投稿者: dbcheck

  • 2027年F1エンジン規則大転換に賛否 4戦で“50対50”崩壊に業界は何を見た?

    2027年F1エンジン規則大転換に賛否 4戦で“50対50”崩壊に業界は何を見た?

    F1は2027年に向けて、パワーユニット規則の大幅な方向転換に踏み出した。内燃エンジンと電動要素による“50対50”出力配分を事実上見直し、より現実的な60対40に近い構成へ移行する方針で原則合意したことで、業界内では早くも賛否両論が巻き起こっている。

    2026年シーズン開幕からわずか4戦。F1がここまで早い段階で理念の修正に動いたことは、現在のパワーユニット規則が抱える問題の深刻さを示すものでもある。

    『The Race』は、この決定について複数の記者による論評を掲載し、「現実的な修正」と歓迎する声がある一方で、「最初から問題は見えていた」とF1側の対応を疑問視する意見も出ている。

    “物理法則には勝てなかった”という現実
    The Raceのスコット・ミッチェル=マルムは、今回の変更を「絶対に必要だった修正」と評価した。

    現行規則では、バッテリー容量やMGU-Kの制約に対して、回生・放出要求が過大になっており、エネルギー管理とレース性能が両立できていなかったという。

    「F1は巨大な総合出力を掲げながら、それを予選ラップの一部でしか使えない状況に陥っていた」と指摘し、現在の複雑なエネルギーマネジメントは“ナンセンス”だったと断じた。

    さらに、問題点は数年前から議論されていたにもかかわらず、十分な修正が行われなかったと批判。「もっと早く対応できたはずだった」と振り返っている。

    エド・ストローも同様に、「結局は物理法則そのものが、このコンセプトの成立を許さなかった」と指摘した。

    「細かな調整では解決できなかった。数字そのものが成立していなかった」とし、“50対50”という理念自体に無理があったとの見方を示している。

    “ようやく常識が勝った”という歓迎論
    一方で、今回の方向転換を強く歓迎する声も多い。

    ベン・アンダーソンは、「常識が勝利した」と表現。“50対50”構想を「粗悪なエンジンコンセプト」とまで表現し、現在のF1はドライバーがデプロイメントアルゴリズムに縛られ、本来の“攻める走り”ができなくなっていたと指摘した。

    特に問題視されたのは、エネルギー不足による“スーパークリッピンング”だ。ストレート途中で出力が尽きる現象や、コーナー進入で回生を優先しなければならない状況が、ドライバーの自由なアタックを妨げていた。

    アンダーソンは、「フェルスタッペンの批判は単なる不満ではなかった」とも語っており、現場側でも現在のレギュレーションに対する危機感が強まっていたことを示唆している。

    グレン・フリーマンも、「最悪なのは、ミスを認めず問題を放置することだ」としたうえで、わずか4戦で修正に動いたF1の対応には驚きもあると評価した。

    F1 エンジン 国際自動車連盟

    F1は“失敗”したのか それとも“柔軟”だったのか
    今回の議論で興味深いのは、単純な“失敗論”だけでは終わっていない点だ。

    ジャック・ベニオンは、「F1にはPR上の勝機もあった」と指摘する。

    問題を認め、シーズン序盤で方向修正に踏み切ったこと自体は、本来なら“柔軟な統治”として評価できるはずだったという。

    しかしその一方で、F1首脳陣がここまで問題を軽視するようなメッセージを発してきたことには強い違和感を示している。

    「ファンは、彼らが考えている以上に理解力がある」

    そうした言葉からは、F1側が批判を“過剰反応”として扱ってきたことへの不満もにじむ。

    実際、2026年F1レギュレーションは導入当初から、“エネルギー不足”“ストレート失速”“回生優先走行”といった問題が繰り返し指摘されてきた。

    それでもF1は当初、「新時代のレースを受け入れるべきだ」という姿勢を崩してこなかった。

    だからこそ、わずか4戦で“50対50”の理念を実質的に修正する今回の動きは、業界内でも極めて大きなインパクトを持って受け止められている。

    “誰がF1を動かしたのか”という新たな焦点
    今回の急転換を受け、業界内では「誰がこの変更を主導したのか」にも注目が集まっている。

    ドライバーなのか、パワーユニットメーカーなのか、それともテレビ局やプロモーターなど外部勢力なのか。

    The Race記者陣の間でも、「ファンの反発を無視していたF1が、なぜここまで早く動いたのか」という疑問は共通している。

    現時点では詳細な技術内容は今後の協議に委ねられているが、“50対50”という2026年F1規則最大の象徴が、わずか1年で事実上見直される流れになったことだけは間違いない。

    そしてその背景には、“理想”よりも“実際にレースとして成立すること”を優先せざるを得なかった現実がある。

  • 2026年終盤戦が大混乱? F1サウジアラビアGP復活で4連戦案も浮上

    2026年終盤戦が大混乱? F1サウジアラビアGP復活で4連戦案も浮上

    2026年F1カレンダーを巡る調整が、新たな局面を迎えている。中東情勢の悪化によって開催延期となっていたサウジアラビアGPについて、復活可否の判断が「2〜3週間以内」に下される見通しであることが明らかになった。

    F1と各プロモーター、そしてFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)は現在も協議を継続しており、2026年シーズン終盤にカレンダーを再編成する案が現実味を帯びてきている。

    サウジアラビアGP復活案でアブダビGP延期の可能性
    中国GPの週末に、2026年F1カレンダーからバーレーンGPとサウジアラビアGPが予定通り開催されないことが正式発表された。

    ただし、その時点でも「中東情勢が改善した場合には復帰の可能性を残す」という立場が示されており、完全消滅ではなかった。

    『PlanetF1.com』によると、現在もっとも有力視されている案は、サウジアラビアGPを12月に組み込むプランだという。

    その場合、最終戦アブダビGPを少なくとも1週間延期する必要があり、2026年シーズン終盤は異例の“超過密日程”となる可能性がある。

    関係者は『PlanetF1.com』に対し、「2〜3週間以内に決定される」と語っている。

    FOMは現時点で“22戦前提”を維持
    一方で、リバティ・メディア側は現時点では「22戦開催」を基本想定としている。

    同社の最高会計責任者ブライアン・ウェンドリングは投資家向け説明会で次のように説明した。

    「我々は22戦カレンダーを前提に動いている」

    「ただし、シーズン後半に1戦を移動できる可能性には依然として期待している。それが実現すればプラス要素になるが、現時点の予測では22戦だ」

    さらにリバティ・メディアCEOのデレク・チャンも、代替案の検討が続いていることを認めた。

    「我々はあらゆる代替案を検討している。変更や調整を行う場合に十分な準備期間を確保できるよう、適切なタイミングで判断を下そうとしている」

    “ラスベガスGP第2戦”案も浮上
    代替案のひとつとして浮上しているのが、ラスベガスでの追加開催だ。

    ラスベガスGPはリバティ・メディア自らがプロモートしているイベントであり、開催権や運営面をFOM側がコントロールしやすいという利点がある。

    もっとも、市街地封鎖や地域経済への影響を考慮すると、現地自治体との調整が必要不可欠であり、さらに開催コストを誰が負担するのかという問題も残る。

    中東ラウンド中止による広告収入損失を補填する目的で、FOM自身が負担する可能性も議論されているという。

    10月開催案では“トリプルヘッダー”再発も
    もうひとつの選択肢として検討されているのが、10月への組み込み案だ。

    具体的には、10月2〜4日の週末にバーレーンGPをアゼルバイジャンGPとシンガポールGPの間へ挿入する案が浮上している。

    この場合、再び3連戦(トリプルヘッダー)が発生することになるが、既存イベントの日程変更を避けられるメリットがある。

    ただし、12月にサウジアラビアGPまたはバーレーンGPを追加した場合、シーズン終盤は4連戦(クアドラプルヘッダー)になる可能性もある。

    チャンCEOは次のようにも述べている。

    「F1に関わるすべての人々の健康と福祉が最優先であり、その原則に基づいて常にカレンダーを管理している」

    その一方で、「シーズン終盤に1戦を再配置できる可能性はある」とも認めた。

    ステファノ・ドメニカリCEOは“残業状態”で状況監視
    F1 CEOのステファノ・ドメニカリは、中東情勢を注視し続けていることを明かした。

    「我々にはプランがある。ただ、それを実行しないで済むことを願っている。世界情勢が、レースだけでなく正常な状態へ戻ることを本当に望んでいる」

    「4月に開催できなかったレースを後から回収するケースと、11月末から12月初旬に起きる可能性のある事態では、必要なリードタイムや判断期限が異なる」

    「我々はチームやプロモーターと連携している。非常に大きな連鎖反応を伴う問題だからだ」

    さらにドメニカリは、現時点での憶測を避けたいと強調した。

    「推測だけを話すことは避けたい。最優先は、本来レースを開催すべき場所に戻れる状況になることだ」

  • メルセデスF1が“アントネッリ・フィーバー”を警戒 イタリアメディア対応を制限

    メルセデスF1が“アントネッリ・フィーバー”を警戒 イタリアメディア対応を制限

    メルセデスF1のチーム代表トト・ヴォルフが、2026年シーズンのF1で急速に“イタリアの新たなスター”となったアンドレア・キミ・アントネッリを守るため、イタリアメディアとの接触を制限していることが明らかになった。

    19歳のアントネッリは、マイアミGPで3連勝を達成。ランキング首位を快走しており、ジョージ・ラッセルに20ポイント差をつけてカナダGPを迎える。母国イタリアでの人気は急激に高まり、“アントネッリ・フィーバー”とも呼べる状況になりつつある。

    “イタリア全体が注目している”
    スペイン『Marca』によると、トト・ヴォルフはアントネッリを“イタリアからの過剰な雑音”から守るため、イタリアメディアとの接触を制限しているという。

    ヴォルフは現在のイタリアについて、サッカー代表の低迷もあり、テニス世界王者のヤニック・シナーとアントネッリが“国民的スター”になっていると説明した。

    Sky Sportsによると、ヴォルフは次のように語った。

    「一番簡単なのは、彼がチームの中でしっかり地に足をつけていられるようにすることだ。彼の両親は、彼を落ち着いた状態に保つ素晴らしい仕事をしている」

    「もっと大きな問題はイタリアの世論だ。彼らはサッカーW杯に出場できなくなっているから、今はシナーとアントネッリ一色になっている。シナーはマドリードで優勝したと思うし、今やイタリアには2人のスーパースターがいる。それは我々が抑えなければならないものだ」

    “ハンドブレーキをかける必要がある”
    ヴォルフは、アントネッリに対する取材やイベント出演依頼が急増している現状にも触れ、チームとして慎重に対応していく必要性を強調した。

    「彼の時間を求める依頼は本当に多い。我々がそこに“ハンドブレーキ”をかける役割を果たさなければならない」

    「本当に冷静さを保つ必要がある。これほど若い人間が、この段階でこれだけの成功を収めれば、イタリア全体の注目を背負うことになる」

    「シナーとアントネッリ、アントネッリとシナー。我々はすでに3勝していて、シナーは世界ランキング1位でグランドスラムをいくつも制している」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    アントネッリ本人は“まだ不安定”と自己分析
    一方で、アントネッリ本人は現在の好調にも浮かれてはいない。マイアミGP決勝ではターン1でロックアップを喫したこともあり、自身のドライビングにはまだ改善点があると認めている。

    F1公式に対してアントネッリは次のように語った。

    「まだ少し不安定なんです。特にクラッチスタートの部分ですね」

    「そこに関しては、まだ安定した自信を持てていない。不確実さが残っているので、大きく改善しなければいけないポイントです」

    「でも今日は昨日よりもうまく対処できたと思う。昨日はすごくフラストレーションを感じていたけど、今日はもっと冷静でいられたし、気持ちを切り替えてレースに集中できた」

    “守られながら育てられる次世代スター”
    アントネッリの3連勝は、単なるルーキー旋風の域を超えつつある。イタリアではすでにヤニック・シナーと並ぶ“国民的スター”として扱われ始めており、その熱狂をメルセデスが警戒するのも当然と言える。

    一方で、アントネッリ本人は浮かれることなく、自身の弱点や未熟さを冷静に分析している。ヴォルフがメディア露出を制限している背景には、才能だけでなく精神面まで含めて長期的に育てていきたいという意図が透けて見える。

    2026年F1シーズンは、単なるタイトル争いではなく、“次世代の絶対的スター誕生”を見守る一年になりつつある。

  • マクラーレンF1 フェルスタッペン加入説に冷静対応「今のラインナップに満足」

    マクラーレンF1 フェルスタッペン加入説に冷静対応「今のラインナップに満足」

    マクラーレンF1のCEOを務めるザク・ブラウンが、レッドブルのジアンピエロ・ランビアーゼ加入決定を受けて浮上した“マックス・フェルスタッペン獲得説”について言及した。

    マックス・フェルスタッペンのレースエンジニアとして長年コンビを組んできたジアンピエロ・ランビアーゼは、2028年にレッドブルを離れ、マクラーレンでチーフ・レーシング・オフィサーに就任することが決定している。この人事によって、将来的にフェルスタッペンもマクラーレンへ移籍するのではないかとの憶測が広がっていた。

    “GP加入”でもフェルスタッペン獲得には消極姿勢
    マイアミGPの週末、Sky Sports F1のインタビューに応じたザク・ブラウンは、ランビアーゼ加入がフェルスタッペン獲得への布石なのかと問われると、現在のドライバーラインナップへの強い満足感を強調した。

    「我々のドライバーラインナップにはこれ以上ないほど満足している」

    「ランド(ノリス)とオスカー(ピアストリ)は、コース上だけでなくコース外でも素晴らしい人物だ。そしてチームメイトとしての関係性も非常に良い。それこそが、今のマクラーレン成功の大きな理由だと思っている」

    「ガレージ、ファクトリー、ピットウォール、レースチーム全体に素晴らしいケミストリーがある。我々が今持っているものに本当に満足しているし、変えるつもりはまったくない」

    現在、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリはともにマルチイヤー契約を結んでおり、マクラーレンは長期体制を構築している。ノリスはチームで8年目のシーズンを迎え、ピアストリも2023年のデビュー以来、チームの中核として成長を続けている。

    それでもフェルスタッペンの実力は高評価
    一方で、仮に将来的に空席が生まれた場合、フェルスタッペンが候補になるかとさらに追及されると、ブラウンはその才能を高く評価した。

    「彼は素晴らしいレーシングドライバーだ。もし空席ができれば、それはまた別の話になる」

    「彼の才能を見れば当然だよ。もちろん、素晴らしいドライバーは他にもたくさんいる。シャルル・ルクレールも素晴らしい仕事をしているし、ルイス(ハミルトン)が再び調子を取り戻しているのを見るのも嬉しい。キミ(アントネッリ)も素晴らしい仕事をしているし、ジョージ(ラッセル)も素晴らしいドライバーだ」

    「今ここで見ている限り、キミがタイトル争いの本命のようにも感じる。ただ、このスポーツは流れが本当に速く変わる」

    「だからこそ、今のラインナップに満足しているし、ドライバーを探す状況にならないことを願っている」

    “GP流出”はレッドブルにとって象徴的な転機
    今回のランビアーゼ流出は、単なるエンジニア移籍以上の意味を持っている。2016年からフェルスタッペンとコンビを組み、4度のF1ワールドチャンピオン獲得を支えた存在だけに、レッドブル内部でも極めて象徴的な別れとなる。

    フェルスタッペン自身も「彼の決断を本当に嬉しく思う」と語り、両者の関係性について「レース界では非常に珍しいレベルのケミストリーだった」と表現していた。

    もっとも、現時点でマクラーレン側は“フェルスタッペン獲得プロジェクト”を進めているわけではなく、少なくともザク・ブラウンの発言からは、現在のノリス&ピアストリ体制を維持したい意向が色濃く見えている。

  • ホンダF1は何を得る? ADUO改定で230時間テストと約30億円支援

    ホンダF1は何を得る? ADUO改定で230時間テストと約30億円支援

    FIA(国際自動車連盟)は2026年F1パワーユニット規則に導入されたADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)の改定を正式承認した。

    今回の変更によって、2026年F1シーズン序盤に苦戦しているホンダは、大規模な追加開発支援を受けられる可能性が高まった。追加されるのは、ベンチテスト時間だけではない。予算面でも総額約30億円規模の支援が認められる可能性があり、アストンマーティンとのプロジェクト立て直しに向けた重要な後押しとなる。

    ホンダに追加される230時間のベンチテスト
    今回のADUO改定で最大の変更点となったのは、「基準エンジンより10%以上遅れているメーカー」に対する新カテゴリーの追加だ。

    これまでの規則では、8%以上遅れているメーカーに対して190時間の追加ベンチテストが認められていた。しかし改定後は、新たに10%以上のカテゴリーが設けられ、最大230時間まで拡大された。

    現時点で、この新カテゴリーに該当するとみられているのがホンダだ。

    FIAはADUOの評価において、パワーユニット全体ではなく、内燃エンジン単体の性能を基準としている。現在の基準はメルセデスで、550馬力を超える出力を持つとされる。

    一方、ホンダは内燃エンジンで60〜70馬力不足していると報じられており、10%以上の差に達している可能性がある。

    そのため、新設された230時間枠は、事実上ホンダを想定した救済措置だとの見方が強まっている。

    総額約30億円規模の追加支援
    ADUO改定では、財務面の支援も大幅に拡張された。

    10%以上遅れているメーカーには、今後2年間で1100万ドル(約17億1600万円)の追加予算枠が認められる。

    さらにFIAは、2026年限定の特例措置として、追加で800万ドル(約12億4800万円)の開発予算を使用できるルールも導入した。

    合計では1900万ドル、日本円で約29億6400万円規模の追加支援となる。

    コストキャップ時代のF1において、これは非常に大きな金額だ。エンジン開発競争への影響も小さくない。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    FIAは“救済しすぎ”を警戒
    The Raceによると、FIAと各PUメーカーは先週からホンダ支援策について議論を重ねていた。

    ライバルメーカー側も、「大手メーカーが最後尾で苦戦し続ける状況はF1全体にとって好ましくない」として、一定の支援には理解を示していたという。

    しかし一方で、支援制度が“最後尾から一気にトップへ跳ね上がるための武器”になってしまうことへの警戒感も強かった。

    そのため、マイアミGP週末には一度採決が延期され、FIAが支援内容を再精査する事態となった。

    最終的にFIA世界モータースポーツ評議会は改定案を承認。ホンダ向けの支援を拡大しながらも、“過剰救済”にならない水準へ調整した形となった。

    最初のADUO判定はカナダGP後
    FIAは同時に、ADUO評価タイミングの変更も正式承認した。

    当初、最初の判定は第6戦後に行われる予定だった。しかしバーレーンGPとサウジアラビアGPの中止によって、第6戦がモナコGPへ変更されたため、「支援開始が遅すぎる」という問題が浮上した。

    その結果、初回判定は第5戦カナダGP後へ前倒しされた。

    今後の判定タイミングは、

    ■ 第5戦カナダGP後

    ■ 第11戦ハンガリーGP後

    ■ 第18戦メキシコGP後

    となる。

    2026年F1シーズン序盤、アストンマーティンとともに厳しい戦いを強いられているホンダだが、今回のADUO改定によって巻き返しに向けた開発余地は大きく広がることになる。

    Source: The Race

  • フェラーリCEO F1のV8復活構想に言及「FIAとの議論は以前から続いている」

    フェラーリCEO F1のV8復活構想に言及「FIAとの議論は以前から続いている」

    フェラーリのCEOであるベネデット・ヴィーニャが、FIA(国際自動車連盟)との間でF1のV8エンジン復活に向けた議論が以前から進められていることを認めた。

    『Motorsport』イタリア版のフランコ・ヌニェスによると、ヴィーニャは2026年第1四半期決算に関するアナリスト向けカンファレンスコールの中で、フェラーリのモータースポーツ部門が収益面でも好調を維持していることを説明。その流れの中で、近年FIA内部で検討が進められている“次世代V8構想”についても言及した。

    フェラーリCEOがV8議論を公に認める
    ヴィーニャは、現在のF1パワーユニットの方向性について次のように語った。

    「我々は3種類のパワーユニットによる推進技術の継続を信じている」

    「FIAとの間で進められているこれらの議論については、以前から把握していた」

    「FIAレギュレーションと同じように、5年ごとに物事を見直す必要性は確かにあると思う」

    「ただし、それによって市販車や我々の戦略に影響が出ることはない」

    この発言は、FIA会長モハメド・ビン・スライエムが最近強く推進している“2030年を待たないV8復活構想”を、フェラーリ側も事実上認めた形となる。

    現在の2026年F1レギュレーションでは、内燃エンジンと電動システムを50対50で構成するハイブリッドPUが採用されているが、実戦ではエネルギーマネジメントの難しさや出力不足が問題視されている。

    そのため、FIA内部では2027年以降に「60対40」へとICE比率を高める議論が進行しており、さらにその先の2030年前後にはV8回帰案も検討されている。

    2600cc V8案は想像以上に進展か
    今回の報道では、次世代V8が「2600cc」になる可能性にも触れられている。

    さらに注目されるのは、交渉が“思われている以上に進んでいる”と報じられている点だ。記事では、2026年末までに次期レギュレーションの大枠がまとまる可能性もあるとしている。

    すでに賛同姿勢を示しているとされるのは、フェラーリ、メルセデス、レッドブル・フォード、そしてGM。

    一方でアウディは慎重姿勢を崩しておらず、ホンダについても正式な立場は明らかになっていない。

    特にホンダは、2026年F1レギュレーションで導入された「電動50%」時代への適応に苦戦しているとされ、FIAが推進する“ICE回帰”の流れにどう対応するかが今後の焦点になりそうだ。

    フェラーリが強調した“市販車とは別問題”
    今回のヴィーニャ発言で重要なのは、「F1エンジン変更が市販車戦略には影響しない」と明言した点だ。

    近年のF1では“市販車技術との関連性”がパワーユニット議論の中心にあった。しかしフェラーリは、高性能ロードカーとF1を完全に同一視する必要はないという立場を示したとも受け取れる。

    これは、F1が“自動車メーカーの技術ショーケース”から、“純粋なモータースポーツ”へと再び重心を戻そうとしている現在の流れとも一致する。

    FIAが進めるV8回帰構想は、単なる懐古主義ではなく、現在の複雑化したPUレギュレーションを見直す現実的な選択肢として、すでに具体的な段階へ入りつつあるのかもしれない。

  • アウディF1内部に不穏な空気? ビノットとヒュルケンベルグに“険悪ムード”報道

    アウディF1内部に不穏な空気? ビノットとヒュルケンベルグに“険悪ムード”報道

    ニコ・ヒュルケンベルグとマッティア・ビノットの間に緊張感が走った――そんなパドック目撃談が、2026年F1マイアミGP後に波紋を広げている。

    F1 Oversteerによると、レース後のパドックでヒュルケンベルグとアウディF1責任者マッティア・ビノットが長時間にわたって話し込む姿が確認され、その様子について「友好的には見えなかった」と報じられた。ジョナサン・ウィートリーの突然の離脱に揺れるアウディF1にとって、苦しい週末の余波が内部にも広がっている可能性がある。

    マイアミGPで相次いだトラブル
    アウディF1はシーズン序盤、ガブリエル・ボルトレトの入賞などで一定の競争力を示していた。予選でもQ2、時にはQ3進出を果たし、新規参戦チームとしては堅実なスタートを切っていた。

    しかし、4月のインターバル以降、チームの状況は急変した。

    ジョナサン・ウィートリーがビノットとの対立説が囁かれる中でチーム代表職を離れ、アストンマーティンへ移籍。後任にはアラン・マクニッシュが就任したが、元F1戦略エンジニアのバーニー・コリンズは「チームにとって非常に有害になる」と警鐘を鳴らしていた。

    その懸念は、マイアミで現実となった。

    ヒュルケンベルグはスプリントのグリッドへ向かう途中でマシンが炎上し、スタートできず。ボルトレトもスプリント失格に加え、予選でもマシン火災に見舞われた。

    決勝ではボルトレトが最後尾から12位まで挽回した一方、ヒュルケンベルグはわずか7周でメカニカルトラブルによりリタイアした。

    “友好的には見えなかった”会話
    ブラジル人ジャーナリストのジュリアン・セラソリは、自身のYouTubeチャンネルでパドックの雰囲気について次のように語った。

    「ヒュルケンベルグにとって本当に酷い週末だった。故障があり、決勝スタート直後には接触もあった」

    「レース後にビノットと長い会話をしているのを見たけど、友好的には見えなかった。言い争いをしているようには見えなかったけど、とても真剣な長い会話だった」

    アウディF1内部の緊張感を示唆するような証言だが、一方でセラソリはチーム自体の競争力については一定の評価を与えている。

    アウディ F1 ニコ・ヒュルケンベルグ

    “ポイント圏内の速さ”はあったアウディ
    セラソリは、マイアミ週末のアウディF1にはポイント争いをできるだけの速さがあったと分析している。

    「彼らのペースなら6番手付近、少なくともポイント争いはできていた」

    「もしガブリエルが普通に予選を走れて11番手か12番手からスタートしていたら、ポイント獲得の可能性は非常に高かったと思う」

    「ヒュルケンベルグも、スタート時の問題やリタイアがなければポイント争いに加わっていただろう」

    マイアミではアルピーヌが大きく改善し、ウィリアムズも重量問題を解消して戦闘力を上げてきた。一方でハースF1チームは苦戦していたことから、アウディF1陣営も“入賞のチャンスがある週末”と見ていたようだ。

    揺れるアウディF1プロジェクト
    アウディF1は2026年からの本格参戦プロジェクトとして進行しているが、開幕数戦ですでに不安定な側面が露呈し始めている。

    パワーユニット自体には一定のポテンシャルがあるとみられているものの、フェラーリやメルセデス勢との差は依然として存在する。さらに、チーム運営面ではウィートリー離脱による影響が避けられない状況だ。

    ビノットは長期プロジェクトとして冷静な姿勢を崩していないが、現場では結果を求めるドライバー側との温度差も出始めているのかもしれない。

    マイアミGP後に目撃された“長い会話”は、その現在地を象徴するシーンだった可能性がある。

  • アストンマーティンF1に“最初の笑顔” 振動問題改善で「1000の問題が100に」

    アストンマーティンF1に“最初の笑顔” 振動問題改善で「1000の問題が100に」

    アストンマーティンとホンダのパートナーシップに、ようやく“最初の笑顔”が戻ってきた。

    2026年シーズン開幕から苦しみ続けてきたアストンマーティンは、F1マイアミGPで今季初めて2台揃って完走。依然として下位争いから抜け出せてはいないものの、チーム内部では「状況が変わり始めた」という感触が生まれている。

    “1000の問題”から“100の問題”へ
    F1ジャーナリストのホルヘ・ペイロがスペイン『autonocion.com』で報じたところによると、アストンマーティン内部では現在の状況を象徴するような言葉が交わされているという。

    「以前は1000の問題を抱えていたが、今は100の問題になった」

    この表現は、2026年型マシン「AMR26」がどれほど深刻な状態に陥っていたかを物語っている。

    シルバーストンとさくらの施設では、開幕直後からトラブル対応に追われ続けていた。記事では、チーム内部が“火消しを続けながら走っている状態”だったと表現されている。

    オーストラリア、中国、日本GPではいずれも両車完走を果たせず、マイアミGPが初めて2台揃ってレース距離を走り切った週末となった。

    しかし、チームが前向きに捉えているのは、単なる完走ではない。

    振動問題の改善が大きな転機
    開幕からAMR26を苦しめてきた最大の問題のひとつが、深刻な振動だった。

    エイドリアン・ニューウェイが開幕前テスト段階から危機感を示していたこの問題は、ドライバーにとって危険なレベルに達していたとも伝えられている。

    だが、F1日本GP後の4週間のブレイク期間が、状況を大きく変えた。

    ホンダとアストンマーティンは共同で対策を進め、マイアミGPに改良を投入。ホンダF1の折原伸太郎は、マイアミのパドックで次のように語った。

    「信頼性に関して問題なくレース距離を走り切ることができました。これは良い進歩です」

    「次の焦点は、エネルギーマネジメントのためのデータシステムやドライバビリティの最適化です。我々のパワーユニットには、まだ改善の余地が多く残っています」

    また、マイク・クラックもレース後に、ホンダとアストンマーティンが日本GP後に“非常に懸命に作業した”と説明。折原伸太郎も「持ち込んだ対策が機能していることを確認できました」と語っている。

    記事によれば、振動対策はシャシー側とパワーユニット側の両面から進められたという。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    シルバーストンとホンダの連携改善も効果
    今回の改善は、単純なアップデートだけではない。

    4週間のインターバル中、シルバーストンとさくらの施設では、内部プロセスやコミュニケーション体制そのものの見直しも進められたという。

    特に記事では、「コミュニケーションには改善の余地があった」と指摘されている。

    2026年から本格化したアストンマーティンとホンダのワークス体制は、立ち上げ初年度ということもあり、現場では予想以上に複雑な問題が噴出していたとみられる。

    その意味で、今回の“振動改善”は単なる技術問題の解消ではなく、チーム体制がようやく機能し始めた兆候とも受け取れる。

    アロンソ「本当の改善はまだ先」
    もっとも、アストンマーティンが競争力を取り戻したわけではない。

    フェルナンド・アロンソは、実質的なパフォーマンス改善については「夏休み後まで期待していない」と語っており、大きな空力アップグレードが投入されるのは数か月先になる見通しだ。

    記事でも「今後数戦は厳しいものになる」と伝えられている。

    それでも、少なくとも現在のアストンマーティンには“前進している感覚”がある。

    マイアミではフェルナンド・アロンソが15位で完走し、キャデラックF1勢を上回るペースも示した。

    まだグリッド後方に沈んでいる状況は変わらない。

    だが、“レースを完走できるようになった”こと自体が、現在のアストンマーティンにとっては大きな意味を持つ。

    そして内部では、ようやく「最悪の時期は脱したかもしれない」という空気が生まれ始めている。

  • 元F1王者ジャック・ヴィルヌーヴがポルシェ・スーパーカップで3年ぶり実戦復帰

    元F1王者ジャック・ヴィルヌーヴがポルシェ・スーパーカップで3年ぶり実戦復帰

    1997年F1ワールドチャンピオンのジャック・ヴィルヌーヴが、3年ぶりに競技レースへ復帰する。55歳のカナダ人は、2026年のポルシェ・モービル1・スーパーカップに特別ゲストとして参戦することが発表された。

    ヴィルヌーヴが最後に競技レースへ出場したのは、2023年の世界耐久選手権だった。フロイド・ヴァンウォール・レーシング・チームからハイパーカークラスに3戦出場し、セブリング開幕戦では8位に入ったが、ポルティマオとスパではリタイアに終わっていた。

    インディ500、CART、F1を制したヴィルヌーヴが新たな舞台へ
    ヴィルヌーヴは1995年にCARTタイトルとインディ500制覇を達成し、1997年にはウィリアムズでF1ワールドチャンピオンに輝いた。長いキャリアの中で多くの著名カテゴリーに参戦してきたが、ポルシェ・スーパーカップへの出場は今回が初めてとなる。

    ポルシェ・スーパーカップの公式インスタグラムは、ヴィルヌーヴの参戦を次のように発表した。

    「元F1ワールドチャンピオンのジャック・ヴィルヌーヴが、特別ゲストとしてポルシェ・モービル1・スーパーカップに加わる!」

    「インディ500ウイナー、CARTチャンピオン、そしてF1からアメリカン・オープンホイールレースまで、トップカテゴリーで実績を残してきた存在」

    「F1時代でさえ、ヴィルヌーヴはドライビングだけでなく、特徴的なヘルメットデザインでも際立っていた。母親のセーターに着想を得たカラフルなストライプは、彼のトレードマークのひとつとなり、世界中のモータースポーツファンにすぐ認識されるものだった」

    「今年、そのシグネチャールックはさらに一歩進む。彼専用のスーパーカップ車両には、この象徴的なストライプデザインに着想を得た専用リバリーが施される」

    「彼がもたらす実績に疑いの余地はなく、コース上でアクションを見せてくれるはずだ。ようこそ、ジャック!」

    母のセーターに由来するストライプが車両リバリーに
    ヴィルヌーヴの車両には、彼のヘルメットデザインで知られる象徴的なストライプ柄が採用される。このデザインは、母親のセーターに由来するものとして知られ、現役F1時代からヴィルヌーヴを象徴するビジュアルのひとつだった。

    今回の参戦では、そのデザインがヘルメットだけでなく、ポルシェ・スーパーカップのマシン全体に展開されることになる。

    F1週末のサポートレースで8戦開催
    2026年のポルシェ・スーパーカップは、F1グランプリ週末のサポートレースとして開催される全8戦のシリーズとなる。シーズンは6月上旬のモナコで開幕し、9月上旬のモンツァで最終戦を迎える。

    F1、インディカー、耐久レースなどを渡り歩いてきたヴィルヌーヴにとって、ポルシェ・スーパーカップは新たな舞台となる。3年ぶりの競技レース復帰で、元F1王者がどのような走りを見せるか注目される。

  • F1 2027年に“50対50”パワー配分を廃止へ PU規則変更で60対40案に合意

    F1 2027年に“50対50”パワー配分を廃止へ PU規則変更で60対40案に合意

    F1チーム、パワーユニットメーカー、F1、FIA(国際自動車連盟)は、2027年に向けてパワーユニットのハードウェア変更を前倒しで導入する方針で原則合意した。現行レギュレーションで掲げられていた内燃エンジンと電動要素の“50対50”に近い出力配分を見直し、より60対40に近い構成へ移行することを目指す。

    狙いは、内燃エンジン側の出力を高め、バッテリーへの要求を下げることで、各サーキットでエネルギー不足に陥る場面を減らすことにある。

    これにより、ドライバーにとってより直感的に扱えるマシンに戻し、今季ここまで表面化していた複雑なエネルギーマネジメントの副作用を抑える狙いがある。

    2028年を待たずに2027年導入へ
    金曜日に行われたオンライン会議には、チーム、パワーユニットメーカー、F1、FIAが参加した。この場で、2027年に向けたハードウェア変更を進めるべきだという方向性で合意が形成された。

    2027年導入に向けた時間的余裕は大きくない。パワーユニットの耐久性を高める作業に加え、燃料タンク拡大に伴うシャシー側の調整も必要になるためだ。それでも関係者は、2028年まで待つのではなく、今すぐ動くべきだという判断に至った。

    FIAは会議後に声明を発表し、燃料流量の増加によって内燃エンジン側の出力を50kW引き上げる一方、電動要素については350kWから300kWへ引き下げる方針を示した。

    「最終的なパッケージを決定する前に、チームとパワーユニットメーカーで構成される技術作業部会において、さらに詳細な議論が必要であることが合意された」

    マイアミで導入された暫定変更も継続評価
    今回の会議では、マイアミGPで導入された回生量とデプロイメント量の調整についても確認された。短期的な追加変更の可能性は残されており、FIAは今後のレースに向けたさらなる調整を検討している。

    「マイアミ・パッケージの評価は継続中であり、今後のイベントでさらなる調整を導入することを視野に入れている」

    「これには、スタート時の安全性を改善する改定や、ウエットコンディション下での安全性を高める措置が含まれる。これらは定義され次第、各チームに伝達される。カナダGPに向けて、視覚的シグナル措置の改善も評価されている」

    50対50構想から現実的なバランスへ
    2026年F1レギュレーションは、内燃エンジンと電動要素の出力配分を大きく近づけることを前提として導入された。しかし、実戦ではバッテリー残量やエネルギー回生・放出の制約が走行に大きく影響し、ドライバーが自然に攻められない場面が出ていた。

    2027年案は、電動化の方向性そのものを否定するものではなく、内燃エンジン側に比重を戻すことで、レース中のエネルギー不足を緩和するものだ。350kWから300kWへの電動出力引き下げと、内燃エンジン側の50kW増加が実現すれば、マシンの挙動やレース展開にも大きな変化をもたらす可能性がある。

    提案は今後、詳細な技術評価を経たうえで、F1コミッション、パワーユニット諮問委員会、そしてFIA世界モータースポーツ評議会という正式なガバナンス手続きに進むことになる。現行規則の課題が開幕から早くも表面化したなか、F1は2027年に向けてパワーユニット規則の軌道修正に踏み出した。

    Source: The Race