カテゴリー: F1関連

  • F1:シャークフィン

    F1:シャークフィン

    ハンガリーGPでトップチームのフェラーリが導入し、シャークフィンはもはやF1の空力デバイスのスタンダードとなったといっても過言ではない。

    シャークフィンは、今シーズンの初戦からレッドブルが導入。第4戦スペインGPではルノー、第6戦モナコGPではトロ・ロッソ、第9戦イギリスGPではフォース・インディアが投入し、先のハンガリーGPでは、新たにフェラーリ、トヨタ、ホンダが取りいれた。

    残りのマクラーレン、ウィリアムズもテストでシャークフィンを試しており、ブリッドウィングやリムシールドに続くF1のトレンドとなっている。

    ドーサルフィンとも呼ばれるこの背びれエンジンカバーの狙いは、ヨーイング(片揺れ)に対するマシンの敏感さを改善することにある。ヨーイングとは上下を軸として車体が左右に振られること。魚が尻尾を振るような揺れをイメージすると良い。これを車体後方の大きなエンジンカバーで整流することによりスタビリティを向上させる。

    しかし、大きく高さのある構造は重心が高くなり、横風の影響を受けやすいというデメリットもある。実際、マクラーレンは他の部分でヨーに対する埋め合わせができると判断し、シャークフィンの導入を見送っている。

    興味深いことに、トヨタはシャークフィンで風洞実験を行った結果、データ上ではメリットと言えるような数値は出なかったという。しかし、シャークフィンを搭載したマシンで走行したドライバーは、リアが安定していると感じるという。他チームではその逆もあるという。

    例えデータ的に大きな改善がなくても、ドライバーが安心して攻めることができるのであれば、効果的といえるのではないだろうか。全てがデータで管理される現代F1の中で、数値だけでなく感覚的な効果と点で、興味深いデバイスである。視覚的な“感覚”はあまり良くはないが…

  • KERS (運動エネルギー回生システム)

    KERS (運動エネルギー回生システム)

    2009年から大幅に改正されるF1レギュレーション。その中でも、最も大きな変化となるのがKERS(運動エネルギー回生システム)だろう。

    KERS(Kinetic Energy Recovery System)とは、これまで熱として放出されていた減速時のエネルギーを回収し、機械的または電気的エネルギーとして貯蔵し再利用するシステムである。

    F1ではまったく未知のデバイスとなるKERS。果たしてKERSはF1にどのような変化をもたらすのだろうか。

    KERS

    2009年のF1レギュレーションでは、KERSの対象となるのはリアブレーキのみ。1周あたりの最大放出エネルギーは400kJで、KERSシステムの出力は60kW(約80馬力)と定められている。計算すると400kJ=60kW×6.67秒となり、ドライバーは1周あたり約6.7秒にわたって80馬力のパワーを利用できることになる。ラップタイムにすると、0.3秒〜0.5秒の短縮がKERSにより可能になるとのことである。

    KERSの方式

    KERSのエネルギー貯蔵システムとしては、バッテリー(電気式)とフライホイール(機械式)の2つが考えられる。

    電気式KERSは、制動時の運動エネルギーでモーター/ジェネレーターを回しすことによりバッテリーに蓄え、必要なときにホイールの駆動力として放出する。一方、機械式KERSは、ブレーキング時の回転とフライホイールの回転をCVTが調整することによって、エネルギー回生と出力が行われる。

    現時点では、ウィリアムズがフライホイールを採用し、他のチームは電気式を採用するとみられている。

    KERSのデメリット

    KERSの導入は重量配分にも大きな影響を与える(画像)

    1周あたり0.3〜0.5秒というアドバンテージを得られるKERSだが、その反面デメリットもある。KERSのシステムは、およそ35kgの重量負担となる。しかも、それを車両後方の決して理想的とはいえない場所に配置しなければならない。その結果、重量配分と低重心化が大きな問題となる。

    現在のF1マシンの前後重量配分は、エンジンやギアボックスなどをリアに搭載しているにも関らず、およそ52:48と言われている。トップチームでは最低重量制限を80kgも下回っていると言われ、フロントウィングなどマシン前方にバラストを配置することで、最低重量制限を保ちつつ理想的な重量配分を可能としている。

    しかし、KERSを搭載することで前後バランスはリア寄りに傾くことになる。ダウンフォースが50%に軽減され、スリックタイヤを履く2009年は、フロントに荷重を配分し、フロントタイヤのグリップが重要になってくるため、エンジニアリング的に大きな挑戦となるだろう。

    また、重量制限は現在と変更がないため、大柄なドライバーにとっては不利になることだろう。

    KERSの安全性

    KERSテスト中に事故を起こしたBMW(画像)

    7月のヘレステストでBMWのメカニックが感電するという事故が起きた。BMWは電気式KERSを採用しており、今回の事故はバッテリーからの漏電が原因との見方が強い。今回の事故は数ミリのアンペアだったため大事には至らなかったものの、命を落とす危険性もあるのだ。

    またレッドブルは、KERSの開発中に出火するという事故を起こしている。火事は小規模なものだったが、発生した有毒な化学ガスにより、ファクトリー内のスタッフは全員避難しなければならなかった。

    KERSは、高圧の電流の扱いやバッテリー火災時の対処など、まだまだ安全面に課題が残っている。現在、各F1チームは2009年のKERS導入に対して様々な議論が繰り返されており、その動向に注目したい。

    KERSとコスト

    コスト削減が進んでいるF1において、KERSを開発することは新たなコストを生み出すことになる。そのため、FIAとFOTAは、2009年はKERS規約の一部であるが、強制ではないとの決定を下した。2010年については、FOTAは標準化KERSシステムの提案を検討している。

  • ブリヂストン、F1最終戦までのタイヤスペックを発表

    ブリヂストン、F1最終戦までのタイヤスペックを発表

    ブリヂストンは、2008年F1の15戦から最終戦までのタイヤ割当を発表した。

    F1初開催、そして初のナイトレースとなるシンガポールGPにはソフトとスーパーソフトがチョイスされた。

    日本GPは昨年と同じくミディアムとソフト、中国GPも昨年と変わらずハードとミディアムが持ち込まれる。

    最終戦となるブラジルGPはミディアムとソフトの組み合わあせとなり、昨年のソフトとスーパーソフトより硬い側のタイヤへと変更になった。

    浜島裕英 ブリヂストン MS・MCタイヤ開発本部長
    「今シーズンの11戦が終了し、今年の最後の4レースのタイヤスペックを確定しました。シンガポールでは初めてF1が行われ開催されます。この興味深い新しい公道サーキット用に我々はソフトとスーパーソフトのコンパウンドを持ち込みます。このサーキットでは高いグリップが要求され、それが我々の選択の主な理由です。日本と中国では2007年に使用したコンパウンドと同じものを使用します。ブラジルに関しては一段階硬めのスペックに動かしました。このレースは昨年のようにとても暑くなると思いますし、昨シーズンのスリリングな最終戦のデータからみて、各チームにとって今回の変更は有益になると思います。」

    2008年 F1タイヤコンパウンド

    開幕戦 オーストラリアGP ソフト&ミディアム
    第2戦 マレーシアGP ミディアム&ハード
    第3戦 バーレーンGP ソフト&ミディアム
    第4戦 スペインGP ミディアム&ハード
    第5戦 トルコGP ミディアム&ハード
    第6戦 モナコGP スパーソフト&ソフト
    第7戦 カナダGP スーパーソフト&ソフト
    第8戦 フランスGP ソフト&ミディアム
    第9戦 ブラジルGP ミディアム&ハード
    第10戦 ドイツGP ハード&ミディアム
    第11戦 ハンガリーGP ハード&ミディアム
    第12戦 ヨーロッパGP ソフト&スーパーソフト
    第13戦 ベルギーGP ソフト&スーパーソフト
    第14戦 イタリアGP ハード&ミディアム
    第15戦 シンガポールGP ソフト&スーパーソフト
    第16戦 日本GP ミディアム&ソフト
    第17戦 中国GP ハード&ミディアム
    最終戦 ブラジルGP ミディアム&ソフト

  • F1-Live.comをESPNが買収

    F1-Live.comをESPNが買収

    ESPNは5日(火)、F1-Live.comを運営するRACING-LIVE社、およびその子会社であるRACING-LIVE JapanとCAPSIS Internationalの買収を発表した。

    ESPNは、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のスポーツ専門ケーブルテレビ会社。

    今回の買収では、現存の『Racing-Live.com』『F1-Live.com』『Rally-Live.com』『Moto-Live.com』『Raid-Live.com』への影響はなく、幅広いニュースコンテンツをより豊富に提供を目指し、新技術、新組織で運営するという。

    Racing-Live.comは、世界最大の自動車スポーツサイト。1997年に開始したF1-Live.comは、日本語を含む7カ国語でF1ニュースを配信。2000年に主要なヨーロッパの自動車スポーツを報道するRacing-Live.comの一部となった。

  • ブリヂストン、ナイトレースで特殊塗料を使用

    ブリヂストン、ナイトレースで特殊塗料を使用

    ブリヂストンは、F1初のナイトレースとなるシンガポールGPでタイヤを識別するためのラインに特殊塗料を使用する予定だ。

    現在のF1レギュレーションでは、レースで使用する2種類のタイヤを目でみて識別できることが義務付けられており、ソフト側のタイヤの溝の1本にホワイトラインがペインとされている。

    しかし、夜間に行われるシンガポールGPではタイヤの識別が困難になる

    そこでブリヂストンは蛍光塗料を使用することも検討したが、反射するより白色塗料を使用することに決めたようだ。

    ブリヂストンのモータースポーツタイヤ開発本部長である浜島裕英が、塗料について語った。

    「塗料の反射比率は、現在のものより高いです。使用する塗料は異なります。それは非常に反射するもので道路の白線に使用されるものと似ています。我々はその成分を使用するつもりです。」

    またブリヂストンは、来年のスリックタイヤにどのように印をつけるかを検討中である。

    「サイドウォールになるでしょう。しかし、スーパーソフト、ソフト、ミディアム、ハードでは、4つの異なるタイプのサイドウィールなので、比重に難航しています。現在は機械で試しています。9月には最終デザインを決定する予定です。」

    他の色の使用も検討したが、テストでは高速時のマシンでは白色が最も効果的だという結果が出たため、白以外は除外された。

  • ハンガロリンク:F1サーキット解説

    ハンガロリンク:F1サーキット解説

    ホンダのテストドライバーであるアレキサンダー・ブルツが、ハンガリーGPが開催されるハンガロリンクのサーキットを解説。

    アレキサンダー・ブルツ
    ハンガリーGPは、すごく楽しい。ブダペストの町並みは美しいし、ハンガロリンクも実に攻めがいのあるコースだ。まともなストレートはないに等しいが、各コーナーは密接に関連し合ってる。だからどれかひとつでミスしたら、3つあとのコーナーでもタイムロスの影響を被るような、そんな感じなんだ。

    コースは路面にラバーが載るにつれ、グリップがどんどん付いてくる。初日のフリー走行と比較したら、レース中のラップタイムは5秒は速くなってる。そこへあの暑さが加わるんだから、ドライバーには本当に過酷だ。それから周回ごとにグリップが変わるために、マシンセットアップは本当に難しい。

    時速290kmでターン1に到達し、進入で2速に落とす。立ち上がりで加速するが、すぐにターン2が迫ってくる。この長い左コーナーはギアレシオによって、2速か3速で抜けていく。進入の路面がちょっとバンピーだから、ロックさせないよう気をつけないといけない。そして立ち上がりは、最大限のトラクションを発揮するように。次のターン3は全開でクリアして、できるだけスピードを乗せて短い直線を駆け抜けていく。

    左のターン4は、5速の高速コーナーだ。なのに進入はブラインドで、立ち上がりはすごく狭くなっている。すごくミスを犯しやすいポイントだ。でもリズミカルな走りができてれば、ここでスピードを乗せて、タイムを稼げる。普通高速コーナーでは、大幅なタイムアップは期待できないものだけど、ここではそれが可能だ。マシンとドライバーが、一体になっていればね。

    ターン5は、個人的には大好きなコーナーだ。ここではまるで、ゴーカートのような攻め方ができるから。ブレーキを踏み、クルマを放り投げる感じでコーナーに飛び込んでいく。四輪をドリフトさせながら、バンピーな路面に必死で逆らいながら、駆け抜けていくんだ。次はターン6と7のシケイン。右手の縁石には、ぶつかるように乗る。でも左側は、触れちゃダメだ。立ち上がりの時に、後輪が不安定になるから。

    短い直線のあとに、ターン8と9が控えてる。もしマシン前部が安定していれば、4速左コーナーのターン8でかなりタイムを稼ぐことができる。立ち上がりでは、左側のラインを外れないようにする。そうすればそのまま理想的な形で、ターン9に突っ込める。ここはすごく滑りやすい右コーナーだ。もし進入でスロットルを戻すのが早すぎると、突然のオーバーステア状態に陥る。逆に戻し方が優し過ぎると、ひどいアンダーになる。罠にはまりやすいコーナーだ。

    ターン10は全開の左コーナーで、すぐにターン11に突っ込んでいく。6速でこの高速右コーナーに達したら、5速にシフトダウン。フロントタイヤがしっかり路面を掴んでくれることを祈りながら、思い切って右にステアリングを切る。ここから丘を駆け降り、フルブレーキングで2速にシフトダウン。右のターン12に達する。立ち上がりの縁石に乗ると、タイムロスしてしまう。

    最終コーナーひとつ前のターン13は、進入がすごくバンピーだ。同時にブレーキングは、遅れ気味になることもある。3速で進入し、クリップから全開。マシンのリアは、スロットル操作でコントロールする。短い加速のあと、最終コーナーに突入する。ここもやはり進入がバンピー、そしてすごく滑る。ところがコーナーの真ん中でアスファルト舗装が突然変わって、グリップが増す。その瞬間に、スロットル全開だ。この時点では立ち上がりは完全にブラインドだけど、すぐに見えてくる。そしてスタート・フィニッシュラインを、通過して行くんだ。

  • F1チーム、新しいF1団体を設立へ

    F1チーム、新しいF1団体を設立へ

    F1チームは、新しいコンコルド協定を決定するため、FIAとFOMとともに働く新しい団体を設立することで合意した。

    本日、全F1チームの代表が、F1の最高権威者バーニ・エクレストンとCVCのドナルド・マッケンジーとF1の将来について話し合うため、マラネロにあるフェラーリの本部に集まった。

    フェラーリは火曜日の午後、この会談が「非常に建設的だった」との声明を発表した。

    フェラーリはまた、全F1チームが、商業的な条件と新しいコンコルド協定を仕上げるために、新しいF1団体を設立することに合意したことを明らかにした。

    「本日、全F1チームがマラネロで会談し、バーニー・エクレストンとドナルド・マッケンジーの前できわめて建設的な会議を行った。」

    「その後チームは、力強くダイナミックなスポーツのフレームワークを提供するため、FIAとFOMとともにレギュレーションと商業条件に合意するために働く、新しいF1チーム団体を設立することを満場一致で合意した。」

  • ブルーノ・セナのF1昇格に太鼓判

    ブルーノ・セナのF1昇格に太鼓判

    ブルーノ・セナのF1昇格に注目が集まる中、彼が所属するGP2チームの代表が、ブルーノ・セナのF1昇格の可能性を語った。

    ブルーノ・セナは、過去に3度のワールドチャンピオンに輝き1994年に不慮の事故でなくなったアイルトン・セナの甥。現在、F1への登竜門といわれるGP2で2位につけている。

    デビッド・クルサードの後任として、レッドブルがセバスチャン・ベッテルを獲得したことにより、トロ・ロッソのシートに空きができた。

    そして、ブルーノ・セナのF1昇格に関しては、アイルトン・セナの友人でマクラーレン時代のチームメイトで現在トロ・ロッソの共同オーナーを務めるゲルハルト・ベルガーが支援している。

    現在ブルーノ・セナが所属するiスポーツ・インターナショナルの代表ポール・ジャクソンは、セナの可能性について「彼の将来はとても明るい」と述べた。

    「今年中にはF1に進む準備が整うと信じているよ。彼がもしF1で本当に成功しなかったとしたら驚くだろうね」

  • ブリヂストン、2種類のタイヤ差の拡大を検討

    ブリヂストン、2種類のタイヤ差の拡大を検討

    ブリヂストンは、来年に向けて2種類のコンパウンドのギャップを広げることを検討している。

    F1の公式タイヤサプライヤーであるブリヂストンは、8月末に2009年のプランをFIAに提出する前に、来週ヘレスでスリックタイヤの最後テストを行うが、チームに供給するタイヤのアプローチを変えるつもりであることを明らかにした。

    2009年から、F1スリックタイヤが復活する。

    現在のタイヤレギュレーションでは、1レースで2種類のタイヤの仕様が義務付けられており、ブリヂストンは各レースで硬さが1段階異なる2種類のコンパウンドのタイヤを供給している。

    しかし、チームとオブザーバーの両方から、レースを改善させるためにバリエーションを広げるよう提案されており、ブリヂストンは何をするかについて評価を行っている。

    ブリヂストンのモータースポーツタイヤ開発本部長である浜島裕英は、1レースで使用するタイヤの硬さを2段階の間隔にすることも検討している。それは例えば、今年のモナコでは、スーパーソフトとソフトが使用されたが、来年はスーパーソフトとミディアムが使用されることになる。

    「我々はコンパウンドの選択において、2ポジション違うものの選択について考えている。もちろん、スリックはグルーブタイヤより柔らかいので、スリックとグルーブのコンパウンドポジションは異なるだろう。」

    しかし、我々は再びそれぞれのレースで2タイプのコンパウンドを持ち込むつもりだ。最近、皆さんが2つの差が小さすぎると不満を述べているので、何をするべきか考えている。」

    ブリヂストンにとって、コンパウンドの選択で困難なのは、2つのタイヤがあまにも差がつきすぎないようにすることだ。そうなると、あるトラックでは、一方のタイヤの方が良すぎるために、全てのチームが同じタイヤ戦略を選ぶという事態が起こってしまう。

    浜島は、最近のレースを活気づけるために差を広げることには賛成しているものの、戦略的な挑戦のためにあまり大き過ぎる差は重要ではないと語る。

    「我々は現在より少し広げたいと思っている。もし差が大き過ぎれば、チームは金曜日に不満を言うかもしれないし、もし小さすぎれば、日曜日に不満を言うだろう。」

  • イナーシャダンパーとは?

    イナーシャダンパーとは?

    最近のF1で注目されているパーツに“イナーシャダンパー”がある。イナーシャダンパーは、どのような効果があるのか。

    イナーシャダンパーを初めて採用したのはマクラーレンといわれる。イナーシャダンパーは、左右のサスペンションとリンクされるサードエレメント(またはフォースエレメント)。サスペンションの上下動を収束させる役割をするものと思われ、縁石やバンプ越え、ブレーキング時などに、素早く車体を安定させることが狙いと思われる。

    イナーシャダンパーには、スプリングは搭載されず、シャフト自体に螺旋が切られている。ボディ内部にはフライホイール上の回転体の重りがあり、サスペンションの入力を受けたシャフトの螺旋が重りを回転させ、その抵抗によってサスペンションの振動を収束させる。

    イナーシャダンパーの構造は、マスダンパーとは大きく異なる。

    マスダンパーは、ノーズ内部に設置されたケースの中にスプリングで重りを浮かせ、サスペンションの動きに関係なく、車体の振動で重りが上下することにより振動を打ち消すものだった。そのため、2006年にルノーが採用したマスダンパーは、可変エアロダイナミクス付加物として禁止された。

    イナーシャーダンパーは、サスペンションと完全にリンクし、回転重りもシャフトに固定されているため、自由運動はせず、サスペンションの一部とみなされるため禁止されていない。

    F1では、2年以上前からマクラーレンが採用しているとされる。マクラーレンのイナーシャダンパーは、サードダンパー内に組み込まれているという。そして、マクラーレンでイナーシャダンパーを設計したエイドリアン・ニューウェイが移籍したレッドブルも、同様の技術を採用しているとされる。

    フェラーリとBMWもイナーシャダンパーを採用しているとされるが、マクラーレンとは異なり、フォースエレメントとして搭載される。先週のイギリスGPでは、ロバート・クビサのフォースダンパー(イナーシャダンパー)にトラブルが発生し、Q3の走行ができなかった。

    構造上、内部がどのようになっているのかわからないイナーシャダンパー。トラクションコントロールやエンジンブレーキが禁止された2008年は、マシン自体で発生させるメカニカルグリップが重要になっており、今後、各チームが熟成させていくパーツと思われる。