カテゴリー: ホンダF1

  • アストンマーティンF1 アロンソのシート問題を修正「快適性へ小さな前進」

    アストンマーティンF1 アロンソのシート問題を修正「快適性へ小さな前進」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、F1カナダGP決勝をわずか23周でリタイアした。原因はマシンのシートに起因する不快感で、周回を重ねるごとに痛みが増し、走行継続が困難になった。

    アストンマーティンは今週末のF1モナコGPに向けて対応を進めており、チームのチーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックは、アロンソとともに火曜朝から作業を行い、複数の仕様を試したことを明かした。

    カナダGPで再発したシート問題
    アロンソはジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでの決勝を23周で終えた。雨の可能性はなく、入賞の現実的な見込みも薄れていたなか、スペイン人ドライバーはシートポジションの違和感に苦しんでいた。

    この問題はモントリオールのスプリントでも発生していた。ただし、スプリント予選でのクラッシュが原因だったのかどうかは明らかになっていない。

    アロンソはシートの位置が正しく感じられず、周回を重ねるごとに「ますます不快になっていった」と説明していた。

    クラック「火曜朝からフェルナンドと作業した」
    アロンソはモナコGPに向けて、チームが新しいシートを用意することを期待していた。その現状について問われたクラックは、RacingNews365を含むメディアに対し、作業がすでに進められていると説明した。

    「我々は火曜朝からフェルナンドとここにいて、火曜日には多くの作業を行った。多くのバリエーションを試した」とマイク・クラックはコメント。

    「今は、実際に走ることが本当のテストになる。静的には確認できるが、常に同じというわけではない。ただ、正しい方向に本当に小さな一歩を踏み出せたと思う」

    「彼は、これが改善になるだろうとやや自信を持っていた。ただ、セッションを通じて本当に快適にするために、もう一度微調整が必要になっても驚きはない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム フェルナンド・アロンソ

    シート角度だけでは済まない複雑な調整
    クラックは、この問題が単にシート角度だけの話ではないと強調した。ドライバーの着座位置を変えれば、ペダル位置やステアリングとの距離、レギュレーション上の高さなど、周辺要素も連動して確認する必要がある。

    「ひとつだけを変えることはできない。なぜなら、そうするとペダルを変える必要があり、レギュレーション上の高さや、こうしたあらゆるもの、ステアリングホイールとの距離も確認しなければならない」

    「だから、決して単一の問題ではない。変更はひとまとまりのセットになる。実際に走っていない状態では、それが少し複雑になる」

    アストンマーティンにとって、モナコGPの走行開始後にアロンソがどこまで快適性を取り戻せるかが最初の確認点となる。静的な調整で改善の方向性は見えたものの、実走行での負荷や振動、ステアリング操作を経て、さらに細かな修正が必要になる可能性は残されている。

  • アストンマーティンF1 ニューウェイがモナコGPで現場復帰「彼を見ることになる」

    アストンマーティンF1 ニューウェイがモナコGPで現場復帰「彼を見ることになる」

    アストンマーティンのチーム代表を務めるエイドリアン・ニューウェイが、今週末の2026年F1モナコGPでチームの現場業務に復帰する見通しとなった。

    ニューウェイは2026年F1シーズン開幕戦オーストラリアGP以降、レースの現場に姿を見せていなかった。先月には、体調不良により入院した後、自宅で療養していると報じられていた。

    クラック「今週末に彼を見ることになると思う」
    アストンマーティンの元チーム代表で、現在はチーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックは木曜日、PlanetF1.comを含むメディアに対し、ニューウェイが3か月ぶりにレース現場へ戻る可能性を示した。

    ニューウェイが次にいつ現場に現れるのかを問われたクラックは、「見ればわかる」と語った。

    「今週末に彼を見ることになると思う。だから良いことだ。彼はここでも多くの経験を持っている」

    「ここでは多くのレース勝利がある。だから我々を前進させる助言をひとつ、あるいはふたつ得られることは確かだと思う。楽しみにしている」

    ニューウェイは木曜夕方にモナコ入りする予定で、今季後半にも複数のイベントに出席する見込みだという。

    全戦帯同ではなく価値を発揮できる場を選択
    ニューウェイは2026年F1シーズンの全レースに帯同する予定ではないことが、3月の時点で明らかになっていた。

    そのスケジュールは、前任のアンディ・コーウェルと同様に、年間10〜14戦程度の出席になるとみられている。

    ニューウェイがどのレースに出席するかは、自身がチームに最も大きな価値をもたらせる場所かどうかによって決まると考えられている。

    PlanetF1.comは3月、ニューウェイがいずれアストンマーティンのチーム代表職を退く見込みであり、昨年11月の就任以降、長期的な後任探しを主導してきたと報じていた。

    後任候補としては、レッドブル時代にニューウェイと仕事をしたジョナサン・ウィートリーが有力視されていた。その後、アウディF1チームは48時間以内にウィートリーの退任を発表している。

    ニューウェイはオーストラリアで、チーム代表の役割が設計・開発面の本来の職務から「少し」注意をそらすものになっていると語っていた。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム エイドリアン・ニューウェイ

    ホンダの振動問題解消で小さな前進
    アストンマーティンは今季序盤、新型ホンダエンジンに起因する深刻な振動問題により、AMR26のパフォーマンスが制限される苦しいスタートを切った。

    しかし、ホンダが複数の対策を導入したことで振動問題は解消され、アストンマーティンは直近3戦で少なくとも1台が完走を果たしている。

    モナコはニューウェイが昨年、レッドブルからの注目移籍を完了させた後、アストンマーティンの一員として初めて現場に姿を見せた場所でもある。低速コーナー、縁石、路面変化への対応が問われる市街地コースで、ニューウェイの復帰はチームにとって技術面でも象徴面でも重要な週末となる。

  • エイドリアン・ニューウェイ F1モナコGPで復帰か アストンマーティンは忍耐強調

    エイドリアン・ニューウェイ F1モナコGPで復帰か アストンマーティンは忍耐強調

    アストンマーティンのアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、低迷する2026年シーズンの現状について「忍耐が必要だ」と強調し、エイドリアン・ニューウェイの存在が将来の成功につながるとの見方を示した。

    2026年シーズンのアストンマーティンは、ホンダ製パワーユニットのパフォーマンス不足やシャシー開発の遅れなどに苦しみ、厳しいスタートを切っている。

    その中で、今年チームに加わったエイドリアン・ニューウェイの姿がパドックでほとんど見られないことから、その役割や健康状態を巡る憶測も広がっている。

    スペインの報道によると、ニューウェイは今週末のF1モナコGPでアストンマーティンのガレージに姿を見せる見通しだという。ただしチームは現時点で正式な発表を行っていない。

    アストンマーティンには“我々のガウディ”がいる
    バルセロナGPのプロモーションイベントに出席したペドロ・デ・ラ・ロサは、バルセロナを象徴するサグラダ・ファミリアを引き合いに出しながら、ニューウェイを世界的建築家アントニ・ガウディになぞらえた。

    「厳しいグランプリになるだろう。シーズンがどのように始まったかは皆さんも見ていると思う。しかし我々の背後には大きな投資がある」とデ・ラ・ロサは語った。

    「今日ここに座って、このガウディによる素晴らしい建築物を見ていて思ったんだ。世界最高かどうかはともかく、間違いなく革新的な建築家だった」

    「そして我々にも“ガウディ”がいる。それがエイドリアン・ニューウェイだ」

    結果が出るまでには時間が必要
    デ・ラ・ロサは、アストンマーティンの大規模プロジェクトが成果を上げるまでには時間がかかると説明した。

    「複雑な時期になると思う。しかし我々には将来に向けた素晴らしいプロジェクトがある」

    「チームというものは人でできている。我々には非常に優秀な人材と素晴らしい設備がある。今必要なのは少しの忍耐だけだ」

    「夏の間に少しずつ我々のポテンシャルを示し始めることになるだろう」

    この発言は、元トロロッソ代表のフランツ・トストが最近、「健康状態が許すなら、ニューウェイの指揮の下でアストンマーティンは成功できる」と語ったこともあり、チームの将来に対する関心が高まる中で飛び出したものだ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソの引退はまだ先?
    デ・ラ・ロサは、44歳となったフェルナンド・アロンソの将来についても言及し、現時点で引退を語るのは時期尚早だと主張した。

    「彼にはまだ多くのレースが残っている。引退しないことを願っている」

    そして、アロンソの考えがいかに変わりやすいかを示すエピソードも明かした。

    「2024年シーズン開幕前、彼は私に『引退するつもりだ』と言ったんだ」

    その言葉を信じたデ・ラ・ロサは、アロンソ最後のシーズンになると考え、全レースに帯同する計画を立てたという。

    しかし数戦後、アロンソの考えは変わった。

    「中国だったと思う。フェルナンドが私を脇に呼んで『あと2年契約を延長するつもりだ』と言ったんだ」

    「私は『2年も? 今年で引退するんじゃなかったのか?』と聞いた」

    「すると彼は『いやいや、あと2年やりたいんだ』と答えた」

    アストンマーティンの未来を左右する存在
    アストンマーティンは2026年からホンダとのワークス体制を開始し、さらにエイドリアン・ニューウェイというF1史上屈指の設計者を迎え入れた。しかし開幕から5戦を終えた段階では、その効果はまだ結果として表れていない。

    それでもチーム内部では悲観論は強くなく、デ・ラ・ロサの発言からは「時間さえ与えられれば巻き返せる」という確信がうかがえる。

    モナコでニューウェイが本当に現場復帰を果たすことになれば、低迷するアストンマーティンにとって象徴的な一歩となるかもしれない。そしてその先には、ホンダとの本格的な開発体制が動き出す2027年以降の大きな飛躍が見据えられている。

  • ホンダF1がアストンマーティン向けPU改善へ 夏休み前後にアップグレード投入

    ホンダF1がアストンマーティン向けPU改善へ 夏休み前後にアップグレード投入

    ホンダF1は、アストンマーティン向けパワーユニットの性能向上に向けた開発を進めており、夏季シャットダウン前後を目標にアップグレード投入を計画している。開幕当初に発生した振動由来の信頼性問題への対応が進んだことで、現在はパフォーマンス向上へと開発の重点を移しつつある。

    その第一歩として、今週末のモナコGPではドライバビリティ改善を投入する見込みだ。ホンダは燃焼効率向上やフリクション低減にも取り組んでおり、シーズン後半戦に向けて戦闘力強化を目指している。

    モナコGPで重要となるドライバビリティ改善
    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、モナコGPに向けてドライバビリティ改善を最優先課題としていることを明かした。

    「モナコではドライバビリティが非常に重要です」

    「ポジティブな点として、我々はドライバビリティを改善する方法を見つけました」

    「HRC Sakuraの開発拠点でモナコまでに改善を進める予定です。それが我々の主な目標です」

    ドライバビリティ改善は単一の要素ではなく、エンジン制御全体の最適化によるものだという。

    「例えばデータ設定やキャリブレーションです」

    「点火時期やラムダ値(空燃比)、噴射タイミングなどです。ドライバビリティを制御するためのパラメータは数多くあります」

    さらにホンダは、モナコ専用のエネルギーマネジメント最適化に向けて、アストンマーティン・テクノロジーキャンパスでドライバー・イン・ザ・ループ(DiL)シミュレーターを活用した専用セッションも実施した。

    折原伸太郎は冷却面の課題についても説明した。

    「冷却面では、モナコの低速区間が課題になります」

    「クリーンエアでもトラフィックの中でもパワーユニットが適切に機能するよう、アストンマーティンやアラムコと協力して最適な冷却仕様を見つける必要があります」

    夏休み前後に本格アップグレードを計画
    短期的な改善とは別に、ホンダは本格的なエンジンアップグレード開発も進めている。

    その中心となるのは燃焼効率の向上とフリクション(摩擦損失)の低減だ。

    「我々は改善すべき点を把握しています」

    「例えば燃焼面では改善に向けたアイデアがあり、ダイノのデータでもポジティブな兆候が見えています」

    「また、性能向上のためにはフリクションを減らす必要があります。そのような課題リストを工場で管理しながら改善を続けています」

    アップグレード投入時期について折原伸太郎は、シーズン終盤ではなく夏休み前後を目標にしていると説明した。

    「エンジン開発は長期的な仕事ですが、シーズン終了間際にはなりません」

    「夏季シャットダウンの頃には改善が見られるでしょう。それが我々の目標です」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダ技研工業

    2027年開発への影響は限定的
    FIAは現在、2027年以降に向けて内燃機関と電力の出力比率を現行の50対50から60対40へ変更する案を検討している。しかし、ホンダは最終的な結論にかかわらず開発方針は変わらないとの考えを示している。

    「性能面では方向性は同じです」

    「60対40でも50対50でも関係ありません。我々は燃焼性能を改善する必要があります」

    「もし来年燃料流量が増えるのであれば追加のチューニングを行うだけです。しかし開発の方向性そのものは変わりません」

    一方で、信頼性面では課題が残る可能性を認めた。

    「燃料流量が増えた場合、信頼性の観点ではかなり難しくなるかもしれません。それが今回のレギュレーション変更で最も難しい部分です」

    ホンダF1が狙う“第二段階”の競争力向上
    開幕当初のホンダは、まず振動問題の解決にリソースを集中せざるを得なかった。そのため2026年シーズン前半はライバル勢に対して開発競争で後手に回っていた側面もある。

    しかし現在は信頼性対策が一定の成果を上げたことで、燃焼効率向上やフリクション低減といった本来の性能開発へ軸足を移しつつある。モナコGPで投入されるドライバビリティ改善はその第一歩であり、本命となる夏休み前後のアップグレードに向けた布石とも言える。

    アストンマーティンにとっては、シーズン後半戦に向けて戦闘力を引き上げる重要な局面となりそうだ。

  • アストンマーティンF1 モナコGPで変幻自在の特別カラー マーデンと共同企画

    アストンマーティンF1 モナコGPで変幻自在の特別カラー マーデンと共同企画

    アストンマーティンは2026年F1モナコGPで、プリンシパルパートナーであるマーデンとの共同プロジェクトとして、特別カラーリングを投入する。

    このプロジェクトは「From Rock to Racetrack(岩石からサーキットへ)」と名付けられ、鉱物資源が最先端技術へと変貌していく過程をマシンデザインで表現したものだ。

    単なるスポンサー施策ではなく、鉱業企業であるマーデンの事業そのものを可視化した試みであり、AMR26はモナコ市街地を走行しながら色彩を変化させる特殊な外観を備える。そこには、地中から採掘された鉱物が社会インフラや先端産業を支える素材へと生まれ変わる「変革」の物語が込められている。

    走行中に色が変化するモナコ限定カラーリング
    今回の最大の特徴は、特殊なカラーシフト素材を用いた虹色のラッピングだ。

    光の当たり方や見る角度によって色彩が変化し、マシンがコーナーへ進入した瞬間と立ち上がった瞬間でまったく異なる表情を見せる。

    この発想はアストンマーティンの限定ハイパーカー「ヴァラー」や「ヴァルハラ」に採用されている高級塗装「アンドロメダ・レッド」から着想を得たものだ。

    使用されたサテン仕上げの特殊フィルムは、停止状態でも立体感と動きを感じさせる効果を持ち、ゴールド、銅、アルミニウム、鉄といったマーデンの事業を支える鉱物資源をモチーフにした色彩が取り入れられている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム モナコGP

    F1マシンだからこそ生じた技術的課題
    完成したデザインは自然に見えるが、その実現には数多くの制約が存在した。

    F1マシンではわずかな重量増加や表面の段差でも空力性能に影響を及ぼすため、特殊ラッピングを車体全体へ施工することはできなかった。

    フィルムを追加すれば重量が増し、素材の厚みや端部の段差が空気の流れを乱す可能性がある。そのため虹色素材は空力的な影響が比較的小さい部分へ限定的に配置された。

    さらに通常のラッピングで用いられる保護用ラミネート加工も採用できなかった。耐久性は向上するが重量増加につながるうえ、カラーシフト効果そのものを損なう可能性があったためだ。

    その結果、軽量性と耐久性を両立するために特別な素材加工と印刷技術が導入された。

    モナコ限定デザインを実現するための綿密な準備
    シーズン中のF1チームにとって特別カラーリングの導入は想像以上に複雑な作業となる。

    車体パーツをラッピング工程へ回すタイミングを確保しなければならず、シルバーストンのAMRテクノロジーキャンパスと現地サーキット双方での作業計画が必要だった。

    さらにレース用シャシーの組み立てスケジュールを妨げることなく進めなければならず、プロジェクトはかなり前から準備が進められていた。

    単なるデザイン変更ではなく、レース活動そのものと並行して進められるエンジニアリングプロジェクトだったと言える。

    100種類以上のパターンから生まれた最終デザイン
    今回のカラーリングを特徴づけるもうひとつの要素が六角形パターンである。

    マーデンのロゴから着想を得たこのデザインは、アストンマーティン・レーシンググリーン、露出したカーボン地、そして虹色素材を自然につなぐ役割を担っている。

    このパターンには美観だけでなく実用的な意味もあった。

    特殊素材には通常のグラデーション印刷を施せないため、六角形を組み合わせることで色が自然に変化しているような錯覚を作り出したのである。

    開発段階では100種類以上のパターンが検討され、最終デザインへ至るまで約30案のコンセプトが比較評価された。

    マーデンも設計段階から継続的にフィードバックを行い、共同で方向性を磨き上げた。

    新たなデジタル技術まで生み出した開発プロセス
    このプロジェクトはデザイン開発の枠を超え、アストンマーティンに新しいツール開発を促した。

    チームは六角形パターンを自在に生成できる専用ソフトウェアを開発し、車体形状ごとに最適なデザイン配置を可能にした。

    さらに高精度レンダリングとモナコ市街地の仮想シミュレーションを活用し、実際の太陽光や街路環境の下でカラーシフト素材がどのように見えるかを事前検証した。

    こうして完成したAMR26の特別カラーリングは、静止状態ではなく「動くことで完成するデザイン」として設計されている。

    モナコだからこそ成立したブランドストーリー
    今回の取り組みは単なるスポンサー露出を超えたブランド表現と言える。

    マーデンは鉱物資源を発掘し、それを産業や社会の発展につなげる企業であり、アストンマーティンはその素材を活用する最先端技術の象徴でもある。

    AMR26がモナコの狭い市街地を駆け抜けるたびに色彩を変化させる姿は、まさに「岩石からサーキットへ」というテーマそのものを視覚化したものだ。

    華やかなモナコGPの舞台で、アストンマーティンとマーデンはF1マシンを巨大な広告媒体ではなく、企業理念を語るキャンバスとして活用したのである。

  • アストンマーティン・ホンダF1 苦戦脱却への現在地と後半戦の反撃計画

    アストンマーティン・ホンダF1 苦戦脱却への現在地と後半戦の反撃計画

    アストンマーティン・ホンダの2026年シーズンは、開幕から厳しい戦いが続いている。新レギュレーション初年度に向けて大きな期待を集めていたが、実際にはシャシー開発の遅れ、ホンダ製パワーユニットの出力不足、さらに両者の組み合わせによって発生した深刻な振動問題に苦しめられてきた。

    しかし、その状況は少しずつ改善へ向かっている。依然として競争力不足は深刻だが、チームは一つひとつ課題を潰しながら前進しており、後半戦に投入予定の大型アップグレードへ向けて土台作りを進めている。

    まず解決されたのは振動問題
    開幕当初のアストンマーティンを最も苦しめたのは、ホンダ製パワーユニットと新型シャシーの組み合わせによって発生した振動だった。

    この問題は単なる快適性の問題ではなく、ドライバーへの負担だけでなく、車両各部へのダメージも引き起こしていた。チームは開発リソースの多くをこの対策に投入し、空力アップデートを後回しにする決断を下した。

    その結果、最近ではAMR26が長距離走行を行っても大きなダメージを受けることは少なくなり、根本的な振動問題は徐々に抑え込まれつつある。

    ただし、一つの問題を解決すると新たな問題が見つかる状況は続いている。

    次に浮上したギアボックスの課題
    振動問題の改善後、新たに明らかになったのがギアボックスの同期問題だった。

    ギアチェンジ時の同期がわずかにずれることで、ドライバーの操作と実際の変速タイミングに遅れが発生する。その結果、本来最適な回転域でシフトアップできず、加速性能を損なう要因となっていた。

    もっとも、この部分についてはマイアミGPからカナダGPにかけて大きな改善が見られたという。

    アストンマーティンにとって今回のギアボックスは、2008年以来となる自社開発品だ。それまではマクラーレンやメルセデス製トランスミッションを使用しており、自前での開発は長年経験していなかった。

    そのため、今回の開発はチームにとって大きな学習プロセスになっている。

    アロンソが語る「小さな進歩」
    フェルナンド・アロンソはカナダGPで次のように語っている。

    「コースに出るたびに、クルマやエンジン、セットアップ、ギアボックスに新しい改善が加えられている」

    「マイアミからここにかけて、ギアボックスやシフト同期、ダウンシフトは大きく改善した」

    アロンソによれば、こうした改善がラップタイムにどれだけ寄与しているかを数値化するのは難しいものの、同じマシンでもカナダではマイアミより速かったという。

    一方で、彼は現状の限界についても率直に語っている。

    「根本的な問題や3秒近い差を埋めるには、エンジン性能と空力パッケージの改善が必要だ」

    「それはシーズン後半にならないと実現しないだろう」

    現在の改善はあくまで細部の最適化であり、本格的な競争力向上にはまだ至っていないという認識だ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム 本田技研工業

    ホンダが見つけた改善の方向性
    ホンダ側も現状を冷静に分析している。

    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、現在の課題として主に2点を挙げた。

    ■ 燃焼速度の向上

    ■ エンジン内部摩擦の低減

    折原伸太郎によれば、2027年に向けて検討されている60:40の出力配分変更の有無にかかわらず、この方向性自体は変わらない。

    つまりホンダは現在の性能不足を、燃焼効率と機械抵抗の改善によって解決しようとしている。

    さらにモントリオールでは新たなパラメータやセッティングを投入し、データ上では前向きな結果を確認したという。

    ドライバー要求とのギャップ
    ホンダが特に重視しているのが、ドライバーの要求トルクと実際の出力特性の差だ。

    折原伸太郎は、以前のレースではドライバーが求めるトルク特性を再現することが難しかったと説明している。

    しかしカナダGPでは、そのギャップを縮小する方法を見つけたという。

    これは絶対的なパワー向上ではないが、ドライバビリティ改善につながる重要な進歩だ。特に2026年型パワーユニットは電動比率が高く、出力特性が従来と大きく異なるため、ドライバーの要求にどれだけ近づけられるかが重要なテーマになっている。

    後半戦の大型アップデートが分岐点
    アストンマーティンはここまで空力開発を優先せず、まず車両の基本的な問題解決に集中してきた。

    そのため2026年シーズンのイベント前アップデート一覧では、他チームと違って大きな改良がほとんど見られなかった。

    しかしチームは現在、大型空力パッケージを準備しており、投入時期はスパ・フランコルシャンまたはザントフォールトになる見込みだ。

    このアップデートとホンダの性能改善が組み合わさったとき、初めてアストンマーティン・ホンダの本来のポテンシャルが見えてくる可能性がある。

    現時点では依然として厳しい状況に変わりはない。ただし開幕当初のような混乱状態からは脱しつつあり、チームは着実に課題をリストから消している。

    危機的状況において最も重要なのは派手な改革ではなく、現実的かつ着実な問題解決だ。アストンマーティンとホンダは、まさにその段階にいる。後半戦の大型アップデートが、この長い再建プロセスの成否を左右することになりそうだ。

  • アストンマーティンF1のアップグレードは8月末 ストロール「一夜では起きない」

    アストンマーティンF1のアップグレードは8月末 ストロール「一夜では起きない」

    ランス・ストロールは、アストンマーティンが次の大規模アップグレードを夏休み明けのF1オランダGPまで投入しない見通しであることを明らかにした。

    アストンマーティンは今季ここまで各戦でアップグレードを投入しておらず、まずはパワーユニットに起因する振動問題の解決を優先してきた。開幕戦オーストラリアGPを前に、チーム代表のエイドリアン・ニューウェイは、振動の激しさによってストロールとフェルナンド・アロンソが神経損傷のリスクにさらされていると明かしていた。

    その問題はマイアミGPで解決され、ストロールとアロンソはそろって完走を果たした。ストロールは進展についてこう説明した。

    「そうだね、マイアミで振動を直せた。それは良かった」

    「レースを完走できたし、今季初めて2台ともチェッカーフラッグを受けた。それは一歩前進だったと思う」

    「そして今は、もっと多くのダウンフォースとパワーを見つける必要がある。それができれば、もっといい状態になる。だから、そこに集中している」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ただし、AMR26のパワーとダウンフォース向上はすぐには実現しない見込みだ。新パーツの投入時期について問われたストロールは、スパもしくはその次のザントフォールトになると語った。

    「スパか、その次のレースにアップグレードがある。どちらかは分からない。ザントフォールトだね」

    「それでトップ争いができるようになるのか? いや、そうではない。でも、こういうことは一夜で起きるものではない。みんな可能な限り懸命に取り組んでいるし、できるだけ早くラップタイムをマシンにもたらすために、できることはすべてやっている」

    振動問題の解消は、アストンマーティンにとって最低限の土台を取り戻す作業だった。だが、ストロールの発言は、チームがまだ競争力そのものを引き上げる段階には入っていないことも示している。

    夏休み明けまでアップグレードが届かないという事実は、アストンマーティンの開発計画が短期的な修正ではなく、中期的な再構築に近い性格を持っていることを物語る。ストロール自身も、それだけでトップ争いに加われるとは考えておらず、AMR26の改善にはなお時間が必要だと認めている。

  • ホンダF1 モナコGPへDiLシミュレーターで専用対策「エネルギーマネジメントが鍵」

    ホンダF1 モナコGPへDiLシミュレーターで専用対策「エネルギーマネジメントが鍵」

    ホンダF1は、2026年F1第6戦モナコGPに向けたプレビューを発表した。モナコGPは6月5日(金)にモンテカルロ市街地コースで開幕し、初日にFP1とFP2、6月6日(土)に公式予選、6月7日(日)に決勝レースが行われる。

    市街地特有の低速コーナーとトラフィックが続くモナコでは、パワーユニットの絶対的な出力だけでなく、エネルギーマネジメント、冷却、そしてドライバビリティが重要な要素となる。ホンダF1にとっても、アストンマーティンとの連携の精度が問われる週末になる。

    モナコ特有のPU適応へDiLシミュレーターを活用
    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原伸太郎は、モンテカルロ市街地サーキットの特殊性に合わせた準備が必要になると説明した。

    「モンテカルロ市街地サーキットは非常に特殊であり、その特性にPUを適応させるためには、専用の準備が求められます」と折原伸太郎はコメント。

    「エネルギーマネジメント最適化に向け、AMR Technology Campusで、ドライバー・イン・ザ・ループ・シミュレーター(DiL)を使ったセッションを実施しました」

    低速区間とトラフィック下で冷却が課題
    モナコは低速区間が多く、パワーユニットの冷却にも厳しい条件が突きつけられる。折原伸太郎は、クリーンエア時だけでなく、モナコ特有のトラフィック下でも安定したPU性能を確保する必要があると語った。

    「また、低速区間が多いモナコでは冷却面も課題になります」

    「クリーンエア時だけでなく、このサーキット特有のトラフィック下でも安定したPU性能を確保できるよう、Aston Martin Aramco Formula One™ Teamと連携して最適な冷却仕様を追求しています」

    ホンダF1 モナコグランプリ

    ドライバビリティ向上がラップタイムの鍵
    今週末は合計3時間のフリー走行が予定されている。ホンダF1は、その限られた走行時間の中でエネルギーマネジメントの最適化と走行プログラムを効率よく進めることを重視している。

    「今週末は合計3時間のフリー走行が予定されており、エネルギーマネジメントの最適化と、走行プログラムを効率よくこなすことが極めて重要です」

    「また、エネルギーマネジメントはドライバビリティに大きく影響するため、ドライバーからのフィードバックを得ることも最優先事項となります」

    モナコでは、わずかな挙動の乱れがラップタイムだけでなく、ドライバーの自信にも直結する。折原伸太郎は、低速コーナーが連続するコースでドライバーが最大限の自信を持って走れる状態を作ることが重要だと強調した。

    「低速コーナーが連続するモナコにおいて、ドライバーに最大限の自信を持って走ってもらえるようドライバビリティを高めることが、ラップタイム向上につながると考えています」

  • アストンマーティンF1の“根本問題”をアロンソが嘆く「後半戦まで続く」

    アストンマーティンF1の“根本問題”をアロンソが嘆く「後半戦まで続く」

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1シーズン序盤にアストンマーティンF1の回復を妨げている問題について、「根本的な問題」と表現した。

    アストンマーティンはホンダとの提携初年度に苦しいスタートを切っており、AMR26に起因する激しい振動など複数の問題によって、アロンソとランス・ストロールは開幕から厳しいレースを強いられている。

    「自然な位置である最後尾に戻っていく」
    マイアミとカナダでは一定の前進があったものの、アロンソはカナダでのチームのパフォーマンスについて、これまでと同じ状況の繰り返しだと振り返った。

    「いつもと同じだ」とアロンソはコメント。

    「スタートがうまくいくこともあるけど、完全に本来とは違う位置にいて、そこから少しずつ後退していく。毎周ひとつずつポジションを失って、最後には自然な位置である後方にたどり着く」

    「これが現状で、夏以降まではこういう状態が続く。だから僕たちはそれを受け入れているし、毎週末同じ質問に答えている。でも、この状況については落ち着いている」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    改善は進むも根本解決は夏以降
    アロンソは、アストンマーティンに進歩があることは認めた一方で、ホンダのパワーユニットの不足が依然としてチームを制限していると指摘した。

    「進歩は常にある」

    「コースに出るたびに、マシンにもエンジンにも、セッティングにもギアボックスにも新しいものがある」

    「マイアミからカナダにかけて、ギアボックス、ギアの同期、ダウンシフトは大きく改善した」

    「それがラップタイムにどう反映されるかを数値化するのは難しい。でも、まったく同じマシンでも、細かい部分を詰めたことで、ここではマイアミより明らかに速かった」

    「ここからモナコまでの間にも、多くの小さな改善があると思っているし、また一歩前進できることを願っている」

    「ただ、根本的な問題、そしてペースから3秒遅れている部分は、エンジンのパワーとエアロパッケージから来なければならない。それは今年後半になって初めて実現する」

    アロンソは短期的な苦境を受け入れながら、シーズン後半の改善に望みをつないでいる。さくらの施設とシルバーストンでは、現在の苦境を立て直すための大規模な作業が進められている。

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    アストンマーティンF1のマイク・クラックは、2026年F1カナダGPで露呈したチームのオペレーション面の問題について反省の言葉を口にした。一方で、信頼性の向上やパフォーマンス面での小さな前進も確認できたとして、改善への手応えも示している。

    2026年シーズンのアストンマーティンは苦戦が続いているが、これまで比較的安定していたチーム運営の面でミスが重なったことが、カナダGP後の重要な議題となった。

    クラック「今週末はいくつかのミスがあった」
    レース後の振り返りについて尋ねられたマイク・クラックは、満足できる内容ではなかったと認めた。

    「想像できると思うが、あまり気分の良いものではなかった」

    「マシンのパフォーマンスが我々の望む位置にないことと、チームとしてきちんと仕事を遂行することは別の問題だ」

    クラックは、ランス・ストロールのマシンからホイールカバーが脱落した件や、スプリントでピットレーンスタートを強いられたことなどを例に挙げ、改善が必要だと説明した。

    「これまで我々はもっと良くやれていたし、今後ももっと良くできる。しかし今週末はいくつかの不具合があったので改善しなければならない」

    「ランスがホイールカバーを失った件もそうだし、スプリントではピットレーンからスタートすることになった。理想的な状況ではないし、再発防止に向けて取り組まなければならない」

    序盤は上位争いも現実は厳しく
    アストンマーティンはカナダGPで序盤こそ健闘を見せた。

    フェルナンド・アロンソは一時トップ10圏内を走行し、ストロールもピットレーンスタートからポジションを上げた。しかしクラックは、その順位が実際の競争力以上のものだったと冷静に分析する。

    「純粋なパフォーマンスという観点では、我々は予想していた位置にいたと思う」

    「レース序盤は良い判断がいくつかあり、期待以上のポジションを走ることができた。フェルナンドは一時10番手、ランスもピットレーンスタートから14番手を走っていたので、状況が実際以上によく見えた部分もあった」

    「だが現実はすぐに戻ってくる。常に我々がどこにいるべきかを思い出さなければならない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    信頼性向上には手応え
    一方で、クラックは信頼性の面では確かな前進があったと評価した。

    アストンマーティンは今季、パフォーマンス不足だけでなく信頼性面でも苦しんできたが、カナダではパワーユニット関連のトラブルが発生しなかった。

    「カナダでは何が起こるか分からないが、それ以上の波乱は起きなかった」

    「先ほど話したオペレーション面の問題を除けば、信頼性という観点では非常に良かった。パワーユニット関連のトラブルは一度もなく、故障もなかった」

    「我々は大きく前進してきたと思う。しかしパフォーマンスはまだ本来あるべきレベルには達していない」

    アストンマーティンは夏休み前後に大型アップグレードを投入する計画を進めている。今回のカナダGPでは運営面の課題が浮き彫りとなったが、クラックは信頼性向上という成果を土台に、さらなる前進を目指している。

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