カテゴリー: メルセデスF1

  • FIA会長が警戒 トト・ヴォルフのアルピーヌF1関与に「反対」

    FIA会長が警戒 トト・ヴォルフのアルピーヌF1関与に「反対」

    マクラーレンのザク・ブラウンが提起した“チーム間の相互依存”問題が、F1パドックに新たな政治的緊張を生み出している。

    その議論の中心にあるのが、メルセデスF1のチーム代表であるトト・ヴォルフによるアルピーヌへの出資計画だ。FIAのモハメド・ビン・スライエム会長もこの問題に言及し、慎重な姿勢を示している。

    ブラウンが問題提起した“チームB”構造
    F1パドックで現在進行中の政治的対立のひとつが、いわゆる“チームB”の存在だ。

    マイアミGPを前に、マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンはこの構造を強く批判した。レッドブルが長年にわたり2チーム体制を維持している点に加え、フェラーリとハースF1チームの技術・人材面での密接な関係、さらにトト・ヴォルフとメルセデスがアルピーヌの株式取得を検討している点にも疑問を投げかけた。

    現在、アルピーヌは投資ファンドによって売却が進められており、ヴォルフとメルセデスは約24%の株式取得に向けた交渉を行っているとされる。

    ベン・スライエムは“個人的に反対”と明言
    こうしたブラウンの問題提起に対し、FIA会長のモハメド・ビン・スライエムも反応を示した。

    「もしそれが、他者に取得させないためや、レギュレーションに関する投票権を強めるためでないのであれば、ある程度は理解できるかもしれない。しかし一般的に言えば、2つのチームを所有することは正しい方向ではないと考えている」

    「これはあくまで私個人の見解だが、この問題は非常に複雑であり、現在も検討を続けている」

    この発言は、FIAとして正式な規制に踏み込む可能性を示唆するものではないが、トップ自らが否定的な見解を示したことは無視できないシグナルとなっている。

    ヴォルフの意図とパドックの思惑
    パドックでは、かつてレッドブルのチーム代表だったクリスチャン・ホーナーもアルピーヌへの関与に関心を示していたとされる。

    そのため、ヴォルフによる出資検討は、長年のライバルを排除する意図があるのではないかとの憶測も流れた。しかし、この見方についてヴォルフ本人は否定している。

    それでも、今回の問題は単なる投資案件にとどまらず、F1における“勢力図”や“影響力”に直結するテーマであることは明らかだ。

    レッドブル体制にも波及する可能性
    仮にFIAがチーム間の相互依存や複数チーム所有に対して厳格な姿勢を打ち出した場合、その影響はヴォルフとアルピーヌの関係にとどまらない。

    レッドブルが長年維持してきた2チーム体制の正当性も、改めて議論の対象となる可能性があるためだ。

    今回の発言が単なる個人的見解にとどまるのか、それとも将来的なルール変更の前触れとなるのか。F1の政治構造を揺るがす議論は、今後さらに激しさを増していくことになりそうだ。

  • アントネッリとラッセル 無線に表れた差 メルセデスF1体制格差を読み解く

    アントネッリとラッセル 無線に表れた差 メルセデスF1体制格差を読み解く

    2026年F1シーズン序盤、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が連勝を重ね、チームメイトのジョージ・ラッセルを上回るパフォーマンスを示している。

    ラッセルも安定した速さを見せているものの、レース展開や結果の面ではアントネッリが一歩先を行く状況が続いている。この差は単なるドライビング能力の違いではなく、チーム内部の体制にも要因がある可能性が指摘されている。

    とりわけ注目されるのは、ルイス・ハミルトン時代に築かれた“勝てる仕組み”が、現在どのように引き継がれているかという点だ。メルセデスは過去にも、体制配置がタイトル争いを左右した前例を持つ。

    2016年に起きた“体制介入”という前例
    2016年、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグがタイトルを争ったシーズン、メルセデス内部は深刻な対立状態にあった。

    当時、チーム内ではメカニックやエンジニアがそれぞれのドライバー側に分かれる“陣営化”が進み、情報共有に支障が出るほどの緊張関係が生まれていたとされる。

    この状況を受け、トト・ヴォルフはシーズン途中に異例の措置を取る。ハミルトン側の成功クルーを含む複数のメンバーをロズベルグ側へ移すなど、大規模な人員入れ替えを断行した。

    この“ショック療法”によってチームは再統合され、最終的にロズベルグがタイトルを獲得する結果となった。体制変更が競争力に直結した象徴的なケースである。

    アントネッリとラッセル 異なる“支えられ方”
    現在のメルセデスにおいても、ドライバーごとに異なる体制が構築されている。

    アントネッリ側には、ルイス・ハミルトンとともにタイトルを支えたレースエンジニアのピーター・ボニントンが関与している。一方、ラッセルを担当するのはマーカス・ダドリーだ。

    ダドリーも経験豊富なエンジニアであり、過去にはメルセデスのレースエンジニアリング体制の中で、ハミルトン側のサポートを含む重要な役割を担ってきた人物だ。

    しかし現在の組織構造を見ると、ボニントンはレースエンジニアリング部門の中核を担う立場にあり、単なる担当エンジニアの枠を超えた役割を持っている。この違いは、単純な能力差ではなく“組織内での位置づけ”の差といえる。

    ジョージ・ラッセルとマーカス・ダドリー(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ / マイアミグランプリ

    無線に表れる“判断の所在”の違い
    レース中の無線にも、両陣営の特徴ははっきりと表れている。

    例えばジョージ・ラッセルは、レース中に次のように無線で助けを求めている。

    「マーカス、どうすればいいかアドバイスが欲しい。かなり厳しい状況だ」

    これに対し、マーカス・ダドリーは短く「了解」と応答するにとどまっている。

    一方でアンドレア・キミ・アントネッリの無線は対照的だ。マイアミGPでは、リアタイヤのグリップ低下を訴えた場面で、ピーター・ボニントンが即座にこう応じている。

    「それは温度の問題だ」

    ドライバーの不安に対し、原因を即座に特定し、状況を整理して伝える。そこには迷いがない。

    この違いは単なる言葉数の差ではない。ラッセルとダドリーのやり取りは、ドライバーが判断を求め、それに対してエンジニアが応じる構図になっている。一方でアントネッリとボニントンの関係は、状況の解釈そのものをエンジニアが提示する“判断主導型”に近い。

    無線のやり取りはわずか数秒だが、その背後にはレースの主導権がどこにあるのかという構造が表れている。

    2016年は“均衡調整” 2026年は“重心の明確化”
    2016年のメルセデスは、2人のドライバーの均衡を保つために体制を入れ替えた。

    しかし現在は、チームの重心がより明確に定まりつつあるようにも見える。アントネッリが“次世代エース”として位置付けられている中で、体制もそれに沿って最適化されている可能性がある。

    ラッセルは依然として高いパフォーマンスを発揮しているが、その周囲の構造がアントネッリと同一であるとは限らない。

    “誰に体制を合わせるか”が結果を左右する
    メルセデスは過去に、人員配置によってタイトル争いのバランスを調整したチームである。そして現在は、特定のドライバーに最適化された体制が結果に結びついている可能性がある。

    チーム代表のトト・ヴォルフも、アントネッリを将来の中心と位置付ける発言を繰り返しており、その扱いは単なるルーキーの枠を超えている。

    体制、無線、そして組織の重心。そのすべてがどこに向いているのかを考えれば、アントネッリの連勝は偶然ではない。メルセデスが描く次の時代は、すでに明確になりつつある。

  • キミ・アントネッリ F1マイアミGP勝利の裏で発生した“iPhone問題”

    キミ・アントネッリ F1マイアミGP勝利の裏で発生した“iPhone問題”

    キミ・アントネッリ(メルセデス)は、F1マイアミGPで今季3勝目を挙げ、ドライバーズランキング首位の座をさらに固めた。19歳のアントネッリは、チームメイトでタイトル争いのライバルでもあるジョージ・ラッセルに20ポイント差をつけている。

    この勝利により、アントネッリは自身初の3回のポールポジションをすべて優勝に結びつけたF1史上初のドライバーとなった。ただし、マイアミでの勝利は数字ほど簡単なものではなかった。

    レース中にはライバルとの戦いだけでなく、タイヤのオーバーヒートとステアリングホイールの電気系トラブルにも対処していた。

    勝利の裏で起きていたステアリング接続トラブル
    スカイスポーツF1のテッド・クラビッツは、レース後番組『テッズ・ノートブック』で、アントネッリを悩ませたステアリングホイールの問題について説明した。メルセデス側はこれを「ステアリングホイールの接続問題」と呼んでいたという。

    クラビッツはこの問題を、長く使ったiPhoneの充電ポートにたとえた。

    「彼は、私がたぶん“パドルゲート”と呼ぶことになるものと戦わなければならなかった。チームはこれをステアリングホイールの接続問題と呼んでいる」

    「基本的に、いちばん分かりやすく説明すると、iPhoneを差し込むときのようなものだ。もし長く使っているiPhoneで、差し込む部分が少し摩耗していたり、1回か2回落としたことがあって、うまく接続されず、上に小さな緑の表示が出ないような状態だ。『ああ、また新しい電話を買わなきゃいけないのか?これは本当に面倒だ』と思う。彼のステアリングホイールでも同じことが起きていた」

    時速300キロ超で発生したシフト遅延
    クラビッツによれば、ステアリングホイールが外れそうだったわけではない。ただ、接続部が完全には締まり切っておらず、アントネッリがギアシフト用のパドルを引いた際に、わずかな遅れが発生していた。

    「ステアリングホイールには、小さな接続部があって、それが完全には締まっていなかった。外れそうだったわけではない。ただ、彼がギアシフトのためにパドルを引いたとき、少し遅れが出た。そして突然、時速200マイルで走っていると想像してほしい。『何が起きているんだ?パドルに問題がある。ギアボックスの問題でシフトしていない。パドルに問題がある』と考えることになる。実際には、ちょっとしたハードウェアの問題だった」

    「ステアリングホイールと、ステアリングコラムへつながる12ピンコネクターか何か、そしてステアリングコラムからマシンの頭脳部やその他すべてへつながる部分の接続の問題だった」

    アントネッリの勝利を重くする“見えないトラブル”
    アントネッリはマイアミGPで、タイヤの温度管理に加え、ステアリングホイールの接続不良によるシフト遅延にも対応しながら走り切った。高速域でギアシフトに遅れが出る状況は、ドライバーにとって大きな不安要素になる。

    それでもアントネッリはレースを制し、キャリア3勝目を飾った。F1史上初となる「初の3ポールをすべて優勝に変えたドライバー」という記録は、単なる速さだけでなく、トラブルを抱えながら勝ち切る対応力を示すものでもあった。

  • メルセデスF1がV8復活案を支持 1200馬力の「メガエンジン」構想

    メルセデスF1がV8復活案を支持 1200馬力の「メガエンジン」構想

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムが進めるF1のV8エンジン復活案に、メルセデスが支持の姿勢を示した。現行の2026年F1パワーユニットが導入されたばかりのなか、FIAは2031年までに、より安価で軽量なV8エンジンへ移行する計画を前進させている。

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、完全な内燃機関回帰ではなく、バッテリーによる電動要素を残したうえで、内燃機関800馬力+電動400馬力以上という「1200馬力級」の新世代パワーユニット構想に前向きな考えを示した。

    FIAが進めるV8復活案 2031年までに実現へ
    モハメド・ビン・スライエムはF1マイアミGPで、現行のターボハイブリッドに代わる新たなV8パワーユニット計画をFIAが進めていると語った。新エンジンは、より安価で軽量、電動化は「小規模」にとどめる方向で検討されている。

    導入時期は遅くとも2031年とされ、十分な支持が得られれば2030年への前倒しもあり得るという。

    「私は前向きだ。彼らはそれを実現したがっている」とビン・スライエムはロイターに語った。

    「だが、仮にメーカーが2030年の導入を承認しなかったとしても、その翌年には実現する。2031年にはいずれにせよ決まっている。実現する」

    現行の2026年F1パワーユニットは、内燃機関と電動パワーをほぼ50対50に近づける設計思想を持つ。メーカー側が支持してきたこの方向性から、V8復活は大きな転換となる。

    ヴォルフ「我々はV8を愛している」
    トト・ヴォルフはThe Raceの質問に対し、新たなエンジンレギュレーションに前向きな姿勢を示した。

    「我々は新しいエンジンレギュレーションにオープンだ」

    「我々はV8を愛している。そこには素晴らしい思い出しかないし、我々の視点では純粋なメルセデスエンジンだ。高回転で回る。そして、現実世界とのつながりを失わないために、バッテリー側から十分なエネルギーをどう与えるかということだ」

    ヴォルフは、バッテリーの役割を大きく後退させるのではなく、史上最も強力なF1パワーユニットの中核要素として電動エネルギーを組み込む案を示した。

    「もし100%内燃機関へ振り切れば、2031年や2030年には少し馬鹿げて見えるかもしれない」

    「そこは考慮する必要がある。よりシンプルにし、メガエンジンにする。おそらく内燃機関から800馬力を引き出し、その上に400馬力、あるいはそれ以上の電動エネルギーを載せることができる」

    「我々は完全に前向きだ。ただし、その議論が構造的に行われ、人々に配慮がなされ、関係者が取り込まれることが条件だ」

    「最近のメーカーの財政的現実も我々は認識している。簡単ではない。だが、善意をもって実行されるのであれば、本物の、本物のレーシングエンジンで戻ってくることに我々も加わる」

    V型8気筒 F1

    レッドブルも支持 メキース「新たな挑戦に興奮している」
    V8復活案への支持はメルセデスだけにとどまらない。現行レギュレーションに向けてレッドブル・フォード・パワートレインズを立ち上げ、多額の投資を行ってきたレッドブルも、次世代構想に前向きな姿勢を示している。

    チーム代表のローラン・メキースは語った。

    「レッドブル・フォード・パワートレインズとして、我々はかなり前向きだ。このパワーユニットに取り組むためにゼロから始めなければならなかったが、出発点は悪くないと思っている」

    「明日の新たな挑戦にはかなり興奮している。我々はおそらく、もう少し柔軟で独立している」

    レッドブルにとって、現行パワーユニットへの投資は大きい。それでもメキースの発言は、V8復活が単なる懐古路線ではなく、コスト、独立性、競争環境を含めた次世代F1の設計問題として受け止められていることを示している。

    焦点はコスト削減 フェラーリも優先事項に
    F1 CEOのステファノ・ドメニカリも以前、次世代レギュレーションではパワーユニットのコスト削減が不可欠だとThe Raceに語っている。これはフェラーリにとっても重要な論点だ。

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは語った。

    「最初から我々の頭の中にはひとつのパラメーターがある。それはエンジンの狂ったような予算を削減することだ」

    「これはメーカーのためでもあり、カスタマーのためでもあり、F1の利益のためでもある」

    V8復活案は、サウンドや軽量化といったファンに分かりやすい魅力だけでなく、メーカーとカスタマーチーム双方のコスト構造をどう抑えるかという現実的な課題とも結びついている。

    2030年または2031年に向けた議論は、単にエンジン形式を戻す話ではない。F1がどこまで電動化を残し、どこまで内燃機関の魅力を取り戻すのか。そのバランスが、次世代レギュレーションの最大の争点になりつつある。

    Source: The Race

  • 「ザナルディに捧ぐ」アントネッリがF1マイアミGP制覇!故障を乗り越え3連勝

    「ザナルディに捧ぐ」アントネッリがF1マイアミGP制覇!故障を乗り越え3連勝

    メルセデスの超新星、アンドレア・キミ・アントネッリがマイアミGPを制し、驚異の3連勝を成し遂げた。しかし、その栄光の裏側には、ギアボックスの不調やランド・ノリスからの猛追、そしてスタートの失敗といった、19歳の若者にはあまりに重い試練が隠されていた。

    「これはまだ始まりに過ぎない」と語るアントネッリ。その瞳には、勝利の喜びだけでなく、家族ぐるみの友人であり、不屈の精神の象徴だった故アレッサンドロ・ザナルディへの深い敬意が宿っていた。

    ギアボックスの異変とノリスの猛追「極限のストレスだった」
    ポールポジションからスタートしたアントネッリだったが、序盤はエネルギーマネジメントのミスもあり、ランド・ノリス(マクラーレン)に先行を許す苦しい展開となった。チームの完璧なアンダーカット戦略で首位を奪い返したものの、レース中盤にはさらなるトラブルが襲う。

    「パフォーマンスにはそれほど影響しなかったけど、数周の間、ダウンシフトが入らなかったり、7速から8速に上がらなかったりしたんだ。追い詰められている状況でのトラブルは、本当にストレスだった」

    背後にはマクラーレンの猛烈なプレッシャー。1つのミスも許されない極限状態で、アントネッリはマシンの不調を抱えながらもトップを守り抜いた。

    「この勝利をアレックスに捧げる」亡き師への想い
    チェッカーを受けたアントネッリが真っ先に口にしたのは、先日他界した家族ぐるみの友人、アレッサンドロ・ザナルディへの想いだった。

    「このレース、この勝利はアレックス(ザナルディ)のためのものだ。彼が人生で経験し、事故から立ち上がった姿は、僕にとって人としてのロールモデルだった。今日は彼のためにも勝ちたいと思っていたし、決して諦めない彼の精神を胸に走ったんだ」

    記録的な3連勝という快挙も、アントネッリにとっては「決して諦めない」という師の教えを体現した結果に過ぎない。

    「スタートの失敗はまだ受け入れられない」飽くなき向上心
    今季3勝目を挙げ、チャンピオンシップ首位に躍り出たアントネッリだが、その自己評価は驚くほど厳しい。特に自身の課題であるスタートについては、悔しさをにじませた。

    「今日のスタートもまだ受け入れられるものではない。クラッチ操作の一貫性が足りず、自分自身に自信が持てていないんだ。トップ争いがこれほど接近している中で、このミスは致命的になりかねない」

    19歳にしてF1の頂点に立ちながら、勝利の直後に「改善点」を真っ先に挙げるその姿勢こそが、彼が「特別な存在」であることを証明している。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) F1 マイアミグランプリ

    「マクラーレンは脅威」次戦カナダへの警戒
    次戦は2週間後のカナダGP。3連勝の余韻に浸ることなく、アントネッリの視線はすでにライバルの進化に向けられている。

    「マクラーレンの前進は目覚ましい。僕たちもアップデートを投入するけど、基準を上げ続けなければすぐに追い抜かれてしまうだろう。ジョージ(ラッセル)もカナダでは強いはずだ」

    「これはまだ始まり。道のりは長いけれど、チームを誇りに思うし、この旅を心から楽しんでいるよ」

    新時代の王者が直面する「真の試練」
    19歳のアントネッリが成し遂げた3連勝は、F1の歴史に新たな1ページを刻む快挙だ。しかし、今回のマイアミGPで見せた彼の「自省」の言葉こそが最も注目に値する。ギアボックスの不調や、自らのミスを冷静に分析し、勝利の余韻に浸る間もなく次戦カナダでのアップデートとライバルの進化を警戒する姿勢は、もはやベテランの域に達している。

    特に、マクラーレンが持ち込んだアップデートの威力は凄まじく、次戦以降の勢力図が激変する可能性を予感させた。亡きレジェンド、ザナルディから受け継いだ「不屈の精神」を胸に、若き天才がこの熾烈な開発競争をどう勝ち抜いていくのか。F1新時代の主役を巡る戦いは、まだ始まったばかりだ。

  • ジョージ・ラッセル F1マイアミGP予選でアントネッリに0.4秒差も「懸念はない」

    ジョージ・ラッセル F1マイアミGP予選でアントネッリに0.4秒差も「懸念はない」

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、2026年F1マイアミGP予選でチームメイトのキミ・アントネッリに再び大きく水をあけられた。アントネッリがポールポジションを獲得した一方、ラッセルは5番手にとどまり、決勝は2列後方からスタートする。

    フロリダのマイアミ・インターナショナル・オートドロームで、ラッセルは週末を通じてアントネッリに対してペースを欠いている。スプリントとグランプリ予選の両方で約コンマ4秒遅れとなり、本人もこのコースでの走行を「本当に苦戦している」と認めた。

    ラッセル「3番手は可能だった」
    ラッセルはQ3最後のアタックでタイム更新の可能性を見せたものの、最終セクターで失速。シャルル・ルクレールとランド・ノリスにわずかに届かず、マックス・フェルスタッペンを含む3台を挟んで、ポールのアントネッリから離れた5番手で予選を終えた。

    5番手が予選で達成できる最大限だったのかと問われると、ラッセルは次のように答えた。

    「それができる最大限ということは決してない。3番手は可能だったと思う」

    「ただ、ここは僕がいつも苦戦してきたトラックだ。昨年はキミがスプリントでポールを獲って、僕は5番手だった。今日は彼がポールで、僕は5番手だ」

    「大きな懸念材料というわけではない。ただ、ここでは本当に苦戦しているということは分かっている。低グリップで、本当に気温が高い」

    ジョージ・ラッセル メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ F1 マイアミグランプリ

    決勝は天候が鍵に
    ラッセルは土曜日のスプリントでアントネッリとの差を9点から7点に縮めた。アントネッリはスタートで出遅れ、さらにトラックリミット違反によるペナルティも受けていた。

    決勝ではレッドブル、フェラーリ、マクラーレンの競争力が高まっており、それがアントネッリに対するラッセルの助けになる可能性もある。

    その点についてラッセルは慎重な姿勢を見せた。

    「可能性はある。でも正直、よく分からない。明日は天候がどうなるか分からない。興味深いレースになるだろう」

  • アントネッリ F1マイアミGPで3戦連続ポール シューマッハとセナに並ぶ偉業

    アントネッリ F1マイアミGPで3戦連続ポール シューマッハとセナに並ぶ偉業

    キミ・アントネッリ(メルセデス)は、2026年F1マイアミGP予選でポールポジションを獲得し、3戦連続ポールという偉業を達成した。レッドブルのマックス・フェルスタッペンを0.166秒差で抑え、2026年シーズン4戦中3度目のポールとなった。

    19歳のアントネッリは、F1キャリア最初の3回のポールポジションを3戦連続で獲得したドライバーとして、ミハエル・シューマッハ、アイルトン・セナに並ぶ記録を残した。決勝を前にチャンピオンシップを7ポイントリードしており、マイアミでの走りはタイトル争いにおいても大きな意味を持つ。

    アントネッリ「またポールを獲れて素晴らしい一日」
    アントネッリはQ3最後のアタックでミスを犯し、さらなるタイム更新のチャンスを逃した。それでも最初のアタックで記録したタイムが十分に強力で、フェルスタッペン、フェラーリのシャルル・ルクレールを上回った。

    「またポールを獲れて素晴らしい一日だった」とアントネッリは語った。

    「スプリントがあって一日の始まりは難しかったけど、立て直せたことにとても満足している。Q3最後のラップでは少し興奮しすぎてしまったけど、最初のラップで十分だった。全員がラップを終えるのを待っている間は、とてもストレスがあった」

    スカイスポーツF1に対して、アントネッリは週末の難しさも認めた。

    「今週末は簡単ではなかった。路面温度がとても高くて、かなり滑りやすかった」

    「それに、このコースはすべてのセクターをまとめるのが簡単ではない。自分のラップには満足している。もう少し残っていたかもしれないけど、1コーナーすら走れなかったから分からない」

    「でもパフォーマンスには満足している。特に他のチームがアップグレードを持ち込んでいる中で、僕たちにとっては少し難しくなっていた。それでもチームは素晴らしい仕事をしてくれた」

    ラッセルにコンマ4秒差 チーム内でも際立った速さ
    アントネッリはチームメイトでありタイトル争いのライバルでもあるジョージ・ラッセルに対しても、コンマ4秒の差をつけた。ラッセルはシーズン前のチャンピオン候補と見られていたが、マイアミ予選では5番手にとどまった。

    一方でアントネッリは、Q3最初のアタックでポールを決定づけるタイムを刻み、2番手フェルスタッペンとの差を広げた。最終アタックのミスを帳消しにするだけの完成度が、今回のポールを支えた。

    ヴォルフ「本当に特別なラップだった」
    メルセデスのチーム代表トト・ヴォルフは、アントネッリのポールラップを「特別」と評した。

    「最初のラップは本当に特別だった。見ての通り、彼は次のドライバーに対して3テンシ以上先行していた。見事だったし、あれがポールを決めた。ただ、その後はキミらしかった」とヴォルフはスカイスポーツF1に語った。

    「我々は自信を持っている。そして少し攻めすぎることもあるが、それが彼だ」

    「すでに進歩している。以前ならウォールに終わっていたところだ。今は単にラップを失っただけだ。彼は自分の速さを示しているし、それを見るのは本当に素晴らしい」

  • アントネッリ F1マイアミGPスプリント予選「混乱の中で2番手は上出来」

    アントネッリ F1マイアミGPスプリント予選「混乱の中で2番手は上出来」

    2026年F1第4戦マイアミGPのスプリント予選で、メルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリは2番手を獲得し、フロントロウを確保した。難しいコンディションとトラブルに見舞われた中での結果となった。

    一方で、週末序盤からの不安定な流れは続いており、ライバル勢のアップグレード進展も重なって、メルセデスにとっては苦しい立ち上がりとなっている。そうした状況の中での2番手は「挽回」の意味合いが強い結果でもある。

    トラブルと準備不足が響いた“混乱のセッション”
    アントネッリは今回のスプリント予選を「かなり混乱したセッションだった」と振り返った。

    「かなり混乱したセッションだった。クルマからペースを引き出すのにすごく苦労した」

    「ミディアムではいいラップをまとめられなかったし、ソフトに替えたら急にクルマが生き返ったように感じた。より自信を持てた」

    フリー走行ではテクニカルトラブルによりソフトタイヤでの走行ができず、準備不足のまま予選に臨んだことも影響した。

    「FP1でソフトを試せなかったのは残念だった。まだ引き出せたものがあったと思う」

    それでも、SQ3での一発のアタックをまとめ上げ、2番手までポジションを回復した点については前向きに評価している。

    「それでも全体としては悪くない結果だと思うし、チームとしていいリカバリーができた」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) マイアミグランプリ

    ライバルの進化を認めつつも勝負圏を維持
    今回のマイアミでは、マクラーレン、フェラーリ、レッドブルが大規模アップデートを投入。勢力図に変化が見え始めている。

    アントネッリも、事前から週末の厳しさを予想していたことを明かした。

    「今週末はかなり厳しくなると予想していた。どのチームも大きなアップデートを持ち込んでいて、差を一気に縮めてきた、あるいは前に出てきた」

    特にマクラーレンについては、同じパワーユニットを使用しながらもマシン全体の進化が大きいと分析する。

    「マクラーレンは同じパワーユニットを使っているけど、クルマを大きく改善してきた。フロントに来るのは予想通りだった」

    それでも、戦える位置にはいるという認識は崩していない。

    「それでも僕たちは戦いに加われると思っている。明日、そして日曜日に向けて全力で取り組むつもりだ」

    スプリント予選では今季初めてメルセデスがポールポジションを逃したが、それでもフロントロウを維持したことは、依然としてタイトル争いの中心にいることを示している。ここから決勝に向けてどこまで巻き返せるかが焦点となる。

  • ジョージ・ラッセル F1マイアミGP初日「ライバルの進歩に驚いた」

    ジョージ・ラッセル F1マイアミGP初日「ライバルの進歩に驚いた」

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、2026年F1マイアミGPのスプリント予選を6番手で終えた。メルセデスは開幕から予選形式で強さを見せてきたが、マイアミではアップグレードを投入したマクラーレンとフェラーリがペースを上げ、ランド・ノリスがスプリントポールを獲得した。

    ラッセルは、マクラーレンとフェラーリの進歩を「かなり驚き」と表現し、自身については高温下のマイアミでタイヤのオーバーヒートとマシンバランスに苦しんだと説明した。

    マクラーレンとフェラーリの進歩に驚き
    メルセデスは金曜唯一のプラクティスでいくつかの問題を抱え、数時間後に始まったスプリント予選ではやや後手に回る展開となった。SQ3終盤にはチームメイトのキミ・アントネッリが2番手に入った一方、ラッセルは6番手にとどまった。

    「マクラーレンとフェラーリがどれだけ大きくジャンプアップしたかにはかなり驚いている。かなり見事だ。彼らが差を縮めてくることは分かっていたけど、今日は一日中、僕たちより速かった」

    「僕の側では今日は苦しんでいた。正直に言えば、マイアミは僕が大好きなコースではない。特にこういう暑いコンディションではね。でも、これはスプリント予選にすぎない。だから明日どうなるか見てみよう」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ) マイアミグランプリ

    中盤のツイスティ区間でタイヤが過熱
    苦戦の原因について問われたラッセルは、マイアミの中盤セクターでタイヤの温度管理に苦しみ、理想的なバランスを見つけられなかったと説明した。

    「中盤のツイスティな区間でタイヤをかなりオーバーヒートさせていただけだ。マシンの正しいバランスを見つけるのに苦しんでいた。だから、正直それ以上に言うことはあまりない」

    「さっきも言ったように、他のチームの進歩にはかなり驚いている。でも、明日はまた別の日だ」

    スプリントは厳しいスタート位置からの戦い
    6番手スタートから上位勢と戦うには多くが必要かと問われると、ラッセルはスプリントの性質を踏まえつつ、まずはスタートで順位を落とさないことが重要だと語った。

    「分からない。素晴らしいスタート位置ではない」

    「スプリントレースは基本的にそれほど多くのことをもたらさない。でも、今年の中国は少し面白かったし、それがレースをするチャンスを与えてくれる。だからスタートを決めたい。できればこれ以上ポジションを失わずに、何ができるか見てみたい」

  • バルテリ・ボッタス 2018年にF1引退寸前「ハミルトンのウイングマンだった」

    バルテリ・ボッタス 2018年にF1引退寸前「ハミルトンのウイングマンだった」

    バルテリ・ボッタスは『Players’ Tribune』への寄稿で、2018年シーズン終了後にF1引退を決意していたことを明かした。メルセデスでルイス・ハミルトンとコンビを組む中、未勝利に終わったシーズンが精神的に大きな影響を与えていたという。

    しかし、その決断は冬のある出来事をきっかけに覆される。自身のキャリアと向き合った時間が、ボッタスの思考を「過去」から「未来」へと切り替え、F1継続への転機となった。

    「ウイングマン」としての現実
    ボッタスは当時の立場について率直に振り返る。

    「彼はチャンピオンだった。僕は“ウイングマン”だった」

    メルセデスはナンバー1とナンバー2を明確に定めていないとしていたが、実際にはチームオーダーを受ける場面もあった。ボッタスは勝利の可能性があったレースでポジションを譲るよう指示された経験についても言及している。

    精神的に追い込まれた2018年
    2017年に3勝を挙げた一方で、2018年は未勝利に終わった。この結果が、ボッタスに大きな精神的ダメージを与えた。

    「以前の自分に戻ってしまった。ネガティブなボッタス、強迫的なボッタスだ。SNSのコメントを読みすぎて、自分をどんどん嫌いになっていった」

    「正直に言うと、間違いなく落ち込んでいたし、燃え尽きていた。レースが嫌いだった」

    そして、彼は明確にこう振り返る。

    「その冬、僕は引退することを決めた」

    キャリアを変えた冬の決断
    転機となったのは、フィンランドで過ごした時間だった。

    「ある日、森の中を歩きに行った。真冬で、深い雪の中を何時間も歩いた。時間の感覚がなくなっていた」

    「家族の犠牲やこれまでのすべてを考えた。そして、自分がずっと過去ばかり見ていたことに気づいた」

    そこでボッタスは考え方を変える。

    「“これから何をするか”だけを考えると決めた」

    「もし戻るなら、グリッドで最高のドライバーとして戻る」

    森を出たとき、彼の考え方は完全に変わっていたという。

    この経験を経て、ボッタスはF1に復帰。その後もキャリアを続け、現在はキャデラックF1で戦いを続けている。