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  • 2031年F1エンジン規則 有力案は2.4L V8ターボ 電動依存見直しで独誌報道

    2031年F1エンジン規則 有力案は2.4L V8ターボ 電動依存見直しで独誌報道

    F1は2031年に導入予定の次期パワーユニット規則に向けて議論を本格化させている。その中で、現行のハイブリッド依存からの見直しが焦点となる中、独Auto Motor und Sportが「2.4リッターV8ターボ案が有力」と報じた。

    2026年レギュレーションでは電動出力の比率が大きく引き上げられた一方で、エネルギー管理の複雑化やレース中の挙動変化が問題視されている。こうした流れを受け、F1は次の時代に向けた“競技性の再設計”を迫られている。

    今回浮上したV8ターボ案は、単なるエンジン形式の変更ではなく、「効率と競技性のバランス」を取り戻すための現実的な選択肢として位置づけられている。

    なぜ電動依存の見直しが議論されているのか
    2026年型パワーユニットは、電動出力が約350kWに達し、総出力の大部分を占める構造となった。しかし、バッテリー容量の制約によりフルパワーを持続できず、ドライバーはレース中にエネルギーの回収と使用を繰り返す必要がある。

    その結果、ストレートでの減速やコーナーでのリフトといった従来とは異なる挙動が生まれ、速度差の拡大が安全面の懸念にもつながっている。日本GPではこうした特性が顕在化し、議論を加速させる契機となった。

    F1 エンジン

    2.4L V8ターボ案が示す方向性
    独Auto Motor und Sportによれば、有力視されているのは排気量2.4リッターのV8ターボエンジンだ。この構成は、電動依存を抑えつつもターボを維持することで、現代の自動車技術との整合性を確保する狙いがある。

    ターボを残すことでメーカーにとっての技術的意義を保ちながら、エンジン主体の出力比率を高めることでドライバーの操作がより直接的にパフォーマンスへ反映される構造に戻すことができる。

    自然吸気復活が現実的でない理由
    一方で、ファンから根強い人気を持つ自然吸気エンジンの復活については、現時点では現実的な選択肢とは見られていない。最大の理由は、市販車技術との乖離だ。

    現在の自動車産業ではターボ化が主流となっており、F1に参戦するメーカーにとっても技術開発の方向性と一致させる必要がある。自然吸気への完全回帰は、参戦意義そのものに影響を与えかねない。

    2031年に向けた現実的な着地点
    今回の議論が示しているのは、「ターボか自然吸気か」という単純な二択ではない。焦点は、どこまで電動化を抑え、どのように競技性を回復させるかにある。

    その意味で、2.4L V8ターボという案は、現代の技術要請とレースとしての魅力を両立させる折衷的な解として浮上している。2031年に向けたF1の選択は、効率一辺倒からの転換点となる可能性が高い。

  • 2026年F1エンジンは「電力が尽きればスクーター並み」とアウディF1ビノット

    2026年F1エンジンは「電力が尽きればスクーター並み」とアウディF1ビノット

    2026年F1レギュレーションの施行により、各チームには新たな努力が求められている。それは「解釈する力」だ。言うまでもなく、F1に伴うレギュレーションの中に存在するいわゆるグレーゾーンや隠れた意味を見抜くことは、すでに確立された技術である。それでもなお、新規則はこれまで確信とされてきた幾つかのパラダイムを変えた。いつ、そしてどのように速く走るかという概念そのものだ。

    そう語るのは、アウディの2026年F1プロジェクトを率いるマッティア・ビノットである。彼は、新時代の最高峰カテゴリーの裏側には、ストップウォッチだけでは説明しきれない要素が数多く存在すると明かした。

    「挑戦の核心はエネルギーマネジメントになる」とビノットは語った。

    MGU-Hが廃止されたことで、電動モーターは最大350kWまで出力が増した。しかし逆説的に、それを活用することはより難しくなった。

    「1周の中で大きな回収のチャンスはない」

    さらに、加速時に使用できる電力は数秒しか持続しない。

    「コーナー出口で3〜4秒使えば、“電気の燃料”は終わりだ」

    その結果、総合出力約1000馬力を発揮できるのは加速時のみとなり、その後は急激に内燃エンジン主体の状態へと移行する。

    「今のF1エンジンと比べれば、まるでスクーターのエンジンのようなものだ」

    エネルギー回収が勝敗を分ける
    だからこそ、回収効率こそが技術的な主戦場となる。電動モーターで減速すること、減速開始を早めること、直線の一部を犠牲にして次の加速に備えること。これらすべてがパフォーマンスに直結する。

    「効率的に回収できるかどうかが、メーカー間の差になる」

    そのため2026年型マシンではリアブレーキが小型化される。減速の一部を電動システムが担うためだ。

    ドライバーの役割も変わる
    ドライバーにとっても未知の世界となる。マシンは従来とは異なる方法で減速し、加速する。電動モーターは、ドライバーがすでにアクセルを踏み始めている間も制動を続ける可能性がある。

    「ダウンシフト中でも扱いやすいエンジンでなければならない」

    トルク、回生、リアの安定性。その均衡を築くことが重要になる。

    ビノットは2014年のハイブリッド初年度と似た反応を予想している。最初は驚き、その後すぐに適応が進むと見る。

    F1 エンジン

    持続可能燃料も大きな鍵
    もう一つの重要要素は持続可能燃料だ。

    「燃料は影響する。10〜15馬力の差は、1周あたりコンマ4〜5秒に相当する」

    問題は排出量ではなく化学特性である。非化石燃料の開発は複雑で容易ではない。開発に失敗すれば代償は大きい。

    「どの時代の始まりでもそうだが、大きな差が出る可能性がある。シャシー、空力、エンジン…すべてだ」

    2014年ほど極端ではないにせよ、あるエンジンメーカーが抜け出す可能性は十分にある。

    直線は速く、コーナーは遅く
    空力面でも変化は大きい。直線でのパワーが減るため、ドラッグ低減が最優先課題となる。2026年型マシンはより効率的だが、ダウンフォースは減少する。

    「直線では速く、コーナーでは遅くなる」

    例えばバルセロナでは、最高速が20〜30km/h向上する一方、象徴的なターン3はフルスロットルではなくなる可能性がある。

    「開発が進めばダウンフォースは増えていく」

    マシンはより高い車高で走行し、ポーポイズ現象は大幅に抑制される。さらに抵抗低減のための“ダブルDRS”のようなシステムも導入される。

    ビノットは新車の第一印象についてこう語った。

    「とても軽いことに驚いた」

    MGU-Hの廃止によりサウンドも変わる。見た目も音も魅力的だ。しかしオーバーテイクはより難しくなる。電力をどこで使うかが戦略となるからだ。1本の直線に集中させるのか、それとも決定的な瞬間まで温存するのか。

    2026年は単に最速のマシンを持つ者ではなく、何が“本当に速い”のかを最も早く理解した者が勝つ時代となる。

  • 2026年F1新エンジンが「キャデラックとアウディを呼び込んだ」とドメニカリ

    2026年F1新エンジンが「キャデラックとアウディを呼び込んだ」とドメニカリ

    2026年F1シーズンから導入される新しいパワーユニット規則が、キャデラックやアウディといった大手自動車メーカーの参戦を引き寄せる決定的な要因になった。F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリは、新レギュレーションの方向性が自動車業界全体にとって魅力的なものだと強調している。

    2026年からF1は、新時代の技術レギュレーションに突入する。最大の特徴は、持続可能燃料を使用する内燃機関と電動エネルギーを50:50で組み合わせた新しいパワーユニットだ。

    この構成は、環境性能と高性能を両立させるという点で、市販車開発との親和性が高いとされている。

    F1のCEOであるドメニカリは、キャデラック、アウディ、そしてフォードといったブランドを惹きつけた背景について、その技術的選択の正しさを強調した。

    「とてもエキサイティングなことだ」とドメニカリはF1.comに語った。「キャデラックは世界で最も重要なメーカーのひとつだ。彼らは多大な投資を行うだろう」

    「彼らは新しいエネルギーをもたらしてくれる。その背景には、我々がレギュレーションに関して正しい技術的判断を下したという事実があると思う」

    「先進的な持続可能燃料を将来のパワーユニットの中心に据えていることが、我々の取り組みに対する大きな関心につながっている」

    2026年シーズンに向けてF1のグリッドには新たな顔ぶれが加わる。キャデラックは11番目のチームとしてF1に参戦し、フォードはレッドブル・パワートレインズと提携。さらにアウディはザウバーを引き継ぎ、ワークス体制でF1に臨む。

    ドメニカリは、この新しいパワーユニット構想がキャデラックだけでなく、他のメーカーにとっても大きな魅力だったと説明する。

    「このパワートレインはキャデラックを引きつけただけではない。アウディもいるし、ホンダもいる」と述べた。

    「我々にとって、これは本当に素晴らしい瞬間だ」

    エンジン F1

    ホンダは2025年限りでレッドブルとの関係を終え、2026年からはアストンマーティンと新たなパートナーシップを開始する予定だ。ドメニカリは、こうしたメーカーの動きこそがF1の現在地を示していると語る。

    「F1は常にイノベーションの最前線にあり、将来のコネクティビティ、魅力、注目を集めてきた。それが我々のやっていることだ」とドメニカリは続けた。

    「だからこそ、今日のF1はこれまでになく強い存在になっていると思う」

    さらにドメニカリは、新レギュレーションがもたらす技術的な刺激についても言及した。

    「新しいレギュレーションを導入する時というのは、常に我々の世界にとって大きな瞬間だ。技術的な観点から見ても刺激的で、注目を集める。それが“新しいもの”が持つ本質だ」

    「何百人ものエンジニアが最高の成果を目指して努力しており、その成果はF1の外の世界にも恩恵をもたらす」

    「ドライバーたちは新しいクルマをどう運転するかを理解する必要があるし、チームはどうセットアップするのが最善かを学ばなければならない。非常に魅力的な時期であり、誰もが2026年のレギュレーションを心待ちにしていることで、関心はさらに加速している」

  • FIA、2026年F1エンジンでメルセデスの「2014年再来」懸念を否定

    FIA、2026年F1エンジンでメルセデスの「2014年再来」懸念を否定

    FIA(国際自動車連盟)シングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、2026年に導入される新しいF1パワーユニットが、2014年のような一強時代を再現する可能性があるとの見方を否定した。

    F1は今季、過去12年で最大規模となるパワーユニットの変更を迎えている。内燃エンジンとバッテリーの出力比重がほぼ同等となり、電動要素の重要性が大きく高まった。

    こうしたレギュレーション変更は新規メーカーの参入も後押ししており、トンバジスはこの点を大きな成果だと評価している。

    「我々は各メーカーの性能数値に直接アクセスできるわけではない」とトンバジスはRacingNews365に語った。

    「ただ、新規参入をより現実的にするため、レギュレーションはいくつかの点で簡素化されている。実際に新規メーカーが加わっていること自体が成功の証だ」

    「忘れてはいけないのは、もしこのレギュレーション変更がなければ、現在F1にパワーユニットを供給しているメーカーは2社しかなかったという事実だ。それはスポーツにとって健全ではない。我々は今、5社に加えて、さらに1社(GM)が控えている。これは今回の変更があったからこそだ」

    エンジン F1 国際自動車連盟

    2014年にはメルセデスが圧倒的に優れたパワーユニットを投入し、その後数年にわたってF1を支配した。しかし今回は、同様の事態を防ぐための仕組みが導入されている。その中心となるのが、開発が遅れているメーカーに追加の開発機会を与えるADUOシステムだ。

    また、新世代パワーユニットではMGU-Hが廃止されるなど、構成自体も簡素化されている。こうした点を踏まえ、トンバジスは「2014年型の支配構造は再現されない」との見方を示した。

    「スタート時点で巨大な性能差が生まれないよう、ルールには意図的な簡素化を盛り込んだ」とトンバジスは述べた。

    「この簡素化によって、性能差は以前より小さくなるはずだ」

    「加えて、当時とはシミュレーション技術の水準がまったく違う。2014年には、最適解を大きく見誤ったメーカーがあった。単に細部が劣っていたのではなく、まったく別の次元に外れていた」

    「今年はそうはならないと考えている」

    さらに、コストキャップ下での開発規定も、後れを取ったメーカーが追いつくための余地を確保しているという。

    「開幕戦の時点で全員が数馬力差に収まるとは思っていない。もちろん、非常に良い位置にいるメーカーもいれば、苦戦するところもあるだろう」

    「それでも、できるだけ早くキャッチアップできるよう、必要な要素はすべて整えてある」

  • F1エンジン圧縮比論争 メルセデスの“マイクロ燃焼室”をFIAが容認した理由

    F1エンジン圧縮比論争 メルセデスの“マイクロ燃焼室”をFIAが容認した理由

    メルセデスの2026年F1エンジンを巡る圧縮比論争は、日を追うごとに沈静化しつつある。週初めに行われた新車発表の場で、トト・ヴォルフはメルセデスAMG F1 M17 E Performanceが完全にレギュレーションに適合していると改めて強調し、他メーカーに対して「行動を起こすべきだ」と強気の姿勢を崩さなかった。

    FIA(国際自動車連盟)は、メルセデス製6気筒エンジンが高温状態に達した際に圧縮比18:1相当へ到達することを可能にする技術について、合法との判断を下している。

    一方で、ジョー・バウアー率いる技術委員による静的検査では、エンジンが常温の状態で新レギュレーションに定められた16:1の圧縮比を満たしている。

    メルセデスが揺るぎない自信を示す背景には、規則文言そのものがある。国際自動車連盟が策定したパワーユニット規則は、常温状態での計測を基準としており、運転時の挙動について明確な制限を設けていない。PU部門を統括するニコラス・トンバジスのスタッフには、元フェラーリ所属でプジョーでの経歴も持つヴァンサン・ペレームが名を連ねており、メルセデス側は規則の解釈に一切の曖昧さはないと主張している。さらに、仮に規則が見直される事態となれば、法的措置も辞さない構えだとされている。

    Auto Motor und Sportによると、論点は金属の熱膨張によってシリンダーヘッドが変形し、圧縮比が上昇するという単純な仕組みではないという。メルセデスのエンジンには、各シリンダーごとに第2の「マイクロ燃焼室」が存在するとされている。この副燃焼室は、冷間時には燃焼室容積を確保することで16:1の圧縮比を成立させる役割を果たし、エンジンが高温状態になると、極めて高い圧力によって事実上機能を停止する構造だと伝えられている。

    理論上、この仕組みによる出力向上は約10馬力と試算されており、ラップタイム換算ではコンマ2秒程度に相当すると見られている。しかし、メルセデスの優位性はそれだけに留まらない。新たに導入される持続可能燃料は、18:1という高い圧縮比で最大効率を発揮する分子構造を前提に設計されている可能性があり、これによりさらなる性能向上が見込まれるという。発熱量の高い燃料は、重量面でも利点をもたらす可能性がある。

    この冬の間、メルセデスの圧倒的な優位性がたびたび指摘されてきたのは、こうした複合的な要因が背景にある。FIAは議論の的となっている技術に合法性のお墨付きを与えたが、他のエンジンメーカーは納得しておらず、開幕戦オーストラリアGPで抗議を提出する可能性も取り沙汰されている。

    こうした状況の中で、F1のCEO兼会長であるステファノ・ドメニカリは、極めて難しい立場に置かれている。俊敏なマシンによる新時代が始まろうとしているまさにその時に、エンジンを巡る全面対立が起きかねないからだ。ホンダ、フェラーリ、アウディ、そしてRBPTもまた、脇役に甘んじる意思はない。RBPTは、メルセデスの発想自体は以前から把握していたものの、自社のパワーユニットに実装する時間がなかったとも言われている。

    圧縮比 F1 エンジン

    この日はPUAC(パワーユニット・アドバイザリー・コミッティー)の会合が予定されているが、全会一致で可決されるような解決策が見出される可能性は低いと見られている。FIAがこれまでの判断を覆すことはできない以上、エンジン戦争という最悪の事態を回避するための“落としどころ”を探る必要がある。

    その一つとして挙げられているのが、ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)の活用だ。これは、内燃エンジンの開発を一定の財政支援付きで進めることを認める枠組みで、仮に第6戦マイアミGPの時点で、FIAが最も高性能なユニットとの差を2%と測定した場合、競争力回復のためにコスト上限を超えるリスクを回避する狙いがある。

    すべてのエンジンメーカーが、メルセデスに倣って第2のマイクロ燃焼室を設計しようとしているのは明らかだが、追いつくまでには時間を要する。早くても2027年以降と見る向きがある一方で、鋳造や切削加工ではなく、金属積層造形、いわゆる3Dプリンティングを活用すれば、より早期の実装も可能だという見方もある。デジタルモデルから複雑な三次元形状を短期間で製造できるこの技術により、早ければ夏の半ばにも導入できるのではないか、とも言われている。

    それまでの間の暫定策として、メルセデスが使用する燃料の発熱量を引き下げるという妥協案も浮上している。今季、FIAのフローメーターは燃料流量ではなくエネルギー量を測定する方式を採用しており、各e-fuelには、メーカーがホモロゲーションを申請するサンプルに基づいて発熱量が割り当てられる。この分野でも性能差が生じる可能性があり、エンジン開発競争は燃焼技術だけでなく、燃料の特性を巡る争いへと広がっていくことになりそうだ。

    この圧縮比論争がどのような形で決着するのか、その答えが見えてくるのは、まだ先のことになりそうだ。

  • レッドブル、立場転換 メルセデスF1エンジン“抜け穴”問題で他OEM側に合流

    レッドブル、立場転換 メルセデスF1エンジン“抜け穴”問題で他OEM側に合流

    レッドブルが、2026年F1レギュレーションを巡るメルセデスのF1エンジン“抜け穴”問題で、これまでの立場を転じる可能性が浮上した。

    報道によれば、これまで静観、あるいは黙認と見られていたレッドブルが、アウディ、フェラーリ、ホンダといった他のF1エンジンメーカー側と足並みを揃える方向に傾いているという。

    圧縮比を巡る解釈の違いが発端となったこの問題は、FIAやパワーユニット諮問委員会(PUAC)を巻き込む議論へと発展し、2026年F1エンジン勢力図を左右しかねない局面を迎えている。

    この“抜け穴”を巡る騒動が表面化したのは先月のことだ。新しい50:50配分のV6ハイブリッドでは圧縮比が16:1と規定されているが、メルセデスとレッドブルのパワートレイン部門はいずれも、圧縮比は外気温条件で測定されるという前提でパワーユニットを開発してきたとされている。

    その解釈に基づけば、走行中に温度が上昇した状態では、実質的に18:1まで高められる余地が生まれる。これは、内燃機関80:ハイブリッド20だった前レギュレーション周期と同じ数値だ。

    レッドブル・パワートレインズの責任者ベン・ホジキンソンは、フォードと共同開発した自社エンジンは完全に合法であると断言していた。また今週には、メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフも、自陣のパワーユニットについて「レギュレーションの書き方に合致している」と主張し、不満を示すライバル勢に対して強気の姿勢を崩していない。

    元レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーも、他のOEMであるアウディ、フェラーリ、ホンダがFIAに説明を求めて会合を要請する中で、メルセデスとレッドブル双方の独創性を評価する発言をしていた。

    エンジン F1

    レッドブルの立場転換が示す“実利”の判断
    一方で、これら3メーカーは、圧縮比を高温状態で測定できるようにルールを変更することを求めているとみられている。この変更が実現すれば、メルセデスは不利な立場に置かれる可能性がある。

    イタリア紙の報道では、FIAがこの案に前向きな姿勢を示したとも伝えられているが、現時点で公式な確認はなされていない。

    そうした中、別の報道によれば、FIAおよびPUACとの追加会合を経て、レッドブルが現在、アウディ、フェラーリ、ホンダと同じ立場に立っていることが明らかになったという。

    これは、ホジキンソンが抜け穴の使用を公に認め、その合法性に強い自信を示していた経緯を考えれば、極めて意外な動きといえる。

    背景には、レッドブル自身の解釈による抜け穴の活用では、想定していたほどのパフォーマンス上の利点が得られない可能性が判明したことがあるとみられている。

    仮にレッドブルが他の3メーカーと足並みを揃えれば、規則変更にはいわゆる「特別多数決」が必要となり、メルセデスにとっては不利な展開に見える。

    ただし、PUACの規定では、即時のルール書き換えにはFIAとFOMの同意も必要とされている。かつてのFISAとFOCAによる対立の時代はすでに過去のものとなっており、両者が同じ方向で投票する可能性は高いと考えられている。

    現時点までの兆候を見る限り、統括団体はメルセデスの解釈とその活用を容認してきた。

    FIAのシングルシーター部門責任者ニコラス・トンバジスは以前、新レギュレーションの抜け穴を突く行為は「自殺行為」になり得ると述べていたが、ヴォルフはFIA、そして会長のモハメド・ビン・スライエムを含め、組織全体がメルセデスと同じ認識にあると語っている。

    「我々が世界をどう見ているかは、今日のFIAの見解そのものだ」とヴォルフは述べた。

    「それがFIAの言ったことであり、会長自身の言葉でもある。その意味では今後を見守るしかないが、我々は自分たちの立場に強い確信を持っている」

  • F1エンジン圧縮比問題に“妥協案” PUACが提示した解決策と残された時間

    F1エンジン圧縮比問題に“妥協案” PUACが提示した解決策と残された時間

    新レギュレーション初年度のF1で、誰も“戦争”は望んでいない。立場が大きく対立していた状況のなか、開幕戦での抗議合戦を避けるための落としどころが見え始めたようだ。昨日開催されたPUAC(パワーユニット・アドバイザリー・コミッティ)の会合では、長時間にわたる協議の末、メーカー各社が一定の合意点に達したとされている。内燃エンジンの圧縮比は、静的検査では16:1であることを条件とするが、その検査はF1テクニカルレギュレーションに記載されている室温ではなく、高温状態で実施するという解釈が示された。

    PUACは意思決定機関ではなく、あくまで諮問機関である。そのため、この提案が実際に有効となるには、まずF1コミッションを通過し、その後FIA世界モータースポーツ評議会で正式に承認される必要がある。つまり、短期間で即座に解決できる話ではない。

    今回の複雑な力関係の中で、流れを変えたのはレッドブル・パワートレインズだったとみられている。バルセロナでのテスト後、ミルトンキーンズのエンジン部門はメルセデスに反対する陣営に加わる判断を下したという。低温時のFIA検査では16:1の制限を満たしつつ、運転温度に達すると圧縮比を18:1まで高められるメルセデスの手法から、同等の恩恵を受けられないと判断したためだ。

    その結果、ホンダ、アウディ、フェラーリはRBPTの支持を得て勢力図を塗り替え、メルセデスを孤立させる形となった。最初にFIAへ書簡を送ったのはホンダで、その要請に他の2社が即座に同調した。FIAは当初、このソリューションにゴーサインを出しており、メルセデスは技術委員からの書面での承認を得たうえでエンジンを完成させたとされる。

    F1 エンジン 圧縮比

    伝えられているところによれば、メルセデスのエンジンには、各シリンダーに第2の極小チャンバーが組み込まれたシリンダーヘッドが採用されている。このマイクロチャンバーは低温時のみ機能し、運転温度に達すると、これまでにない高圧によって隔離される構造だという。

    ここで浮上する当然の疑問は、ブリックスワースが新たな解釈に適合する解決策をどれだけ早く決定できるか、という点だ。FIA側が正式承認に至るまでの時間に加え、メルセデスが設計を見直すための猶予も必要になる可能性が高い(すでに代替案を用意している場合を除く)。この複雑なプロセスの末に、最終的にゴーサインが出るとは限らない。

    一部では、もしメルセデスが当初、問題視されているPUを投入せざるを得ない場合、ペトロナスが本来ホモロゲーションできたものより発熱量の低い燃料を用いて序盤戦を戦う可能性も示唆されている。議論の的となっている解決策で得られる理論上の約10馬力を相殺するためだ。燃料研究の進展は、この出力差をはるかに上回る影響を持つ可能性があるとも言われている。

    PUACで共有された共通認識は、抗議と反抗議の応酬による正面衝突を避けることにあるようだ。強硬姿勢を取れば、結局は全メーカーが損をするという認識が背景にある。

    目指されているのは勝者も敗者も生まない形で、解釈の余地が大きすぎる規則を見直し、全員が受け入れ可能な文言にまとめ直すことだ。極めて困難な作業ではあるが、率直な協力があれば不可能ではない。そうでなければ、混乱を避けることはできないだろう。

  • F1エンジン圧縮比論争 メルセデスのライバル勢が開幕前の規則変更を画策

    F1エンジン圧縮比論争 メルセデスのライバル勢が開幕前の規則変更を画策

    メルセデスのライバル陣営が、2026年F1シーズン開幕戦となるオーストラリアGPまでに、パワーユニットの圧縮比に関する規則変更案をまとめようとしていることが分かった。

    ただし、仮にメーカー間で合意に達したとしても、短期間で新規則を施行するにはFIAとFOMの支持が不可欠であり、その実現性は現時点では不透明だ。

    問題の発端は、圧縮比の上限を16:1と定めた現行レギュレーションの解釈にある。規則では、圧縮比の適合チェックは「常温状態」で行うと明記されており、メルセデスがエンジン稼働時、すなわち高温状態ではより高い圧縮比で運用できる手法を見出した可能性があると、ライバル側は疑念を抱いている。

    ここ数週間、メルセデス以外のメーカー間では、圧縮比をエンジン高温時に測定する新たな検査手順を導入できないか協議が続いてきた。今週に入ってからもFIAとの会合が2度行われ、月曜日には技術専門家会合、木曜日にはPUアドバイザリー委員会(PUAC)が開催された。

    一部では、これらの会合を経て新たな検査方法がシーズン開幕から導入されるとの報道もあったが、複数の関係者は「現行規則と検査方法は変更されていない」と否定している。それでも舞台裏では、ライバル勢が規則改定に向けた動きを加速させている。

    4メーカー結集で“即時改定”の条件が整う可能性
    関係者によると、ライバル陣営の狙いは、エンジン高温時に圧縮比を測定する新手順についてメーカー間で合意し、その案をPUACに提出して投票にかけることだ。早ければオーストラリアGP前の導入を目指しているという。

    検討されている方法には、走行中の車両にセンサーを装着して計測する案や、ガレージ内でエンジンが作動温度に達した状態で測定する案などが含まれている。

    注目すべきは、当初からこの問題に強く反発し、FIA宛てに共同書簡を提出していたフェラーリ、アウディ、ホンダに加え、レッドブルも支持に回る可能性が浮上している点だ。4メーカーが足並みを揃えれば、即時の規則変更に必要とされる「スーパーマジョリティ」の条件を満たすことになる。

    レッドブルは、メルセデスと同様の解釈で規則から利益を得られる可能性があると見られてきたが、期待した成果を引き出せなかったため、この抜け道を封じる側に回った可能性も指摘されている。

    PUACの規定では、パワーユニット規則の即時かつ重要な変更には、5メーカー中4社の賛成に加え、FIAとFOMの支持が必要だ。通常、FIAとFOMは同じ投票行動を取ることが多く、両者が分裂するのは極めて稀とされる。

    これまでの流れを見る限り、FIAは一貫して「圧縮比は常温で測定する」というメルセデス側の解釈を支持してきた。2026年のPUレギュレーションも、10月16日の改訂でその点が強調されている。

    エンジン F1

    ホモロゲーション目前 規則変更は事実上“時期尚早”か
    メルセデス代表のトト・ヴォルフは、オーストラリアGPでライバルが抗議に踏み切る可能性について問われ、「パワーユニットは合法だ。規則の文言にも、検査方法にも合致している」と主張している。

    「これはF1以外のエンジンでも一般的な測定方法だ。我々はFIA、そして会長の見解を踏まえ、現行規則が明確だと考えている。抗議については判断できないが、我々は揺るがない立場だ」と述べた。

    仮にFIAが開幕直前に測定方法を変更する判断を下せば、勢力図に大きな影響を及ぼす可能性がある。だが、パワーユニットの最終ホモロゲーションは3月1日に控えており、設計変更の余地はほぼ残されていない。

    そのため、ライバル勢が望むような即時改定が実現する可能性は低く、仮に方向転換があったとしても、早くて2027年からの適用になるとの見方が強い。

    ヴォルフは、他チームがこの問題に過度なエネルギーを割いていることに不満を示し、「他チームのことより自分たちに集中すべきだ。圧縮比だけでなく、他の点でもFIAとのコミュニケーションは常に前向きだった。規則は非常に明確だ」と語っている。

  • FIAがF1エンジン圧縮比論争に介入 メルセデスの“怪物PU”に不満噴出

    FIAがF1エンジン圧縮比論争に介入 メルセデスの“怪物PU”に不満噴出

    FIA(国際自動車連盟)は、メルセデスとレッドブルが2026年F1パワーユニット規則の抜け穴を突いているとライバル勢が主張している件について、最新の見解を明らかにした。

    問題となっているのは、内燃エンジン(ICE)の圧縮比だ。従来のF1レギュレーションでは18:1だったが、2026年からは16:1に引き下げられている。

    現在、この圧縮比は静的テストでのみ測定可能とされており、メルセデスとレッドブルはいずれも、静的条件下では規定の16:1を満たしている。

    一方で、エンジンが高温状態で稼働している際には、両チームがより高い圧縮比を実現できている可能性があると指摘されており、その効果は1周あたり最大0.3秒に及ぶとも報じられている。

    バルセロナでのシェイクダウンテストに先立ち、FIAは他のパワーユニットメーカーと会合を開き、高温状態での圧縮比を測定する方法について協議した。しかし、その場では実際に新たなテストを導入する合意には至らなかったため、現時点ではメルセデスとレッドブルのエンジンは合法とされている。

    その後、バルセロナ・シェイクダウン終了後に、FIAが改めて会合を開き、高温時の圧縮比を将来的にどのような枠組みで測定するかについて、技術専門家を交えて議論したことも報じられた。

    さらに、F1のパワーユニット諮問委員会(PUAC)の次回会合でも、このいわゆる「パワーユニットのトリック」について議論される予定だという。

    FIAの広報担当者は、GPFansに対して次のように説明している。

    「月曜日に、前回の会合を受けた形で、技術専門家を交えたテクニカル・ワークショップを開催し、加熱状態における圧縮比の測定方法について議論を行った」

    「木曜日の会合は、F1パワーユニット諮問委員会(PUAC)の定例会合であり、圧縮比の議論を受けて急きょ設定されたものではない」

    「PUACは、パワーユニットメーカーがレギュレーションについて意見交換を行う場として、年間を通じて定期的に開催されている」

    FIAからは、圧縮比に関するさらなるアップデートが今後発表される見込みだ。

    エンジン F1 国際自動車連盟

    トト・ヴォルフ、ライバル勢に強いメッセージ
    このエンジンの抜け穴を巡る騒動はメディアにも波及しており、メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは、ライバルに対して厳しい言葉を投げかけた。

    「なぜ一部のチームが、ここまで明確で透明な事案について、他人のことばかりに気を取られて議論を続けているのか、正直理解できない」とヴォルフは、メルセデスのシーズンローンチの場で語った。

    「FIAとのコミュニケーションは、圧縮比に限らず、他の事項についても常に非常に良好だった。特にこの件に関しては、レギュレーションに何が書かれているのか、標準的な手続きが何なのかは、非常に明確だ」

    「だから、いい加減に自分たちのやるべきことに集中すればいい。存在しないテスト方法を考え出したり、秘密裏の会合や書簡を重ねたりするよりもね。我々としては、余計な雑音を減らし、自分たち自身に目を向けることに努めている。それだけだ」

  • レッドブルF1、2026年PU規則に警鐘「エンジンの優位が固定化される恐れ」

    レッドブルF1、2026年PU規則に警鐘「エンジンの優位が固定化される恐れ」

    レッドブルは、2026年F1パワーユニット・レギュレーションが初期の勢力図を固定化してしまう危険性をはらんでいるとして、FIAのホモロゲーション制度に警鐘を鳴らした。

    2026年F1バルセロナ・シェイクダウンが終盤を迎えるなか、レッドブル・フォード・パワートレインの責任者ベン・ホジキンソンは、現行のホモロゲーション枠組みが、序盤で優位に立ったメーカーを意図せず利する可能性があると指摘する。

    パドック内では、メルセデスがすでに明確なベンチマークを築きつつあるとの見方が広がっている。

    「個人的には、ホモロゲーション制度は撤廃して、制限なしで全力で競争したい。それが本音だ」とホジキンソンは語った。

    「すでにコストキャップもダイノ(エンジンベンチ)の稼働制限もある。制約としては十分に足りていると思う」

    ホジキンソンは、パワーユニット開発がシャシー開発とは根本的に異なる時間軸で進む点が、規則策定側に十分理解されていないと強調する。

    「ルールを作る側が完全には理解していないと思うのは、パワーユニットのアイデアを成熟させるまでの時間は、シャシーよりもはるかに長いということだ」と説明した。

    「何かを変更する場合、単に2台のマシンをアップデートするわけではない。エンジンプール全体、つまり最大12基のエンジンを更新する可能性がある。それには時間がかかる」

    さらにホモロゲーション規則は、技術的なリスクテイクを抑制する方向に働くとも述べている。

    「完全に証明されていないものに賭けることはできない。それをやれば、非常に厳しい立場に追い込まれる」とホジキンソンは語る。

    「部品によっては製造に12週間、検証に同程度の時間、さらにレース用エンジンプールに投入するまでにも同じくらいの時間が必要になる」

    エンジン F1 レッドブル

    その結果、新しいパワーユニットのコンセプトが実際にレースで使える状態になるまで、半年以上、最長で36週間を要することもあるという。

    「こうした理由から、もし開幕戦の時点でパワーユニットに差があれば、他が追いつくまでには相当な時間がかかることになる」とホジキンソンは警告した。

    この発言は、バルセロナでの走行を通じてメルセデスが頭一つ抜けた存在と見られている状況と重なる。2014年のハイブリッド時代初期を想起させるとの声も出ている。一方で、デビューイヤーとなるレッドブル・フォードの新パワーユニットも、水面下では好印象を残しており、チームが公の場で期待値を抑えているのとは対照的だ。

    ウィリアムズのチーム代表ジェームス・ボウルズは、レッドブルの取り組みを「見事な仕事だ」と評価している。また、一部で囁かれたオーバーヒートの噂についても、実際にドライバーがサーキットで走行を重ねることで打ち消されつつある。

    レーシングブルズで同ユニットをテストしたリアム・ローソンも、手応えを口にした。

    「信頼性は良好だ。そこはクリアできたと思う」と、ローソンはバルセロナで語っている。