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  • カルロス・サインツJr. フェラーリF1加入の舞台裏「6年分のデータ分析に驚いた」

    カルロス・サインツJr. フェラーリF1加入の舞台裏「6年分のデータ分析に驚いた」

    カルロス・サインツJr.が、2021年にフェラーリへ加入する際に行われた選考の舞台裏を振り返った。フェラーリはサインツJr.の過去6年間にわたるパフォーマンスを詳細に分析し、ダニエル・リカルドを含む候補者と比較。そのデータの細かさに本人も驚いたという。

    セバスチャン・ベッテルが2020年限りでフェラーリを離れることが決まると、その後任をめぐってドライバー市場は大きく動いた。

    当時マクラーレンに所属していたサインツJr.が最終的にそのシートを獲得し、2021年からシャルル・ルクレールのチームメイトを務めることになった。

    ドライバー契約に至るまでのチーム内部の選考過程が公になることは少ない。しかしサインツJr.は、フェラーリがなぜリカルドを含む他の候補者ではなく自分を選んだのか、その背景にあった徹底的なデータ分析について明かした。

    フェラーリが用意した「過去6年間」の詳細データ
    サインツJr.によれば、契約前の段階で当時フェラーリのチーム代表だったマッティア・ビノットと、スポーティングディレクターを務めていたローラン・メキースから、自身のパフォーマンスを分析した資料を見せられたという。ビノットは現在アウディ、メキースはレッドブルのチーム代表を務めている。

    「フェラーリに行ったときのことを覚えている。当時、マッティア(ビノット)とローラン(メキース)が、過去6年間の僕のパフォーマンスをチームメイトと比較した資料を見せてくれたんだ」

    その内容はサインツJr.の想像をはるかに超えるものだった。

    「彼らが僕についてどれだけ多くのことを把握していたのか、本当に驚いた。マクラーレン、ルノー、トロロッソにいた頃のことまで、彼らが知っているとは思っていなかった」

    「ウエット、ドライからウエットへの変化、ドライ、予選といった細かいデータまで持っていた。彼らは僕を徹底的に分析していて、それが理由で僕を選んだんだ」

    フェラーリは単純なレース結果や獲得ポイントだけではなく、コンディションやセッションごとのパフォーマンスまで細分化してサインツJr.を評価していた。

    さらに、フェラーリ側が分析によって導き出した弱点も、サインツJr.自身の認識と一致していたという。

    「その後、彼らが僕に改善できると考えている統計上のポイントも見せてくれた。それを見て、『それは僕自身も改善しなければならないと思っていた部分だ』と感じたよ」

    リカルドらとの比較を経てサインツJr.を選択
    当時、フェラーリの候補にはサインツJr.だけでなく、ダニエル・リカルドをはじめ複数のドライバーが含まれていた。

    ベッテルの離脱が決まったことで注目を集めたフェラーリのシート争いだったが、最終的にチームは詳細な分析をもとにサインツJr.を選択した。

    「チームが実際にここまで細かいレベルで見ているということに、僕はまったく心の準備ができていなかった」

    「フェラーリのようなチームが僕を分析して、ダニエル・リカルドや他のフェラーリのシート候補よりも僕を選んだ。そのことには驚いたよ」

    「トップチーム、あるいはそれだけのツールを持っているチームが、ここまで細かい部分を見ることができるんだと知って、いい意味ですごく驚いた」

    サインツJr.は2015年にトロロッソからF1デビューし、その後ルノー、マクラーレンを経て2021年にフェラーリへ加入。マラネロでは4シーズンを過ごし、グランプリ4勝を挙げた。

    フェラーリのドライバー選考では、知名度や単純な成績だけではなく、複数チームで積み重ねた6年間の膨大なパフォーマンスデータが判断材料となっていた。サインツJr.がリカルドらとの競争を制して名門のシートを手にした背景には、本人さえ想像していなかったほど詳細な分析が存在していた。

  • ジョージ・ラッセルが婚約 F1パドックから祝福 アントネッリらも反応

    ジョージ・ラッセルが婚約 F1パドックから祝福 アントネッリらも反応

    メルセデスF1のジョージ・ラッセルが、長年交際してきたパートナーのカルメン・モンテロ・ムントとの婚約を発表した。夏休み中にビーチでプロポーズしたとみられ、F1関係者から相次いで祝福のメッセージが寄せられている。

    ラッセルは自身のSNSに婚約指輪と白いハートの絵文字だけを添え、4枚の写真を投稿。写真にはビーチに設けられたキャンドルライトのディナーの様子が収められており、そこでムントにプロポーズしたとみられる。

    2020年から交際を続けるラッセルとカルメン
    ラッセルとムントは共通の友人を通じて知り合い、2020年初頭から交際を開始した。以来、ムントはF1のグランプリ週末にも頻繁に姿を見せ、ラッセルを支えてきた。

    スペイン出身のムントは18歳で高等教育を受けるためイギリスへ移住。ウェストミンスター大学でビジネスマネジメントとファイナンスの学位を取得し、金融業界でキャリアを築いてきた。また最近では、スキンケアブランド「Barriers」を立ち上げている。

    ラッセルは以前から、ムントが自身のレース人生において重要な存在であることを公言していた。

    2026年6月の『The Times』のインタビューでは、ムントとの関係について次のように語っている。

    「カルメンはレースに関して僕に安定をもたらしてくれるし、レースから切り離してくれる存在でもあります」

    さらに結婚の可能性を尋ねられると、ラッセルは将来をともにする意思を明確にしていた。

    「間違いなく彼女は僕の未来です。だから、いずれは(結婚することを)願っています。来週ということはないけど、5年以上先ということもない。その間のどこかですね」

    その発言から約2カ月後、ラッセルは実際に婚約を発表することになった。


    アントネッリやガスリーらF1関係者が祝福
    ラッセルの投稿には発表直後から多くの反響が寄せられ、メルセデスのチームメイトであるアンドレア・キミ・アントネッリも祝福した。

    「2人ともおめでとう!」

    さらにピエール・ガスリーをはじめ、メルセデス、ウィリアムズ、F1公式、アレクサンダー・アルボンの婚約者リリー・ムニ・ハーらも祝福のメッセージを送った。

    Motorsport.comによると、投稿は記事執筆時点ですでに64万5000件以上の「いいね」、2万件のコメント、3万7000件以上のリポストを記録しており、大きな反響を呼んでいる。

    ラッセルは今回、長年にわたって自身を支えてきたムントとの新たな一歩を踏み出した。夏休みを終えれば、今月末のF1オランダGPから再びタイトル争いに臨むことになる。

  • ガブリエル・ボルトレト アウディF1参戦で実感した変化「もう別のチーム」

    ガブリエル・ボルトレト アウディF1参戦で実感した変化「もう別のチーム」

    ガブリエル・ボルトレトは、アウディがF1に参戦してザウバーを引き継いで以降、チームが「まったく異なる状況」になったと語った。特に大きく変わったのは、資金面だけではなく、チーム全体のメンタリティだという。

    アウディは2026年のF1新パワーユニット規則導入に合わせてワークス参戦を開始。長年F1に参戦してきたザウバーを買収し、ヒンウィルのシャシー部門とノイブルクのパワーユニット部門を軸に、将来的なトップチーム入りを目指すプロジェクトを本格始動させた。

    「現実として今はまったく違う状況」
    ボルトレトは、過去18カ月ほどでザウバーからアウディへと移行していく過程を間近で見てきた。そのなかで最も強く感じているのが、チーム内部の意識の変化だ。

    「そうだね、本当に違いを感じる。特にメンタリティは大きく変わった」

    「昨年までのチーム、そしてそれ以前の長い歴史に対しては大きな敬意を持っている。でも、実際のところ、僕たちは今まったく違う状況にいる」

    ザウバーは長いF1参戦歴を持つ一方、近年はトップチームと比較して予算やリソースに制約があり、競争力を高めるうえで厳しい状況に置かれていた。

    しかし、アウディという大手自動車メーカーが全面的にプロジェクトを支える現在、その前提自体が変わったとボルトレトは説明する。

    「僕たちにはアウディの支援がある。メーカーとして参戦していて、自分たちでエンジンも作っている。アウディから多くの資金的なサポートも受けている」

    「だから、過去のザウバーが経験していたかもしれないような意味で、僕たちは苦しんでいるわけではない。そして、メンタリティも変わる。僕たちは将来、大きなことを成し遂げたいと思っている」

    明確になったアウディF1の目標
    潤沢な資金やメーカーとしての技術基盤だけでなく、それによって働くスタッフの姿勢にも変化が表れているという。

    アウディはF1参戦を単なるブランド活動として位置づけているわけではない。将来的にタイトルを争うことを目標に掲げ、そのためにヒンウィルとノイブルクの両拠点で体制強化を進めている。

    ボルトレトは、その目標がチーム内部で明確に共有されていることが重要だと考えている。

    「チーム内では目標が明確になっている。そして、その目標を達成するために取り組んでいる」

    「昨年から今年にかけて、本当に違いを感じる。みんなの振る舞い方もそうだし、仕事への取り組み方も変わっている」

    アウディへの移行によって変わったのは、マシンに投入できる予算や設備だけではない。チームが何を目指し、そのためにどう働くのかという組織文化そのものが変化しつつあるとボルトレトは感じている。

    ガブリエル・ボルトレト(アウディF1)

    初のF1パワーユニット開発を評価
    アウディF1プロジェクトの大きな特徴が、パワーユニットを自社開発する完全なワークス体制であることだ。

    ドイツ・ノイブルクではF1用パワーユニットの開発が進められており、ヒンウィルのシャシー部門とともにアウディのF1活動を支える重要な拠点となっている。

    ボルトレトは、前年までは直接一緒に仕事をしていなかったノイブルクのスタッフが加わったことで、組織の規模と可能性が大きく広がったと語る。

    「今ではノイブルクにも素晴らしいチームがある。昨年は基本的に一緒に仕事をしていなかった人たちが、そこでパワーユニットを作っている」

    「新しいレギュレーションの初年度に、しかも初めてF1エンジンを作って、彼らが成し遂げたことは、僕の意見では本当に素晴らしいことだ」

    2026年のF1ではパワーユニット規則が全面的に刷新され、アウディにとってはその新規則への対応とF1用パワーユニットの初開発を同時に進めるという大きな挑戦となった。

    その状況を考えれば、初年度から実戦で戦えるパワーユニットを完成させたこと自体をボルトレトは高く評価している。

    「まだ遅れている」課題も冷静に認識
    一方で、ボルトレトは現在のアウディがすでに目標とするレベルへ到達したとは考えていない。

    チームには改善すべき部分が残されており、特にトップ勢とのギャップを縮めるには継続的な開発が必要になる。

    「もちろん、まだ改善しなければならないことは分かっている。もっと良くしていく必要がある。僕たちが遅れていることも分かっている」

    それでも、F1参戦初年度に自社製パワーユニットを投入するという仕事の難しさを考えれば、現在までの成果を過小評価すべきではないと強調した。

    「彼らがやったことは簡単ではない。本当に称賛したい」

    「これからもプッシュし続けて、このやり方で仕事を続けていく。そして将来、僕たちは大きなことを成し遂げられると思っている」

    ザウバー時代には予算やリソース面で制約を抱えていたヒンウィルのチームだが、アウディのワークス参戦によって置かれた環境は大きく変わった。ボルトレトが強調するのは、単に資金が増えたという変化ではなく、それによって目標と働き方、そしてチーム全体の意識まで変わったという点だ。

    まだトップ勢との差を認めるアウディだが、自社製パワーユニットを含む完全ワークス体制を構築した初年度を土台として、長期的な目標であるF1のトップチーム入りに向けたプロジェクトを進めている。

  • F1が2027年に空力開発を相次ぎ禁止 FIAが警戒する「2022年の失敗」

    F1が2027年に空力開発を相次ぎ禁止 FIAが警戒する「2022年の失敗」

    F1では2027年に向け、2026年シーズンに各チームが開拓した複数の空力デバイスが禁止される。対象にはエキゾースト周辺のウイング、リアウイングのハンガー延長、そしてモナコGP以降に広がったアクチュエーターフェアリングのウイングレットなどが含まれる。

    FIAは、これらの規制強化について単なる開発競争の抑制だけが目的ではないと説明する。最大の狙いは、マシン同士が接近して走れるという現行レギュレーションの基本コンセプトを守ることだ。

    2022年に導入したグラウンドエフェクト規則では、当初は改善された後続車の空力性能が数年間の開発によって大幅に悪化した。

    その失敗を繰り返さないため、FIAは早い段階で手を打つ。

    2027年F1で禁止される主な空力開発
    2026年の新レギュレーションでは、チームが想定以上のスピードで細かな空力上の余地を発見した。その代表例が、排気流周辺を利用する「エキゾーストウイング」だ。

    さらにリアウイングでは、支持構造であるハンガーを延長して空力的に利用するアイデアも登場。モナコGP以降には、リアウイングのアクチュエーター周辺に設けられたフェアリングを利用し、小型ウイングレットを形成する開発も各チームに広がった。

    FIAはこうした領域を2027年規則で規制する。目的のひとつはダウンフォースを抑えることであり、もうひとつは限られた小さな領域を巡って巨額の開発費が投入される「開発戦争」を防ぐことにある。

    ただし、FIAは空力設計を完全に画一化する考えではない。チームが独自のアイデアを生み出せる余地を残しながら、レギュレーションの根幹を損なう方向への開発だけを封じる方針だ。

    2022年F1で起きた「追い抜きやすさ」の後退
    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、現在の2026年型F1マシンについて、後続車が受けるダウンフォース低下は2022年シーズン開幕時と同程度の水準にあると説明する。

    2022年の規則は、前を走るマシンが発生させる乱流の影響を抑え、後続車が接近しやすくすることを大きな目的として導入された。

    当初、前走車から10メートル後方でのダウンフォース低下は約15%、20メートルでは約5%だった。しかし各チームが規則の自由度を利用して空力開発を進めた結果、数年後には10メートルで約35%、20メートルでも約15%まで悪化した。

    つまり、マシンそのものは速くなった一方で、後続車にとっては再び走りにくい環境になっていった。

    「2022年選手権のスタート時と似たところにいると思う。ただ、今年の方が少し堅牢だと思っている」

    トンバジスは2026年規則についてそう評価する。

    「チームはいろいろな空力ソリューションを導入してきたが、コンセプトそのものを壊すようなものはまだ見つけていない」

    FIAが学んだフロントウイングとフロアの教訓
    前世代のレギュレーションで問題となったのは、規則上残されていた設計自由度だった。

    「以前のレギュレーションでは、コンセプトを大きく損なったものがいくつかあった。主にフロントウイングのエンドプレート、フロアエッジ、そしてフロントホイール周辺に付けられたさまざまな空力パーツだ」

    「それらすべてが後流の特性をかなり悪化させた。我々はそこから学んだ。今回は同じような問題が存在しないことを願っている」

    フロントウイングやフロアの開発によって前輪周辺の乱流を外側へ押し出す「アウトウォッシュ」が強まり、それが後続車に届くウェイクを悪化させたことが、2022年規則の狙いを徐々に損なう要因となった。

    2026年規則では、この経験を踏まえて空力的な自由度の与え方そのものが見直されている。

    国際自動車連盟 フォーミュラ1カー

    エキゾーストウイングはFIAにも想定外
    もっとも、FIAが2026年の空力開発をすべて予測できていたわけではない。

    トンバジスは、エキゾースト周辺の開発など一部のアイデアについては想定外だったことを認める。

    「例えば、エキゾーストを使ったソリューションが出てくるとは予想していなかった。ボディワークについてもいくつかのソリューションがあり、それについてはすでに来年に向けて修正している」

    一方、リアウイングのアクチュエーター周辺については、2027年から合法領域を狭めるものの、完全に設計の余地をなくすわけではない。残されたスペースを利用して、各チームが新たなアイデアを考案する可能性は残る。

    「全体として、チームにとってマシン開発が興味深いチャレンジであり続けるようにしたかった」

    「完全に制限する方向には進まなかった。設計自由度を残しながら、パフォーマンスが徐々に収束していくという意味では、それほど悪い位置にはいないと思う」

    トンバジスは、現在もチーム間には「妥当な性能差」が存在するとしながら、今後6カ月ほどで徐々に収束していくとの見通しを示した。

    2026年F1マシンは「簡単に運転できない」ことも狙い
    2026年の新パワーユニット規則についてはドライバーから不満も出ている一方、シャシーについては比較的好意的な評価が聞かれている。

    前世代のグラウンドエフェクトカーで問題となった極端に硬いサスペンションや低い車高が緩和され、ダウンフォースも減少。コーナーではドライバーがより積極的にマシンを操る必要がある。

    トンバジスは、それも意図したものだと語る。

    「ドライバーにとって、今でもかなり難しいマシンだと思う。誰にでも運転できるようなクルマではないというのは良いことだ」

    「空力規則の一部によって、チームはコーナーのあらゆる局面を完璧に解決することができなくなっている。だからこそドライバーには課題が残る」

    そして、その考えをユーモアを交えて表現した。

    「世界最高の22人のドライバーがいるのだから、僕のおばあちゃんでも簡単に運転できるようなマシンであるべきではない」

    また、車高を以前より高くしたことで身体的な厳しさも軽減された。

    「車高も少し上げたので、昨年ほど過酷ではない。それに少し軽く、小さくなった。そこはドライバーたちにも評価されている」

    次世代F1では「さらに80kg軽量化」が目標
    FIAは2026年規則の方向性には一定の手応えを得ているものの、現在のマシンを最終形とは考えていない。

    トンバジスが次世代F1マシンで特に重視しているのが、さらなる軽量化と小型化だ。

    「我々が望んでいるところまで来ているかと言えば、ノーだ」

    「さらに80kgほど軽くしたいし、もう少し短く、もう少し小さくしたい」

    「それが目標だ。今回可能だったところから、さらに大きな一歩を踏み出したい」

    2027年の空力規制は、単純に革新的なアイデアを禁止するためのものではない。FIAが重視しているのは、2022年に経験したように、開発競争によって「接近して戦えるF1」という規則の根本思想が数年で失われることを防ぐことだ。

    エキゾーストウイングなど想定外のアイデアには早期に規制を加える一方、技術競争そのものは残す。2027年の変更は、開発の自由とレースの質を両立させるための調整という位置づけになる。

  • レッドブルF1に“フランス化”への懸念 メキースの人事に内部から疑問

    レッドブルF1に“フランス化”への懸念 メキースの人事に内部から疑問

    レッドブル・レーシングで、チーム代表ローラン・メキースが進める組織改革をめぐり、一部のスタッフから「フランスのチームになりつつある」との声が上がっているという。クリスチャン・ホーナーの後任として就任してから1年あまり、メキースは徐々に自身の色を組織に反映させている。

    近年のレッドブルでは、エイドリアン・ニューウェイをはじめ、ロブ・マーシャル、ジョナサン・ウィートリー、ウィル・コートネイ、クレイグ・スキナーら長年チームを支えてきた主要スタッフが相次いで離脱。

    さらにポール・モナハンもチームを離れ、キャデラックへ移籍するとみられており、英国人を中心に構成されてきたミルトンキーンズの組織は大きな転換期を迎えている。

    ニューウェイ離脱後に変わったレッドブルの勢力図
    レッドブルは長年、英国を拠点とする技術者を中心に強力な組織を築いてきた。しかし、相次ぐ幹部の離脱によって、その構造は急速に変化している。

    ニューウェイが去った現在、テクニカルディレクターのピエール・ワシェは、ミルトンキーンズの技術部門で最も大きな影響力を持つ人物のひとりとなった。

    そして、ホーナー時代の終焉後に進められている人事で特に注目を集めているのが、メルセデスからグウェン・ラグルーを獲得したことだ。

    ラグルーはメルセデスで約10年間にわたってドライバー育成部門を担当し、ジョージ・ラッセルやキミ・アントネッリらのF1昇格を支えてきた人物である。2027年からレッドブル・ジュニアチームのディレクターに就任し、事実上、長年若手育成を取り仕切ってきたヘルムート・マルコの役割を引き継ぐことになる。

    また、フェラーリからコンサルタントとして加入したジーノ・ロサートは、カナダのフランス語圏であるケベック出身だ。

    メキースの人事にレッドブル内部から疑問
    F1 Insiderのラルフ・バッハによると、レッドブル内部では、フランス人のメキースが自身と近いバックグラウンドを持つ人物を周囲に集めているのではないかと見る向きがあるという。

    その狙いについてバッハは、純粋な競争力向上だけではなく、メキースが組織内部の安定を重視している可能性を指摘した。

    「彼は自分の周囲に人を集め、政治的な平穏を確保しようとしている。必ずしも彼を前進させてくれる人ではなくても、少なくとも問題を起こさない人たちを求めているということだ」

    「これはレッドブルの人たちと話していて出てくる話のひとつだ」

    もっとも、ラグルーの起用が単純に国籍を理由としたものなのかについて、バッハ自身も断定していない。

    「彼(ラグルー)がフランス人なのは偶然なのか? それは分からない。ただ、レッドブル内部には『もう本拠地をル・カステレかマニクールに移せばいい』という声もある。要するにフランスへ移転してしまえということだ。どうせフランスのチームになりつつあるんだからね」

    メキースが目指すのは安定か、それとも新たなレッドブルか
    こうした「フランス化」という表現には皮肉も含まれているが、その背景にはレッドブルの組織文化が大きく変わりつつあることへの警戒感がある。

    ホーナーのもとで長期間にわたって形成された経営体制に加え、ニューウェイ、ウィートリー、マーシャルらが担ってきた技術・運営面の中核もすでに大きく様変わりした。そこにメキースが新たな人材を配置することで、従来とは異なる権力構造が形成され始めている。

    一方、ラグルーはメルセデスで若手育成の実績を残しており、その招聘自体には明確な理由がある。ワシェも長年レッドブルの技術部門を支えてきた人物であり、フランス人スタッフが要職を占めているという事実だけで、人事の意図を判断することはできない。

    F1では、同じ国籍や過去に仕事をともにした人物が新たな責任者の周囲に集まること自体は珍しくない。重要なのは、その人事によって組織の安定と競争力を両立できるかどうかだ。

    レッドブル・レーシングに加入するグウェン・ラグルー

    アルピーヌとは対照的な“フランス化”
    興味深いのは、本来「フランスのF1チーム」であるアルピーヌが、実際には英国オックスフォードシャーを活動拠点とし、現在はルノー製パワーユニットも使用していないことだ。

    アルピーヌの実権を握るフラビオ・ブリアトーレはイタリア人で、マネージングディレクターのスティーブ・ニールセンは英国人。一方で英国ミルトンキーンズを本拠地とするレッドブルでは、フランス人のメキースとワシェが重要なポジションを担い、さらにラグルーが加わろうとしている。

    もちろん、これだけでレッドブルが文字通り「フランスのチーム」になるわけではない。それでも、内部からこうした冗談交じりの声が聞かれること自体、ホーナー時代から続いてきたレッドブルの組織が大きな変革期にあることを象徴している。

    メキースが進める人事が組織に安定をもたらすのか、それとも一部スタッフが懸念するように新たな軋轢を生むのか。最終的な評価を決めるのは国籍ではなく、再編されたレッドブルがF1でどのような結果を残すかになりそうだ。

  • ホンダF1 スペック2の改良内容を公開 オランダGP投入へ「目標を達成」

    ホンダF1 スペック2の改良内容を公開 オランダGP投入へ「目標を達成」

    ホンダ・レーシング(HRC)は、2026年F1オランダGPで新仕様の「スペック2」パワーユニットを投入する。HRCのトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原慎太郎が、燃焼室やピストン、潤滑システムにまで及ぶ改良内容の一端を明らかにした。

    ハンガリーGPで行われたインタビューで、折原慎太郎はホンダでF1に携わることになった経緯や、アストンマーティンとの関係、そしてオランダGPから投入予定のスペック2について質問に答えた。

    燃焼高速化を狙ったスペック2
    ホンダが現在、最も力を注いでいるのがパワーユニットの性能向上だ。折原慎太郎は、スペック2では燃焼そのものに手を加えていることを明かした。

    「僕たちはエンジン性能の向上に集中しています。たとえば、燃焼をより速くすることです。ある意味では秘密なのですが、少しだけお話しできます」

    「燃焼を速くするためにプレチャンバーを変更しました。また、より良い燃焼を得るためにピストンの形状も変更しています」

    改良は燃焼系だけではない。内部の機械的損失を減らすため、潤滑システムにも変更を施したという。

    「さらに、フリクションを低減するために潤滑システムの一部も変更しました。そのため、エンジン性能を向上させるために、かなり大きなリスクを取っています」

    2026年のF1パワーユニットは新たな技術規則の下で開発されており、シーズン中の性能向上は各メーカーにとって重要なテーマとなっている。ホンダもHRC Sakuraを中心に改良を続け、スペック2で設定していた社内目標に到達したという。

    「具体的な数値についてはお話しできませんが、社内で設定していた目標は達成できました。HRC Sakuraのメンバーがスペック2エンジンで成し遂げた仕事には自信を持っていますし、とても楽しみにしています」

    「オランダに新しいスペックのエンジンを持ち込みます。そこで自分たちがどの位置にいるのかを確認したいと思います」

    アストンマーティンとの関係も「かなり良い位置」
    2026年からワークスパートナーとして組むアストンマーティンとの関係についても、折原慎太郎はシーズンを戦うなかで着実に深まってきたと説明した。

    「アストンマーティンとホンダの関係は、トラックサイドだけでなくファクトリー側でも発展してきました」

    「最初から関係は良かったですが、厳しい時期も一緒に経験しました。シーズンを通してそうした難しい時間を乗り越えることで関係を築いてきましたし、今はかなり良い状態にあると思っています」

    新規則初年度ということもあり、マシンとパワーユニット双方を最適化していくには密接な連携が不可欠だ。実戦を重ねることで、アストンマーティンとホンダのコミュニケーションも成熟してきたという認識だ。

    ホンダ・レーシング / ホンダF1

    高校時代から目指していたF1エンジニア
    折原慎太郎は自身がF1エンジニアを志したきっかけについても語った。

    「高校生のころからF1エンジニアになりたいと思っていました。そして最終的に、ホンダがF1で自分がどこまでできるのか挑戦する機会を与えてくれました」

    F1エンジニアを目指す若者へのアドバイスとして強調したのは、「諦めないこと」だった。

    「僕自身の経験から言えば、とても大切なのは決して諦めないことです。F1エンジニアになりたいと言い続けること、そして挑戦し続けることだと思います」

    また、ホンダならではの特徴として、市販車部門とモータースポーツ部門の間でエンジニアやメカニックが行き来する人材育成の文化を挙げた。

    「技術そのものは市販車のプロジェクトとは大きく異なります。ただ、ホンダではF1という世界でエンジニアを育ててきました。そこはホンダ独自の文化だと思います」

    「エンジニアやメカニックが市販車のプロジェクトからF1へ移り、逆にF1から市販車のプロジェクトへ移ることもあります。F1の大きなプレッシャーや素早い対応が求められる環境のなかで、エンジニアやメカニックの能力を高めてきました」

    燃焼室やピストン形状、潤滑システムまで変更し、一定のリスクを取って性能向上を狙ったホンダのスペック2。HRC Sakuraが目標としていた性能を達成したという新仕様が、オランダGPでアストンマーティンの競争力をどこまで押し上げるのかが注目される。

  • F1第2四半期の営業利益61%減 レース減少が直撃もドメニカリCEOは成長に自信

    F1第2四半期の営業利益61%減 レース減少が直撃もドメニカリCEOは成長に自信

    F1の2026年第2四半期決算で、売上高が前年同期比38%減、調整後OIBDA(減価償却前営業利益)が61%減となったことが明らかになった。

    一見すると大幅な業績悪化だが、主因は中東情勢によるバーレーンGPとサウジアラビアGPの中止や開催時期の変更などにより、第2四半期に実施されたレース数が前年の9戦から5戦へ減少したことにある。

    F1のステファノ・ドメニカリCEOは、年間では22~23戦を確保できる見通しを示し、今後はスプリントの増加やプレミアム体験、ライセンス事業などを通じて収益拡大を図る方針を明らかにした。

    F1売上高38%減 営業利益は大幅に縮小
    F1を傘下に持つリバティ・メディアが発表した2026年第2四半期決算によると、4月から6月までのF1の売上高は7億6400万ドルとなり、前年同期の12億2000万ドルから38%減少した。

    営業利益も前年同期の2億9300万ドルから7300万ドルへ大幅に減少。調整後OIBDAは3億6100万ドルから1億3900万ドルとなり、前年同期比61%減を記録した。

    ただし、この数字だけでF1の事業そのものが急速に悪化していると判断するのは適切ではない。2026年はカレンダー構成が前年から大きく変化しており、第2四半期に開催されたレース数そのものが大幅に減っているためだ。

    2025年第2四半期には9戦が開催されたのに対し、2026年は5戦のみ。レース数は44%減少しており、売上高の38%減は開催数の減少と密接に連動している。

    中東情勢と日程変更で第2四半期は4戦減
    レース数減少の背景には、開催時期の変更と中東情勢の影響がある。

    日本GPは前年より早い3月開催となり、2026年は第1四半期の売上として計上された。また、中東情勢の緊迫化によってバーレーンGPとサウジアラビアGPが中止となり、イモラも2026年のカレンダーから外れた。

    その結果、上半期全体でも開催数は2025年の11戦から2026年の8戦へ27%減少した。

    上半期のF1の売上高は前年同期比15%減にとどまっており、レース数が27%減少したことを踏まえれば、収益基盤そのものが大きく崩れたわけではないことが分かる。

    また、レース開催数の減少は各F1チームへの分配金にも影響した。2026年第2四半期にチームへ支払われた総額は3億1600万ドルで、前年同期の5億1300万ドルから減少した。

    上半期では5億ドルとなり、2025年同期の6億2700万ドルを下回っている。

    後半戦でレース数回復 年間22~23戦を想定
    一方、2026年後半は開催数が増えるため、年間ベースでは財務への影響が縮小すると見込まれている。

    第3四半期にはマドリードで開催されるスペインGPを含む7戦が予定されており、前年同期の6戦を上回る。さらにカタールGPとアブダビGPが予定通り開催されれば、第4四半期は前年の7戦に対して8戦となる。

    当初中止となったバーレーンGPについても、10月にマレーシアのセパンで開催することで合意しており、失われたレースの一部を補う。

    仮にカタールGPとアブダビGPが中止となった場合について、ドメニカリはシーズンを欧州で終える可能性にも言及している。その場合、12月の最終戦候補としてイモラが有力視されている。

    こうした対応によって、F1は2026年シーズンを最終的に22戦または23戦で構成し、中東情勢による年間収益への影響を最小限に抑える考えだ。

    2027年はF1スプリント増加へ
    F1は将来的な収益拡大を目指しているものの、短期的にグランプリそのものを増やす余地はない。ドメニカリによれば、F1カレンダーは2028年まで事実上埋まっているという。

    そこで新たな収益源として重視されているのがF1スプリントだ。

    スプリントが開催される週末は金曜日と土曜日の集客力が高まるため、プロモーター側にも通常のグランプリ以上の開催料を支払うメリットが生まれる。

    ドメニカリは投資家向けの電話会議で、2027年からスプリントの開催数を増やすことを明言した。

    「来年はスプリントレースを増やす。何戦になるのかについては、2027年カレンダーを発表するときに知らせる」

    「原則はシンプルだ。これは商業的な観点から本当に活用できる、収益源を拡大する機会なんだ」

    ただし、全グランプリでスプリントを開催する考えは否定した。開催数を限定することによる希少価値を維持する必要があると考えているためだ。

    「商業的な理由だけでどこでも開催するようになれば、商業面で生み出せる価値ではなくなってしまう」

    「ただ、将来的に開催数をさらに増やしていくことは間違いない。それは1000%、すでに来年から起きることだ」

    1人1万ユーロ超のプレミアム体験も展開
    F1はレース開催数だけに頼らない収益拡大にも力を入れている。

    若年層や女性ファンの増加に加え、米国ではApple TVへの移行後、総視聴時間が13%増加したという。こうしたファン層の拡大を背景に、ドメニカリはサーキットで提供する高価格帯の商品や体験の拡充を進める考えを示した。

    F1のホスピタリティサービス「パドッククラブ」は2026年分が完売しており、2027年のチーム向け割り当てもすでに確定している。このためF1は、既存のパドッククラブとは異なる富裕層向けサービスの開拓を進めている。

    ドメニカリは「我々が将来に向けて重点を置いているのは体験型の機会だ」と説明し、通常では購入できないような「お金では買えない」体験を増やしていく方針を示した。

    その一例が、ベルギーGPで導入された「Outlap」だ。

    LVMHとの協力による高級ディナー体験で、特別に製作されたコンテナ内で12人のゲストが食事を楽しみながらサーキットを周回する。料金は1人あたり1万ユーロ(約182万円)を超え、2027年には他の欧州ラウンドにも展開される予定だ。

    ライセンス事業拡大 AIは1社独占にせず
    ドメニカリは、ライセンス契約の拡大や既存契約の更新についても、F1のさらなる成長余地があるとみている。

    一方、AI分野については、F1全体を1社の公式パートナーに独占させる考えはないという。

    「この分野を誰か1社、あるいは単一のパートナーに渡すことは決してない。あまりにも大きな分野だからだ」

    「このビジネス領域を分割できることが、我々に多くの機会を生み出している」

    2026年第2四半期の売上高38%減、調整後OIBDA61%減という数字は大きいものの、背景にはレース数が前年同期から44%減少した特殊事情がある。後半戦で開催数が回復するF1にとって、より重要なのは年間業績とその先の成長戦略となる。スプリントの拡大、プレミアム体験、ライセンス、AI関連ビジネスなど、グランプリ開催料や放映権以外の収益源をどこまで伸ばせるかが今後の焦点となりそうだ。

  • F1ドライバーの異名15選 「スムース・オペレーター」「アイスマン」その由来とは

    F1ドライバーの異名15選 「スムース・オペレーター」「アイスマン」その由来とは

    F1ドライバーには、その人物像やドライビングスタイル、あるいは何気ない出来事をきっかけに定着した「ニックネーム」が数多く存在する。

    カルロス・サインツJr.の「スムース・オペレーター」、キミ・ライコネンの「アイスマン」、アラン・プロストの「プロフェッサー(教授)」など、その呼び名を聞くだけでドライバーの姿が浮かぶものも少なくない。

    一方で、セルジオ・ペレスの「チェコ」のように、意外なほど単純な由来を持つものもある。F1公式サイトが紹介した15人の印象的なニックネームと、その誕生の背景を振り返る。

    ■ セルジオ・ペレス「チェコ(Checo)」
    キャデラックF1のセルジオ・ペレスが長年親しまれている「チェコ」という呼び名。その由来は意外なほどシンプルだ。

    母国メキシコでは「Checo」は「Sergio」の一般的な愛称であり、英語圏でJamesをJimと呼ぶようなものだ。

    ただし、レッドブル・レーシング時代には別の異名も生まれた。「メキシコ国防大臣(Mexican Minister of Defence)」だ。

    きっかけは2021年最終戦アブダビGP。ドライバーズタイトルを争っていたマックス・フェルスタッペンを援護するため、ペレスはルイス・ハミルトンを相手に激しい防御を展開した。ハミルトンのペースを抑え、フェルスタッペンとの差を縮めさせた走りから、この異名が広まった。

    セルジオ・ペレス「チェコ(Checo)」

    ■ アレクサンダー・アルボン「アルボノ(Albono)」
    アレクサンダー・アルボンの「アルボノ」は、ジュニアカテゴリー時代のレーシングスーツに由来する。

    当時は緊急時に備えて血液型をスーツに明記する必要があり、アルボンの場合は「A. Albon O+」と記されていた。これを続けて読むと「Albono」に見えることから、自然とニックネームになった。

    2020年、新型コロナウイルスによるロックダウン期間中にシャルル・ルクレール、ランド・ノリス、ジョージ・ラッセルらとオンラインレースを配信したことで、この呼び名はファンの間にも広く浸透した。

    アレクサンダー・アルボン「アルボノ(Albono)」

    ■ カルロス・サインツJr.「スムース・オペレーター(Smooth Operator)」
    カルロス・サインツJr.は、自分自身で偶然ニックネームを生み出した珍しいケースだ。

    マクラーレンに所属していた2019年のハンガリーGPでトップ5フィニッシュを果たした直後、無線でシャーデーが1984年に発表した楽曲「Smooth Operator」を歌った。

    サインツJr.はシルバーストンで耳にした曲を気に入っていただけで、それほど有名な楽曲だとは知らなかったという。

    ブラジルGPでも同じフレーズを無線で披露。その年、サインツJr.は同レースでF1初表彰台を獲得し、「スムース・オペレーター」は彼を象徴する呼び名として完全に定着した。

    カルロス・サインツJr.「スムース・オペレーター(Smooth Operator)」

    ■ ダニエル・リカルド「ハニーバジャー(Honey Badger)」
    2024年にF1を去ったダニエル・リカルドだが、「ハニーバジャー」という異名はいまも彼の代名詞だ。

    普段は笑顔を絶やさず陽気な性格ながら、コックピットに入れば攻撃的で激しいレーサーへと変貌する。その二面性が、小柄ながら非常に獰猛なことで知られるラーテル(ハニーバジャー)と重なった。

    リカルド自身もかつて、ハニーバジャーについて「かわいらしく見えるけど、自分のものを奪われれば反撃する」と説明し、それがステアリングを握った際の自分の「もうひとつの人格」に似ていると語っている。

    ダニエル・リカルド「ハニーバジャー(Honey Badger)」

    ■ セバスチャン・ベッテル「インスペクター・セブ(Inspector Seb)」
    4度のF1ワールドチャンピオンに輝いたセバスチャン・ベッテルは、速さだけでなく知的好奇心の強さでも知られていた。

    特に有名だったのが、パルクフェルメでライバルのマシンを観察する姿だ。レースや予選を終えると他チームのマシンに近づき、空力パーツなど細部を熱心にチェックする光景が何度も目撃された。

    その行動から付けられたのが「インスペクター・セブ」、つまり「セブ警部」である。

    セバスチャン・ベッテル「インスペクター・セブ(Inspector Seb)」

    ■ キミ・ライコネン「アイスマン(The Iceman)」
    キミ・ライコネンを象徴する「アイスマン」は、マクラーレン時代のチーム代表ロン・デニスによって付けられた。

    コース上でもコース外でも感情を大きく表に出さず、メディア対応でも淡々とした態度を貫いたフィンランド人。その冷静さが「アイスマン」という呼び名にぴったりだった。

    マクラーレンを離れた後もこのニックネームは使われ続け、現在でもライコネンを象徴する言葉となっている。

    キミ・ライコネン「アイスマン(The Iceman)」

    ■ ニコ・ロズベルグ「ブリトニー(Britney)」
    2016年F1ワールドチャンピオンのニコ・ロズベルグには、若手時代に本人としてはあまり歓迎できなかったであろうニックネームがあった。

    2006年にウィリアムズからF1デビューした当時、金髪と若々しいルックスを見たチームメイトのマーク・ウェバーが、米国の人気歌手ブリトニー・スピアーズになぞらえて「ブリトニー」と呼び始めた。

    同年最終戦ブラジルGPでは両者が接触し、ロズベルグがピットへ戻る途中でクラッシュ。ウェバーは無線で「ブリトニーが壁に突っ込んだ」と皮肉った。

    その後ロズベルグがトップドライバーへ成長するにつれて、この呼び名は次第に使われなくなっていった。

    ニコ・ロズベルグ「ブリトニー(Britney)」

    ■ ミカ・ハッキネン「フライング・フィン(The Flying Finn)」
    ミカ・ハッキネンもライコネン同様、必要以上に多くを語らないフィンランド人だった。

    しかし、ステアリングを握れば常に限界まで攻め続け、その圧倒的なスピードから「フライング・フィン」と呼ばれるようになった。

    同郷のケケ・ロズベルグから支援を受けながら成長し、ミハエル・シューマッハ最大のライバルのひとりとして活躍。1998年と1999年に2年連続でF1ワールドチャンピオンとなり、通算20勝を挙げた。

    ミカ・ハッキネン「フライング・フィン(The Flying Finn)」

    ■ ナイジェル・マンセル「イル・レオーネ(Il Leone)」
    ナイジェル・マンセルは、その攻撃的なドライビングと情熱的な姿勢によってファンから絶大な支持を集めた。

    1989年にフェラーリへ加入すると、開幕戦ブラジルGPでいきなり優勝。その後もマシンを限界まで攻め続け、ハンガリーGPでは12番手から劇的な逆転勝利を飾った。

    その勇猛果敢な姿に魅了されたイタリアのティフォシが与えた呼び名が「Il Leone」。イタリア語で「ライオン」を意味する。

    ナイジェル・マンセル「イル・レオーネ(Il Leone)」

    ■ アラン・プロスト「教授(The Professor)」
    4度のF1ワールドチャンピオンに輝いたアラン・プロストは、純粋な速さだけで勝利を積み重ねたドライバーではなかった。

    レース全体を論理的に組み立て、マシンやタイヤを管理しながら必要な場面で最大限の力を引き出す。その知的かつ計算されたアプローチから「教授」と呼ばれるようになった。

    アイルトン・セナとの激しいタイトル争いでも、プロストは緻密な戦略と判断力を武器に対抗。そのスタイルは「教授」という異名とともにF1史に刻まれている。

    アラン・プロスト「教授(The Professor)」

    ■ ニキ・ラウダ「ザ・ラット(The Rat)」
    3度のF1ワールドチャンピオンであるニキ・ラウダの異名は、その偉大な実績からは少々意外なものだった。

    当初は歯の特徴から「ザ・マウス(The Mouse)」と呼ばれ、その後「キング・ラット」「スーパー・ラット」などへと変化。最終的には「ザ・ラット」が広く知られるようになった。

    また、マシンを極めて論理的に分析し、感情に左右されない走りを見せたことから「ザ・コンピューター」と呼ばれることもあった。

    ニキ・ラウダ「ザ・ラット(The Rat)」

    ■ ジェームス・ハント「ハント・ザ・シャント(Hunt the Shunt)」
    1976年F1ワールドチャンピオンのジェームス・ハントは、成功を収める以前、派手なクラッシュを繰り返すことで知られていた。

    「shunt」はモータースポーツでクラッシュや接触を意味する言葉で、「Hunt」と韻を踏んだ「Hunt the Shunt」という呼び名が誕生した。

    若手時代にはマシンを壊してでも攻めるような走りを見せていたが、経験を積むにつれてその荒々しさをコントロール。最終的には1976年にF1王座を獲得した。

    ジェームス・ハント「ハント・ザ・シャント(Hunt the Shunt)」

    ■ グラハム・ヒル「ミスター・モナコ(Mr Monaco)」
    整えられた口ひげと英国紳士らしい振る舞いで知られたグラハム・ヒル。その名を特別なものにした舞台がモナコだった。

    1963年にモナコGP初優勝を飾ると、1964年、1965年、1968年、1969年にも勝利。合計5勝を記録した。

    後にアイルトン・セナが6勝を挙げて記録を更新したものの、モナコを象徴する最初のF1ドライバーとして、ヒルには「ミスター・モナコ」という称号が残った。

    グラハム・ヒル「ミスター・モナコ(Mr Monaco)」

    ■ ジャック・ブラバム「ブラック・ジャック(Black Jack)」
    「ブラック・ジャック」という名前からギャンブラーを連想するかもしれないが、ジャック・ブラバムの異名は賭け事とは関係がない。

    黒い髪と寡黙でどこか謎めいた雰囲気から付けられたものだった。

    ブラバムは単なるドライバーではなく、マシンの問題点を数周走っただけで的確に見抜ける優れた技術的感覚を持っていた。1966年には自身の名を冠したブラバムでワールドチャンピオンを獲得。自らの名前を持つマシンでF1王者となった唯一の人物として歴史に残っている。

    ジャック・ブラバム「ブラック・ジャック(Black Jack)」

    ■ ファン・マヌエル・ファンジオ「エル・マエストロ(El Maestro)」
    F1黎明期を代表するファン・マヌエル・ファンジオには、「El Maestro」、スペイン語で「巨匠」「師匠」を意味する異名が与えられた。

    この呼び名を使った人物のひとりが、ファンジオを深く尊敬し、チームメイトでもあったスターリング・モスだった。

    ファンジオは5度のF1ワールドチャンピオンを獲得。出走した51戦のうち48戦でフロントロースタートを記録するなど、驚異的な成績を残した。

    「チェコ」から「教授」「アイスマン」「イル・レオーネ」まで、F1ドライバーのニックネームにはそれぞれの時代やキャラクター、そしてコース上で生まれた物語が凝縮されている。単なる愛称を超え、ドライバーのF1でのレガシーを象徴する言葉として現在まで語り継がれている。

    ファン・マヌエル・ファンジオ「エル・マエストロ(El Maestro)」

  • スーパーフォーミュラSUGOでSC運用に疑問 優勝の福住仁嶺も「フェアじゃない」

    スーパーフォーミュラSUGOでSC運用に疑問 優勝の福住仁嶺も「フェアじゃない」

    2026年全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦の決勝後、勝敗を大きく左右したセーフティーカー(SC)の運用が焦点となった。優勝した福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)自身が「ちょっとフェアじゃないな」と語り、2位の岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)もSC中の隊列整理が想定とは異なっていたと証言。3位に終わったイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)は、チームが抗議する可能性を明らかにした。

    8月9日にスポーツランドSUGOで行われた第8戦では、27周目に阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)がSPコーナー外側にマシンを止め、ロマン・スタネック(ナビクル Buzz MK RACING)もレインボーコーナーでスピンアウト。これを受けてSCが導入され、そのタイミングとその後の隊列整理によって順位が大きく入れ替わった。

    優勝した福住仁嶺「実質トップと言われて、どういうこと?」
    SC導入前、まだタイヤ交換を行っていなかった福住は7番手スタートから上位へ進出していたものの、優勝できるとは考えていなかったという。

    「30分の朝のフリー走行の段階だと、そこそこペースはありそうかなという手応えはあったのですが、それを踏まえても上位が速いことも分かっていたので、展開や戦略とかで、いけても表彰台かなと考えていました。まさか、こういうかたちで優勝がめぐってくるとは思っていなかったです」

    SC導入の可能性を察知したPONOS NAKAJIMA RACINGは、暫定トップを走っていたフラガを27周目にピットへ呼び込んだ。フラガはピット出口で野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)と太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の前に出ることに成功した。

    一方、福住と岩佐はその周にはピットへ入らず、SCがコースインする前に次の周回へ。その後にタイヤ交換を行ったことで、隊列整理を経て福住がトップ、岩佐が2番手、フラガが3番手となった。

    しかし福住自身も、ピットアウトした時点では自分が首位に立つとは理解していなかった。

    「いざSCが入って、その時、僕と岩佐選手が同時に入ったんですけれども、無事に作業を終えて岩佐選手の前で戻って『実質、今トップだよ』と言われた時は『どういうこと?』って思いました」

    「先に入ったクルマもいますし、結構、離れたところにイゴール選手とかほかの選手もいたので、『どうして、そうなったんだろうな』というふうに、その時は分からず、とりあえず自分のタイヤを温めることに集中したという感じでした」

    そして、SC走行中にチームから状況を説明された福住は、率直な感想を口にした。

    「SC中に状況を説明してもらって、『ちょっとフェアじゃないな』と思いました」

    結果的に福住はリスタート後も首位を守り切り、今季2勝目を獲得した。ただし、その勝利について手放しでは喜んでいない。

    「最後に岩佐選手に追い詰められましたし、SCの影響で前に出て優勝したというだけなので、正直、素直には喜べないですね」

    「自力で優勝するためには、もう少し何か変えていかないと足りないなという感じはあるので、優勝はできましたけど、今後に向けてすごく課題が残ったレースだったかなと感じています」

    さらに福住は、SCがなければ誰が勝っていたと考えているかについても明確だった。

    「今日、普通にレースをやっていれば優勝したのはイゴール選手だと思っています」

    2位岩佐歩夢「2回目、3回目と送り出しがあったことには驚いた」
    9番グリッドから2位まで順位を上げた岩佐も、SCによって恩恵を受けたことを認めた。

    「セーフティカーに関してはラッキーでしたね」

    岩佐は福住と同じタイミングでタイヤ交換を行い、その後は福住に続く実質2番手となった。ピットアウト後にはチームから、自分たちの前にいるマシンの位置関係について説明を受けていた。

    「自分がピットアウトした後のインフォメーションは『福住選手の前のマシンがすべてバックマーカーで、SCの後ろにトップ集団がいる状況』だと聞いていました」

    ただし、岩佐が想定していたのとは違ったのが、その後の隊列整理だったという。

    「僕の認識だったり、エンジニアも無線で言っていたんですけど、送り出しのルールというか、決まっていることとしてはおそらく1回のみというふうになっていたと思うので、それが1回のみではなく、2回目、3回目と送り出しがあったことには驚きました」

    「自分が想像していたSC中の展開ではなかったですね」

    一方、岩佐は今回の2位について、SCだけによって得られた結果とは考えていない。

    「今日に関しては9番手からいいスタートを切って、コース上でも1台オーバーテイクして、戦略でもできることをやった結果がこの2位だと思うので、僕自身はすごく嬉しい2位ですし、チームみんなでもぎ獲った2位なんじゃないかなと感じています」

    ただ、純粋な速さについては課題が残ったと認めた。コンディション変化に対するマシンのパフォーマンスの振れ幅が大きいとして、次戦富士までの約2カ月で改善を目指す。

    3位フラガ「僕らが絶対トップだったはず」
    一方、SCによって最も大きな影響を受けたのがフラガだった。

    フラガは序盤から野尻と太田に続く3番手を走行。先行する2台がタイヤ交換を済ませた後もコース上に残り、クリーンエアのなかで好タイムを記録していた。

    「僕らとしては完璧なレースをこなしていたと思います。ファーストスティントで前の太田選手のタイヤがタレてきて、みんながピットに入った後、僕は残りましたが、そこからのペースもすごく良かったです」

    当初は早めのタイヤ交換も検討していたというフラガだが、実際にレースが始まると想定以上のペースがあり、戦略を変更して第1スティントを延ばした。

    そして27周目のアクシデント発生を受け、チームはSC導入を予測してフラガをピットへ。タイヤ交換も完璧だったという。

    「チームも多分“過去イチ”ぐらいの完璧なタイヤ交換をやってくれて、セーフティカーが出た後に、野尻選手がギリギリSCラインを超えるかどうかのところで前に出ることができて、これでトップでリスタートできるんじゃないかなと思っていました」

    ところが、SCによる隊列整理を終えると、フラガの順位は3番手になっていた。

    「なのに、SCの送り出しで、気づいたら3番手だったと」

    フラガ自身はSC運用の詳細を把握していないとしたものの、チーム側の反応は明確だったという。

    「僕は詳細はよく分からないんですけど、チームからの無線は『あり得ない』という感じで、『僕らが絶対トップだったはずだ』という感じでした」

    さらに、PONOS NAKAJIMA RACINGが正式なアクションを起こす可能性にも言及した。

    「多分、抗議はチームから出ると思うんですけど、しっかり動いていかないと、あまり変わらないまま、このままの動きで続いてしまうかもしれないと思っています」

    「僕らとしてはドライバーズミーティングなどでいろいろ訴えていることはあるんですけど、改善しているということはあまりないので、ちゃんと抗議を出して、しっかり対応してもらいたいなと思っています」

    フラガは最終的に福住から0.939秒差の3位でフィニッシュ。前を走るマシンがいるとペースを発揮しにくいSUGOでありながら、最後までトップ2に食らいついたことには手応えを示した。

    勝者も疑問を抱いた異例の表彰台会見
    福住、岩佐、フラガ。表彰台に立った3人は、それぞれ立場こそ異なるものの、そろってSC導入後の展開について驚きや疑問を口にした。

    福住は「ちょっとフェアじゃない」、岩佐は「2回目、3回目と送り出しがあったことには驚いた」と発言。そして、トップでリスタートできると考えていたフラガは「僕らが絶対トップだったはず」とするチームの見解を明かし、抗議の可能性にも言及した。

    正式結果では福住の優勝、岩佐の2位、フラガの3位が発表されている。しかし、勝者を含めたトップ3全員がSC中の運用について疑問や戸惑いを示す、異例のレース後会見となった。

  • MotoGPイギリスGP決勝 ラウル・フェルナンデス独走V 小椋藍は今季初転倒

    MotoGPイギリスGP決勝 ラウル・フェルナンデス独走V 小椋藍は今季初転倒

    2026年MotoGP第12戦イギリスGPの決勝が8月9日、シルバーストン・サーキットで行われ、ラウル・フェルナンデス(トラックハウス・アプリリア)が今季初優勝を飾った。

    フェルナンデスはスタートでホールショットを奪うと、そのまま一度も首位を譲らず独走。ランキング首位のホルヘ・マルティン(アプリリア・ファクトリー)に2.5秒差をつけてチェッカーを受けた。3位にはマルコ・ベッツェッキが入り、アプリリア勢が表彰台を独占した。

    フェルナンデスがスプリントの失敗から雪辱
    前日のスプリントでミスを喫していたフェルナンデスは、決勝で完璧なレースを披露した。

    フロントロウからスタートしたマルティンと小椋藍(トラックハウス・アプリリア)は、ターン1でリヤのライドハイトデバイスが解除されず、ともにワイドに膨らんだ。その隙を逃さなかったフェルナンデスがホールショットを奪い、序盤から一気にリードを広げた。

    レース中盤には、マルティンとベッツェッキのアプリリア・ファクトリー勢に対して4秒以上のアドバンテージを構築。前日のスプリントではソフトタイヤの大幅な性能低下が勝負を左右したが、決勝では全ライダーがリヤにミディアム、フロントにハードを選択した。

    序盤からハイペースで逃げたことで、終盤のタイヤ消耗が懸念されたフェルナンデスだったが、最後まで危なげなくギャップをコントロール。マルティンに2.5秒のリードを残してフィニッシュし、スプリントでの失敗を最高の形で挽回した。

    この結果、シルバーストンのMotoGPクラスでは12大会連続で異なるグランプリウイナーが誕生することになった。

    アプリリアが表彰台独占
    2位には前日のスプリントを制したマルティンが入った。スタート直後のロスから挽回したものの、先行するフェルナンデスには届かなかった。

    3位争いではベッツェッキがグレシーニ・ドゥカティのアレックス・マルケスから終盤に激しいプレッシャーを受けたが、最後までポジションを守り切った。

    これにより、優勝したフェルナンデス、2位マルティン、3位ベッツェッキと、アプリリアRS-GP26がトップ3を独占。ファクトリーとサテライトを合わせたアプリリア勢にとって圧倒的な結果となった。

    4位はアレックス・マルケス、5位はペドロ・アコスタ(レッドブルKTM)、6位はファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46ドゥカティ)が続いた。

    マルク・マルケスはタイヤを管理して7位
    現MotoGP王者マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ)は7位でレースを終えた。

    スプリントではタイヤの性能低下に苦しみ、終盤に9位まで後退していたマルケス。決勝ではその教訓を踏まえたように、積極的に前を攻めるよりもリヤタイヤのマネジメントを重視する走りを見せた。

    ブラッド・ビンダー(レッドブルKTM)が8位、ルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)が9位。ルーキーのディオゴ・モレイラ(プロ・ホンダLCR)が10位に入り、ホンダ勢2台がトップ10に入った。

    小椋藍は7番手走行中に今季初の決勝転倒
    前日のスプリントで2位表彰台を獲得していた小椋藍は、決勝では無念のリタイアとなった。

    小椋はフロントロウ3番手からスタートしたものの、ターン1でリヤのライドハイトデバイスが解除されず、マルティンとともにラインを外してポジションを落とした。

    その後は7番手まで挽回してレースを進めていたが、中盤に単独転倒。これが小椋にとって2026年シーズンの決勝レースで初めての転倒となり、ポイント獲得はならなかった。

    転倒相次ぐ決勝 バニャイアもリタイア
    オープニングラップではジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)とアレックス・リンス(モンスター・ヤマハ)が接触し、両者が転倒した。このインシデントについてFIMスチュワードは追加措置を科さない判断を下した。

    その後もエネア・バスティアニーニ、イケル・レクオーナ、カル・クラッチロー、フランチェスコ・バニャイア、小椋がそれぞれ転倒。完走は16台となった。

    タイトル争いをリードするマルティンは2位で着実にポイントを積み重ねた一方、ドゥカティ・レノボはマルク・マルケスが7位、バニャイアがリタイアと厳しいイギリスGPとなった。

    シルバーストンではフェルナンデスがスタートからフィニッシュまで主導権を握り、アプリリア勢が表彰台を独占。前日に表彰台を獲得した小椋にとっては悔しい結末となった。MotoGPの次戦は8月末に開催されるアラゴンGPとなる。


    2026年MotoGP第12戦イギリスGP 決勝結果
    1位 ラウル・フェルナンデス(トラックハウス・アプリリア)
    2位 ホルヘ・マルティン(アプリリア)
    3位 マルコ・ベッツェッキ(アプリリア)
    4位 アレックス・マルケス(グレシーニ・ドゥカティ)
    5位 ペドロ・アコスタ(KTM)
    6位 ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46ドゥカティ)
    7位 マルク・マルケス(ドゥカティ)
    8位 ブラッド・ビンダー(KTM)
    9位 ルカ・マリーニ(ホンダ)
    10位 ディオゴ・モレイラ(LCRホンダ)
    11位 フランコ・モルビデリ(VR46ドゥカティ)
    12位 ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)
    13位 ジャック・ミラー(プラマック・ヤマハ)
    14位 ポル・エスパルガロ(KTMテック3)
    15位 トプラク・ラズガットリオグル(プラマック・ヤマハ)
    16位 アウグスト・フェルナンデス(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)
    リタイア 小椋藍(トラックハウス・アプリリア)
    リタイア フランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)
    リタイア カル・クラッチロー(LCRホンダ)
    リタイア イケル・レクオナ(グレシーニ・ドゥカティ)
    リタイア エネア・バスティアニーニ(KTMテック3)
    リタイア アレックス・リンス(ヤマハ)
    リタイア ジョアン・ミル(ホンダ)