カテゴリー: ホンダF1

  • エイドリアン・ニューウェイの“ホンダF1救済策”は成功? FIAルール変更の舞台裏

    エイドリアン・ニューウェイの“ホンダF1救済策”は成功? FIAルール変更の舞台裏

    アストンマーティンのエイドリアン・ニューウェイが、ホンダの2026年F1パワーユニット開発を巡る状況に大きな影響を与えた可能性が浮上している。

    F1では2026年から新たなPUレギュレーションが導入されたが、ホンダは開幕前から深刻な課題を抱えていると伝えられていた。そんな中、FIAは5月に開発支援制度「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」を拡充し、新たな救済枠を設けた。

    ホンダ向けとも言われる新たな救済措置
    ADUOは2026年に導入された制度で、メーカー間の性能差が長期間固定化されることを防ぐことが目的だ。

    従来は基準エンジンから2%以上遅れているメーカー向けの支援枠と、4%以上遅れているメーカー向けのより大きな支援枠の2段階が用意されていた。

    しかしFIAは今月、この制度に新たなカテゴリーを追加。基準性能から10%以上遅れているメーカーに対して、さらに大きな開発支援を与えることを決定した。

    パドックでは、この措置は事実上ホンダを念頭に置いたものだとみられている。

    メルセデスが2026年型PUのベンチマークと考えられている一方、プレシーズン段階ではホンダが約80馬力以上遅れているとの推定もあった。

    今回の制度変更により、ホンダは開発予算上限が数百万ドル規模で引き上げられ、性能向上に向けた追加開発が可能になった。

    ニューウェイ発言がパドックで波紋
    こうした流れの背景として注目されているのが、ニューウェイが開幕戦オーストラリアGP前に行った異例の発言だ。

    ニューウェイは当時、アストンマーティンとホンダが直面している問題について非常に率直に語った。

    特にバッテリー不足については「恐ろしい」と表現し、さらにPU由来の振動が深刻で、ドライバーが長時間走行すると神経への影響が懸念されるレベルだと明かした。

    通常、こうした技術的な問題はチーム内部に留められることが多いため、パドック関係者の間では大きな話題となった。

    アストンマーティン内部でも「話し過ぎではないか」と受け止める声があったとされる。

    意図的な“危機アピール”だったのか
    一方でパドックでは別の見方も存在する。

    ニューウェイは当初のADUO制度だけではホンダの立て直しには不十分だと考えており、FIAや関係者に追加支援の必要性を認識させるため、あえて問題の深刻さを強調したのではないかという見方だ。

    実際、ニューウェイはメディア露出が極めて少ない人物として知られる。そのニューウェイが自ら詳細な問題点を語ったことで、ホンダの置かれた厳しい状況は一気にF1界全体へ共有された。

    結果としてFIAは新たな救済カテゴリーを創設し、ホンダは追加予算を獲得した。

    もちろんニューウェイの発言と制度変更の因果関係が公式に認められているわけではない。しかしパドックでは「ニューウェイが意図的に流れを作ったのではないか」という見方が広がっている。

    ホンダの逆襲はここから始まるか
    興味深いのは、ホンダがこれまで性能向上よりも信頼性対策を優先してきたとみられている点だ。

    今回の追加支援によって開発余力が生まれれば、本格的なパフォーマンス改善に着手できる可能性がある。

    かつてマクラーレンとの苦闘を経て、レッドブルとの黄金期を築いたホンダは、一度大きく出遅れた状況から巻き返した前例を持つ。

    2026年の苦戦が一時的なものに終わるのか。それともアストンマーティンとの新プロジェクトが長期的な苦戦に陥るのか。ニューウェイの“マスタープラン”が真価を発揮するかどうかは、今後数カ月の開発成果によって明らかになりそうだ。

    Source: F1 OVERSTEER

  • アロンソがスペインDAZNを“出禁”に? アストンマーティンF1批判巡り関係悪化

    アロンソがスペインDAZNを“出禁”に? アストンマーティンF1批判巡り関係悪化

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)とスペインの公式F1放送局DAZNとの関係が悪化していると、スペイン国内で報じられている。

    発端となったのは、マイアミGP期間中およびその後にDAZNのF1中継チームが行ったアストンマーティンに関する発言だ。スペイン人ジャーナリストのルベン・カナレスによると、アロンソ陣営はDAZNによる取材やガレージへのアクセスを制限する措置を取ったとされている。

    問題視されたホンダPUとアストンマーティン批判
    報道によると、アロンソ陣営が不満を抱いた理由は大きく2つある。

    ひとつは、DAZNのF1解説者アントニオ・ロバトがマイアミGP期間中に、アストンマーティンとホンダのパワーユニットに振動問題があると報じたことだ。

    しかしアロンソ側は、その問題はすでに解決済みだったと認識しており、不要な憶測を広げたとして快く思わなかったとされる。

    さらに問題となったのが、マイアミGP後にロバトが行ったインタビューだ。

    その中でロバトは、2026年のアストンマーティンの苦戦について「F1史上最大級の失敗」と評したとされる。また、その状況をマクラーレンとホンダが苦戦した過去の提携と比較しながら、アロンソはチーム選択の判断を誤る傾向があるとの趣旨の発言を行ったという。

    アロンソが具体的にどの発言を問題視したのかは明らかになっていないが、こうした一連のコメントが関係悪化の引き金になったとみられている。

    長年の盟友ロバトとの関係にも亀裂か
    アントニオ・ロバトは長年にわたりアロンソを取材してきたジャーナリストとして知られ、スペイン国内では両者の関係は極めて良好と見られてきた。

    そのため、今回の報道が事実であれば、単なるメディア対応の問題ではなく、長年続いた信頼関係に亀裂が生じた可能性もある。

    現時点では、この措置がカナダGP限定だったのか、それとも今後も継続されるのかは不明だ。

    アロンソ自身もカナダGP後に不満を吐露
    こうした騒動の一方で、アロンソ自身もカナダGPでの競争力不足に強い不満を示していた。

    19番手スタートからオープニングラップで10番手まで浮上したものの、その後は徐々に後退。最終的にはシートトラブルによってリタイアを喫した。

    「リタイアそのものよりもフラストレーションが溜まったのはペースだ」とアロンソは語った。

    「スタートは良かった。でもその後は徐々に後退し、結局は本来のポジションに戻ってしまった。あの好スタートを維持できるだけのペースがなかった」

    「それでも楽しかった。スタートでいくつか順位を上げられたしね。ポイント圏外にいるときは、他のドライバーより少しリスクを取ることもできる」

    アストンマーティンは2026年シーズン序盤から深刻なパフォーマンス不足に苦しんでおり、アロンソの苛立ちはチーム内部だけでなく、スペイン国内メディアとの関係にも影響を及ぼし始めているのかもしれない。

  • ランス・ストロールがアストンマーティンF1を食事に招待 母国GPの伝統を継続

    ランス・ストロールがアストンマーティンF1を食事に招待 母国GPの伝統を継続

    ランス・ストロール(アストンマーティン)は、母国レースとなった2026年F1カナダGPで厳しい週末を過ごしたにもかかわらず、チームの恒例行事を欠かさなかった。

    モントリオールのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで行われたカナダGPで、ストロールは15位に終わり、優勝したキミ・アントネッリから4周遅れという苦しい結果となった。アストンマーティンにとっても低迷が続くシーズンとなっており、ホームレースでの巻き返しは果たせなかった。

    幼少期から親しんだ店でチームをもてなす恒例行事
    それでもストロールは、毎年カナダGPの際に続けているチームとの食事会を今年も実施した。

    訪れたのはモントリオールの老舗デリ「レスターズ・デリ」。ストロールが子供の頃から通っていたお気に入りの店として知られている。

    アストンマーティンはSNSでチームの集合写真を公開し、次のように紹介した。

    「ホームレースウイークの伝統だ」

    「毎年カナダGPでは、ランスがチームを自身の思い出の場所であるレスターズ・デリに招待し、モントリオール最高のスモークミートサンドイッチを味わってもらっている。今年も例外ではなかった」

    チームの成績が低迷する中でも、ストロールはチームメンバーとの結束を深める恒例イベントを継続した形だ。


    深刻な不振が続くアストンマーティン
    2026年シーズンのアストンマーティンは極めて厳しい状況に置かれている。

    ホンダ製パワーユニットは出力不足や振動の問題に苦しんでおり、信頼性面でも課題を抱えている。ストロール自身もカナダGPを完走したものの、今季フルディスタンスの決勝レースを完走したのはわずか2回目だった。

    チームは開幕から5戦連続で無得点に終わっており、コンストラクターズランキングでは最下位に沈んでいる。

    巨額投資の成果が問われる局面
    オーナーのローレンス・ストロールは近年、フェルナンド・アロンソ、エイドリアン・ニューウェイ、エンリコ・カルディレといったトップ人材を招聘し、最新設備を備えた新ファクトリーへの投資も進めてきた。

    将来的にはタイトル争いを目指す構想を掲げているが、現在の競争力を見る限り、その目標達成には大幅な改善が必要な状況だ。

    カナダGPでの食事会はチームの結束を示す温かいエピソードだった一方で、アストンマーティンには結果という形で浮上の兆しを示すことが求められている。ホームレースを終えた今、チームは苦境からの脱出に向けて正念場を迎えている。

  • ホンダF1を知るトストが太鼓判「遅くとも2027年までに問題を解決する」

    ホンダF1を知るトストが太鼓判「遅くとも2027年までに問題を解決する」

    ホンダの2026年F1プロジェクトは厳しいスタートとなった。しかし、かつて同社がどん底から頂点へ這い上がる過程を見届けたフランツ・トストは、その復活を疑っていない。

    マクラーレンとの苦闘、トロロッソでの再建、そしてレッドブルとの世界制覇。ホンダの歩みを間近で見てきた元トロロッソ代表は、「遅くとも2027年までに問題を解決する」と断言した。

    苦境から頂点へ駆け上がったホンダ
    現在の苦戦だけを見れば、ホンダの新プロジェクトに厳しい視線が向けられるのも無理はない。

    だが、ホンダは過去にも同じような逆風を経験している。

    2015年にマクラーレンとのワークス体制でF1へ復帰したホンダは、深刻な信頼性不足とパフォーマンス不足に苦しんだ。パドックでは厳しい批判を浴び、F1参戦そのものを疑問視する声も少なくなかった。

    それでもホンダは開発を止めなかった。

    改善を重ねた末に転機となったのが、2018年から始まったトロロッソとの提携だった。

    トロロッソ時代に見せた改善力
    当時チームを率いていたのがフランツ・トストである。

    トロロッソはホンダにとって実戦開発の重要な拠点となり、レースを重ねるごとにパワーユニットは競争力を高めていった。

    トストはその過程で、ホンダが問題に直面した際の姿勢を目の当たりにしている。

    課題が見つかれば原因を徹底的に分析し、改良を積み重ねる。その積み重ねが、後の成功につながった。

    レッドブルとの成功が証明したもの
    2019年からホンダはレッドブルとの提携を開始した。

    当初はトップ争いが可能かどうか疑問視する声もあったが、ホンダは着実に性能を向上させていく。

    やがてマックス・フェルスタッペンのタイトル獲得を支えるパワーユニットへと成長し、世界選手権の頂点に立つまでになった。

    トストは、その変化を最も近くで見てきた関係者の一人だった。

    「私は日本人を知っている」
    だからこそ、現在の状況についても悲観していない。

    トストは、現在のホンダ製パワーユニットが期待されたレベルに達していないことを認めながらも、問題解決は時間の問題だと考えている。

    「彼らは期待していたようには機能していないパワーユニットを作ってしまった。しかし私は日本人を知っている。遅くとも来年には問題を解決すると確信している」

    この言葉の背景には、ホンダの技術力だけでなく組織としての粘り強さへの信頼がある。

    ホンダの歴史が支える2027年への期待
    ホンダのF1活動は、常に順風満帆だったわけではない。

    しかし過去には、厳しい批判を受けながらも改善を続け、最終的に世界王者へと上り詰めた実績がある。

    トストが「遅くとも2027年までに問題を解決する」と語るのは、その歴史を知っているからだ。

    現在の苦戦はホンダにとって新たな試練かもしれない。しかしトストの見方では、それはかつて乗り越えてきた困難の延長線上にある。

    ホンダが再び競争力を取り戻せるのか。その答えを知るにはまだ時間が必要だが、少なくともトストは過去の経験から、その復活を強く信じている。

  • ジェンソン・バトンが語るF1モナコGPの魅力「街全体が勝利を祝ってくれる」

    ジェンソン・バトンが語るF1モナコGPの魅力「街全体が勝利を祝ってくれる」

    ジェンソン・バトンは、F1キャリアを通じて長年暮らしたモナコについて、単なる華やかな街ではなく、レーシングドライバーにとって理想的な拠点だったと振り返った。

    2009年のF1モナコGPを制したバトンは、モナコでの勝利を「興奮、アドレナリン、安堵が一度に押し寄せる瞬間」と表現し、フェルナンド・アロンソが今後インディ500に再挑戦すれば、モータースポーツのトリプルクラウン達成の可能性があるとも語った。

    モナコはレーシングドライバーにとって理想的な生活拠点
    ジェンソン・バトンは、モナコにはヨット、華やかさ、ナイトライフという一般的なイメージがある一方で、実際に暮らすとまったく違う側面も見えてくると語る。

    「モナコはいつも、自分にとって小さな別世界のように感じられた」

    「レーシングドライバーにとって、そこは生活の一部になる。F1キャリアを通じて何年もそこに住んでいたけど、モナコを特別にしているのは華やかさ以上に、レーシングドライバーの拠点として本当に素晴らしい場所だということだ」

    フランスとイタリアがすぐ近くにあり、海沿いから山道、イタリア国境付近のカフェまで簡単に移動できる環境は、ドライバーやアスリートにとって理想的だったという。

    バトンは、モナコ在住時代に多くのスポーツ選手やF1のライバルたちと顔を合わせ、一緒にサイクリングすることもあったと振り返る。

    モナコGPは「ミスがまったく許されない」特別な一戦
    バトンにとって、モナコGPは他のどのグランプリとも違う存在だった。

    「F1での勝利はすべて意味がある。でもモナコには、歴史があるからこその特別な重みがある。これまで何人もの偉大なドライバーがここで勝ってきたことを考える」

    「そして、ミスの余地がまったくないことにすぐ気づく」

    予選が週末全体を決めるほど重要である一方、決勝も精神的には極めて厳しい。バトンは、周回を重ねるごとにバリアが近づき、コースが狭くなっていくように感じると表現した。

    「半秒たりともリラックスする機会はない。特に勝利のチャンスがあると分かっているときはなおさらだ」

    2009年の勝利と“スーパーマンデー”
    2009年にモナコGPを制したバトンは、チェッカーを最初に受けた瞬間について、興奮と安堵が同時に訪れるものだったと振り返る。

    「モナコを特別にしているのは、街全体が一緒に祝ってくれることだ」

    「バルコニーの人々、ピットウォールから身を乗り出すメカニック、港のヨットにいるファン、どこを見ても満員のグランドスタンド。公国全体が表彰台の祝福の一部になるように感じる」

    バトンは、2009年の勝利翌日を「スーパーマンデー」と呼び、月曜の正午から深夜、あるいは翌朝早くまで祝ったと明かした。

    トリプルクラウンはアロンソに可能性
    モナコGPは、ル・マン24時間レース、インディ500と並ぶモータースポーツのトリプルクラウンの一角を成す。

    バトン自身はモナコを制しているが、3つすべてを獲得する未来は想像していないという。ル・マンには挑戦したものの勝利には届かず、インディ500については強い敬意を示しながらも「自分向きではない」と語った。

    一方で、フェルナンド・アロンソについては、トリプルクラウン達成に最も近い存在だと見ている。

    「フェルナンドはおそらく、誰よりもトリプルクラウンを達成するチャンスがある。彼はすでにモナコとル・マンで勝っていて、インディでもリードしたことがある。もしもう一度挑戦したいなら、間違いなくチャンスはある」

    初めてのモナコGPで起きたヘアピンの接触
    バトンは最後に、自身初のモナコGPにも触れた。初めてモナコを走ったのは、実はF1マシンでのレースだったという。

    その年、バトンはペドロ・デ・ラ・ロサとレース序盤にヘアピンで接触した。

    「今でも彼は、あれは自分のコーナーだったと言っている。でもヘアピンのアウト側から抜こうとするのは、うまくいくはずがなかった」

    バトンはその出来事を今では笑い話として振り返っており、デ・ラ・ロサについては今年後半の別の「Jenson’s Journal」で改めて登場すると予告した。

  • アストンマーティンF1 なぜアップデートなしで改善? アロンソが語る変化の正体

    アストンマーティンF1 なぜアップデートなしで改善? アロンソが語る変化の正体

    アストンマーティンは2026年シーズン序盤の大不振に苦しんでいるが、カナダGPではフェルナンド・アロンソが「マシンとの一体感が増した」と語るなど、明るい兆しも見え始めている。

    興味深いのは、その改善がマクラーレンやメルセデスのような大規模アップデートによるものではない点だ。FIA提出資料上ではAMR26に大きな変更はなく、それでもパフォーマンスは向上しているという。

    アップデートがなくても速くなる理由
    現在のF1では、新パーツ投入によるパフォーマンス向上が一般的だ。しかし実際には、既存パッケージの最適化だけでもラップタイムは改善できる。

    アストンマーティンの場合、シーズン開幕時のAMR26は深刻な振動問題を抱えていた。まずはその根本的な問題を解決する必要があり、新しい空力パーツを投入する前にマシン本来の性能を引き出す作業が優先された。

    その結果、見た目には同じマシンでも、オーストラリア開幕戦時のAMR26と現在のAMR26では実質的な完成度が異なっている。

    ホンダPUにも改善の兆し
    ホンダ側でも改善作業は続いている。

    HRCの現場責任者である折原伸太郎は、カナダGPについて次のように説明した。

    「カナダでは大きな問題は発生せず、PUの観点からはすべてスムーズに進んだ。我々はポジティブな兆候を確認しており、モナコで重要となるいくつかの要素も検証できている」

    ホンダは現在、ADUO(追加開発機会)の適用を待ちながら、エネルギーデプロイメントやドライバビリティの改善を進めている。カナダではそうした取り組みの成果が徐々に表れ始めたようだ。

    アロンソが感じた「つながり」
    最も分かりやすい変化を語ったのはフェルナンド・アロンソだった。

    カナダGP後、アロンソは次のように振り返った。

    「僕たちは以前より速くなった。マシンとの一体感も増している。セットアップ、バランス、エンジン、エネルギー配分、ギアボックスなど、すべてが改善された」

    アロンソが挙げた改善点は、いずれもアップデートリストに掲載されるような新パーツではない。しかしドライバーが直接感じる操作性や安定性に関わる重要な部分であり、結果的にラップタイム改善へつながっている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    夏以降に本格アップデートを投入
    一方でアストンマーティンは、現在の改善だけで満足しているわけではない。

    ランス・ストロールによると、シャシー側の大規模アップデートはスパ・フランコルシャン、もしくはその次のレースで投入される予定だという。

    ストロールは現状の課題について、

    「もっとダウンフォースとパワーが必要だ」

    と率直に語っている。

    そのアップデートにはエイドリアン・ニューウェイの影響も反映される見通しだ。ニューウェイは開幕戦以降サーキットには帯同しておらず、シルバーストンで2026年マシンの問題分析と将来計画に集中している。

    モナコが本当の試金石になる
    カナダではアロンソがスプリント予選でSQ2進出ペースを示し、決勝でも19番手スタートからポイント圏争いに加わるなど、従来より競争力を見せた。

    もちろんAMR26が突然トップ争いに加われるレベルまで改善したわけではない。しかし、振動問題の緩和、PUのドライバビリティ向上、セットアップ理解の進展によって、マシンは確実に扱いやすくなっている。

    そして低速コーナー中心のモナコGPは、その進歩が本物かどうかを測る格好の舞台となる。大規模アップデート投入前のアストンマーティンにとって、今週末は今後を占う重要なレースになりそうだ。

  • アストンマーティンF1低迷をトスト分析「健康次第だがニューウェイなら立て直せる」

    アストンマーティンF1低迷をトスト分析「健康次第だがニューウェイなら立て直せる」

    元F1チーム代表のフランツ・トストは、アストンマーティンがホンダとの新時代で苦戦している背景について、ホンダ製パワーユニットの問題、エイドリアン・ニューウェイの加入時期、そして健康面への懸念を含めて見解を示した。

    トストは『15 Love – Der Business podcast』で、アストンマーティンの2026年シーズン序盤が期待外れに終わっている理由について語り、まずホンダの新エンジンに厳しい評価を下した。

    ホンダの問題とニューウェイの“時間不足”を指摘
    「まず第一に、残念ながらホンダはこの新しいエンジンで混乱を招いた。彼らは、おそらく期待していたようには機能しないものを作ってしまった」とトストは語った。

    ただし、トストは日本メーカーが問題を解決できると見ている。

    「私は日本人を知っているし、遅くとも来年までには彼らが問題を解決すると確信している」

    トストはさらに、ニューウェイのアストンマーティン加入が遅かったことも要因に挙げた。

    「エイドリアン・ニューウェイはアストンマーティンに非常に遅く加わった。彼が始めたのは昨年4月だけだったと思うし、これほど大規模なプロジェクトにとっては極めて短い期間だ」

    「まだ修正すべきことはたくさんある」

    ニューウェイ低調説と健康面への含み
    この発言が注目されるのは、ニューウェイがチーム内で急に表舞台に出なくなったことや、健康面への懸念をめぐる噂が出ているためだ。

    「健康が許すなら、彼は2027年に向けてまともなマシンをまとめ上げることができると思う」とトストはコメント。

    「実際、私はかなりそう確信している」

    アストンマーティンにとって2026年は、新しいホンダ時代の出発点でありながら、信頼性やドライバビリティ、パフォーマンスの面で厳しいスタートとなっている。トストの見方では、その立て直しにはホンダ側の改善だけでなく、ニューウェイが十分な時間と状態を確保できるかも重要な条件になる。

    アントネッリを「新世代のスーパースター」と評価
    一方でトストは、メルセデスの選手権リーダーであるキミ・アントネッリを、F1で最も際立つ新星として挙げた。

    「マックス・フェルスタッペンは現在、明らかにF1で最高のドライバーだ。それは疑いない」

    「だが、キミ・アントネッリはセンセーショナルな仕事をしていると言わなければならない。本当に印象的だ」

    トストは、19歳のアントネッリがチームメイトのジョージ・ラッセルを上回っていることにも驚きを隠さなかった。

    「アントネッリが現在、ラッセルをこれほど明確にコントロールしていることには驚いている」

    「彼の方が速い。ここまでとは予想していなかった」

    現在もレッドブルで非常勤コンサルタントを務めるトストは、アントネッリの成熟度を高く評価した。

    「アントネッリは、この経験値で最初の数レースにおいてセンセーショナルなパフォーマンスを見せている」

    「彼が見せる落ち着き、視野の広さ――彼はすでに新世代のスーパースターの一人に入っている」

    トストはまた、メルセデス代表で同じオーストリア出身のトト・ヴォルフが、アントネッリにとって理想的な指導者だと見ている。

    「重要なのは、天狗にならないことだ」

    「トトという優れたチーム代表でありリーダーがいる。彼は正しく導いてくれるだろう」

  • フェルナンド・アロンソの1周目は別格 苦戦アストンマーティンF1でも“王者の走り”

    フェルナンド・アロンソの1周目は別格 苦戦アストンマーティンF1でも“王者の走り”

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、苦戦が続く2026年型「AMR26」で依然として圧巻のレースクラフトを披露している。

    エイドリアン・ニューウェイ加入で期待を集めたアストンマーティンだが、2026年シーズン序盤は厳しい状況が続いている。ホンダ製パワーユニット由来の激しい振動問題にも悩まされ、アロンソとランス・ストロールの両ドライバーはマシンの扱いに苦戦してきた。

    それでもアロンソは、決勝スタート直後のオープニングラップで何度も驚異的な追い上げを見せている。

    “驚異的”な1周目の追い上げ
    2026年F1オーストラリアGPでは17番手スタートから、1周終了時点で10番手まで浮上。Sky Sports F1のマーティン・ブランドルは、このスタートを「驚異的」と評した。

    続く中国GPでも、アロンソは18番手から9番手までジャンプアップ。その後10番手へ後退したものの、序盤のオーバーテイク能力は際立っていた。

    さらに前戦カナダGPでも、19番手スタートからオープニングラップだけで15番手へ浮上。しかしその後、シートトラブルによりリタイアを余儀なくされた。

    対照的に、アルピーヌのフランコ・コラピントはオーストラリアGPでアロンソの1つ前からスタートしながら、1周目で順位を上げることはできなかった。

    中国GPでも、カルロス・サインツは17番手から12番手、ランス・ストロールは20番手から16番手まで順位を上げたが、アロンソの追い上げ幅は際立っていた。

    ペドロ・デ・ラ・ロサ「存在しない隙間を見つける」
    アストンマーティンのアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、カナダGP後にアロンソの走りを絶賛した。

    「彼はクルマを抜き、存在しないような隙間に飛び込んでいく」

    「いつものように、多くの面で制限のあるクルマから最大限を引き出している。特に序盤のコーナーでは最高速よりも、駆け引きやタイヤのウォームアップ、そして隙間を見つける能力が重要になる」

    「そして彼は、それをまるでチャンピオンのようにやってのける」

    デ・ラ・ロサは、アロンソが遅いマシンでリスクを負いながら戦っている点にも言及した。

    「17番手からスタートして順位を回復し、より速いクルマと戦いながらも諦めない。追い抜いても、また抜き返されると分かっている状況なんだ」

    「オーバーテイク自体が難しいのに、遅いクルマで抜くのはさらに難しい」

    「現在のクルマ、そして我々が抱える制限の中で、フェルナンドがこれをやっているのは本当に驚異的だ」

    苦戦するAMR26でも際立つ“王者の技術”
    2026年型AMR26は、振動問題やストレートスピード不足など、多くの弱点を抱えている。デ・ラ・ロサによれば、アロンソのマシンはストレートでライバルより「20km/h遅い」という。

    それでもアロンソは、スタート直後の混乱を読み切る判断力、タイヤを瞬時に機能させる技術、そして接触寸前のスペースへ飛び込む勇気で順位を押し上げ続けている。

    アストンマーティンのパフォーマンス改善には時間が必要とみられるが、44歳となった現在でも、アロンソのレース巧者ぶりは衰えを見せていない。

  • ランス・ストロール アストンマーティンF1で屈辱「完走は父とメカニックのため」

    ランス・ストロール アストンマーティンF1で屈辱「完走は父とメカニックのため」

    ランス・ストロール(アストンマーティン)は、2026年F1カナダGPで屈辱的とも言えるレースを強いられた。ホームレースで完走は果たしたものの、優勝したキミ・アントネッリから4周遅れ。14位のエステバン・オコン(ハースF1チーム)にも2周差をつけられる厳しい内容となった。

    アストンマーティンは依然として「進歩はしている」と主張しているが、実際の競争力不足は深刻だ。フェルナンド・アロンソはコクピット姿勢の問題によってリタイアし、ランス・ストロールも終始ペース不足に苦しんだ。

    そうした状況の中で飛び出した無線メッセージは、現在のチーム状態を象徴するものとなった。

    「完走したのはメカニックとローレンスのため」
    レース中、ランス・ストロールは無線で率直な苛立ちを口にした。

    「レースを完走するのはメカニックのためだ。それだけだ」とランス・ストロールは語った。

    これに対し、レースエンジニアのゲイリー・ギャノンは「完全に理解できるよ、ランス。本当に理解できる」と応じた。

    その後、数秒の沈黙を挟んでストロールは再び無線を開いた。

    「そしてローレンスのためだ。メカニックとローレンスのために完走する。それだけだ」

    ローレンス・ストロールは、アストンマーティンF1チームのエグゼクティブ会長であり、チームの実質的オーナーでもある。莫大な投資を続け、最新設備やエイドリアン・ニューウェイ獲得など大型プロジェクトを推進してきたが、現状のAMR26は下位グループを這うような状況に陥っている。

    今回の無線は、単なる苛立ちというより、ドライバー自身が現在の戦力に限界を感じていることを示す発言として受け止められている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26への不満は限界に近づく
    ランス・ストロールは以前の中国GPでも、AMR26について「今まで乗った中で最悪のマシン」と発言していた。

    そしてカナダGP後も、問題点を隠そうとはしなかった。

    「厳しい週末だった。タイヤを適正温度に入れられず、レースを通してグリップ不足に苦しんだ」とランス・ストロールは振り返った。

    「ストレートでも必要なペースがなかった。マシンのパフォーマンスは我々が必要としているレベルにはなく、そこへ到達するにはまだ多くの作業が必要だ」

    フェルナンド・アロンソは予選やスタート局面で時折速さを見せているが、それでもポイント争いには届いていない。一方でランス・ストロールはマシンからポジティブな要素を引き出せず、苦戦がさらに深刻化している。

    アップデート待ちの“耐える期間”は続く
    さらに厳しいのは、アストンマーティンの大規模アップデートが早くても7月まで投入されない見込みであることだ。

    つまりチームは、少なくとも今後4戦程度を現在の仕様で戦わなければならない可能性が高い。

    2026年F1レギュレーション初年度において、アストンマーティンはホンダ製パワーユニットとの新体制で大きな期待を集めていた。しかし現時点では、信頼性、バランス、タイヤウインドウ、空力効率など複数の領域で問題を抱えている状況だ。

    ホームGPで飛び出したランス・ストロールの無線は、単なる感情的な一言ではなく、チーム内部に漂う閉塞感そのものを映し出しているようにも見える。

  • アストンマーティン・ホンダF1 “3秒差”脱却へ前進もアロンソ「PUと空力が必要」

    アストンマーティン・ホンダF1 “3秒差”脱却へ前進もアロンソ「PUと空力が必要」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、2026年F1カナダGP週末を通してチームに進歩が見られたことを認めつつも、現在の3秒近いパフォーマンス不足を根本的に解決するには、ホンダのパワーユニットと空力パッケージの大規模な改善が不可欠だと語った。

    アストンマーティンはシーズン開幕前のテストで深刻な走行不足に苦しみ、ホンダ製パワーユニットの振動問題にも直面した。

    しかし、マイアミGP以降は信頼性が改善され、チームはようやく“通常の開発サイクル”を回せる状態になりつつある。

    走るたびに改善するAMR26
    スペイン紙『AS』によると、アストンマーティンはシーズン序盤から徐々に予選ペースを改善している。

    Q1基準では、オーストラリアGPでトップのメルセデス勢から3.10%遅れていたが、中国GPでは2.7%まで縮小。その後、日本GPでは再び3.0%まで悪化したものの、マイアミGPでは2.7%、カナダGPでは今季最少となる2.4%差まで改善した。

    ただし、その背景には膨大な走行不足がある。

    ホンダはプレシーズンテストをわずか2111kmで終えた一方、メルセデスは6193kmを走破。メルセデスPU勢全体では2万1515kmにも達していた。

    開幕後もホンダ勢は振動問題に悩まされ、アストンマーティンはようやく他チームがバルセロナやバーレーンテストで経験していた開発工程を、実戦の中で消化している段階にあるという。

    ホンダが取り組む“ドライバビリティ改善”
    カナダGP週末では“ドライバビリティ”改善も大きなテーマとなった。

    これは単なるセットアップ変更ではなく、ドライバーが扱いやすい特性を実現するためのエンジン側制御も含めた総合的な調整を指す。

    ホンダのトラックサイド責任者を務める折原伸太郎は次のように説明した。

    「エンジン側のデータ調整です。キャリブレーション、点火タイミング、ラムダ(空燃比制御)のセットアップ、噴射タイミングなど、ドライバビリティを制御するために多くのパラメータがあります」

    さらに折原伸太郎は、現在も改善方向を模索していると明かした。

    「ドライバーが求める特性と、我々のトルク供給との間にはまだギャップがあります。ただ、改善の方向性は見えてきています」

    一方、アストンマーティンのマイク・クラックは、シャシー側で小さな前進があると認めた。

    「データ上では小さな前進がある。ただ、ドライバーたちは大きな改善を求めている。彼らは可能な限り遅くブレーキングし、可能な限り素早くシフトチェンジしたいんだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソ「3秒差は空力とPUでしか埋まらない」
    フェルナンド・アロンソ自身も、走行を重ねるごとに改善があることを認めた。

    「走るたびに進歩がある。マシン、エンジン、セットアップ、ギアボックス……毎回何か新しいものがあるし、それがラップタイムにつながっている」

    「カナダでは、マシンを変えていないのにマイアミより速かった。いくつか細かい部分を煮詰めたからだ。小さな改善はこれからも積み重なっていくと思う」

    その一方で、アロンソは現在のパフォーマンス不足が“小手先”では解決しないと強調した。

    「ただ、3秒足りないという根本的な問題は、エンジン性能とシーズン後半に投入される空力パッケージによってしか解決できない」

    ニューウェイ主導の“大型アップデート”へ
    現在のAMR26は、空力面でも大きな弱点を抱えているとみられている。

    アストンマーティンでは、エイドリアン・ニューウェイを中心とした技術陣が大規模アップデート計画を進行中で、チーム内部では“Bスペック”とも呼ばれる改良型マシン投入が夏休み明け頃に予定されているという。

    ホンダ側も、FIAによるADUO(性能不足救済措置)の承認を前提とした内燃エンジン改良型を準備中で、折原伸太郎によると「夏休み頃」を目標にしている。

    それまでは厳しい戦いが続く可能性が高い。それでも、アストンマーティンとホンダは、現在のパッケージから少しでもパフォーマンスを引き出そうとしている。

    チームに残された選択肢は、“諦める”ことではない。