カテゴリー: メルセデスF1

  • メルセデスF1の“圧縮比トリック”はアウディとポルシェの要求が生んだ?

    メルセデスF1の“圧縮比トリック”はアウディとポルシェの要求が生んだ?

    2026年F1レギュレーションを巡る議論が再び注目を集めている。ドイツの著名ジャーナリスト、ミハエル・シュミットは自身のポッドキャストで、新規則が誕生した経緯と各メーカーの政治的駆け引きについて詳しく語った。

    2026年から導入された新パワーユニットは、内燃機関と電動出力をほぼ50対50で分担する前例のないコンセプトを採用した。しかし、その結果として「スーパークリッピング」問題やエネルギーマネジメントの複雑化が発生し、シーズン開幕後も議論が続いている。

    50対50の発想は自動車メーカー主導だった
    シュミットによれば、現在の規則の出発点となったのはF1チームではなく各自動車メーカーの経営陣だった。

    メーカー側はF1を電動化技術のショーケースとして活用したいと考え、エンジンと電動出力を同等レベルに引き上げることを強く求めたという。

    シュミットは新規則について厳しい評価を下した。

    「認めなければならない。この規則はひどいものだ。壊滅的な出来だ。問題が起きることは最初から見えていたのに、今になって止めようとしている」

    その背景には、F1の競技的な要求よりもメーカーのマーケティング戦略が優先された側面があったと指摘している。

    スーパークリッピングを生んだ政治的判断
    50対50という構造を実現するため、電動出力は従来の120kWから350kWへと大幅に引き上げられた。

    本来であればエネルギー回収能力も同時に拡大する必要があったが、その有力案だった前輪回生システムは採用されなかった。

    シュミットは、その理由が純粋な技術論ではなく政治的な判断だったと説明する。

    「解決策を見つける時間は3年あった。前輪からエネルギーを回収すればよかった。そうすればクリッピングやスーパークリッピングの話など出てこなかった」

    しかし既存メーカーは、この方式によってル・マンでの経験が豊富なアウディやポルシェが大きなアドバンテージを得ることを警戒した。

    その結果、前輪回生は却下され、現在の複雑なエネルギーマネジメント方式が採用されることになった。

    アウディとポルシェの要求が生んだ“圧縮比問題”
    一方でアウディとポルシェも譲歩したわけではなかった。

    シュミットによれば、両社はターボ過給圧と圧縮比に上限を設けるよう強く主張したという。

    「彼らは過給圧制限と圧縮比制限の導入を強く求めた。これもまた理解しがたい選択だった」

    シュミットは、この決定が現在のメルセデス優位につながった可能性があると指摘する。

    「もし制限がなければ圧縮比は以前と同じ18対1のままだっただろう。そうなればメルセデスは現在のような優位性を得られなかった」

    2026年シーズン序盤からパワーユニット性能で高い評価を受けるメルセデスだが、その背景には規則の抜け道を活用した設計思想があるとの見方も存在している。

    アウディ自身も苦しむ過給圧制限
    シュミットはさらに、アウディが過給圧上限を5.0バールから4.8バールへ引き下げることを主導したとも明かした。

    しかし皮肉なことに、そのルールが後にアウディ自身を苦しめる結果となった。

    マイアミGPスプリントではガブリエル・ボルトレトのマシンが吸気圧に関する規定違反によって失格となっている。

    自ら推進した規則によって自チームが処分を受けるという、象徴的な出来事だった。

    2026年規則への根本的な疑問
    シュミットは最後に、F1があまりにも複雑な技術議論に踏み込みすぎていることへ警鐘を鳴らした。

    「スポーツはファンに楽しんでもらうものでなければならない。ほとんどのファンはメガジュールが何なのか知らない」

    「そうした話を始めた時点で、F1はすでに負けている」

    2026年レギュレーションは環境性能とメーカー誘致を重視した結果として誕生した。しかしシュミットの証言からは、その裏側で各メーカーの思惑が複雑に絡み合い、妥協を重ねた末に現在の制度が形作られたことが見えてくる。

    そして今、その妥協の積み重ねがスーパークリッピング問題や勢力図の偏りとして表面化し始めている。今後予定される2027年以降の見直し議論では、こうした“政治主導の副作用”をどう解消するかが大きなテーマになりそうだ。

    【関連】
    ・メルセデスF1の“圧縮比トリック”が違法化 FIA新規則で抜け穴を封鎖

  • キミ・アントネッリがトロフェオ・バンディーニ受賞 3000人の祝福に感謝

    キミ・アントネッリがトロフェオ・バンディーニ受賞 3000人の祝福に感謝

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は5月31日、イタリア・ブリジゲッラで開催された「トロフェオ・バンディーニ」の授賞式に出席した。

    2026年F1世界選手権で4勝、3ポールポジションを記録し、ランキング首位を走る19歳のイタリア人ドライバーのアントネッリは、約3000人のファンが集まった盛大な祝賀イベントの主役となった。

    トロフェオ・バンディーニは毎年、F1界で活躍した人物に贈られる名誉ある賞で、過去にはミハエル・シューマッハ、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペン、シャルル・ルクレール、ランド・ノリス、ジョージ・ラッセル、オスカー・ピアストリらも受賞している。

    父のGT3マシンでブリジゲッラへ
    授賞式当日、アントネッリはまずイモラのアウトドローモ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリを訪問。地元関係者らとの交流を終えた後、父マルコ・アントネッリが所有し、AKMチームが準備したメルセデスAMG GT3に乗り込んだ。

    マシンはトロフェオ・バンディーニを記念したイタリア国旗カラーの特別リバリーが施されており、アントネッリはそのまま公道を走行しながらファエンツァへ向かった。

    ファエンツァではポポロ広場に多くのファンが集結。市庁舎を訪問した後、広場に姿を見せたアントネッリは集まった観衆に感謝の言葉を述べた。

    「来てくれてありがとう。こんなにたくさんの皆さんを見ることができて本当にうれしいです」

    予定を大幅延長したファンサービス
    イベントでは当初10分間だけ予定されていたサイン会が、予想を超える観客の多さによって大幅に延長された。

    炎天下にもかかわらずフェンス沿いに詰めかけたファンの姿を見たアントネッリは、一人でも多くのファンに応えようと自ら時間を延長。セルフィー撮影やサインに応じ続け、最終的には35分間にわたって交流を続けた。

    その後、再びGT3マシンに乗り込み、タイヤスモークを上げながらブリジゲッラへ出発した。

    モータースポーツ関係者も表彰
    ブリジゲッラ到着後、アントネッリは記者会見と市庁舎訪問を行い、その後マルコーニ広場に設置されたステージへ登壇した。

    会場には約3000人の観衆が集まり、市庁舎にはメルセデスのエンブレムが掲げられた。

    授賞式ではアントネッリ以外にも複数の関係者が表彰された。メルセデス副テクニカルディレクターのシモーネ・レスタをはじめ、メルセデス・ベンツ・イタリアCEOのマーク・ランゲンブリンク、ペトロナスの研究開発責任者アンドレア・ドルフィらもステージで功績を称えられた。

    家族への感謝と未来への期待
    イベントではアントネッリの両親もサプライズでステージへ招待された。また、治療を続ける6歳の少年エマヌエーレがステージに上がり、アントネッリから激励の言葉を受ける場面もあった。

    さらにアントネッリは少年をモンツァで開催されるF1イタリアGPへ招待し、会場から大きな拍手が送られた。

    授賞式の最後には、トロフェオ・バンディーニ協会会長フランチェスコ・アジレッリから正式にトロフィーが授与された。

    紙吹雪や三色旗カラーのスモークが舞う中、アントネッリは集まった人々へ感謝を伝えた。

    「このトロフィーを家族、素晴らしいチーム、そして今日ここに来てくれた皆さんに捧げたいと思います。僕をこの道のりで支えてくれて本当にありがとうございます」

    授賞式後にはシャンパンで祝福が行われ、ガラディナーでイベントは締めくくられた。

    歴代受賞者に並ぶ新世代スター
    トロフェオ・バンディーニは1992年のイバン・カペリを皮切りに、多くのトップドライバーが受賞してきた。

    ミハエル・シューマッハ、ルイス・ハミルトン、マックス・フェルスタッペンといったF1王者たちに続き、近年ではシャルル・ルクレール、ランド・ノリス、ジョージ・ラッセル、オスカー・ピアストリらが名を連ねている。

    そこに2026年のアントネッリが加わったことは、現在のF1で最も勢いのある若手ドライバーとしての評価を象徴している。

    今季すでに4勝を挙げ、ランキング首位を独走するアントネッリは、次戦モナコGPで5連勝という新たな記録に挑むことになる。

  • メルセデスF1 アップグレードに懸念「期待した効果か分からない」

    メルセデスF1 アップグレードに懸念「期待した効果か分からない」

    メルセデスF1のトト・ヴォルフは、カナダGPで投入した大規模アップグレードについて、現時点では期待通りの効果を発揮したか判断できないとの見解を示した。

    ジョージ・ラッセルがポールポジションと決勝優勝、キミ・アントネッリもスプリント予選ポールとスプリント優勝を獲得するなど、結果だけを見ればアップグレードは成功したように映る。しかしヴォルフは、サーキット特性やライバル勢の状況が影響している可能性もあり、冷静な評価が必要だと語っている。

    結果は最高でも効果測定はまだ困難
    メルセデスは多くのチームが序盤戦でアップグレードを投入する中、マイアミGPでは大規模更新を見送り、カナダGPで初めて本格的なパッケージを投入した。

    新型W17には8項目のアップデートが加えられ、その直後にチームはシーズン最高の週末を迎えた。

    しかしトト・ヴォルフは、その成功が純粋にアップグレードによるものなのかはまだ分からないと説明した。

    「時には、紙の上で期待していたほどのパフォーマンス向上をもたらしていないようにも感じた。ただ、それを評価するのは非常に難しい」

    「決勝ではマクラーレンを見ることすらなかった。我々にはペースがあり、ギャップもあったが、それが本当に想定していたレベルなのかどうかは、まだ判断が難しいと思う」

    モントリオールはメルセデス向きだった可能性
    ヴォルフが慎重な姿勢を崩さない理由のひとつが、カナダGPの舞台となったジル・ヴィルヌーヴ・サーキットの特性だ。

    メルセデスは2025年も同地で競争力を発揮しており、今回の圧勝がアップグレードの成果ではなく、コースとの相性による部分が大きい可能性もある。

    「モントリオールは昨年も我々にとって得意なサーキットだった」

    「今回のパフォーマンスが、他のサーキット以上によく見えているだけなのだろうか?」

    「おそらくモナコでも答えは分からないだろう。だから我々は引き続き監視し、分析し続ける必要がある」

    マクラーレンとの開発競争は続く
    2026年シーズンは開発競争が激化している。

    マクラーレンはマイアミGPで7項目、さらにカナダGPでも7項目のアップグレードを投入。一方のメルセデスも8項目の改良を加えたが、ヴォルフは現段階で優位性を確信しているわけではない。

    カナダGPでは圧倒的な結果を残したメルセデスだが、チーム内部ではむしろ慎重な姿勢が目立つ。今回のアップグレードが本当にタイトル争いの勢力図を変えるものなのか、それともモントリオール特有のパフォーマンスだったのか。その答えは今後の数戦で明らかになりそうだ。

  • ジョージ・ラッセルを支える恋人 カルメン・モンテロ・ムントとは?

    ジョージ・ラッセルを支える恋人 カルメン・モンテロ・ムントとは?

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)の活躍をサーキットの外から支える存在が、恋人のカルメン・モンテロ・ムントだ。2020年から交際を続けるふたりは、F1パドックでもおなじみのカップルとなっており、カルメンは多くのグランプリでラッセルを見守っている。

    ラッセルが2026年シーズンもタイトル争いを続けるなか、その陰で精神的な支えとなっているカルメンの経歴やふたりの関係にも注目が集まっている。

    金融業界で活躍する才女
    カルメン・モンテロ・ムントは1998年にスペインで生まれた。18歳でイギリスへ移住し、現在はロンドンを拠点に生活している。

    ロンドンのウェストミンスター大学でビジネスマネジメントを学び、さらにジュネーブ大学では資産配分とリスクマネジメントのディプロマを取得。卒業後は金融業界でキャリアを築いており、現在もフルタイムで働いている。

    カルメンは自身のSNSで、幼少期に家族が世界的な金融危機の影響を受けた経験が金融業界を志した理由だったと明かしている。

    2020年から続くラッセルとの関係
    ふたりは共通の友人を通じて知り合い、2020年から交際をスタートした。

    交際は比較的プライベートに保たれているが、カルメンはF1のレースウイークにたびたび姿を見せており、ラッセルの重要なレースには欠かせない存在となっている。

    2021年にはロンドンで開催された映画『ノー・タイム・トゥ・ダイ』のワールドプレミアにも揃って出席し、公の場でも関係をオープンにしてきた。

    SNSでも話題の人気インフルエンサー
    カルメンはInstagramでも高い人気を誇り、フォロワー数は84万人を超える。

    ラッセルとの旅行写真や日常の様子を投稿することも多く、F1ファンからの注目度は年々高まっている。

    ふたりはオフシーズンやレースの合間に世界各地を訪れており、その様子はSNSを通じて共有されている。


    ラッセルが語る「かけがえのない存在」
    2025年2月、交際5周年を迎えた際にカルメンはSNSでラッセルに向けて感謝の言葉を投稿した。

    「私が望み得る最も素晴らしい人と過ごした5年間。あなたという人間と、あなたが成し遂げていることをいつも誇りに思っている」

    一方のラッセルもカルメンについて「信じられないほど支えてくれている存在」と語っており、F1という厳しい世界で戦ううえで大きな支えになっていることを認めている。

    2026年シーズン、ラッセルがメルセデスのエースとして勝利を目指すなか、カルメン・モンテロ・ムントはこれからも最も身近なサポーターとして彼を支え続けることになりそうだ。

  • メルセデスF1 カナダGP圧勝の裏に“ホイール加熱トリック” 寒冷対策が的中

    メルセデスF1 カナダGP圧勝の裏に“ホイール加熱トリック” 寒冷対策が的中

    メルセデスは2026年F1カナダGPで圧倒的な速さを見せ、ジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリがレースを支配した。その背景には、レース当日に向けて準備された巧妙なセットアップ変更があったようだ。

    Auto Motor und Sportによると、メルセデスはモントリオールを襲った気温低下を見越し、予選前の段階でマシンに変更を加えていたという。その狙いは、ライバルたちが苦しんだフロントタイヤのウォームアップ問題を回避することだった。

    ライバル勢を苦しめたタイヤ温度問題
    カナダGP決勝ではマクラーレンとフェラーリがフロントタイヤの温度管理に苦戦した。

    オスカー・ピアストリとランド・ノリスはタイヤを適正温度まで持ち上げることができず、冷たく滑りやすい路面で度重なるロックアップを喫した。

    シャルル・ルクレールも同様の問題を抱えた一方、ルイス・ハミルトンだけは比較的安定したペースを維持。メルセデスのエンジニアは、フェラーリとの差を1周あたり約0.3秒と見積もっていたという。

    レッドブルもさらにわずかに遅く、マックス・フェルスタッペンはドライビングで差を補いながら2位争いを続けていた。

    しかし、メルセデス勢だけは別次元だった。

    予選前から進められていた“寒冷対策”
    ジョージ・ラッセルはポールポジション獲得後、予選前にセットアップ変更を実施していたことを明かしていた。

    「マシンにいくつか変更を加えた。正しい方向だったかは見てみないといけない。その変更は明日の予報を考慮したものだった。もしかすると今日の予選では少し不利になったかもしれない」

    その具体的な内容については当初明かされなかったが、Auto Motor und Sportによれば、メルセデスはホイールの加熱効果を強化する方向で調整を行っていたという。

    勝敗を分けたホイール加熱システム
    現在のF1では、ブレーキから発生する熱をホイールへ伝え、その熱でタイヤ内部のカーカスを温める技術が活用されている。

    通常はタイヤ温度の上昇を抑えるため、各チームは独自設計のホイールによって冷却効果を高める方向へ開発を進めている。

    ところがカナダGPでは状況が逆だった。

    メルセデスはブレーキダクト周辺の構成を調整し、より多くの熱気をホイールへ導く仕様を選択。これによりタイヤ内部から温度を上昇させることに成功した。

    スタート前のグリッド走行や追加フォーメーションラップの段階で、エンジニアはセンサーを監視していたという。

    「温度がしっかり上昇していることを確認できた。それが正しい方向だった。問題なく作動することが分かった」

    2026年レギュレーション変更が追い風に
    この技術が実現できた背景には2026年レギュレーション変更もある。

    これまでF1では標準ホイールが使用されていたが、今季からは各チームが独自設計のホイールを使用できるようになった。

    その結果、ホイール内部の熱管理に関する自由度が大きく拡大。メルセデスは寒冷条件に合わせて加熱量を段階的に調整できるシステムを構築したとみられている。

    さらに2026年型パワーユニットでは回生ブレーキの割合が増加し、リアブレーキの負担が大幅に減少。ブレーキ自体の発熱量も少なくなったことで、多くのチームは「いかに熱を逃がすか」を課題としていた。

    そんな中でメルセデスは逆転の発想を採用した。

    メルセデスが掴んだ“寒い日専用の武器”
    今回のモントリオールでは、通常なら冷却対象となる熱を積極的に利用することで、ライバルよりも早くタイヤを作動領域へ持ち込むことができた。

    メルセデスのエンジニアによれば、決勝でもタイヤ温度は作動領域の下限付近に留まっていたという。それでもライバル勢よりは十分高く、安定したグリップを確保できていた。

    ラッセルは予選で多少の犠牲を払った可能性を示唆していたが、その代償は決勝で大きく回収された。

    週末全体を見据えてセットアップを選択した判断が、モントリオールでの圧勝を支えた重要な要因だったようだ。

  • アルピーヌF1 フェルスタッペンのメルセデス移籍に備えドライバー市場を注視

    アルピーヌF1 フェルスタッペンのメルセデス移籍に備えドライバー市場を注視

    2027年のF1ドライバー市場をめぐり、アルピーヌF1の実質的なトップを務めるフラビオ・ブリアトーレが興味深い見解を示した。アルピーヌはピエール・ガスリーとの長期契約を結んでいるが、もう1台のシートについてはまだ最終決定を下していない。

    その背景には、マックス・フェルスタッペンの去就を含むメルセデス周辺の動向がある。もしフェルスタッペンがレッドブルを離れてメルセデスへ移籍すれば、ジョージ・ラッセルやキミ・アントネッリのいずれかが市場に出る可能性があり、ブリアトーレはその展開を注視している。

    メルセデスの動きがドライバー市場の鍵に
    ブリアトーレはThe Raceの取材に対し、2027年のドライバー計画について次のように語った。

    「メルセデスで何が起こるのか分からない」

    「メルセデスがマックスを獲得するのかどうかも分からない。だから先へ進む前に、まず我々の手元にいるドライバーたちを見極めたい」

    現在、ジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリはともにメルセデス残留の選択肢を持っている。しかし、フェルスタッペンがレッドブルを離れる可能性が依然として取り沙汰されており、市場全体の構図を大きく変える存在となっている。

    フェルスタッペンはカナダGPで、将来について次のように語っていた。

    「急ぐつもりはない。理想的には一生レッドブルと関わっていたいし、それは以前から言っていることだ。でも、その決断を今日や明日に下す必要はない」

    報道によれば、2028年まで契約を結んでいるフェルスタッペンには成績条項が存在し、夏休み前の時点でドライバーズランキング2位以内に入っていなければ離脱できる条件があるとされる。

    現在フェルスタッペンはランキング7位で、2位のジョージ・ラッセルとは45ポイント差となっている。

    評価を高めるフランコ・コラピント
    もっとも、アルピーヌ内部ではフランコ・コラピントの評価が急上昇している。

    2025年は18戦を戦いながら無得点に終わったが、2026年はマイアミGPで7位、カナダGPでは自己最高の6位を獲得。直近2戦ではガスリーを上回るパフォーマンスを見せている。

    ブリアトーレはコラピントについて次のように語った。

    「昨年は誰もがコラピントを批判していた。なぜコラピントを起用するのか、大きな間違いだと言われ続けた」

    「だが私は彼に才能があると信じている。彼とは多くの時間を共に過ごしているが、話してみるとずっと成熟している。昨年はまだ子供だった」

    さらに、昨年はシート喪失への不安が精神面に影響していたと明かした。

    「毎レース、自分がチームに残れるのかどうか分からない状態だった。そのプレッシャーは大きかった。今は落ち着いている」

    アルピーヌは“様子見”を継続
    ブリアトーレは現時点での2027年体制について、ガスリーは確定している一方で、もう1席はまだ流動的だと認めている。

    「フランコにはトップドライバーになれる才能があると本気で思っている」

    「カナダでは素晴らしい仕事をした。金曜日はバッテリーの問題でFP1を走れなかった。それでもマシンに乗り込み、予選でトップ10に入り、決勝でも結果を残した」

    「現時点ではガスリーとコラピントがいる。2027年については、ガスリーは長期契約を結んでいる。そしてもう1人については様子を見る」

    「フランコがシーズン終了まで今の仕事を続けてくれることを願っている」

    フェルスタッペンが引き金となる可能性
    ブリアトーレの発言から見えてくるのは、アルピーヌが単純にコラピントを評価しているだけでなく、2027年のドライバー市場全体の再編を待っているということだ。

    特にフェルスタッペンがメルセデスへ移籍した場合、ラッセルまたはアントネッリが市場に出る可能性がある。そのためアルピーヌは現時点でシートを確定させず、最高の選択肢を見極めようとしている。

    コラピントは有力候補であることに変わりないが、2027年のアルピーヌの最終ラインアップは、フェルスタッペンの決断次第で大きく変わる可能性がありそうだ。

  • メルセデスF1 ラッセルとアントネッリが直訴「僕たちを信頼してほしい」

    メルセデスF1 ラッセルとアントネッリが直訴「僕たちを信頼してほしい」

    メルセデスF1のジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリは、2026年F1カナダGPのスプリントで激しいバトルを繰り広げた。接触寸前の場面が続き、アントネッリが無線で不満を示したことを受け、チームはレース後に緊急ミーティングを実施した。

    その場でチーム代表のトト・ヴォルフを交えた話し合いが行われたが、両ドライバーがチームに伝えたメッセージは意外なものだった。彼らはチームオーダーや制限ではなく、「自由に戦わせてほしい」と求めていたという。

    「僕たちを信頼してほしい」 ドライバー側からの要求
    メルセデスの副チーム代表ブラッドリー・ロードは、チーム公式ポッドキャスト『Nu Silver Arrows』で、スプリント後に行われた内部ミーティングの内容を明かした。

    アントネッリはこの会議について、「校長室に呼び出されたような感じだった」と冗談交じりに表現したという。

    しかし実際の雰囲気は極めて建設的だった。

    ロードによると、ラッセルとアントネッリはチームに対して次のような姿勢を示した。

    「僕たちを互いにレースさせてほしい。それがチームが僕たちを起用した理由だし、僕たちはそれができる」

    チームが懸念していたのは、タイトル争いに向けて貴重なポイントを失う同士討ちだった。しかしドライバーたちは、自分たちなら公平かつクリーンに戦えると強調した。

    カナダGP決勝でも続いた激闘
    両者の戦いは決勝でも続いた。

    スタート直後からラッセルとアントネッリは首位争いを展開し、オープニングスティントでは何度もポジションを入れ替えた。

    この戦いが終わったのは、ラッセルのマシンにパワーユニットトラブルが発生した時だった。

    それまでは今季初めて本格的なチーム内バトルが繰り広げられ、メルセデスにとっては速さだけでなく、ドライバー管理能力も試される週末となった。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    メルセデスが求める「自由」と「責任」
    一方で、メルセデス首脳陣は全面的な自由競争を認めているわけではない。

    トラックサイド・エンジニアリング責任者のアンドリュー・ショブリンは、「ドライバーをレースさせることは重要だが、限度もある」と説明した。

    スプリントと決勝では数回にわたって危険な接近戦があり、特に一方がもう一方のリアに追突しかねない場面もあったという。

    ショブリンは「接触だけは避けなければならない」と強調しつつも、両ドライバーが互いを尊重して戦う意思を示していることを評価した。

    「彼らはレースをしたいと思っている。そして自分たちの責任も理解している。公平に戦い、リタイアにつながるようなリスクは避ける。その点について週末を通じて良い話し合いができた」

    メルセデスが直面する新たな課題
    The Raceなどの分析でも指摘されているように、メルセデスにとって現在の課題は速さではなく、速い2人のドライバーをどう共存させるかになりつつある。

    カナダGPではラッセルとアントネッリが優勝を争えるだけのパフォーマンスを見せた。今後もタイトル争いに加わるなら、こうしたチーム内バトルは避けられない。

    今回のミーティングで明らかになったのは、チームがドライバーを管理したいのではなく、ドライバー自身が「管理されるのではなく信頼されたい」と考えていることだ。

    メルセデスは次戦以降もレースを許可する方針だが、その自由を維持できるかどうかは、ラッセルとアントネッリが実際に接触せず戦い続けられるかにかかっている。

  • メルセデス アルピーヌF1株取得を断念 30億ドル評価額を「高すぎる」と判断

    メルセデス アルピーヌF1株取得を断念 30億ドル評価額を「高すぎる」と判断

    メルセデスがアルピーヌF1チームへの資本参加計画から撤退したとBBC Sportが報じた。

    メルセデスとトト・ヴォルフは、投資会社オトロ・キャピタルが保有するアルピーヌ株24%を取得することで原則合意していたとされる。しかし、提示された評価額を巡って双方の見解が大きく隔たり、交渉は決裂したという。

    交渉決裂の原因は「30億ドル評価」
    BBC Sportによると、オトロ・キャピタルは保有株売却に際し約7億2000万ドル(約1152億円)を要求した。

    24%分の価格から逆算すると、アルピーヌ全体の企業価値は約30億ドル(約4800億円)となる。

    しかしメルセデス側は、この評価額を市場価格より大幅に高いと判断した。

    関係者によれば、メルセデスが妥当と考えていた評価額は22億〜24億ドル(約3520億〜3840億円)程度だったという。

    アルピーヌは現在も赤字経営が続いており、2025年にはコンストラクターズ最下位に沈んだ。今季も開幕5戦終了時点で5位につけているものの、メルセデスやマクラーレンのような収益性を確立したチームとは状況が異なる。

    メルセデスやマクラーレンとの評価額の差
    近年のF1チーム売買では、メルセデスの企業価値は約46億ポンド、マクラーレンは約35億ポンドと評価されている。

    両チームはいずれも黒字経営を実現しており、競争力の面でもアルピーヌを上回る実績を持つ。

    そのためメルセデス内部では、30億ドルという評価額は現在のアルピーヌの事業実態に見合わないとの見方が強かったとされる。

    ホーナー陣営にも関心 ルノーは売却を認めず
    オトロ・キャピタルの株式には、元レッドブル・レーシングのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーと関係のある投資家グループや、複数のプライベートエクイティファンドも関心を示していた。

    しかしルノーは9月まで株式売却に対する拒否権を保有しており、ホーナーに近い勢力への売却については拒否権を行使する方針だったという。

    さらにルノーは、今回のメルセデスとの交渉決裂後、追加の売却交渉を進めない方針を固めたとされている。

    背景にあったメルセデス製PU供給の将来構想
    今回の資本提携構想の背景には、エンジンサプライヤーとしての長期協力があった。

    アルピーヌは2026年からメルセデス製パワーユニットを使用しており、メルセデス側も資本関係を通じてエンジン供給体制を強化する狙いを持っていた。

    また、メルセデスは遅くとも2031年までにカスタマーチームを現在の3チームから2チームへ減らす計画を進めている。

    現在の供給先はマクラーレン、ウィリアムズ、アルピーヌの3チームであり、この計画が実現した場合、将来的に1チームは別のエンジンサプライヤーを探す必要が出てくる。

    資本提携が実現していればアルピーヌの立場はより強固になった可能性があったが、今回の交渉決裂によってその道は閉ざされた。

    グッチとの大型契約で再建を進めるアルピーヌ
    一方でアルピーヌは今週、高級ブランドのグッチとの大型タイトルスポンサー契約を締結した。

    この契約は、エグゼクティブアドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレが、ルノー前CEOで現在はグッチ親会社ケリングのCEOを務めるルカ・デ・メオとの関係を通じてまとめたものとされている。

    チームの再建計画は進行中だが、今回の交渉決裂は、アルピーヌが考える企業価値と市場が評価する企業価値との間に大きな隔たりが存在することを浮き彫りにした。

  • フェラーリF1 メルセデスの“特殊燃料”に疑念 馬力差拡大でFIA検査強化へ

    フェラーリF1 メルセデスの“特殊燃料”に疑念 馬力差拡大でFIA検査強化へ

    フェラーリは、メルセデスのパワーユニットが2026年F1シーズン序盤に示している馬力面での優位について、“特殊燃料”が関係している可能性を強く疑っている。

    モナコGPではフェラーリが優勝候補と見られているが、それはシャシー性能の高さが大きく影響する例外的な舞台とされる。一方で、エンジン面ではメルセデスとの差が開きつつあるとの見方が強まっている。

    フェラーリが疑う“特殊燃料”と圧縮比の抜け穴
    Motorsport Italiaによれば、フェラーリはシーズン開幕時点でメルセデスに対して約20馬力のビハインドがあると見積もっていた。しかし現在では、その差がさらに拡大した可能性があると見ている。

    冬の段階から、メルセデスがエンジンレギュレーション上の抜け穴を利用し、燃料の最大許容圧縮比16:1を超える形で運用しているのではないかという噂があった。その運用には“特殊燃料”が必要とされる一方、追加の馬力を得られる可能性があるとされている。

    フェラーリは、この仕組みがメルセデスの優位を押し広げていると強く疑っている。どれほどの馬力差につながっているかについては見方が分かれるが、重要なのは、これまでのFIA検査では検出できなかった可能性がある点だ。

    FIAはモナコGPから高温状態で検査へ
    FIAはモナコGP以降、従来の常温状態ではなく、130度の高温状態でエンジンを検査する方針に切り替える。これは、問題視されている抜け穴を塞ぐための措置とされる。

    さらに8月以降には、この議論に決着をつけるため、より厳格な検査が導入される可能性もある。

    一方、メルセデスのブリックスワースにあるエンジン部門からは、今回の取り締まりによって「何も変わらない」との見方が出ている。仮に燃料の変更を迫られる事態になれば、パフォーマンス低下が目に見える形で表れる可能性もあるが、現時点ではメルセデス側は影響を否定している。

    ADUOを待つフェラーリと勢力図への影響
    フェラーリは2026年F1エンジン規則に新たに導入されたキャッチアップ制度、ADUO(追加開発・アップグレード機会)の対象になると見込んでいる。ただし、大規模なアップデートが投入されるまでにはまだ数か月を要する。

    メルセデスはワークスチームだけでなく、マクラーレン、アルピーヌ、ウィリアムズにもパワーユニットを供給している。そのため、仮に燃料や検査基準をめぐる問題が実際の性能差に影響していた場合、2026年F1シーズン全体の勢力図にも波及する可能性がある。

    フェラーリにとってモナコGPは勝機のある一戦だが、低速市街地という特性がその弱点を覆い隠すにすぎない可能性もある。FIAの検査強化によってメルセデスの優位が維持されるのか、それとも馬力差に変化が生じるのか。2026年F1パワーユニット戦争は、技術開発だけでなく燃料と検査基準をめぐる攻防へと広がっている。

  • アントネッリのメルセデスF1支援体制にブランドル「トトとボノの存在は幸運」

    アントネッリのメルセデスF1支援体制にブランドル「トトとボノの存在は幸運」

    キミ・アントネッリ(メルセデス)は、2026年F1カナダGPでジョージ・ラッセルとの激しいチームメイト対決の末に感情を爆発させた。

    しかし元F1ドライバーのマーティン・ブランドルは、その若さゆえの反応に一定の理解を示しつつ、メルセデスにはトト・ヴォルフとピーター・“ボノ”・ボニントンという強力な支援体制があると評価した。

    カナダGPのスプリントでは、ラッセルとアントネッリがレースを支配。ポールポジションのラッセルを背後から追うアントネッリの方がペースに優れているようにも見えたが、なかなかオーバーテイクには至らなかった。

    ターン1で起きた接触と“感情的な無線”
    6周目、アントネッリはターン1でアウト側から仕掛けた。両者は軽く接触し、ラッセルは若いチームメイトをコース外へ押し出す形となった。

    アントネッリはコースへ復帰したものの、無線では「かなり悪質だ」と不満を爆発させ、「僕は並んでいた」と主張。その直後の別のオフコースによってランド・ノリスにも先行を許し、最終的にはラッセルから1.8秒差の3位でスプリントを終えた。

    Sky Sports F1のコラムでブランドルは、まずラッセル側の対応について理解を示した。

    「ジョージの方がわずかに状況をコントロールできていて、トラックポジションを維持していた。ただ、キミの方が少し速そうにも見えた。これは決勝でも再び見られたことだ」とブランドルは記した。

    「ターン1でアントネッリがアウト側から仕掛けたことで、避けられない瞬間が訪れた。彼はレーシングルームを得る権利にかなり近づいていたが、結局のところ、勝利やタイトルを争っているドライバーなら誰でも相手をコース外へ押し出しただろう。我々もそうしたし、そうされることも予想していたはずだ」

    “学級主任”ヴォルフが無線介入
    一方でブランドルは、アントネッリのその後の反応については冷静さを欠いていたと指摘した。

    「キミはスプリントの間、少し頭に血が上ってしまっていた。そのため“学級主任”のトト・ヴォルフが無線で介入するほどだった」

    ヴォルフは無線で、アントネッリにドライビングへ集中するよう求め、議論はレース後のデブリーフに持ち越すよう伝えていた。

    ブランドルはさらに、メルセデスのサポート体制の重要性を強調した。

    「キミはこういう瞬間に、ボノとトトの知恵を得られるのは幸運だ。我々の時代なら、接触や事故の現場へ真っ直ぐ向かって、レース後に言い争いになっていただろう」

    決勝では4連勝で“雪辱”
    しかし翌日の決勝では、アントネッリが見事に立て直した。

    フロントロウから好スタートを決めたアントネッリは、序盤にラッセルと激しく首位を争いながらも後続を5秒以上引き離す展開を築いた。

    レースをリードしていたラッセルは30周目前後でバッテリートラブルによりリタイア。その後はアントネッリがルイス・ハミルトンに10秒以上の差をつけて快勝した。

    これでアントネッリは4連勝を達成。ランキングではラッセルとの差を43ポイントへ広げ、タイトル争いの主導権をさらに強めている。

    19歳王者候補に求められる“感情のコントロール”
    今回の一件は、アントネッリの速さと同時に、19歳という若さも改めて浮き彫りにした。

    メルセデス内部では、ラッセルとアントネッリの関係が2026年F1タイトル争いの中心軸になりつつある。ブランドルの指摘どおり、今後の鍵は純粋なスピードだけではなく、激しいプレッシャー下でも感情を制御できるかどうかにある。

    特にラッセルのような経験豊富なチームメイトとの接近戦では、“自分が正しい”という感情だけでは勝てない。ヴォルフやボニントンの存在は、アントネッリが王者候補として成熟していくうえで極めて重要な支えになりそうだ。