投稿者: dbcheck

  • アストンマーティンF1 AMR26Bとホンダ新PUは「まだ最大限ではない」

    アストンマーティンF1 AMR26Bとホンダ新PUは「まだ最大限ではない」

    アストンマーティンF1は、大幅アップデートを施したAMR26Bとホンダ製パワーユニットについて、まだ本来のポテンシャルを完全には引き出せていないと考えている。トラックサイドオペレーションディレクターのマイク・クラックは、新しいパッケージへの理解を深めることで、今後さらにパフォーマンスを高められるとの見方を示した。

    アストンマーティンはハンガリーGPで大規模な車体アップデートを投入し、オランダGPでは新仕様のホンダ製パワーユニットを導入。わずか2戦で後方からポイント争いへと浮上した。

    特にザントフォールトではAMR26Bの競争力が明確になった一方、クラッグは現時点のパフォーマンスが完成形ではないと強調している。

    大規模アップデートは「理解するために数セッション必要」
    アストンマーティンがハンガリーGPで投入したアップデートは、新シャシーと空力パッケージを含む大規模なものだった。変更範囲が広いだけに、セットアップや運用方法についてチームが学ぶべき部分も多いという。

    「我々はこのアップデートについて、ますます理解を深めている。ブダペストで投入した大規模なパッケージについては、どのように取り組み、どのようにセットアップすべきかを学ぶために、いくつかのセッションが必要になる」

    クラッグは、オランダGPで投入されたホンダの新仕様パワーユニットについても同様だと説明する。

    「そして、今回導入したパワーユニットについても同じことが言える。我々はその使い方を学び、最適化する方法を学ばなければならない。数戦はかかると思うが、良い前進だった」

    ザントフォールトはスプリントフォーマットで行われたため、通常のグランプリ週末よりもフリー走行時間が限られていた。大規模な変更を施したマシンを理解するには、決して理想的な状況ではなかった。

    「これは、新しいものを理解しようとしているという話とも一致する。大規模な変更がある場合、セッションが非常に慌ただしいなかで、常にすべてから最大限を引き出すのは難しい」

    「セッションを重ねれば重ねるほど、よりうまくコントロールできるようになる。ただ、少し苦戦するセッションもあれば、より簡単に進められるセッションもある。今週末については、かなり良いセットアップができていた」

    つまり、ザントフォールトで見せた競争力は、AMR26Bと新しいホンダPUを完全に最適化した結果ではない。今後データを蓄積し、両者の使い方への理解が進めば、さらにパフォーマンスを引き出せる余地が残されている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    AMR26Bは予選より決勝で競争力を発揮
    一方で、AMR26Bには依然としてサーキット特性による得意不得意が存在する。

    フェルナンド・アロンソはオランダGP後、レースが進んでタイヤが劣化するほどマシンの相対的な競争力が高まったと指摘していた。タイヤのグリップやパワーユニットの性能だけに頼る状況ではなくなることで、AMR26Bが持つ車体そのものの良さを生かしやすくなるためだ。

    クラッグも、アストンマーティンが予選より決勝で強さを発揮する傾向を認めている。

    「ブダペストの時点から、我々がレースでは少し強いことは分かっている」

    ただし、依然として課題となるのがストレートスピードだ。

    「フェルナンドが、我々の結果はストレートがどれくらい長いかによって、おおよそ決まると言っていたと思う。ここ2戦はストレートが少し短かった」

    ハンガロリンクとザントフォールトはいずれも長い全開区間が少なく、AMR26Bの車体性能を生かしやすいレイアウトだった。そのため、より長いストレートを持つサーキットでは苦戦する可能性がある。

    「これからもっと難しいレースもあるだろう。ただ、それもこの世界の一部だと思う。強いレースもあれば、それほど強くないレースもある。残りのシーズンがどう展開していくのか興味深い」

    アストンマーティンにとって重要なのは、AMR26BとホンダPUの双方にまだ最適化の余地がある点だ。現時点ではサーキット特性、とりわけストレートの長さによって競争力が左右されるものの、大規模アップデートへの理解が進めば、現在以上の性能を引き出せる可能性がある。

  • BMWがF1復帰を否定する理由「市販車から離れすぎている」

    BMWがF1復帰を否定する理由「市販車から離れすぎている」

    BMWは、近年F1に大手自動車メーカーが相次いで参入するなかでも、現時点でF1復帰を計画していない。BMW Mを率いるフランク・ファン・ミールは、その最大の理由として、F1で開発される技術と市販車との距離を挙げた。

    BMWにとってモータースポーツは、単なるブランド露出の場ではない。レースで磨いた技術を市販モデルへ移植することが重要であり、ファン・ミールは現在のF1について、その思想とは合致しないと説明している。

    BMWにとってF1は「研究所すぎる」
    ミュンヘンを本拠地とするBMWは、2009年にザウバーの株式を売却してF1から撤退した。それ以降、F1への本格的な復帰には動いていない。

    その一方で、近年のF1には自動車メーカーの参入が相次いでいる。BMWと同じドイツのプレミアムブランドであるメルセデスは長年ワークスチームを運営し、BMWがかつて関係していたザウバーは現在、アウディのワークスチームとなっている。

    さらにキャデラックがF1に参入し、フォードもレッドブル・パワートレインズとの提携を通じてF1に加わった。ポルシェも2022年にはレッドブル・レーシングとの間でパワーユニットを含む提携について交渉していたが、最終的に合意には至らなかった。

    それでもBMWが同じ道を選ぶ考えはない。

    BMW Mの最高責任者を務めるフランク・ファン・ミールは、Motor1 Germanyに対し、F1がBMW Mの哲学に適していない理由を説明した。

    「F1は私たちにとって市販車から離れすぎています。あまりにも研究所的で、市販車に十分うまく反映することができません」

    BMW Mにとって重要なのは、レースで得られた技術を市販車へ直接還元できることである。

    「もちろん、私たちのお客様やファンもF1が好きです。しかし同時に、もっと直接的で、市販車に近いモータースポーツも好んでいます」

    「Mの背景にある考え方は、モータースポーツを市販車へ持ち込むことです。F1は、私たちにとってその考え方に合わないのです」

    WECとIMSAを重視するBMW M
    BMWが現在力を入れているのは、F1ではなくスポーツカーやGTレースだ。

    BMWはBMW M Hybrid V8でFIA世界耐久選手権(WEC)とIMSAスポーツカー選手権に参戦している。WECではル・マン24時間レースを含む世界最高峰の耐久レースで競争を続けている。

    また、BMW M4 GT3やM4 GT4といった、市販車との結びつきがより明確なレーシングカーも世界各地のカスタマーチームへ供給している。

    特にBMW MにとってIMSAは重要なカテゴリーだという。その背景には、米国市場の存在がある。

    「私たちにとって重要なのはWECだけではなく、IMSAも同様です」

    「米国はBMW Mの販売台数のおよそ40%を占めており、単一市場として最大です。BMWはモータースポーツを通じて米国で大きなブランドへ成長しました。だからこそ、IMSAは私たちにとって非常に重要なのです」

    つまりBMWのモータースポーツ戦略は、ブランドマーケティングだけではなく、市場と技術開発の双方に直結している。

    BMW 自動車競技

    レース技術をそのまま市販車へ
    ファン・ミールによれば、WECやIMSAを選ぶ最大のメリットのひとつが、市販車への直接的な技術移転にある。

    BMW Mは、レースで使用した技術やアイデアを、実際に次世代の市販モデルへ取り入れている。

    「WECとIMSAが私たちに適しているのは、技術を直接移転できるからでもあります」

    「例えばM Concept Neue Klasseには、M4 GT3から取り入れた要素があります。空気の流れを最適化したボンネットやディフューザーなどです。ライトのグラフィックについては、私たちのLMDhレーシングカーから来ています」

    外観や空力だけではない。パワートレインについても、レースと市販車との間には明確なつながりがあるという。

    「パワートレインについても技術移転があります。私たちはモータースポーツでV8ハイブリッドを使用していますし、市販車のM5やXMにもV8ハイブリッドがあります」

    BMW M Hybrid V8は、その名の通りV8エンジンとハイブリッドシステムを組み合わせたLMDhマシンだ。一方、BMW M5やXMにもV8ハイブリッドシステムが採用されており、レースとロードカーの開発には共通する技術領域が存在する。

    同じエンジニアがレースと市販車を開発
    BMWでは、技術の考え方だけでなく、人材そのものもレースと市販車の開発を行き来している。

    ファン・ミールは、一部では同じエンジニアがレーシングカーと市販車のパワートレイン開発を担当していることを明かした。

    「場合によっては、同じエンジニアが市販車のパワートレインにも携わっています」

    「こうしたレーシングシリーズを利用することで、特定の要素をより早く、そして市販化に近い状態でテストすることができます」

    BMWにとってモータースポーツは、文字通り市販車開発の実験場として機能している。ただし、その実験場は市販車から遠く離れたものであってはならない。

    現在のF1は高度に専門化した技術競争となっており、BMW Mが重視する「レースから市販車への直接的な技術移転」という基準では、WECやIMSAの方が適しているという判断だ。

    メルセデスやアウディ、フォード、キャデラックなど自動車メーカーのF1への関与が拡大するなかでも、BMWは異なる道を選んでいる。F1そのものへの関心がないのではなく、モータースポーツを市販車開発へ直結させるBMW Mの哲学が、現在のF1とは一致していないことが、その最大の理由となっている。

  • ランド・ノリス マクラーレンF1長期契約前に他チーム関心も「離れる魅力なかった」

    ランド・ノリス マクラーレンF1長期契約前に他チーム関心も「離れる魅力なかった」

    ランド・ノリスは、少なくとも2030年までマクラーレンに残留する長期契約を結ぶ前に、他チームから関心を寄せられていたことを認めた。それでも、マクラーレンとの契約延長は自身のキャリアで「最も簡単な決断だった」と振り返っている。

    現F1ワールドチャンピオンのノリスは、年間約4000万ドル(約59億円)規模の契約を結んだと報じられ、2030年以降まで関係を延長できるオプションも含まれているとされる。

    一方、本人はインターネット上で伝えられている金額について「実際とはかなり違う」と説明した。

    ノリス「ルイスやマックスと同じレベルではない」
    F1のトップドライバーを巡って巨額の契約金が取り沙汰されるなか、26歳のノリスは自身の報酬について率直に語った。

    「残念ながら、ネットで見かけるような金額にはまったく近くないよ。もちろん、どんな仕事でも契約を延長すれば多少は上がるものだけどね」

    「ルイスやマックスのレベルにはまったく近くない。それで当然だと思う。僕は彼らがキャリアで成し遂げてきたほどのことを、まだ達成していないからね」

    ここでノリスが比較対象として挙げたのは、7度のF1ワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトンと、複数回のタイトルを獲得しているマックス・フェルスタッペンだ。

    ただし、自身の現在のドライバーとしての実力については、トップクラスと戦えるレベルにあるとの自信も示している。

    「一方では、同じくらいであるべきだとも思っている。必要なときには彼らと戦えると思っているし、必要なときには彼らよりいい仕事ができるとも信じているからね」

    「だから、このことについては僕の中に2つの考えがあるんだと思う」

    ノリスは直近2戦のグランプリで連勝しており、現在のF1でも屈指のパフォーマンスを見せている。

    他チームからの関心も「離れる魅力はなかった」
    ノリスは今回の長期契約を結ぶ前、マクラーレン以外からも関心があったことを明かした。ただし、具体的なチーム名については言及していない。

    「他からの関心はあった」

    それでも、2019年のF1デビュー以来所属してきたマクラーレンを離れることは、ノリスにとって魅力的な選択肢ではなかったという。

    「本当に、これまでのキャリアで最も簡単な決断だったよ」

    「キャリアを終えるときに、マクラーレンが僕が所属した唯一のチームだったと言えたら、僕はものすごく幸せだと思う」

    マクラーレンはノリスとの新契約によって少なくとも2030年までその将来を確保したとされ、さらに契約関係を延長できる可能性も残されている。

    ランド・ノリス(マクラーレン)

    ラルフ・シューマッハ「ノリスはいまやチームリーダー」
    元F1ドライバーのラルフ・シューマッハも、マクラーレンがノリスとの長期契約を重視した理由は最近のパフォーマンスを見れば明らかだと評価している。

    オスカー・ピアストリとの比較について、シューマッハはノリスが現在のマクラーレンを牽引する存在になったとの見方を示した。

    「ノリスはいまやチームリーダーだ。それはもう、はっきり言わなければならない」

    「以前の彼は多くのミスを犯していた。しかし、いまはもうそうしたミスをしなくなった」

    さらにシューマッハは、現在のノリスを「いまのF1で最高のドライバーのひとり」と評価する。

    「ノリスは本当にトップレベルだ。一方で、ピアストリはいま苦しんでいる。彼にとっては厳しい状況になっている」

    2025年にF1ワールドチャンピオンとなり、2026年もトップ争いを続けるノリス。ほかのチームから関心を寄せられながらも、本人にとってマクラーレンとの長期契約に迷いはなかった。自身のキャリアをひとつのチームだけで完結させるという可能性も、ノリスにとって現実的な目標になりつつある。

  • ジョージ・ラッセルはメルセデスF1の「新たなボッタス」に? シュタイナーが指摘

    ジョージ・ラッセルはメルセデスF1の「新たなボッタス」に? シュタイナーが指摘

    メルセデスF1でジョージ・ラッセルの立場が変わりつつある。ルイス・ハミルトンのフェラーリ移籍後、チームの新たなリーダーになるとみられていたラッセルだが、2年目を迎えたチームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリが台頭。現在は選手権でもアントネッリが59ポイント上回っている。

    元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、この状況について、かつてルイス・ハミルトンのチームメイトとして長くメルセデスに在籍したバルテリ・ボッタスとの類似性を指摘する。

    ただし、ラッセル自身がその立場を受け入れるかどうかによって、今後のキャリアは大きく変わるとみている。

    ハミルトン後のリーダー候補から状況が変化
    ラッセルは2017年にジュニアドライバーとしてメルセデスの育成プログラムに加入し、ウィリアムズでの3シーズンを経て、2022年にワークスチームへ昇格した。

    その際にラッセルが引き継いだのが、ボッタスのシートだった。ボッタスは2017年から2021年までメルセデスに所属し、ハミルトンのチームメイトとしてチームのコンストラクターズタイトル獲得に貢献した。

    その後、ハミルトンがフェラーリへ移籍すると、ラッセルがメルセデスの中心的な存在になると考えられていた。チームはハミルトンの後任として若手のアントネッリを抜擢し、経験豊富なラッセルがチームを牽引する構図になるとみられていたからだ。

    しかし、2人がチームメイトとなって2シーズン目を迎えた現在、その力関係には変化が表れている。アントネッリはドライバーズ選手権でラッセルを59ポイント上回り、パフォーマンス面でも存在感を強めている。

    シュタイナー「ボッタスのように見える」
    こうした状況から、ラッセルがメルセデスにおける「新しいボッタス」になりつつあるのではないかとの見方も出ている。

    この比較について尋ねられたシュタイナーは、断定こそ避けながらも、両者の状況に共通点があることを認めた。

    「難しい質問だ。彼がどう反応するのかを見てみよう」

    「そう見える。実際にそうなのかどうかは分からないが、そう見えるんだ。本当にそう見える」

    シュタイナーが注目しているのは、単にラッセルがアントネッリに後れを取っているという点だけではない。今後も現在の力関係が続いた場合、ラッセル自身がメルセデスでの立場をどう受け止めるかが重要になると考えている。

    ボッタスはメルセデスでハミルトンのチームメイトを5年間務めた。シュタイナーは、ラッセルが同じような立場に置かれた場合、それを受け入れるとは限らないと指摘する。

    「もしこの傾向が長期的に続くのであれば、それはジョージ次第でもある」

    「バルテリは明らかにその立場に満足していた。だからこそ、彼は非常に長い間そこにいたんだ」

    ジョージ・ラッセル(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    ラッセルには「別の道を探す」という選択肢
    一方でシュタイナーは、ラッセルの将来がすでにメルセデスのナンバー2という立場に固定されたわけではないとも考えている。

    ラッセルがチーム内でアントネッリと同等の機会を得られていないと感じたり、将来的にチームのリーダーになることが難しいと判断したりした場合、自ら別のチームへ移るという選択肢があるからだ。

    「ジョージがこの状況に満足していないのであれば、別の道を探さなければならない」

    「ただ、別の選択肢を見つけるのは簡単ではない。来年については空いているシートがないからだ。でも、2028年なら可能性はあるかもしれない」

    つまりシュタイナーの見方では、ラッセルにとって問題となるのは現在の序列そのものよりも、それが今後も続いた場合にどう行動するかという点にある。

    メルセデスに残れば、アントネッリがチームの中心的存在へと成長していくなかで、ラッセルが事実上のナンバー2という立場に置かれる可能性もある。一方、別のチームへ移籍すれば、自らがリーダーとなれる環境を探すこともできる。

    「残りの人生ずっと2番手にはなりたくない」と考える可能性
    シュタイナーは、ラッセル自身がボッタスと同じキャリアを歩むことを望まない可能性があるとみている。

    「もしかするとジョージは『次のバルテリ・ボッタスにはなりたくない。ここに10年間いて、残りの人生ずっと2番手で終わるなんて嫌だ。どこか別の場所へ行かなければならない』と考えるかもしれない」

    「だが、それを決めるのは彼自身だ。メルセデスではない」

    アントネッリはメルセデスが長期的な将来を託して育成してきたドライバーであり、その存在感が高まれば、ラッセルを取り巻くチーム内の構図も変化していく可能性がある。

    一方で、現時点でラッセルがメルセデスの「新しいボッタス」になったと断定するのは早い。シュタイナー自身もあくまで現状に類似性があると指摘しているにすぎず、今後のパフォーマンスによって力関係が再び変わる可能性も残されている。

    それでも、アントネッリが現在の勢いを維持し、メルセデスの中心的存在として地位を固めていけば、ラッセルはいずれ重要な決断を迫られることになる。メルセデスに残って現在の環境で戦い続けるのか、それとも自らがチームを牽引できる場所を求めるのか。シュタイナーは、その分岐点として2028年がひとつの可能性になるとみている。

  • F1スペインGP初開催迫るマドリンクで窃盗事件 電気ケーブル300mなど被害

    F1スペインGP初開催迫るマドリンクで窃盗事件 電気ケーブル300mなど被害

    2026年F1スペインGPの開催を2週間後に控えたマドリンクで、約300メートルに及ぶ電気ケーブルが盗まれる事件が発生した。スペイン国家警察が捜査を開始しており、F1初開催に向けて最終段階に入っている準備に思わぬトラブルが生じている。

    9月11~13日に開催されるスペインGPは、今週末のF1イタリアGPに続く連戦となる。サーキット本体はすでに完成しており、現時点でグランプリ開催への影響はないとみられているが、盗まれたケーブルを補うため新たな資材が緊急搬入される。

    約300メートルのケーブルを盗難 国家警察が捜査
    スペインメディア『ABC』によると、盗難は日曜未明にマドリンク周辺で発生し、約300メートルのケーブルが持ち去られた。スペイン国家警察が犯人の特定に向けて捜査を進めているが、現時点で逮捕者は発表されていない。

    ケーブルが盗まれたのはサーキットのトンネル区間で、ターン17からターン18へ向かう区間である可能性が高い。また、発電機も盗難被害に遭ったとされている。

    F1サーキットでは計時システムをはじめ、コースの安全設備や通信、放送設備などを稼働させるため、コース全体に大量のケーブルが敷設される。今回の盗難は、マドリンクがF1デビューに向けた最終準備を進めているタイミングで発生した。

    ただし、サーキット本体はすでに完成しており、現在残されている作業は主に仮設設備やグランドスタンドの設置、観客やF1チームを受け入れるための最終準備となっている。

    不足した設備については新しいケーブルを緊急搬入して対応する予定で、トラブルが発生した場合に備えたバックアップシステムも用意されている。このため、現段階で盗難事件がスペインGPの開催そのものを脅かす事態には発展していない。

    F3テストでは赤旗19回 本番想定の運営体制も確認
    マドリンクではF1初開催を前に、FIA F3による2日間のテストが実施された。これが新設サーキットで初めて行われた本格的な走行セッションとなり、F1開催に向けた重要な運営リハーサルにもなった。

    F3テストでは実際にマシンを走らせることで、コース上の安全設備や各種運営システムを実走環境で確認する機会となった。

    一方、新しく舗装された路面でドライバーが限界を探るなか、ウォールへの接触も相次いだ。2日間を通じて赤旗は19回提示され、F1初開催を前にコース上の難しいポイントも浮き彫りとなった。

    マドリンク F1 スペイングランプリ

    FIA会長「ホモロゲーションは複雑だった」
    盗難事件とは別に、マドリンクはFIAによるホモロゲーションの過程でも継続的に注視されてきた。

    FIAのモハメド・ビン・スレイエム会長は、パラグアイ・ラリーを訪れた際にマドリンクの準備状況について質問され、新設されたスペインGP会場について「本当の冒険だった」と表現。ホモロゲーションの手続きが容易ではなかったことを明かした。

    「我々は注意深く監視している。ホモロゲーションのプロセスが複雑だったからだ。ただ、フィードバックは良好だし、もちろん私も現地に行く」

    一方で、初開催となるグランプリそのものについては期待感を示した。

    「スペインは非常に感情豊かで、とても情熱的な国だ。素晴らしいイベントになると確信している」

    F1初開催まで2週間 マドリンクは最終準備へ
    マドリンクでのスペインGPは9月11~13日に開催される。マドリードでF1グランプリが行われるのは1981年以来45年ぶりとなり、新設されたマドリンクがF1世界選手権の舞台としてデビューする。

    F3テストによってコースと主要な運営システムの実地確認を終えた一方、約300メートルのケーブルや発電機が盗まれるという予想外の問題も発生した。警察による捜査が続くなか、主催者は不足したケーブルを補充し、仮設設備やグランドスタンドなどの準備を進める。

    FIAも複雑だったホモロゲーションの状況を引き続き注視しているが、現時点でスペインGPの開催が危ぶまれる状況にはない。F1初開催まで残り2週間、マドリンクは最終準備の段階に入っている。

  • レッドブルF1 リアム・ローソン再起用で現場の本音「みんな彼が大好き」

    レッドブルF1 リアム・ローソン再起用で現場の本音「みんな彼が大好き」

    リアム・ローソンは、2026年F1オランダGPで負傷したアイザック・ハジャーの代役としてレッドブル・レーシングから参戦し、短期間でRB22に適応してポイントを獲得した。その舞台裏では、かつて同チームで戦ったニュージーランド人ドライバーの復帰をスタッフも歓迎していたという。

    オランダGPでローソンのナンバーワンメカニックを務めたルーク・ヒースは、レッドブルの公式コンテンツ『Behind The Charge』で、ローソンとの再共働について「僕たちはみんなリアムが大好き」と語った。

    2025年にわずか2戦でレッドブルのシートを失ったローソンにとって今回は特別な状況だったが、現場では過去を引きずるような雰囲気はなかったようだ。

    ハジャー負傷で急きょレッドブル復帰
    ローソンのレッドブル復帰は、ハジャーが手首の負傷によってオランダGPを欠場したことで実現した。レースウイーク開始の数日前には代役起用が決まり、ローソンは実車に乗る前にRB22でのシミュレーターセッションを行い、準備を進めることができた。

    それでも、異なるチームとマシンに急きょ適応することは簡単ではない。ローソンは2025年にもレッドブルからF1に参戦したものの、わずか2戦でレーシングブルズへ戻されている。その経験から、今回の復帰では精神面でのプレッシャーも注目された。

    しかし、レッドブルのガレージ側にとってローソンを迎え入れることに大きな違和感はなかったという。

    「僕たちはみんなリアムとデックが大好き」
    オランダGPでローソンのナンバーワンメカニックを担当したヒースは、ローソンだけでなく、パフォーマンスコーチのデック・フォーリーも含めてチームから親しまれていると説明した。

    「僕たちはみんなリアムとデックが大好きだから、うれしいよ」

    「もちろん、マシンへの組み込みに関する細かな作業や舞台裏でやらなければならないことはいろいろある。でも、僕たちはリアムと仕事をするのが本当に好きなんだ。アイザックもリアムも本当にいい人たちだし、すごく感じのいい若者だよ」

    ヒースによれば、ドライバー交代に伴う技術的な準備こそ必要だったものの、実際の仕事の進め方という意味では大きな変化はなかった。

    「実際には何も大きく変わっていない。もちろん2人ともVCARBから上がってきているからね。2人が似たタイプのドライバーだとは言わないけど、どういう手順で進めるのかは分かっている。だから問題ないと思っていたよ」

    ローソンはレーシングブルズでレッドブル系チームの仕事の進め方を熟知しており、それが急な代役参戦でもスムーズに適応できた要因のひとつだった。

    予選ではフェルスタッペンに0.115秒差
    ローソンはその期待にコース上でも応えた。オランダGP予選ではQ3に進出して8番手を獲得。チームメイトのマックス・フェルスタッペンとの差はわずか0.115秒だった。

    決勝ではスタート直後からフェルスタッペンとポジションを争う積極的な走りを披露。その後もレースを戦い抜き、フェルスタッペンがターン14でクラッシュしてリタイアしたなか、ローソンはレッドブルにとってこの日の唯一のポイントを持ち帰った。

    短期間でマシンを乗り換えたことを考えれば、ローソンの適応力を示す週末となった。

    リアム・ローソン (レッドブル・レーシング)

    メキース代表も「非常に素早く適応してくれた」
    レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースも、ローソンの仕事ぶりを高く評価した。

    「リアムについて言えば、あるチームから別のチームへ移ってすぐに走るのは決して簡単なことではない。そして今日、彼は我々が獲得できるポイントをしっかり持ち帰ってくれた」

    特にメキースが評価したのが予選でのパフォーマンスだった。

    「昨日の予選でも非常にいい仕事をして、マックスにかなり近いところまで来ていた。これほど短期間でチームに適応してくれたことに感謝している」

    2025年の苦い経験を経て示した適応力
    ローソンにとって今回のレッドブル復帰は、単なる代役参戦以上の意味を持つ週末でもあった。

    2025年にはレッドブルのレギュラードライバーとしてシーズンをスタートしながら、わずか2戦でシートを失った。それからレーシングブルズで経験を積み、約1年半後に再びレッドブルのマシンを任されたローソンは、限られた準備時間でフェルスタッペンに迫る予選タイムを記録し、決勝ではチームにポイントをもたらした。

    そして今回明らかになったのは、そのパフォーマンスだけではない。レッドブルの現場スタッフからも「一緒に仕事をするのが本当に好き」と評されており、チームへの溶け込みやすさもローソンの強みとなっている。

    2027年のF1シートを巡る判断が注目されるなか、オランダGPでの代役参戦は、ローソンが速さと適応力、そしてチームとの良好な関係を改めて示す機会となった。

  • 2030年以降のF1マシン軽量化で「給油復活」案 チーム首脳は揃って反対

    2030年以降のF1マシン軽量化で「給油復活」案 チーム首脳は揃って反対

    F1では2030年以降を見据えた将来のレギュレーションを巡り、マシンのさらなる軽量化が重要なテーマとなっている。その手段のひとつとして、2010年から禁止されているレース中の給油を復活させる案も浮上している。

    しかし、ウィリアムズF1代表のジェームス・ボウルズ、レーシングブルズCEOのピーター・バイエル、ハースF1代表の小松礼雄はいずれも給油復活に否定的な見解を示した。

    3人ともマシンを軽くするという目的そのものには賛成しているが、給油をその解決策とすることにはスポーツ面やコスト、安全性などの観点から疑問を呈している。

    F1軽量化の手段として浮上する「給油復活」
    F1では将来的なV8エンジンへの回帰が議論される一方、マシン重量をいかに削減するかも次世代レギュレーションにおける大きな課題となっている。

    その選択肢のひとつがレース中の給油だ。現在のF1では決勝を走り切るために必要な燃料をスタート時から搭載する必要があるが、給油が認められれば、搭載燃料を減らした軽い状態でレースをスタートできる。

    理論上はマシン重量を削減できるだけでなく、給油量やタイミングによって戦略の幅が広がる可能性もある。しかし、過去に給油時代を経験してきたチーム関係者からは、そのスポーツ的なメリットを疑問視する声が相次いでいる。

    小松礼雄「給油はまったく好きではありません」
    ハースF1代表の小松礼雄は、給油復活について明確に反対の立場を示している。

    「個人的には、給油は本当にあまり好きではありません。というか、まったく好きではないですね。私が好きだと言いましたか? 好きではありません」

    小松礼雄は、かつてF1を外から観戦していた立場からも、給油がレース展開を分かりにくくしていたと振り返る。

    「私が外からF1を見ていたときでさえ、給油があると、スタンドで観戦している人にとってレースが非常に分かりにくくなっていました」

    一方で、小松礼雄は予選については、ドライバーが可能な限り軽いマシンで限界まで攻められる状態が望ましいと考えている。

    「ただ、予選ではマシンをできるだけ軽くして、ドライバーが全力で攻められるという考え方は好きです。それについては賛成です」

    「ですから、まとめると、レース中の給油には賛成ではありません。重量やコスト、それに伴うあらゆることを考えてもそうです。本当に給油はあまり好きではありません」

    ピーター・バイエル「ショーにはほとんど何も加えない」
    レーシングブルズCEOのピーター・バイエルも、小松礼雄と同様に給油復活には否定的だ。

    バイエルはFIAで働いていた時代、F1のエンターテインメント性を向上させるためのワーキンググループに参加しており、その際にも給油復活について詳細な検証が行われたという。

    「まだFIAで働いていたころ、ロス・ブラウンと彼のチームを含むF1とのワーキンググループがあり、エンターテインメントやショーをどう改善するかについて検討していた」

    「そのとき、一部の人たちから出てきた大きなアイデアのひとつが給油だった。そこで、過去の映像や手元にあったデータを非常に詳しく調べた」

    その検証から得られた結論は、給油が必ずしもレースを面白くするわけではないというものだった。

    「その結果、非常に派手で危険な映像がいくつかあったことを除けば、給油はスポーツにそれほど何かをもたらしてはいなかったことが分かった。なぜなら、オーバーテイクの多くが突然ピットレーンで起きるようになったからだ」

    つまり、コース上で行われていた順位争いの一部が、給油時間やピットストップのタイミングによるポジション変動へと置き換わってしまう。

    「だから、私はこのアイデアにはあまり賛成ではない。実際のところ、ショーにそれほど多くのものを加えないことが分かっているからだ」

    ジェームス・ボウルズ「レースが予測しやすくなる」
    ウィリアムズF1代表のジェームス・ボウルズも、基本的には2人と同じ考えだ。

    まず、給油が行われていた時代ならではの個人的な経験を交えて冗談を飛ばした。

    「私も似たような意見だ。非常に個人的な話をすると、ピットウォールでレーシングスーツを着ているとかなり暑い。だから、できればもう一度あれを経験したくはない」

    給油時代には火災の危険があることから、ピット作業に関わるスタッフだけでなく、ピットウォールのチームメンバーにも防火装備が求められていた。

    だが、ボウルズがより大きな問題として挙げたのは、給油によって各マシンのピットストップ時期を予測しやすくなることだ。

    「もうひとつ起きるのは、基本的にマシンがいつピットストップするのかを正確に予測できるようになることだ」

    「燃料を使い切るところまで走らせることになる。なぜなら、そのときにマシンが最も速くなるからだ」

    給油量が分かれば、各ドライバーが何周目付近でピットに入るのかも計算しやすくなる。ボウルズは、それによって戦略的な意外性が失われる可能性を指摘する。

    「つまり、何が起こるのかを予測できる。誰かが1ストップなのか、2ストップなのか、3ストップなのかが分かるようになり、最終的にはそれほど大きな違いを生まない」

    さらに現在は、テレビ中継や公式データなどを通じて、ファンがリアルタイムで膨大な情報を入手できる。

    「今は外の世界に対して非常に多くの情報が公開されているので、誰もがそうした情報にアクセスできるようになるだろう。それによって、私にとってはレースの駆け引きのかなりの部分が失われてしまう」

    フォーミュラ1カー 給油

    軽量化には賛成 ただし「給油は正しい解決策ではない」
    3人の意見に共通しているのは、F1マシンを軽量化するという目標そのものを否定しているわけではないという点だ。

    むしろボウルズは、将来のF1にとってマシン重量を抑えることは重要だと強調する。そのうえで、給油復活を軽量化のための手段とすることには反対している。

    「このアイデアの背景にある考え方は、『マシン重量を低く保とう』ということだと思う。それについては完全に賛成だ」

    「ただ、それを実現するために給油へ戻ることが正しい解決策だとは思わない」

    F1では2030年以降に向けたパワーユニットやシャシー規則について議論が続いており、軽量化は今後の重要なテーマのひとつとなる。ただし、かつてF1のレース戦略を大きく左右した給油を復活させることについては、少なくとも現場のチーム首脳から強い支持は得られていない。

    マシンを軽くし、ドライバーがより限界まで攻められるF1を目指すという方向性では一致している。一方、そのためにレース中の給油を復活させるべきかという問いに対して、ボウルズ、バイエル、小松礼雄の答えはいずれも「ノー」だった。

  • ウィリアムズF1 女性ドライバー育成で改革提言「重要なのはカートからの投資」

    ウィリアムズF1 女性ドライバー育成で改革提言「重要なのはカートからの投資」

    ウィリアムズF1代表のジェームス・ボウルズは、女性ドライバーが最高峰まで到達するためには、F1アカデミーだけでなく、さらに早い段階から育成の裾野を広げる必要があると語った。特に重視しているのが、モータースポーツの出発点となるカートでの若手発掘と資金面を含めた支援だ。

    F1アカデミーによって女性ドライバーの活躍に注目が集まる一方、ボウルズは、F1を目指せる人材を増やすには育成カテゴリーに到達する以前の「パイプライン」そのものを拡大する必要があると指摘。

    ウィリアムズでは実際に若い女性カートドライバーへの投資を進めているという。

    F1アカデミーは「灯台」 根本的な解決には早期育成が必要
    ウィリアムズはこれまで、ジェイミー・チャドウィックを支援するなど、女性ドライバーのキャリア形成に関わってきた。チャドウィックはプロのレーシングドライバーとしてキャリアを築いており、女性にも道が開かれていることを示す存在のひとりだ。

    しかし、若い女性ドライバーの多くが競技生活の早い段階で壁に直面する現実もある。

    F1アカデミーやウィリアムズの取り組みによって、育成過程における男女間の差を縮められるかと問われたボウルズは、明確に肯定した。

    「短く答えるなら、イエスだ」

    そのうえでボウルズは、F1アカデミーの存在意義を高く評価しながらも、それだけですべての問題を解決できるわけではないと強調した。

    「私はF1アカデミーが大好きだし、スージー・ヴォルフと、そこに関わっているすべての人々を称賛している。ただ、私たちは若いカートドライバー、特に若い女性にも投資している。松井沙羅は私たちにとってその一例であり、これは本当の意味での投資だ」

    ボウルズによれば、女性ドライバーが途中で競技を離れる理由は、単純に実力不足だけではない。十分な能力を持ちながら、資金を確保できずにキャリアを続けられなくなるケースもあるという。

    「本当に不足しているものについて言えば、その指摘は正しい。途中で辞める人もいるし、率直に言えば、必要なレベルの才能を持っていない人もいる。しかし一方で、必要な能力を備えているにもかかわらず、資金が必ずしもついてこない人もいる」

    だからこそ、ボウルズはF1アカデミーを女性ドライバー育成の最終的な答えではなく、より大きな取り組みを世間に示す存在と位置づけている。

    「F1アカデミーは私にとって重要だが、それはあくまで灯台のような存在だ。本当に重要なのは、若い才能に対して草の根レベルから投資することだ」

    ウィリアムズ・レーシング F1アカデミー

    F1に届く才能を生み出すには「母数」が必要
    ボウルズが特に重要視しているのが、才能を発掘し、育成カテゴリーへ送り込んでいく「パイプライン」だ。

    F1ドライバーになるための競争は極めて厳しく、その選別はシングルシーターに乗り始めるよりはるか以前、カート時代から始まっている。

    「不足しているのは、多くの分野と同じようにパイプラインだ。男性ドライバーだけを見ても、F1に到達するドライバーのほぼ全員が、カートで何度もヨーロッパ王者や世界王者になっている。そして通常はF4で1年目、遅くとも2年目には勝つ。そこから先でも何度もチャンピオンになる。そうやってF1までたどり着く」

    つまり、将来的にF1へ到達できる女性ドライバーを生み出すためには、最終段階に近いカテゴリーだけを支援するのではなく、その候補となるドライバーの絶対数を増やさなければならない。

    「そのパイプラインには何万人もの人々がいて、そこから選抜されていく。だから、そこにいる人の数が多ければ多いほど、才能を見つけ出せる可能性も高くなる」

    現状では女性ドライバーの母数そのものが小さく、そこから世界最高峰に到達できるほどの才能を見つけ出す確率も必然的に低くなる。ボウルズは、才能が自然に現れるのを待つのではなく、チーム側が積極的に発掘と育成に関与すべきだと考えている。

    「この分野における私たちの責任は、そのパイプラインを改善し、才能を見つけ、そこに投資していくことだ」

    F1アカデミーが女性ドライバーに目標と活躍の場を提供する一方、ボウルズが描く育成策の核心は、そのさらに下にあるカート世代の拡充にある。F1を目指せる女性の数そのものを増やし、才能があっても資金不足によって道を断たれるケースを減らすことが、将来的に女性ドライバーがF1へ到達する可能性を高めるとの考えだ。

  • 元F1ドライバー ラルフ・シューマッハが水上バイク事故で骨折 手術へ

    元F1ドライバー ラルフ・シューマッハが水上バイク事故で骨折 手術へ

    元F1ドライバーのラルフ・シューマッハが、ドイツで行われたテレビ番組の水上バイクイベントで事故に遭い、肩の脱臼と骨折を負った。手術を受ける必要があるものの、次戦F1イタリアGPには復帰できるとの見通しを示している。

    F1で通算6勝を挙げ、現在はSky Germanyで解説者を務めるラルフ・シューマッハは、テレビタレントのステファン・ラーブとともにレガッタコースで行われたイベントに出場。個人戦で決勝まで進出した後、メインイベントではラーブとペアを組んでいた。

    水上バイクを起こそうとして肩を脱臼
    アクシデントが起きたのは、ラーブと組んで臨んだメインイベントだった。2人は短い間に2度、水上バイクから水中へ転落した。

    ラルフ・シューマッハは転落後、水中で水上バイクを元の状態に戻そうとした際に肩を脱臼した。

    翌日の日曜日に病院で検査を受けた結果、脱臼に加えて小さな骨折も確認された。これにより、外科手術が必要であることが判明した。

    手術後はF1イタリアGPで復帰予定
    それでも、ラルフ・シューマッハは長期離脱にはならないと考えている。手術を終えた後、次戦F1イタリアGPが開催されるモンツァのパドックに戻る意向を明らかにした。

    「手術はすぐに終わるし、その後はモンツァにも行けるはずだ」

    「マイクを左手で持たなければならないだけだよ!」

    また、ラルフ・シューマッハは今回の事故について、イベント主催者側に責任はないと説明している。

    事故は重量のある水上バイクを急いで起こそうとした際に起きたもので、自身の行動が原因だったと冗談交じりに振り返った。

    F1通算6勝を挙げたラルフ・シューマッハ
    ミハエル・シューマッハの弟であるラルフ・シューマッハは、1997年にジョーダンからF1デビュー。その後ウィリアムズ、トヨタでドライブし、2007年までF1に参戦した。

    特にウィリアムズ時代には2001年から2003年にかけて通算6勝を記録。F1引退後はDTMへの参戦などを経て、現在はSky GermanyのF1解説者としてグランプリの現場を訪れている。

    今回の事故では肩の脱臼だけでなく骨折も判明したため手術を受けることになったが、本人はモンツァでの仕事復帰に前向きだ。予定通り回復すれば、F1イタリアGPでは左手でマイクを握るラルフ・シューマッハの姿が見られることになりそうだ。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの性能は2027年去就に「重要ではない」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1新PUの性能は2027年去就に「重要ではない」

    フェルナンド・アロンソは、2027年以降もF1参戦を続けるかどうかについて、ホンダが投入したアップグレード版パワーユニット(PU)の絶対的な性能は判断材料として「重要ではない」と語った。

    アストンマーティンとホンダは2026年F1シーズン前半に苦戦したが、アロンソが重視しているのは今回のアップデートで何秒縮められるかではない。

    開発現場で狙った改善が実際のマシンでも再現されるか、つまり開発の方向性と相関性が正しいことを確認できるかが、将来を見極めるうえで重要だと説明した。

    ホンダ新PUの性能と2027年の去就は「関係ない」
    ホンダは前戦オランダGPで今季初となるPUアップデートを投入した。シーズン前半は期待された競争力を発揮できず、アストンマーティンもシャシー側で苦戦したことから、両者のパートナーシップの立ち上がりは厳しいものとなった。

    そうした状況を受け、2026年限りで現在の契約を終えるアロンソが2027年もF1に残るかどうかは、ホンダの改良型PUがどれだけ進歩するかに左右されるのではないかとの見方も出ている。

    しかし、アロンソはその考えを否定した。ホンダの新PUのパフォーマンスが自身の決断にどれほど重要なのかと尋ねられると、明確に答えた。

    「重要ではない」

    「もちろん、パワーやドライバビリティ、それに僕たちに欠けていた部分で何らかの恩恵が見られることを期待している」

    「でも僕にとってもっと重要なのは、ブダペストでのシャシー側と同じように、何が必要なのかを理解したうえで開発の考え方があり、それによって前進できていることを確認することだ」

    「0.1秒でも1秒でも数字は重要ではない」
    アストンマーティンは7月のハンガリーGPでシャシーのアップデートを投入した。アロンソによれば、その際も目的は一気にトップ争いへ加わることではなく、ファクトリーで進めてきた開発の方向性が実車でも正しく機能するかを確認することだった。

    「ブダペストでは、トップのポジションを争えるとは思っていなかった。でも、シャシー側で進んでいる方向が正しいのかを確認したかった。そして、それは確認できたと思う」

    「だから将来に向けて励みになる。相関性が良くて、僕たちが期待していたものが実際に得られたからだ」

    アロンソは、今回のホンダのPUアップデートについても同じ視点で評価しているという。

    「今度はエンジンでも同じだ。彼らはエンジンにいくつか変更を加えた。だから、すべてが期待どおりに機能していることを確認できればいい」

    「それが0.1秒なのか1秒なのか、その数字自体は本当に重要ではない」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    アロンソが重視する「相関性」
    アロンソの発言から浮かび上がるのは、現時点のラップタイムそのものよりも、アストンマーティンとホンダが開発を正しい方向へ進められているかを重視しているという点だ。

    F1マシンの開発では、シミュレーションやダイナモ、風洞などで予測された改善がサーキットでも再現される「相関性」が重要になる。期待した効果が実車で確認できれば、その開発手法を基盤として次のアップデートへつなげることができる。

    ハンガリーGPのシャシーアップデートについて、アロンソはすでにその相関性を肯定的に評価している。ホンダのPUについても、今回の変更によって得られる絶対的なタイム短縮量ではなく、開発段階で予測した改善が実際に現れるかを確認したいということになる。

    「僕たちはかなり後ろにいるから、数字そのものを気にしている場合ではない」

    「僕たちが期待したものが、実際に届けられていることを確認したいだけだ」

    2027年のF1継続はまだ決断せず
    アロンソは現時点で、2027年もF1参戦を続けるかどうかを正式には決断していない。

    今回の発言は、ホンダの新PUが速ければ残留し、期待外れならF1を去るという単純な判断ではないことを示している。むしろアロンソが見ているのは、アストンマーティンとホンダが問題を正しく把握し、ファクトリーで想定した改善をサーキットへ確実に持ち込める組織になっているかどうかだ。

    2026年後半戦で求められているのは、一度のアップデートによる劇的な順位上昇ではない。シャシーとPUの双方で開発の相関性を確立し、継続的に前進できることを示せるか。そのプロセスこそが、アロンソにとってアストンマーティン・ホンダの将来性を判断する重要な材料になりそうだ。