カテゴリー: マクラーレンF1チーム

  • アイルトン・セナ 母国F1ブラジルGP初優勝マシン『MP4/6-1』がオークション

    アイルトン・セナ 母国F1ブラジルGP初優勝マシン『MP4/6-1』がオークション

    アイルトン・セナが1991年のF1ブラジルGPで悲願の初母国優勝を果たしたマシン「マクラーレン MP4/6-1(ホンダV12)」が、12月にRMサザビーズのオークションに出品される。

    セナにとって地元インテルラゴスでの勝利は特別な意味を持つものだった。デビュー以来10度目の挑戦で初めて母国の頂点に立ったこの一戦は、彼のキャリアの中でも最も感情的で象徴的な瞬間として知られる。

    極限の肉体的限界でつかんだ歓喜のチェッカー
    当時すでに2度のF1ワールドチャンピオンだったセナは、世界的な人気を誇るレーサーとして母国ファンの熱狂の中にいた。しかし、レース終盤には豪雨とギヤボックスの故障という過酷な試練が襲う。6速ギヤのみが残された状態で、彼は71周を走り切るためにクラッチを滑らせながらコーナーを立ち上がり、減速にはブレーキだけを頼るという極めて繊細なコントロールを強いられた。

    強烈な痙攣と疲労の中、セナは当時最先端のマシン、ウィリアムズFW14・ルノーを駆るリカルド・パトレーゼをわずか2.9秒差で振り切って優勝。レース後は力尽きてステアリングを握れず、チームクルーの助けを借りて表彰台に立つほどだった。

    マクラーレン・ヘリテージから再び公の場へ
    このMP4/6-1はその後も複数のグランプリで使用され、セナは同年このマシンの後継シャシーで3度目、そして最後のタイトルを獲得。シーズン終了後、シャシーNo.1はマクラーレン・ヘリテージ・コレクションに収蔵され、2020年にプライベートセールで現オーナーの手に渡った。

    現オーナーの購入条件として「走行可能な状態での引き渡し」が求められ、イギリスのマクラーレン専門業者ポール・ランザンテ社によって整備を受けたうえで、今回の出品に備え再始動が確認されている。

    RMサザビーズは落札価格を1,200万〜1,500万ドル(約18億〜22億円)と見積もっており、入札は12月8日から11日にかけて行われる予定だ。

    セナ神話を象徴する「最後のホンダV12」
    このMP4/6は、マクラーレンとホンダの黄金時代を象徴する1台だ。自然吸気V12エンジンを搭載した最後のホンダF1パワーユニットであり、セナのフィジカルと精神力の極限を物語るマシンでもある。

    オークション市場では、マクラーレンMP4シリーズの実走可能個体が出品されるのは極めて稀であり、とりわけ「セナ初の母国優勝」という歴史的背景を持つこの車両は、世界中のコレクターにとって“伝説の象徴”として高値が付くことは確実だ。

    このマシンの落札結果は、今後の「F1ヘリテージ市場」における価格基準をも左右するとみられている。

    アイルトン・セナ マクラーレン MP4/6-1マクラーレン・ホンダ MP4/6-1ホンダ V12 F1エンジン

  • レッドブルF1代表メキースがマクラーレンに反論「2026年PU不安?誤解だ」

    レッドブルF1代表メキースがマクラーレンに反論「2026年PU不安?誤解だ」

    レッドブル・レーシングのローラン・メキース代表は、チームがシーズン終盤も開発を続けている理由について「2026年のパワーユニット不安とは無関係」と強調し、マクラーレン代表アンドレア・ステラの見解に反論した。

    ステラはメキシコGP後に「レッドブルはフォードとの新パワーユニットに確信を持てず、短期的な成果に走っている」と指摘。それに対して、ヘルムート・マルコとローラン・メキースの両者が真っ向から否定した。

    メキース「2026年とは関係ない。理解を深めるための投資だ」
    「2026年とはまったく関係ない」とメキースは語った。

    「今シーズンを現行マシンの理解を深めずに終えれば、来年に多くの疑問を抱えたままになる。それを避けるために、改善すべき領域に投資し、さらなるスピードを見いだそうとしているんだ」

    「これは我々のツールや手法、アプローチに対する自信を高めるものでもある。確かに新プロジェクトに割ける時間とエネルギーは減るが、それは意図的な判断であって、パフォーマンス上の問題とは関係ない」

    さらに、リスクを取るためではなく、理解を深めるための選択だと強調した。

    「これは純粋に“理解”のためのプロセスだ。方法論の検証を行い、それを2026年に適用できる。我々は無理をしているわけではない。確かに代償はあるが、その価値は十分にある」

    マルコ「まだ116ポイント残っている」
    レッドブルF1の顧問ヘルムート・マルコも、タイトル争いが依然として射程圏内にあると語った。

    「まだ116ポイント残っているし、今はどのサーキットでも一方的に支配するチームはいない」とマルコ。

    「我々のチャンスは生きている。マクラーレンが“フェアプレイ”を続けてくれることを願っているよ。我々の強みは、すべてがマックス(フェルスタッペン)に集中していることだ」

    マルコはまた、フェルスタッペンのメキシコGPでの走りを称えた。

    「レーストリムでは速さが出るとわかっていた。マックスは猟犬のような男だ。一度“獲物の匂い”を嗅ぎ取れば、周りのことは何も見えなくなる。そして攻め続けるんだ」

    レッドブル・レーシング

    マクラーレン側の視点「確信を取り戻した週末」
    一方、マクラーレンはメキシコGPでランド・ノリスが圧巻の勝利を収め、ドライバーズランキングの首位を奪還。オスカー・ピアストリの不調を差し引いても、ステラ代表は「チームが再び強さを証明した週末」と胸を張った。

    「フェルスタッペンは依然としてライバルだが、今後の数戦は我々に有利だ」とステラ。

    「この週末で我々が証明したのは、勝てるマシンを持っているということだ。条件が揃えば支配的に戦える。そのことがランドとオスカーにタイトルを争う力を与えている」

    ピアストリのポイント喪失にも前向きな姿勢を示した。

    「確かにオスカーはフェルスタッペンにポイントを奪われたが、この週末で多くを学んだ。あらゆるコンディションで戦えるようになるための“投資”なんだ。我々はメキシコを後にして、より強く、より楽観的になっている」

    レッドブルの「現行理解型」開発とマクラーレンの「将来志向型」戦略
    今回のやり取りは、F1における「短期的成果」と「長期的基盤構築」という哲学の違いを浮き彫りにした。

    マクラーレンは2026年以降の新レギュレーションに備えて、開発リソースを慎重に配分する“蓄積型”の姿勢を取るのに対し、レッドブルは現行マシンの開発を通じて手法と理解を検証しようとする“即実証型”のアプローチを選択している。

    メキースの言葉からは、2026年レッドブル・フォードのパワーユニットを見据えた「基礎検証フェーズ」として、現行RB21を開発に活用している意図も読み取れる。
    これは単なる“終盤の意地”ではなく、風洞・シミュレーション・空力補正の精度を確認するための“実地テスト”に近い。

    つまり、短期的にはリソース消耗のリスクを伴うが、成功すれば2026年以降の技術基盤を盤石にする布石ともなる。

    2025年終盤のレッドブルとマクラーレンの対立は、単なるタイトル争いではなく──未来を見据えた「開発哲学の衝突」でもある。

  • マクラーレンF1代表ステラ ピアストリのメキシコGPは「自分を誇りに思うべき」

    マクラーレンF1代表ステラ ピアストリのメキシコGPは「自分を誇りに思うべき」

    マクラーレンF1チーム代表のアンドレア・ステラは、メキシコGP決勝で5位に終わったオスカー・ピアストリについて「自分を誇りに思うべきだ」と評価した。

    ピアストリは週末を通して苦戦し、決勝でも単独の5位に終わり、4戦連続で表彰台を逃した。一方、チームメイトのランド・ノリスはポールポジションから30秒差で圧勝。4月以来となるドライバーズ選手権首位を1ポイント差で取り戻した。

    難しい週末の中で得た学び
    ステラは、ピアストリが最近の数戦で「マシンのドライブ方法を変える必要がある」と感じていたことを明かし、チームもその原因をデータや映像から徹底的に分析したと説明した。

    「オスカーとはデータ、コメント、映像の観点から徹底的に見直した。その結果、メキシコのような低グリップ環境で、マシンをどう走らせるべきかという重要な情報を得られた。こうした状況では、マシンがスライドしてもその中でタイムを出せるような運転が必要だが、それはオスカーの自然なスタイルとは少し違う」とステラは語った。

    「彼はクルマ側でできることと、自分のドライビングでできることを特定し、昨日から今日にかけて非常にうまく対応してくれた。レースでは明らかに昨日より競争力が上がっていた」

    オスカー・ピアストリ マクラーレン

    トラフィックが実力を隠した
    ステラはさらに、ピアストリの実際のペースはもっと速かったと強調した。

    「残念なのは、彼がそのペースを十分に発揮できる状況にいなかったことだ。終始トラフィックに引っかかっていて、前のマシンのギアボックスを見続けるレースになってしまった」

    それでも、この経験が今後に向けて大きな糧になるとステラは語る。

    「こうした経験を通して新しいツールをツールボックスに加えていくことが重要だ。それがF1ドライバーとしてより完成された存在になるための道だ。残り4戦でもさまざまな条件に直面することになるが、今回の学びは確実に役立つだろう」

    「だからオスカーは、このレースを誇りに思っていいし、自分自身の成長を実感していいと思う」

  • ピアストリ 復活にはマクラーレンF1にリカルド式“シャシー交換要求”が必要?

    ピアストリ 復活にはマクラーレンF1にリカルド式“シャシー交換要求”が必要?

    ランド・ノリスに5戦連続で後れを取ったオスカー・ピアストリ。メキシコGPでの5位フィニッシュにより、ついにドライバーズ選手権首位の座を明け渡した。わずか1ポイント差でノリスを追う形となったが、その流れを変える“リセット”が求められている。

    英メディアは、同郷のダニエル・リカルドが2024年に苦境を脱した“シャシー交換要求”こそがヒントになると指摘。マクラーレンが両ドライバーを完全に平等な立場で扱う中で、ピアストリがリカルド流の大胆な一手に踏み切れるかが、タイトル争いの行方を左右しそうだ。

    5戦連続でノリスに後れ、ピアストリが初の首位陥落
    メキシコGPまでの5戦で、ノリスとマックス・フェルスタッペンがピアストリを上回る結果を残した。8月のオランダGP終了時点では、ピアストリはノリスに34ポイント、フェルスタッペンに104ポイントの差をつけていたが、その後は失点が続いた。

    バクーでは予選クラッシュとスタート違反が重なりリタイア。シンガポールではノリスとの接触を巡ってチーム内に火種を抱え、COTAスプリントでも両者が再び接触した。マクラーレンは一時的にノリスにペナルティ的な措置を科したものの、翌戦で撤回している。

    「シャシー変更」で再起したリカルドに学ぶべき
    記事は「ピアストリはリカルドを見習うべきだ」と指摘する。2024年にレーシングブルズへ移籍したリカルドは、開幕3戦ノーポイントに苦しんだ後、中国GPから新シャシーに変更。するとマイアミGPのスプリントで4位入賞を果たすなど、流れを変えるきっかけとなった。

    レーシングブルズは「旧シャシーに致命的な問題はなかった」としていたが、リカルドは“自分の感覚”を信じて要求を貫いた。その姿勢が、いまピアストリに必要だと論じられている。

    「もしノリスがいなければ、マクラーレンは変えていた」ゲイリー・アンダーソン
    元ジョーダンのテクニカルディレクター、ゲイリー・アンダーソンは『テレグラフ』紙に対し、「ピアストリのシャシーには問題があるとは限らないが、メンタル面でのリセット効果は大きい」と語った。

    「ピアストリはバクーで2度もクラッシュしている。マクラーレンは現在のシャシーに問題がないと考えているだろうが、理論的にはスイッチしても失うものはない。だが、この時期にそれを行えば“ピアストリを優遇している”と見られる可能性がある。もしノリスがいなければ、マクラーレンはすでに変更していただろう」

    オスカー・ピアストリ マクラーレン

    チーム内バランスとタイトル争いの狭間で
    シンガポールでの接触や、イタリアGPでピアストリに「ノリスを先に行かせろ」と命じたチームオーダーも、マクラーレンへの“ノリスびいき”疑惑を呼んだ。チームは両者を「完全に平等な立場に戻す」と明言しているが、現実にはノリスの好調が続く。

    残り4戦、ピアストリがこの不利な流れを断ち切るには、メカニカルなリセットが必要だ。リカルドのように「シャシーを換えてくれ」と言えるか──それが、タイトル争いの命運を握る一手になるかもしれない。

  • マクラーレンF1内に「ノリス優遇」陰謀論再燃 ピアストリ不振で火種広がる

    マクラーレンF1内に「ノリス優遇」陰謀論再燃 ピアストリ不振で火種広がる

    2025年F1メキシコシティGPを終えて、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリのポイント差がわずか1点となる中、マクラーレンがノリスを優遇しているという“陰謀論”がSNS上で再び拡散している。きっかけとなったのは、オランダのF1解説者オラフ・モルが語ったチーム代表アンドレア・ステラの発言への反応だった。

    モルはオランダ『Ziggo Sport』で「ステラは『ピアストリはまだ経験が浅いから』と説明したが、あれはあまり感じの良い言い方ではなかった」と指摘。

    「ネット上では『マクラーレンがピアストリを不利にしている』『ザク・ブラウンはノリスが勝った時しか笑わない』などの陰謀論があふれている。もちろん事実ではないと思うが、そうした話題が増えているのは確かだ」と述べた。

    これに対して、ピアストリの元パフォーマンスコーチであるキム・キードルは豪SENラジオで「陰謀論なんて信じない」と一蹴した。「F1では浮き沈みがある。2人とも強力なドライバーだし、ノリスが巻き返しているのも想定内。オスカーにとって得意ではないサーキットが続いただけだ」と語り、「マクラーレンは内部的には非常にうまく対応している。外から見て疑わしく見えても、実際には公正にやっている」とチームを擁護した。

    さらにキードルは「オスカーは冷静な性格ゆえに外部からのプレッシャーが大きく見えるかもしれないが、精神的にはうまく対処している。F1で一番難しいのはクルマの外でのマネジメントだ」とも語っている。

    一方で、元F1ドライバーのラルフ・シューマッハも独『Sky Deutschland』で「チームが一方のドライバーを優遇する理由なんてない。片方に悪いクルマを与えるなんてあり得ない」と断言。「『クルマが違う』などと口にすれば、それが言い訳と受け取られ、(マネージャーの)マーク・ウェバーが常に電話している姿と重なって悪い印象を与える。これは致命的だ」と警鐘を鳴らした。

    また、ピアストリの移籍の噂については「今年初めに契約延長している。来季もマクラーレンに残るだろう。ただし、その後にアストンマーティンへの移籍は面白いかもしれない」と見解を示した。

    ノリスとピアストリ、チーム内バランスの実態
    マクラーレンがノリスを「優遇」しているという主張は、過去にもたびたび浮上してきたが、現実的にはその根拠は乏しい。ステラ代表の「経験差」発言はピアストリの近況を説明したに過ぎず、戦略的な差別化の意図は見られない。

    今季ピアストリは一部の低グリップ環境で苦戦しており、メキシコのような路面特性がそれを顕著にした。一方ノリスはタイヤマネジメントとスタートで優位に立ち、レース展開の差が大きく結果を左右した。

    SNS上の陰謀論は、ノリスが笑顔で祝福される映像やステラのコメントの切り取りがきっかけで拡散しているが、内部関係者の証言を総合すると、マクラーレン内部では両者に同等のサポート体制が敷かれていると見られる。

    ラルフ・シューマッハが指摘したように、この種の噂はピアストリ側に心理的ダメージを与える可能性がある。ピアストリは依然として冷静さを保ち、タイトル争いを続けているが、メンタル面のマネジメントが今後のカギを握るだろう。

  • マクラーレンF1代表が分析「数学ではなく競争力の問題」 ノリス勝利に手応え

    マクラーレンF1代表が分析「数学ではなく競争力の問題」 ノリス勝利に手応え

    マクラーレンF1チーム代表のアンドレア・ステラは、ランド・ノリスがF1メキシコGPで圧倒的勝利を収めたことで「チャンピオンシップに対する自信が高まった」と語った。

    ノリスは日曜の決勝71周をスタートからフィニッシュまでリードし、2位シャルル・ルクレールと3位マックス・フェルスタッペンに30秒以上の大差をつけて優勝。これで今季6勝目を挙げ、4月以来となるドライバーズランキング首位に返り咲いた。

    現在ノリスはチームメイトのオスカー・ピアストリに1ポイント差でリードし、フェルスタッペンは首位から36ポイント差で残り4戦を迎える。

    「数学ではなく、競争力の問題だ」
    「チャンピオンシップに対する自信は高まっている」とステラは語った。

    「それは、我々がレースで勝つことができるマシンを持ち、特定の条件下では支配的な走りができることを証明したからだ。これこそが、ランドとオスカーがタイトルを争うための最も重要な要素だ。これは数学の話ではなく、競争力の話なんだ」

    ステラは続けて、「この週末でオスカーがいくつかポイントを失ったとしても、彼にとっては多くの学びがあった。これは今後のための投資であり、シーズン終盤のあらゆる状況で競争力を維持するために必要なものだ。チームとしてもドライバーとしても、この週末を終えて自信と楽観的な気持ちを持てている」と付け加えた。

    「ランドは特別な走りを見せた」
    メキシコGPでの勝利は、マクラーレンにとって5戦ぶりの優勝となった。それまでの4戦では勝利を逃し、フェルスタッペンに104ポイント差から40ポイント差まで迫られていたが、ノリスは見事に巻き返した。

    ステラは「ランドのここ数年を振り返ると、今回のように圧倒的な週末は他にもあった。昨年のザントフォールトやシンガポールでも同じような支配的な走りを見せている」と語り、次のように続けた。

    「彼は本当に説得力のあるパフォーマンスを見せた。すべてのセッションで最速だったと言っていい。マシンの性能と強みを完璧に引き出していた。特に今回のような低グリップ条件は、彼の自然なドライビングスタイルにぴったり合っていたんだ」

    マクラーレン F1

    「チームとしての理解も深まった」
    さらにステラは、ノリスとピアストリの両方が今後の4戦に向けて自信を持てる状態だと強調した。

    「この結果はランドの自信をさらに強めるだろうが、オスカーにとっても価値のある学びになった。チームとしても、マシンから安定してパフォーマンスを引き出す方法をより理解できたと思う。メキシコ以前の数戦では、時に“ガレージにパフォーマンスを残してきた”こともあったが、今はそれを克服しつつある」

    マクラーレンが見せた真の競争力回復
    今回のメキシコGPでのノリスの完勝は、マクラーレンがシーズン終盤に再び“絶対的な競争力”を取り戻したことを証明する内容だった。低グリップの路面で完璧に機能したMCL39は、メカニカルグリップと空力の両面で優位に立ち、ノリスが全セッションで主導権を握った。

    一方で、ピアストリは5位にとどまりながらも安定したペースを維持し、開発の方向性に貴重なデータをもたらした。ステラの言葉通り、今回の週末は「勝利の確認」であると同時に「タイトル戦への準備段階」としての価値が高い。残り4戦、マクラーレンはダブルタイトル奪取に向けて確固たる体制を整えたといえる。

  • ランド・ノリス “贈られたF1タイトル”に反論「考えたい人はそう思えばいい」

    ランド・ノリス “贈られたF1タイトル”に反論「考えたい人はそう思えばいい」

    ランド・ノリス(マクラーレン)は、日曜のF1メキシコGPで圧勝を収めた後、観客からのブーイングを笑い飛ばした。メキシコシティの観客はレース週末を通してノリスに対して不満を示し、表彰式でもブーイングが起こったが、本人は意に介さなかったという。

    メキシコでは一部ファンの間で「マクラーレンがノリスにタイトルを“与えている”」という見方が広がっており、イタリアGPでのチームオーダーがその発端となっている。

    モンツァでは、ピット作業で遅れたノリスの前に出たチームメイトのオスカー・ピアストリに対し、チームがポジションを譲るよう指示。結果としてノリスが2位、ピアストリが3位でフィニッシュし、物議を醸した。

    メキシコのジャーナリスト、カルロス・ハリフェ氏がレース後の記者会見でこの経緯を説明すると、ノリスは笑いながら答えた。

    「正直、なぜかわからない。でも人々には自分の好きなことをする権利がある。ブーイングもスポーツの一部だと思う」

    「僕はブーイングされると逆に笑ってしまうんだ。正直、それで僕の気分が悪くなることはない。むしろ少し面白いと思ってる」

    ハリフェ氏によると、地元誌『Fast Mag』の読者アンケートでは、多くのメキシコファンが「ノリスはモンツァで得た3ポイントを返すべき」と回答したという。

    「彼らがそう思うなら、それも自由だよ」とノリス。

    「僕たちはチームとして常に公平にやっているつもりだ。2年前のブダペストでも、僕が勝てたレースでオスカーに譲って、彼が勝つべきレースを勝たせた。今回はそれと同じだ」

    「3ポイントが欲しいなら、あげてもいい。でもモンツァでは僕が前にいるのが当然だった。シンプルな話さ」

    それでもノリスは、週末全体を通して最高のパフォーマンスを発揮したことに満足していると強調した。

    「もちろんブーイングは望まないよ。でも僕は自分のやるべきことに集中するだけだ」と締めくくった。

    ランド・ノリス(マクラーレン) F1 メキシコシティGP

    タイトル争いはわずか1ポイント差に
    ノリスのメキシコGP優勝は今季6勝目。これにより、ドライバーズ選手権ではチームメイトのピアストリを1ポイント差で上回り、再び首位に浮上した。残り4戦、マクラーレン勢による白熱のタイトル争いが続く。

    ブーイングの背景に“マクラーレン内格差”の印象
    今回のブーイングの背景には、マクラーレンがノリスを優遇しているというファンの不満がある。モンツァでのチームオーダーに加え、ここ数戦の戦略判断でもノリスに有利な場面が見られたことが、そうした見方を強めた。

    しかし、ノリス自身の成績は安定しており、今季6勝という結果はチーム内の「贔屓」ではなく、純粋な速さと安定感の証でもある。ピアストリとの僅差の争いが続く中、マクラーレンがどのように2人を公平に扱うかが、今後のシーズン最大の焦点となる。

  • ランド・ノリス F1メキシコGP優勝「F1キャリアで最も完成度の高い週末」

    ランド・ノリス F1メキシコGP優勝「F1キャリアで最も完成度の高い週末」

    マクラーレンのランド・ノリスが、2025年F1メキシコGP決勝でポール・トゥ・ウィンを達成し、今季6勝目を飾った。レースを完全に支配し、2位のシャルル・ルクレール(フェラーリ)に30秒の大差をつけてチェッカーを受けた。これによりノリスは、ついにドライバーズ選手権の首位に立った。

    レース後、ノリスはメキシコの熱狂的な観衆に向かって喜びを語った。

    「ありがとう、みんな!最高のレースだったね。前だけを見て、自分のやるべきことに集中していた。スタートも完璧だったし、理想的なレース展開だった。ここメキシコで初めて勝てて本当に嬉しい。スタジアムでのこの雰囲気は信じられないほどだ」

    長い1コーナーへのアプローチをどう乗り切ったか問われると、ノリスは「リラックスして臨んだだけ」と振り返った。

    「スタートがすごく良かった。それがすべてだよ。周りよりも良い発進ができたからね。ここで勝つのは格別だ。ファンのみんな、本当にありがとう!」

    記者会見では、自身のパフォーマンスについて「F1でのキャリアで最も完成度の高い週末だった」と胸を張った。

    「支配的だったかどうかは分からないけど、間違いなく自分が最も良く走れた週末だと思う。フリー走行から予選、決勝まですべてのラップで集中して走れた。マシンのフィーリングも完璧だった。セットアップを見つけたときは、本当に“スイートスポット”に入った感じだったね」

    終盤は30秒のリードを築きながらも、2ストップに切り替える必要はなかったと説明する。

    「誘惑はあったけど、必要なかった。もうファステストラップのポイントもないからね。やる理由はなかった」

    ランド・ノリス(マクラーレン) メキシコシティGP

    また、ドライバーズ選手権で1ポイント差ながら首位に返り咲いたことについても冷静に語った。

    「オランダ(ザントフォールト)でのことはまだ頭に残っている。でも、過去は過去。学ぶべきことを学んで、次のレースに集中するだけだ。毎週が新しいスタート。僕のやり方は変えないし、それがうまくいっている」

    さらに、観客の一部からブーイングを受けたことについて問われると、ノリスは笑いながら受け流した。

    「ブーイングされても笑っちゃうんだ。理由は分からないけど、スポーツではそういうこともある。人々には自由があるし、好きなように思っていい。でも僕は自分のやるべきことに集中しているだけ。気にしないよ」

    最後にメキシコでの勝利についてこう締めくくった。

    「ここで勝つのは本当に特別。アイルトン・セナ以来のマクラーレンの勝利だなんて、光栄すぎる。こんなに素晴らしい歴史を持つ場所で、自分の名前がその一部になれるなんて夢のようだ」

    ランド・ノリスは今季6勝目でタイトル争いの主導権を握り、残り4戦を前に勢いを完全に取り戻した。

  • オスカー・ピアストリ マクラーレンF1に困惑 「まったく違う運転の仕方が必要」

    オスカー・ピアストリ マクラーレンF1に困惑 「まったく違う運転の仕方が必要」

    マクラーレンのオスカー・ピアストリは、F1メキシコGP決勝を5位で終えたが、チームメイトのランド・ノリスとの差に困惑を隠さなかった。2戦連続で明確なペース不足に直面しており、チャンピオンシップ首位の座もノリスに譲る形となった。

    ピアストリは決勝でノリスより1回多いピットストップを行い、最終的にトップから42秒遅れのフィニッシュ。予選でも約0.6秒の差をつけられ、これは昨年の同GP以来最大のギャップだった。

    「この2戦のペースは本当に驚きだった」とピアストリはF1公式チャンネルに語った。

    「どこに原因があるのか、そしてどうすべきかという手がかりはあると思うけど、ここ2週末はこれまでとまったく違う運転の仕方をしなければならなかった。これまで18戦ずっと上手く機能していたスタイルを急に変えるのは、正直かなり難しい」

    「今日は何点か試したことがあるけど、それが求めていたものだったのかどうか、これから確認するよ」と付け加えた。

    オスカー・ピアストリ マクラーレン F1

    ノリス「スイートスポットを見つければ速さはある」
    一方、優勝したランド・ノリスは、マシンのパフォーマンスを高く評価しながらも「扱いづらさ」も認めた。

    「このマシンはシーズンを通してずっと速い。でも時々かなり扱いづらい部分もあるんだ」とノリスは語った。

    「ただ、一度スイートスポットを見つけると、本当に速くて、すべてが楽になる。今日はそれを完璧に掴むことができた」

    アンドレア・ステラ代表「低グリップがピアストリに不利に働いた」
    マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、ピアストリが苦戦した背景について、メキシコ特有の路面コンディションに言及した。

    「このサーキットの低グリップ特性が、ピアストリには難しかった」とステラは土曜の時点で語っていた。
    「彼は依然として素晴らしいポテンシャルを持っているが、グリップが低い状況ではクルマの挙動を掴みづらく、セットアップの限界を感じていた」

    ピアストリが抱える“順応力の壁”
    メキシコGPでは、標高2200m超の薄い空気による低グリップと冷却制約が、マシン挙動に大きな影響を及ぼした。マクラーレンはこの特性を上手く活かし、ノリスは完璧に対応。一方でピアストリはタイヤ温度とバランスの維持に苦戦し、ステアリング入力やブレーキングスタイルを変えざるを得なかった。

    今季18戦で見せてきた安定したドライビングスタイルを崩す必要に迫られたことが、彼のリズムを乱した要因といえる。
    チャンピオン争いのプレッシャーが増す中、ブラジルGPでは再び「自然な走り」を取り戻せるかが焦点となる。

  • レッドブルF1 マルコ「ピアストリはプレッシャーに耐えきれていない」

    レッドブルF1 マルコ「ピアストリはプレッシャーに耐えきれていない」

    メキシコGPで苦戦するレッドブルにとって、週末の焦点はタイトル争いの行方にも及んだ。ヘルムート・マルコは、オスカー・ピアストリがついに重圧の中で崩れ始めていると見ている。

    マックス・フェルスタッペンはRB21のアップデートにもかかわらず予選5番手に終わり、ピアストリもふるわず8番手。カルロス・サインツのペナルティで7番手に繰り上がったとはいえ、チャンピオンシップ首位の座を守るには厳しい結果となった。

    マルコは『Kleine Zeitung』に対し、「もちろん我々はまだマクラーレンの助けが必要だ」と述べたうえでこう語った。

    「ピアストリはどうやらプレッシャーにうまく対処できていないように見える。確信はないが、最近の様子を見ているとそう思う。」

    レッドブルの目標は控えめだという。

    「すべてが完璧に進めば、表彰台もあり得るだろう。ピアストリとの差を縮めたいが、ノリスには逆にポイントを失うかもしれない。これでさらに接戦になる。緊張感は続くだろう。」

    フェルスタッペン自身も冷静さを保ちつつ、予選後のインタビューでマシンの不調を隠さなかった。

    「この週末は全体的に悪かった。特にセクター2は最悪だ。オンボードを見れば分かると思うけど、バランスもグリップもまったくない。レースではさらに悪化すると思う」とViaplayに語った。

    マルコもノリスの強さを認める。

    「ロングランのペースを見る限り、ノリスは引き離していくだろう。彼はこのサーキットでは無敵だと思う。ただし、それ以外は何が起きてもおかしくない。」

    オスカー・ピアストリ マクラーレン

    一方、ピアストリの失速はマクラーレン内部でも議論を呼んでいる。シーズン中盤には104点あったフェルスタッペンへのポイント差は、今や40点にまで縮まった。

    ピアストリは『Sky Italia』に対し、状況をこう説明した。

    「ここ2戦はこれまでと違う。ペースがない。仕事の方向性は間違っていないと思うけど、なぜかタイムが出ない。この状況は気に入っていない。リズムを取り戻すことが課題で、今はチャンピオンシップのことは考えていない。」

    ただし、プレッシャーを感じているわけではないと否定する。

    「特に何かが変わったとは感じていない。うまくいっていたときと同じように運転している。数字が合わないんだ。そこを理解しようとしている。」

    チーム代表のアンドレア・ステラは、原因はメンタルではなくマシン側にあると強調した。

    「チャンピオンシップを争うすべてのドライバーはプレッシャーを感じているはずだ。だがオスカーはとても落ち着いた性格で、無理をしているようには見えない。問題はマシンがスライドしたときにどれだけ性能を引き出せるかということだ。彼のラップにミスはない。あとは各コーナーで最後の数ミリ秒をどう削るかだけだ。」

    ピアストリの「リズム喪失」が鍵、ノリスとの明暗が鮮明に
    タイトル争いが佳境を迎える中で、ピアストリの失速はマクラーレンの内部バランスにも影響を及ぼしている。

    ハイダウンフォース寄りのマシン特性が路面温度の高いメキシコで機能せず、リヤグリップの不足が走り全体のリズムを乱している可能性が高い。ステラ代表が指摘した「スライド時の扱いにくさ」は、ピアストリ特有の繊細なステアリング操作に合わない兆候だ。

    対照的に、ノリスは予選で圧倒的なスピードを見せ、マシンの変化を即座に吸収する柔軟性を発揮した。これによりフェルスタッペンとの差が急速に縮まり、レッドブルにとっても「ノリス対ピアストリ」の構図が新たな希望になっている。

    フェルスタッペンが「バランスもグリップもない」と語ったように、RB21のアップデートは理想的な結果を生まなかったが、マルコの言葉通り“まだゲームは終わっていない”。
    次戦以降、ピアストリがリズムを取り戻せるかが、今シーズンのチャンピオンシップの趨勢を左右することになるだろう。