カテゴリー: マクラーレンF1チーム

  • ランド・ノリス、予選でステアリング表示を減らして掴んだF1首位の座

    ランド・ノリス、予選でステアリング表示を減らして掴んだF1首位の座

    ランド・ノリス(マクラーレン)は、ステアリングホイール上に表示されるデータ量を削減するという独自のアプローチを導入し、集中力を高めて予選でのパフォーマンスを最大化しているという。

    メキシコGPでの勝利により、ノリスは2025年F1ドライバーズ選手権の首位に返り咲いた。チームメイトのオスカー・ピアストリに対して安定した結果を残しており、その背景には「見える情報を減らす」という決断があったようだ。

    データ削減がもたらした集中力向上
    ノリスはモナコGP以降、ステアリングホイールから「デルタ表示」を削除している。このデルタとは、ドライバーが各コーナーで自己ベストより速いか遅いかを示すタイム指標で、通常はスピード表示の上部右側に配置されている。

    多くのドライバーがラップの進行状況を把握するためにこれを参照するが、ノリスはその情報が逆に判断を鈍らせると感じていたという。
    「デルタを見てしまうと、ラップを途中で諦めたり、安全策を取ったりすることがある」とノリスは語る。予選ではそれを排除することで、自身の感覚と限界を頼りに走り切るスタイルを選択した。

    「とにかく全コーナーを最大限攻める」
    「デルタがあれば助けになるか、逆に悪化させるかは分からない」とノリスはメキシコGP予選後に語った。

    「でも、デルタを外している時は、どんなにラップの出だしが悪くても、どんなコーナーでもとにかく全力で攻めるようになる。
    デルタがないから、全体のタイムがどうなのか分からないんだ。だからこそ、すべてのコーナーで最大限を引き出そうとする。逆に、あれを見てると気を取られてしまうから、良いことじゃないんだ。
    今日みたいに上手くいった時は、最終的に出てきたラップタイムを見るのがすごく気持ちいいね」

    ノリスはラップ完了後に最終タイムを確認するのみで、走行中は最低限の情報(タイヤ温度、ギア、ブレーキバランスなど)だけをモニターしている。これにより、マシンの挙動やコーナー進入の感覚に集中できるようになったという。

    レース時はデルタを再導入
    ただし、この“情報削減戦略”は予選専用だ。決勝レースでは再びデルタを表示し、燃料やエネルギーセーブ量の基準として活用する。レース中は安定したペース維持やチーム戦略の把握が求められるため、予選とは異なる情報管理が必要になる。

    ランド・ノリス(マクラーレン)

    ノリスの「データ断ち」が意味するもの
    このステアリング変更は、ノリスが心理的負荷をコントロールする新たな段階に入ったことを示している。現代F1では、ドライバーが1周で得られるデータ量が膨大で、過剰な情報が逆に感覚的判断を妨げるケースも多い。

    ノリスのように“データより感覚”を優先する選択は、ミスを減らすと同時に、マシンの限界を直感的に引き出す手法として注目されている。特に2025年のマクラーレンが抱えるリアタイヤの扱いに関して、ドライバーの感覚精度が勝負を分ける状況にあるため、この決断は理にかなっている。

    この“視覚情報を減らす戦略”は、集中力とパフォーマンスのバランスを再定義する象徴的な試みとも言える。ノリスがメキシコで見せた完璧なポールラップは、その成果の何よりの証明だ。

  • マクラーレンF1創設者ブルース・マクラーレンの墓が金色塗装と玩具で損壊

    マクラーレンF1創設者ブルース・マクラーレンの墓が金色塗装と玩具で損壊

    ニュージーランド・オークランド西部にあるワイクメテ墓地で、F1チーム創設者として知られるブルース・マクラーレンとその家族の墓が何者かによって破損されたことが明らかになった。

    マクラーレンは1970年6月、英国でCAN-AMマシンのテスト中に事故死しており、妻のパトリシア(2016年没)とともに同墓地に埋葬されている。

    墓石は金色の塗料で覆われ、さらにブルースとパトリシアの墓には小さな玩具の車が貼り付けられていたという。もともと黒く塗りつぶされていた「until we meet again Darling(また会う日まで、ダーリン)」の文字も金色で塗り直されていた。また、マクラーレンの両親や、妹夫婦の墓も漂白剤で汚されるなど、複数の被害が確認された。

    被害は墓地の修復・保護活動を行う団体「Grave Guardians」のジョージ・スチュワート=ダルゼル氏によって9月末に発見された。修復作業が始まった後も、犯人は複数回現場に戻り、保護のためにかけられた覆いを剥がすなど、執拗な行動を繰り返したとされる。なお、周囲の他の墓にも同様の被害が確認されたが、現地メディア「Stuff」によると、加害者は“修復を試みていた可能性”も指摘されている。

    ブルース・マクラーレン・トラストは声明で次のように述べた。

    「オークランドのワイクメテ墓地にあるブルース、パティ、ルース、ポップの墓が最近破損されたことをお伝えしなければならないことを非常に遺憾に思います。金色の塗料がかけられ、玩具の車が貼り付けられていました。なぜこのようなことをするのか、言葉を失っています」

    「墓石修復を行うボランティア団体『Grave Guardians』が、被害修復を申し出てくれました。私たちは心から感謝しています。修復作業の間、墓石は保護のため覆われており、現在は見ることができません」

    マクラーレン F1 ブルース・マクラーレン

    知らぬ間に初優勝を挙げたブルース・マクラーレン
    ブルース・マクラーレンは1958年にF1デビュー。1959年に初優勝を挙げ、1960年にはドライバーズ選手権2位に輝いた。しかしその後は優勝から遠ざかり、自身のチーム「マクラーレン」を設立して運命を切り開くこととなる。

    1966年にチームを立ち上げ、翌年のベルギーGPでマクラーレンにとっての初勝利を記録した。6番グリッドからスタートしたブルースは、最終ラップでジャッキー・スチュワートが燃料切れのためピットインしたことで、結果的にトップに浮上していた。

    「チェッカーフラッグを見て手を振り、ピット裏に戻ってトランスポーターまで車を走らせた。2位でも悪くないと思っていたんだ」

    その後、通りかかったBRMのメカニックが彼に声をかけた。

    「『優勝したんだ、知らなかったのか?』と言われた。それは今までで一番うれしい言葉だった」

    現在のマクラーレンとブルースの遺産
    マクラーレンは1966年からF1に参戦しており、現存する中ではフェラーリに次いで2番目に長い歴史を持つチームである。これまでにコンストラクターズタイトルを10回獲得しており、もしランド・ノリスまたはオスカー・ピアストリが今季ドライバーズタイトルを獲得すれば、ドライバーズチャンピオンの通算数は12から13に伸びることになる。

    ブルース・マクラーレンの名は、チームのDNAと共に今も生き続けている。

    マクラーレンの遺産を汚した愚行と、その象徴的意味
    今回の事件は単なる器物損壊ではなく、モータースポーツ史に深く刻まれた象徴的存在への冒涜と言える。ブルース・マクラーレンは単なる創設者ではなく、「情熱と革新を融合させた人物」として、多くのエンジニアやドライバーの指針であり続けている。

    ワイキングのテクノロジーセンターに掲げられた「To do something well is so worthwhile that to die trying to do it better cannot be foolhardy(何かを極めようとすることは、それをより良くしようとして命を落とすほどの価値がある)」という彼の言葉は、今もチームの哲学そのものだ。

    マクラーレン創設者の遺産に対する衝撃と悲しみ
    この事件は、F1チーム「マクラーレン」の名を冠した創設者への敬意を汚す行為として、ファンやモータースポーツ関係者の間で大きな波紋を呼んでいる。

    ブルース・マクラーレンは1963年にチームを設立し、その精神は今日のマクラーレン・レーシングにまで受け継がれている。世界中で崇敬される彼の功績に対し、家族の墓が標的になったことは極めて異例であり、ニュージーランド国内でも文化的遺産の保護をめぐる議論が高まっている。

    墓の修復が完了し、ブルースの名が再び穏やかにその地に眠る日が早く訪れることを、多くのファンが願っている。

  • ランド・ノリス マクラーレンF1に警鐘「フェルスタッペンにできることは何もない」

    ランド・ノリス マクラーレンF1に警鐘「フェルスタッペンにできることは何もない」

    マクラーレンのランド・ノリスは、2025年シーズン終盤のタイトル争いが激化する中で「マックス・フェルスタッペンには何もできない」と語り、チームに対して警戒を促した。

    現在ノリスは残り4戦・116ポイントを残してドライバーズ選手権の首位に立っており、チームメイトのオスカー・ピアストリに1ポイント差でリードしている。しかし、直近5戦でフェルスタッペンとの差を70ポイントから36ポイントにまで縮められており、経験豊富な reigning champion が再び勢いを取り戻している形だ。

    メキシコGPでの勝利後、ノリスはメディア(RacingNews365を含む)にこう語った。

    「30何ポイントあった差が今の状態になるまでの道のりは簡単じゃなかった。相手は信じられないようなドライバーなんだからね。僕はいい仕事をしていると思うけど、もう1人のドライバー(フェルスタッペン)はレースで勝ち続けてもっと追い上げてきている。でも、彼については僕らにできることは何もない」

    「彼はシーズンを通して速かったし、ポールポジションもたくさん取っていた。彼ら(レッドブル)がクルマの状態を少し改善しただけで、マックスは本来の力を発揮して、結果的に追い上げてきているのは驚きじゃない」

    「でも同時に、僕がやることは何も変わらない。毎週末レースで勝つことを目指す。それが僕のアプローチで、しばらく前からずっとそうしているし、これからも続けるつもりだ」

    ランド・ノリス マクラーレン F1

    マクラーレン内部の緊張:ピアストリとの1ポイント差
    ノリスはタイトル争いの主導権を握りつつあるが、ピアストリとの差はわずか1ポイント。チーム内の力関係も微妙に変化している。マクラーレンはレースごとに戦略面での微調整を迫られており、2人のドライバーをどう公平に扱うかが今後の焦点となる。

    フェルスタッペンが復調を見せる一方、ノリスは「マックスは自分たちの手の届かない領域にいる」と現実を冷静に受け止めている。それでも、「毎戦で勝ちを狙う」という強気の姿勢は崩していない。

    追い上げるフェルスタッペンと試されるノリスの冷静さ
    マクラーレン勢がタイトル争いをリードしているものの、フェルスタッペンは残り4戦で36ポイント差。過去に同様の逆転劇を演じてきた経験を持つ彼の存在は、ノリスにとって最大の脅威となる。

    ノリスの発言には、フェルスタッペンの勢いを認めつつも動揺を抑えようとする冷静さが見える。シーズン終盤の心理戦において、マクラーレンがチームとして統一感を保てるかどうかが、2025年タイトルの行方を左右しそうだ。

  • ピアストリ 陰謀論にブランドル「マクラーレンF1はどちらが勝っても構わない」

    ピアストリ 陰謀論にブランドル「マクラーレンF1はどちらが勝っても構わない」

    マーティン・ブランドルは、オスカー・ピアストリがマクラーレンで不公平な扱いを受けているという陰謀論を一蹴したうえで、「彼はいま確実に立て直しが必要な時期にある」と指摘した。

    ピアストリは夏以降の成績で失速し、オランダGP時点でランド・ノリスに対して持っていた34ポイントのリードを失った。残り4戦となった現在、両者の差はわずか1ポイント。チーム内タイトル争いは完全な五分に戻った。

    ブランドル「頭の中がかき乱されたようだ」
    ブランドルはスカイスポーツの番組『The F1 Show』で、ピアストリがアゼルバイジャンGPで2度クラッシュし、ジャンプスタートも犯した週末を「頭の中が散らかったような状態」だったと表現。若いドライバーとしてのプレッシャーの兆候が見え始めたと分析した。

    「マクラーレンはシャシー、エアロ、セットアップまで何度も確認しているはずだ。僕は本気で、マクラーレンがどちらのドライバーに勝ってほしいかは気にしていないと思う。とにかくチームとしてタイトルを取ること、それもフェルスタッペンではなく自分たちのドライバーが取ることが重要なんだ」

    「突然、冷静さが崩れた」
    ブランドルは、今季序盤に比べてピアストリの冷静さが失われていると感じているという。

    「シーズンの初め、彼は“水平的”と言われるほど冷静だった。無線でも常に落ち着いていて、何事にも動じなかった。だが今はその“ガラスの天井”のような冷静さが崩れている。彼は苦しんでいるように見える」

    「チームは年間4億ドルを投じ、1500人ものスタッフが働いている。誰かのマシンをわざと遅くするなんてことはあり得ない。オスカーの担当スタッフも、彼がブラジルで立て直すことを心から望んでいるはずだ。彼はシーズン序盤に見事な勝利を挙げた。それを急に忘れることなんてない」

    オスカー・ピアストリ マクラーレン

    「与えるプレッシャーと受けるプレッシャー」
    ブランドルは、自身のかつてのチームボスの言葉を引用し、タイトル争いの心理的側面をこう締めくくった。

    「ハイレベルなスポーツでは、プレッシャーは2通りしかない。与えるか、受けるか。その中間はない。ランドとマックスはいま“プレッシャーを与える側”になり、オスカーは“受ける側”に回っている。それがいま目の前で起きている現象なんだ」

    マクラーレンのチーム内バランス
    ピアストリは直近の数戦で「マシンを最大限に活かすため、運転の仕方を変えざるを得なかった」と語り、一方のノリスは「自分に合わせたセットアップ開発を進めている」と説明している。両者が異なる方向でマシンを仕立てる中で、心理的な差が結果に表れ始めたとも言える。

    ブランドルの見立ては明快だ。マクラーレンがどちらを優遇することもない――だが、プレッシャーの受け止め方次第で、2025年のチャンピオンは変わるかもしれない。

  • オスカー・ピアストリ F1タイトル失速の原因をビルヌーブ指摘「慢心が招いた」

    オスカー・ピアストリ F1タイトル失速の原因をビルヌーブ指摘「慢心が招いた」

    1997年のF1ワールドチャンピオン、ジャック・ビルヌーブは、オスカー・ピアストリがここ数戦でタイトル争いから後退した原因は「慢心」だと指摘した。

    夏以降、ピアストリが意識をチームメイトのランド・ノリスにのみ集中させた結果、終盤にマックス・フェルスタッペンとノリスが勢いを増す中で対応しきれなかったと分析している。

    ピアストリはオランダGPでの優勝後、34ポイント差でノリスをリードし、フェルスタッペンに対しては104ポイントものアドバンテージを築いていた。だが、メキシコGPまで4戦連続で表彰台を逃し、ついにノリスに1ポイント差で逆転を許した。

    「チームメイトだけを意識した」ことが生んだ隙
    「どんなスポーツでも同じことが起きる」とビルヌーブはSky Sports『The F1 Show』で語った。

    「シーズンを通して平均的なチームが、終盤になると突然トップに躍り出ることがある。なぜか? 全勝していたチームが崩れることだってある」

    「今シーズン序盤、ランドはあまり良くなかった。去年終盤のようなランドではなかったんだ。そこで僕たちは『ピアストリが成長してランドに並んだ、あるいは上回った』と思い込んだ。

    でも実際には、ピアストリが上がったのではなく、ランドが本調子ではなかっただけかもしれない。ピアストリは“自分はもう速い”と安心してしまったのかもしれない。チームメイトしかライバルがいない状況では、最後の一歩、あとコンマ1秒を攻めようとはしないものだ」

    ノリスとフェルスタッペンの覚醒で露呈した限界
    ビルヌーブは、ノリスが調子を取り戻し、フェルスタッペンが勝ち続けるようになってからピアストリの歯車が狂ったと見る。

    「バクーを境に、マックスがすべてを勝ち取り始めた。そしてランドが完全に覚醒したんだ。今シーズン最高の走りをしている。だがピアストリはそれについていけなかった。彼はもう限界に達していたんだ」

    「そして、さらにコンマ2秒を削らなければならなくなった時、これまで完璧に感じていたクルマが突然扱えなくなる。『同じマシンなのに、なぜこんなに難しいんだ』と感じてしまう。限界内で走っていた時はクルマが完璧に見えるけれど、その限界を超えようとすると、すべてが悪く見えるんだ」

    オスカー・ピアストリ マクラーレン

    マシンもタイヤも変わっていない
    ビルヌーブは、マクラーレンのMCL39やピレリタイヤの仕様が大きく変化していないことも指摘した。

    「マシンは大きく進化していない。タイヤもピレリ製で同じだ。たまにコンパウンドが柔らかいとか、気温が高いとかあるが、基本的には変わらない」

    「だから、ほんの少しチームメイトがステップアップするだけで、自分が取り残されたように感じる。そして『なぜうまくいかないんだ?』と混乱し、セットアップをいじりすぎて迷路に入る。

    データを見て『コーナーでチームメイトが0.1秒速い。じゃあ僕も変えよう』と思う。それが間違いなんだ。本来の自分の走りを忘れずに、少しだけ上積みすればいい」

    “慢心”がもたらすチャンピオンシップの落とし穴
    ビルヌーブの分析は、シーズン前半で支配的だったピアストリが、プレッシャーと自己疑念の中でリズムを失っていった姿を浮かび上がらせる。

    残り数戦、ピアストリが精神的な迷いを振り払い、本来の強さを取り戻せるかがカギとなる。

    ノリス、そしてフェルスタッペンが勢いを増すなか、“慢心”という心の隙をどう克服するか──。それがF1タイトル争いの行方を左右することになるだろう。

  • レッドブルF1、マクラーレンの“開発犠牲説”を一蹴「2021年と同じ話」とマルコ

    レッドブルF1、マクラーレンの“開発犠牲説”を一蹴「2021年と同じ話」とマルコ

    マクラーレンのアンドレア・ステラ代表が「レッドブルのシーズン終盤のアップデートは、2026年レギュレーションに向けた開発を犠牲にしている」と示唆したことに対し、レッドブルのヘルムート・マルコ顧問がこれを完全に否定した。

    マクラーレンはメキシコGP後、残りのグランプリで新パーツを投入しない方針を明らかにしており、コンストラクターズチャンピオンの座を確保した現段階で、2026年新規則へのリソース移行を優先する戦略を取っている。一方、レッドブルはRB21に複数の改良を加え、マックス・フェルスタッペンが再びタイトル争いに加わる原動力となっている。

    ステラ代表は、「彼らは2026年に関して何か別の課題を抱えているのかもしれない」と述べ、レッドブルが現行マシンに注力する姿勢を皮肉交じりに分析していた。

    しかしマルコは『Autosport』のインタビューでこう反論した。

    「まったく同じ話を2021年にも聞いたよ。当時もトト(ヴォルフ/メルセデス代表)は『レッドブルは2022年の新レギュレーションに間に合わないだろう』と心配していた」と語り、過去を引き合いに出した。

    「我々の哲学の一部は、常にルールが変わるたびに、できる限り長く競争力を維持するための作業を続けることなんだ。これはこれまで3回のレギュレーション変更でも同じだった。だから、彼ら(マクラーレン)が心配することがないなら、それでいいさ」と続けた。

    2021年当時、レッドブルは最後まで開発を続けながらも、翌2022年の新時代で17勝を挙げて両タイトルを獲得しており、その成功体験が今回も方針を裏付けている。

    レッドブル・レーシング

    レッドブルの一貫した開発哲学
    レッドブルは、ルール変更期でも「最後まで現行マシンを追い込む」姿勢を崩さないことで知られる。2022年・2026年といった大転換期でも、短期的な勝利と長期的な競争力を両立する自信を持っている。マルコの発言は、その哲学が単なる勝負勘ではなく、過去の成功実績に裏打ちされたものだということを示唆している。

    対照的なマクラーレンのアプローチ
    一方、マクラーレンは2026年規則への準備を優先する保守的な姿勢を取っている。すでに「現行車の開発は成熟点に達した」とするステラ代表の言葉通り、長期的な技術投資にシフトしており、短期的なレース結果よりも中期的なプロジェクト成果を重視している。

    2026年への布石と心理戦
    今回のやり取りは、単なる技術論を超えた“心理戦”でもある。マクラーレンはレッドブルの動きを「焦り」と見る一方で、レッドブルはそれを「勝者の余裕」として笑い飛ばしている。2026年のレギュレーション大変革を前に、両陣営の開発哲学の違いが、来季以降の勢力図を左右する鍵になりそうだ。

  • ランド・ノリス F1タイトル首位浮上もオランダGPリタイアが脳裏に残る

    ランド・ノリス F1タイトル首位浮上もオランダGPリタイアが脳裏に残る

    マクラーレンF1のランド・ノリスは、メキシコシティGPで圧巻のポール・トゥ・ウィンを飾り、オスカー・ピアストリを1ポイント差で上回りドライバーズ選手権首位に立った。しかし、本人の頭には今なお、夏休み明けのオランダGPでの痛恨のリタイアが「鮮明に残っている」という。

    この優勝で4月のサウジアラビア以来となる首位奪還を果たしたノリスだが、もしザントフォールトでのリタイアがなければ、より早くタイトルリードを取り戻していたはずだった。

    8月のオランダGPでは2位フィニッシュ目前でシャシー由来のオイル漏れが発生し、コース脇にマシンを止めざるを得なかった。これによりピアストリとの差は一時34ポイントにまで広がったが、ノリスはそのギャップを見事に跳ね返した。

    ノリスは今でも当時の光景を鮮明に覚えているという。

    「うん。でもまだ頭の中ではすごくはっきりしてる。もちろん、ああいうことはできるだけ忘れて次のレースに集中するようにしているよ」

    「週末ごとに新しい挑戦があるし、毎回ゼロから始める気持ちで臨んでいる。過去の週末のことは忘れて、学んだことを次に活かす。それが大事なんだ」

    メキシコでの走りについては手応えを感じている。

    「ここではすごくうまくやれたと思う。過去数戦も悪くなかったけど、これは間違いなく今季最高のパフォーマンスだ。でもまだ先は長い。速いドライバーが周りにたくさんいるから、とにかく今の自分を維持して、一貫性を保つことに集中しなきゃいけない」

    「今チャンピオンシップで前にいようが後ろにいようが、ドライビングを変えるつもりはない。ただ自分のやるべきことを続けるだけさ」

    メキシコの完勝の裏にあった“冷静さ”
    ノリスは過去数戦で見せたペース管理とメンタルの安定が、メキシコでの完勝につながった。スタートから終盤まで危なげない走りを見せ、タイヤマネジメントも完璧。ピアストリとのタイトル争いが激化する中でも「焦らず一戦一戦をこなす」姿勢を貫いている。

    ザントフォールトでの挫折を経て、ノリスは「過去を引きずらず、目の前のレースに集中すること」の重要性を身をもって理解した。その精神的成長が、シーズン終盤に向けた彼の最大の武器となりそうだ。

  • マクラーレンF1 アップグレード停止の理由「開発は成熟点に到達した」

    マクラーレンF1 アップグレード停止の理由「開発は成熟点に到達した」

    マクラーレンF1チーム代表のアンドレア・ステラは、チームが今季後半に新しいアップグレードを投入していない理由について「MCL39の開発が実質的に頭打ち(plateau)」に達したためだと説明した。

    すでにコンストラクターズ選手権のタイトルを確定させたマクラーレンだが、現在はドライバーズタイトルをめぐってマックス・フェルスタッペンとの戦いが続いている。オスカー・ピアストリとランド・ノリスのいずれかが2008年以来となるドライバーズ王座を獲得するかが焦点だ。

    一方で、フェルスタッペンが新型フロアやフロントウイングを投入して再び優勝争いに食い込むなか、マクラーレンはここ数戦にわたって新パーツを投入していない。この状況に加えて、ピアストリが調子を崩したことで、サウジアラビア以来初めてノリスがランキング首位に立ち、過去5戦でフェルスタッペンがピアストリとの差を69ポイント縮める展開となっている。

    開発を止めた理由:「これ以上の改良は意味がない」
    ステラは、チームがMCL39の開発を続けても「実質的なパフォーマンス向上を見込めない」と判断したと説明した。

    「F1チームでは非常に効率的な方法で仕事を進めている。CFDや風洞実験といった手法を組み合わせ、どちらか一方がボトルネックにならないようにしている」とステラは語った。

    「そのすべてを融合させて“ひとつの制約”として機能させている。まさに我々の場合がそうだった」

    「つまり、2025年マシンの開発に3週間多く費やしても、1周あたり0.1秒縮められるわけではない。我々は完全にプラトー(上限)に達したんだ」

    ステラはさらに、シーズン中盤に投入したアップグレード群が「限界に挑んだ成果」だったと述べた。

    「シーズン中盤に導入したアップグレードは非常に大きな取り組みだった。あの段階で『もうこれで終わりにすべきか?』という議論もあったほどだ。すでに成熟したプロジェクトをさらに改善するのは難しかった」

    他チームとの比較:「改善より“修正”がしやすい」
    ステラは、他チームがシーズン後半もアップデートを試みて逆にパフォーマンスを落とすケースが見られることに言及し、現代の空力開発の複雑さを指摘した。

    「多くのチームが開発を試みたが、逆方向に進んでしまうこともある。それは非常に洗練された空力構造を持つ現代F1マシンならではだ」

    「特定の問題があるときは、むしろ開発が簡単になる。たとえばレッドブルは、ハイダウンフォース仕様のリアウイングを使うときにフロントウイングのバランスに苦労していたと話していた。そういう場合は“問題を修正する”ことでラップタイムを見つけられる」

    「だが、すでにすべてがうまく機能しているマシンをさらに良くしようとするのは、はるかに難しい」と締めくくった。

    成熟の代償と次なる焦点
    マクラーレンは今季、MCL39の空力効率とバランスを高次元で完成させ、序盤戦の苦戦からシーズン中盤にかけて圧倒的な成長を遂げた。しかし、その“完成度の高さ”こそが、シーズン終盤でのアップデート停止という形で裏目に出ている。

    現状、マクラーレンは車体開発よりも運用最適化と2026年レギュレーションへの準備に注力しており、今季残りの戦いはドライバー2人の手に委ねられることになる。

  • マクラーレン 2026年F1マシン『MCL40』をアブダビGP前にオークション出品

    マクラーレン 2026年F1マシン『MCL40』をアブダビGP前にオークション出品

    マクラーレンF1チームが、来季2026年シーズンに投入する新車『MCL40』を、アブダビGP前にRMサザビーズのオークションへ出品することを発表した。未発表のF1マシンが一般向けに販売されるのは史上初の試みとなる。

    マシンは2026年レギュレーションに対応した最新仕様で、メルセデス製パワーユニットを搭載。落札者にはマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)訪問やランド・ノリス、オスカー・ピアストリとの面会など、チーム公認の特典が付与される予定だ。

    史上2番目の名門、マクラーレンが2025年に通算10冠
    マクラーレンF1チームは2025年シンガポールGPで12勝目を挙げ、残り6戦を残してコンストラクターズタイトルを確定。ザク・ブラウンCEOとアンドレア・ステラ代表のもと、ノリスとピアストリの両エースが活躍し、再び黄金期を築いた。

    これにより、ウォーキング拠点のマクラーレンはF1史上2番目に多くのタイトルを獲得したチームとなり、その名を再びモータースポーツ史に刻んだ。

    2026年F1の技術革命 ─ 軽量化とアクティブエアロの導入
    2026年のF1ではマシン規格が大幅に刷新される。全長は20cm短く、全幅は10cm狭まり、重量も約30kg軽くなる見込みだ。

    空力面では、これまで主流だった複雑なフロア構造とヴェンチュリトンネルの依存度が下がり、可変式エアロデバイスが導入される。DRSは廃止され、ストレートでは抗力を減らす「Xモード」、コーナーでは高ダウンフォースの「Zモード」を切り替える“アクティブ・エアロ”が採用される予定で、オーバーテイク性能の改善が期待されている。

    電動化が加速する2026年パワーユニット
    パワーユニットも大幅に改良され、内燃エンジンの出力は550〜560kWから400kWへ低下する一方、電動パワーは120kWから350kWへと約3倍に強化される。

    回生エネルギーの上限は1周あたり8.5MJに倍増し、燃料は持続可能な合成燃料を使用。すでに世界で最も効率的とされるF1ハイブリッドエンジンが、さらに環境性能を高めた次世代仕様へと進化する。

    未発表のMCL40Aを世界初オークションへ
    この新レギュレーションに合わせ、マクラーレンは2026年型マシン『MCL40A』を開発中で、正式発表を前に12月5日アブダビで行われるRMサザビーズのオークションに出品する。

    史上初めて、まだ走行していないF1マシンが一般に販売されることになる。落札者はランド・ノリスまたはオスカー・ピアストリがドライブする予定の実際のシャシーを入手でき、メルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレイン製の2026年仕様パワーユニットが搭載される。

    納車は2028年予定 ─ 技術保護の観点から段階的に引き渡し
    マクラーレンは知的財産の流出を防ぐため、MCL40Aの実車を2028年第1四半期に納車予定としている。

    それまでの期間、落札者には2025年仕様の展示用ショーカーが提供される。最終的に納車された車両は、マクラーレンのエンジニアやメカニックによるフルサポートのもと、デモランやプライベート走行会での走行が可能となる。

    落札特典は豪華プログラム ─ MTC訪問とレース招待
    落札者には、マクラーレン・テクノロジー・センターへの招待をはじめ、ザク・ブラウンCEO、ランド・ノリス、オスカー・ピアストリとの面会が約束される。

    さらに、2026年マシン発表会および2戦(うち1戦はモナコGP)への招待、チームピットガレージからの観戦、マクラーレン・チームハブでのホスピタリティ体験など、希少かつ豪華な特典が付属。

    また、ル・マン24時間レースやインディ500の現地観戦権も含まれるなど、まさに“トリプルクラウン”を体現するパッケージとなっている。

    マクラーレン F1 MCL40

    ハイブリッド時代の象徴、F1マシンが民間へ
    2014年のハイブリッド時代以降、現役仕様のF1マシンが一般に渡る例はほとんどなく、走行可能な車両として提供されるのは極めて異例だ。

    今回の出品は、RMサザビーズとマクラーレン・レーシングが共同で実現した“未来のF1マシンを所有する初の機会”として、モータースポーツ史に残る出来事といえる。

    マクラーレンの“トリプルクラウン”を象徴する特別出品
    マクラーレンは、モナコGP、インディ500、ル・マン24時間の三冠を制した数少ないチームのひとつだ。

    今回のオークションでは、この“トリプルクラウン”を象徴する形で、2026年型アロー・マクラーレン・インディカーと、2027年世界耐久選手権(WEC)参戦初年度のLMDhハイパーカーも同時出品される。

    マクラーレン・レーシングの過去・現在・未来を一挙に感じられる、まさに“歴史的”なセールとなる。

  • ピアストリ苦戦の真相 「滑らせて速く走る」マクラーレンF1との相性差

    ピアストリ苦戦の真相 「滑らせて速く走る」マクラーレンF1との相性差

    今季のF1でマックス・フェルスタッペンが再びタイトル争いに復帰するという驚きが続く中、さらに意外な展開は、オスカー・ピアストリのパフォーマンス低下だ。

    開幕戦メルボルンでルイス・ハミルトンを最終ラップで抜いて9位に入ったオーストラリア人は、その後も安定して上位を争い、中国からモンツァまでの間に4位のカナダを除けば表彰台圏内を維持していた。だが、イタリアGPでの3位以降、ピアストリは表彰台から遠ざかっている。

    アゼルバイジャンではジャンプスタートと1周目のリタイアで週末を棒に振ったが、シンガポールでは復調の兆しを見せ、ランド・ノリスを予選で上回り、決勝でも1ポジション差でフィニッシュした。しかし、続くアメリカとメキシコの2戦では、両者の差が一気に広がった。

    マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、この“落差”の原因について明確な見解を示している。

    「予選後、我々はデータ、コメント、映像を含めてすべてを徹底的に分析した。そして、低グリップ条件ではクルマが滑ってもタイムを出せる走り方をする必要があるという点で重要な知見を得た。これは、オスカーが自然と速さを出す方法とは異なるものだ」

    メキシコの予選前には、ピアストリ陣営も「オースティンの差は一時的ではない」と感じていたという。昨年の同地ではノリスとの差は6秒だったが、今年は22秒。マシンの進化に伴い、ドライビングの繊細さがより問われる状況になっている。

    ステラは、ピアストリが依然としてF1キャリア3年目の発展途上にあることを強調し、彼がその状況を的確に処理していると評価する。

    「クルマ側でも、ドライビング面でもいくつか改善策を見出した。彼はレースで明らかに予選よりも速さを取り戻しており、トラフィックさえなければそのペースを発揮できたはずだ。こうした経験を通じて新しい“ツール”を増やすことこそ、ドライバーとして完成形に近づく過程なんだ」

    マクラーレン F1 オスカー・ピアストリ

    さらにステラは、ノリスの圧倒的なパフォーマンスがピアストリの課題を際立たせたとも指摘する。

    「ランドは全セッションで非常に説得力のある走りを見せた。低グリップ条件は、彼の走り方にぴったり合っていた。一方、オスカーはその逆方向に特性がある。しかし、この経験は両者にとってプラスになる。チームとしても、今後どんな条件でもパフォーマンスを安定的に引き出す理解が深まった」

    ピアストリ自身も「過去19戦のやり方はうまくいっていたが、直近2戦ではスタイルを変えなければならなかった」と認めている。オースティンとメキシコは連戦だったため、調整の余地はほとんどなかった。だが、次のブラジルGPまでの2週間でデータ分析とリセットの時間を取れる。

    昨年のブラジルではノリスと拮抗した速さを見せ、チームのために堅実な走りを貫いたピアストリ。今回も彼らしい“修正力”で巻き返すことができるかが焦点となる。オースティンとメキシコの連続不振は偶然で済むが、もしインテルラゴスでも苦戦すれば、それは単なる一時的な問題ではなく、明確なトレンドに変わるかもしれない。

    分析:ピアストリの課題は「低グリップ下の柔軟性」
    マクラーレンMCL39の特性上、メキシコやCOTAのような薄い空気と低グリップの路面では、スライドを許容しながらラップタイムを維持する走りが求められる。ノリスはこの条件下でタイヤの熱入れとスリップコントロールに優れ、攻撃的にラップをまとめることができた。一方で、ピアストリは「車体を安定させて速く走る」スタイルが染みついており、リアの“動き”を活かしきれなかった。

    今後のカギは、ブラジル以降に待つ多様なコンディションへの適応力だ。MCL39の進化に合わせて、ドライビングの可変性を広げられるかどうか。ピアストリにとってそれは、単なる一時的な不調ではなく、タイトル争いを続ける上で避けて通れない「成熟の壁」になりつつある。