投稿者: dbcheck

  • マクラーレンF1 イタリアGPに「Hウイング」投入 低ドラッグ仕様で3連勝狙う

    マクラーレンF1 イタリアGPに「Hウイング」投入 低ドラッグ仕様で3連勝狙う

    マクラーレンF1は、2026年F1第13戦イタリアGPに向け、MCL40にモンツァ専用のロードラッグ仕様を投入する。最大の注目点は、チームが「Hウイング」と名付けたウイングの実戦投入だ。

    マクラーレンはハンガリーGPとオランダGPで2連勝を飾り、MCL40の競争力を大きく引き上げてきた。しかし、長いストレートと低ダウンフォースが特徴のモンツァでは要求される性能が大きく異なる。

    チームは直近2戦の勢力図がそのままイタリアGPに持ち込まれるとは考えておらず、ロードラッグ性能とエネルギーマネジメントを週末の重要課題に挙げている。

    モンツァ専用のロードラッグ仕様と「Hウイング」
    マクラーレンは金曜日から2台のMCL40に小規模な空力アップデートを用意するほか、すでに申告済みの高速サーキット向けパーツも投入する。

    その中でも特徴的なのが「Hウイング」だ。名称は2010年のマクラーレンで話題となった「Fダクト」を意識したものとなっている。

    当時のFダクトは、開口部付近に配置されていたスポンサーのロゴに由来して「F」の名称が定着した。今回のHウイングも同様の発想で、その機構が設置される側に掲出されるエティハド(Etihad)の「H」にちなんで命名された。

    さらにマクラーレンは、モンツァに合わせて新しいロードラッグ仕様のリアウイングも投入する。予選までに複数の空力およびロードラッグ仕様を比較し、最終的なパッケージを決定する計画だ。

    2連勝でもモンツァでは勢力図が変わる可能性
    マクラーレンはハンガリーGPとオランダGPで連勝しているが、チームはモンツァで同じ優位性を期待できるとは考えていない。

    マクラーレンのテクニカルディレクター(エンジニアリング)を務めるニール・ホールディは、直近の結果に手応えを示す一方、イタリアGPはまったく異なる性格の戦いになると警戒する。

    「我々は2連勝を挙げてモンツァにやって来る。今シーズンに積み重ねてきた進歩がコース上で結果として報われたことは、チーム全員にとって素晴らしいことだった。再び勝てたことは最高の感覚だったし、さらにプッシュし続けようというチーム全体のモチベーションを高めてくれた」

    「ここ数戦で速いマシンを持っていたことは分かっているが、我々は何も当然だとは考えていない。ここは最近のサーキットとは大きく異なり、ハンガリーやオランダで見られたものとは必ずしも一致しない勢力図になる可能性がある」

    ライバルもシーズン中の開発を続けており、マクラーレン自身もMCL40の性能をさらに引き出す必要がある。

    「ライバルたちは空力とパワーユニットの開発を続けてくる。我々が再び先頭で戦うためには、セットアップやエネルギーマネジメントから、ドライバーが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることまで、あらゆる細部を完璧に実行しなければならない」

    ロードラッグだけではないモンツァ特有の難しさ
    モンツァはF1カレンダーを代表する高速サーキットであり、長い全開区間に対応するためドラッグを可能な限り減らす必要がある。

    一方で、単純にリアウイングを寝かせればいいわけではない。高速域からの強烈なブレーキングではマシンの安定性が必要となり、シケインでは縁石を使いながら方向転換するための良好な動的特性も要求される。

    ホールディは次のように説明する。

    「モンツァは独特のチャレンジを突きつけてくる。長いストレートがあるため、ドラッグを減らすことが非常に重要になる」

    「大きなブレーキングゾーンでは安定性が求められ、シケインでは優れた動的挙動が必要になる。また、ラップ全体を通じてエネルギーにも制限があるため、どのように最適な形で回収し、展開するかを理解することがプラクティスでの重要なポイントになる」

    マクラーレン F1 イタリアグランプリ

    エネルギー戦略が生む「ヨーヨー効果」
    2026年F1マシンにとって、モンツァではパワーユニットの電気エネルギーをどこで回収し、どこで使用するかも大きなテーマになる。

    長いストレートが続くため、ライバル同士で異なるエネルギー戦略を採用した場合、同じラップの中でも場所によって加速性能の優劣が入れ替わる可能性がある。

    「その結果、オーバーテイクのマネジメントが特に重要になる。エネルギーの回収と展開について異なるアプローチを取れば、ラップの場所によって各マシンの優位性が入れ替わる『ヨーヨー効果』が生じる可能性がある」

    これは予選の一発の速さだけでなく、決勝でのバトルにも直結する要素となる。ロードラッグ化による最高速、ブレーキング時の安定性、シケインでの挙動、そしてエネルギー展開をどのように両立させるかがMCL40の競争力を左右する。

    新リアウイングを比較して予選仕様を決定
    マクラーレンは事前シミュレーションに加え、金曜日の走行で複数の仕様を比較する。

    「先頭集団の差は依然として非常に小さい。したがって、イベント前のシミュレーションとシミュレーター作業の精度が、しっかりとしたベースラインを作るうえで極めて重要になる。そこからクリーンなプラクティスセッションを重ね、マシンを微調整してマシンとドライバーのパッケージを最大限に引き出す必要がある」

    「今週末は、新しいロードラッグ仕様のリアウイングを含め、競争力を発揮するために必要だと考えているものを持ち込んだ。Hウイングも初めて使用する。それとともに、いくつかの小規模な空力オプションとロードラッグオプションを評価し、予選に向けた最終仕様を決定する」

    MCL40には「まだ引き出せる性能がある」
    マクラーレンにとってイタリアGPは、ハンガリーとオランダで示したMCL40の進歩が、性格のまったく異なる高速サーキットでも通用するのかを測る重要な一戦となる。

    ホールディは、現在のパッケージだけでもまだ性能を引き出せる余地があり、さらに今後のグランプリに向けたアップデートも予定されていると明かした。

    「全体として、MCL40にはまだ引き出せるパフォーマンスがあることが分かっている。すでに持っているパッケージを最大限に活用することでもそうだし、今後のレースに予定しているさらなるアップデートによっても可能だ」

    また、イタリアGPではOKXとのパートナーシップを記念してMCL40のカラーリングにも変更が加えられる。基本デザインを維持しながらOKXロゴ周辺などに専用グラフィックを採用し、ドライバーはオールブラックのレーシングスーツを着用する。

    2連勝という勢いを持ってモンツァに乗り込むマクラーレンだが、低ダウンフォースという特殊な環境では直近の優位性がリセットされる可能性もある。新しいロードラッグ仕様のリアウイングとHウイング、そして2026年F1で重要性を増したエネルギーマネジメントをどこまで最適化できるかが、3連勝を狙うMCL40の鍵となる。

  • 2026年F1イタリアGP テレビ放送時間・配信日程(フジテレビNEXT・FOD)

    2026年F1イタリアGP テレビ放送時間・配信日程(フジテレビNEXT・FOD)

    2026年F1第13戦イタリアGPは、9月4日(金)からモンツァ・サーキットで開催される。初日にフリー走行1回目(FP1)とフリー走行2回目(FP2)、2日目にフリー走行3回目(FP3)と予選、最終日の9月6日(日)に決勝レースが行われる。

    舞台となるモンツァ・サーキットは、イタリア北部ミラノ近郊のモンツァに位置するF1屈指の高速サーキットである。

    全長5.793km、11のコーナーで構成され、長いストレートと高速区間を組み合わせたレイアウトから「スピードの神殿」として知られている。決勝は53周で争われる。

    1922年に建設されたモンツァは、1950年のF1世界選手権創設時からカレンダーを支えてきた歴史的な舞台でもある。1980年を除いてイタリアGPを開催し続けており、フェラーリを熱狂的に支持する「ティフォシ」がスタンドを埋め尽くすことでも知られている。

    モンツァ最大の特徴は、F1カレンダーでもトップクラスの平均速度にある。各チームはストレートスピードを最大限に引き出すため、シーズンで最もダウンフォースレベルを落とした専用仕様に近い空力パッケージを投入する。一方で、第1シケインやロッジアなどでは高速域からの強いブレーキングが要求され、低ドラッグだけでなくブレーキング時の安定性も重要となる。

    2026年は新世代F1マシンとパワーユニットで迎える最初のモンツァとなる。長いストレートを持つサーキットだけにエネルギーマネジメントも新たな課題となり、各チームのシミュレーションでは前年より約2秒速いラップタイムが予想されている。

    2026年イタリアGPでは、ピレリは最も軟らかいC3、C4、C5の3種類を選択した。C3がハード、C4がミディアム、C5がソフトとして使用される。モンツァでこの組み合わせが採用されることで、3種類すべてのコンパウンドが決勝戦略の選択肢となる可能性がある。

    モンツァではピットストップによるタイムロスがシーズンでも大きい部類に入るため、基本的にはタイヤを長く持たせる1ストップ戦略が有力となる。ただし、気温と路面温度が高くなればデグラデーションが増加する可能性があり、コンディション次第では戦略の幅が広がることになる。

    イタリアGPは伝統的にフェラーリにとってシーズン最大級のホームイベントとなる。ティフォシが埋め尽くすモンツァで、低ダウンフォース仕様のマシン性能、新パワーユニットのエネルギーマネジメント、そしてタイヤ戦略がどのような勢力図を生み出すかが注目される。

    2026年F1イタリアGP スケジュール
    ■ 9月4日(金)
    フリー走行1:19:30~20:30(現地時間:12:30~13:30)
    フリー走行2:23:00~24:00(現地時間:16:00~17:00)

    ■ 9月5日(土)
    フリー走行3:19:30~20:30(現地時間:12:30~13:30)
    予選:23:00~24:00(現地時間:16:00~17:00)

    ■ 9月6日(日)
    決勝:22:00~(現地時間:15:00~)

    フジテレビNEXT 放送スケジュール(生放送)
    ■ 9月4日(金)
    フリー走行1:19:20~21:10
    解説:松田次生、米家峰起
    実況:堀池亮介

    フリー走行2:22:50~24:40
    解説:松田次生、米家峰起
    実況:堀池亮介

    ■ 9月5日(土)
    フリー走行3:19:20~21:10
    解説:松田次生、川井一仁
    実況:堀池亮介

    予選:22:50~27:00
    解説:松田次生、川井一仁
    実況:堀池亮介

    ■ 9月6日(日)
    決勝:21:20~27:00
    解説:松田次生、川井一仁
    実況:堀池亮介

    FOD 配信スケジュール
    FODでは2026年F1第13戦イタリアGPをライブ配信する。また、フジテレビが8月19日に発表したシーズン後半戦の無料配信施策により、フリー走行1回目(FP1)、フリー走行2回目(FP2)、フリー走行3回目(FP3)は無料配信の対象となっており、FODへの登録なしで視聴できる。

    無料配信ではFOD限定のコメンタリーが使用される。

    ■ 9月4日(金)
    フリー走行1:19:20~(無料配信)
    フリー走行2:22:50~(無料配信)

    ■ 9月5日(土)
    フリー走行3:19:20~(無料配信)
    予選:22:50~

    ■ 9月6日(日)
    決勝:21:20~

    フジテレビは第12戦オランダGPから最終戦アブダビGPまで、フリー走行とスプリント予選をFODで無料配信する。スプリントが実施されないイタリアGPでは、3回のフリー走行がすべて無料配信の対象となる。

    モンツァ・サーキット
    FORMULA 1 PIRELLI GRAN PREMIO D’ITALIA 2026
    2026 イタリアグランプリ
    サーキット名: モンツァ・サーキット
    コース全長: 5.793km
    周回数:53
    レースディスタンス:306.72 km
    ラップレコード:1分20秒901(ランド・ノリス / 2006年)

  • 三菱自動車 新型「パジェロ」を世界初披露 新世代フラッグシップとして復活

    三菱自動車 新型「パジェロ」を世界初披露 新世代フラッグシップとして復活

    三菱自動車は2026年9月2日、クロスカントリーSUV「パジェロ」をフルモデルチェンジし、新世代のフラッグシップモデルとして世界初披露した。2026年度に生産拠点となるタイを皮切りに、日本、オーストラリアへ投入し、次年度以降はアセアン、中南米、中東など世界約100カ国へ順次展開する。

    1982年に誕生したパジェロは、本格的な悪路走破性と高い信頼性、乗用車としての快適性を融合した三菱自動車を象徴する4WDモデルだ。

    新型では歴代モデルが培ってきた「Confidence(悪路走破性・信頼性)」と「Comfort(快適性・扱いやすさ)」を継承しながら、新たに「Prestige(上質さ)」を加えた。

    パジェロが新世代の三菱自動車を象徴するフラッグシップとして復活
    パジェロは1982年の初代登場以来、本格的なクロスカントリー4WDとして世界各地で支持を集め、日本では1990年代のRVブームを牽引したモデルのひとつとなった。

    初代から4代目までの累計生産台数は329万台を超え、170以上の国と地域で販売。悪路走破性や耐久性だけでなく、日常でも使える快適性を備えたモデルとして三菱自動車のブランドイメージを築いてきた。

    新型パジェロでは、その基本思想を現代のフラッグシップSUVとして再構築した。

    三菱自動車が掲げるのは「Confidence」「Comfort」「Prestige」という3つの価値だ。歴代パジェロから受け継いだ悪路走破性と信頼性、快適性と扱いやすさをさらに進化させるとともに、新世代のフラッグシップに求められる上質さを追加した。

    三菱自動車の取締役代表執行役社長兼COOを務める岸浦恵介は、新型パジェロの位置づけについて次のように説明している。

    「当社の2030年代に向けた中長期ビジョンでは、『尖った商品・ブランドの強化により、お客様満足と企業価値の向上』をテーマに掲げ、三菱自動車らしさに磨きをかけてまいります」

    「その第一弾となるのが新型『パジェロ』であり、この後に続く『パジェロ』シリーズをはじめ、すべての三菱車を牽引していくフラッグシップモデルです。新型『パジェロ』は、上質に進化した、あらゆるシーンで頼れるプレステージなクロスカントリーSUVです。これからグローバルに順次、展開してまいりますので、ご期待ください」

    新型パジェロ

    歴代パジェロを受け継ぐスクエアなデザイン
    新型パジェロのデザインコンセプトは「グランドカリスマ-泰然自若-」。4代目の登場から20年を経た時代の変化を踏まえながら、歴代モデルのヘリテージを現代的に再解釈した。

    エクステリアは初代から続く水平基調のスクエアで塊感のあるプロポーションを基本とし、張り出したフェンダーと立体的なボディによって力強さを表現する。

    フロントフェイスには、日本の剣道に通じる「内面の強さ」という考え方を取り入れた。フロントグリルは日本のものづくりの精巧さを表現する横桟タイプと、機能美や強度をイメージさせるハニカムタイプの2種類を設定。ヘッドライトには特徴的なT字型デザインを採用する。

    サイドでは初代パジェロのロールバーから着想を得たCピラーを採用し、リアには歴代モデルの背面スペアタイヤを想起させるヘキサゴンモチーフを配置した。

    単に過去の意匠を復刻するのではなく、歴代パジェロを知るユーザーがその系譜を感じ取れる要素を残しながら、新世代モデルとして成立させることが狙いとなっている。

    2枚の14.3インチディスプレイに伝統の3連メーターを再現
    インテリアも歴代パジェロの水平基調のインストルメントパネルを継承しつつ、大幅にデジタル化された。

    象徴的なのが、2枚の14.3インチ大型ディスプレイで構成されるモノリスディスプレイだ。一部仕様では12.3インチとなる。

    画面には歴代パジェロを象徴してきた3連メーターを現代的に再現した「マルチメーター」を表示でき、高度、方位、温度、車体の前後左右の傾き、AYCの制御量などを確認できる。

    メーター背景には時間の経過に応じてリアルタイムに変化する全16種類のビジュアルを用意。ドライブモードごとにも専用演出が設定される。

    インストルメントパネルやドアトリムには、日本の伝統工芸「木目込み」から着想を得た縫製技法を施したソフトマテリアルを採用し、フラッグシップとしての質感を高めた。

    三菱自動車 パジェロ

    2.4Lクリーンディーゼルは最大480Nm 新開発8速ATを採用
    新型パジェロのパワートレインには、専用開発された2.4Lクリーンディーゼルエンジンを搭載する。

    ワイドレンジのシングルVGターボを採用し、最大トルクは480Nm。一部仕様では470Nmとなる。低速から高速域まで扱いやすく力強い加速特性を狙った。

    トランスミッションには新開発のスポーツモード付き8速オートマチックを組み合わせる。オンロードでの滑らかさとオフロードでの扱いやすさを両立し、ドライバーの操作に忠実な加速レスポンスを目指した。

    ラダーフレームを継承 フロント独立懸架とリア5リンク式リジッド
    車体には本格クロスカントリーSUVとして高剛性ラダーフレームを採用する。

    高張力鋼板の使用範囲を拡大して軽量化を進める一方、フレーム断面積を拡大するなどして、ねじり剛性と曲げ剛性を大幅に向上。悪路で求められる信頼性と耐久性だけでなく、オンロードでの操縦安定性や乗り心地にも重点が置かれた。

    サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式独立懸架、リアには新開発の5リンク式リジッドを採用する。

    三菱自動車は新型パジェロの開発において「悪路快適性」を重要な評価指標に設定した。単純に悪路を突破できる能力だけを追求するのではなく、長距離走行や荒れた路面でも乗員が快適に移動できることを目標としている。

    ボディマウントも強化され、荒れた路面から伝わる不快な振動を低減。オフロード性能とオンロードでの快適性を高いレベルで両立させることが狙われている。

    S-AWCとスーパーセレクト4WD-IIを組み合わせる
    新型パジェロの走行性能における中核技術が、車両運動統合制御システム「S-AWC」と「スーパーセレクト4WD-II(SS4-II)」だ。

    SS4-IIでは、走行状況に応じて「2H(後輪駆動)」「4H(フルタイム4WD)」「4HLc(センターデフロック)」「4LLc(ローギヤ+センターデフロック)」の4モードをドライバーが選択できる。

    さらに、フロントブレーキを利用して左右輪間のトルクを制御するAYC、ASTC、ABSをS-AWCによって統合制御。ドライバーの操作と路面状況に応じ、4輪の駆動力と制動力を最適化する。

    ドライブモードには「NORMAL」「ECO」「GRAVEL」「SNOW」「MUD」「SAND」「ROCK」の7種類を設定した。

    これにより、舗装路での安定した走行から雪道、砂地、泥濘、岩場まで、幅広い路面への対応を可能としている。

    最低地上高230mm 本格クロカンとしての車体寸法
    ボディサイズは全長4,920mm、全幅1,925mm、全高1,910mm、ホイールベース2,870mm。前後トレッドは1,630mmとなる。全高など一部数値は20インチタイヤ装着車のものだ。

    最低地上高は230mmを確保し、アプローチアングル30.4度、ランプブレークオーバーアングル22.6度、デパーチャーアングル25.8度とした。

    前後重量配分は52:48。ラダーフレームとストローク量を確保したサスペンションを組み合わせることで、本格クロスカントリーSUVとしての悪路走破性能を追求している。

    ブレーキには18インチ大径ローターと電動ブースターを採用した。

    3列7人乗り フラッグシップとして快適性も大幅強化
    新型パジェロは3列7人乗りのパッケージングを採用する。

    運転席は高めの着座位置によって視界を確保し、車両感覚をつかみやすくした。2列目シートには150mmのロングスライドとタンブル機構を備え、3列目についても大人が乗車できるヘッドクリアランスと足元空間を確保している。

    運転席・助手席と2列目には身体を自然に支えるシートを採用し、3列目も着座姿勢を最適化。シートベンチレーションや3ゾーン独立温度コントロール式フルオートエアコンも設定する。

    静粛性についても、フロントガラスだけでなく前後ドアにも遮音ガラスを採用。ボディ各部にも遮音対策を施し、高速走行時でも全席の乗員が自然に会話できる室内環境を目指した。

    3Dマルチアラウンドモニターは悪路走行にも対応
    運転支援では、高速道路同一車線運転支援機能「MI-PILOT」を搭載。レーダークルーズコントロールと車線維持支援機能を統合し、高速道路での長距離走行時にドライバーの負担を軽減する。

    衝突被害軽減ブレーキや前方衝突予測警報、踏み間違い衝突防止アシストに加え、緊急時車線維持支援機能をパジェロとして初採用。三菱自動車として初となるSRSセンターエアバッグを含め、合計8個のエアバッグを備える。

    4つのカメラ映像と車両の3Dモデルを組み合わせる「3Dマルチアラウンドモニター」も採用した。

    特徴的なのが「フロントアンダーフロアビュー」だ。急勾配や岩場などでドライバーから直接確認できない車両前方や車体下部の路面状況を映像で確認できる。

    4WDシステムで4HLcまたは4LLcを選択すると自動的に起動するなど、一般的な駐車支援だけではなく、本格的なオフロード走行での使用も想定した機能となっている。

    ヤマハ共同開発12スピーカーなどフラッグシップ装備を充実
    コネクテッド機能として「MITSUBISHI CONNECT」を採用し、スマートフォンからのエアコン操作や車両状態確認、緊急時のSOSコールなどに対応する。

    オーディオにはヤマハと共同開発した「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を搭載。12個のスピーカーとデュアルアンプを備え、車速に合わせて音量や音質を自動調整するサウンド補正機能も採用した。

    ボディカラーでは「アーマーカッパーメタリック」と「ファントムブルーメタリック」をテーマカラーとして設定。インテリアにはキャメルをベースにブラックを組み合わせた2トーンカラーを用意する。

    新型パジェロは、歴代モデルを単純に現代へ復活させたモデルではない。ラダーフレーム、SS4-II、本格的なオフロードジオメトリーといったパジェロの根幹を残しながら、S-AWC、最新の運転支援、デジタルインターフェース、静粛性や3列シートの快適性を加えることで、新世代のフラッグシップとして再構築された。

    1982年の初代登場から受け継がれてきた「どこへでも安心して行ける」というパジェロの価値を、現代の技術と上質さによってどこまで進化させたのか。2026年度からタイ、日本、オーストラリアへの投入が始まり、その後は世界約100カ国へ展開される計画だ。

  • F1イタリアGP 異色のトロフィー「FRAGILE」を発表 食器を重ねた芸術作品

    F1イタリアGP 異色のトロフィー「FRAGILE」を発表 食器を重ねた芸術作品

    2026年F1第13戦イタリアGPで表彰台に立つドライバーたちに贈られるトロフィー「FRAGILE」が公開された。カップや小さなボウルを積み重ねたような、F1のトロフィーとしては極めて異色のデザインとなっている。

    タイトルスポンサーを務めるピレリが、イタリア人アーティストと共同で制作したもので、一見すると今にも崩れそうな食器の塔。しかし、その不安定さには「勝利は永遠ではなく、常に勝ち取り直さなければならない」という意味が込められている。

    モンツァの勝者に贈られる「FRAGILE」
    2026年のイタリアGPは、モンツァ・サーキットで開催される77回目の大会となる。「スピードの神殿」と呼ばれるモンツァはF1カレンダーを代表する歴史的な舞台であり、イタリアのタイヤメーカーであるピレリにとってはホームレースでもある。

    ピレリとモンツァの関係は、F1誕生よりもはるか以前までさかのぼる。1922年9月10日、新設されたモンツァで初めて開催されたグランプリでは、ピエトロ・ボルディーノがピレリタイヤを装着したフィアット804を駆って優勝した。

    その歴史を持つピレリは今年もイタリアGPのタイトルスポンサーを務め、特別なトロフィーと表彰台用キャップを用意した。

    日曜日の決勝後、トップ3のドライバーと優勝チームの代表者が手にするのが「FRAGILE」だ。

    カップとボウルを積み重ねた異色のデザイン
    「FRAGILE」をデザインしたのは、ステラ・スカラとシメオネ・クリスピーノによるイタリアのアーティストデュオ「vedovamazzei」だ。

    ピレリは現代美術館「Pirelli HangarBicocca」と共同で、イタリアGPのトロフィーを国内のアーティストにデザインしてもらうプロジェクトを展開しており、今回で6年目を迎える。

    vedovamazzeiは、日常的な物を別の文脈に置き換えることで、現実に存在する矛盾や複雑さを表現する作品で知られる。

    今回の「FRAGILE」も、その作風を色濃く反映したものだ。

    トロフィーは、カップや小さなボウルといった家庭で使われる食器を縦に積み重ねたような構造になっている。それぞれが微妙にずれながら重なり、今にもバランスを崩しそうな外観を作り出している。

    だが、この不安定さこそが作品の核心だという。

    「トロフィーのアイデアは、祝杯のカップを人から人へと回していた古い伝統から生まれました」とステラ・スカラとシメオネ・クリスピーノは説明する。

    「それは飲み物を入れる大きな器として使われ、祝福や喜びをみんなで共有する感覚を生み出していました」

    イタリアグランプリ 2026年トロフィー 「FRAGILE」

    「勝利は不安定で一時的なもの」
    「FRAGILE」は、勝者がひとりで手にするトロフィーでありながら、その背後に存在するコミュニティーも表現している。

    「私たちは、このトロフィーを個人が手にする勝利の象徴であると同時に、コミュニティーの精神を映し出すものにしたいと考えました」

    「F1の場合、そのコミュニティーにはチーム、ファン、そしてドライバーを取り巻くすべての世界が含まれます」

    さらに、積み重ねられた食器には、F1で勝利を築き上げていく過程そのものが重ねられている。

    「この構成は、繰り返される動作を通じて日常的な側面も想起させます。それは1周ずつ積み上げて獲得する勝利を示しており、決して永遠で不変の地位ではありません」

    「勝利は不安定で、一時的なものであり、もう一度勝ち取らなければなりません。実際、それは“壊れやすい(FRAGILE)”ものなのです」

    食器が崩れそうな状態で積み上げられたデザインと「FRAGILE」という名称には、F1における勝利の儚さが込められている。

    3Dプリントで製造された最先端のトロフィー
    日用品をモチーフとしている一方で、「FRAGILE」の製造には現代的な技術が投入されている。

    制作は紙に描かれたスケッチから始まり、そのデザインをもとにナイロンパウダーを使用した3Dプリントで造形された。

    その後、塗装、電気めっき、研磨といった工程を経て、表面には鏡のような反射性を持たせている。

    伝統的な芸術制作、身近な日用品、そして最新の製造技術を組み合わせた作品というわけだ。

    このプロジェクトでは、2021年にアリーチェ・ロンキ、2022年にパトリック・トゥットフォーコ、2023年にルース・ベラハ、2024年にアンドレア・サラ、2025年にニコ・ヴァシェラーリがイタリアGPのトロフィーを手掛けてきた。

    2026年のモンツァで勝者を待つ「FRAGILE」は、単に奇抜さを狙ったトロフィーではない。1周ずつ積み上げて初めて手にできる一方、その勝利は永遠に保証されるものではなく、次のレースでは再びゼロから勝ち取らなければならない。

    今にも崩れそうなカップとボウルの積み重ねは、F1で勝利することの価値と、その地位の儚さを表現した作品となっている。

  • フェラーリF1 バスールが語る終盤戦変更の影響「開発に回せる資金が増える」

    フェラーリF1 バスールが語る終盤戦変更の影響「開発に回せる資金が増える」

    フェラーリF1代表のフレデリック・バスールは、2026年シーズン終盤のカレンダーが変更された場合、コストキャップの面でチームの開発に思わぬ恩恵をもたらす可能性があると説明した。

    イランを巡る紛争の影響により、カタールGPとアブダビGPが予定通り開催できるかは依然として不透明となっている。

    F1のステファノ・ドメニカリCEOは、中東で予定されている最後の2戦について9月中旬をめどに最終判断を下す方針を示しており、中止となった場合にはイモラでの欧州代替戦が候補に挙がっている。

    中東2戦の開催可否で変わるPU運用
    シーズン終盤のカレンダー変更は、各チームのパワーユニット(PU)運用にも影響を及ぼす。残りのレース数が確定しなければ、各コンポーネントをどのように割り振るかという計画を立てにくくなるためだ。

    ただし、バスールはフェラーリについては十分な余裕があり、大きな問題にはならないとの見方を示している。

    「エンジンの使用については、残りが10戦なのか12戦なのか分からない状態で何かを組み立てるのは、確かに簡単ではない。ただ、我々にはそれを管理するだけの十分な余裕があると思う。今季ここまで、パワーユニット側ではほとんど問題も起きていない」

    一方、残り2戦の開催可否によってフェラーリの最終的な開発計画そのものを変更することはないという。

    「開発計画は変わらない。最後の2戦だからだ。最後の2戦に新しいものを持ち込むことはない」

    中東遠征の巨額コストを開発費へ転用可能
    より大きな影響が予想されるのがコストキャップだ。

    カタールとアブダビで2戦を開催するためには、マシンや機材、人員を中東へ輸送する巨額のロジスティクス費用が必要になる。一方、欧州での代替開催となれば、その費用の一部を節約し、別の用途へ振り向けられる可能性がある。

    「コストキャップについては、もう少し難しいポイントになるかもしれない。アブダビとカタールへ行って2レースを戦うための費用は莫大だからだ」

    「そこへ行かなければ、その前にその資金を別のところで使うことができる。開発でも、それ以外でもいい。これは我々だけではなく、グリッドのほぼすべてのチームに当てはまると思う」

    特にコストキャップ上限まで予算を使っているチームにとって、中東遠征がなくなれば、浮いた費用を10月の開発活動などへ振り向けることが可能になる。収益性の高い最後の2戦から得られる収入が支払われるかどうかとは別に、支出面で新たな余地が生まれるためだ。

    2026年のコストキャップは2億1500万ドル。上限付近まで予算を投入しているチームであれば、カタールGPとアブダビGPの遠征費が不要になった分だけ、開発やその他の活動へ予算を再配分できる。

    一方、予算規模がコストキャップを大きく下回るハースにとっては、この仕組みの恩恵は相対的に小さく、むしろ上限まで予算を使うライバルが開発費を増やせることで不利になる可能性がある。アルピーヌについても、予算が上限に達しているかは明確ではない。

    9月末が物流面での決断期限
    ただし、カレンダー変更を決めるタイミングには限界がある。

    中東ラウンドを実施する場合、各チームは事前に大量の機材を現地へ送り出す必要があり、開催直前まで判断を先送りすることはできない。

    「どこかの時点で決断しなければならない。ただ、物流上の理由から、全体として9月末までには決める必要があると思う。中東へ機材を送らなければならないので、それ以上先延ばしすることはできない」

    バスールは、9月末までに決定されれば、その後のシーズンを組み立てる時間としては十分だと考えている。

    「9月以降の最後の6戦、あるいは7戦を管理するには十分早い時期だと思う」

    フェラーリがモンツァで重視する「完璧な仕事」
    シーズン終盤のカレンダーが不透明ななか、フェラーリはホームレースとなるF1イタリアGPをモンツァで迎える。

    バスールは、そこで結果を左右するのはマシンが本来持っている純粋な速さだけではなく、週末を通じてその性能をどこまで引き出せるかだと強調した。

    「我々はベストを尽くす。今季ここまで、予想していなかった結果を得られたこともあれば、もっと良い結果を期待していたのに、より苦しんだこともあった」

    前戦オランダGPでは、フェラーリだけでなく上位勢全体にとって、わずかなミスや週末の組み立ての違いが最終順位を大きく左右することが改めて示されたとバスールは考えている。

    「純粋なポテンシャルよりも、実行面で得られるものの方がはるかに大きいと思う。オランダGPから得た最大の教訓は、勝ちたい、トップに立ちたいのであれば、完璧な仕事をしなければならないということだ」

    その例としてバスールが挙げたのが、メルセデスのジョージ・ラッセルだった。

    「これは我々だけではなく、ジョージにも当てはまる。彼はスプリントでは優勝したが、決勝では3位で、我々の後ろの5位で終わるところまでそれほど遠くなかった」

    「実行がうまくいくか、うまくいかないかによって、1位から6位まで動く余地がある。トップ6全員に当てはまるし、マックス(フェルスタッペン)を含めればトップ7だ」

    モンツァでフェラーリが問われるのは、SF-26の絶対的な性能だけではない。僅差で争う上位勢のなかで、セットアップ、予選、戦略、ピット作業まで含めた週末全体をどれだけミスなくまとめられるかが、ホームGPでの結果を大きく左右することになる。

  • アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    アストンマーティン・ホンダF1 入賞はアップグレードではなくアロンソの力?

    フェルナンド・アロンソがF1オランダGPで18番グリッドから9位まで追い上げた走りについて、元ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、アストンマーティンのAMR26Bそのものよりも「アロンソの力」が結果を大きく左右したとの見方を示した。

    アストンマーティンはザントフォールトで金曜から土曜にかけて苦戦し、スプリント予選と決勝の予選で期待された結果を残せなかった。

    それでもアロンソは日曜の決勝で力強いレースペースを発揮。18番手から9位まで順位を上げ、チームにポイントをもたらした。

    シュタイナー「アロンソの特別なレースが救った」
    シュタイナーは、ハンガリーGP後にはアストンマーティンの進歩を高く評価していた。しかし、ザントフォールトで金曜日からマシンのパフォーマンスを見たことで、その評価を一度見直したという。

    ポッドキャスト『The Red Flags』でシュタイナーは「金曜日、そして予選とスプリントを見た後、私は『彼らの復活について少し過剰に反応していたのではないか』と思った」と語った。

    「そして土曜日の決勝に向けた予選を見て、『これは良い方向には進んでいないな』と思った」

    アストンマーティンは予選でアロンソが18番手、ランス・ストロールが19番手に終わり、2台ともQ1で敗退。前戦までに高まっていたAMR26Bへの期待とは対照的な結果となった。

    しかし、決勝では状況が一変した。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを走り、レースペースを生かして順位を上げていった。

    シュタイナーは、その結果を単純にAMR26Bの競争力によるものとは捉えていない。

    「フェルナンドにとって特別なレースだった。それが彼らを救った」

    「彼は良いペースを維持することができた。それに今の彼らにとって助けになっているのは、グリッド後方に他から大きく離れた3チームがいることだ」

    つまりシュタイナーは、アストンマーティンが中団上位の競争力を完全に取り戻したというより、アロンソがマシンから結果を引き出した側面が大きかったとみている。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    AMR26Bのレースペースには明確な改善
    ただし、アロンソの9位をドライバーの力だけで説明するのも適切ではない。

    AMR26BはハンガリーGPですでにタイヤデグラデーションの少なさを示しており、ザントフォールトでもその特徴が表れた。アロンソはソフトタイヤで長い第1スティントを成立させ、戦略の自由度を広げている。

    さらに、スプリントでもアロンソとストロールはクリアエアでは比較的良好なペースを示していた。前方を走るアレクサンダー・アルボンを抜けずにタイムを失ったことで結果には結びつかなかったものの、決勝で突然速さが生まれたわけではない。

    ストロールとの直接比較については、決勝序盤にマシンへダメージを負い、最終的にリタイアしたため判断材料にはしにくい。

    それでも、予選では最後尾付近に沈んだAMR26Bが、決勝ではポイント争いのできるペースを示したことは、現在のアストンマーティンが一発の速さよりもロングランで競争力を発揮しやすいことを改めて示す結果となった。

    「アロンソ効果」とマシン改善の両方
    シュタイナーの指摘通り、アロンソが結果を大きく押し上げたことは間違いない。18番グリッドからポイント圏まで戻り、タイヤを管理しながらレースペースを維持した走りは、44歳となった現在もアロンソがF1で違いを生み出せるドライバーであることを示した。

    一方、AMR26Bにもその走りを可能にするだけのレースペースとタイヤマネジメント性能があった。予選での18、19番手という結果だけを見れば失望の週末だったが、決勝ではマシンが持つ別の側面が表れている。

    ザントフォールトでアストンマーティンを救ったのは「アロンソ効果」だったのか、それともAMR26Bの進歩だったのか。実際にはその両方が重なった結果と見るのが妥当だが、シュタイナーは、その中でもアロンソ自身の貢献をより大きく評価している。

  • レッドブルF1 ランビアーゼ後任を発表 トム・マッカローが2027年加入

    レッドブルF1 ランビアーゼ後任を発表 トム・マッカローが2027年加入

    レッドブル・レーシングは、2027年からトム・マッカローがチームに加入し、コンペティションディレクターに就任することを発表した。アストンマーティンで長年にわたりF1の現場を支えてきた経験豊富なエンジニアを迎え、マクラーレンへの移籍が決まっているジャンピエロ・ランビアーゼの後任とする。

    50歳のマッカローは2027年シーズン開幕から新たな役職に就く。レッドブル・レーシングでは近年、黄金期を支えた主要スタッフの離脱が相次いでおり、今回の人事は技術・レース運営組織の再構築に向けた重要な一手となる。

    レッドブルがマッカロー加入を正式発表
    レッドブル・レーシングはマッカローの加入について声明を発表した。

    「2027年初頭にトムをチームに迎えられることをうれしく思う。この役職において、彼の豊富な経験と専門知識を生かせることを楽しみにしている」

    マッカローはF1で豊富な経験を持つ。シルバーストンを拠点とするチームに10年以上在籍し、フォース・インディア、レーシング・ポイント、そしてアストンマーティンへとチームが変遷するなかで、主にトラックサイドのパフォーマンス部門を担当してきた。

    しかし、2025年シーズン序盤に行われたアストンマーティンの経営・技術組織再編に伴い、F1チームの第一線から外れた。その後は、アストンマーティンの高性能技術事業を担うアストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズでパフォーマンスディレクターを務めていた。

    レッドブルは、マッカローが持つ長年のトラックサイド経験とF1チーム運営への深い理解を評価し、今後の組織で重要な役割を託すことを決めた。

    ランビアーゼはマクラーレン移籍へ
    マッカローは事実上、ジャンピエロ・ランビアーゼが担ってきたレースエンジニアリング部門の責任を引き継ぐことになる。

    ランビアーゼは2024年10月にコンペティションディレクターへ昇格しながら、マックス・フェルスタッペンのレースエンジニアも引き続き担当してきた。フェルスタッペンとの無線で知られる存在である一方、レッドブルのレース運営全体でも重要なポジションを担っている。

    そのランビアーゼは、遅くとも2028年までにマクラーレンへ移籍する予定となっている。ただし、実際の加入時期が前倒しされる可能性も残されている。

    マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは今年5月、将来的に直接のライバルへ移ることが決まっているスタッフを長期間チームに残すことの難しさを認めていた。

    「我々はこの世界がどういうものか分かっている。ある時点では、ライバルチームへ行くと分かっている人間を抱えていることが、おそらく居心地の悪い状況になるだろう」

    一方でブラウンは、他チームへの移籍を望むスタッフを無理に引き留める考えもないとしている。

    「私の基本的な考え方としては、誰かが去りたいのであれば、適切な形で進めるべきだ。ただ、もう私のチームにいたくないという人について、他のチームにスタッフを盗まれたと考えるタイプではない」

    「ドライバーでもスポンサーでも同じだ。失うこともあれば、彼らが別のものに興味を持つこともある」

    契約は2028年まで 前倒し移籍の可能性も
    ランビアーゼとレッドブルとの現在の契約は2028年まで残っており、現時点ではそれがマクラーレン加入時期を決める基準となっている。

    ブラウンはランビアーゼの加入時期について次のように説明している。

    「2028年まで契約がある。それが必要なのであれば、我々は待つ。もっと早く何かできるのであれば、もちろん興味はある。ただ、現時点では全員が2026年に集中していると思う」

    レッドブルにとっては、ランビアーゼがいつ実際にチームを離れるのかも今後の焦点となる。マッカローが2027年初頭から加入することで、少なくとも一定期間は両者が同じ組織に在籍する可能性があり、引き継ぎを含めた体制構築を進める余地が生まれる。

    ジャンピエロ・ランビアーゼ(レッドブル・レーシング)

    黄金期の主要スタッフ流出が続くレッドブル
    マッカローの招聘は、レッドブルが進めている組織刷新の一環でもある。

    近年のレッドブルでは、長年にわたってチームの成功を支えてきた主要人物が相次いで組織を離れており、ランビアーゼもその流れに加わることになる。新たな技術レギュレーションの下で競争力を維持するうえで、マシンそのものの開発だけでなく、レース週末を運営する技術組織の再構築も重要な課題となっている。

    その点でマッカローは、ランビアーゼとは異なるキャリアを持つ。ひとつのシルバーストン拠点の組織でフォース・インディアからレーシング・ポイント、アストンマーティンへと変化する過程を経験し、限られたリソースで戦った時代から大規模投資による拡張期までを知る人物だ。

    特にトラックサイドでのパフォーマンス管理に長く携わってきた経験は、レース運営と技術部門を結ぶポジションを担ううえで大きな強みとなる。

    2027年加入でランビアーゼ後の体制構築へ
    今回の人事は、F1のトップチーム間で激しさを増す人材獲得競争を象徴する動きでもある。新レギュレーション時代ではマシンやパワーユニットだけでなく、それらを最大限に機能させる技術者と組織力が競争力を左右する。

    レッドブルにとって重要なのは、ランビアーゼの離脱による影響を最小限に抑えながら、マッカローを中心とした新たなレース運営体制を構築することになる。

    マッカローが正式に仕事を始めるのは2027年。それまでランビアーゼはレッドブルで職務を続ける予定であり、一方のマクラーレンは2028年まで待つのか、それとも早期移籍に向けた合意を取り付けるのかという判断を迫られる。

    黄金期を築いたスタッフが徐々に入れ替わるなか、経験豊富なマッカローの招聘は、レッドブルが次の時代を見据えて進める組織再編の重要なピースとなる。

  • ナイキが24年ぶりF1復帰へ FOMと提携協議 キャデラックとも「継続的対話」

    ナイキが24年ぶりF1復帰へ FOMと提携協議 キャデラックとも「継続的対話」

    ナイキが、24年ぶりにF1へ本格復帰する可能性が浮上している。米国のスポーツ用品大手はF1とのスポンサーシップおよびライセンス契約の可能性を検討しており、Formula One Management(FOM)との協議がすでに行われたと報じられている。

    さらに、2026年からF1に参戦しているキャデラックとの関係も深まりつつあるという。現時点で正式な契約は成立していないものの、ナイキをめぐる複数の動きから、F1への再参入に向けた検討が具体化していることがうかがえる。

    ナイキがFOMとスポンサー・ライセンス契約を協議
    『Sports Business Journal』によると、ナイキは最近、FOMと接触し、F1との提携について協議を行ったという。

    検討されているのは、スポンサーシップとブランドライセンスを組み合わせた契約だとされる。具体的な契約内容や対象となる権利については明らかになっていない。

    ナイキの幹部は5月に開催されたF1マイアミGPにも姿を見せており、F1側との接触がより具体的な段階に入っていることを示す動きとして注目されている。

    ただし、現段階では合意には至っていない。『Sports Business Journal』の取材に対し、ナイキとF1はいずれもコメントを控えている。

    キャデラックとも「継続的な対話」
    ナイキのF1復帰をめぐっては、キャデラックとの関係も重要なポイントとなっている。

    キャデラックのF1ドライバーであるバルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスは、チーム関連のビジュアルでナイキのシューズを着用している。

    さらにマイアミGPでは、キャデラックのダン・トーリスCEOとその妻に、チームカラーを取り入れたカスタム仕様の「Nike Dunk Low」が贈られた。

    『Sports Business Journal』が引用した関係者によれば、キャデラックとナイキの間では「継続的な対話」が行われているという。ただし、こちらについても正式なパートナーシップは発表されていない。

    こうした動きから、ナイキがF1全体との契約だけでなく、米国メーカーであるキャデラックとの個別提携も視野に入れている可能性がある。

    ナイキ F1 ミハエル・シューマッハ

    ミハエル・シューマッハ以来24年ぶりのF1復帰へ
    ナイキにとってF1は初めて進出する市場ではない。過去にはミハエル・シューマッハとの契約を通じて、F1で大きな露出を獲得していた。

    シューマッハはフェラーリ時代の1996年から2002年にかけてナイキを着用。フェラーリで黄金時代を築いていく過程で、ナイキも7度のF1ワールドチャンピオンとなるシューマッハとの結びつきを通じて、モータースポーツ界で強い存在感を示した。

    2002年以来となれば、今回の動きはナイキにとって24年ぶりのF1復帰につながることになる。

    アディダスやプーマなど大手ブランドがF1市場で競争
    ナイキがF1への復帰を検討する背景には、近年急速に拡大しているF1のアパレルおよびライセンス市場がある。

    現在はアディダス、プーマ、Castore、New EraなどのブランドがF1や各チームとの関係を構築しており、スポーツウェア企業にとってF1は世界規模でブランドを訴求できる市場となっている。

    そのなかでナイキが参入すれば、世界最大級のスポーツブランド同士による競争がF1でもさらに激しくなる可能性がある。

    一方で、契約実現に向けた焦点のひとつとなるのが、すでにFOMと直接的な関係を持つプーマとのすみ分けだ。

    『Sports Business Journal』によれば、ナイキとの契約はスポンサーシップとライセンス権を組み合わせる可能性がある。ただし、既存のプーマとのグローバルなパートナーシップと、ナイキに付与する権利をどのように両立させるのかは現時点で明確になっていない。

    ナイキとFOM、そしてキャデラックのいずれについても契約はまだ成立しておらず、現段階では協議中の案件にとどまる。それでも、FOMとの接触、マイアミGPへの幹部の訪問、キャデラックとの継続的な対話が重なっていることから、ミハエル・シューマッハとの関係が終了した2002年以来となるナイキのF1復帰が現実味を帯び始めている。

  • ウィリアムズF1 開発遅れの深刻な実情「他チームにはない問題に予算」

    ウィリアムズF1 開発遅れの深刻な実情「他チームにはない問題に予算」

    ウィリアムズは2026年F1シーズン、FW48の開発でライバルに後れを取っている。その背景には単なるアップデート投入の遅れだけでなく、長年の投資不足によって残された開発・製造インフラの問題がある。

    ジェームス・ボウルズ代表は、現在もコストキャップ下の貴重なリソースを「他チームには存在しない問題」の解決に振り向けていると明かした。

    2025年のコンストラクターズ選手権を5位で終えたウィリアムズは、新テクニカルレギュレーションが導入された2026年にさらなる前進を狙っていた。しかし、FW48は完成が遅れ、プレシーズンのバルセロナで行われたシェイクダウンを欠席。開幕後も重量超過とダウンフォース不足に苦しみ、現在はコンストラクターズ選手権9位に沈んでいる。

    FW48は「推測」に頼って開発
    問題は、FW48が完成する以前から始まっていた。

    ボウルズによれば、ウィリアムズが必要としていた新しいシミュレーション技術は2025年初頭にはまだ利用できず、実際に稼働したのは同年11月だった。そのころには2026年型FW48の設計はほぼ完成していた。

    「我々がやっていたのは、知識と経験に基づいて推測することだった。そして、その一部を間違えた」

    ボウルズはザントフォールトでそう認めた。

    その代表的な例が、空力開発で基準としたリアのライドハイトだった。

    「我々は間違ったリアのライドハイトで開発を進めた。ちなみにアストンマーティンも同じだった。それほど大きな違いには聞こえないかもしれないが、空力的には完全に間違った領域で開発していることになる」

    現在のF1マシンでは、フロア下面で発生させるダウンフォースが性能を大きく左右する。そのため、マシンがどの車高領域で走ることを前提に空力開発を行うかは重要だ。

    FW48はフロントランナーと比較してリアの車高が高いハイレーキ傾向のマシンとなっており、Autosportはアストンマーティンとともにその特徴が目立っていると指摘している。

    マイアミでようやく「開幕戦仕様」
    設計上の問題だけではなかった。FW48の最終的な製造ではクラッシュテストへの対応にも問題が発生し、チームはバルセロナでのシェイクダウン参加を断念した。

    完成したマシンは重量超過の状態で、ダウンフォースも不足していた。

    その遅れがどれほど大きかったのかを示すのが、ボウルズが明かしたマイアミGPでの状況だ。

    「我々はかなり率直に話している。マイアミで走らせたマシンは、実際にはメルボルンに持っていく予定だったマシンだった」

    5月に行われた第4戦マイアミGPで投入したFW48が、チームが本来3月の開幕戦オーストラリアGPで走らせる予定だった仕様だったという。

    つまり、ウィリアムズはシーズンが始まってからもしばらくの間、当初予定していた開幕仕様に追いつくための作業を続けていたことになる。

    さらに、FW48は重量超過でスタートしたため、通常ならダウンフォース向上に振り向ける開発リソースの多くを軽量化に使わざるを得なかった。

    Autosportによれば、バクーで開催されるアゼルバイジャンGPに投入予定のアップグレードが、ウィリアムズにとって2026年で初めて本格的に空力性能向上を目的として開発されたパッケージになる。

    ライバルがシーズン中に継続して空力アップデートを投入するなか、ウィリアムズはまず開幕時の遅れと重量問題を取り戻すことに追われてきた。

    ウィリアムズ・レーシング

    「他チームにはない問題」を修正
    こうした状況の根底にあるのが、ウィリアムズが長年抱えてきたインフラの問題だ。

    ボウルズは2023年にメルセデスからウィリアムズに加入して以来、グローブの設計・製造設備や業務プロセスの近代化を進めている。しかし、約20年間にわたる投資不足によって生じた差を短期間で埋めることはできないと説明する。

    「ウィリアムズを12カ月で直すことはできない」

    さらに、現在のF1ではコストキャップが設定されているため、チームが使えるリソースには限界がある。

    「今、我々はコストキャップの予算のかなりの部分を、他チームには存在しない問題を修正するために使っている」

    これは現在のウィリアムズが抱える大きなジレンマでもある。

    上位チームが利用可能な予算を現在のマシンのパフォーマンス向上に集中できる一方、ウィリアムズは同じコストキャップの枠内で、過去の投資不足によって残された設計、製造、シミュレーションなどの問題も解決しなければならない。

    ボウルズは以前から、チームの一部システムがF1のトップチームと比較して大幅に遅れていることを明らかにしてきた。現在進めている改革も、目先の数戦だけではなく今後5年間を見据えたものだという。

    マクラーレンから生産部門のキーパーソンを獲得
    その改革を加速させるため、ウィリアムズは8月、マクラーレンで最高執行責任者(COO)を務めていたピアーズ・シンを迎え入れた。

    シンはグローブで、生産プロセスの効率化や計画、施設の近代化を中心に担当する。

    ボウルズは、マクラーレンでF1のトップレベルの組織を経験してきたシンについて、チャンピオンシップを争うチームがどのような水準で機能するべきかを理解していることが大きな財産になると評価している。

    2025年にコンストラクターズ選手権5位まで浮上したウィリアムズだが、2026年は新規則への対応で再び後退した。FW48そのものを速くする作業と並行して、将来のマシンをより速く、より効率的に開発できる組織へと作り替える必要がある。

    現在の開発の遅さはその改革に伴う代償でもある。バクーに予定される本格的な空力アップデートがFW48の競争力をどこまで引き上げられるかとともに、ウィリアムズが長年のインフラ面の遅れをどれだけ早く解消できるかが、再び上位へ返り咲くための鍵となる。

  • マクラーレンF1 イタリアGPとスペインGPでOKX特別カラーのMCL40を投入

    マクラーレンF1 イタリアGPとスペインGPでOKX特別カラーのMCL40を投入

    マクラーレンF1は、オフィシャル・プライマリー・パートナーのOKXとのコラボレーションによる特別カラーを発表した。ランド・ノリスとオスカー・ピアストリがドライブするMCL40に採用され、今週末のF1イタリアGPと、その後マドリードで開催されるスペインGPの2戦で使用される。

    今回のデザインは、2022年に始まったマクラーレン・レーシングとOKXのパートナーシップを記念したものだ。

    両者はこれまでにも複数の特別カラーやキャンペーンを展開しており、今回のMCL40はその歩みそのものをテーマとしている。

    モンツァとマドリードの2戦で特別カラーを採用
    マクラーレンとOKXの協力関係は2022年にスタートした。それ以来、F1マシンのカラーリングを活用した企画をはじめ、ファン向けのさまざまなキャンペーンやコンテンツを展開してきた。

    特別カラーでの取り組みとしては、2023年シンガポールGPの「ステルスモード」、2024年モナコGPでアイルトン・セナを称えた「McLaren SENNA presented by OKX」、さらに2025年モナコGPとスペインGPで採用されたリビエラをイメージしたカラーリングなどがある。

    今回発表されたデザインは、そうした過去の企画を踏まえながら、マクラーレンとOKXが築いてきたパートナーシップそのものに焦点を当てたものとなる。

    特別カラーは、モンツァで開催されるイタリアGPの週末を通じてノリスとピアストリのMCL40に施され、その後、マドリードで開催されるスペインGPでも再び使用される。

    マクラーレン イタリアグランプリ

    マクラーレン「パートナーシップの大きな価値を示している」
    マクラーレン・レーシングの最高マーケティング責任者(CMO)を務めるルイーズ・マキューエンは、OKXとの特別カラー企画が毎年大きな反響を呼んできたと語った。

    「OKXとのカラーリング・キャンペーンは、毎シーズンのハイライトになっています。象徴的だった2024年のSENNAデザインは、現在までで最も成功したキャンペーンのひとつであり、世代を超えたファンから世界的に非常に大きな反響を得ました」

    「この成功は、我々のパートナーシップが持つ大きな価値を示しています。今年、モンツァとマドリードで、これまで両者がともに成し遂げてきた成果を祝えることを大変うれしく思います」

    マクラーレン スペイングランプリ

    OKX「このデザインはパートナーシップそのものを表現」
    OKXの最高マーケティング責任者(CMO)であるハイダー・ラフィークは、2022年に提携を開始した当時から現在までのマクラーレンの変化を振り返り、今回のデザインには両者が歩んできた道のりが込められていると説明した。

    「2022年にマクラーレン・レーシングとパートナーシップを結んだとき、チームは中団にいて、その先にどんな道が待っているのか、誰にとっても明確だったわけではありません。それでも我々は、このチームがどこまで成長できるのかを信じていました」

    「シンガポールからモナコ、そしてリビエラまで、我々が一緒に作り上げてきたそれぞれのカラーリングは、その道のりにおける異なる瞬間を象徴してきました」

    「今回のデザインが表現しているのは、パートナーシップそのものです。ここまでたどり着くために何が必要だったのか、そしてそれがチーム、我々のブランド、さらにはこの物語を見守ってきたファンにとって何を意味するのかを表しています」

    2022年の提携開始から、マクラーレンとOKXの特別カラーは各シーズンの節目を象徴する企画として展開されてきた。2026年はモンツァとマドリードの2戦でMCL40の外観を変更し、両者が築いてきたパートナーシップの歩みを表現する。