カテゴリー: マクラーレンF1チーム

  • ランド・ノリス F1モナコGP初日に電気系トラブル「マシンが完全に停止」

    ランド・ノリス F1モナコGP初日に電気系トラブル「マシンが完全に停止」

    ランド・ノリス(マクラーレン)は2026年F1モナコGP初日のフリー走行2回目(FP2)で電気系トラブルに見舞われ、セッション途中でマシンを止めることになった。

    ディフェンディングチャンピオンのノリスは、昨年このモナコGPを制して初のF1ワールドチャンピオン獲得への流れを築いたが、今回はヌーベルシケイン出口でマシンが突然停止。十分な走行を行えないままFP2を終え、19番手に沈んだ。

    突然のシャットダウンで走行終了
    マクラーレンは、ノリスのマシンを襲った問題が電気系統のトラブルだったことを明らかにした。

    マクラーレンの最高技術責任者兼チーフデザイナーを務めるロブ・マーシャルは次のように説明した。

    「ランドのセッションは残念ながら電気系統の不具合によって短縮されることになった。その問題によってマシンはシャットダウンしてしまった」

    「チームは根本原因の特定に全力で取り組んでいる。同じ問題が再発しないようにするとともに、予選に向けてすべてを最適化することに集中している」

    マシンが回収された後、ノリスは残りのセッションをピットウォールから見守ることになった。

    ノリス「僕たちはどこでも遅れている」
    ノリス自身も、今回のトラブルとマクラーレンのペース不足に不満を隠さなかった。

    「難しい一日だった。僕たちは明らかにペースが足りていないし、コースのあらゆる場所でタイムを見つけなければならない」

    「今日ここで走行時間を失ったのはフラストレーションが溜まる。モナコでは走行時間がとても重要だからね。マシンは単純に止まってしまったので、何が起きたのか調べる必要がある」

    さらにノリスは、予選までに状況を大きく改善するのは容易ではないとの見方を示した。

    「一晩かけてパフォーマンスを引き出そうと努力するけれど、正直なところ今の位置関係を見る限り、今週末に先頭集団と戦うのは難しいと思う」

    「完全に予想外だったわけではないけれど、もちろん望んでいる位置ではない。何が足りていないのか理解して、明日に向けてできる限り挽回したい」

    ランド・ノリス(マクラーレン) F1 モナコGP 初日

    大型アップデート投入も苦戦
    今回の苦戦は、マクラーレンがモナコに大規模アップデートを投入した直後に起きた。

    MCL40にはリアウイングの新しいウイングレットを含む計6項目のアップデートが導入されており、これは5月のマイアミGP以来最大規模の開発パッケージとなる。

    しかし初日の結果を見る限り、その効果はまだ十分に表れていない。ノリスは電気系トラブルで走行時間を失い、オスカー・ピアストリも7番手にとどまった。

    フェラーリ勢がFP1とFP2でワンツーを記録し、マックス・フェルスタッペンも上位につけるなか、マクラーレンは予選に向けてセットアップとアップデートの理解を急ぐ必要がありそうだ。

    【関連】
    ・F1モナコGP フリー走行2回目 結果・タイムシート:アロンソ20番手

  • マクラーレンF1に罰金処分 ノリス車のテープ処置が安全規則違反

    マクラーレンF1に罰金処分 ノリス車のテープ処置が安全規則違反

    ランド・ノリスのマシンがF1モナコGPのフリー走行2回目(FP2)で停止した件を巡り、マクラーレンF1はFIAから3万ユーロ(うち1万ユーロは執行猶予)の罰金処分を受けた。

    問題となったのは、ノリスのマシンが電気系統のトラブルでヌーベルシケイン出口に停止した際、マーシャルがクラッチ切り離しシステム(CDS)を作動できなかったことだ。この影響で迅速な車両回収ができず、セッションは赤旗中断となった。

    空力目的でボタンをテープで覆う
    FIAスチュワードの報告書によると、マクラーレンはCDS作動ボタンの上に透明なテープを貼っていたことを認めた。

    チームは、この処置が空力性能向上を目的としたものだったと説明している。

    スチュワードは次のように指摘した。

    「チームは、空力上の理由からCDSを作動させるために押す必要があるボタンの上に透明なテープを貼っていたことを認めた」

    FIA側は、この措置によって本来の安全機能が失われたと判断した。

    「FIA代表者の見解であり、チーム自身も認めたように、この措置はCDSシステムの目的を完全に無効化するものだった」

    「CDSは保護グローブを着用したマーシャルが迅速に作動させられるよう設計されている」

    さらにマクラーレンも、工具なしではテープを破ってボタンを押せなかったことを認めた。

    「チームは、工具を使わなければ手だけでテープを破ってボタンを押すことは不可能だったと認めた」

    カナダGPのレーシングブルズ事例が判断材料に
    F1技術規則では、マシンが油圧系統、空圧系統、電気系統の故障に見舞われた場合でも、クラッチを切り離せるCDSシステムの搭載が義務付けられている。

    また、その作動ボタンはドライバーやマーシャルが数秒以内に操作できる位置に設置しなければならない。

    今回の処分は、前戦カナダGPでリアム・ローソンのマシンのCDSが正常に機能しなかったとしてレーシングブルズが罰金処分を受けたケースと同じ条項によるものだ。

    ただしレーシングブルズには3万ユーロのうち2万ユーロが執行猶予となった一方、マクラーレンは1万ユーロのみが執行猶予となり、即時に2万ユーロの支払いを命じられた。

    スチュワードはその理由について、カナダGPでの事例がすでに全チームへの警告になっていたはずだと説明している。

    「前戦で同じ規則違反と処分が科されていた以上、すべてのチームはCDSシステムの重要性を認識しているべきだった」

    安全装置を犠牲にした空力最適化の代償
    今回の裁定は単なる技術違反ではなく、安全装置へのアクセスを空力目的で妨げた点が重く見られた。

    マーシャルが迅速にマシンを回収できなければ、赤旗やセーフティカーの原因となるだけでなく、ドライバーやコース上の作業員の安全にも影響を及ぼす。そのためFIAは近年、CDSシステムに関する違反に対して厳しい姿勢を取っている。

    前戦のレーシングブルズに続き、今回はマクラーレンが同様の問題で処分を受けたことで、FIAが安全関連装置の運用を今後さらに厳格に監視していく姿勢を示した形となった。

  • マクラーレン F1通算1000戦を記念して歴代勝者がモナコに集結

    マクラーレン F1通算1000戦を記念して歴代勝者がモナコに集結

    マクラーレンは2026年F1モナコGPで、チームのF1通算1000戦を記念し、歴代の優勝ドライバーと現役ドライバーを集めた特別イベントを実施した。

    この節目は、ブルース・マクラーレンが1966年モナコGPで世界選手権に初参戦してから60年となるタイミングでもあり、モンテカルロのスタート/フィニッシュストレート上には、チームの歴史を象徴する顔ぶれが並んだ。

    1000戦の節目に並んだ歴代勝者たち
    イベントには、2007年にマクラーレンでチームメイトだったルイス・ハミルトンとフェルナンド・アロンソも参加した。現在はそれぞれフェラーリ、アストンマーティンに所属しているが、マクラーレンの歴史を彩ったドライバーとして記念の場に加わった。

    そのほか、2度のワールドチャンピオンであるミカ・ハッキネン、デビッド・クルサード、ヘイキ・コバライネン、エマーソン・フィッティパルディ、ゲルハルト・ベルガー、ファン・パブロ・モントーヤ、ジョン・ワトソンが参加。現役のランド・ノリスとオスカー・ピアストリも加わった。

    この顔ぶれは、マクラーレンがF1で記録してきた203勝のうち93勝を担い、13回のドライバーズタイトルのうち4回を獲得したドライバーたちで構成されている。

    M2BとMCL40がつないだ60年の歴史
    ドライバーたちは、2026年型マシンのMCL40、そして1966年にチームが初めてレースに投入したマクラーレンM2Bとともに登場した。

    現チーム代表のアンドレア・ステラ、CEOのザク・ブラウン、さらにF1 CEOのステファノ・ドメニカリもラインアップに加わり、チームの1000戦という節目を祝った。

    マクラーレンはこのモナコGPで、特別カラーリング、記念グッズ、レゴとのコラボレーションなど、週末を通じてチームの歴史を前面に押し出している。


    ノリス「マクラーレンで走ることが夢だった」
    ランド・ノリスは、マクラーレンの1000戦という節目にチームの一員であることへの誇りを語った。

    「最初の夢はF1にいることだったし、マクラーレンにいることだった」とノリスは語った。

    ノリスは昨年のカタールGPでデビッド・クルサードの150戦を上回り、マクラーレン史上最多出走記録を持つドライバーとなった。

    「どこかの時点で、自分がマクラーレンで最も多く出走したドライバーになるとは思っていなかった。考えてみると、かなり素晴らしい記録だ」

    「正直に言うと、普段は統計が嫌いだし、人がそれを言うのも嫌いだけど、これは確かに誇りに思えるものだ」

    「パフォーマンスの記録というより、もっと一般的なものだし、自分の名前が多くの偉大な人たちと並んでいるのを見るだけでも特別なことだ」

    「チャンピオンシップを1回獲ることは本当に素晴らしいことだと思う。でも、ほかの多くの人たち、そして誰もが知り、記憶している多くの人たちは、もっと多くのことを成し遂げている。僕も彼らが到達したレベルに行きたいと思っているけど、過去の素晴らしいドライバーたちの中に自分の名前があることは、本当にすごいことだ」

    欠席者を含めても際立つマクラーレンの層の厚さ
    今回の集まりには、マクラーレンでグランプリ優勝を記録した存命ドライバー15人のうち11人が参加した。欠席したのはアラン・プロスト、ジェンソン・バトン、キミ・ライコネン、ダニエル・リカルドの4人だった。

    モナコで行われたこの集合は、単なる記念撮影ではなく、マクラーレンが60年にわたって積み重ねてきた勝利、タイトル、そして時代ごとの象徴的なドライバーを一つの場に集めるものとなった。

  • ランド・ノリス マクラーレンに電気系トラブルか F1モナコGP FP2でストップ

    ランド・ノリス マクラーレンに電気系トラブルか F1モナコGP FP2でストップ

    ランド・ノリスがモナコGPフリー走行2回目(FP2)でマシンを停止させた。ノリスはトンネル出口を抜けた後に突然パワーを失い、シケインのエスケープロードへ退避してマシンを止めた。

    F1 TVの解説者ジョリオン・パーマーは、このトラブルについて「カナダでのジョージ・ラッセルのリタイアと非常によく似ている。ラッセルの場合はバッテリーの問題だった。今回は完全にマシンの電源が落ちている」と指摘した。

    その後、ノリスは自力でピットへ戻り、ガレージでチームと状況を確認。モナコでは停止したマシンをセッション終了までコース脇に留め置くことが多く、このFP2中の復帰は不可能とみられている。

    リプレイ映像では、マーシャルがマシンを押して回収しようとしたものの、ギアが入ったままのような状態で車両がなかなか動かない様子も映し出された。

    一方、セッションはVSC解除後に再開され、ルイス・ハミルトンが首位タイムを記録。マックス・フェルスタッペンが約コンマ3秒差の2番手、シャルル・ルクレールがさらに0.167秒差の3番手につけた。3人ともミディアムタイヤでのタイムだった。

    なお、FP2では通常、序盤にセットアップ確認と路面状況の把握を行い、中盤にソフトタイヤでの予選シミュレーション、終盤に決勝を見据えたロングランを実施する。ただしモナコでは予選順位の重要性が極めて高いため、他サーキット以上にソフトタイヤでのアタック走行に時間を割く傾向がある。

  • F1モナコGP ルクレールとノリスの会見遅刻で所属チームに罰金

    F1モナコGP ルクレールとノリスの会見遅刻で所属チームに罰金

    シャルル・ルクレール(フェラーリ)とランド・ノリス(マクラーレン)が、2026年F1モナコGPの木曜日に行われたFIA公式記者会見への遅刻により処分を受けた。

    両ドライバーはメディアデーに実施されたFIAドライバー記者会見の第1セッションに出席予定だったが、会場への到着が数分遅れたことで開始時刻が後ろ倒しとなり、FIAは規定違反の可能性があるとしてスチュワード審議を行った。

    処分は執行猶予付きの5,000ユーロ罰金
    スチュワードの裁定により、フェラーリとマクラーレンにはそれぞれ5,000ユーロの罰金が科された。

    ただし、この罰金は12か月間の執行猶予付きとなっており、同様の違反が再発しない限り実際の支払いは発生しない。

    ルクレールとノリスは審議の中で、直前の別の予定が長引いたことが遅刻の理由だったと説明した。

    FIA記者会見は出席が義務
    FIAは各グランプリの木曜日に6人のドライバーを対象とした公式記者会見を実施しており、3人ずつ2グループに分けて行われる。

    出席および時間厳守は競技規則で義務付けられており、欠席や遅刻には制裁が科される可能性がある。

    今回のモナコGPでは、現地時間14時30分開始予定だった最初の30分間の会見が、ルクレールとノリスの到着遅れによって数分遅れてスタートした。

    その後、FIAは両者を金曜日午前のスチュワード審議に召喚。公式文書では「FIA F1規則 第B10.1.1.a条(木曜日記者会見への遅刻出席)」違反の疑いとして調査対象となっていた。

    異例の規則違反も軽微な処分に
    ドライバーが木曜日の公式会見への遅刻でスチュワード審議を受けるケースは珍しい。

    しかし今回は安全面や競技結果に影響する事案ではなく、両ドライバーも理由を説明したことから、FIAは執行猶予付きの軽微な処分にとどめた。

    母国グランプリを迎えるルクレールと、ランキング上位を争うノリスは、今後同様の違反を繰り返さない限り追加のペナルティを受けることなく週末を続けることになる。

  • マクラーレン フォーミュラE撤退後にコストキャップ違反で40万ユーロ罰金

    マクラーレン フォーミュラE撤退後にコストキャップ違反で40万ユーロ罰金

    マクラーレンは、すでに撤退したフォーミュラEで思わぬ後日談に直面した。FIA(国際自動車連盟)は、2024/25シーズンのフォーミュラEにおけるコストキャップ違反を認定し、マクラーレンに40万ユーロ(約6500万円)の罰金を科した。

    マクラーレンは2024/25シーズン終了後、リソースをF1、インディカー、そして2027年のWEC(世界耐久選手権)ハイパーカープロジェクトに集中させるため、フォーミュラEから撤退していた。しかし、撤退後の監査によって最終シーズンの支出が上限を超えていたことが明らかになった。

    コスト上限を約55万ポンド超過
    FIAの調査によると、マクラーレンはフォーミュラEの支出上限を4.54%超過していた。金額にして約55万5628ポンドに相当する。

    この超過は、チームが提出した財務資料に対する詳細な監査によって発覚した。なお、このシーズンにはテイラー・バーナードが5回の表彰台を獲得している。

    ただし、FIAは今回の超過支出が競争上の優位性を得るためのものではなかったと結論付けた。

    超過分の大半は、フォーミュラE撤退決定後に発生したチーム閉鎖・整理に伴う費用によるものだったという。

    マクラーレン フォーミュラE

    自主申告と全面協力をFIAが評価
    今回のケースで重要だったのは、マクラーレンが正式な調査開始前に自主的に超過支出を申告していた点だ。

    FIAは報告書の中で、マクラーレンがコストキャップ管理部門に対して「自主的に通知した」と説明。また、「調査の全過程を通じて協力的かつ完全な透明性をもって対応した」と評価した。

    さらにFIAは、超過支出について「選手権撤退決定後の秩序ある事業終了に伴う費用が主な要因だった」と認定している。

    加えて、「悪化要因を示す証拠や指摘は存在しない」とし、マクラーレンが不誠実な行為を行った形跡はなかったと結論付けた。

    その結果、両者は2026年6月1日に「Accepted Breach Agreement(違反受諾合意)」に署名し、マクラーレンは40万ユーロの罰金支払いを受け入れた。

    撤退後も続いたフォーミュラEとの関係
    今回の一件は、マクラーレンのフォーミュラE参戦の最終章としては異例の結末となった。

    チームはすでに電動シリーズを離れ、新たなプロジェクトへと舵を切っている。しかしFIAの財務監査は、最後にもう一度マクラーレンを呼び戻すことになった。

    競争上の利益を目的とした違反ではなかったこと、自主申告だったこと、そして全面的な協力姿勢が認められたことでスポーツ面の制裁は科されなかった。それでも、コストキャップ時代において財務規律がいかに厳格に運用されているかを示す事例となった。

  • F1解説:メルセデスとマクラーレン 同じPUでもギア比が生む決定的な差

    F1解説:メルセデスとマクラーレン 同じPUでもギア比が生む決定的な差

    2026年のF1では、パワーユニットの性能差ばかりが注目されがちだ。しかし、同じメルセデス製パワーユニットを搭載するメルセデスとマクラーレンを比較すると、実際にはギアボックスの設定がマシン特性に大きな影響を与えていることが分かる。

    マクラーレンは自社製ギアボックスを採用し、メルセデスとは異なるギア比を選択。結果として加速性能と最高速に明確な違いが生まれている。

    マクラーレンは加速重視のショートギアを選択
    マクラーレンはギアボックス内部のコンポーネントを含めて完全自社開発を行っており、メルセデスよりも短いギア比を採用している。

    チーム代表のアンドレア・ステラはカナダGPで次のように説明した。

    「選択したギア比には明確なメリットとデメリットがある。我々はメルセデスよりも短いギア比を採用している。それはスタート時の加速などで利点になる」

    実際に開幕からの5戦では、同じメルセデス製パワーユニットを使用しているにもかかわらず、マクラーレンの方がスタート加速で優位に立つ場面が多く見られた。

    短いギア比は後輪へ伝わるトルクを増大させるため、発進直後や低速域での加速力向上につながる。

    特にMGU-Kの電力アシストが本格的に介入する前の区間では、この効果が大きい。

    メルセデスはエネルギー効率を優先
    一方でメルセデスは比較的長いギア比を選択している。

    低速コーナーでもエンジン回転数を高く維持できるため、バッテリー充電効率の向上が期待できるからだ。

    2026年規則ではエネルギーマネジメントが極めて重要なテーマとなっており、ギア比の違いは単なる加速性能だけでなく、回生や電力運用にも影響する。

    メルセデスやレッドブル・レーシングが長めのギア比を採用している背景には、この考え方がある。

    マイアミとカナダで見えた最高速の差
    ギア比の違いはストレート速度にも現れている。

    マイアミでは予選中に1周あたり最大8MJのエネルギー回生が許可されていたが、モントリオールでは6MJに制限された。

    マクラーレンは短いストレートではメルセデスと互角の速度を示したものの、ストレートが長くなるにつれて徐々に不利になった。

    特にマイアミ予選ではターン11手前でその傾向が顕著となった。

    マクラーレンはターン16立ち上がりで発生した問題への対策として、ターン11ブレーキング前に「スーパークリッピング」を終了させるエネルギー運用を実施。その結果、長いストレート終盤では電力残量が減少し、短い8速ギアとの組み合わせによってメルセデスより10km/h以上遅い最高速を記録するケースもあった。

    カナダでも同様だった。

    第2セクターの短いストレートでは互角だったものの、最終シケインへ向かうロングストレートではメルセデスが明確な優位性を示している。

    ギア比の違いは2026年F1の重要テーマ
    ギアボックスのデータを見ると、マクラーレンは他チームより早い段階で8速へシフトアップしている。

    一方でメルセデスは高い速度域まで7速を保持し、ロングストレートでの速度維持を重視している。

    2026年レギュレーションではエネルギー回生と電力使用がラップタイムを左右するため、ギア比の設定はこれまで以上に重要な開発項目となった。

    マクラーレンはコーナー立ち上がりや加速区間で優位性を得る一方、メルセデスは長いストレートとエネルギー管理で優位性を発揮する。

    どちらが正解というわけではなく、それぞれが異なる方法でラップタイムを生み出しているのだ。

    マクラーレンは現状維持を選択
    2026年シーズンは特例として、各チームに1回だけギア比変更が認められている。

    しかしステラは現時点で変更を検討していないことを明かした。

    「現状には満足している。規則上は変更できるが、見直すことは考えていない。最も長いストレート以外では現在の構成が多くのメリットをもたらしていると考えている」

    つまりマクラーレンは最高速の弱点を理解しながらも、加速性能や低速区間で得られるメリットの方が大きいと判断している。

    メルセデスW17が様々なサーキットで安定して速さを見せている理由のひとつが、この長めのギア比によるエネルギー運用の自由度にある。一方でマクラーレンMCL40は、よりアグレッシブな加速性能を武器に異なる方向性で戦っている。

    同じパワーユニットを搭載していても、ギアボックスの設計思想ひとつでマシンの性格は大きく変わる。その好例が、2026年のメルセデスとマクラーレンの違いだ。

  • マクラーレンF1 1000戦記念でノリスとピアストリのレゴヘルメット発表

    マクラーレンF1 1000戦記念でノリスとピアストリのレゴヘルメット発表

    マクラーレンF1とレゴグループは、チームのF1参戦1000戦目を迎える2026年F1モナコGPにあわせて、新たな共同開発商品を発表した。

    今回公開されたのは、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリの特別仕様ヘルメットを再現した「LEGO Editions」シリーズで、実際のドライバーが週末のモナコGPで着用するヘルメットと同じデザインが採用されている。

    1000戦記念カラーを再現した限定ヘルメット
    今回の製品は、マクラーレンの1000戦記念カラーリングをベースに、レゴのデザインチームと両ドライバーが共同で開発したものだ。

    初めてレゴミニフィギュア版のドライバーも同梱されており、ファン向けのコレクターズアイテムとして展開される。

    オスカー・ピアストリ版は793ピースで構成され、マクラーレンの象徴的なパパイヤカラーとピアストリお気に入りのブルーを組み合わせたデザインとなっている。

    ドライバー番号や1000戦記念マシンに施された特別グラフィックも再現されており、専用ミニフィギュアとサイン入りプレート付きディスプレイスタンドが付属する。

    一方、ランド・ノリス版も793ピース以上で構成され、ノリスの特徴的な蛍光カラーの“ブロブ”デザインを採用。2026年シーズンから使用するドライバー番号「1」もレゴブロックで表現されている。

    マクラーレン オスカー・ピアストリマクラーレン ランド・ノリス

    モナコGPで実物ヘルメットを初披露
    今回発売されたレゴモデルは単なる記念商品ではない。

    ノリスとピアストリが実際にモナコGPで着用する1000戦記念ヘルメットそのもののデザインソースとなっており、サーキットと商品が完全に連動する企画となっている。

    マクラーレンにとって2026年モナコGPはF1参戦1000戦目という歴史的な節目であり、チームは特別カラーリング「Never Quits」とあわせて週末を祝う予定だ。

    10年以上続く提携が生んだ新たな記念商品
    マクラーレン・レーシングの最高マーケティング責任者ルイーズ・マキューエンは、今回の企画について次のように説明した。

    「レゴグループとのパートナーシップは、創造性、イノベーション、そして次世代のファンを刺激するという共通の価値観の上に築かれています」

    「ドライバーたちのヘルメットデザインがレゴの創造力によって再解釈され、それが実際にモナコのサーキットで命を吹き込まれる姿を見ることは、両者が共に実現できることを示す力強い表現です」

    「遊び心があり、本物であり、そして我々の歴史を新しい世代へとつなげてくれます」

    レゴグループの最高製品・マーケティング責任者ジュリア・ゴールディンも、10年以上続く協力関係の成果だと語った。

    「10年以上にわたるパートナーシップの中で、マクラーレン・レーシングの1000戦という歴史的な節目にレゴの創造力を持ち込めることをうれしく思います」

    「ファンの皆さんは自宅で組み立てながら、F1の歴史の一部を形として残すことができます」

    また、レゴF1クリエイティブリードのダニエル・ミーハンは、両ドライバーも開発に積極的に関わったことを明かした。

    「ランドとオスカーは素晴らしいアイデアをたくさん提案してくれました」

    「ファンの皆さんには組み立てながらその工夫を発見してほしいと思います」

    1000戦記念イベントの象徴的アイテムに
    マクラーレンは2026年モナコGPとスペインGPを通じてF1参戦1000戦を祝う各種イベントを実施している。

    今回発表されたレゴ版ヘルメットは、その記念プロジェクトの中でも象徴的な商品となりそうだ。

    ノリスとピアストリが実際に着用する特別ヘルメットと同じデザインをファンが自宅に飾れることから、マクラーレンの1000戦を記念する代表的なコレクターズアイテムとして注目を集めそうだ。

  • ランド・ノリス F1モナコGP予想「フェラーリがポールポジション」

    ランド・ノリス F1モナコGP予想「フェラーリがポールポジション」

    ランド・ノリス(マクラーレン)は、2026年F1モナコGPの予選でフェラーリがポールポジションを獲得すると予想した。開幕から5戦連続でポールポジションを獲得しているメルセデスの牙城が、モンテカルロで崩れる可能性があるとみている。

    カナダGPを終えた時点で、メルセデスは予選で圧倒的な強さを発揮している。しかしノリスは、モナコ特有の低速コーナー中心のレイアウトが勢力図を変える可能性があると考えており、その恩恵を最も受けるのはフェラーリだと指摘した。

    ノリスがフェラーリ優勢を予想する理由
    ノリスが注目しているのはフェラーリSF-26の低速域でのパフォーマンスだ。モナコでは最高速よりもトラクション性能やマシンの向き変えの良さが重要になるため、フェラーリが大きなアドバンテージを持つとみている。

    「モナコはまた全く違うタイプのサーキットだ」

    「だから本当の意味で僕たちの立ち位置を確認するのはバルセロナになると思うし、それを楽しみにしている」

    「モナコは昨年も僕たちにとって悪くないサーキットだった。正直に言うと、来週のモナコではフェラーリがポールポジションを獲ると思う。彼らの低速域でのパフォーマンスは他のどのチームよりも優れている」

    「だからモナコは楽しみだ。昨年は良い結果を残せたし、自分にとって最高の週末のひとつだった。でも僕たちが苦戦している領域を考えると、圧倒的な週末になるとは言えない」

    ノリスは、シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンのどちらかが予選最速タイムを記録する可能性が高いと考えている。

    モナコで強さを見せてきたフェラーリ
    フェラーリは近年のモナコで高い競争力を発揮してきた。

    シャルル・ルクレールは過去5回のモナコGPで3回のポールポジションを獲得しており、現在のSF-26の特性もモンテカルロに適していると考えられている。

    一方でメルセデスは2026年シーズンの予選を支配しているものの、モナコでは必ずしも圧倒的な実績を残していない。メルセデス勢による最後のモナコポールは、2019年のルイス・ハミルトンまでさかのぼる。

    そのため、通常のサーキットとは異なるモナコでは、フェラーリやマクラーレンにも十分なチャンスがあるとみられている。

    マクラーレンも前線争い継続を狙う
    もっとも、ノリスはフェラーリ優勢を予想しながらも、自らのチームの可能性を否定しているわけではない。

    カナダGPではマクラーレンがメルセデスに最も近い位置で戦っており、その流れを維持したいと語った。

    「少なくともカナダでは僕たちがメルセデスと戦えていた。だからその状態を維持して、プレッシャーをかけ続けなければならない」

    ただし、カナダで投入したアップデートをモナコで継続使用するかどうかは未定だという。

    「モナコではアップデートの効果が見えにくいし、本来のポテンシャルを引き出すのも難しい」

    「継続して使うかは分からない。まずは次回きちんと機能することを確認しなければならない。モナコで使う保証はないが、テストを行ってより良い形で機能させられるか確認する」

    ルクレールかハミルトンか 注目集まるフェラーリ
    2026年シーズンの予選ではメルセデスが全ポールポジションを獲得しているが、モナコは例年その常識が通用しないサーキットとして知られる。

    特に今年は、ルクレールの母国レースであることに加え、フェラーリがルクレールとの複数年契約延長を発表した直後でもあり、注目度はさらに高まっている。

    ノリスは、その週末の主役になるのはフェラーリだと予想する。

    モナコでメルセデスの連続ポール記録を止めるチームがあるとすれば、それはフェラーリであり、ポールポジション争いの中心にはシャルル・ルクレールかルイス・ハミルトンがいるとみている。

  • エイドリアン・ニューウェイ争奪戦の真相 マクラーレンF1とジャガーの法廷バトル

    エイドリアン・ニューウェイ争奪戦の真相 マクラーレンF1とジャガーの法廷バトル

    2001年6月1日、F1パドックに衝撃が走った。ジャガー・レーシングは当時マクラーレンの技術責任者だったエイドリアン・ニューウェイの獲得を発表したのである。

    しかし、この発表は後にF1史に残る混乱へと発展する。ニューウェイ本人が翻意し、マクラーレンは「契約延長済み」と反論。ジャガーとマクラーレンは法廷闘争に突入し、最終的にニューウェイは移籍しなかった。

    表面的には“天才デザイナーの争奪戦”だったが、その裏にはマクラーレン内部の権力構造、ジャガーの政治闘争、そしてニューウェイ自身の将来への葛藤が複雑に絡み合っていた。

    ジャガーF1が描いた壮大な青写真
    2001年6月1日、ジャガーはニューウェイ加入を正式発表した。

    当時のチーム代表ボビー・レイホールは、かつてインディカーで共に成功を収めた旧友との再会を強調した。

    「エイドリアンを迎えられることに非常に興奮している」

    「彼が設計したマシンは過去9年間で6度のタイトルを獲得している。ジャガーをF1世界王者へ導く存在になるだろう」

    フォードのモータースポーツ部門を率いていたニキ・ラウダも、この契約を大きな勝利として歓迎した。

    「これはジャガーにとって素晴らしいニュースだ。我々はF1で勝つことに本気で取り組んできたし、今回の契約はその決意を示している」

    当時のジャガーはフォードの全面支援を受けながらも成績は低迷しており、ニューウェイ獲得はプロジェクトの象徴となるはずだった。

    移籍を決断したニューウェイの本音
    発表時点でニューウェイ自身も移籍を認めていた。

    「マクラーレンでの4年間は本当に素晴らしかったし、共に成し遂げた成功を誇りに思っている」

    「しかし最終的には、1984年から知る親友のボビーと再び仕事をする機会と、ジャガーが提示した挑戦があまりにも魅力的だった」

    一方でニューウェイは、移籍が実現するまでマクラーレンに全力を尽くすとも語っていた。

    「その間も私はやるべき仕事を抱えている。レースと選手権を勝ち取るため、マクラーレンに全力を尽くし続ける」

    だが、この言葉は後に本人によって事実上否定されることになる。

    マクラーレン内部で広がっていた亀裂
    この移籍騒動の背景には、ニューウェイとロン・デニスの関係悪化があった。

    2000年シーズン、マクラーレンはフェラーリにタイトルを奪われた。メルセデスエンジンの信頼性問題にも苦しみ、チーム全体に停滞感が漂っていた。

    さらにニューウェイは、マクラーレン特有の管理体制や企業文化に息苦しさを感じていた。

    その象徴的なエピソードがオフィスの壁の色だった。ニューウェイは自室をダックエッグブルーに塗装したが、それを巡ってデニスと衝突した。

    後にニューウェイは自伝『How To Build A Car』の中で、マクラーレンの文化を「管理され過ぎている環境」として振り返っている。

    プールサイドで起きた関係悪化の決定打
    2000年夏、南フランスにあるロン・デニスの自宅で重要な会話が行われた。

    デニスは将来的にチーム運営をエイドリアン・ニューウェイとマーティン・ウィットマーシュへ引き継ぐ考えを示した。

    ただし、いつ実現するのかという具体的な時期は示されなかった。

    ニューウェイは後に、その日の出来事をこう振り返っている。

    「その午後、プールサイドには冷たい風が吹いていた」

    「ロンには多くの長所がある。しかし彼には明確な弱点もある。そのひとつが絶対的で無条件の忠誠心を求めることだ」

    「私がその忠誠心を全面的に示さなかった瞬間から、我々の関係は永遠に変わった」

    さらにニューウェイは皮肉を込めてこう続けた。

    「オフィスを塗り替えることなど大した問題ではなかった」

    「だが彼の提案に対して跪いて感謝しなかったことは、まったく別の話だった」

    法廷闘争へ発展した移籍劇
    ジャガーの発表直後、マクラーレンは強く反発した。

    同日午後に発表された声明で、マクラーレンはニューウェイが移籍しないどころか、2005年まで契約延長していると主張した。

    双方は自らが正当な契約を保有していると主張し、法廷闘争へ発展した。

    レイホールは強気の姿勢を崩さなかった。

    「契約は契約だ。それ以上でもそれ以下でもない」

    「マクラーレンは片方の書類の方が重要だと言いたがっているが、そんなことはない」

    F1メディアには連日、新たな声明や法的文書が届き続け、騒動は泥沼化していった。

    ニューウェイが翻意した理由
    しかし裁判が進むにつれ、ニューウェイ本人がすでに考えを変えていたことが判明する。

    2001年カナダGP決勝日の6月10日、ニューウェイは声明を発表した。

    「ジャガーへの移籍に同意した直後、それが自分にとって正しい選択ではないと気付いた」

    「私はジャガーと、金曜日の朝8時30分までは何も公表しないことで合意していた」

    「そして考えが変わったことを伝えた際、彼らは発表を止めることに同意していた」

    「その時点ではごく少数の人間しか事情を知らなかった。しかし彼らは最終的に発表を行うことを選んだようだ」

    ニューウェイは、移籍を考えた理由についても率直に認めた。

    「私が当初興味を持った理由のひとつは、ボビーと再び仕事をすることだった」

    「おそらくそれによって、通常なら選ばなかった方向へ進もうとしていたのだと思う」

    ジャガー内部の権力闘争への不安
    ニューウェイが最終的に移籍を取りやめた背景には、ジャガー内部の混乱もあった。

    当時のジャガーではレイホールとラウダの間で主導権争いが起きていた。

    ロン・デニスも、その状況をニューウェイに警告していた。

    結果的にその懸念は現実となる。

    レイホールは2001年シーズン終了前にチームを去ることになった。

    ニューウェイは後にこう記している。

    「私がジャガーに興味を持った最大の理由はボビーとの関係だった」

    「チーム代表とテクニカルディレクターの関係は極めて重要だ」

    「私は移籍して、フォードやジャガー内部の権力闘争の駒になるつもりはなかった」

    「それはあまりにも大きなキャリア上のリスクだった」

    残留後も消えなかった不満
    最終的にニューウェイはマクラーレン残留を選択した。

    マクラーレンはジャガーと同額の条件を提示し、将来的にはアメリカズカップなどF1以外のプロジェクトへ関与する自由も認めた。

    しかし関係が修復されたわけではなかった。

    2003年に完成したマクラーレン・テクノロジー・センターについて、ニューウェイは後に「無機質で距離感のある建物だった」と振り返っている。

    さらにロン・デニスとマーティン・ウィットマーシュが導入したマトリックス型の技術組織についても、自身の影響力を制限する試みだったと受け止めていた。

    結果としてニューウェイは、残りのマクラーレン時代を通じて組織への不満を抱え続けることになった。

    2001年の騒動が示した転換点
    この移籍騒動は単なる契約問題ではなかった。

    マクラーレンではロン・デニス体制への不満が表面化し、ジャガーではフォード主導の政治闘争が激化していた。

    エイドリアン・ニューウェイは最終的にマクラーレンへ残留したものの、チームとの関係は以前のようなものではなくなった。

    そして2005年、ニューウェイはついにマクラーレンを離れ、レッドブルへ移籍する。

    後にF1史を大きく変えることになるその決断の原点は、2001年夏のジャガー移籍騒動にあったと言えるだろう。