カテゴリー: フォード F1

  • レッドブルF1代表 ホンダへの特別救済措置を支持「必要なら解決策を見つける」

    レッドブルF1代表 ホンダへの特別救済措置を支持「必要なら解決策を見つける」

    ホンダF1が抱えるパフォーマンス不足をめぐり、レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースが、FIAによる支援策の導入に理解を示した。

    FIA会長のモハメド・ビン・スライエムはF1スペインGPが開催されたマドリードで、アストンマーティン・ホンダの状況を改善するため、FIAに何ができるのかフェルナンド・アロンソに説明するよう求めたことを明らかにしていた。

    アロンソが2027年以降もF1を続けるかどうか決断を保留しているなか、ホンダF1のパワーユニットの競争力不足が、その判断を左右する要素のひとつになっていると報じられている。

    メキース「スポーツのために全チームが賛成した」
    ホンダF1の折原伸太郎はその後、状況を一変させるような「魔法の解決策」はないとの考えを示し、あくまで自社の開発プログラムに集中していることを強調した。

    一方、ローラン・メキースは『La Gazzetta dello Sport』に対し、大きく後れを取ったメーカーを支援するため、F1が全体として対応した前例がすでに存在すると指摘した。

    「今年の初めにも、大きく後れを取ったところを助けるため、まさにADUOのレギュレーションに最初の変更が加えられた」

    「スポーツ全体の利益のため、全チームがそれに賛成した」

    さらにメキースは、各チームの利害が必ずしも一致しないF1においても、必要な場合には共通の解決策を見いだすことは可能だと語った。

    「すべてについて意見が一致するわけではない。だが、解決したり支援したりする必要がある状況なら、我々は解決策を見つける」

    ローラン・メキース(レッドブル・レーシング)

    ヴォルフも公平性を条件に支援策を支持
    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフも、同様の考えを示している。競争の公平性が保たれ、選手権全体の利益につながるのであれば、ホンダF1を含めた競争力の低いパワーユニットメーカーに対する調整について議論すること自体は妥当だとの立場だ。

    2026年からF1のパワーユニット規則は大幅に変更され、各メーカーの間にはパフォーマンス差が生じている。こうした格差を一定の条件下で縮小するための仕組みとして導入されているのがADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)である。

    ビン・スライエムがさらなる対応の可能性に言及したことで、ホンダF1に追加の開発機会などを認めるべきかどうかが新たな焦点となっている。

    とりわけアストンマーティンにとって状況は重要だ。ホンダF1のパワーユニットの競争力不足が続くなか、その改善速度はチームの今後だけでなく、アロンソが2027年もF1に残るかどうかを判断する材料のひとつになるとみられている。

  • リアム・ローソン 同じPUのレッドブルF1で困惑「パワーデリバリーが理解できない」

    リアム・ローソン 同じPUのレッドブルF1で困惑「パワーデリバリーが理解できない」

    リアム・ローソンが、レーシングブルズと同じレッドブル・パワートレインズ製パワーユニット(PU)を搭載するレッドブルRB22で、パワーデリバリーの違いに苦戦していたことが明らかになった。

    ローソンは2026年F1イタリアGPで、負傷したアイザック・ハジャーの代役としてレッドブル・レーシングから出場。レーシングブルズのVCARB-03で使い慣れているはずのPUだったが、RB22ではその出力特性を理解することが難しく、それが自身を「最も妨げている」と訴えていたという。

    同じレッドブルPUでもRB22では異なる感触
    2026年からレッドブル・レーシングとレーシングブルズは、ともにレッドブル・パワートレインズ製PUを搭載している。

    ローソンはレーシングブルズでVCARB-03をドライブしてきただけに、レッドブルのPUそのものには十分な経験がある。通常であれば、代役として別チームのマシンに乗り換える際にも、少なくともエンジン側の特性については一定の知識を持っていることになる。

    しかし、実際にRB22を走らせると、その感触はVCARB-03と同じではなかった。

    F1イタリアGPのFP1でローソンの無線を聞いていたF1TVのアレックス・ブランドルは、中継では放送されなかった興味深いやり取りがあったことを明かしている。

    「リアム・ローソンについて話そうと思って来たんだけど、彼は不安定さの問題を抱えている。それに加えて、現時点でレッドブルのパワーデリバリーを理解できないとも言っている。彼が自分を最も妨げているものとして挙げているのは、そこだ」

    つまり、ローソンが苦戦していたのは単純なPUの性能不足ではなく、アクセル操作に対してどのようにパワーが立ち上がるのかというドライバビリティの部分だった。

    レーシングブルズで経験済みのPUが「最大の足かせ」に
    この証言が興味深いのは、ローソンがレッドブル・パワートレインズ製PUを初めて経験したドライバーではないという点にある。

    レーシングブルズも同じPUを使用しており、ローソンはVCARB-03でその特性を十分に経験してきた。それにもかかわらず、RB22に乗り換えるとパワーデリバリーを「理解できない」と感じていた。

    同じPUを搭載していても、実際のドライバビリティはマシンごとに同一になるわけではない。エネルギーマネジメントやスロットルマッピング、ギアリング、シャシー側の特性などが組み合わさることで、ドライバーがアクセルペダルから受け取る感覚には違いが生じる。

    ローソンはFP1でRB22について「不安定だ」とも繰り返し訴えていた。アレックス・ジャックは当時のF1TV中継で「彼は無線でマシンが『不安定だ』と言っている。そしてFP1を通して、ずっと同じことを言い続けている」と伝えている。

    それでもローソンはFP1を4番手で終えたが、ベストタイムはソフトのC5タイヤで記録したものだった。トップタイムのシャルル・ルクレールはミディアムのC4タイヤを使用しており、順位ほど順調なセッションではなかったことが無線からもうかがえる。

    リアム・ローソン(レッドブル・レーシング)

    RB22特有の扱いにくさを示すローソンの証言
    レッドブル・パワートレインズは2026年の新レギュレーション導入に合わせて初の自社製F1パワーユニットを投入。FIAのADUO評価では、そのICE(内燃エンジン)は高い性能を示している。

    一方で、絶対的なエンジン性能とドライバーが感じる扱いやすさは別の問題だ。

    レーシングブルズで同じPUを経験してきたローソンが、RB22に乗った途端にパワーデリバリーへの戸惑いを訴えたことは、その違いを浮き彫りにするものだった。

    ローソンにとってレッドブルへの乗り換えは、単に同じPUを搭載した別のシャシーに乗るというほど単純なものではなかった。使い慣れたはずのレッドブル製PUでさえRB22では異なる振る舞いを見せ、その特性を理解すること自体が課題になっていた。

  • マックス・フェルスタッペン F1のV8復活を2030年まで待つ覚悟「受け入れる」

    マックス・フェルスタッペン F1のV8復活を2030年まで待つ覚悟「受け入れる」

    マックス・フェルスタッペンは、F1とFIAとの協議を経て、将来的なV8エンジン復活を見据えながら、現行パワーユニット(PU)規則を受け入れる姿勢を示した。現在の2026年型PUには依然として満足していないものの、2027年と2028年に予定される変更、さらに2030年を視野に入れた次世代エンジン構想を踏まえ、「待つ用意がある」と語っている。

    2026年に導入された新PU規則をめぐっては、フェルスタッペンはシーズン前から厳しい批判を続けてきた。

    一方でF1とFIAも電動側への依存度を抑える方向で規則を段階的に修正する方針を固めており、その先にはV8エンジン復活という大きな選択肢も浮上している。

    2026年型PUを「素晴らしいとは言えない」と評価
    2026年のF1では、内燃エンジン(ICE)と電動側の出力比率が大きく変化した。2025年まではおおむねICEが80%、電動側が20%だったのに対し、新規則では両者の比重が大幅に接近した。

    このコンセプトにフェルスタッペンは早い段階から疑問を呈していた。プレシーズンテストでは新世代マシンを「アンチ・レーシング」と表現し、「ステロイドを使ったフォーミュラEのようだ」とまで評している。

    特に問題視してきたのが、電気エネルギーのマネジメントがドライビングやレースそのものに与える影響だ。サーキットによってはエネルギーの使い方がパフォーマンスを大きく左右し、従来のF1とは異なる走らせ方を要求される。

    当時は、状況次第ではF1から早期に退く可能性まで示唆していたフェルスタッペンだが、その後レッドブル・レーシングとの契約を2030年末まで延長した。

    そして現在は、現行規則に対する不満そのものは変わっていないものの、その先に予定されている改善を含めて受け止めようとしている。

    「僕は今の状況を受け入れている。もちろん、個人的には満足していない」

    フェルスタッペンは現在のPU規則についてそう語った。

    「でも同時に、F1やFIAと話し合ってきたなかで、来年とその翌年に向けて少しずつ改善しようとしている。それに僕が契約した年まで考えれば、V8が復活する可能性への扉も開かれている。だから僕はそれを受け入れるつもりだ。ただ、現時点で素晴らしいかと言われれば、そうではない」

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    2027年と2028年にICEの比重を段階的に拡大
    フェルスタッペンが「少しずつ改善」と表現した背景には、すでに決まっているPU規則の変更がある。

    2027年にはICEの最大出力が現行の420kWから450kWへ引き上げられ、ICEと電動側の出力配分も見直される。さらに2028年にはICE側の比重を一段と高め、出力配分を60対40まで変更する方向となっている。

    つまり2026年規則をそのまま維持するのではなく、F1とFIAは段階的にICEへの依存度を高めることで、現在表面化している問題への対応を進める。

    フェルスタッペン自身も、F1およびFIAとの協議に参加しながら、こうした方向性について意見を交わしてきた。

    「僕は今でもレースが大好きだ。今もF1マシンであることに変わりはないし、サーキットによって良いところもあれば、そうではないところもある。そして、いくつかの部分について改善できることは間違いなく分かっている」

    「だから、これから数年かけて少しずつ良くなっていくことを願っている」

    2030年のV8復活が長期契約の先に
    その先にあるのがV8エンジンの復活だ。

    FIA会長モハメド・ベン・スレイエムは、2030年を次世代PU導入のターゲットとしており、V8エンジンをF1に復活させる構想を推進している。実現すれば、2013年以来のV8復活となる。

    フェルスタッペンがレッドブル・レーシングと新たに結んだ契約も2030年末までとなっている。このため、現在の契約期間は次世代PUへの移行が想定される時期と重なる。

    今回の発言で重要なのは、フェルスタッペンが単純に現行PUへの批判を撤回したわけではない点だ。「個人的には満足していない」「現時点では素晴らしくない」という評価は変えていない。

    その一方で、F1とFIAとの直接的な話し合いを通じて、2027年、2028年と段階的に改善し、その先にV8復活の可能性を残すロードマップであれば受け入れられるという姿勢に変化している。

    そしてV8が実際に2030年から復活することになれば、フェルスタッペンが2030年代もF1でレースを続ける可能性も出てくる。

    現行PUへの不満から将来の引退まで口にしていたフェルスタッペンにとって、V8復活への「開かれた扉」は、F1に残り続けるうえで無視できない要素となっている。

  • レッドブルF1に痛手 第2回ADUOでも対象外 2026年PU追加開発不可

    レッドブルF1に痛手 第2回ADUOでも対象外 2026年PU追加開発不可

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1シーズンに導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)の第2評価期間の結果を公表した。第1期間で最も高い性能を持つパワーユニット(PU)と判定されたレッドブル・フォード・パワートレインズには、第2期間でも追加のホモロゲーション枠は与えられなかった。

    これにより、レッドブルは2026年シーズン終了までADUOを利用したPUアップグレードを行うことができない。

    一方、第1期間の評価で基準となるレッドブルから一定以上の性能差があると判定されたメルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダには、すでに追加開発の機会が認められている。

    第2回ADUOでは全メーカーに追加枠なし
    FIAは水曜日、2026年のADUOについて、第1期間と第2期間の評価結果を正式に発表した。

    第1期間はカナダGP終了後、第2期間はハンガリーGP終了後に評価が締め切られた。

    そのなかでFIAは、第2期間について「いずれのパワーユニットメーカーにも追加のホモロゲーションは付与されなかった」と明らかにした。

    つまり、第1期間で追加開発の対象外だったレッドブル・フォード・パワートレインズにとって、第2期間は新たな開発機会を得るチャンスとはならなかった。

    ADUOは、2026年から始まった新しいPUレギュレーションの下でメーカー間の性能差が大きくなった場合、後れを取ったメーカーに追加の開発機会を与えるために導入された制度だ。

    評価基準となる最上位メーカーとの性能差に応じて、追加ホモロゲーションやダイナモテスト、コストキャップ面での追加枠が認められる。

    レッドブルが「最強PU」と正式認定
    FIAの今回の発表によって、第1期間の評価でレッドブル・フォード・パワートレインズが最も高い性能を持つPUと判定されていたことも正式に確認された。

    これは2026年シーズン序盤のF1パドックで広く共有されていた認識とは異なるものだった。

    開幕からのパフォーマンスを受け、メルセデスが最も競争力の高いPUを持っているとの見方が強かったが、FIAの分析ではレッドブルが基準となった。

    メルセデスはレッドブルに対して2〜4%の性能差があるカテゴリーに分類され、2026年に1回、2027年に2回の追加ホモロゲーションが認められた。さらにコストキャップとダイナモテストについても追加枠を得る。

    一方、フェラーリ、アウディ、ホンダはいずれも4%を超える性能差があると判定されたため、2026年と2027年にそれぞれ2回の追加アップグレード機会が認められている。

    レッドブルはFIAの評価に反発
    レッドブル側は、第1期間で自社PUが最高性能と評価されたことに疑問を呈してきた。

    チーム代表のローラン・メキースは、レッドブル・フォード・パワートレインズがライバルをリードしていることを示す「データポイントはひとつもない」と主張し、FIAに事実関係の再検討を求めていた。

    モナコGP後にこの評価が明らかになった際には、その後数週間以内にFIAから正式な発表が行われるとみられていたものの、公表は見送られていた。

    今回、FIAが第1期間と第2期間の結果をまとめて発表したことで、少なくともADUOの評価上ではレッドブルが基準メーカーであることが正式に確定したことになる。

    そして第2期間でも追加ホモロゲーションが認められなかったことで、レッドブルは少なくとも2026年中、ADUOによる追加アップグレードの恩恵を受けることができない。

    レッドブル・レーシンフ

    FIA「分析結果には高い信頼性がある」
    ただしFIAは、各メーカーの具体的な性能指数については公表しない方針を示している。

    FIAは声明で「この情報の機密性を考慮し、パワーユニットの性能指数測定に関するこれ以上の詳細は公表されない」と説明した。

    FIAシングルシーター部門ディレクターのニコラス・トンバジスは、ADUOの評価について次のように語った。

    「FIAはADUOのレビュー過程の一環として、徹底的かつ包括的な分析を行った」

    「第2期間の結果を公表するにあたり、データの質を踏まえれば、その分析は極めて堅牢なものであり、我々の結論には非常に高い信頼性があると確信している」

    一方で、PUメーカーの技術情報をどこまで公開できるかには限界があると説明する。

    「結果の詳細を公表するにあたっては、チームとパワーユニットメーカーの機密性、そして知的財産を尊重しなければならない」

    また、ADUOが導入初年度の制度であることから、将来的に仕組みが変更される可能性も認めた。

    「今年はADUOの初年度なので、当然ながら、すべてのPUメーカーと協議しながら今後発展させていく可能性のある領域も存在する」

    第3回評価が残っていてもレッドブルは救済対象外
    2026年シーズンのADUO評価はこれで終了ではない。第3評価期間はメキシコシティGP終了後に設定されており、そこで再び各メーカーのPU性能が評価される。

    ただし、レッドブル・フォード・パワートレインズにとって、第3期間は2026年中の追加アップグレードを獲得する機会にはならない。

    ADUOの規則では、シーズン最初の2回の評価期間のいずれでも追加開発機会を与えられなかったPUメーカーは、そのシーズン最後の評価期間で新たにADUOの対象になることはできない。

    レッドブルは第1期間で最も高い性能を持つPUと判定され、ADUOを付与されなかった。さらに第2期間でも追加ホモロゲーションは認められなかったため、この条件に該当する。

    つまり、第3期間の評価で勢力図が変化し、仮にレッドブルがライバルメーカーに対して性能面で後れを取る結果になったとしても、それを理由として2026年中の追加ホモロゲーションを新たに獲得することはできない。

    一方、第1期間の評価ですでにADUOの対象となったメルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダには追加開発の機会が認められている。

    初の自社開発F1パワーユニットを投入したレッドブルにとって、第1、第2期間でADUOを獲得できなかったことで、2026年中に同制度を利用してPUを追加アップグレードする道は閉ざされたことになる。

  • FIAがF1新PUのADUO結果発表 レッドブルが基準 ホンダら3社は4%超の差

    FIAがF1新PUのADUO結果発表 レッドブルが基準 ホンダら3社は4%超の差

    FIA(国際自動車連盟)は、2026年F1で導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities/追加開発・アップグレード機会)制度について、最初の2回の公式評価結果を発表した。

    レッドブル・パワートレインズのパワーユニット(PU)が基準となり、メルセデス、フェラーリ、アウディ、ホンダには性能差に応じた追加開発の機会が与えられる。

    なかでもフェラーリ、アウディ、ホンダは基準から4%を超える差があると判定され、2026年と2027年にそれぞれ2回ずつの追加アップグレードが認められる。これはADUO制度で認められる最大の開発機会となる。

    レッドブル・パワートレインズがADUOの基準PUに
    ADUOは、F1が新しいパワーユニット規則を導入した2026年から採用された制度である。新規則では内燃エンジンと電動部分の出力比率が大きく変更され、各メーカー間に生じる性能差を一定の範囲内に収めるため、後れを取ったメーカーに追加の開発機会を与える仕組みが設けられた。

    FIAは今回、最初の2回の公式レビューの結果を明らかにし、レッドブル・パワートレインズが現在の基準となるPUを持っていると判定した。

    レッドブルにとって2026年は、自社製パワーユニットでF1に参戦する最初のシーズンである。それにもかかわらず、FIAによるADUOの評価では他メーカーが追うベンチマークとなった。

    ただしFIAは、各PUメーカーの性能をどのような具体的な指標によって比較し、差を算出しているのかについて詳細を公表していない。

    メルセデスは2%超の差で追加アップグレード1回
    メルセデスは、基準となるレッドブル・パワートレインズに対して2%を超える差があると判定された。

    これによりメルセデスには、2026年に1回、2027年にも1回の追加アップグレードを実施する機会が与えられる。

    さらにADUOでは、性能差に応じて開発費とベンチテスト時間についても追加枠が設けられている。

    メルセデスにはコストキャップ上の追加枠として300万ドルが認められ、さらに70時間の追加ベンチテストが許可される。

    ホンダF1 エンジン ADUO

    フェラーリ、アウディ、ホンダは4%超 最大限の追加開発
    一方、フェラーリ、アウディ、ホンダについては、いずれもレッドブル・パワートレインズの基準から4%を超える差があるとFIAが判断した。

    その結果、3メーカーには2026年に2回、2027年にも2回の追加アップグレードが認められる。これはADUO制度で許可される最大回数となる。

    性能差が大きくなるにつれて、コストキャップとベンチテスト時間の追加枠も段階的に拡大する。

    基準から4~6%の差がある場合は465万ドルと100時間、6~8%では635万ドルと150時間、8~10%では800万ドルと190時間の追加ベンチテストが認められる。

    ただしFIAは今回、フェラーリ、アウディ、ホンダの3メーカーが、それぞれこのスケールのどこに位置しているのかについては明らかにしていない。

    したがって現時点で公式に確認できるのは、3メーカーすべてがレッドブル・パワートレインズに対して「4%超」の差があると判定され、2026年と2027年に最大2回ずつの追加アップグレードを認められたという点までとなる。

    2026年最後のADUO評価はオランダGPからメキシコシティGP
    2026年に行われる最後のADUO評価期間は、第12戦オランダGPから第18戦メキシコシティGPまでが対象となる。

    この期間のデータをもとに再び各メーカーのPU性能が評価され、その結果が今後の追加開発機会に反映されることになる。

    2026年からF1のPUメーカーとして本格参入したレッドブル・パワートレインズが最初のADUO評価でベンチマークとなる一方、メルセデスには1回、フェラーリ、アウディ、ホンダには最大となる2回の追加アップグレードが認められた。新PU規則初年度の勢力図が、ADUOによる追加開発を通じて今後どこまで変化するのかも注目される。

    国際自動車連盟 F1 ADUO

  • レッドブルF1 メキースが語る激動の1年「今では少し非現実的に感じる」

    レッドブルF1 メキースが語る激動の1年「今では少し非現実的に感じる」

    レッドブル・レーシングのチーム代表兼CEOを務めるローラン・メキースが、就任から約1年を振り返った。

    2025年シーズン後半の劇的な巻き返しから、レッドブル・フォード・パワートレインズによる自社製F1パワーユニットのデビュー、そして2026年序盤の苦戦からトップ争いへの復帰まで、目まぐるしく状況が変化した1年を「ジェットコースターのようだった」と表現している。

    49歳のメキースが特に強調するのは、2026年の新レギュレーションを控えながらも2025年型マシンの開発を諦めなかったチームの姿勢だ。その決断によってマックス・フェルスタッペンはタイトル争いに復帰し、同時に新時代に向けた巨大プロジェクトも進められていた。メキースは、この二つを並行して成し遂げた組織の粘り強さこそ、現在のレッドブルの競争力につながっていると評価している。

    2025年の逆襲「誰も諦めようとしなかった」
    メキースがクリスチャン・ホーナーの後任としてレッドブルを率いることになった当時、2025年のドライバーズタイトル獲得は厳しい状況にあるとみられていた。しかし、フェルスタッペンはシーズン後半に猛烈な追い上げを見せ、最終的にはランド・ノリスにわずかなポイント差まで迫った。

    「この1年はジェットコースターのようだった。率直に言って、何よりもまず、このチームの一員でいられることは大きな名誉だ。昨年加入した当初の数週間を振り返ると、今では少し非現実的に感じる」

    メキースはまず、シャシー部門とパワーユニット部門のスタッフをできるだけ早く理解することに努めたという。その一方で、チームは2025年序盤の低迷から立て直すための大規模な作業を続けていた。

    「シャシー側にもパワーユニット側にも素晴らしい人材がいる。そうした人たちをできるだけ早く理解しようとしていた。そして最初に取り組んだのが、2025年シーズン序盤の難しい状況から立て直すための大きなプッシュだった」

    「ピエール(ワシェ)とチームが諦めようとしなかったことをよく覚えている。彼らは昨年のマシンにパフォーマンスが足りないという状況を受け入れようとはしなかった」

    2026年には全面的なレギュレーション変更と新パワーユニットの導入が控えていた。さらにチーム代表も交代しており、2025年型マシンを早期に見切る理由はいくらでもあったとメキースは振り返る。

    「2026年のレギュレーションがあり、新しいパワーユニットがあり、新しいチーム代表もいる。『このマシンはうまくいっていない。来年解決すればいい』と言う理由はいくらでもあった」

    「しかし、誰もそうしようとはしなかった。少しずつではあるが確実に、マシンの新しいバランスポイントを見つけ、新たな開発、新たな方向性を見いだしていった。そこにマックスの少しばかりの魔法が加わり、あの巻き返しにつながった」

    F1パワーユニット自社開発という「最もクレイジーなプロジェクト」
    2025年のタイトル争いが終わっても、レッドブルに休む時間はなかった。2026年には、フォードとの協力によって開発した自社製パワーユニットを初めてF1に投入するという、チーム史上最大級の挑戦が待っていたからだ。

    「アブダビでシーズンが本当に終わったと実感する時間さえなかった。目の前には大きなカウントダウンがあったからだ。正確に言えば、スタッフにとってそのカウントダウンは4年ほど前から始まっていた」

    「その先にあったのは、自分たちでパワーユニットを作るという、考え得る中でも最もクレイジーなプロジェクトだった」

    メキースは、既存メーカーに依存せずF1パワーユニットを構築するという決断そのものが、通常の企業論理では考えにくいものだったと語る。

    「世界中のどんな取締役会や株主でも、『これはいいアイデアだ。自分たちでF1パワーユニットを作り、90年にわたってそれをやってきた人たちと戦おう』とは、なかなか考えないだろう。普通なら選ばない道だ」

    「しかし、それこそがレッドブルのやり方だ。我々は、不可能だと思われることに挑戦する。当時、株主と経営陣がそう決断した。そしてベン(ホジキンソン)が率いる素晴らしいチームが集められ、彼らは4年間、舞台裏で仕事を続けてきた」

    失敗すれば「1年、2年、3年と競争力を失う」
    メキースは、新パワーユニットのデビューが近づくにつれて、チーム内の緊張感が高まっていったことも明かした。

    「ある時点から、カウントダウンの終わりが近づいてくる。そして冬の間、我々の頭上には黒い雲があったと言っていい」

    「パワーユニットのプロジェクトに失敗すれば、1年、2年、場合によっては3シーズンにわたって競争力を失うことになるからだ」

    その危険性を示す例として、メキースは2014年に始まった前回のパワーユニット規則時代を挙げた。

    「2014年に始まった前回のレギュレーションサイクルでもそれを見ている。新規参入だったかどうかに関係なく、最初につまずいたところは非常に長い期間にわたってトップから遅れることになった」

    バルセロナでハジャーが100周「それが普通に見えた」
    大きな不安を抱えたまま迎えた2026年1月、レッドブル・フォードの新パワーユニットはバルセロナで実走デビューを果たした。プレシーズンテスト初日にはアイザック・ハジャーが100周を走破した。

    「キャンパスにいる全員が何日も何晩も、週末まで働き続け、ようやく1月を迎えた。そしてバルセロナでのプレシーズンテスト初日、アイザック(ハジャー)がマシンを走らせて100周した」

    「我々はただ顔を見合わせた。それがあまりにも普通のことのように感じられた」

    「レッドブル・パワートレインズ・フォードのスタッフとシャシー側のスタッフが、同じシャツを着て一緒に働いている。それを見るのは素晴らしい感覚だった。そしてかなり早い段階で、自分たちは戦いの中にいると感じられるようになった。それが本当に短い時間で当たり前のことになった」

    もちろん、すべてが順調だったわけではない。

    「誤解してほしくない。普通に感じられたと言っても、望んだように機能していないものは数多くあったし、必要なレベルに達していない部分も数多くあった。それでも、戦えるだけの距離にはいると感じられた」

    開幕戦で突きつけられた「1.2秒」の現実
    プレシーズンで手応えを得たレッドブルだったが、開幕戦オーストラリアGPでは厳しい現実を突きつけられた。基準となったメルセデスに対し、約1.2秒もの差があったという。

    「メルボルンに着いた時点では、大きなポジティブ要素がいくつもあった。黒い雲はもうなくなっていたし、戦えると思っていた。しかし、そこで突きつけられた厳しい現実は、ペースから1.2秒遅れていたということだった」

    ただしメキースは、その差について、2025年型マシンの開発をシーズン終盤まで続けたことを考えれば、ある程度は合理的だったと分析する。

    「正直なところ、昨年どれだけ遅い時期まで開発をプッシュしたかを考えれば、おそらくかなり論理的な結果だった。今年のマクラーレンにも、ある意味で同じことが見えている。そして我々は昨年、彼ら以上に強く、より遅い時期までプッシュしていたと思う」

    「そこにパワーユニットの要素も加わる。1.2秒という差の一部はシャシー側、一部はパワーユニット側にあった。それでも我々には戦えるという感覚があった」

    当時のレッドブルは自らを「4番手チーム」と評価していた。

    「我々が『今は4番手チームだ。それでも現時点ではポジティブに受け止めている』と言ったことで、ファンやもっと広い層の人たちは驚いたかもしれない」

    「もちろんレース週末になり、実際に3チームが自分たちの前にいる現実を見るのは、決して気分のいいものではない」

    半年足らずで約1秒を挽回「残りは0.3秒」
    そこからレッドブルは急速に差を縮めた。メキースによれば、開幕時にあった1.2秒の大部分はすでに解消されており、現在トップとの差は約0.3秒まで縮まっている。

    「しかし、レッドブル・レーシングは再び、自分たちが非常に得意としていることをやった。それが開発のスピードだ」

    「まだ半シーズンほどしか経っていないが、あの1.2秒の大部分は消えた。究極のペースに対して、残っているのはおそらく0.3秒だ」

    一方で、最後の数コンマを埋めることこそ最も難しいとも認める。

    「最後の0.3秒が最も難しいことはよく分かっている。その最後の0.3秒を取りにいけるかどうかは、時間が教えてくれるだろう」

    「ただ、この4カ月、5カ月で成し遂げたことについて、ピエールのチームとベンのチームには敬意を表さなければならない。ある日は勝利を争い、次のレースでは表彰台を争う。そうした状態を普通だと思えるところまで我々を戻してくれた」

    レッドブル・フォードは「期待を上回った」
    新規開発したパワーユニットでここまで競争力を発揮できたことは、メキース自身にとっても予想以上だったという。

    「私にとっても、おそらく多くの人にとっても、期待を上回るものだった」

    「パワーユニットの専門家たちについて言えば、この12カ月で最も厳しかった時期には、グリッドに並び、しかも適切なレベルで戦うために解決しなければならない、かなり複雑で深刻な問題もあった」

    「しかし最も難しい時でさえ、彼らは正しい場所に到達するために必要な手段を自分たちは持っているという確信を失わなかった」

    「だから、確かに驚きではあった。彼らが期待を上回ったことに疑いはない」

    メキースは特に、ホジキンソン率いるパワーユニット部門が困難な局面でも強さを失わなかったことを評価した。

    「改めて、ベンと彼のチームを評価しなければならない。順調な日だけでなく、より重要なのは、うまくいかない日にも強さを保ち続けたことだ」

    2027年タイトル争いへ「不利だとは思わない」
    2025年後半から2026年前半にかけて、レッドブルは主要スタッフの離脱や独自パワーユニットへの移行という大きな変化を経験した。それでもメキースは、チームが将来の勝利とタイトルを争うための基盤をすでに築いたと考えている。

    「2025年のあの段階からシーズン終了まで、レッドブルの進歩は非常に大きなものだった。そして大物の離脱や新しいパワーユニットプロジェクトがありながら、今年前半の進歩もそれに匹敵するものだった」

    「将来の勝利とタイトルに向けた基盤は整っている。そして現実的なタイムラインは、当初考えられたものよりはるかに短くなっている」

    そのうえでメキースは、2027年に向けてレッドブルがメルセデス、マクラーレン、フェラーリに対して構造的な不利を抱えているとは考えていないと強調した。

    「来年に向けて、メルセデス、マクラーレン、フェラーリに対して我々が何らかの不利を抱えているとは思わない」

    「だからといって、我々が勝つとか、彼らが勝つとか、そういう意味ではない。来年のタイトル争いに向けてマシンを開発していくうえで、かなり平等なチャンスを持った4つの大きなチームがいるということだ」

    2025年型マシンを最後まで開発しながら、並行して自社製パワーユニットという巨大プロジェクトを進め、2026年開幕時の約1.2秒差を半年足らずで約0.3秒まで縮めたというのが、メキースが振り返るこの1年だ。残された最後の数コンマを埋められるかが、レッドブル・レーシングとレッドブル・フォード・パワートレインズが再びF1タイトル争いの中心に立てるかを左右することになる。

  • マックス・フェルスタッペン レッドブルF1にADUO熱望「僕たちにも欲しい」

    マックス・フェルスタッペン レッドブルF1にADUO熱望「僕たちにも欲しい」

    レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンは、2026年F1シーズン後半戦に向けてマシン性能の改善が最優先課題だと語るとともに、FIAが導入したADUO(Additional Dyno Usage Opportunity)の恩恵を受けたいとの本音を明かした。

    ベルギーGPとハンガリーGPで2戦連続表彰台を獲得して前半戦を締めくくったフェルスタッペンだが、RB22の競争力には依然として満足しておらず、夏休み明け以降の巻き返しに期待を寄せている。

    レッドブルF1の最優先課題は「安定したパフォーマンス」
    ハンガリーGP後の記者会見で、フェルスタッペンは後半戦に向けた開発方針について問われると、まずは純粋なパフォーマンス向上が必要だと強調した。

    「まずは全体的なパフォーマンスをもっと引き上げる必要がある。その上で、僕たちが抱えている問題を解決しなければならない」

    「週末を通してどんどんパフォーマンスを失っていくこともあるし、レースでもスタートからフィニッシュまで徐々に競争力が落ちてしまうことがある。それは本当に優先して解決しなければならない課題だ」

    フェルスタッペンは単純な速さだけではなく、セッションやレースを通じて安定したパフォーマンスを維持できないことが、現在のレッドブル最大の弱点だと説明した。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    フェルスタッペン「僕たちにもADUOが欲しい」
    一方で、話題がパワーユニットに及ぶと、フェルスタッペンは思わず笑みを浮かべながら現在のF1で注目を集めるADUOについて言及した。

    「パワーユニットについて言えば……僕たちにもADUOが欲しいね!」

    「何らかの形でそうなればいいと思う。でも、どうなるかは分からない。夏休み明けに状況をしっかり見ていくことになるだろう」

    ADUOは、FIAが2026年から導入した救済制度で、基準となるパワーユニットより性能が劣るメーカーに対し、追加のダイノ(ベンチ)使用時間など開発面での優遇措置を認める仕組みだ。

    現時点ではレッドブル・パワートレインズ・フォードは対象外とされており、フェルスタッペンの発言は冗談を交えつつも、ライバルメーカーとの差を意識した本音とも受け取れる。

    後半戦で真価が問われるレッドブル
    2026年シーズン前半、レッドブルはマシンの一発の速さを見せる場面はあったものの、週末を通じた安定性やロングランでの競争力に課題を抱え続けた。

    フェルスタッペンは、まず車体全体のパフォーマンスを底上げし、そのうえでマシンが徐々に競争力を失う現象を解決することが重要だと強調している。夏休み明けに投入される開発パッケージと、ライバル勢との開発競争が、レッドブルの後半戦を左右することになりそうだ。

  • マックス・フェルスタッペン レッドブルF1のPU評価に疑問「最高には見えない」

    マックス・フェルスタッペン レッドブルF1のPU評価に疑問「最高には見えない」

    レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンは、FIAが2026年型レッドブル・フォード製パワーユニットをF1のベンチマークと認定した判断に疑問を呈し、「予選を見ればそうは見えない」と率直な見解を示した。

    2026年から導入された新たなパワーユニット開発支援制度「Additional Development and Upgrade Opportunities(ADUO)」では、FIAがシーズン序盤に各メーカーの性能を評価。

    レッドブル・フォードの内燃エンジンが最も優れていると判断されたことで、レッドブルは今季中のパワーユニット性能向上のための開発機会を得られない一方、メルセデスやフェラーリには追加開発が認められている。

    「予選を見れば最高には見えない」
    ベルギーGP後、Sky Sports F1の取材に応じたフェルスタッペンは、エンジン性能が重要となるスパ・フランコルシャンでの戦いを振り返りながら、FIAの評価に改めて疑問を投げかけた。

    「僕だってエンジンのアップグレードが欲しい。でも、それは僕が決められることではない」

    「最高のエンジンだと言われている。でも予選を見れば、本当にそう見えるかな? だから何と言えばいいのか分からないよ」

    メルセデスは今季ここまで10戦中8勝を挙げており、パドックでは同社製パワーユニットが最も競争力の高いユニットだとの見方が広がっている。それだけに、レッドブル・フォードを最上位としたADUOの評価は各チームの間でも驚きをもって受け止められ、レッドブルはその判断についてFIAと協議を続けている。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    VSCが2位争いの流れを変えた
    フェルスタッペンは決勝レースについても、バーチャル・セーフティカー(VSC)がなければシャルル・ルクレールとの2位争いはもっと接戦になっていたとの見方を示した。

    フェルスタッペンが先にピットインした直後にVSCが導入され、フェラーリはそのタイミングを利用してシャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンをタイムロスの少ない形でピットへ呼び込むことに成功。結果としてルクレールはフェルスタッペンに対するタイムアドバンテージを維持した。

    「VSCがなければ、シャルルとは2位を争う展開になっていたと思う」

    「僕にとってはかなりストレートフォワードな週末だった。特別に大きな出来事は何もなかったし、レースペースも悪くなかった」

    「まだレースでは細かいバランスの問題があって、もっと速く走るのは難しかった。でも全体としては良い週末だったと思うし、それはポジティブなことだ」

    ベルギーGPを3位で終えたフェルスタッペンは、結果には一定の満足感を示した一方で、レッドブル・フォード製パワーユニットが「F1最高」と評価された現状には納得しておらず、現場で感じる実際の競争力とのギャップを率直に口にした。

  • フェルスタッペン バッテリー消費の悪循環「こんな状態でレースをする意味がない」

    フェルスタッペン バッテリー消費の悪循環「こんな状態でレースをする意味がない」

    マックス・フェルスタッペンは、2026年F1第9戦イギリスGP予選を7番手で終えた後、レッドブル・レーシングの深刻なパフォーマンス不足に強い不満を示した。特にストレートでのパワー不足を問題視し、「こんな状態でレースをする意味がない」とまで語り、決勝への悲観的な見方を明かした。

    前日のスプリントでも苦戦を強いられたフェルスタッペンは、予選でも状況は改善しなかったという。今季ここまで何度もマシン性能への不満を口にしてきたが、今回はこれまで以上に厳しい表現でチームの現状を語った。

    ストレートで深刻なパワー不足を訴える
    フェルスタッペンは、予選を通じてさまざまなセッティング変更を試したものの、問題は解決しなかったと説明した。

    「まったく前に進まない。以前のような加速をしてくれないんだ」

    「こういうサーキットでは、それが決定的に重要になる。できるだけ大きなパワーが欲しいコースだから、本当に痛い」

    「予選ではいろいろ試したけど、結果はいつも同じだった。明らかな問題があるし、それは明日のレースについても心配している理由だ。正直、こんな状態でレースをしても意味がない」

    この発言は、レッドブル・フォードの内燃機関(ICE)がFIAからグリッド最強と評価された直後というタイミングだけに、実際の走行との大きなギャップを改めて浮き彫りにした。

    バッテリー消費の悪循環も発生
    フェルスタッペンによれば、単純な最高速不足だけではなく、ストレートで失う時間がエネルギーマネジメントにも悪影響を及ぼしているという。

    「昨日のマシンも良くなかったし、今日もその面では改善できなかった。ほとんど同じだった」

    「それに加えて、理由は分からないけど、僕のガレージ側だけストレートでとても遅かった。最初のラップからずっとパワーが足りなかった」

    「ここではストレートを走る時間が長いから、パワーが足りないとバッテリーを余計に消費してしまう。その結果、最終セクターでは15コーナーを立ち上がると、ほとんどパワーが残っていない」

    「だからストレートでどんどんタイムを失っていた。それに加えてマシンバランスも悪く、本当にひどい状態だった」

    フェルスタッペンは、パワー不足が単なる最高速低下ではなく、バッテリー消費を加速させることでラップ全体のパフォーマンス低下につながる悪循環を生んでいると説明した。

    マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)

    高速コーナーでも競争力不足
    フェルスタッペンは、6位で終えたスプリントでもマシンの弱点が明確だったと振り返った。

    「スプリントでは高速コーナーで完全にやられていた」

    「ジョージ(ラッセル)が後ろにいたけど、高速コーナーではダーティエアの中でも追いつかれていた。それがすべてを物語っている」

    「それだけじゃなく、低速コーナーでも今週末を通してマシンの挙動には満足していない。明らかに何かが噛み合っていない」

    高速域、低速域の両方で競争力を欠いていることに加え、ストレートでのパワー不足まで重なったことで、フェルスタッペンは決勝でも厳しい戦いを覚悟している。レッドブル・レーシングは、FIAのエンジン評価とは対照的な実戦での苦戦という難題に直面しており、その原因究明が急務となっている。

    【関連】
    ・F1イギリスGP 予選 結果・タイムシート:アントネッリがポール獲得

  • レッドブルF1に痛手 FIAがADUO再審査でも判定維持へ

    レッドブルF1に痛手 FIAがADUO再審査でも判定維持へ

    FIA(国際自動車連盟)が進めていた2026年F1パワーユニット(PU)の「ADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)」初回評価の再審査で、レッドブルの異議申し立ては認められない見通しとなった。

    レッドブルは、FIAが自社の内燃エンジン(ICE)をグリッド最強と評価したことに異議を唱え、詳細な説明を求めていた。

    しかし再審査を経ても当初の判定は変更されない見込みで、同チームは引き続き性能向上のためのADUOアップグレードを認められない可能性が高い。

    FIAはレッドブルへの説明を準備 判定変更の兆候はなし
    レッドブルは、FIAによるADUO評価で自社PUがメルセデスやフェラーリを上回る「ベンチマークエンジン」と認定されたことに納得しておらず、評価方法の詳細な説明を求めてきた。

    その結果、レッドブルだけが現時点でADUOによる性能アップグレードを一切認められていない。

    チーム代表ローラン・メキースはスペインGPで次のように疑問を呈していた。

    「より深く議論したいのは、我々が持っているデータには、メルセデスより優位にあることを示すサンプルが一つも見当たらないからだ」

    FIAのADUOランキングは内燃エンジン(ICE)の性能のみを対象としており、高出力バッテリーやエネルギー回生システムの性能は評価対象外となっている。

    レッドブルの要請を受け、FIAは5月のカナダGPまでを対象とした初回評価期間のデータを再確認した。

    しかし『The Race』によると、この再審査は最終段階に入っているものの、レッドブルのICEがメルセデスより少なくとも2%優れているとした当初の判断が誤りだったことを示す証拠は確認されていないという。

    そのため、モナコGP決勝日に各チームへ正式通知された初回評価結果は維持される見通しだ。

    ベルギーGP前に正式発表へ 他メーカーは開発を進行
    FIAはレッドブルとの最終的な協議を続けているものの、ベルギーGPまでに正式なADUO評価結果を公表するとみられている。

    それに先立ち、FIAは収集したデータや評価理由についてレッドブルへ詳細な説明を行う用意がある。ただし、他PUメーカーに関する機密データについては守秘義務のため開示されない見込みだ。

    現状ではレッドブルのみがアップグレード権を持たない唯一のPUメーカーとなる可能性が高い。

    一方、フェラーリは今週末のオーストリアGPでADUOを利用した今季初の性能向上版PUを投入。アウディもスペインGPでドライバビリティ改善を実施したとされる。

    ホンダも今季中に認められたアップグレード枠の一つを使用する予定で、夏休み前後、早ければベルギーGPで新仕様を投入する可能性がある。

    第2評価期間でもレッドブルは厳しい立場
    レッドブルが第2評価期間でADUO対象となるかどうかは、メルセデスが内燃エンジンの性能向上を実施するかに左右される。

    第2評価期間はモナコGPからハンガリーGPまでとなっており、もしメルセデスがICEの性能を据え置き、他のPU要素のみを改良した場合、レッドブルは再び「最強ICE」と判定される可能性が高い。

    そうなれば、同チームは再び大規模な性能アップグレードを実施できない状況が続くことになる。

    今回の再審査では、レッドブルが求めていた評価変更は実現しない見通しとなった。ベルギーGPまでに正式発表が行われれば、同チームは唯一アップグレード権を持たないPUメーカーとしてシーズン後半戦を迎える可能性が高く、今後の勢力図にも影響を与えそうだ。