクラーレンは、2008年F1シーズンに向けてルイス・ハミルトンの新たなチームメイトとしてロバート・クビサを検討しながらも、「彼の鼻が大きすぎた」という理由で獲得を見送っていた。これは、元マクラーレンの広報責任者であるマット・ビショップによる、驚くべき証言だ。

    ビショップ自身も、それが当時の最高経営責任者マーティン・ウィットマーシュの冗談だったのかどうか、確信は持てないとしながらも、実際にそうした発言があったことを明かしている。

    「鼻が大きすぎた」クビサはなぜマクラーレンに呼ばれなかったのか
    ロバート・クビサは、今世紀のF1における“未完の才能”のひとりとして語られる存在だ。F1で挙げた勝利は2008年カナダGPでの1勝のみで、当時所属していたBMWザウバーでの快挙だった。

    しかし2011年2月、ラリー参戦中に起きた大事故によってキャリアは大きく暗転する。重傷を負い、F1での将来は事実上閉ざされた。

    その後、ラリーで成功を収めたクビサは再びF1への挑戦を選び、2019年にウィリアムズから1シーズン復帰。同年ドイツGPでは、チームにとって唯一となるポイントを獲得している。

    現在41歳のクビサは、2025年にフェラーリでル・マン24時間レース初優勝を果たし、感情あふれる勝利を手にした。

    なおクビサ自身は2018年、2011年の事故当時、2012年にフェラーリF1チームへ加入する契約にサインしていたことも明かしている。

    アロンソ離脱後のマクラーレンが探していた“ハミルトンの相棒”
    2007年シーズン終了後、マクラーレンはフェルナンド・アロンソの後任を探していた。ハミルトンとの関係が破綻した2度の世界王者は、わずか1年でチームを去ることになる。

    最終的にマクラーレンが選んだのは、ルノーで印象的なデビューシーズンを過ごしていたヘイキ・コバライネンだった。結果的に、コバライネンとアロンソは“シートを交換する”形となった。

    ビショップは、2008年から2017年までマクラーレンのコミュニケーション責任者を務め、その後アストンマーティンにも在籍した人物である。

    彼は自身のポッドキャスト『And Colossally That’s History!』に出演した際、当時の意思決定の舞台裏をこう振り返った。

    「ウィットマーシュが当時、2008年のマクラーレンのドライバー候補としてクビサを考えたとき、問題のひとつは“彼の鼻が大きすぎる”ということだと言っていたのを覚えている。本当にそう言ったんだ」

    「空力じゃなくて見た目の問題だと思う」
    司会者から、それが空力的な問題なのか、それとも見た目の問題なのかと冗談交じりに問われると、ビショップは笑いながら答えた。

    「見た目の問題だと思うよ。正直なところ、冗談だったんだと思う」

    「もしこれを聞いているなら、マーティン、たぶん聞いていないと思うけど、説明してくれてもいい。でも、彼はそういうジョークを言うことがあった。ドライバーはこうあるべきだ、という考えを持っていたんだ」

    「それはロン・デニスから学んだ部分でもある。ロンはドライバーの外見にとても厳しかったからね。ただ公平を期すと、ロバートの鼻についてロンが文句を言っているのは聞いたことがない」

    同席していた音楽・スポーツ記者のリチャード・ウィリアムズも、こう付け加えている。

    「クビサの鼻の話は本当に笑えるよ。今のF1に彼がいたら、どこに収まるんだろうね。今の若手ドライバーはみんなボーイバンドのメンバーみたいな顔をしている。まるで“ルックス審査”を通過してきたみたいだ」

    ロバート・クビサ

    モータースポーツ界の“鉄人” クビサの壮絶な事故
    ウィットマーシュは2014年に25年間在籍したマクラーレンを去り、ロン・デニスも2017年にチームを離れている。

    一方、クビサは昨年出演したポッドキャスト『Gurulandia』で、2011年のラリー事故の壮絶さを改めて語っている。

    「正直に言うと、長い間昏睡状態だったから、何が起きたのかほとんど覚えていない」

    「病院に着いたとき、体にあった血液は1.5リットルしかなかった。人間の体には6〜7リットルあるのにね」

    「体の右半分は完全に粉々だった。42カ所の骨折で、足の指から肘まで全部折れていた」

    さらにこう続けた。

    「僕は人間だ」

    「6〜7カ月の間、何の感覚もなく、まったく動けなかった。指を動かそうとしてもできなかった。その感覚は、経験した人にしか分からない」

    「初めて動かせた日、言葉にならないほどの喜びを感じた」

    鼻の大きさという冗談めいた理由でマクラーレン入りを逃したとされるクビサだが、そのキャリアと生き様は、F1史の中でも屈指の重みを持つものとなっている。

  • アンドレア・ステラ フェラーリで学んだ方法論でマクラーレンF1を再建

    アンドレア・ステラ フェラーリで学んだ方法論でマクラーレンF1を再建

    アンドレア・ステラは、かつてフェラーリで培った経験を、現在のマクラーレンで余すところなく実践している。

    2000年代のフェラーリF1黄金期で身につけた「チームを360度でマネジメントする思想」は、マラネロでは長らく失われてきたが、ウォーキングでは全面的な信頼のもとで具現化された。その成果は、今のマクラーレンの姿そのものだ。

    マクラーレンを押し上げた仕事の中身
    現在のマクラーレンは、極めて結束力の高い集団として構築されている。共有された価値観、名門としての歴史、そして長年F1を経験してきた当事者たちが「これまでで最高」と口を揃える技術部門が、その基盤にある。

    ザク・ブラウンの関与によって、組織は一度バラバラになったパズルのように再編され、機能する形へと再構築された。すべての要素が精査され、再配置され、強化された結果、より堅牢で合理的なシステムが完成した。

    この過程で重要な役割を果たしたのが、ロブ・マーシャルのようなキーパーソンだ。彼らは経験と専門知識だけでなく、「失敗を恐れず限界を超える」マクラーレンの文化そのものを持ち込み、チームのポテンシャルをさらに引き上げた。現在の成功は、短期間で得られたものではなく、長く緻密なプロセスの積み重ねだ。

    長いシーズンを戦い抜くための哲学
    F1シーズンは年々長期化し、選手権は完全なマラソンとなった。その中で重要なのは、一貫性、団結、そしてチームの価値観への忠誠心だ。勝利は確かに偉大な目標だが、それ以上に、進歩の文化と集団としての結束を保ち続けることが不可欠だというメッセージを、マクラーレンは明確に発信している。

    マラネロで実践されなかったことを、ステラは実行した
    これは、長年フェラーリに欠けている要素でもある。マラネロに能力や努力が存在しないと疑う者はいない。しかし、ステラがウォーキングで築き上げた「明確で、目的に適した方法論」が、フェラーリには定着していない。

    フレデリック・バスール体制のフェラーリは、その方法を定義しきれていないように映る。工場の内部を見ずとも、サーキット内外での仕事ぶりや、その後に語られる言い訳を聞けば、それは明らかだ。

    一方でマクラーレンには、プロジェクト全体を統合して管理する能力がある。現代F1では、単独の天才がマシンの設計をすべて担うことは不可能だ。技術的複雑性は、価値観の共有と集団的アプローチを前提としており、それによって初めて持続的な成果が生まれる。

    「完璧さ」を手放すという選択
    フェラーリ内部では、10年以上にわたり意見の不一致が続いていると語られてきた。ステラは「構築するとは、完璧さを手放すことだ」と述べている。この放棄こそが、個人よりも集団の利益を中心に据え、困難な局面で責任の押し付け合いを避けるための鍵になる。

    マクラーレン F1 アンドレア・ステラ

    フェラーリ時代の経験をウォーキングで生かす
    ステラにとって決定的だったのは、2000年代初頭のフェラーリでの経験だ。当時、チームは頂点に立ち、これまで述べてきたすべての要素が、ジャン・トッド率いる組織の中で機能していた。

    若き日のステラは、その環境で可能な限り多くを吸収し、いつか訪れる機会に備えていた。その機会がマラネロで訪れることはなかった。だからこそ彼は、フェルナンド・アロンソとともにウォーキングへ向かった。

    そこは、成長し、進化する余地のある環境だった。そして20年以上の時を経て、ステラはついに、ミハエル・シューマッハ時代のフェラーリで学んだすべてを実践に移す立場に立った。

    彼自身が語るように、その教訓は一度も忘れられておらず、今も日々、チームのメンバーに伝え続けられている。フェラーリがそれを思い出し、2026年F1シーズンから同じ道を歩むことができるのか。今後の行方が注目される。

  • マクラーレン 走行前の2026年F1マシンがオークションで約18億円で落札

    マクラーレン 走行前の2026年F1マシンがオークションで約18億円で落札

    マクラーレンF1の2026年F1マシン「MCL40A」が、走行前にもかかわらず史上初となるオークションに出品され、1148万ドル(約17億8000万円/1ドル約155円換算)という高額で落札された。これはF1マシンのオークション落札額として歴代6位に相当する。

    マクラーレンは2025年F1シーズンにおいて24戦中14勝を挙げ、1998年以来となるドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権のダブルタイトルを達成した。

    シーズン最終戦アブダビGPでは、ランド・ノリスがドライバーズタイトルを獲得し、マクラーレンにとっては2008年以来の快挙となった。

    走行前のマシンが1148万ドルで落札
    MCL40Aは2026年F1シーズン用として開発された完全新規マシンで、シャシーとパワーユニットの両方が同時に刷新される新レギュレーション仕様となる。2026年からF1は電動化比率50%、完全持続可能燃料、アクティブエアロダイナミクスを導入し、近年で最大規模の規則変更を迎える。

    このMCL40Aは今月初めにオークションで落札され、価格は1148万ドル(約17億8000万円)に達した。F1マシンのオークション最高額記録は、2025年2月に5115万5000ユーロで落札されたメルセデスW196Rストリームライナーが保持している。

    納車は2028年、特典も多数
    MCL40Aは2028年第1四半期に落札者へ引き渡される予定で、2026年仕様のメルセデス製パワーユニットを搭載し、2026年リバリーで提供される。それまでの間、マクラーレンは展示用として2025年型マシンのショーカーを落札者に提供する。

    また、落札パッケージには、マクラーレンCEOのザク・ブラウン、ランド・ノリス、そしてチームメイトのオスカー・ピアストリと面会できる特典も含まれている。面会は2026年シーズン開幕前に、英ウォーキングにあるマクラーレン・テクノロジー・センターで行われる予定だ。

    さらに、2026年型マシン「MCL40」の公開発表イベントへの招待、2戦のF1グランプリでのホスピタリティ体験(モナコGPを含む)、加えてル・マン24時間レースとインディ500へのアクセスも用意されている。

    “トリプルクラウン”オークションの全貌
    今回の「トリプルクラウン」と銘打たれたオークションでは、MCL40Aに加えて2026年仕様のアロウ・マクラーレン・インディカーと、2027年世界耐久選手権参戦予定のマクラーレン・ハイパーカーも出品された。

    インディカーは84万8750ドル(約1億3200万円)で落札され、まだ正式発表前のハイパーカーは759万8750ドル(約11億7800万円)という高値を記録した。マクラーレンがF1、インディカー、耐久レースという“三冠”すべてを象徴するオークションとなった。

  • マクラーレンのラスベガスGP失格が2025年のF1最多得点記録を阻む

    マクラーレンのラスベガスGP失格が2025年のF1最多得点記録を阻む

    2025年F1アブダビGPでシーズンは幕を閉じ、世界選手権が始まった1950年以来31回目となる「最終戦決着」のタイトル争いとなった。

    ランド・ノリスは通算152戦目でドライバーズタイトルを獲得した。初タイトルまでにこれ以上多くのレースを要したドライバーは、歴代でも3人しかいない。ただし、近年のシーズンは開催数が多いことも影響している。

    たとえばナイジェル・マンセルは1992年に初タイトルを獲得するまでにノリスより24戦多く出走しているが、当時のキャリアはほぼ倍の長さだった。マンセルは39歳の誕生日から8日後に王座を手にし、ノリスは先月26歳になったばかりだった。

    初タイトルまでの出走数が多かったドライバー上位5人はいずれもタイトル1回のみだが、ノリスには今後それを塗り替える可能性がある。もっとも、9年前のFIAガラでニコ・ロズベルグが突然引退を発表したような選択をしない限りだが。

    3人同時決戦とフェルスタッペンの勝利数
    2010年以来となる3人以上が絡む最終戦タイトル決戦では、全員が7勝で最終戦を迎えた。だがマックス・フェルスタッペンが最終戦を制し、今季最多勝ドライバーとなった。これで5年連続だ。

    王者よりも多くの勝利数を挙げたドライバーが存在したのは2016年以来で、その年はルイス・ハミルトンが10勝、ロズベルグが9勝だった。ノリスの7勝は、2012年に5勝で王座を獲得したセバスチャン・ベッテル以来、最少の勝利数となる。

    マクラーレン14勝と歴史的比較
    マクラーレンは今季14勝を挙げ、その内訳はノリスとオスカー・ピアストリが7勝ずつ分け合った。これはチーム史上2番目に多い勝利数だが、1988年に16戦中15勝を挙げた伝説的シーズンには及ばない。

    その年、アイルトン・セナが8勝、アラン・プロストが7勝を挙げ、MP4/4は圧倒的な強さを誇った。1シーズン最多勝記録は、2023年に24戦中23勝を挙げたレッドブルが保持している。

    フェルスタッペンの連続記録
    フェルスタッペンは2022年のグラウンドエフェクト規則導入以降、同一サーキットで複数回勝利した唯一のドライバーとなった。鈴鹿では4戦全勝、イモラとロサイルでもそれぞれ3戦無敗を記録している。

    またシーズン終盤に10戦連続表彰台を達成し、これはF1史上7人目。自己最多は2023年の15戦連続だが、歴代記録はミハエル・シューマッハの19戦連続(2002年シーズン全16戦を含む)である。

    角田裕毅とチームメイト差の記録
    角田裕毅はレッドブルでの最終戦で無得点に終わり、チームメイトとの差としてF1史上最大のポイント差を記録した。フェルスタッペンとの差は388ポイントで、22戦の同僚期間だけでも355ポイント差となり、2023年にフェルスタッペンがセルジオ・ペレスを290ポイント上回った記録を大きく更新した。

    フェラーリの苦戦とハミルトンの異例の年
    フェラーリは2021年以来となる無勝利シーズンに終わった。シャルル・ルクレールが今季初の最速ラップを記録したのが数少ない明るい材料で、通算11回となりジョージ・ラッセルと並んだ。

    一方ハミルトンは最終3戦すべてでQ1敗退し、シーズンを通じて一度も表彰台に立てなかった。これは本人にとっても、1981年のディディエ・ピローニ以来のフェラーリ新加入ドライバーとしても前例のない結果だった。

    マクラーレン最多得点と失格の代償
    昨年は王者マクラーレンと14ポイント差だったフェラーリは、今季4位に後退し435ポイント差をつけられた。マクラーレンはチーム史上最多の833ポイントを獲得したが、2023年にレッドブルが22戦制で記録した860ポイントには届かなかった。

    決定的だったのはラスベガスでのダブル失格による30ポイント喪失だ。このレースはマクラーレンが今季唯一無得点に終わったラウンドであり、もし得点していれば新記録に達していた可能性が高い。

    全チーム無得点とアルピーヌ
    競争が激化した今季は、全チームが少なくとも1度は無得点レースを経験した。ポイントがトップ10に拡大されて以降では初の事例で、前回は2008年だった。

    最下位に終わったアルピーヌは、それでも「最下位チームとしては最多得点」を記録した。2009年のトロ・ロッソが29ポイントで最下位になったのに対し、今季アルピーヌは22ポイントを獲得している。多くのチーム同様、2025年を早期に切り上げた判断が来季に好結果をもたらすことを期待している。

  • マクラーレンF1が嘲笑された理由 “パパイヤ・ルール”に隠された落とし穴

    マクラーレンF1が嘲笑された理由 “パパイヤ・ルール”に隠された落とし穴

    ジャック・ヴィルヌーヴは、F1パドックでマクラーレンの「パパイヤ・ルール」がからかわれる理由について説明した。

    ヴィルヌーヴは、同様のドライバー規定はF1では「ごく普通のこと」だと前置きしたうえで、マクラーレンがそれに“名前”を与えたこと自体が嘲笑を招いていると指摘している。

    パパイヤ・ルールとは実際のところ非常に単純だ。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリが、互いにクリーンかつフェアにレースを行い、決して接触しないことを求めるものにすぎない。これはF1の全チームに共通する、絶対的な前提条件でもある。

    しかしこのルールは、ウォーキング拠点のチームが2人のドライバーに完全な平等を与えようとする姿勢の象徴として語られるようになった。公平性の天秤を常に中央に保とうとするその方針は、モータースポーツという世界では極めて困難、あるいは不可能に近い試みでもある。

    2025年モンツァでの決定的な場面
    2025年シーズンでこの問題が最も顕在化したのは、モンツァ・サーキットだった。

    マクラーレンは、ノリスのピットストップを失敗した後、ピアストリにポジションを譲るよう指示した。ピアストリは当初、チームメイトの前を走っていたが、チームは異例の判断で彼を先にピットインさせた。その後に入ったノリスは、スローピットによって後方に落ちてしまった。

    チームのミスを是正するためのチームオーダーだったが、ドライバーズタイトルを争う真っ只中での判断は、パドック全体で賛否を大きく分ける結果となった。

    「名前を付けたこと」が最大の失敗
    ヴィルヌーヴは、パパイヤ・ルールの具体的な中身については「よく分からない」としつつも、マクラーレンが犯した最大の過ちは、その規定に名前を与えたことだと断言する。

    「正直、パパイヤ・ルールが何なのかすら分からない。ただマシンの色にちなんだ名前を付けただけだ。」

    「結局のところ、チームメイト同士はぶつかってはいけない、というルールはどのチームにもある。それが普通だ。」

    「他のチームは特別な名前やニックネームを付けない。マクラーレンがそれをやった、ただそれだけのことだ。」

    「名前がなければ、からかいようがない。それだけ単純な話だ。最終的には、これはチームルールというより、ドライバーの契約に書かれている内容でもある。それだけのことだ。」

  • マクラーレン、オスカー・ピアストリの古巣アルピーヌF1を痛烈に揶揄

    マクラーレン、オスカー・ピアストリの古巣アルピーヌF1を痛烈に揶揄

    マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンは、オスカー・ピアストリの元F1雇用主であるアルピーヌに対して、容赦ないジョークを放った。

    ドライバーズ選手権とコンストラクターズ選手権のダブルタイトルを獲得したシーズン終了後、マクラーレンのエンド・オブ・シーズン・パーティーに出席したブラウンは、アルピーヌ、そして元マクラーレンドライバーのストフェル・バンドーンをネタにした辛辣な発言で場を沸かせた。

    ブラウンはまず、2023年シーズンに向けてピアストリを獲得する過程で、マクラーレンと法的な争いに発展したアルピーヌを揶揄した。この件はF1契約承認委員会(CRB)に持ち込まれ、当時F2王者だったピアストリにはマクラーレンとの有効な契約があるとの裁定が下されている。これにより、ピアストリはウォーキングを本拠とするチームでF1デビューを果たすことになった。

    「我々は君たち2人に大きなリスクを取った。ほかにもっと良い選択肢があったなんて言うなよ」とブラウンは語った。

    「君には、クソみたいなアルピーヌがあっただけだ」とブラウンはピアストリを指さして言い放ち、続けてランド・ノリスの方を向き、「そして君は、ストフェル・バンドーンより速くなければならなかった」と付け加えた。

    この後者のジョークは、ノリスが2019年シーズンに不振だったバンドーンに代わってマクラーレンに昇格したことを指している。

    バンドーンは、競争力に欠けていた当時のマクラーレンでわずか12ポイントしか獲得できなかった一方、チームメイトだったフェルナンド・アロンソは50ポイントを記録していた。マクラーレンはその年のコンストラクターズ選手権で6位に終わっている。

    バンドーンはその後、フォーミュラEに転向し、2022年にはメルセデスで電動シリーズのチャンピオンに輝いた。

    マクラーレンにとって2025年シーズンは祝賀ムードに包まれる年となった。チームはコンストラクターズタイトルの防衛に成功し、ノリスは自身初のドライバーズタイトルを獲得した。

    ブラウンがアルピーヌを揶揄したのは、これが初めてではない。

    2022年、ピアストリの契約問題を巡って当時アルピーヌのチーム代表だったオトマー・サフナウアーが公に発言したことについて、ブラウンは「少し滑稽に見えた」と語っている。

    「CRBの裁定が出る前、彼らは自分たちが何を知らないのかを分かっていなかった。我々は意図的に口を閉ざしていた」とブラウンは当時を振り返った。

    「今では裁定が出て、いくつかの詳細も明らかになり、何が起きていたのかは明白だ。だから我々はノイズが多いことは分かっていたが、いずれ真実が明らかになると分かっていたので、逐一コメントするのではなく、やり過ごすことを選んだ」

    「当時、ファンから直接届いたメッセージの数々を含め、騒ぎを無視していたわけではない。しかし今では、CRBの裁定が出て、すべてが非常に明確になっていることに我々は満足している」

  • マクラーレンが“盗んだ”ニューウェイ流手法 2025年F1を支配した理由

    マクラーレンが“盗んだ”ニューウェイ流手法 2025年F1を支配した理由

    マクラーレンは2025年F1シーズンを通して圧倒的な強さを見せ、コンストラクターズタイトルを2年連続で獲得した。その原動力となったMCL39は、単なる前年型の進化ではなく、グラウンドエフェクト時代の課題を根本から見直した、極めて踏み込んだコンセプトを採用していた。

    その設計思想の中核にあったのが、かつてレッドブルでエイドリアン・ニューウェイが得意としてきた「シーズン中に模倣できない解決策を先行して仕込む」という手法だ。

    ロブ・マーシャル率いるマクラーレンの技術陣は、このニューウェイ流発想を内在化し、他チームが追随できない決定的な差を生み出すことに成功した。

    マクラーレンが2025年F1世界選手権を支配したことは、数字の上でも明白だった。シーズンを833ポイントで終え、コンストラクターズタイトルを2年連続で獲得したMCL39は、2022年に導入されたグラウンドエフェクト・レギュレーションを、最も正確に、そして最も踏み込んだ形で解釈したマシンだった。

    この世代のマシンが本質的に抱えてきた問題は明確だった。ひとつは、ポーパシングを引き起こさずに最低地上高を下げた状態で走行することの難しさ。もうひとつは慢性的なアンダーステアであり、これはフロア下面で発生する空力圧力中心が車両の重心より後方に位置することで生じ、コーナー進入時の挙動を不安定なものにしていた。

    これらの問題を克服するため、ウォーキングを拠点とするマクラーレンのエンジニア陣は、極めて非保守的な選択を行った。ロブ・マーシャルを中心に、チーフデザイナーのマーク・インガム、エンジニアリング責任者のニール・ホールディ、空力部門責任者のピーター・プロドロモウ、そしてジュゼッペ・ペッシェの補佐のもと、MCL39のコンセプトは限界まで押し進められた。

    その姿勢は、チーム代表アンドレア・ステラ自身の言葉にも表れている。アブダビGP後、ステラは次のように振り返った。

    「昨年のクリスマスは、正直まったく楽しめなかった。ステアリングボックスやフロントサスペンションなど、いくつかの要素でコンセプトを極端なところまで押し進めていたからだ」

    「12月末の時点でも、まだ開発の最終段階にあった解決策を抱えたワールドチャンピオンのマシンで、どれほどのリスクを取ることに同意していたのかを心配していた」

    ステラの発言が示しているのは、まずステアリングボックスの配置だ。それはシャシー前方でありながら内部に収められ、ロアウィッシュボーン前側の取り付けポイントの後方という、標準的ではない位置に配置されていた。ここはマシン構造上でも極めて入り組んだ領域であり、仮に設計に誤りがあった場合、後から穏健な解決策へ修正する余地はほとんどなかった。

    マクラーレン F1 MCL39

    しかし、より重要なのはフロントサスペンションだった。アッパーウィッシュボーンは非常に急角度で配置され、その後側アームは大きく後方にアンカーされていた。これは車両運動学の観点から、空力プラットフォームを最適に管理するための選択だった。

    この点において、MCL39は2024年型マシンの単なる発展形ではなかった。ライバルがシーズン中に容易に追随できないパフォーマンスギャップを生み出すこと、そして何より、シーズン中にコピーできない解決策を最初から組み込むことを目的とした、明確に一段踏み込んだコンセプトだった。

    マクラーレン F1

    こうしたアプローチは、かつてエイドリアン・ニューウェイの代名詞とも言える手法だった。しかし、その思考様式がロブ・マーシャルの中に完全に内在化されていることは明らかだ。マーシャルは長年にわたりニューウェイの右腕として働いてきた人物であり、その影響はMCL39の随所に見て取れる。

    もっとも、MCL39が欠点のないマシンだったわけではない。少なくとも、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリという2人のドライバーのドライビングスタイルへの適応性という点では課題を抱えていた。

    フロントサスペンションが生み出す極端な動的精度は、当初、両ドライバーにとってコーナー進入時のフィーリングを不安定なものにした。2人とも、程度の差こそあれ、フロントエンドが「鈍い」、つまりターンイン時に明確で直接的な手応えを与えてくれないと評価していた。

    この問題を受け、マクラーレンのエンジニアはシーズン中のオーストリアGPでフロントサスペンションの改良版を投入した。しかし、その進化を前向きに評価したのはノリスだけで、ピアストリは改良型を採用することを望まず、シーズンを通してオリジナル仕様を使い続けた。

    マシン間の性能差が極めて小さかったことを考えれば、ドライバーのフィーリングを優先し、最大限のパフォーマンスを引き出そうとした判断は合理的だった。一方で、特にシーズン後半のいくつかのサーキットでは、ピアストリの選択が結果的に彼自身の可能性を制限した可能性も否定できない。

    さらに、MCL39の極端な動的精度は、ラスベガスGPで裏目に出ることになる。ウォーキングのエンジニアたちは、路面が完全にフラットだと判断し、その精度を信頼して最低地上高を極限まで下げたセットアップを選択した。

    しかし実際には、過小評価されていた路面のうねりがポーパシングを引き起こし、結果として両車はプランク摩耗過多により失格となった。これはステラ自身がレース後に認めている。

    マクラーレン MCL39

    こうした点を踏まえると、MCL39は総合的には最も効果的なマシンでありながら、常に両ドライバーが完全に使いこなせるマシンではなかったと言える。そのわずかな隙を突き、イタリアGP以降、マックス・フェルスタッペンとレッドブルはドライバーズタイトル争いに割って入ることになり、その戦いは最終戦まで続いた。

    Source: RacingNews365

  • ピアストリ、マクラーレンの方針信頼「ノリスがF1王者でも何も変わらない」

    ピアストリ、マクラーレンの方針信頼「ノリスがF1王者でも何も変わらない」

    オスカー・ピアストリは、僅差でタイトルを逃した2025年シーズンを経て、来季もマクラーレンが「完全な公平性」と「平等」を維持することを期待していると語った。

    2025年、ピアストリは最多日数で選手権をリードしながらも、最終的にはランド・ノリス、マックス・フェルスタッペンに続くランキング3位でシーズンを終えた。

    マクラーレンは今年、両ドライバーに同じ機会を与える“パパイヤ・ルール(Papaya Rules)”を掲げ、平等を強調してきたが、ノリスへの贔屓があるという指摘は絶えなかった。

    ピアストリは、それでもチームの姿勢は2026年も変わらないと信じている。

    「それで何かが変わるとは思っていない」とピアストリはアブダビでの最終戦後に語った。

    「彼は素晴らしいシーズンを過ごし、ふさわしいチャンピオンになった。でも、ランド・ノリスはランド・ノリスのままだ。スーパーマンになったわけじゃない」

    ピアストリは、4月のサウジアラビアから10月のメキシコGPまで選手権をリードする期間もあり、タイトル争いの主役として存在感を示した。

    「なので、その点で何かが変わるとは思っていない。チームにはこれまで通りの“完全な公平性”と“平等”を期待しているし、それが変わる心配はまったくしていない。明らかに、ランドは今年とても強いシーズンを送ったし、最終的には彼の方が良い仕事をした」

    “Papaya Rules”は時に緊張を生んだが、互いを強くした
    ピアストリは、チームが今季のタイトル争いで両ドライバーを対等に扱おうとした姿勢が、時に難しい状況を生んだと認める一方、それが互いを成長させたと強調した。

    「コンストラクターズとドライバーズの両タイトルを、実力が拮抗した2人のドライバーで争うのは簡単じゃない。でも、それはシーズン当初から分かっていたことだ」

    「最終的には、そこから得られる良いことがたくさんある。確かに難しい瞬間や緊張があったのは事実だけど、ランドと僕は、お互いを限界までプッシュし合ったことで、より良いドライバーになれた。ときにはチーム全体にとって居心地の悪い場面もあったけれど、結局のところ、それは良い方向に働いた」

    「1年を通してたくさん話し合ってきたし、オフシーズンにも来年に向けて少し変えたいことがあれば議論するつもりだ。でも結局、チームは僕たち2人がフェアに世界選手権を戦えるよう、できる限りの機会を与えてくれた。それ以上求めるものはない」

  • オスカー・ピアストリ父 マクラーレンF1陰謀論を一蹴「ノリスを優遇?全くない」

    オスカー・ピアストリ父 マクラーレンF1陰謀論を一蹴「ノリスを優遇?全くない」

    2025年F1タイトル争いをめぐり、「マクラーレンはランド・ノリスを望まれた王者に仕立てた」とする憶測が一部で拡大する中、オスカー・ピアストリの父クリスがこの“陰謀論”を強く否定した。

    スイス紙『Blick』は「マクラーレンは望みのチャンピオンを得た」と報じ、シーズン終盤の戦略論争も相まって噂は加速していた。

    だが、クリスは「舞台裏に何かがあるとは全く思わない」と語り、オスカー本人も“不当な扱いを受けた”とは一切考えていないという。マクラーレンのザク・ブラウン、アンドレア・ステラも両ドライバーへの完全な公平性を改めて強調した。

    ピアストリ父が陰謀論を否定「裏では何も起きていない」
    噂の背景には、ピアストリ陣営とマネージャーのマーク・ウェバーがシーズン後半の幾つかの戦略判断に不満を抱き、他チームと接触しているのではという憶測があった。

    しかしクリス・ピアストリは Code Sports に対し、こう断言した。

    「舞台裏に何かあるなんて全く思わない。指摘できるものは何もない」

    「もし何かあると感じるなら、一番の戦い方はレースで勝って疑いを吹き飛ばすことだ。チームに無意識のバイアスがあったとしても、関係なくなる」

    またオスカー自身も“不当にタイトルを奪われた”といった感情は一切持っていないという。

    「彼がそんな角度で物事を見ることは絶対にない。そもそも事実ではないからね」

    オスカー・ピアストリ マクラーレン

    マクラーレン首脳陣も公平性を強調
    ザク・ブラウンは、ノリスが2026年にカーナンバー1をつけることについて「ピアストリは全く問題ない」と語り、両者への待遇に差があるとの見方を否定した。

    「ピアストリは将来の世界チャンピオンだ。2人は7勝ずつ挙げ、素晴らしいパフォーマンスでお互いを支え合った」

    アンドレア・ステラも次のように続けた。

    「今年のノリスとピアストリの差は非常に小さい。今日はワールドチャンピオン・ノリスだが、将来ピアストリがタイトルを獲る日が来ることを願っている」

    ノリスは比較論を一蹴「判断するのは皆さん」
    2025年の“最優秀ドライバー”論争では、フェルスタッペンこそが突出した存在だったとの声が多い。だがノリスはその議論自体に距離を置いた。

    「それを決めるのは皆さんだ。僕は毎週ベストを尽くすだけ。誰が良いとか、誰のマシンが悪いとか、好きに書けばいいさ。マックスが無敵か? そうは思わない。でも結局のところ誰にも分からないだろ?」

    ピアストリも冷静「ノリスはスーパーマンじゃない」
    ノリスが2026年にカーナンバー1をつけることも、ピアストリは気にしていない。

    「彼はランド・ノリスだよ。スーパーマンになったわけじゃない」

    一方で、シーズンを通して議論を要する点はあったと認める。

    「僕たちはシーズン中ずっと多くの話し合いをしてきたし、来年に向けてオフに話し合うこともあるはずだ。でもチームは僕とランドの両方に、世界選手権を公平に戦う最高の機会を与えてくれた。それ以上望むものはないよ」

  • マクラーレンF1 ブラウンとステラが語るノリス初戴冠「すべてが完璧に進んだ」

    マクラーレンF1 ブラウンとステラが語るノリス初戴冠「すべてが完璧に進んだ」

    アブダビGP決勝で3位に入ったランド・ノリスは、マックス・フェルスタッペンに2ポイント差をつけて2025年F1ワールドチャンピオンを獲得した。チームにとっては2008年以来となるドライバーズタイトルであり、マクラーレンは今季、コンストラクターズ選手権2年連続制覇も達成している。

    マクラーレンはタイトル決定戦となったアブダビで、フェルスタッペンとオスカー・ピアストリが1ストップ、ノリスが2ストップと異なる戦略を採用。

    序盤からシャルル・ルクレールにプレッシャーを受け、さらにレース中盤では角田裕毅とのオフトラックの攻防が調査対象になるなど、緊張感のある展開だった。それでもノリスは3位を守り抜き、タイトルを手中に収めた。

    ザク・ブラウン「すべてがうまくいった。信じられないレースだった」
    マクラーレンのCEOザク・ブラウンは、アブダビでの決定戦について「すべてが完璧に進んだ」と語り、ノリスの初タイトル獲得を称えた。

    「ただただ驚くばかりだ。信じられないレースだったし、最後まで席の端に座って見ていたよ」

    「シャルルがDRS圏内にいて、角田との場面も際どかった。オスカーは素晴らしい走りをしていたし、マックスはまるでマシンのようだ。そんなマックスやレッドブルのような素晴らしいチームと戦って勝つというのは大きな達成だ。ランドとオスカーという最高のラインナップと共にレースができて本当に誇らしい」

    続けてブラウンは、各場面に潜むリスクの多さを強調した。

    「ピットストップ、それからルクレールをカバーしなければならなかったこと。うまくいかない要素が山ほどあるなかで、すべてがうまくいった。長いシーズンだったよ」

    ランド・ノリス マクラーレン

    ドライバーズタイトルの重みはコンストラクターズと同等
    マクラーレンは今季、数戦を残してコンストラクターズ選手権を確定させていたが、ドライバーズタイトルはフェルスタッペンとレッドブルの猛追により最終戦までもつれ込んだ。

    「何がより重要なのかとよく聞かれるが、ドライバーズチャンピオンを勝ち取りたいというストレスや願望は、コンストラクターズと全く同じくらい大きかったよ」

    「本当に報われた気持ちだし、チーム全員、そして2人のドライバーのことを誇りに思う。来年またレースするのが楽しみだ」

    アンドレア・ステラ「どの戦略が正しいのか判断が難しかった」
    チーム代表アンドレア・ステラは、ノリスとピアストリを異なるタイヤでスタートさせ、フェルスタッペンの動きに対応する複雑な戦略を採用した理由を語った。

    「ピットウォールで話していたのは、とにかくルクレールをカバーしなければいけないということだった。そこから我々は守勢的で反応的な戦略に切り替えた」

    ピアストリに関しては別の狙いがあった。

    「オスカーについてはハードでできるだけ引っ張り、セーフティカーのチャンスをうかがった。最後にミディアムでフェルスタッペンを追えるかもしれないと考えたが、フェルスタッペンは今回も速すぎた。彼には勝利に値した走りだった」