カテゴリー: フォード F1

  • リアム・ローソン レッドブルF1とフォードの新たな協業で隠れた才能を発揮

    リアム・ローソン レッドブルF1とフォードの新たな協業で隠れた才能を発揮

    生まれてこのかたラリーカーを運転したことがなかったリアム・ローソンは、わずか5周で世界ラリー選手権(WRC)のステージ勝者を本気にさせる走りを見せた。与えられた課題は、タイム差を15秒以内に収めるというものだったが、実際には1秒未満に迫った。

    長年世界ラリー選手権でパートナー関係にあるレッドブルとフォードは、その提携をF1にも拡大し、2026年にデビューするレッドブルのパワーユニットを共同開発している。

    その節目を前に、現在レッドブルのジュニアF1チームであるレーシングブルズに所属するローソンは、7月のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで課題を与えられた。

    ローソンは、レッドブル・モータースポーツの動画で今回のチャレンジの内容を説明した。

    「今回の課題は、プロのラリードライバーがグッドウッド・ラリーステージで出したタイムに、15秒以内で迫ることだ」

    「すごく狭いサーキットで、大半は木々に囲まれていて、車に慣れるための周回は4周しかない」

    「大きな問題が2つある。ひとつは、ラリーカーを運転するのが初めてだということだ」

    リアム・ローソン レッドブル F1グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、WRCドライバーのジョシュ・マクリアーン(左)と話すリアム・ローソン(右)

    もうひとつの問題は、彼が運転することになったのが、世界でも最速クラスのラリーカーであるWRCラリー1仕様のフォード・プーマだったことだ。

    Mスポーツ・フォードのジョシュ・マクリアーンが基準タイムとなる2分26秒75を記録。ローソンは助手席に乗り、その走りを間近で見学したが、マクリアーンがアクセル全開にすると「holy sh*t(なんてこった)」と声を上げた。

    「うわ、最高だ!めちゃくちゃ滑る」と、サーキットを一周する間に付け加えた。

    走行が終わり、基準タイムが示されると、ローソンは続けた。
    「低グリップって言われたから、もっと遅いのを想像していた。いや、これはやばい。こんなにグリップするなんて予想外だった」

    「本当にすごくルーズなコーナーがいくつかあった。ピッチコントロールがすごくて、コーナー進入で常に車の姿勢を変えている感じだった」

    ローソンとマクリアーンが運転席を交代すると、ローソンはいきなりエンストしてしまい、出だしは理想通りとはいかなかった。しかし、この場でまさに実地で学んでいく状況だった。

    練習走行に入ると、すでに観客の度肝を抜く走りを披露。初めての計測で2分36秒25を記録し、すでにマクリアーンとの差を10秒以内に縮めた。

    4周目の終わりには、その差はわずか2秒にまで縮まった。

    「こんな感覚をレースカーから得たことはなかった。これは本当に楽しい。アドレナリンが止まらない…信じられない」とニュージーランド出身のローソンは語った。

    そして迎えた公式計測ラップ。15秒以内どころか、わずか5周の経験でラリードライバーを上回るのかという期待が高まった。

    結果は惜しくも届かず。しかし、その差はわずかにして2分27秒25だった。

    わずか5周でステージ勝者に肉薄する走りを見せたことは、ローソンが持つ生来の才能を証明するものだった。

    年初にはわずか2戦でレッドブルの正ドライバーから降格するという厳しいスタートだったが、そこからの巻き返しは力強い。レーシングブルズに復帰して以降は20ポイントを獲得し、レッドブルで自身の後任を務める角田裕毅に10ポイント差をつけている。

  • レッドブル・フォードF1の中心人物ダン・セイヤーズがフォードWEC復帰を指揮

    レッドブル・フォードF1の中心人物ダン・セイヤーズがフォードWEC復帰を指揮

    レッドブル・フォード・パワートレインズのプログラムディレクターを務めるダン・セイヤーズが、フォードのFIA世界耐久選手権(WEC)への復帰を率いることが決定した。

    2027年にハイパーカークラスへの参戦を予定するフォードは、ル・マン24時間レースの開幕を目前に控えたタイミングで、セイヤーズをハイパーカー計画の責任者に任命したことを正式に発表した。

    セイヤーズは、フォードとレッドブルによるF1復帰プログラムの中心人物であり、モータースポーツ界において豊富な経験を持つ。過去にはプロドライブで10年にわたりアストンマーティンのGT3およびGT4ワークスプログラムに携わり、WRCやダカールラリー、WECでも実績を重ねてきた。

    「フォード・パフォーマンスは世界中で様々な挑戦を続けているが、ル・マンというフォードにとって精神的な本拠地に戻ることは、私にとって断れない挑戦だった」とセイヤーズは語る。

    「アストンマーティンでル・マンのクラス優勝を果たした経験はあるが、今回のようにフォードで総合優勝を目指せるのは特別な機会だ。

    F1でレッドブル・フォード・パワートレインズと共に働けたことは素晴らしい経験だったし、今回の役割は同じファミリーの別の一部に加わるような感覚がある」

    フォードは、LMDh規定に基づき、オレカ(ORECA)とシャシーパートナーとして提携。オレカ製シャシーをベースにハイパーカーを開発し、2027年にル・マンのトップカテゴリーへと復帰する。

    フォード・モーター レッドブル F1ダン・セイヤーズ

    フォード・モーター・カンパニーのジム・ファーリー社長兼CEOは、次のように述べている。

    「フォードをル・マンの頂点に戻すことは、我々にとって長年の夢だった。ビル・フォード会長をはじめ、多くの人々にとって特別な意味がある。

    オレカとの提携は、我々にとって誇りだ。我々は勝利を目指して戻ってくる。それは隠すつもりもない。

    日曜日には、フォードが最後にル・マンで総合優勝を果たしてからちょうど56年を迎える。それは十分すぎるほど長い年月だ。

    2027年、我々は1960年代と同じ気持ちで挑む。そして再びフェラーリをはじめとするトップチームと戦う準備はできている」

    フォードはGTクラスでの勝利こそあるものの、総合優勝は1960年代以来遠ざかっている。今回の復帰は、その“空白の時間”を終わらせることを目指すものだ。

    フォード・パフォーマンスのグローバルディレクター、マーク・ラッシュブルックも次のように語る。

    「ファクトリー体制のレースプログラムにおいて、シャシーパートナーとプログラム責任者の存在は極めて重要な基盤となる。

    オレカとダン・セイヤーズの組み合わせは、我々にとって理想的な土台を提供してくれる存在だ。これまでの協働でも、その判断の正しさは証明されてきた。

    ル・マンのグリッドにフォードのハイパーカーを並べるまで、あと2年。その成功に向けた重要なピースが、着実に揃いつつある」

  • フォード「F1参戦継続の条件は電動化」2026年規則への懸念にも言及

    フォード「F1参戦継続の条件は電動化」2026年規則への懸念にも言及

    フォード・パフォーマンスのグローバルディレクターであるマーク・ラシュブルックは、フォードがF1に関与し続けるためには、将来のF1エンジンに一定レベルの電動化が盛り込まれている必要があると語っている。また彼は、2026年の新レギュレーションに対するパドック内の懸念にも言及している。

    2025年シーズンはまだ3分の1を終えたばかりだが、舞台裏ではすでに来年に向けた準備が本格化している。

    2026年にはF1のエンジンとシャシー規則が同時に刷新され、すべてのチームとメーカーにとって大きな転換点となるが、とりわけレッドブルにとっては一層の変化を伴う年となる。

    クリスチャン・ホーナー率いるチームはホンダ製パワーユニットに依存することができなくなり、レッドブル・パワートレインズとフォードによる独自の体制で挑むことになるためだ。

    ラシュブルックは以前、「すべての目標を同時に達成するのは不可能」としながらも、2026年エンジン開発における重要なマイルストーンの多くは順調にクリアできていると語っていた。

    2026年レギュレーションに対する懸念は妥当か?
    現在パドックで議論されている主要な懸念点は2つある。ひとつは、レギュレーション刷新によってチーム間の性能格差が拡大し、再び長期的な一強状態が生まれるのではないかという点。もうひとつは、アクティブ・エアロや電動出力の増加によってレースの面白さが損なわれるのではないかという点だ。

    前者については、近月の議論――とりわけバーレーンでのエンジンサミットを含む――で、遅れを取るメーカーに対して開発上の優遇措置を講じることが協議されてきた。その目的は、2014年以降のメルセデスのような長期支配体制を再び生まないためである。

    ラシュブルックはこう語る。

    「新しいルール、特にパワーユニットとシャシーの両方が一新される場合、ある種のリスクが存在するのは間違いない。それは『恐れ』というより、スポーツとして認識しておくべきリスクだ。誰がどのレベルでスタートするかによって、バランスが崩れる可能性がある。我々が注視すべきなのは、レギュレーション変更後にスポーツとしてどう対応するかだ」

    現在の議論では「開発トークン」制度のような旧来の仕組みではなく、エンジン開発におけるダイノ使用時間の追加や、予算上限の緩和といった具体的な手段が検討されている。しかし、それらの措置が競争の均衡にどの程度早く反映されるかは未知数だ。

    「それはやってみないと分からない。ただ、そうした内容が今まさに話し合われていることには満足している。議論の進み具合にも手応えを感じている」

    2026年ルールで面白いレースは可能か?
    もう一つの懸念は、新ルールによってF1のレースが観客にとって魅力的なものとして維持されるかどうかという点だ。ホーナーは今年4月のバーレーンGPで、電力の使用制限がレースによっては調整されるべきではないかとの考えを示し、過度なリフト・アンド・コースト(惰性走行)を回避すべきだと警鐘を鳴らした。

    これについてラシュブルックも同意し、次のように語る。

    「今はすべてのメーカーがシミュレーションを行っている段階だが、我々が向き合わなければならない問いは、『そのレースはファンにとってどう映るのか?どんなショーになるのか?』という点だ」

    「スポーツとして成功するためには、すべての関係者が協力し、魅力的なレースを提供し続ける必要がある。もちろん、チームとしては勝利が最優先だが、同時に良いレースを届けなければならない」

    2026年レギュレーションについて、パドック内で懸念が広がっている現状をどう見ているかと問われると、ラシュブルックは次のように答えた。

    「それを“恐れている”とは思っていない。むしろ、我々が見守りながら、必要に応じて適切に対応すべき課題として捉えている」

    中国GP週末にFIAが一時的に2026年レギュレーションの撤回可能性に言及したことには、関係者の間で驚きが広がった。

    「確かに、あのタイミングでそういった案が持ち出されたのはかなり遅かった。ただ、その後すぐにすべての関係者――FIA、F1、チーム、メーカー――が集まり、2026年の重要性を再確認できたのは良かったと思っている」

    フォード F1 レッドブル

    未来のF1エンジンに求められるものとは?
    将来のF1エンジンについては、2031年以降に向けて「持続可能燃料を使用したV10やV8」の導入も議論されている。しかし、バーレーンでの会合後にFIAが示した方針では、いかなる将来のエンジンにも電動化の要素は必須とされている。これはアウディやホンダにとっても重要な要件であり、フォードにとっても例外ではない。

    ラシュブルックは次のように断言する。

    「フォード・モーター社として、F1に関わり続けるには、何らかの形で電動化が取り入れられている必要があると考えている」

    「2026年のレギュレーションに惹かれた理由もそこにある。内燃機関(ICE)と電動化のバランスこそが重要だ。比率が50対50である必要はないが、我々が知見を提供し、それを市販車の技術に還元できる仕組みであることが理想だ」

    「V10やV8にKERSを組み合わせる案もあるが、単純に『V10ならOK』といった議論には賛同できない。細部まで掘り下げて初めて実現可能かどうかが見えてくる」

    ターボチャージャーを使うかどうか、電動出力の配分、パッケージング――こうした技術的要素も含め、現時点では結論を出すには時期尚早だという。

    「確かに、今はまだ長期的な視点での議論だ。すでに合意できている要素もあれば、見解が分かれる点もある」

    フォードのF1参戦は“短期的な遊び”ではない
    現在フォードとレッドブルの提携は、2026年に始まる次期レギュレーション周期の期間中をカバーしている。それ以降については、F1の技術的方向性や他メーカーの参戦状況次第だという。

    「これはフォードが関与しているすべてのモータースポーツに共通する前提だ」

    「スポーツとしての健全性、他メーカーとの関係性、技術レギュレーション、そして技術移転の可能性――いずれも我々にとって重要な要素だ」

    とはいえ、ミルトン・キーンズにおける大規模な施設投資を見れば、フォードのF1参戦が短期的な取り組みでないことは明白だ。

    「それは我々の明確な意図だ。F1の未来にとって正しい方向性を見出すために、すべての関係者と連携する覚悟がある」

    「もちろん、それが完全に我々にとって理想的な形になるとは限らない。だが、それで構わない。他のすべてのメーカーが去ってしまうようなルールでは、スポーツとして成立しない」

    「我々はその点を理解しているし、他のメーカーも同様だ。だからこそ、スポーツの健全性のために、トラック外では“パートナー”として協力し合い、トラック上では激しく戦うことが必要なのだ」

  • フォードF1責任者 「フェルスタッペン離脱でもレッドブルとの提携継続」

    フォードF1責任者 「フェルスタッペン離脱でもレッドブルとの提携継続」

    フォード・モータースポーツおよびフォード・パフォーマンスの責任者であるマーク・ラッシュブルックは、内部の多くの目標はすでに達成されていると述べつつ、「すべてのマイルストーンを一度に達成するのは不可能だ」と強調した。

    2026年に向け、すべてのエンジンメーカーが水面下で準備を進めている中、レッドブル・パワートレインズとフォードも例外ではない。

    ラッシュブルックは、ライバルチームの動向を正確に見極めるのは難しいと認めたうえで、クリスチャン・ホーナーと同様に「メルセデスが自信を持っているように見える」との見解を示している。

    ただし、2026年に向けたもう一つの重要な要素が、マックス・フェルスタッペンの将来だ。オランダ人ドライバーは2028年末までの契約をレッドブルと結んでいるものの、その去就は常に注目の的であり、昨年の夏休み前まではメルセデスとの間でトト・ヴォルフとの交渉が行われていたとされる。また、2026年からホンダと組むアストンマーティンへの移籍の噂も出ており、そこではエイドリアン・ニューウェイが新マシンの設計を担当している。

    フェルスタッペンはレッドブルにとって、そしてフォードにとっても象徴的な存在だが、ラッシュブルックは「フォードのF1プロジェクトへのコミットメントは特定の個人に依存していない」と明言した。

    「私たちは、どのカテゴリーでも“最高のチーム・最高のドライバー・最高のスタッフ”とともに戦いたいと考えている。しかし、特定の誰かを目当てに契約したわけではない。これは長期的な契約であり、関わる人々が変わっていくことは織り込み済みだった。ホーナー、ニューウェイ、ドライバーたちもそうだし、実際すでに我々がコースに出る前に何人かは交代している」と述べ、ニューウェイやセルジオ・ペレスの名前を挙げた。

    「2026年以降もマックスがレッドブル・フォードに残ってくれることを願っている。彼はチャンピオンであり、素晴らしい人物だ。チーム全体を引き上げる存在だ。しかし、仮にマックスがチームを離れたとしても、我々がこのプロジェクトから手を引くことはない。フォードはF1にコミットしている」

    レッドブル フォード F1 マックス・フェルスタッペン

    フェルスタッペンがチームを去る可能性を「恐れているか」と問われると、ラッシュブルックは笑みを浮かべながらこう答えた。

    「“恐れる”という言葉を使いたがるね?私は恐れているとは思わない。重要なのは、レッドブル・パワートレインズとフォードのチームが今後もレースで勝ち続けられるよう、正しい行動を取ることだ。すべての関係者がその成功の一部であり、勝つためには常に適切な努力が求められる。だからこそ、マックスのようなドライバーを引き留めるための努力も当然行っているし、チーム内の人材の動向にも常に目を配っている。そういう意味では、“イエス”だね(彼に残ってほしい)」

    ラッシュブルックがフェルスタッペンを重視する理由は明白だ。彼は現在のレッドブルF1の競争力を支える中心人物であり、ドライバーズおよびコンストラクターズ両選手権での成功に不可欠な存在である。

    「彼がチャンピオンである理由は明確だ。もちろん才能もあるが、それ以上に、チームやプログラムのあらゆる部分において“最高”を求める姿勢がある」

    現状のレッドブルのパフォーマンスは懸念材料か?
    ラッシュブルックは以前、「フォードはすべてのカテゴリーにおいて最高のチームと組むことを目指している」と語っていた。昨シーズン初頭には、レッドブルはF1を支配するチームだったが、現在ではそうとは言えなくなりつつある。この状況は、フォードにとって懸念材料とはならないのだろうか?

    「モータースポーツ、特にF1においては、“勝ち続ける王朝”のような時期と、“そうでない時期”を繰り返すものだ。つまり栄枯盛衰がある。昨年末や今年もレッドブルが勝ち続けていてほしいか?もちろんそうだ。しかし、今のチームには継続的に勝利を掴める素晴らしい人材が揃っていると確信している」

    とはいえ、2026年のレギュレーション変更は、エイドリアン・ニューウェイが関与しない中でレッドブルが迎える初めての大規模な技術改革となる。これは未知の要素ではあるが、ラッシュブルックは残された技術陣に全面的な信頼を寄せている。

    「感触は以前と変わらない。数週間前にミルトンキーンズを訪れ、ピエール・ワシェや技術チームと面会した。我々は今の人材とチームが、これからもレースで勝利を収められると信じている」

  • F1 2026年エンジン戦争 レッドブルとフォードはメルセデスに挑めるか

    F1 2026年エンジン戦争 レッドブルとフォードはメルセデスに挑めるか

    F1の2026年エンジン開発に関しては依然として不透明な点が多いが、パドック内ではメルセデスのプロジェクトが最も進んでいるとの見方が支配的だ。

    そうした中、フォード・パフォーマンスの責任者マーク・ラッシュブルックは、レッドブルとの2026年パワーユニット開発で当初の計画を超える貢献を果たしていることを明かした。

    2025年のF1シーズンはまだ4分の1が過ぎた段階にすぎないが、すでに多くの注目とエネルギーが「次」に向けられている。特にパワーユニットに関しては、電力比率の増加という変更が2026年の新レギュレーション全体に波及しており、重要な焦点となっている。

    一時は自然吸気のV10エンジン復活という話題が過熱したものの、F1は再び当初の方向性に立ち返った。すなわち、ターボチャージャー付きで電力比率が高まり、コストと信頼性の面で問題視されていたMGU-Hを廃止し、内燃機関は持続可能な燃料100%で作動するという仕様である。

    PUメーカー各社は以前からこの規則変更に向けて取り組みを続けており、フォードもその1社だ。フォードはレッドブル・パワートレインズと組み、ミルトン・キーンズの新施設で開発を進めている。

    フォード・パフォーマンスの責任者であるマーク・ラッシュブルックは、英オートスポーツに対してこう語った。

    「このプロジェクトは日々強固なものになっている。最初の契約交渉のときから、いや、実際には契約前からすでに作業は始まっていた」

    「ICE(内燃機関)と電動コンポーネントの開発において、われわれの進捗は計画どおりに進んでいる。もちろんまだ多くの作業と耐久性の証明が必要だが、パートナーシップの在り方、情報の共有、相互貢献という面では、当初の期待以上のものがある」

    レッドブル フォード F1

    当初の構想を超えて、フォードはレッドブルとの協力関係でより大きな役割を担っていることが明らかにされた。

    「当初の合意では、主に電動化部分への貢献に焦点を当てていた。しかし、先進的な製造施設や3Dプリンターによって作れる部品の数が増え、実際の開発フェーズにリアルタイムで貢献できるようになった」

    「私たちは日々部品を製造し、ディアボーンからミルトン・キーンズのラボに向けて出荷している。多くはテスト用途だが、一部は実際に量産にも使用される予定だ」

    「これはわれわれの人材、プロセス、施設すべてを試す挑戦だ。他のモータースポーツや市販車プロジェクトでもやったことのないような領域に踏み込んでいる」

    「これまでの経験を基にしつつ、納期、品質管理、そして精度という点で、さらに高い次元を求められている。その要求に応える中で、多くのことを学び、そして実際に結果を出せている」

    フォードにとって、F1は過去に関わってきたどのモータースポーツよりも難しいという。

    「GT3車両1台を開発する方が、このF1パワーユニットを完成させるよりも短期間で済む。マスタングGT3の開発は2年かかったが、F1 PU開発は2026年時点で3年半に及ぶ。しかも、3年半ずっと全力疾走で走り続けなければならない」

    このF1プロジェクトの難しさは、レッドブル・パワートレインズが新興企業であり、フォードもハイブリッドF1エンジンの経験がないことが背景にある。そのため、専門知識を外部から取り込む必要もあった。

    「完全にゼロからのスタートだが、F1経験を持つ人材を迎えて構築している。もちろん経験の浅い新メンバーもいるが、われわれのチームはみんなレース屋だ。すでに高いスピード感で動いている」

    「他チームがさらに速いペースで進んでいるのを見れば、自然と加速してそのペースに追いつこうとする。それがうちのチームがやってきたことだ」

    レッドブル F1 フォード
    2026年にレッドブルとフォードは戦えるのか?
    レッドブルF1の代表であるクリスチャン・ホーナーも、彼らのプロジェクトが何十年ものF1経験を持つ他の大手メーカーとの戦いであることを認めている。

    内部目標を達成できているかと問われたラッシュブルックはこう答える。

    「すべてにおいて100%達成しているわけではないが、出力面では間違いなく目標に届いている」

    「ただし、それに耐久性が伴わなければならない。だから全てが完璧かと言えば、そうではない。それが開発というものの現実だ。重要なのは、見つかった課題に対してどれだけ迅速かつ前向きに反応できるかだ。われわれは常に反応し、対応し続けている」

    「出力を上げる → 耐久テスト → 再び出力を上げる → 再度耐久テストというサイクルを繰り返している」

    すべてのPUメーカーが限界を押し広げようとしている中、他社の状況を把握するのはほぼ不可能だ。

    「他社がどこまで来ているかは分からない。同じダイナモ、同じ条件でテストしているわけではないから。噂レベルで『どこが先行している』という話はあるが、正直なところ誰も正確には分からない」

    パドック内ではメルセデスが自信を示しているとの噂もあり、ホーナーもそれを指摘していた。ラッシュブルックも同意する。

    「そうだね。クリスチャンと私はほぼすべてにおいて意見が一致しているから、私もそう思うよ」

    他チームの進捗が見えない中で、レッドブルとフォードが自信を持てる理由は何か。

    「ルールを正確に理解すれば、そのルールの範囲内で“何が可能か”を判断することができる」

    「われわれは、『これが可能である』と判断し、『その到達方法』を定めた。それが今のわれわれの開発路線だ」

    「だが、メルセデスやフェラーリが『異なることが可能だ』と考えているかもしれない。それがわれわれより高い目標なのか、低いのかは分からない」

    「つまり、みんなが『予定通りだ』と言っていても、その“予定”はそれぞれ異なる方向を向いているかもしれないのだ」

    これこそが、2026年が“未知への飛躍”である所以だ。

    各社は内部目標を達成できても、それが競争上どの位置にあるかは、2026年にサーキットで車が走り出すまでは分からないのである。

  • レッドブルとフォードのF1における契約の裏話

    レッドブルとフォードのF1における契約の裏話

    F1の2026年の新レギュレーションに合わせ、フォードはレッドブルとともにシリーズに復帰する。フォードがレッドブルを選んだ理由と契約がまとまった経緯を紹介する。

    レッドブルの視点から見たフォードのF1復帰劇については、すでに広く知られている。ミルトンキーンズを拠点とするチームは、2026年の新パワーユニットレギュレーションに向けたワークスエンジン開発のため、ポルシェと長期間にわたって協議を重ねたが、最終的には決裂した。

    ポルシェは、株式も含めた対等なパートナーシップを強く希望していたが、レッドブルはコントロールを失うことを懸念していた。 また、フォルクスワーゲングループの関与、そしてその無数のガバナンスの層を考慮すると、レッドブルは機敏な意思決定ができなくなることを懸念していた。

    フォードはレッドブルとポルシェの交渉決裂を興味深く見守り、すぐにチャンスを見出した。

    「少なくとも我々外部から見た限りでは、レッドブルとポルシェの提携はうまくいかないことは明らかだった」とフォード・モータースポーツ・ディレクターのマーク・ラッシュブルックはモータースポーツ・ドットコムに語った。

    「私は文字通りクリスチャン・ホーナーのメールアドレスを手に入れ、彼にメールを送り、『やあ、話したいことがあるんだけど』と伝えた」

    それが最初の会話につながったのだが、ホーナーは興味深い逸話を披露した。

    「ブラジルに向かう途中にディアボーンでミーティングがあり、あなたやビル・フォード、ジム(ファリー)と会った。ジムがセルジオ・ペレスの帽子をかぶってミーティングに入ってきたときには、いい感じだと思ったよ!よし、これはかなり良さそうだ!』と思ったよ。ビル・フォードはF1復帰に熱心で、ジムはレーサー自身だったから、会社の上層部から本物の熱意が感じられた」

    レッドブル・パワートレインズ フォード

    動きは素早かったが、フォードがなぜレッドブルをF1での新たな一章のパートナーとして選んだのかという疑問は残る。かつてはどこでも見かけたコスワースDFVエンジンなど、フォードにはF1での輝かしい歴史がある。しかし、2004年末にジャガーチームをレッドブルに売却して以来、同シリーズから撤退していた。

    F1の人気が高まりつつあることと、2026年のレギュレーションの両方が、ミシガン州の本社での意見を左右する役割を果たした。

    「5年前に僕に尋ねていたら、そして実際に『フォードはF1に復帰するつもりなのか?』と尋ねた人もいたが、その時は、F1は自分たちにふさわしい場所ではないと考えていた。だが、その後、状況は変わった」とラッシュブルックは語った。

    「2026年のレギュレーションがどのように記載されているかを見てみると、電動化の増加、燃料の変更、2030年までにネットゼロにするというコミットメントなど、当社の多くの価値観や重要事項と一致している。このスポーツの成長も重要な役割を果たしている。我々は革新と技術移転のためにレースに参加している。つまり、レーストラックから公道へ、そして可能であればその逆方向にも技術を移転するのだ。また、我々は、当社、当社の社員、そして当社の製品について語れる能力を求めてレースに参加している。3年前、状況が変化していることは明らかであり、我々は再びF1を真剣に検討する必要があることが明らかになった。そして、ここに我々はいる」

    フォードは独自のチーム購入を検討した
    しかし、F1復帰への野望と実際に契約を結ぶことの間には、まだすべての選択肢を検討する段階がある。ラッシュブルックは、フォードがF1復帰を望んでいることが明らかになった後、既存のチームを買収する可能性も含め、他の選択肢も検討したことを明らかにした。

    「レッドブルとの今回の契約以前にも、多くの話し合いが行われていた」と彼は説明した。

    「いくつかのF1チームが我々に接触してきたし、我々もいくつかのチームに接触した。我々は、このスポーツ界の状況と参入のさまざまな方法を理解する必要があった。『自分たちでチームを買収すべきか』という検討もした」

    「ジャッキー・スチュワート・レーシングとジャガーがそうであったように、チームが本業ではないことは明らかだ。確かに我々はモータースポーツに参戦しているが、チームを所有したり運営したりはしていない。オーストラリアのディック・ジョンソン・レーシング、NASCARのペンスキー、NHRAのボブ・タスカ、ラリーのMスポーツなど、常にパートナーと組んでいる」

    「独自のパワーユニットを完全に自社で開発することも、カスタマーパワーユニットとして参入することも可能だが、その場合フォードはチーム自体には何も投資しないことになる。この機会をチャンスと捉えた瞬間、それが正しい道であることがすぐに明らかになった。この機会により、シリーズで最高のチームとパートナーシップを組むことができる。お互いに補い合えるし、我々にとってはそれが正しいやり方だ」

    フォード F1 レッドブル

    フォードは実際にはレッドブルに何を貢献するのか?
    初期の話し合いでは、フォードがバッジと小切手帳以外にレッドブルのプログラムに実際に何をもたらすことができるのか、また、チーム内のレッドブル・パワートレインズ部門ですでに作業がかなり進められている中、2つのパートナー間でどのようにパワーユニットプログラムを運営するのかが大きな問題だった。

    「クリスチャンに最初に尋ねたのは、『パートナーに何を求めているのか?』ということだった。そして、我々がパートナーに求めていることを伝える用意もできていた。その話し合いの最初の20分間で、非常に幅広い合意が得られた」とラッシュブルックは振り返る。

    「最初のミーティングでは、レッドブル・レーシングがパワーユニットとレーシングチームに関してどのようなサポートを必要としているか、また、我々が貢献したいと考えている分野や学んでいきたい分野についても概略を説明した。そのプロセスは現在も継続しているが、当初の話し合いよりもリストは長くなっている」

    最初のミーティングの後、フォードは主に2026エンジンの電気部品の提供を支援するという考えだったが、ラッシュブルックは舞台裏ではさらに多くのことが行われていると強調する。

    「アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)は、その良い例だ。我々は、それを行うための優れたリソースと材料を持っている。当初のリストにはなかったが、今まさに実現している。内燃エンジンやターボへの貢献も同様だ。それらも当初のリストにはなかったが、モデリングやテストに関する我々の知識はレッドブルの役に立つはずだ」とラッシュブルックは言う。

    ラッシュブルックによると、フォードはマーケティング上の露出だけでなく、前述の通り市販車への技術移転も目的としていることが強調されている。

    「我々の主な焦点は、電動化、バッテリーセルの化学、バッテリーパック、モーター、インバーター、そしてコントロールとソフトウェアにも置いている。これは我々にとって大きなチャンスだ」

    レッドブルが当初ポルシェと協議していた内容とは、まったく異なるやり方だとホーナーは指摘する。

    「最初からマークとジム・ファリーは『君たちは毎日F1に取り組んでいる。それが君たちの本業だ。我々の手法を押し付けるつもりはない。我々に何ができるか、どこで支援できるか教えてほしい』解いていた。非常にオープンな姿勢だった。エンジニアに押し付けないパートナーシップだと感じた。このような関係では時折起こるが、我々が検討していた他の選択肢では懸念していたことだ」

    レッドブル F1 フォード

    マテシッツの精神:「ノーリスク、ノーファン」
    2026年にそのコラボレーションの最終プロダクトがどれほどの競争力を持つかはまだわからないが、ホーナーは最初の1年が順風満帆にいくなどとは夢にも思っていないと認めた。しかし、現在の体制ではエンジンに対する全責任を負っていないため、ブランドが世間から厳しく批判されることはないだろうと、フォードの利点も見ている。

    「まるで祖父母のようなものだよ」とホーナーは冗談を言った。

    「子供から得られる恩恵や良い面はすべて手に入るが、その後は親に返すことになる。そうすれば、眠れない夜もオムツを替える必要もなくなる。ある意味で似ているね」

    「ブルー・オーバルがF1に戻ってくることは、我々にとってただただワクワクすることだ。もちろん、我々がやっていることにはリスクが伴う。エンジンを独自に製造するなど、常軌を逸している。しかし、ディートリッヒ・マテシッツがいつも我々に言っていたように、『ノーリスク、ノーファン』だ。このプロジェクトにも当てはまる。そして、同じ考えを持つパートナーなしには成し遂げられなかったことだ」

  • ホンダF1 2025年以降にレッドブルと異なる道を歩むことになった舞台裏

    ホンダF1 2025年以降にレッドブルと異なる道を歩むことになった舞台裏

    ホンダとレッドブルのパートナーシップは、今年限りで決定的に終了することになる。しかし、状況はまったく異なるものになっていた可能性もある。ホンダ・レーシングの渡辺康治とレッドブルのクリスチャン・ホーナーが、両ブランドが異なる道を歩むことになった理由を振り返る

    メルセデスが支配する時代に不運なスタートを切ったレッドブルだが、ホンダとのパートナーシップにより両チームを再びトップへと押し上げた。

    マックス・フェルスタッペンはセバスチャン・ベッテルの足跡をたどり、2024年末までに63勝を挙げ、4度目のワールドチャンピオンに輝いた。

    しかし、レッドブルがレッドブル・パワートレインズ・フォードで独自に物事を進める一方、ホンダは2026年の新しいパワーユニット規制に向けてアストンマーティンと手を組むなど、サクセスストーリーは終わりを迎えようとしている。

    2020年10月:ホンダ撤退
    レッドブルとホンダのパートナーシップの終わりの始まりは、ホンダが2021年シーズンをもってF1から撤退することを公式に発表した2020年10月2日だった。ホンダは、電気自動車化に全力を注ぐとし、世界的な新型コロナウイルス危機による経済的影響を懸念していると述べた。

    「ホンダは、将来のパワーユニットとエネルギー技術の研究開発に企業資源を集中させる必要がある」と当時の声明には書かれていた。高額なF1プログラムは、もはやその構想に合わなくなっていた。

    レッドブル自身を含め、F1パドックの多くの人々にとって衝撃的な出来事だった。レッドブルは限られた選択肢の中から計画を練り直さなければならなかった。

    「私は運命を強く信じている。新型コロナウイルス感染症の流行中にホンダが撤退を決めたことで、選択肢が残された」とチーム代表のクリスチャン・ホーナーは語った。

    「メルセデスからはエンジンが供給されないし、フェラーリからは何気筒エンジンが供給されるのかも分からなかった。ルノーとは一度経験済みだったし、また戻るのも正しくないように感じた。『よし、決断しよう』とほぼ強制的に感じられた」

    左派の選択肢のひとつは、ホンダのIPを取得し、ルールサイクルの終了まで現在のパワーユニットを製造することだったが、それは双方にとって管理が複雑すぎることが判明した。

    「それを検討したところ、ますます複雑になっていった。なぜなら、そのプロセスは単にエンジンを製造するだけではなく、サプライチェーンなど、それ以上のことが絡むからだ」とホーナーは語った。

    より現実的な道は、2025年末までのホンダとレッドブル間の有償契約だった。ホンダは技術サポートを提供し、レッドブル・レーシングとレーシング・ブルズの両チームのエンジンは引き続き日本から供給されることになった。

    「私たちはF1活動の停止を発表しましたが、レッドブルとの話し合いの結果、彼らは活動を継続してほしいと希望しました」とホンダ・レーシングの渡辺康治氏はオートスポーツ誌に語った。
    「それが理由で、私たちはある意味でテクニカルサポートのような立場になりました。実際、私たちは今でもパワーユニットのすべてを管理しています」

    クリスチャン・ホーナーは次のように付け加えた。「我々はホンダのカスタマーだ。エンジンにかかる費用はレッドブル・パワートレインズという別組織を通じて支払っている。素晴らしい関係が続いており、彼らは我々が支払っている4台の車にエンジンを供給するという素晴らしいサービスを継続的に提供してくれている」

    ホンダ・レーシング F1

    2022年11月:ホンダがF1撤退のUターンを決断するも、レッドブルはすでに次のステップへ
    ホンダは、持続可能な燃料やハイブリッドパワーの割合拡大といった、日本企業が追求する方向性を持つ2026年のレギュレーションが動き出したことで、自らの決断について再考し始めた。

    「ホンダの視点から見ると、2026年の新しいF1レギュレーションは、内燃エンジンが50%、電気部品が50%というもので、ホンダとホンダ・レーシングの両方にとって非常に魅力的です」と渡辺康治は説明した。

    「カーボンニュートラル燃料という方向性も我々にとっては非常に良いものです。それが、基本的に我々が公式にF1に復帰することを決めた理由です」

    ホンダが2026年について最初に協議したのはレッドブルであり、アドバイザーのヘルムート・マルコが日本にあるホンダを訪問した。

    「しかし、我々がF1から撤退したとき、レッドブルは独自のパワーユニット会社を設立することを決定していました。それが、基本的に協力の余地がなかった理由です」と渡辺康治はその会議を振り返る。

    ホンダが考えを変えるまでに、レッドブルはすでに数百万ドルを独自のパワートレインプロジェクトに投資し、ミルトン・キーンズのキャンパスに専門部門を立ち上げていた。マックス・フェルスタッペンが指摘するように、後戻りはできなかった。

    「数年前、彼らは『やめるつもりだ』と言っていたので、レッドブルは独自のエンジン部門を立ち上げた。残念ながら、一度エンジン全体を独自に製造するプロセスに入ってしまうと、もう協力関係を築くことはできない」

    しかし興味深いことに、ホンダとレッドブルは2026年用の別の選択肢についても話し合っていた。

    「定期的な話し合いのなかで、レッドブルが内燃機関を自社で製造し、我々が電気部品を担当するという選択肢についても話し合いました」と渡辺康治は明かした。

    「しかし、彼らがICEのみを製造し、我々が電気部品を担当するとなると、まったく容易なことではありません。結局、この条件では協力は不可能だということが分かりました」

    英国で生産される内燃エンジンと、日本から供給される電気部品を組み合わせることは、2つの異なる大陸で作業するという複雑さも含めて、ギャンブルだっただろう。もう一つのリスクは、どちらの側も最終製品を完全にコントロールできないことだった。例えば、内燃エンジンが期待外れだった場合、それは間接的にホンダの評価にも影響するが、日本のエンジニアにはそれをコントロールする術がない。

    本田技研工業 F1

    2023年5月:ホンダがアストンマーティンと契約、レッドブルはフォードの支援を受ける
    最終的に、両ブランドは2026年に別々の道を歩むことになった。ホンダは最終的に、ローレンス・ストロール率いる野心的なアストンマーティンチームと契約を結んだが、渡辺康治は複数のチームが関心を示していたことを明かしている。

    「最初の段階では、ホンダとレッドブルの間での話し合いだけでした」と渡辺康治は振り返る。

    「他のチームとの話し合いは、2026年のパワーユニットサプライヤーとしてFIAに正式に登録した後から始まりました。それが2022年11月のことです。その後、ホンダとの提携に関心を持つ他のチームから連絡がありました。それらのチームと話し合い、決定しました」

    ホンダにアプローチしてきたチームの数を尋ねると、渡辺康治は「正確な数字は申し上げられませんが、複数のチームです。そのうちのいくつかのチームとは一度しか接触がなく、また別のチームとは何度かお会いしています」と答えた。

    一方、レッドブル・パワートレインズはフォードと技術提携契約を結び、フォードのOEMは「バッテリーセルと電気モーター技術、そしてパワーユニットの制御ソフトウェアと分析」の専門知識を提供すると説明されている。エンジンは依然としてミルトンキーンズで製造・開発されている。

    これは膨大な作業だが、クリスチャン・ホーナーはレッドブルが初めて自社でパワーユニットプログラムに取り組むことは、チャンスでもあると考えている。

    「将来的な保護の観点から、ホンダの場合のように、突然経営陣が変わったり、本社がF1はもう自分たちに合わないと決断したりして、エンジンが手に入らなくなるような状況にはなりたくなかった」

    「この方法なら、自分たちの運命をよりコントロールできる。我々が投資した資金は長期的なものであり、短期的なコミットメントではない。フェラーリを除けば、2026年まで同じ所有権のもとで完全に統合されたチームは我々だけだ。我々にとって、これは非常に価値のあることだ」

    「2026年に課題がないなどと幻想を抱いてはいない。メルセデス、フェラーリ、ホンダという強力なライバルたちに対して、競争力のあるパワーユニットでスタートダッシュを切るということだ。彼らはすべて、何十年もの経験を持つ巨大メーカーだ。我々には3年間の経験があるが、情熱は計り知れないほどある。素晴らしい人材、施設、パートナー、そしてこれまでの122勝という成績を支えてきた姿勢がある」

    「ミルトン・キーンズで設計、製造されたエンジンでその勝利数を増やせたら、とてもやりがいがあるだろう」

  • レッドブル 2026年F1エンジンでの成功にはフォードとの提携が「極めて重要」

    レッドブル 2026年F1エンジンでの成功にはフォードとの提携が「極めて重要」

    レッドブル・レーシングのF1チーム代表であるクリスチャン・ホーナー代表は、迫り来るF1レギュレーション変更がチームとパートナーであるフォードに与えるであろう課題を「過小評価」しているわけではないと主張した。

    レッドブル・レーシングは、2024年に直面した問題を克服しようとしている。この問題により、コンストラクターズチャンピオンシップをマクラーレンに譲ることになった。

    しかし、2025年のタイトル奪還を目指す一方で、レッドブルは、来季に控えるリセットにも注目している。自社開発のエンジンをデビューさせる予定だ。

    2021年で開発を終了するというホンダの当初の決定は、レッドブル・パワートレインズを立ち上げ、チームの作業を一つのキャンパスに集約するよう促した。

    しかし、レッドブルは単独で取り組むわけではなく、フォードと協力して、内燃機関と電気のパワーを50/50で組み合わせた改良型パワーユニットに取り組むことになる。

    クリスチャン・ホーナーは、レッドブル・レーシングとサテライトチームのレーシングブルズの両方が使用するパワーユニットを製造するこの新しい事業に繰り返し自信を示している。
    しかし、フェラーリやメルセデスといった老舗メーカーと肩を並べてタイトルを獲得するだけの競争力を維持するのは、レッドブルにとって困難な課題であるという幻想は抱いていない。

    「2025年の幕開けにフォード・パフォーマンスを祝うことができ、また、2026年にF1とレッドブルに訪れるであろう挑戦と変化に共に備えることができるのは素晴らしい」とクリスチャン・ホーナーはフォードとの最近のイベントで語った。

    「チームにとって非常にエキサイティングな時期であり、独自のエンジンを製造するという見通しは決して過小評価できない事業であるが、フォードとのパートナーシップはプロジェクト全体において極めて重要なものだ」

    「フォードには長い歴史があり、120年にわたるモーターレースと開発における成功の代名詞である。今日の発表は、その成功と成長を反映したものである」

    「フォードは、我々のパワートレイン開発に貢献しているだけでなく、レッドブル・フォード・アカデミー・プログラムのタイトルスポンサーとして、女性才能の支援に献身する我々の姿勢を模範としている。まさにエキサイティングな時代だ」

    レッドブル・レーシングフォードのジム・ファーリー社長は、2026年からのレッドブルとのコラボレーションを心待ちにしている。

    レッドブルとの提携は「フォードのテクノロジーをアピールする」
    フォードとレッドブルの提携は、自動車業界の巨人であるフォードが2004年にジャガーが撤退した際にF1から撤退して以来、長きにわたって休止していたF1への復帰を意味する。

    レッドブルはチームを買収し、それ以来、ドライバーズタイトル8回、コンストラクターズタイトル6回を獲得しており、フォードがF1に復帰するにあたり理想的なパートナーである。

    「F1は、フォードのテクノロジーを世界的な舞台でまったく新しいオーディエンスに披露し、象徴的なフォードブランドに対する世界中の人々の興奮を喚起するチャンスだ」とフォード・モーター・カンパニーの社長兼CEOであるジム・ファーリーは付け加えた。

    「これはフォードの歴史において非常にエキサイティングな章である。過去20年にわたり、レッドブルはF1の状況を一変させることに成功した。それは、従来とは異なるやり方を貫くという信念によって達成されたものであり、レッドブル・フォード・パワートレインズのパートナーシップやレッドブル・フォード・アカデミー・プログラムのタイトルスポンサーシップにおいても、その精神は十分に発揮されている」

  • フォード レッドブル・パワートレインズのF1パワーユニット部品ですでに成果

    フォード レッドブル・パワートレインズのF1パワーユニット部品ですでに成果

    レッドブルとフォードは、次世代のF1レギュレーションに向けた新しいパワーユニットの開発で協力している。

    ホンダがF1からの撤退を決定したことを受け、レッドブルはエンジンプログラムを自社開発することにした。昨年2月に発表されたとおり、フォードは20年ぶりにF1に復帰する米国の自動車大手として、レッドブルとこのプロジェクトで提携した。

    F1チームのミルトンキーンズ拠点にあるレッドブル・パワートレインズに加え、フォードは米国にも独自の施設を構え、2026年のパワーユニットの開発を進めている。

    フォードの説明によると、その作業の一環として航空宇宙産業の試験方法を導入しており、すでにチーム向けの3Dプリントコンポーネントを製造している。

    「それは、ボルトやナットのような簡単なものではない」と、フォード・パフォーマンス・モータースポーツ・パワートレイン・マネージャーのクリスチャン・ハートリッヒは語る。

    「これらは複雑な金属やポリマー製の部品で、極限までテストされ、平均時速200マイルのレースにも耐えられるようになっている」

    クリスチャン・ハートリッヒによると、フォードはレッドブルのために、バッテリーの冷却プレートや他のマシンの冷却場所など、約1000個の部品を製造したという。

    各パーツの完成後には、強度、硬度、幾何学的適合性のテストが実施される。

    フォードの非破壊評価チームは、組織内の他の部門の貢献も得て、コンポーネントのX線検査やCTスキャンも実施している。

    レッドブル・パワートレインズフォード・パフォーマンスはすでにレッドブル・パワートレインズにパーツを供給している。

    「我々は、このプログラムを支援するために、フォードのあらゆる専門分野のチームを結集している」とハートリッヒは述べた。

    「このプロジェクトに取り組んでいるのはモータースポーツ部門だけではない。 すでにこれほど多くの部門が関わっていることに驚いている」

    フォードは内燃機関とハイブリッドシステムの双方の開発に貢献している。

    F1チームのコース上でのパフォーマンス向上を主目的としているが、フォードの関与は自社のロードカー事業にも影響を与えている。

    このプロジェクトから得た教訓や技術を既存および将来の製品ラインに適用することに関心を示している。F-150プログラムはすでにその恩恵を受けている。

    F-150では、従来の検査では発見できなかった接着剤の溢れ出しが原因でヘッドライトに結露が発生していた。

    しかし、非破壊エンジニアリングチームとの1日間のテストで、この問題が特定された。

    フォードはF1に復帰した。新しい空力ルールと併せて新しいパワーユニットのレギュレーションが導入されたためである。

    2026年からは、マシンの出力の半分をハイブリッドシステムが占めるようになる。

    また、新規参入者にとってより魅力的で参加しやすいスポーツとなることを期待して、高価なMGU-Hシステムを廃止した。

    フォードがレッドブルと提携したことは、アウディがシャシーとパワーユニットの製造メーカーとして本格的に参入したことと時を同じくしており、一方、キャデラックは2026年にグリッドに参戦する予定で、当初はフェラーリ製エンジンの供給から始める。

    ゼネラルモーターズは、このプロジェクトのために独自のF1パワーユニットを開発する意向を表明している。

  • フォード 強豪レッドブルF1との提携は重圧「我々は勝たなければならない」

    フォード 強豪レッドブルF1との提携は重圧「我々は勝たなければならない」

    レッドブル・パワートレインズとフォードは、2026年シーズンに向けて大きな挑戦に臨む。新レギュレーションが施行された暁には、両社が提携し、レッドブル・レーシングとレーシングブルズにパワーユニットを供給することになっている。

    レッドブル・レーシングのF1チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、フェラーリ、メルセデス、ホンダ、アウディと競い合うことがどれほど難しいかを理解している。

    それでもレッドブルとフォードは自信に満ちている。両社はこれまでの協力関係がうまくいっていると信じているからだ。ホーナーはフォード・パフォーマンスの2025年シーズンローンチで説明した。

    「フォーミュラ1は他のビジネスと同様に、人々のスポーツであり、最高のスタッフを揃えなければならない。最高のデザイナー、エンジニア、技術者だ」とホーナーはコメント。

    「我々がフォードに求めたことは、どんなことでも、決して無理な要求ではなかった」

    レッドブル・レーシングは、セバスチャン・ベッテルとフェルスタッペンがそれぞれ4回ずつドライバーズタイトルを獲得するなど、レースでは素晴らしい実績を残している。そのため、このコラボレーションには成功が強く求められている。

    フォード・モーター・カンパニーの社長兼CEOであるジム・ファーリーもまた、そのことを理解している。

    「大きなプレッシャーになるだろう」とジム・ファーリーは語る。

    「誰もがフォードに期待している。長い年月を経てF1に復帰するというのは、素晴らしい、ワクワクする瞬間だ。しかし、我々は勝たなければならない。だから、そこにはプレッシャーが生まれる」

    レッドブル・レーシング

    明確な目標を持つレッドブル:「パワフルで信頼性の高い」パワーユニット
    レッドブルはホンダとの最後のシーズンをまだスタートさせていないが、ホーナーはすでに2026年のパワーユニットにも目を向けている。

    「今週、1年後にはレッドブルとフォードのパワートレインがバルセロナのピットレーンで2チームを走らせることになるだろう。このエンジンをパワフルで信頼性の高いものにするには、あと48週間ある」

    一方、レッドブルのライバルたちも、レッドブル勢に打ち勝ち、互いに競り勝とうと懸命に努力している。

    「我々は強力なライバルたちと戦っている。フェラーリ、メルセデス、ホンダと戦っている。GMも参入してくる。彼らとは戦わないだろう」とホーナーは笑った。

    「だから、超競争的になるだろう」