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  • マックス・フェルスタッペンのレッドブルF1批判に警鐘「時に行き過ぎている」

    マックス・フェルスタッペンのレッドブルF1批判に警鐘「時に行き過ぎている」

    マックス・フェルスタッペンがマシンやレッドブル・レーシングに対して公の場で繰り返す批判について、元F1ドライバーのクリスチャン・アルバースが、その率直さを評価しながらも「時に行き過ぎる」と警鐘を鳴らした。

    2026年F1シーズン、フェルスタッペンはRB22のパフォーマンスに対する不満を隠していない。

    アルバースは、妥協を許さず常に勝利を求める姿勢こそフェルスタッペンの強さだと認める一方、否定的な発言が続けば、チームで働くスタッフに悪影響を及ぼす可能性があると指摘している。

    「毎周、すべてのコーナーで戦い続ける」
    フェルスタッペンはここ数カ月、RB22の競争力やドライバビリティについて厳しい評価を口にしてきた。それでもコース上では攻撃的な姿勢を変えておらず、アルバースはそこに4度のF1ワールドチャンピオンを支える強さがあると考えている。

    オランダ紙『De Telegraaf』から、ハンガリーGPでルイス・ハミルトンに仕掛けた強引なオーバーテイクが、フラストレーションや個人的な感情によるものだったのかと問われたアルバースは、その見方を否定した。

    「いや、彼は誰に対してもああする。それがマックスの素晴らしいところなんだ。だからこそレッドブルは彼にあれだけ高い給料を払っている。毎周、すべてのコーナー、すべてのブレーキングで、彼は戦い続けている」

    アルバースにとって、相手が誰であろうと一切引かない姿勢はフェルスタッペンの大きな長所であり、その競争心自体を問題視しているわけではない。

    率直さは長所でもあり短所でもある
    一方でアルバースが疑問を投げかけたのが、フェルスタッペンによるレッドブルやRB22への度重なる公の批判だ。

    「マックスには非常に多くの長所がある。でも、短所もある。彼のインタビューを聞いていて、ときどき疑問に思うことがある」

    アルバースは、フェルスタッペンが自分の考えを隠さず口にする姿勢そのものについては評価している。

    「22人のドライバー全員が最高のマシンに乗って勝ちたいと思っている。その一方で、彼があれほどオープンで正直であることも僕は評価している」

    ただし、その率直さが否定的な方向に偏りすぎることには懸念を示した。

    「彼は『これは好きじゃない、あれも好きじゃない』と言う。彼のコメントにはポジティブな部分があまりない。こういう状況をどうやって適切に扱えばいいんだろう、と考えてしまう」

    「ほかの21人も勝ってチャンピオンになりたい」
    アルバースは、勝利だけを求め続けるフェルスタッペンの強烈なメンタリティが、ときに周囲の状況を見えにくくしている可能性があると考えている。

    「その点では、彼は自分自身にあまりにも集中していて、ほかの21人のドライバーだって勝ちたいし、ワールドチャンピオンになりたいと思っていることが見えなくなっているんじゃないかと思う」

    「全員が最高のマシンを手にできるわけではない。でも、その一方で彼の姿勢を評価することもできる」

    フェルスタッペンが求める基準が極めて高いからこそ、マシンがその水準に達していないときの不満も強く表れる。アルバースは、その姿勢が成功を生み出してきた一方で、現在のような苦しい状況ではマイナスに作用することもあるとみている。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    レッドブルF1をもっと擁護すべきとの指摘
    フェルスタッペンについては、RB22の弱点を公然と指摘するだけではなく、ときにはチームを擁護する姿勢を示すべきだとの意見もある。アルバースも、その考えには一定の理解を示した。

    「僕も少しそう思う」

    そのうえでアルバースは、F1マシンの開発はトップクラスの技術者が加わったとしても、短期間で劇的に変えられるものではないと強調した。

    「アストンマーティンF1のエイドリアン・ニューウェイを見ても分かる。何もないところから、いきなり競争力のあるマシンコンセプトを作り出すことはできない。手元にあるものを使って仕事をしなければならないんだ」

    ニューウェイほどの実績を持つデザイナーであっても、既存の組織や設備、マシンコンセプトを踏まえながら時間をかけて改善していく必要があるというのがアルバースの主張だ。

    「ファクトリーでは1000人が働いている」
    アルバースが特に問題視するのは、ドライバーの発言がチーム内部の大勢のスタッフに与える影響だ。

    「物事が自分の望んでいる方向に進まなければ、フラストレーションがたまるのは理解できる。でも、ファクトリーでは1000人が働いている。そのうち700人くらいは、あなたとまったく同じ方向に進みたいと思っているかもしれない」

    つまり、結果が出ないからといって、チーム全体がフェルスタッペンの要求に応えようとしていないわけではない。表舞台に立つドライバーの厳しい言葉は、改善に向けて働き続けるスタッフにも届くため、その影響まで考える必要があるという指摘だ。

    レッドブル・レーシングは現在まで、フェルスタッペンによるRB22への厳しい批判を公に問題視してはいない。だが、2027年以降の去就を巡る憶測が続くなか、その発言は単なるマシンへの不満以上の意味を持って受け止められる状況になっている。

    勝つために妥協せず、問題を率直に口にする姿勢はフェルスタッペンを4度のF1王者へと押し上げた武器でもある。一方でアルバースは、その強烈なメンタリティだからこそ、苦境にあるチームに対してどこまで批判を公にするべきなのか、そのバランスが重要になっているとみている。

    【関連】
    ・マックス・フェルスタッペン レッドブルF1離脱へ「第2の解除条項」が判明か

  • 福住仁嶺がスーパーフォーミュラ今季2勝目 SC導入を味方につけSUGOで大逆転

    福住仁嶺がスーパーフォーミュラ今季2勝目 SC導入を味方につけSUGOで大逆転

    2026年全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦の決勝が8月9日(日)、宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、7番グリッドからスタートした福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)が優勝。レース中盤のセーフティーカー(SC)導入を巡る展開で大きく順位を上げ、今季2勝目を飾った。

    2位には福住と同じタイミングでタイヤ交換を行った岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)、3位にはSC導入直前にピットインしたイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が入り、SCが勝敗を大きく左右する一戦となった。

    野尻智紀が首位を守る序盤戦
    決勝は気温26度、路面温度35度という週末を通じて最も涼しいコンディションのなか、14時20分にスタートした。

    ポールポジションの野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)が好スタートを決めて首位をキープ。2番手には太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が続き、好スタートを決めたフラガは1コーナーでオーバーランしたものの3番手を維持した。

    その後方には牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、福住が続いた。岩佐は2周目に小林利徠斗(KDDI TGMGP TGR-DC)をかわして順位を上げた。

    トップでは太田が野尻を激しく追走。3周目にはオーバーテイクシステムを使用して1コーナーで仕掛けたが、野尻もシステムを使って防御し、首位を守った。

    13周目にタイヤ交換義務のウインドウが開くと、各車が徐々にピットへ。トップグループでは太田が19周終了時に先に動き、野尻は翌20周終了時にピットインした。

    野尻は太田の前でコースへ復帰。アウトラップで太田が接近し、最終コーナーでは並びかける場面もあったが、野尻がポジションを守った。

    また、坪井は25周終了時にピットイン。前半に4番手を争っていた牧野の前でコースへ戻ったものの、すでにタイヤが温まっていた牧野がアウトラップの坪井に接近し、ハイポイントコーナーでオーバーテイクして再び前に出た。

    27周目のアクシデントで状況が一変
    野尻と太田がタイヤ交換を終えた後、暫定トップに立ったのはフラガだった。クリーンエアを得たフラガは好タイムを連発し、その後方ではまだタイヤ交換を行っていない福住と岩佐が走行を続けていた。

    そして27周目、レースの流れを決定づける出来事が起きる。

    阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)がエンジントラブルに見舞われ、SPコーナー外側にマシンをストップ。さらにロマン・スタネック(ナビクルBuzz MK RACING)がレインボーコーナーでスピンアウトした。

    SC導入の可能性が一気に高まった状況を見て、PONOS NAKAJIMA RACINGは素早く反応。トップを走っていたフラガをピットへ呼び戻した。

    フラガがピットロード上のコントロールラインを通過して27周目を終え、タイヤ交換作業を行っている最中にSC導入が正式にアナウンスされた。それとほぼ同時にSCがコースへ入った。

    チームの迅速な作業もあり、フラガはピット出口の第2セーフティーカーラインで野尻と太田の前に出ることに成功。その先のS字を立ち上がったところでSCの後ろについた。一見すると、SC導入を完璧に読み切ったピットストップに思われた。

    ステイアウトした福住と岩佐が一気に首位と2位へ
    しかし、勝負を決めたのはさらにその前を走っていた福住と岩佐だった。

    2人はフラガとは異なり27周目にはピットへ入らず、そのままステイアウト。SCがコースインするよりも先にコース上を通過した。

    福住と岩佐は次の周にピットインし、ピットロード上のコントロールラインを通過した時点で28周目を消化。その後コースへ復帰すると隊列の後方についたが、周回数の関係から前方を走るマシンは実質的に周回遅れという状況になった。

    ここで明暗を分けたのが、SCが実際にコースへ入るタイミングと、各車がピットロード上のコントロールラインを通過したタイミングだった。

    フラガはSC導入を予測して27周目にピットへ向かい、ピットロード上のコントロールラインを通過して27周を完了。その直後にSCがコースへ入った。野尻と太田に対しては先行することに成功しており、通常であれば非常に効果的なタイミングでのピットストップだった。

    しかし、福住と岩佐はこの27周目にピットへ入らなかった。2台はSCがコースインする前にコース上を通過し、そのまま28周目へ突入。つまり、フラガが27周を消化した状態だったのに対し、福住と岩佐はひと足先に次の周回へ入ることができた。

    その後、福住と岩佐は28周目にピットイン。ピットロード上のコントロールラインを通過して28周を完了してからコースへ復帰した。この時点で、福住と岩佐はフラガ以下のマシンに対して周回数でひとつ先に進んでいる状態となった。

    見た目上は福住と岩佐が隊列の後方へ戻ったため、大きく順位を落としたようにも映った。しかし、実際には前方に並んでいたフラガ、野尻、太田らはまだ28周目を完了しておらず、福住と岩佐から見れば1周遅れに相当する状態だった。

    そのため、SCによる隊列整理が進むと状況が一変する。福住が実質トップ、岩佐が2番手となり、最終的にSCの直後へ移動。フラガは3番手となり、その後方に野尻、太田が続く本来の順位へと整理された。

    PONOS NAKAJIMA RACINGがSC導入を読んでフラガをピットへ呼び込んだ判断そのものは素早かった。しかし今回は、SCがコースインする直前にステイアウトして次の周回へ入った福住と岩佐の方が、結果的にさらに大きなアドバンテージを手にすることになった。

    SUGOでは1周の距離が短いこともあり、わずかな時間差が「同一周回」か「1周先」かという大きな違いにつながった。SC導入を予測して先に動いたフラガと、あえてコース上に残った福住、岩佐。その判断とタイミングの差が、第8戦の勝敗を決定づけた。

    福住仁嶺が岩佐歩夢の追撃を抑えてトップチェッカー
    レースは35周終了時に再開。福住はSPアウト付近から加速して首位を守り、岩佐がその背後につけた。

    36周目にはS字からハイポイントコーナーにかけてフラガが岩佐にプレッシャーをかけたが、岩佐が2番手を死守。一方、その後方では37周目のストレートで太田が野尻をオーバーテイクし、4番手へ浮上した。

    終盤は福住、岩佐、フラガが僅差のまま周回を重ねた。福住と岩佐の差は0.7〜0.9秒前後、岩佐とフラガも0.6〜1.1秒ほどという緊迫した状況が続いた。

    ファイナルラップを前に、トップ3はいずれも残していたオーバーテイクシステムを使い切って最後の攻防へ。それでも福住は岩佐に決定的なチャンスを与えず、51周を走り切ってトップチェッカーを受けた。

    7番グリッドからスタートした福住は、チームのストラテジーとSC導入のタイミングを最大限に生かして大逆転。今季2勝目を手にした。

    岩佐は2位、SC導入を予測して素早くピットへ入ったものの、わずかなタイミングの差で首位を逃したフラガは3位。太田が4位、野尻が5位となった。

    以下、6位牧野、7位坪井、8位サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)、9位ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)、10位佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)までがポイントを獲得した。

    次戦は10月9日(金)〜11日(日)に富士スピードウェイで開催される第9戦、第10戦。ポイントリーダーの太田がタイトルを決める可能性もある大会となる。

    スーパーフォーミュラ第8戦は、SC導入そのものだけでなく、「SCがいつコースインし、各車がどのタイミングでコントロールラインを通過したか」が勝敗を分けるレースとなった。フラガ陣営もSCを予測して素早く動いたが、結果的にはステイアウトを選択した福住と岩佐が最大の恩恵を受け、福住がSUGOで今季2勝目をつかみ取った。

    スーパーフォーミュラ

    ■2026年スーパーフォーミュラ第8戦 スポーツランドSUGO 決勝正式結果
    1位 #14 福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)
    2位 #1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)
    3位 #65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)
    4位 #6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
    5位 #16 野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)
    6位 #5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
    7位 #36 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)
    8位 #37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)
    9位 #19 ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)
    10位 #64 佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)
    11位 #3 ルーク・ブラウニング(REALIZE KONDO RACING)
    12位 #7 小林可夢偉(KDDI TGMGP TGR-DC)
    13位 #12 小出峻(ThreeBond Racing)
    14位 #8 山下健太(KCMG)
    15位 #39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)
    16位 #22 松下信治(DELiGHTWORKS RACING)
    17位 #10 Juju(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)
    18位 #53 チャーリー・ブルツ(TEAM GOH)
    19位 #9 ジュリアーノ・アレジ(KCMG)
    20位 #50 野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)
    21位 #28 小林利徠斗(KDDI TGMGP TGR-DC)
    NC #4 笹原右京(REALIZE KONDO RACING)
    NC #38 阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)
    NC #97 ロマン・スタネック(ナビクル Buzz MK RACING)

  • アストンマーティンがブランド権の過半数を譲渡 1100億円規模の資金調達

    アストンマーティンがブランド権の過半数を譲渡 1100億円規模の資金調達

    アストンマーティンは、深刻な財務圧力への対応として総額5億5000万ポンド(約1,150億円)規模の資金調達を確保した。その条件として、自動車事業以外で使用される「アストンマーティン」ブランドの知的財産権について、過半数の支配権を手放す大規模な再編に踏み切った。

    今回の取引によるアストンマーティンF1チームへの影響はない。

    アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラワン・チームは自動車会社とは別の事業体として運営されており、今回の資金調達およびブランド権移転の対象には含まれていない。

    アストンマーティンのブランド権50.1%を米企業へ移転
    ローレンス・ストロール率いるYew Treeコンソーシアムが大株主となっているアストンマーティンは、自動車事業以外に関する知的財産権の50.1%を、米国のブランド管理会社Authentic Brandsに移転することで合意した。

    Authentic Brandsは、リーボックやブルックス・ブラザーズなど多数のブランドを保有・管理する企業である。

    今回対象となる権利には、アストンマーティンの名称やロゴを使用するライフスタイル商品、マーチャンダイズ、ラグジュアリー商品、さらに幅広いライセンス事業などが含まれる。

    これにより、自動車会社としてのアストンマーティンはロードカー事業の支配権を引き続き保持する一方、ライフスタイル、マーチャンダイズ、エンターテインメントなど自動車以外の分野では、アストンマーティンブランドの保有比率が50%を下回ることになる。

    つまり、世界的に知られる「アストンマーティン」という名称が、自動車事業と、それ以外の商業利用という2つの領域に事実上分割される形だ。

    5億5000万ポンドの資金調達で財務基盤を補強
    今回の資金調達はHPS Investment Partnersが主導し、4億5000万ポンドの担保付きタームローンと、将来的に利用可能な追加1億ポンドの融資枠で構成される。合計額は5億5000万ポンドに達する。

    アストンマーティンにとって重要な資金を確保できる一方、その代償は小さくない。同社は英国を代表する高級車ブランドとして長年築き上げてきた「アストンマーティン」の名称そのものを、救済的な資金調達の一部として活用することになった。

    業界報道によれば、自動車以外の知的財産権の一部は、今回の資金調達に関連する別の持株会社へ移されたという。

    資金繰りを改善するための重要な再編であると同時に、アストンマーティンにとって極めて価値の高いブランド資産にまで踏み込んだ措置であり、同社が置かれている財務状況の厳しさを示している。

    約13億ポンドの債権者が反発 法的措置も検討
    この取引に対しては、既存の社債保有者から強い反発が起きている。

    アストンマーティンに対して約13億ポンドの債権を持つ債権者側は、価値の高いブランド資産を新たな枠組みに移すことで、自分たちの債権者としての立場が弱められると主張している。

    さらに、この資産移転が既存の債務契約に違反する可能性も指摘されている。

    報道によると、債権者はすでにアストンマーティン取締役会に正式な法的警告を送り、今回の取引を撤回させる、あるいはブランド資産のさらなる移転を阻止するための法的措置を検討しているという。

    そのため、5億5000万ポンドの資金調達を確保したことで問題が完全に解決したわけではなく、今後は債権者との対立が新たなリスクとなる可能性がある。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アストンマーティンF1チームには影響なし
    今回のニュースで重要なのは、自動車メーカーのアストンマーティンとF1チームを区別することだ。

    アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラワン・チームは、自動車会社とは完全に独立して運営されている。そのため、自動車会社が実施する今回のブランド権移転および資金調達は、F1チームの所有権や運営体制には影響しない。

    一部の財務関連の議論ではF1との関係も取り上げられているが、今回の取引にF1チームそのものは含まれていない。

    アストンマーティンは今年、レーシング事業に関連するネーミングライツを活用した別のスキームでも追加資金を調達している。ただし、これはローレンス・ストロール会長に関連する事業体が関与した別個の取引であり、今回の自動車会社による資金調達とは異なる。

    したがって、アストンマーティンF1が現在進めているチーム強化や技術開発に、今回のブランド権移転が直接的な変更をもたらすものではない。

    名門ブランドを切り分けて時間を買ったアストンマーティン
    今回の5億5000万ポンドの資金調達は、アストンマーティンに財務面で貴重な時間を与える可能性がある。

    その一方で、自動車以外の分野とはいえ、アストンマーティンブランドの50.1%を外部企業へ移転するという決断は大きい。英国を代表する高級車ブランドの名称が、自動車とライフスタイル・ライセンス事業に事実上切り分けられる歴史的な転換点となる。

    F1チームには直接影響しないものの、ロードカーを手掛けるアストンマーティン本体が、ブランドという最重要資産の一部を使って財務基盤を立て直そうとしている事実は、同社が直面する厳しい経営環境を象徴している。

  • ルイス・ハミルトン 愛犬“ヘイロー”と夏休み満喫「休んで回復して充電」

    ルイス・ハミルトン 愛犬“ヘイロー”と夏休み満喫「休んで回復して充電」

    フェラーリF1のルイス・ハミルトンが、夏休みに新たな家族を迎えた。ゴールデンレトリバーの子犬で、その名前はF1で多くのドライバーの命を守ってきた安全装置にちなんだ「ヘイロー(Halo)」だ。

    7度のF1ワールドチャンピオンであるハミルトンは、SNSで新しい相棒との写真と動画を公開。「休んで、回復して、充電する」と夏休みの過ごし方を表現した。フェラーリでタイトル争いを続けるシーズン後半戦を前に、ヘイローとの時間が大切なリフレッシュになっているようだ。

    新たな家族はゴールデンレトリバーの「ヘイロー」
    ハミルトンが新たに家族へ迎え入れたのは、ゴールデンレトリバーの子犬だ。その名前は「ヘイロー」。F1では2018年からコックピット保護装置として装着が義務化され、重大事故からドライバーの命を守ってきた安全装置と同じ名前である。

    ハミルトンは8月7日、自身のSNSで夏休み中の様子をまとめて公開。そのなかにはヘイローを抱いた写真に加え、新しい相棒の愛らしい姿を収めた動画も含まれている。

    動画では、まだ幼いヘイローが自分の前足をかじろうとするなど、子犬らしい無邪気な姿を披露。サーキットで見せるハミルトンとはひと味違う、リラックスした時間が伝わってくる投稿となった。

    メイン州からロサンゼルスへ ヘイローを迎え入れ
    実はヘイローの存在は、ハミルトン自身が今回の写真を公開する以前の7月に、米国を拠点とするブリーダーによって明らかにされていた。

    ブリーダーは当時、「ミス・ヘイローをF1フェラーリドライバーのルイス・ハミルトンのもとへ、ロサンゼルスまで飛行機で送り届けることを楽しみにしている」と投稿。動物トレーナーのカースティン・マクミリアンが、ヘイローを迎えるために米メイン州へ向かったことも明かしていた。

    マクミリアンは3世代にわたる動物トレーナー一家の人物で、ハミルトンにとっても以前から信頼を寄せてきた存在だ。

    ハミルトンがこれまで飼っていたイングリッシュ・ブルドッグのロスコーとココのトレーニングにも携わっており、新たに家族となったヘイローも同じ人物に託されることになった。

    愛犬ココとの別れを経て迎えた新たな家族
    ハミルトンにとって、愛犬は長年にわたって生活の大切な一部だった。

    特にロスコーはF1パドックにもたびたび姿を見せ、世界中のファンから親しまれてきた。ハミルトンのSNSにも頻繁に登場し、レース活動とは異なる一面を伝える存在として知られている。

    一方、もう1匹のイングリッシュ・ブルドッグだったココは2025年9月に死去。ハミルトンにとって大切な家族とのつらい別れとなった。

    それから約1年。新たに迎え入れたのがゴールデンレトリバーのヘイローだ。

    かつてロスコーとココを担当した同じトレーナーにヘイローを託したことからも、ハミルトンが新しい家族を迎えるにあたって信頼できる環境を選んだことがうかがえる。

    「休んで、回復して、充電する」夏休みを満喫
    ハミルトンは今回のSNS投稿に「Resting, restoring, recharging」と短いメッセージを添えた。

    「休んで、回復して、充電する」

    投稿ではヘイローと過ごす時間だけでなく、トレーニングに取り組む姿など、夏休みを満喫する様子も紹介されている。

    F1のシーズンは長く、夏休みはドライバーにとって貴重なリセット期間となる。特に2026年は新世代マシンとパワーユニットが導入され、ドライバーにも例年以上に大きな負担がかかっている。

    41歳のハミルトンにとっても、タイトル争いが本格化するシーズン後半戦を前に、心身を整える重要な時間だ。新しい相棒ヘイローとの生活は、その充電期間にさらなる喜びを加えている。


    フェラーリで初勝利 ランキング2位で後半戦へ
    ハミルトンは、フェラーリで迎えた2026年シーズンにドライバーズタイトルを争っている。

    シーズン前半にはバルセロナでフェラーリ加入後初となるグランプリ優勝を達成。スクーデリアの赤いレーシングスーツをまとって初めて表彰台の頂点に立つ、本人にとってもチームにとっても大きな意味を持つ勝利となった。

    現在はドライバーズランキング2位につけ、ランキング首位を走るメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリを追っている。一方で、ジョージ・ラッセルとの争いも続いており、シーズン後半戦も気の抜けない戦いが待っている。

    直近の数戦では必ずしもすべてが思い通りに進んだわけではない。それでもフェラーリでの初タイトルを目指すハミルトンにとって、夏休み明けからの戦いが重要になることに変わりはない。

    “命を守る”ヘイローとともにタイトル争いへ
    F1の「ヘイロー」は、導入当初こそ外観をめぐって賛否を呼んだものの、その後はいくつもの重大事故でドライバーを保護し、現在ではF1を象徴する安全装置のひとつとなった。

    そんな“命を守る存在”と同じ名前を与えられたゴールデンレトリバーのヘイローが、ハミルトンの新たな家族となった。

    愛犬ココとの別れを経て、新しい相棒を迎えたハミルトン。「休んで、回復して、充電する」という言葉通り、ヘイローと過ごす時間からもしっかりとエネルギーを受け取っているようだ。

    フェラーリでの初タイトルを目指すハミルトンは、新たな家族とともに束の間の夏休みを過ごし、首位アントネッリを追う2026年F1シーズン後半戦へと向かう。

  • メルセデスF1が後半戦を警戒「夏休み後に選手権は様変わりする」

    メルセデスF1が後半戦を警戒「夏休み後に選手権は様変わりする」

    メルセデスF1は、2026年シーズン後半が前半戦とはまったく異なる戦いになると予想している。コンストラクターズ選手権とドライバーズ選手権の両方で首位に立ちながらも、チームは夏休み明けのオランダGPからタイトル争いがさらに激化すると警戒している。

    メルセデスF1の副テクニカルディレクターを務めるシモーネ・レスタは、F1では夏休みを境に選手権の流れが大きく変わることが多く、タイトル争いではプレッシャーへの対応力が勝敗を左右すると強調した。

    メルセデスF1 「失ったポイントがなければもっとリードしていた」
    ハンガリーGP終了時点で、メルセデスはドライバーズ、コンストラクターズの両ランキングで首位に立ち、2020年以来となるダブルタイトル獲得へ向けて有利な立場で夏休みに入った。

    しかし、チーム代表のトト・ヴォルフは、今季の戦いは本来ならさらに優位に進められていたと振り返る。パワーユニットとシャシーを一体で開発するワークス体制が好スタートにつながった一方で、信頼性トラブルによって大きな代償を払ったという。

    「シーズン序盤は非常に良いスタートを切れた。パワーユニットとシャシーを統合した体制、そしてチーム全体の準備が成果につながったと思う」

    「一方で、信頼性の問題には明らかに苦しんだ。3回か4回のリタイアがあり、直接のライバルであるフェラーリに対して70~80ポイントは失ったはずだ。今のリードは70ポイント余りなので、それらを加えれば非常に大きな差になっていた」

    「だが、そのポイントは失われた。そして当然ながらライバルとの差は縮まった。難しいグランプリもいくつかあった」

    さらにヴォルフは、フェラーリが挙げた直近2勝についても、メルセデス側のミスや不運が大きく影響したとの見方を示した。

    「実際、フェラーリのここ2勝は我々自身の失敗によるものだ。バルセロナではセーフティカーの不運があり、シルバーストンではキミ(アンドレア・キミ・アントネッリ)のホイールトラブルがあった」

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    シモーネ・レスタ 「夏休み後は選手権の流れが変わる」
    シーズン前半はメルセデスが優位に立ったものの、ここ数戦ではフェラーリやマクラーレンが着実にパフォーマンスを向上させ、その差は縮まりつつある。

    レスタは、こうした流れが夏休み明けのオランダGP以降、さらに顕著になると予想している。

    「歴史を振り返れば、選手権は夏休み後に必ず変化する」

    「首位に立つチームには大きなプレッシャーがかかるが、追う側にも同じようにプレッシャーがかかる」

    「シーズン後半はチームにとってまったく別の局面になる。環境はさらに厳しくなり、一つひとつの結果の重みが増していく」

    現在、メルセデスはコンストラクターズ選手権でフェラーリに72ポイント差、ドライバーズ選手権ではアンドレア・キミ・アントネッリがルイス・ハミルトンに50ポイント差をつけている。

    それでもレスタは、このリードがタイトル獲得を保証するものではないと断言する。

    「この時期こそ、組織の強さとレジリエンス(対応力)が本当に試される」

    「プレッシャーに耐え、さらに重要性が増した状況でも結果を出し続けられるかどうかを、チームは証明しなければならない」

    そして、2026年シーズン終盤はわずかな差がタイトルの行方を左右する激戦になると予想した。

    「このシーズン後半がどう展開していくのか、とても興味深い。多くの場合、選手権はこの時期に勝ち取られるか、あるいは失われるものだからだ」

  • ブリアトーレが語るベネトン成功秘話「誰もTシャツ屋がF1で勝つとは思わなかった」

    ブリアトーレが語るベネトン成功秘話「誰もTシャツ屋がF1で勝つとは思わなかった」

    アルピーヌF1を率いるフラビオ・ブリアトーレが、自身のF1キャリアの原点となったベネトン時代を振り返り、「Tシャツメーカー」と揶揄されたファッションブランドが世界王者へと上り詰めた成功の理由を語った。

    2027年からアルピーヌの主要パートナーとしてグッチが加わることを控え、ブリアトーレにとってはファッションとF1を再び結びつける形となる。

    約30年前、ベネトンを単なるスポンサーではなくF1そのものをブランドの「アンバサダー」として活用した経験は、現在のアルピーヌにも通じるものがあるという。

    「F1初の本格的なファッションブランドだった」
    ブリアトーレがF1に足を踏み入れたきっかけは、イタリアのアパレルブランド、ベネトンだった。当時、ルチアーノ・ベネトンからF1での活動を任され、それまで自動車メーカーやレーシングチームが中心だった世界に、ファッションブランドという異質な存在を持ち込んだ。

    「当時のベネトンも、ある意味ではラグジュアリーブランドのような存在だった。世界に7000店舗のベネトンがあったからね。そして、F1に参入した最初の本格的なファッションブランドだった」とブリアトーレはThe Race Businessに語った。

    「最初はマシン全体がベネトンカラーだった。その後、ベネトンだけでやるには費用が高くなりすぎて、黄色や青など別のカラーを加える必要が出てきた。それでも、最初の例がベネトンだった」

    F1参戦によって得られたブランド効果は、ブリアトーレ自身の想像を超えていたという。

    「ある時点では、店舗よりレーシングチームのほうがはるかに有名になっていた。信じられないことだったよ。Tシャツメーカーがチャンピオンシップを獲るなんて、本当にすごいことだった」

    「1989年から1990年ごろに始めたときは、誰も我々に1セントの価値も見いだしていなかった。それが1995年には世界王者になる準備ができていた。本当に素晴らしかった」

    シューマッハと低予算でF1の頂点へ
    ベネトンは1994年にミハエル・シューマッハとともにドライバーズタイトルを獲得し、1995年にはシューマッハが連覇を達成。さらにコンストラクターズタイトルも手にした。

    ブリアトーレは、その成功が巨額の資金によって生まれたものではなかったと強調する。

    「レッドブルも後に似たことをやった。ただし、資金の規模もシステムもまったく違う。当時の我々の予算は、他のチームと比べて非常に限られていた。それでも成し遂げた。ミハエル・シューマッハには感謝している。彼はチームにとって非常に大きな存在だった」

    ベネトンがF1に参入した当初、周囲からは「Tシャツメーカー」と見られていた。それは飲料メーカーとしてF1に参入したレッドブルが後に受けた懐疑的な視線とも重なる。

    「我々は本当に“Tシャツメーカー”だった。でも結局、運営するのは人なんだ。その結果として最終製品であるマシンが生まれる」

    「ルチアーノはF1が大好きだった。兄弟のひとりはラグビーが好きで、別の兄弟はバレーボールが好きだった。ただ、最初からF1を選んだ理由は、それが世界的なスポーツだったからだ。ベネトンを他とは違うレベルへ持っていこうとしていた」

    ミハエル・シューマッハとフラビオ・ブリアトーレ

    モータースポーツ誌ではなく「VOGUE」に売り込んだベネトン
    当時のF1では、マクラーレン、フェラーリ、ウィリアムズ、ティレル、ブラバムといった伝統的なレーシングチームが中心だった。ブリアトーレは、彼らと同じ方法で戦ってもベネトンの存在感は高められないと考えた。

    そこで選んだのが、モータースポーツの枠を超えてファッションの世界へF1を持ち込む戦略だった。

    「他のチームは非常に技術志向だった。マクラーレン、フェラーリ、ウィリアムズ、ティレル、ブラバムといったチームだ」

    「そこでパトリツィアと僕は、AutosportやAutosprintなどの自動車雑誌に出るのではなく、ファッション誌やVOGUEに出ようと決めた。まったく違うアプローチだった」

    「モデルを使ったり、写真を重視したりした。当時の我々のマシンには競争力がなかったけれど、メディアやイメージという面では常にトップだった。誰もがベネトンを追いかけていた」

    つまり、マシンが勝てるようになる前から、ブランドとしてはF1のトップクラスの存在感を獲得していたということだ。

    「誰もTシャツメーカーが勝てるとは思っていなかった」
    ブリアトーレは、ベネトンが後方からスタートし、徐々に勢力図を覆していった過程を、現在のアルピーヌとも重ね合わせている。

    「我々は後方からスタートした。昨年アルピーヌで始めたときと同じだ。我々はいつも流れを変えてきたし、下から始めてきた」

    「ベネトンの成功は本当に信じられないものだった。Tシャツやセーターを作っている会社が、これほど競争が激しく技術的な世界に入って成功できるなんて、誰も信じていなかったからね」

    F1という世界を外部から眺めたことも、既成概念に縛られない発想につながったという。

    「当時、我々はそれほど難しくないことにも気づいた。みんなが物事を非常に難しくしていたんだ。最も難しいのは、適切な人材が適切な場所、適切なタイミングにいる機会を作ることだった」

    最初は参戦するだけだったベネトンだが、やがて表彰台が現実的な目標となり、その先にタイトルが見えてきた。

    「少なくとも競争できる可能性があることが分かった。その後、ただ競争するだけでなく、表彰台を狙えることが分かった。そして最後には『よし、今なら本当に戦える』となった」

    トップチームより30~40%少ない予算
    ブリアトーレによれば、ベネトンの予算は当時のトップチームより常に大幅に少なかった。

    「我々の予算は、常にトップチームより30~40%少なかった。1995年に最初のコンストラクターズタイトルを獲得したときは、当時のフェラーリやマクラーレンの50%程度の予算だったと思う」

    「それでも勝てたのは戦略が正しかったからだ」

    その戦略の中心にあったのが、人材だった。

    「信じられないほど素晴らしいドライバーを獲得した。そして素晴らしいエンジニアの集団がいた。彼らは今ではみんなスターになっている。ロス・ブラウンからパット・シモンズまでね」

    「現在レーシングブルズのチーム代表を務めているアラン・パーメインも我々と一緒だったし、ジョナサン・ウィートリーもいた」

    ブリアトーレは、これを「ベネトン・スクール」と表現する。

    「確かに我々はファッション企業だった。でも技術面でも優秀な人材を育てる力があった。ファッションの精神とテクノロジーの精神を組み合わせた。それをひとつにまとめた結果、大成功になったんだ」

    F1は「特別に難しいビジネスではない」
    ブリアトーレは、F1チームの経営を過度に特殊なものとは考えていない。

    「他のビジネスと同じだと思っている。世界最高の人材を相手に競争する以上、簡単ではない。でも成功することが不可能なわけではない」

    そもそもブリアトーレ自身、F1に深い知識を持ってこの世界に入ったわけではなかった。

    「僕はF1が何なのか、まったく知らなかった。ルチアーノ・ベネトンの判断によって、偶然F1に入ったんだ。本来なら数カ月だけ、商業面を整理するための仕事だった」

    「これほど長くF1にいるなんて思ってもいなかった。だからこそ、外からの視点でF1を見ることができた。もちろん複雑だよ。他のビジネスと同じように複雑だけれど、できることはたくさんある」

    「F1そのものがベネトンのアンバサダーだった」
    ブリアトーレが強調するのは、ベネトンが単にF1チームを広告媒体として利用していたわけではないという点だ。

    「当時、我々はベネトンのためにF1を使っていた。完全にね。ベネトンがF1を利用していたというより、F1そのものをベネトンのアンバサダーにすることを決めたんだ」

    「ルチアーノはあれだけの露出を得られたことを非常に喜んでいた。会社としても信じられないほどの成功だった」

    そして競争力が高まれば、その広告効果はさらに増幅する。

    「競争力があれば、その効果は2倍、3倍、4倍になる。新しい業界に入ると、違った目で見ることができる。毎日その世界にいるわけではないからね」

    グッチ加入で再び「ファッション×F1」へ
    2027年からグッチを主要パートナーに迎えるアルピーヌは、ブリアトーレにとって30年以上前のベネトン時代を想起させるプロジェクトになる。

    ベネトンは、伝統的なモータースポーツ企業ではない「Tシャツメーカー」としてF1に乗り込み、ファッションとモータースポーツを融合させた独自のマーケティングを展開。その後、シューマッハを中心にブラウン、シモンズ、パーメイン、ウィートリーら後にF1界の重要人物となる人材を集め、世界王者へと成長した。

    「多くの人は毎日同じやり方で物事をする。『これがやり方だから』という理由でね。でも、違う方法でやることもできる」

    ブリアトーレは現在も、自身を純粋なモータースポーツ人間とは捉えていない。

    「もちろんレースは大切だ。自分たちのチームだからね。でも、もし自分のチームがなかったら、僕がF1を見るかどうかは分からない。正直なところね」

    ファッションブランドの視点をF1へ持ち込み、常識とは異なる方法でベネトンを頂点へ導いたブリアトーレ。グッチとの新たなパートナーシップは、単なるスポンサー契約ではなく、かつて成功を収めた「ファッション×F1」という発想を現代のアルピーヌで再び試す機会となりそうだ。

  • コルトン・ハータ F1挑戦に暗雲 キャデラックはカマラを2027年候補に?

    コルトン・ハータ F1挑戦に暗雲 キャデラックはカマラを2027年候補に?

    コルトン・ハータがF1参戦を目指してインディカーを離れ、FIA F2へ転向した大きな決断が厳しい局面を迎えている。2026年シーズンは残り5大会となった時点でランキング16位に低迷し、当初期待されていた2027年のキャデラックF1加入から遠ざかりつつある。

    海外メディア『Last Word On Sports』は、ハータがもはやキャデラックの2027年に向けた有力候補ではなくなり、フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)のラファエル・カマラが候補として浮上していると報道。

    『GIVEMESPORT』もハータのF2挑戦を「大きな賭け」と表現し、その賭けが現時点では報われていないとの見方を示している。

    インディカー9勝を捨ててF2へ 大きな賭けに出たハータ
    ハータは2019年、サーキット・オブ・ジ・アメリカズで18歳にしてインディカー初勝利を挙げ、シリーズ史上最年少優勝記録を樹立した。

    その後もインディカーで通算9勝を挙げ、ランキング2位を獲得するなど、アメリカを代表する若手ドライバーのひとりとして評価を確立した。

    キャデラックがF1参戦計画を進めるなか、アメリカ人ドライバーであり、アンドレッティ陣営との関係も深いハータは自然と有力候補になった。キャデラックは2026年のドライバー候補としてもハータを検討したが、F1参戦に必要なFIAスーパーライセンスのポイントが不足していた。

    そこでハータは2026年、7年間戦ったインディカーを離れるという大きな決断を下した。ハイテックからF2に参戦し、スーパーライセンスポイントを獲得すると同時に、F1で使用されるサーキットなどへの適応を進めることが狙いだった。

    すべては2027年のF1昇格につなげるための選択だった。

    F2で16位 残り5大会で8位とは39ポイント差
    しかし、ハータのF2挑戦はここまで期待通りには進んでいない。

    『GIVEMESPORT』によると、残り5大会となった時点でハータは26ポイントにとどまり、ドライバーズランキング16位。ランキング8位のローレンス・ファン・フーペンとは39ポイント差がついている。

    さらに厳しい材料となっているのが、ハイテックのチームメイトである宮田莉朋がランキング13位でハータを上回っていることだ。

    ハイテック自体もチームランキング8位と苦戦しており、ハータの成績をチームの競争力と切り離して考えることはできない。『Last Word On Sports』も、F2は基本的にワンメイクカテゴリーでありながら、チーム間のパフォーマンス差をめぐる議論があることに触れている。

    それでも、同じチームで戦う宮田がランキングで前にいる以上、ハータの低迷をチームだけの問題として説明するのは難しい。

    特にハータはインディカーで豊富な経験を積んだ26歳であり、F1シート獲得を目的としてカテゴリーを移った以上、F2での結果そのものがキャデラックにとって重要な評価材料となる。

    F2で8位を逃してもスーパーライセンス取得の道は残る
    一方で、F2ランキング8位以内を逃せば、ハータのF1挑戦が即座に終わるわけではない。

    『GIVEMESPORT』は、ハータにはF2でのランキングとは別にスーパーライセンスポイントを補うルートが残されていると指摘している。

    FIAのスーパーライセンス制度では、条件を満たしたF1フリー走行への出走によってポイントを獲得できる。ハータは2026年に計4回のF1フリー走行への出走が予定されており、それぞれ必要な走行距離を満たせばポイントを追加できる。

    さらに、F2シーズンをペナルティポイントなしで終えた場合にも追加ポイントを得られる可能性がある。

    これらを組み合わせれば、F2ランキング8位以内に届かなかったとしても、F1参戦に必要な40ポイントに到達するルートは残されている。

    つまり、ハータが現在直面している問題はスーパーライセンスを取得できるかどうかだけではない。

    むしろ大きいのは、ハータがF2で苦戦している間に、キャデラックが2027年のドライバー候補として検討できる別の若手が台頭してきたことだ。

    キャデラックF1はペレスとボッタスの経験を高く評価
    キャデラックF1は2026年の参戦初年度にセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスという経験豊富な2人を起用した。

    チームはこれまで一貫して両ドライバーの仕事を高く評価し、新規参戦チームに必要な経験やフィードバックをもたらしているとの姿勢を示している。

    ペレスとボッタス自身も2027年のシートについて自信を示している。一方で、両者の契約期間やオプションなど詳細な条件は明らかになっていない。

    当初は、2026年にハータがF2で結果を残し、スーパーライセンスを取得したうえで2027年にキャデラックへ加入するというシナリオが有力視されていた。

    アメリカの自動車メーカーが率いるF1チームにアメリカ人ドライバーを乗せることには、マーケティング面でも大きなメリットがある。インディカーで実績と知名度を築いてきたハータは、その条件に最も合致する存在だった。

    しかし、F2での苦戦によって状況は変わりつつある。

    ラファエル・カマラがキャデラックF1の有力候補に

    カマラがF2ランキング3位 キャデラックの候補に浮上
    ハータに代わって2027年のキャデラックF1候補として存在感を強めているのが、ラファエル・カマラだ。

    21歳のブラジル人であるカマラはフェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属。フォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン選手権、FIA F3とタイトルを獲得し、今季F2でもランキング3位につけている。

    『Last Word On Sports』は、カマラがキャデラックの2027年候補として広く報じられており、フェラーリもF1シート獲得を後押ししていると伝えている。『GIVEMESPORT』も、カマラがキャデラックの検討リストで上位に浮上したとの見方を示している。

    F2で苦戦するハータとは対照的に、カマラは結果によって自身のF1昇格への評価を高めている。

    さらに重要なのがフェラーリとの関係だ。

    キャデラックはフェラーリ製パワーユニットを使用しているため、フェラーリが育成ドライバーであるカマラのF1昇格を後押しする場合、カスタマーチームであるキャデラックは現実的な選択肢となる。

    これまでフェラーリ育成ドライバーの受け皿として重要な役割を担ってきたのはハースだった。オリバー・ベアマンもその代表例だ。ただし、ベアマンの起用についてはフェラーリとの関係だけではなく、小松礼雄代表自身が獲得を希望していたという事情もある。

    現在のハースはトヨタとの関係を強化しており、今後もフェラーリ育成ドライバーの受け皿として従来と同じ役割を担うかは不透明だ。

    そうなれば、フェラーリにとってキャデラックがカマラのF1昇格先として重要な選択肢になる可能性がある。

    アメリカ人という強みよりF2での結果が重要に
    ハータには依然としてキャデラックにとって大きな魅力がある。

    アメリカ人ドライバーを起用するというストーリーは、アメリカ市場を重視するキャデラックにとって理想的だ。ハータ自身もインディカーで実績と知名度を築いている。

    しかし、F1のシートを決めるうえで最終的に問われるのはパフォーマンスだ。

    ハータがインディカーという確立されたキャリアを離れてF2へ移ったのも、自身の実力を示し、F1参戦資格を手にするためだった。そのF2でランキング16位に低迷している事実は、キャデラックが2027年のラインアップを判断する際に無視できない材料となる。

    対照的にカマラは、若さ、F2での成績、フェラーリとの関係という複数の要素を持つ。

    キャデラックが参戦2年目も安定性を重視するのであれば、ペレスとボッタスを継続することには十分な合理性がある。一方で将来を見据えて若手を起用するのであれば、現時点ではハータよりカマラの方が説得力のある候補になりつつある。

    インディカーで築いたキャリアを離れ、F1という目標に賭けたハータ。その挑戦が完全に終わったわけではなく、スーパーライセンス取得への道も残されている。

    それでも2027年のキャデラックF1シートをめぐる競争では、ハータがF2で苦戦している間にカマラが急速に評価を高めた。残り5大会でハータが流れを変えられるかどうかは、F1への道だけでなく、自ら選んだ大きな賭けの成否を左右することになりそうだ。

  • アービッド・リンドブラッド F1定番のモナコ移住を拒否「富の象徴に抵抗」

    アービッド・リンドブラッド F1定番のモナコ移住を拒否「富の象徴に抵抗」

    F1ドライバーにとって”聖地”ともいえるモナコ。しかし、2026年にF1デビューを果たしたレーシングブルズのアービッド・リンドブラッドは、その魅力に惹かれていないことを明かした。

    現在のF1グリッド22人のうち13人がモナコに居住、または不動産を所有しているが、リンドブラッドは「普通の18歳として暮らせる場所」を望んでおり、将来的にも静かな海辺の街で生活したいという考えを語っている。

    F1ドライバーがモナコを選ぶ理由
    モナコはF1モナコGPの開催地であるだけでなく、税制面でのメリット(フランス人を除く)や高い治安、ヨーロッパ各地へのアクセスの良さから、多くのF1ドライバーが拠点としている。

    2026年シーズンでは、マックス・フェルスタッペン、ルイス・ハミルトン、ランド・ノリス、シャルル・ルクレールら世界のトップドライバーがモナコに居住している。

    一方で、リンドブラッドは、その華やかな環境に違和感を抱いている。

    祖父母と両親の苦労が価値観を形成
    リンドブラッドは、自身の家族の歴史が現在の価値観に大きな影響を与えていると説明した。

    「僕の祖父母は何も持っていなかった。父は食事を1日3回取ることさえ難しかった時期があって、11歳か12歳の頃にはすでに働いていた」

    「母方の家族にも特別な物語がある。祖父母はパキスタン出身で、ある時すべてを失った。本当に一夜にして、身につけていた服と持ち運べる荷物しか残らなかったんだ」

    「その後、イギリスへ移り、医師として懸命に働いて人生を築き直した。僕は努力によってすべてを勝ち取った人たちに囲まれて育った」

    「モナコは富の究極の象徴」
    そうした背景が、モナコ移住に抵抗を感じる理由だという。

    「その通りだ。モナコに住んでいる人たちは『実際には普通の生活だよ』と言う。でも僕の中では、モナコは今でも『富の究極の象徴』なんだ」

    「若い頃に父が食事にも苦労していたことや、祖父母がすべてを失ったことを思うと、そんな場所に住むことに少し抵抗を感じる」

    「もちろんモナコが悪い場所だと言いたいわけじゃない。ただ今の自分には、その考えにまだしっくりこないだけなんだ」

    「もちろん僕も普通の人間だから、たまには何か良い物を買いたくなる。そういう意味では矛盾しているかもしれない。でも、今はそう考えている」

    望むのは”普通の18歳”としての生活
    リンドブラッドは将来住みたい場所についても、自身の理想を明かした。

    「海の近くの静かな街で暮らしたい。誰にも知られず、映画館へ行ったり、散歩したり、友達と会ったり、普通の若者として生活できる場所がいい」

    「子どもの頃から僕の人生は友達とは全然違っていた。サーキットではF1ドライバーでいたい。でも家に帰れば18歳の若者でいたい。それが僕にとって本当に大切なんだ」

    現在リンドブラッドはイングランドを拠点としており、「今住んでいる場所では、それが実現できている」と語っている。

    2026年F1ドライバーの主な居住地

    ■ モナコ
    ・ジョージ・ラッセル(メルセデス)
    ・マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
    ・シャルル・ルクレール(フェラーリ)
    ・ルイス・ハミルトン(フェラーリ)
    ・ランド・ノリス(マクラーレン)
    ・オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
    ・リアム・ローソン(レーシングブルズ)
    ・ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)
    ・ガブリエル・ボルトレト(アウディ)
    ・アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)
    ・カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)
    ・オリバー・ベアマン(ハース)
    ・バルテリ・ボッタス(キャデラック)

    ■ スイス
    ・フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)
    ・ランス・ストロール(アストンマーティン)
    ・エステバン・オコン(ハース)

    ■ イタリア
    ・ピエール・ガスリー(アルピーヌ)

    ■ イタリア/フランス
    ・アイザック・ハジャー(レッドブル)

    ■ サンマリノ
    ・キミ・アントネッリ(メルセデス)

    ■ イングランド
    ・アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)

    ■ アルゼンチン
    ・フランコ・コラピント(アルピーヌ)

    ■ マイアミ
    ・セルジオ・ペレス(キャデラック)

    F1ドライバーの多くが税制や利便性を理由にモナコを生活拠点として選ぶ一方で、リンドブラッドは家族の歴史と自身の価値観を大切にし、「普通の生活」を優先したいという姿勢を示している。彼の考え方は、F1界では少数派ながらも、18歳らしい率直な価値観として注目を集めそうだ。

  • ニコ・ヒュルケンベルグ アウディF1で長期参戦に意欲「望まれる限り走る」

    ニコ・ヒュルケンベルグ アウディF1で長期参戦に意欲「望まれる限り走る」

    ニコ・ヒュルケンベルグは、アウディとの将来について、チームから必要とされ、自身が楽しみながら速さを維持できる限りF1で走り続けたいとの考えを示した。

    38歳のヒュルケンベルグは2027年までアウディとの契約を結んでいる。2026年シーズンは結果だけを見れば苦戦が続いていたものの、第11戦ハンガリーGPでは9位に入り、今季初ポイントを獲得。本人はランキングに表れている数字と実際のパフォーマンスには大きな隔たりがあると強調している。

    ランキング以上の手応えを強調
    ヒュルケンベルグはドイツ紙『Sport Bild』に対し、2026年シーズンを単純にポイントだけで評価するべきではないと語った。

    「そこに見えているものと、実際にコース上で起きたこと、そしてチームとして僕たちがどの位置にいるのかには、大きな隔たりがある」

    「ランキングだけを見れば『なんてひどいんだ』と思うだろう。でも、それぞれのレースを振り返って全体像を見れば、状況はかなり明確に感じられる」

    アウディは2026年からワークスチームとしてF1に参戦。ヒュルケンベルグは経験豊富なドライバーとして、そのプロジェクトを支える重要な役割を担っている。

    シーズン序盤はポイント獲得に届かないレースが続いたが、ハンガリーGPでは9位に入り、ようやく結果としても前進を示した。

    2027年以降もアウディで走る可能性
    ヒュルケンベルグとアウディの現在の契約は2027年までとなっているが、それ以降についても本人は可能性を否定していない。

    「絶対にないとは言わない。でも、それを考えるにはまだ早すぎる。僕は今この瞬間に集中しているし、1年ずつ考えている」

    そのうえで、現役を続けるための条件について明確に語った。

    「僕が楽しめていて、ストップウォッチが正しい数字を示していて、チームが僕を必要としてくれる限り、僕はアウディで走る」

    「それがかなり長く続くことも想像できる」

    2027年シーズン終了時には40歳を迎えることになるが、年齢そのものを引退の基準にはしていない。自身のパフォーマンスとモチベーション、そしてチームからの評価が維持される限り、アウディとの関係をさらに長く続ける考えだ。

    ニコ・ヒュルケンベルグ アウディF1

    契約よりもアウディF1の成長を優先
    もっとも、現段階でヒュルケンベルグが重視しているのは、2028年以降の自身の契約ではない。アウディのF1プロジェクトそのものが正しい方向へ進んでいるかどうかだ。

    「今重要なのは、このプロジェクトが正しい方向へ進んでいることだけだ。そして、僕たちはそうできている」

    「それ以外のことは後からついてくる」

    アウディにとって2026年はワークス参戦初年度であり、マシンとパワーユニットの双方を含めたプロジェクトを成長させていく段階にある。ヒュルケンベルグも目先の契約交渉より、まずチームとして競争力を高めることを優先している。

    ハンガリーGPで今季初ポイントを手にしたヒュルケンベルグにとって、重要なのはランキング上の数字だけではない。自身の速さが維持され、アウディのプロジェクトが前進を続けるのであれば、その関係は現在の契約が満了する2027年以降も続く可能性がある。

  • F1:セーフティカー先導での決着に議論 赤旗によるレース再開は解決策か

    F1:セーフティカー先導での決着に議論 赤旗によるレース再開は解決策か

    F1では、セーフティカー先導のままレースが終了することを避けるため、終盤に赤旗を提示して再スタートを行うべきかを巡る議論が続いている。

    発端となったのは、物議を醸した2026年F1イギリスGPの結末だ。シルバーストンではレース終盤がセーフティカーによってニュートラライズされ、そのままチェッカーを迎えた。

    ドライバーの間ではスパ・フランコルシャンでも対応策が話し合われたが、「終盤なら原則として赤旗を出すべき」とする意見がある一方、「ショーのためだけに、それまで築いたレースを台無しにすべきではない」との声もあり、意見はまとまっていない。

    そうしたなか、チーム首脳陣は一律のルールを設けることには慎重な姿勢を示している。レーシングブルズのアラン・パーメイン、アウディF1のアラン・マクニッシュ、キャデラックのグレアム・ロードンはいずれも、最終的な判断はレースディレクターとFIAに委ねるべきとの考えを示した。

    「レースディレクターにはすでに権限がある」パーメイン
    議論のひとつとなっているのが、残り3〜4周という終盤でセーフティカーが導入された場合、レースディレクターがより柔軟に赤旗を提示し、スタンディングあるいはローリングスタートによってレースを再開できるようにする案だ。

    過去にチーム側がこうした考えを阻止したのではないかと問われたパーメインは、その認識に疑問を呈した。

    「それが本当なのかは分からない。レースディレクターは、そうしたいのであれば、すでにその権限を持っていると思う」

    「僕としては、レース運営はレースディレクターとFIAに任せる。彼らは通常、信じられないほど良い仕事をしている」

    パーメインは、イギリスGPがセーフティカー先導のまま終了したことで、結果的にレーシングブルズが恩恵を受けたことも認めている。

    「我々にとっては、シルバーストンの展開は実際に都合が良かった。自分たちのポジションを確定させることができたからだ」

    「もちろん、それが我々がここにいる理由ではない。我々はショーを提供するためにここにいるし、再スタートがあれば、もっと良いショーになっていた可能性はある」

    「ただ、彼らにはすでに、そうしたい場合にそれを行う権限があると思う。だから、それを決めるのは彼らだ」

    つまりパーメインは、終盤の赤旗を新たな規則として義務化する必要はなく、現在の枠組みのなかでFIAとレースディレクターが状況に応じて判断すればいいとの立場だ。

    マクニッシュ「誰もセーフティカーの後ろで終わることを望んでいない」
    アウディF1のスポーティングディレクターを務める元F1ドライバーのアラン・マクニッシュも、パーメインとほぼ同じ考えを示した。

    マクニッシュは、F1に関わる誰もがセーフティカー先導でのフィニッシュを避けたいと考えている一方、事故やコース状況はケースごとに異なるため、単純なルールを設定することは難しいと指摘する。

    「付け加えるなら、理想的には、理由が何であれ、誰もセーフティカーの後ろでレースが終わるところを見たいとは思っていない」

    「それぞれのケースは、そのレースの状況に大きく左右される。だから、一律のルールを設けることはできない。安全性に関わる状況もあれば、それ以外の要素が関係する場合もあるからだ」

    赤旗を義務化すれば、ファンにグリーンフラッグ下でのフィニッシュを提供しやすくなる。その一方で、赤旗によるタイヤ交換や隊列のリセットなどによって、それまでの戦略や築き上げたアドバンテージが大きく変化する可能性もある。

    だからこそマクニッシュは、残り周回数だけを基準に機械的に赤旗を提示するのではなく、その時々の状況を踏まえて判断する必要があると考えている。

    イギリスGPの結末は残念でも「イベント全体は素晴らしかった」
    マクニッシュはまた、セーフティカー先導での決着だけを理由に、イギリスGPそのものを否定的に評価すべきではないと強調した。

    「シルバーストンについて言えば、イベント全体は素晴らしかったと思う。レースも本当に素晴らしかった」

    「残念ながら最後はイエローフラッグの状況で終わった。それは当然、我々が望んでいることではない。そして、この『我々』にはFIAも含まれている。F1に関わる全員が避けたいと思っていることだ。でも、時にはそういうことも起こる」

    キャデラックのグレアム・ロードンも、この問題について新たな主張を加えることはせず、マクニッシュの評価に同意した。

    「これ以上付け加えることはない。シルバーストンについてのアランのコメントには全面的に同意する」

    「ファンにとって素晴らしいイベントだったと思うし、あれだけ多くの人々が現地で週末を楽しんでいる姿を見ることができたのは素晴らしかった」

    赤旗の「義務化」よりFIAの裁量を支持
    セーフティカー先導によるフィニッシュは、競技として正当な結果である一方、ファンにとっては消化不良の結末になりやすい。特に残り数周でセーフティカーが導入された場合、「赤旗で一度止めてでもレースを再開すべき」という議論が起こるのは避けにくい。

    しかし、チーム首脳たちが警戒しているのは、エンターテインメントを優先するあまり、赤旗そのものがレース結果を演出する手段になってしまうことだ。事故処理や安全確保に必要な時間、コースコンディション、残り周回数などは毎回異なり、一律に「残り○周なら赤旗」と決めれば別の不公平を生む可能性がある。

    現状では、赤旗をより積極的に利用する新ルールを導入するよりも、既存の権限のなかでレースディレクターとFIAが個々の状況を判断するという考えがチーム側では支持されている。

    イギリスGPをきっかけに再燃した「セーフティカー先導でのフィニッシュ」を巡る議論。グリーンフラッグ下で決着させることと、それまで積み上げられた競技の公平性をどう両立させるのか。F1にとって重要なのは、単に劇的な最終周を作ることではなく、安全性とスポーツとしての一貫性を保った判断基準を築くことになりそうだ。