投稿者: dbcheck

  • 小椋藍 MotoGP日本人14年ぶり表彰台 ル・マンで歴史的3位

    小椋藍 MotoGP日本人14年ぶり表彰台 ル・マンで歴史的3位

    小椋藍(トラックハウス・アプリリア)が、2026年MotoGP第6戦フランスGP決勝で3位表彰台を獲得した。日本人ライダーとしてMotoGPクラスで表彰台に立つのは14年ぶりの快挙となり、小椋藍自身にとっても最高峰クラス初表彰台となった。

    舞台となったル・マンのブガッティ・サーキットでは、アプリリア勢が圧倒的な速さを披露した。ホルヘ・マルティンが終盤にマルコ・ベッツェッキを攻略して優勝。ベッツェッキが2位、小椋藍が3位に入り、アプリリア勢による歴史的な1-2-3フィニッシュが実現した。

    小椋藍はレース中盤まで5番手争いを続けていたが、終盤にペドロ・アコスタを攻略。終盤にかけてペースを維持し、アプリリア勢による表彰台独占を完成させた。

    序盤はマルコ・ベッツェッキがレースをリード。ペドロ・アコスタ、ファビオ・クアルタラロ、フランチェスコ・バニャイアらが続く展開となったが、16周目にバニャイアがシケインで転倒。これでホルヘ・マルティンが3番手へ浮上した。

    その後、マルティンは18周目にアコスタを攻略。さらに残り3周でベッツェッキを豪快にオーバーテイクし、トップへ浮上した。

    小椋藍は終盤にアコスタとの差を縮め、23周目に3番手争いへ加わると、その後アコスタを抜いて3位に浮上。そのまま初表彰台を獲得した。

    最終結果はホルヘ・マルティンが優勝、マルコ・ベッツェッキが2位、小椋藍が3位。4位にファビオ・ディ・ジャンアントニオ、5位にペドロ・アコスタが入った。

    ホルヘ・マルティンはスプリントと決勝を制する完全優勝を達成。アプリリアにとっても歴史的な1-2-3フィニッシュとなった。

  • アウディF1の“隠蔽体質”に批判 ドライバーのトラブル説明不足に波紋

    アウディF1の“隠蔽体質”に批判 ドライバーのトラブル説明不足に波紋

    アウディは2026年F1開幕戦オーストラリアGPで、ガブリエル・ボルトレトが9位入賞を果たし好スタートを切った。しかし、その後は信頼性問題が相次ぎ、ニコ・ヒュルケンベルグとボルトレトの両ドライバーが度重なるマシントラブルに苦しんでいる。

    とりわけマイアミGP週末では問題が噴出した。ヒュルケンベルグはスプリントでフォーメーションラップ中にストップしてスタートできず、決勝でもオーバーヒートによってリタイア。

    一方のボルトレトも、スプリントで吸気圧違反により失格となり、予選前にはギアボックス交換を強いられ、Q1ではブレーキ火災にも見舞われた。

    “技術的問題”だけでは済まされないとの指摘
    こうした状況について、元F1ドライバーのクリスチャン・ダナーは、アウディの説明姿勢を厳しく批判した。

    ダナーは『Motorsport-Magazin』に対し、「個人的には、これは本当に気に入らない。何が起きているのか誰も説明しない。すべて“技術的問題”としてごまかされている」と語った。

    さらに、「私はそれを不快に感じる。メルセデスやマクラーレンには相当な透明性があるが、アウディにはそれが欠けている」と指摘した。

    アウディはマイアミで発生した問題について詳細説明を避けているが、FIAの発表では、ボルトレトの失格原因はエンジン吸気圧の異常だったことが確認されている。また、ヒュルケンベルグのスプリントDNSはリークが原因で、チーム側は修復したと考えていたものの、再発したことでスタートできなかった。

    疑われるのはギアボックスか油圧系統
    ダナーは問題の核心について、「おそらく油圧系統かギアボックスだ」と分析した。

    「私は1速ギアが長すぎる時に特にスタートで苦労した経験がある。おそらく単純なギアボックスの問題だろう」

    さらに、アウディが2026年から自社製パワーユニットとギアボックスを投入している点にも言及した。

    「リアアクスルに負荷をかけないシームレスシフト式ギアボックスは、まだ完成されていないのかもしれない」

    「フェラーリやメルセデスは12年間こうしたギアボックスを開発してきた。非常に特殊な技術であり、習得には時間が必要だ。それはアウディにできないという意味ではない」

    パドックでも緊張感が高まるアウディF1
    マイアミGP週末では、アウディF1プロジェクト責任者のマッティア・ビノットとヒュルケンベルグが厳しい表情で話し込む姿も目撃された。パドックでは長時間のデブリーフも行われていたとされ、チーム内部の緊張感も高まっている様子だ。

    2026年からフルワークス体制でF1参戦を開始したアウディにとって、現在の問題は単なる“初年度の痛み”で済ませられる段階を超えつつある。特に、問題そのものよりも「何が起きているのかを説明しない姿勢」に対して、パドック内から疑問の声が上がり始めている点は見逃せない。

  • レッドブルF1 RB22“Bスペック”解析 マイアミGPで何が変わった?

    レッドブルF1 RB22“Bスペック”解析 マイアミGPで何が変わった?

    レッドブルは2026年F1マイアミGPに大規模なアップデートパッケージを投入し、苦戦していたRB22を一気に戦えるマシンへと変貌させた。

    マックス・フェルスタッペンは予選で今季最高の2番手を獲得し、決勝でも50周に及ぶハードタイヤ戦略を成立させながら5位でフィニッシュ。数字以上に重要だったのは、ドライバーたちが「再びプッシュできるクルマ」を取り戻したことだった。

    マイアミで投入された“Bスペック”は単なる空力アップデートではない。レッドブルは、開幕3戦でRB22を苦しめていた根本的な問題――予測不能なバランスと不安定な挙動――に対して、マシン全体の空力コンセプトを再構築するレベルの修正を行った。

    RB22最大の弱点は“速さ”ではなく“信頼感”だった
    開幕からのRB22は、低速・高速コーナーを問わず挙動が安定せず、アンダーステアとオーバーステアが交互に現れる極めて扱いづらいマシンだった。

    これは単にラップタイムを失うだけではなく、ドライバーが限界まで攻められないという深刻な問題を引き起こしていた。フェルスタッペンとアイザック・ハジャーは、コーナーごとに異なる挙動に対応しなければならず、セットアップ変更でも完全には解決できなかった。

    ローラン・メキースはマイアミ後、次のように説明している。

    「我々はドライバーに対して、周回ごと、コーナーごとに自信を持ってプッシュできる一貫性のあるクルマを与えられていなかった」

    「この5週間の開発作業の大部分は、通常のアップデートに加えて、その問題を解決することに費やされた」

    つまり今回のアップデートは、単純なダウンフォース増加ではなく、“ドライバーが信頼できる空力特性”を取り戻すことが最大の目的だった。

    サイドポッド刷新で空力コンセプトを再設計
    今回のアップデートで最も大きな変化が見られたのはサイドポッドだった。

    マイアミ仕様のRB22では、サイドポッド上面が大きく後方へ向かって傾斜する新形状となり、空気をフロア後端とディフューザーへ積極的に送り込むレイアウトへ変更された。

    特に特徴的なのは、後端に向かって急激に落ち込む“落差”を持たせた点だ。この形状によって、ディフューザー横の“マウスホール”周辺へ高エネルギーの気流を送り込み、リアダウンフォースを強化している。

    このコンセプトはアストンマーティンが2024年から採用してきた思想に近いが、レッドブルは既存のRB22空力構造と統合する形で独自進化させた。

    さらに重要なのは、外観だけではなく内部パッケージングも全面的に見直されている点だ。

    エンジンカバーはパワーユニット周辺へ極端にタイトに絞り込まれ、マイアミでは高温多湿対策として大型排熱ダクトが追加された。しかしこのダクトは単なる冷却用ではない。

    温められた気流をボディワーク後方へ導き、排気流と組み合わせながらリア周辺の境界層制御に利用することで、追加ダウンフォース生成にも貢献している。

    つまりレッドブルは、“冷却”と“空力”を一体化したパッケージへ進化させたということだ。

    レッドブル・レーシング RB22

    フロアとフロントウイングも全面修正
    RB22の変化はサイドポッドだけではない。

    フロア前方では、前輪乱流を外側へ逃がすためにバージボード周辺を再設計。さらにフロアエッジには新しいボルテックスジェネレーターが追加され、床下のシール性能を高めている。

    後方ではリアタイヤ乱流を抑えるための微細な空力修正が行われ、前方アップデートとの相乗効果を狙った構成となっている。

    またフロントウイングのエンドプレート上部には、現在多くのチームが採用している水平プレートを追加。これにより渦流を発生させ、乱流を外側へ押し出しながらドラッグ低減とフロア保護を両立している。

    つまり今回のアップデートは“単体パーツ強化”ではなく、車体全体の空気の流れを再統合する開発だった。

    “マカレナ・リアウイング”は単なる話題作ではない
    マイアミで大きな注目を集めたのが、レッドブル版“マカレナ・リアウイング”だった。

    このシステムでは、ストレートラインモード作動時に上部2枚のフラップが約160度回転し、さらにわずかに持ち上がる構造となっている。

    重要なのは、単に開くだけではなく、“持ち上げ動作”を伴う点だ。

    これにより有効開口面積を最大化し、より大量の空気を通過させながらドラッグを大幅に低減できる。マイアミでRB22がストレート速度上位を記録した背景には、このリアウイングと強力なエネルギーマネジメントの組み合わせがあったとみられている。

    マクラーレン関係者が「レッドブルは非常に賢い」と語った背景には、こうした“見た目以上に複雑な空力連携”への警戒感がある。

    レッドブル・レーシング

    レッドブルはようやく“開発方向”を見つけた
    今回のアップデートで最も重要なのは、レッドブルが“何をすべきか分かった”ことにある。

    開幕戦時点のRB22は、空力バランス・安定性・セットアップウインドウのすべてが曖昧だった。しかしマイアミ仕様では、サイドポッドを中心に車体全体の空気の流れを整理し直したことで、マシン挙動に一貫性が生まれ始めた。

    フェルスタッペンが「再びプッシュできる」と語ったこと自体が、その変化を最も象徴している。

    もちろん問題が完全に解決したわけではない。メキース自身も「まだ解決すべき部分は残っている」と認めている。

    それでも、トップ勢との純粋なパフォーマンス差は開幕時から大幅に縮まりつつある。

    本当に重要なのは、この改善がモントリオールやモナコのような全く異なる特性のサーキットでも再現されるかどうかだ。もし同様の競争力を維持できれば、RB22は“問題児”から再び勝利争い可能なマシンへ変貌したと言えるかもしれない。

  • シャルル・ルクレール 約28億円の豪華ヨット購入 3隻目「Sedici」

    シャルル・ルクレール 約28億円の豪華ヨット購入 3隻目「Sedici」

    シャルル・ルクレールが、新たに3隻目となるヨット「Sedici」を購入した。推定価格は1,500万ユーロ(約28億円)とされ、F1パドックの喧騒から離れるための新たな“隠れ家”を手に入れた形だ。

    新艇「Sedici」は全長30メートル超の大型ヨットで、2基のMTU 16V 2000 M96Lエンジンを搭載する。各エンジンは2,638馬力を発生し、合計出力は5,276馬力に達する。最高速度は28ノット、時速にして約52km/hで、巡航速度は24ノットとされている。

    5,276馬力の大型ヨット
    「Sedici」は単に高出力なだけではない。船体の揺れを抑えるため、フィンスタビライザーとジャイロ式スタビライザーを備えており、快適性にも重点が置かれている。

    排水量は約100トンに及び、荒れた海でも安定性を確保する設計となっている。外装と内装はいずれも高級仕様で、キャビンからは140平方メートルに及ぶガラス窓を通じてパノラマビューを楽しめる。

    10人が宿泊可能な豪華仕様
    船内には5つのキャビンが用意され、最大10人のゲストを収容できる。なかでも目を引くのが、船尾に設けられた35平方メートルの拡張型「ビーチクラブ」だ。

    フェラーリのエースとして世界各地を転戦するルクレールにとって、このヨットはレース週末から離れて過ごすためのプライベートな空間となる。推定1,500万ユーロ、日本円で約28億円という価格を考えれば、今回の購入はまさに“桁違い”のオフタイム投資といえる。

  • ハースF1チームがフェラーリ“マカレナ”リアウイング採用を見送った理由

    ハースF1チームがフェラーリ“マカレナ”リアウイング採用を見送った理由

    フェラーリが開発した革新的なリアウイング「マカレナ」が、2026年F1マイアミGPのパドックで大きな注目を集めている。極端な可動域を持つこのコンセプトは、すでに複数チームが関心を示し、レッドブルなども類似のアイデアを検討・テストしているとみられる。

    しかし、すべてのチームがこの流れに乗るわけではない。ハースF1チームは、この“マカレナ”コンセプトに対して明確に距離を置く姿勢を示しており、その判断はリソース配分と開発効率という観点に基づくものだ。

    270度回転という極端なコンセプト
    フェラーリの“マカレナ”リアウイングは、従来の可変リアウイングとは一線を画す構造を持つ。通常は約90度程度の可動に留まるところ、このシステムでは上部エレメントが最大で270度近くまで回転し、ストレートでは空力プロファイルそのものを大きく変化させる。

    これにより抗力を大幅に削減し、最高速の向上が期待される一方で、構造的な負荷は大きく、信頼性確保や制御の複雑さという課題も抱える。単なるドラッグ低減デバイスではなく、マシン全体の設計思想に関わる高度なシステムだ。

    ハースが採用しない明確な理由
    このコンセプトについて、ハースの空力部門責任者であるダビデ・パガネッリは、導入の可能性を問われ次のように説明した。

    「これは興味深いコンセプトだが、同時に非常に複雑でもある。現時点では、投入するリソースに対してより即効性のあるリターンが見込める開発に集中したいと考えている。マシンの複雑性やコストの観点からも、優先順位はそこではない」

    この発言が示すのは、単なる技術的評価ではなく、チーム全体の開発戦略そのものだ。

    リソース配分が分ける開発戦略
    ハースF1チームは、トップチームと比較して限られたリソースの中で戦う必要がある。そのため、開発においては“最大効率”が最優先となり、コストに対して確実なパフォーマンス向上が見込める領域に集中する傾向が強い。

    一方でフェラーリのようなチームは、リスクを取ってでもブレークスルーを狙う開発が可能であり、その差が今回の判断の分岐点となっている。極端なコンセプトは成功すれば大きな優位性を生むが、同時に開発コストと失敗リスクも跳ね上がる。

    結果として、“マカレナ”リアウイングは今後の開発競争における分岐点のひとつとなりつつあるが、すべてのチームが同じ方向に進むわけではない。ハースの選択は、その現実的な立ち位置と戦略を端的に示している。

  • フェルナンド・アロンソ F1引退時期に葛藤「悪い後味では去りたくない」

    フェルナンド・アロンソ F1引退時期に葛藤「悪い後味では去りたくない」

    フェルナンド・アロンソは、2026年限りで契約満了を迎える自身のF1キャリアについて、「悪い後味」のまま終わりたくないとの思いを明かした。

    2026年から始まったアストンマーティンとホンダの新パートナーシップは、ここまで苦しい船出となっている。パワーユニットの信頼性問題に加え、マシン全体の競争力不足も重なり、チームはグリッド後方での戦いを強いられている。

    44歳となったアロンソは、現役続行か、それとも新たな人生への転身かを慎重に見極めている段階だ。ただし現在の低迷状態のままF1を去ることには複雑な感情を抱いているようだ。

    「悪い後味のままスポーツを去るのは、必ずしもベストではない」とアロンソはRacingNews365などのメディアに語った。

    「こういうことは、自分でタイミングを選べるものじゃない。ニコ・ロズベルグだけは別だったけどね」

    「それ以外では、辞め時を決めるのは難しい。僕はとても落ち着いているし、自分のキャリアにもすごく満足している」

    「このスポーツが僕に与えてくれたもの、経験させてくれたことにも本当に感謝している」

    アロンソは2021年にF1へ復帰して以降、自身が依然としてトップレベルで戦えている感覚を持っていると強調した。

    「これは贈り物みたいなものだ」とアロンソは語る。

    「2021年に戻ってきてから、レースを続けられていることも、競争力を感じられていることも、本当に特別なことなんだ」

    「僕は、みんなに負け続けたり、自分が遅いと感じたり、ミスを繰り返すような状態で辞めたくはない」

    「今の僕は100%の状態にあると分かっている。だからこそ、その感覚を持ったまま去りたいと思っている」

    フェルナンド・アロンソ F1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    “まだ速い”からこそ難しい引き際
    アロンソの発言で印象的なのは、「衰え」を理由に引退したくないという強い自負だ。実際、現在のアストンマーティンの苦戦は、アロンソ個人のパフォーマンス低下というより、マシンとホンダ製パワーユニットの完成度不足による部分が大きい。

    今季のアストンマーティンは振動問題や信頼性問題に悩まされ、序盤戦では完走すら困難なレースもあった。アロンソ自身も「速さはあるのに結果につながらない」という状況が続いている。

    そのため、もし2026年限りでF1を去れば、“競争力不足のマシンに埋もれたまま終わる”という感覚が残る可能性がある。アロンソが語る「悪い後味」とは、単なる成績低迷ではなく、自分の力を出し切れないまま終わることへの葛藤とも受け取れる。

    ホンダとの新プロジェクトが判断を左右か
    アストンマーティンとホンダのワークス体制は、本来であれば2026年F1新時代の大型プロジェクトとして期待されていた。しかし現時点では、レッドブルやメルセデスとの差は依然として大きい。

    それでもアロンソは、過去にも苦境からチームを押し上げてきた経験を持つドライバーだ。だからこそ、完全に再建を見届ける前に離脱することにも迷いがあるのかもしれない。

    一方で、2027年には45歳を迎える。体力面では依然トップクラスを維持しているとはいえ、引退の決断が現実味を帯び始める年齢であることも確かだ。

    アロンソは今なお「自分は100%の状態」と断言している。その言葉は、引退が近いことを示すものではなく、“まだ終わる理由がない”というメッセージにも聞こえる。

  • メルセデスF1 ボノの手腕を評価「アントネッリの成功を支えている」

    メルセデスF1 ボノの手腕を評価「アントネッリの成功を支えている」

    メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは、キミ・アントネッリの快進撃の裏側に、レースエンジニアを務める“ボノ”ことピート・ボニントンの存在があると明かした。

    マイアミGPで3連勝を達成し、F1史上最年少のランキング首位に立ったアントネッリ。ヴォルフは、その成長を支えているのが、かつてミハエル・シューマッハやルイス・ハミルトンを担当したベテランエンジニアだと強調した。

    “ボノ”が支えるアントネッリの急成長
    ピート・ボニントンは、メルセデスで長年にわたってトップドライバーたちを支えてきた名エンジニアとして知られている。

    ミハエル・シューマッハの復帰時代にレースエンジニアを務め、その後はルイス・ハミルトンと12年間にわたりコンビを組み、数々のタイトル獲得を支えてきた。

    ハミルトンがフェラーリへ移籍した後、ボニントンは2025年からキミ・アントネッリを担当。アントネッリは今季、3連勝を達成し、わずか19歳でF1史上最年少のランキング首位に立っている。

    トト・ヴォルフ「良きメンターであり、厳しいボスでもある」
    マイアミGP後、アントネッリへの無線対応について質問されたヴォルフは、ボニントンの手腕を高く評価した。

    「ボノはシューマッハ、そしてハミルトンから長年学んできた。そして今はキミを担当している」とトト・ヴォルフは語った。

    「彼はキミにとって良きメンターである一方で、厳しいボスでもある」

    ヴォルフは、決勝中にアントネッリがトラックリミット違反の警告を受けていた場面についても言及した。

    「今日はすでに2回警告を受けていたので、僕はボノに『あと1回で僕が無線に入るぞ』と言ったんだ」

    「すると彼は『いや、いや、それは私に任せてください』と言った。彼はどう扱うべきかを理解している。それが成功の一部なんだ」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    “才能”だけではなく“育成”も重要視
    ヴォルフは、アントネッリのマイアミGPを「これまでで最高のレースだった」と評価する一方で、まだ育成段階にあることも強調した。

    「カート時代からジュニアカテゴリーまでの軌跡を見れば、彼が特別だったことは明らかだった」

    「そして昨年我々が話していた通りの成長曲線を描いている。素晴らしい瞬間もあれば、ミスを許容される瞬間もある」

    ヴォルフは、若手ドライバー育成では“プレッシャーとの向き合い方”が重要だと説明する。

    「我々は彼を導き続ける必要があるし、プレッシャーも与えなければならない」

    「彼は自分自身で分析できる。でも考えすぎない。“ミスをした。切り替える”という整理ができている」

    「彼の近くにいる我々全員が、同じメッセージを繰り返し伝え続ける必要がある。これは長期的なプロジェクトなんだ」

    メルセデスが描く“次世代王者育成”の理想形
    アントネッリの3連勝は、その才能だけでなく、メルセデス側の育成体制の成熟も浮き彫りにしている。

    特にボニントンのような経験豊富なエンジニアを若手ドライバーに組み合わせたことは、単なる速さだけでなく、精神面やレースマネジメントまで含めて育てるという明確な意図が見える。

    ヴォルフが「長いゲームだ」と繰り返したように、メルセデスは短期的な結果だけではなく、“次の時代を支配する存在”としてアントネッリを育てようとしている。

  • F1のV8エンジン回帰論に警鐘 モントーヤ「当時のレースは退屈だった」

    F1のV8エンジン回帰論に警鐘 モントーヤ「当時のレースは退屈だった」

    ファン・パブロ・モントーヤが、2026年F1レギュレーションを擁護するとともに、加熱するV8エンジン回帰論に対して警鐘を鳴らした。

    2026年のF1は、電動出力への依存度が高まった新世代パワーユニットによって賛否が分かれている。特にドライバーやファンの間では、予選やオーバーテイク時の“バッテリー管理”がレースを複雑化させているとの不満も少なくない。

    2026年F1規則を擁護したモントーヤ
    BBCの『Chequered Flag』ポッドキャストで、1996年F1ワールドチャンピオンのデイモン・ヒルは、2026年型F1について「少し分かりづらい」と語った。

    「いつブーストを使っているのか分からない」

    「突然オーバーテイクが起きる。昔のレースなら、後ろのマシンが徐々に近づいて、仕掛けて、抜いて、そのまま離れていった」

    「でも今は抜いたと思ったら、また抜き返される。何が起きたのか分からなくなる」

    これに対し、モントーヤは即座に反論した。

    「僕はそれが好きなんだ」

    「本当に良いと思う」

    DRSより“戦える”現在のF1
    さらにモントーヤは、2025年限りで廃止されたDRSについて厳しく批判した。

    「僕にとってDRSは本当にナンセンスだった」

    「1秒差というのは十分なギャップだ。それなのにストレートの終わりには簡単に抜かれてしまう。そしてみんな“素晴らしいオーバーテイクだ”と言う」

    「でも実際には何もしていない。ただそこにいただけなんだ」

    モントーヤは、現在のバッテリー主体の駆け引きの方が、防御側にも戦う余地があると説明した。

    「相手が抜きに来ると分かれば、先に回生モードへ入ることもできる」

    「そうすれば次のストレートで余分なエネルギーを使って反撃できる」

    「DRS時代は、抜かれる側はただの“座っている標的”だった」

    F1 V型8気筒 エンジン

    V8回帰論への冷ややかな視線
    一方で、FIA会長モハメド・ビン・スライエムは、将来的なV8エンジン復活について「実現する」と明言している。

    F1では現在、2030年にもV8エンジンへ回帰する可能性が議論されており、往年の自然吸気時代を懐かしむ声も根強い。

    だが、モントーヤはその“ノスタルジー”に冷ややかな視線を向けた。

    「みんな“君たちの時代は最高だった”と言う。でも当時のレースを見返してみればいい。本当に退屈だ」

    「僕たちドライバーにとってさえ、ただの短いテストセッションみたいな時もあった」

    2027年にはさらなる規則変更も
    F1とFIAは、2026年レギュレーションへの批判を受け、すでに調整へ動き始めている。予選ではバッテリー回生量を減らし、より“全開走行”を増やす方向へ修正。決勝での電動ブースト量も抑制された。

    しかし、多くのドライバーは依然として「小手先の修正に過ぎない」と感じており、より大規模な変更を求めている。

    そして、その大規模改革として浮上しているのが、2027年に向けた内燃エンジンと電動出力の配分変更だ。現在の“50対50”構成を見直し、より内燃エンジン寄りへ移行する案が進められている。

  • アストンマーティンF1の鍵はホンダPU モントーヤ「クルマは悪くない」

    アストンマーティンF1の鍵はホンダPU モントーヤ「クルマは悪くない」

    アストンマーティンF1の2026年型マシン「AMR26」を巡り、元F1ドライバーのファン・パブロ・モントーヤが擁護論を展開した。開幕から深刻なパフォーマンス不足と信頼性問題に苦しむ同チームだが、モントーヤは「問題の大半はホンダ製パワーユニット側にある」と分析している。

    さらにモントーヤは、ホンダが現在抱える問題を解決できれば、アストンマーティンは将来的に上位争いへ復帰できると主張。

    ただし、その改善がフェルナンド・アロンソの現役期間中に間に合うのかについては疑問も呈した。

    AMR26低迷の原因はホンダPUにあるのか

    アストンマーティンのAMR26は、2026年F1プレシーズンテストで初披露された際、革新的なフロントサスペンションや中盤セクション、フロントウイングの設計によって大きな注目を集めた。

    しかし実戦が始まると状況は一変。深刻な信頼性問題と圧倒的な戦闘力不足により、グリッド後方に沈む展開となった。

    その原因として指摘されているのがホンダの2026年型パワーユニットだ。現時点では激しい振動問題に加え、約100馬力の出力不足を抱えているとされている。

    一方で、1周あたり数秒規模の遅れをすべてPUだけの責任にするのは難しく、シャシーや空力面にも問題があるとの見方もパドックでは広がっている。

    モントーヤ「クルマはそこまで悪くない」

    それでもモントーヤは、アストンマーティンのプロジェクトそのものには依然として大きな可能性があると語る。

    「僕はフェルナンド・アロンソの意見に同意している」とモントーヤはBetPackのインタビューで語った。

    「アストンマーティンは3年後にはもっと速いチームになれると思う。エンジンの問題を解決すれば、改善のための支援も間違いなく受けられるはずだ」

    さらにモントーヤは、もし不足分が20馬力程度まで縮まれば、アストンマーティンは中団グループで十分戦える戦闘力を持つと分析した。

    「僕は今でも、このクルマは人々が考えているほど悪くないと思っている」

    現在の低迷はAMR26のコンセプトそのものではなく、ホンダPU側の未成熟さが大きく影響しているという見立てだ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    最大の問題は“時間”

    ただし、モントーヤが最大の懸念として挙げたのは“時間”だった。

    フェルナンド・アロンソは今年7月に45歳を迎える。現時点では2027年まで現役を続ける可能性が高いとみられているが、ホンダとアストンマーティンがタイトル争いレベルまで到達するには、さらに時間を要する可能性がある。

    「問題は、フェルナンドがそれを待てるかどうかだ」

    「そして、チームが彼の現役中に十分な速さを手に入れられるかどうかだ」

    モントーヤはそう語り、アストンマーティン再建計画の成否は、ホンダの立て直しスピードに大きく左右されるとの見方を示した。

    “ニューウェイ効果”だけでは解決しない現実

    エイドリアン・ニューウェイ加入によって大きな期待を集めたアストンマーティンだが、2026年F1シーズン序盤を見る限り、空力だけでは解決できない問題が浮き彫りになっている。

    特に現行レギュレーションでは、電動比率50%という新世代PUコンセプトへの適応が極めて重要となっており、エネルギーマネジメントや振動対策、信頼性確保まで含めた総合力が問われている。

    その意味で、AMR26の真価が判断されるのは、ホンダが現行PUをどこまで正常化できるかにかかっているとも言えそうだ。

  • クリスチャン・ルンガー インディカーで3年ぶり勝利「長い待ち時間だった」

    クリスチャン・ルンガー インディカーで3年ぶり勝利「長い待ち時間だった」

    クリスチャン・ルンガーが、インディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースで行われたソンシオ・グランプリを制し、約3年ぶりとなるNTTインディカー・シリーズ通算2勝目を挙げた。

    アローマクラーレンの7号車シボレーを駆るルンガーは、終盤68周目にデビッド・マルーカスを攻略。その後は差を広げ、4.6713秒差で勝利した。2023年7月16日のホンダ・インディ・トロント以来となる勝利で、47戦に及ぶ未勝利に終止符を打った。

    ルンガーが47戦ぶり勝利 マクラーレン勢として通算3人目
    ルンガーは4番手からスタートし、荒れた展開と戦略が交錯するレースを冷静に乗り切った。最後のピットストップをマルーカスより1周早い65周目に済ませると、68周目にターン3からターン4にかけて並びかけ、ターン5〜6のシケインでわずかな隙間を突いて首位に立った。

    「とても満足している」とルンガーは語った。

    「正直、今日は本当に期待していなかった。望んではいたけどね。この勝利までは長い待ち時間だった。特にこの場所ではそうだ。ここで僕がずっと速かったことは分かっているだろうし、それでも何度も何度も失望が続いてきた。そして今、僕たちはここにいる。行こう!」

    「やった。行こう。5月のいいスタートだ」

    この勝利により、ルンガーはジョニー・ラザフォード、パト・オワードに続く、インディカーで勝利した3人目のマクラーレンドライバーとなった。

    マルーカスは初優勝目前で2位「勝利に一歩近づいた」
    デビッド・マルーカスはチーム・ペンスキーの12号車シボレーで2位に入り、キャリア初優勝には届かなかったものの、力強いレースを見せた。マルーカスはレース最多の27周をリードし、ルンガーより4周多くトップを走った。

    「中盤のスティントではとても強かった。でも終盤に向けて、ウイングの調整で間違った判断をしたのかもしれない」とマルーカスは語った。

    「そこからは崩れていった。僕は生き残るためにできることをすべてやっていたし、後ろからラハールが迫ってきていた」

    「それでも、素晴らしい結果だ。この週末に入る時点では、僕たちにとって苦しいものになると分かっていた。予選でファイアストン・ファスト6に残ることすら難しいと思っていたのに、今は2位で表彰台にいる。あの勝利に一歩近づいた」

    序盤の多重事故と戦略分岐でパロウの独走構図が崩れる
    ポールシッターのアレックス・パロウはスタートで首位を守り、IMSロードコースでの4連勝を目指した。しかし、後方ではターン1〜2に向けて25台の隊列が絞られる中、パト・オワード、スコット・ディクソン、フェリックス・ローゼンクヴィスト、カイオ・コレットが絡む連鎖事故が発生。これが最初のフルコースコーションとなった。

    この混乱でマルーカスは5番手から2番手に浮上。多くのチームは3周目にピットが開くと、早くもタイヤと燃料を入れる別戦略へ動いた。

    一方、パロウはステイアウトし、リードを広げていった。カイル・カークウッドも7周目にマルーカスを抜いて2番手に上がり、ポイントランキング上位2人による優勝争いが見え始めた。

    だが22周目、アレクサンダー・ロッシの20号車シボレーがメカニカルトラブルでホームストレートのピットウォール付近に停止。ここで流れが一変した。パロウとカークウッドはトップ2の位置からピットに入らざるを得ず、25周目のピット後にはそれぞれ19番手、20番手まで後退した。

    パロウは5位止まりもランキング首位を拡大
    28周目のリスタートでは、ターン13でローゼンクヴィスト、オワード、スティング・レイ・ロブ、キフィン・シンプソンが絡む再びの連鎖事故が発生。パロウとカークウッドはこれをかわしたものの、勝利争いへの復帰は難しくなった。

    さらにカークウッドは39周目のピット作業で右フロントの交換に時間を要し、15.2秒のストップとなって優勝争いから脱落。パロウは同じ周に7.2秒でピットを終え、前方へ戻る動きを続けたが、最終的には5位が限界だった。勝者ルンガーとの差は14.3630秒だった。

    パロウの今季2連勝は止まったが、ランキングではカークウッドとの差を27ポイントに広げた。カークウッドは9位でフィニッシュした。

    グラハム・ラハールは15号車ホンダで3位に入り、今季自己最高タイの結果を記録。ジョセフ・ニューガーデンは2号車シボレーで4位に入り、ペンスキーはトップ4に2台を送り込んだ。

    ルンガーは次戦、5月24日に行われる第110回インディアナポリス500で、2025年のパロウに続くソンシオ・グランプリとインディ500の“ダブル”を狙う。伝統の2.5マイル・オーバルでのプラクティスは5月12日に始まる。