投稿者: dbcheck

  • アウディF1「PU性能が不足」 ル・マン哲学で2030年の頂点目指す長期計画

    アウディF1「PU性能が不足」 ル・マン哲学で2030年の頂点目指す長期計画

    アウディF1は2026年シーズン序盤の苦戦を認めつつも、長期的な視点で頂点を目指しているようだ。新たにレーシングディレクターに就任したアラン・マクニッシュは、現時点で最大の課題がパワーユニットにあることを率直に認めた。

    一方で、シャシー面については「予想以上のスタート」と評価。ル・マンで培った耐久レースの哲学を引き合いに出しながら、「2030年までにタイトル争いをできるチームになる」という現実的なロードマップを描いている。

    アラン・マクニッシュ「最大の課題はパワーユニット」
    アラン・マクニッシュは、マイアミGPでF1.comに対し、アウディの現状について率直に語った。

    「パワーユニット側について言えば、間違いなくそこが最大かつ最も難しい仕事だ」

    「初めて参入する分野だから、多くを学ばなければならない」

    「現時点では、まだピークパフォーマンスを発揮できているとは思っていない」

    「そこには改善すべき点があるし、パフォーマンス面でも少し不足している」

    アウディは2026年からワークス体制でF1参戦を開始したが、新レギュレーション下では独自PU開発の難しさに直面している。特に序盤戦では信頼性やエネルギーマネジメント面で苦戦が目立っていた。

    “予想以上”のシャシー性能を評価
    その一方で、マクニッシュは車体側についてはポジティブな評価を下している。

    「マシン側については、非常に良い仕事をしていると思う」

    「全体として、我々がここまで良いスタートを切ると予想していた人は多くなかったのではないか」

    アウディは開幕4戦でコンストラクターズランキング8位、2ポイントを獲得。結果だけを見ると苦しいスタートだが、一発の速さやQ2進出など、断片的には競争力を見せている。

    現場ではオペレーション面のミスや信頼性問題も発生しているが、マクニッシュは「新規参入チームとしては悪くない出発点」と捉えているようだ。

    ル・マン経験から語る“長期戦”の重要性
    マクニッシュは、アウディのプロジェクトを耐久レースになぞらえながら、短期的な結果だけを追うべきではないと強調した。

    「私のこれまでのレース経験、特にスポーツカーの世界から学んだことがある。ル・マンは完璧な例だが、常にスプリントではない」

    「個々のレースは短期決戦でも、チャンピオンシップは耐久戦であり、長期的なビジョンが重要なんだ」

    「その点で言えば、我々は未来に向けてかなり良い形で築き上げていると思う」

    アウディ首脳陣は、このプロジェクトに対して2030年までにタイトル争いへ到達することを期待していると報じられている。

    “新参者”として現実的な目標設定
    マクニッシュは、現時点で過度な期待を抱くべきではないとも語った。

    「我々は現実的でなければならない」

    「我々は新参者だ。サーキット内外で学ばなければならないことが非常に多い」

    「そういう観点から見れば、現時点の我々は非常に良いスタートを切れていると思う」

    短期的な目標については、安定したQ3進出とポイント獲得を掲げた。

    「Q3争いに加わり、安定してポイントを狙える位置に行きたいと思っている」

    「ただ、それが毎回可能だとも分かっているわけではない」

    「だからこそ、これは長期プロジェクトの1年目なのだと理解する必要がある。次の1戦だけに固執するのではなく、我々がどこへ向かっているのかというビジョンを持つことが重要なんだ」

    2026年F1の新規ワークス参戦組として注目を集めるアウディだが、マクニッシュの発言からは“即結果”ではなく、“数年単位で頂点へ向かう計画”を重視している姿勢が色濃く見えてくる。

    Photo:Audi

  • ダニエル・リカルド “将来のレース復帰”に含み「純粋に走る喜びのためなら」

    ダニエル・リカルド “将来のレース復帰”に含み「純粋に走る喜びのためなら」

    ダニエル・リカルドが、将来的なレース復帰の可能性を完全には否定しなかった。だが、その動機はかつてのF1時代とは大きく異なるものになりそうだ。

    現在36歳のリカルドは、コナー・デイリーがホストを務める「Speed Street」ポッドキャストに出演。F1引退後の生活について語るなかで、「純粋にドライブを楽しむため」であれば再びレースをする可能性があると明かした。

    “競争しない生活”を楽しむリカルド
    長年F1という過酷な世界に身を置いてきたリカルドは、現在の生活に満足しているという。

    「最近は“またレースをするのか?”って聞かれる回数も少なくなってきた。たぶん、十分に答えてきたからだと思う」とリカルドは語った。

    「極端な言い方はしたくないし、“絶対にない”とは言いたくない。何が起きるかなんて分からないからね」

    その一方で、現時点では競争の世界から距離を置く時間を楽しんでいると強調した。

    「今は競争しない生活を本当に楽しんでいる。人生の小さなことを楽しめているし、常にステージの上に立っていなくていい」

    「3年後、5年後にどう感じているかは自分でも分からない」

    “タイトルを追うため”ではない復帰
    もし将来的に再びステアリングを握るとしても、それはF1終盤のようなプレッシャーに満ちた挑戦にはならないという。

    「もし戻るとしても、“チャンピオンシップを追いかける”というより、もっと楽しさ重視になると思う」

    「純粋にドライブする喜びのためだ。もうトロフィーを獲る必要もないし、自分を証明する必要もない」

    F1キャリア終盤の経験を振り返りながら、競争そのものが時に“楽しさ”を奪うこともあったと打ち明けた。

    「もちろん目標を持つことは大事だ。それが朝起きてトレーニングして、自分を追い込む理由になる。でも、それが逆にレースの楽しさを奪うこともある」

    インディ500への関心も告白
    リカルドはさらに、今年のインディ500を現地観戦する予定であることも明かした。

    興味を抱いている理由のひとつが、F1とは異なるイベントの空気感にあるという。

    「長い間、F1という“バブル”の中で生きてきた。あのスケジュール、パドック、すべてが普通だと思っていた」

    「でも外から見ると、“あれは全然普通じゃなかった”って思う。スケジュールは分刻みだったからね」

    そのうえで、インディ500ではドライバーたちがどれほどリラックスして過ごしているのかにも興味を持っていると語った。

    「1年で最大のレースの週って、実際どんな感じなんだろうって気になるんだ。スケジュールや自分の時間の使い方、それにドライバーたちがどれだけリラックスしているのか、それともずっと緊張感を保っているのかを見てみたい」

    Photo:Daniel Ricciardo Instagram

  • アストンマーティンF1 “異例の問題”で開発停滞 アップグレード遅延を説明

    アストンマーティンF1 “異例の問題”で開発停滞 アップグレード遅延を説明

    アストンマーティンは、2026年F1マイアミGPにAMR26の空力アップグレードを持ち込まなかった理由を説明した。開幕4戦を終えてコンストラクターズ選手権最下位、獲得ポイントなしという厳しい状況にあるなか、チームは新パーツ投入よりも信頼性、振動低減、ドライバビリティ改善を優先している。

    フェラーリが11点、マクラーレンとレッドブルがそれぞれ7点のアップデートを投入し、他チームも少なくとも1点の開発アイテムを持ち込んだ一方で、アストンマーティンはAMR26に空力面の新パーツを用意しなかった。

    空力アップデートより優先された「異例の問題」
    元チーム代表で現在はチーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックは、空力開発の投入時期について明言を避けた。

    「我々はこの数週間、数か月で見てきた。特に、信頼性、振動の低減、ドライバビリティの改善に関して進歩を遂げてきたやり方を考えれば、すでにかなり大きなアップグレードを行ってきたと思う」

    「そして、その方向で作業を続けなければならない。だから、次のレースなのか、その次のレースなのか、あるいはいつになるのかという話には引き込まれたくない」

    「シーズンが始まったとき、我々には多くの問題があった。異例の問題だった。しかし、我々がリソースを投入したスピードはかなり注目に値するものだったと思う」

    「さらに前進できることを期待できるし、そうなると考えている。ただし、埋めなければならない差が大きいことも認めなければならない。これは決して1週間でできる作業ではないかもしれない」

    アストンマーティンの開幕戦からの問題は深刻だった。シーズン序盤は技術的トラブルによって両ドライバーの走行時間が制限され、マイアミGP前までの完走扱いは鈴鹿でのフェルナンド・アロンソの18位のみだった。

    なかでもパワーユニットのバッテリーに起因する振動問題は大きな焦点となり、中国GPではアロンソが不快感を理由にリタイア。アロンソとランス・ストロールの双方が、神経への影響を懸念する状況にまで発展していた。

    マイアミGPでは、アロンソが15位、ストロールが17位でフィニッシュし、チームとして今季初の2台完走を達成した。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「今のパッケージから引き出せるものがまだある」
    フェルナンド・アロンソは、空力アップデートが夏休み明けまで投入されない可能性にも言及している。そうしたなかで、なぜ開発投入を遅らせる価値があるのかを問われたクラックは、現行パッケージの使いこなしがまだ不十分だと説明した。

    「『戦略は何か』『計画は何か』を認識しなければならない」

    「ここトラックでの我々の仕事は、持っているものから最大限を引き出すことだ。マイアミでは、何らかの理由で、すべてが最適だったとは言えないと思う」

    「うまくやったとは思うが、もっと良くできたはずだ。同じことはエネルギーにも当てはまるし、ドライバビリティにも当てはまる」

    「だから、現時点のこのパッケージから引き出すべきものは多い。全員のモチベーションを保ち、その作業を続けることが重要だ。そして、大きなステップが来るのを待つことになる」

    アストンマーティンにとって、空力アップデートの遅れは単なる開発停滞ではなく、AMR26が抱える根本的な問題への対応を優先した結果でもある。信頼性、振動、ドライバビリティという基盤を整えなければ、新パーツを投入しても本来の効果を測ることは難しい。

    ただし、ライバルがすでに大規模なアップデート競争に入っているなかで、アストンマーティンが「大きなステップ」を待つ時間的余裕は限られている。マイアミでの2台完走は前進ではあるが、ポイント圏外という現実は変わっておらず、AMR26が次に示すべきなのは、完走だけでなく競争力の明確な改善となる。

  • ジョージ・ラッセル 次世代F1レギュレーションにV8熱望「軽量化も必要」

    ジョージ・ラッセル 次世代F1レギュレーションにV8熱望「軽量化も必要」

    メルセデスのジョージ・ラッセルが、将来のF1レギュレーションについて自身の理想像を語った。2026年F1レギュレーション導入からわずか4戦ながら、すでにFIA内部やメーカー間では“次の時代”を見据えた議論が始まっている。

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムが2030年までにV8エンジン復活の可能性に言及したことで、パドックでは次世代パワーユニット論争が活発化。そんな中、ラッセルは「V8」「持続可能燃料」「軽量化」を次のF1に必要な要素として挙げた。

    ジョージ・ラッセル「V8はかなりクール」
    ジョージ・ラッセルは次世代レギュレーションについて問われると、まずV8エンジン復活への期待を隠さなかった。

    「もちろん、話すべきことはたくさんある」とジョージ・ラッセルは語った。

    「V8に戻るというのは、かなりクールだと思う」

    「持続可能燃料というテーマも素晴らしいものだし、F1にとってすごく良い方向性だと思う」

    近年のF1はハイブリッド化と電動化を強く推し進めてきたが、2026年F1レギュレーションでは“電動比率50%”が過度になりすぎたとして、すでにエネルギー配分の見直し議論が進んでいる。

    その流れの中で、V8回帰論は単なるノスタルジーではなく、“よりシンプルで軽量なF1”を求める流れとも重なり始めている。

    「もっと軽いF1マシンが必要」
    ジョージ・ラッセルが特に強調したのがマシン重量だった。

    「もっと軽いマシンにする方法を見つける必要があると思う」

    「マシン重量を減らすことは、レースやドライバビリティの面でポジティブな影響があったと思うし、お互いに接近して戦えることにもつながっている」

    現在のF1マシンは安全装備やハイブリッドシステム大型化の影響で、20年前と比べて大幅に重量が増加している。特に2026年F1マシンでは大型バッテリーやエネルギー回生システムの存在が重量問題をさらに複雑化させている。

    その一方で、FIAとFOMは“オーバーテイク可能なF1”を維持したい考えも強く持っている。ラッセルも、単純に2000年代マシンへ回帰すればいいわけではないと語った。

    F1レギュレーション V型8気筒

    “黄金時代”でもオーバーテイクは少なかった
    ジョージ・ラッセルは、ファンから“F1黄金時代”と語られる2000年代初頭についても冷静な視点を示した。

    「20年前のF1は史上最高のマシンだったと言われているし、僕もあれはF1史上最もクールなマシンだったと思う」

    「でも、2000年代前半はほとんどオーバーテイクがなかった」

    「そこは忘れてはいけないし、次のステップを考える上で重要なことだと思う」

    近年のF1は空力規則変更によって接近戦を増やす方向へ進化してきた。一方で、“音”“軽さ”“シンプルさ”を求める声も根強い。

    2026年F1レギュレーションを巡る混乱が続く中、すでにパドックでは“2030年のF1”を巡る議論が始まっている。ラッセルの発言は、その流れを象徴するものとなった。

  • マックス・フェルスタッペンは“レッドブルF1の中心” メキース代表が移籍説を否定

    マックス・フェルスタッペンは“レッドブルF1の中心” メキース代表が移籍説を否定

    マックス・フェルスタッペンの将来をめぐる憶測が再び強まるなか、レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、フェルスタッペンが今もチームの「プロジェクトの中心」にいると強調した。

    メルセデス、アストンマーティン、さらにはF1離脱の可能性まで取り沙汰されているが、メキースはポール・リカールで開催されたグランプリ・ド・フランス・ヒストリックでAFPの取材に応じ、そうした噂を明確に退けた。

    メキース「マックスはプロジェクトの中心にいる」
    「マックスはプロジェクトの中心にいる」とメキースは語った。

    「彼はあらゆるテーマで我々とともにいる。将来に向けたすべての戦略的決定に関与している。何が起きても、彼は我々とともにいる」

    メキースは、2026年シーズン序盤にフェルスタッペンが不満を抱えていたことも認めた。特に、新たなレギュレーション下でレッドブルが開幕3戦で十分なパフォーマンスを発揮できなかったこと、そして2026年レギュレーションの初期段階における複雑さが背景にあったという。

    「フェルスタッペンは、最初の3つのグランプリでマシンのパフォーマンスが不足していたこと、そして2026年レギュレーションの当初の複雑さに対して、我々と同じようにフラストレーションを抱えていた。彼はそれをはっきり示していた」

    それでもメキースは、状況はすでに改善に向かっていると説明した。

    「我々はちょうど、マックスのレッドブル・レーシング在籍10年を祝ったところだ。チームがこれまで毎年そうしてきたように、彼に速いマシンを与えることができる限り、マックスの笑顔を見ることになる」

    「それ以外はF1ではいつもの雑音の一部であり、良い週末か悪い週末かによって変わるものだ」

    GT活動拡大が生むフォードとの微妙な構図
    フェルスタッペンの将来をめぐる憶測は、F1以外でのGTや耐久レース活動が広がっていることとも重なっている。今週末、フェルスタッペンはレッドブル仕様のメルセデスAMG GT3でニュルブルクリンク24時間レースに初出場する。

    この動きは、レッドブルのF1エンジンパートナーであるフォードにとって、やや微妙な状況を生んでいる。

    フォード・レーシングのトップであるマーク・ラッシュブルックは、スパ6時間レースの場で、フェルスタッペンには本来フォードのマシンで走ってほしいと認めた。

    「もちろん、我々としてはフォードのドライバーにはフォードにとどまってほしい」とラッシュブルックは語った。

    「彼がそうした理由は理解している。我々は彼の情熱も、シムレーシングであれ他の場所であれ、彼の個性も気に入っている」

    「今の彼にとって正しいプログラムだから、それは彼をより良くする。ただもちろん、我々としては彼がフォードに乗るところを見たい」

    ル・マン参戦の可能性も協議
    ラッシュブルックによれば、フォードはすでにフェルスタッペンと将来の耐久レース計画について話し合っており、メーカーがハイパーカークラスに復帰した際のル・マン参戦も選択肢に含まれているという。

    「我々は彼と3年以上にわたって話し合いを続けている」とラッシュブルックは明かした。

    「適切な機会を見つけることが問題なだけで、物事はうまくかみ合う可能性があると思う。彼は意欲的で、興味を持っているように見える」

    「我々としてはぜひ見てみたい。ただ、それが実現するには多くのことが整う必要がある。もちろん、我々にとってもモータースポーツにとっても、非常にエキサイティングなことになるだろう」

    ラッシュブルックはまた、フェルスタッペンが最近フォード・マスタングGTDをテストしたことにも触れた。

    「マックスは信じられないほどのドライバーだ。我々はF1でともに仕事をすることを楽しんでいるし、最近はグラン・サンブークでマスタングGTDをドライブする機会も彼に提供した」

    「我々はすでに彼といくつかのプロジェクトを行っている」

    フェルスタッペンをめぐる状況は、レッドブルにとって単なる契約問題ではなく、2026年以降の競争力、レギュレーション対応、そしてドライバー本人のモータースポーツ活動全体に関わるテーマになっている。メキースが「プロジェクトの中心」と表現した背景には、フェルスタッペンが単なるエースドライバーではなく、レッドブルの将来設計そのものに深く関与しているというチーム側のメッセージがある。

  • メルセデスF1 カナダGPで“0.3秒改善”狙う大型アップデート投入

    メルセデスF1 カナダGPで“0.3秒改善”狙う大型アップデート投入

    メルセデスF1は、2026年F1カナダGPで今季初となる本格的な大型アップデートを投入し、タイトル争いでの優位性をさらに強固にしようとしている。

    キミ・アントネッリが開幕4戦で3勝を挙げ、ジョージ・ラッセルとともにメルセデスをコンストラクターズ選手権首位へ押し上げるなか、チーム代表のトト・ヴォルフは「このアップデートは機能しなければならない」と明言。

    マクラーレンの追い上げが現実味を帯びる中、メルセデスは空力だけでなく、軽量化やスタート性能の改善にも踏み込んだ包括的パッケージで対抗する構えだ。

    メルセデスがカナダGPで投入する“大型進化版W17”
    イタリアメディア『アウトスプリント』によると、メルセデスはモントリオールでシモーネ・レスタ主導によるW17初の大規模空力アップデートを投入する。

    開幕からメルセデスは高い競争力を見せてきたが、マイアミGPではマクラーレンが大幅アップグレードを投入。トト・ヴォルフも「我々のマシンは、おそらくマクラーレンほどアップグレードのレベルに達していなかった」と認めていた。

    そのためカナダGPは、今季の勢力図を左右する重要な転換点になる可能性がある。

    「カナダで大型アップデートが入る。我々はそれが機能するようにしなければならない」

    「紙の上では『そうなればさらに速くなる』と言うのはいつでも簡単だ。しかし、それが実際にレーストラック上でそうならなければならない」

    今回のアップデートでは、フロントウイングから始まる気流制御の見直しが中心になるとされる。

    新しいフロント周辺のフロー構造に合わせて、フロントサスペンションのカーボンカバー形状やフロア設計も再構築される見込みで、風洞ではコンマ3秒前後の改善効果が期待されているという。

    “ブラックホール”だったスタート性能の改善
    メルセデスが今回重視しているのは空力だけではない。

    ヴォルフが「ワールドチャンピオンシップを勝ちたいなら、それは受け入れられない」と語ったように、今季のW17はスタート性能に深刻な課題を抱えている。

    「これは完全にチーム側の責任だ。ドライバーのミスではなく、我々のミスだった」

    「2人のドライバーがともに損をしており、それは受け入れられない。我々はチームとしてこれを制御できるようにしなければならない」

    報道によると、メルセデスのエンジニア陣は“大型ターボ”による影響低減に取り組んでいるという。

    同じPUを使用しながら、マクラーレンはスタート局面でより優れた制御を実現しているとされ、メルセデスは電子制御面の最適化によって改善を狙っている。

    マイアミではアントネッリが勝利したものの、スタートや序盤の加速では依然として不安定さを見せており、タイトル争いを本格化させる上でこの弱点克服は不可欠とみられている。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ F1 カナダグランプリ

    軽量化による“最低重量到達”も重要テーマ
    もうひとつの重要テーマが軽量化だ。

    メルセデスは軽量化されたギアボックスなどを導入し、W17を最低重量へ近づける作業を進めているとされる。

    最低重量に到達できれば、バラストを搭載できるようになり、重量配分の自由度が増す。これはセットアップの幅を広げるだけでなく、マシンバランスの最適化にも大きく寄与する。

    2026年型マシンは新レギュレーションによって電動比率が大きく増え、各チームが重量管理に苦しんでいる。その中でメルセデスは、パフォーマンスだけでなく運動性能面でも一歩先を行こうとしている。

    マクラーレンの接近にメルセデスが警戒感
    マクラーレンCEOのザク・ブラウンも、開発競争がさらに激化すると予告している。

    「もちろん、まだ投入するものはある。ただ残念ながら、他も同じことをしてくる」

    「メルセデスはここでまだアップグレードを持ち込んでいなかった。だから、彼らが何を持ってくるかを見てみよう。我々にもまだ手の内に残しているものがある」

    実際、マイアミではマクラーレンの進化幅がパドック内でも高く評価されていた。

    イタリア紙『ラ・ガゼッタ・デロ・スポルト』は、アントネッリの勝利について「最速のマシンを持たずに勝った」と評し、「この週末はマクラーレンの復活を示すものだった」と分析している。

    レッドブルのマックス・フェルスタッペンも、マイアミで投入した改善版パッケージについて「もちろん違う。僕は40秒遅れでフィニッシュした。スピンだけで40秒にはならない」と語り、依然としてトップ争いには届いていない現状を認めた。

    6月以降のPU規則変更も新たな火種
    さらに6月1日以降は、エンジン規則の運用変更も控えている。

    これまで常温で行われていた圧縮比の検査が、今後はオイル温度130度の状態で実施されるようになる。

    メルセデス陣営は「性能への影響はない」との立場を取っているが、パドック内では今後さらに厳格化される可能性を指摘する声もある。

    2026年F1は、電動と内燃の50対50構成を巡る議論や、エネルギーマネジメント問題、さらには将来的なV8回帰論まで含め、レギュレーションそのものが流動化している。

    その中でメルセデスは、シーズン序盤の優位を一時的なものに終わらせないためにも、カナダGPで“決定的な一手”を打とうとしている。

  • F1“純粋主義者”との距離縮まる? ステファノ・ドメニカリがV8回帰論に言及

    F1“純粋主義者”との距離縮まる? ステファノ・ドメニカリがV8回帰論に言及

    F1のステファノ・ドメニカリCEOが、2026年レギュレーションを巡る“純粋主義者”からの批判に反論する一方で、将来的なV8回帰論にも言及した。

    2026年F1は、50対50のハイブリッド出力配分と大規模なエネルギーマネジメントを軸にした新世代PUレギュレーションを導入。しかし開幕前テストから、「リフト・アンド・コーストが多すぎる」「電動化が行き過ぎている」といった批判が噴出していた。

    “純粋主義者”の批判には反論
    ドメニカリはイタリアのRadio 24で、こうした批判の多くは“誇張されている”との考えを示した。

    「私は1990年代からこのスポーツに関わっている。こういうコメントは昔からずっと見てきたので驚きはなかった」

    「特にグリッド後方のチームが、数年前から全員が理解していたレギュレーションの限界を強調していたことは明白だった」

    近年のF1では、“昔ながらのF1”を求めるファンや関係者から、エンジン音の静かさや省エネ走行の増加、複雑化したPUへの不満が噴出している。こうした層はしばしば“純粋主義者”と呼ばれている。

    ただドメニカリは、現在の方向性はメーカー参戦維持のために不可欠だったと主張した。

    「レギュレーション変更には常に理由がある。好きか嫌いかは別として、このタイプのPUが必要だったからこそ、現在のメーカーがF1世界選手権に参戦している」

    一方でV8回帰論にも含み
    しかしその一方で、ドメニカリは次世代PUについては“より伝統的な方向”へ向かう可能性も認めている。

    「次のサイクルでは、メーカー側の状況も変化している。PUはより伝統的な方向へ戻っていくだろう」

    「マシンはより軽くなり、持続可能燃料を使う形になる」

    現在FIA内部では、将来的なV8エンジン復活や、ICE(内燃機関)比率を高める方向性が議論されている。

    これは、大音量エンジンや軽量マシン、よりシンプルなPU、そして“全開”で戦うF1を望む純粋主義者の考え方とも重なる部分が多い。

    つまりドメニカリは、「2026年の方向性は必要だった」と擁護しながらも、「将来的にはより伝統的なF1へ戻る可能性」にも言及した形だ。

    V型8気筒 F1レギュレーション

    “リフト・アンド・コーストは昔からあった”
    2026年序盤に最も議論を呼んだのが、エネルギー節約のためのリフト・アンド・コーストだった。

    しかしドメニカリは、それを“現代F1だけの問題”として扱う風潮にも異論を唱えた。

    「1980年代にもリフト・アンド・コーストは存在していた。それを忘れてはいけない」

    さらに、マイアミGP以降は“技術的議論”そのものが落ち着き始めているとも主張した。

    「最初の3戦、特にマイアミ以降では、純粋主義者向けの技術的議論はすでに消えつつある」

    「我々は来年に向けて対策を講じているし、批判を最小化するための措置も取っている」

    “陰謀論”も否定
    ドメニカリは、2026年レギュレーションが特定メーカーに有利になるよう政治的に作られたという一部の見方についても否定した。

    「私はこのレギュレーションを書いていないし、リバティ・メディアが押し付けたわけでもない」

    「これは数年前にFIAとメーカーの間で合意されたものだ」

    「巨大な陰謀の結果のように語るのは子供じみている。誰の陰謀だ? 何のために?」

    F1人気拡大を強調
    ドメニカリは最後に、現在のF1人気そのものが“失敗論”への反論だと強調した。

    「今のF1は史上最大の人気を誇っている」

    「若者や女性のファン層もかつてないほど拡大している」

    その上で、現在の成功は2026年規則以前から築かれていたとも語っている。

    「これは新しい技術規則のおかげではない。フェルスタッペンのレッドブルが支配していた旧規則時代から、すでにその流れは確立されていた」

  • 佐藤琢磨 インディ500プラクティス初日「納得いかないことが多かった」

    佐藤琢磨 インディ500プラクティス初日「納得いかないことが多かった」

    佐藤琢磨は、インディ500プラクティス初日を14番手で終えた一方で、走行内容については満足していない様子を見せた。

    レイホール・レターマン・ラニガンのNo.75 ホンダをドライブした佐藤琢磨は、初日のセッションで223.426mphを記録。しかし、セッション中にはメカニカルトラブルにも見舞われ、予定していたテストプログラムを十分に消化できなかったことを明かした。

    「インディ500プラクティス1日目が終わりました。ちょっと今日は、いくつかメカニカルトラブルが出てしまい、やりたかったテストを少なくとも2回中断しなければいけなかったので、思ったよりもスムーズにはいかなかったです」と佐藤琢磨は振り返った。

    さらに、4月末のオープンテスト時よりも大きく上昇した気温が、マシンバランスにも影響を与えたと説明した。

    「気温もオープンテストからぐっと上がって、本当にインディ500らしい暑い日だったんですけど、それによってコンディションがだいぶオープンテストと違ったせいか、車の動きも走り始めの時は良かったかなと思ったんですけど、走りが進むにつれてちょっと納得いかないことが多くなっていきました」

    その後はトラブルが重なったことで、セットアップ変更の効果も十分に確認できなかったという。

    「そこにトラブルが重なって、やりたかったことをいくつか入れたんだけど、それもよくわからない状態になってしまいました」

    セッション終盤には集団走行も試したが、理想的なフィーリングには届かなかった。

    「最後は隊列の中で集団走行したんですけど、全く良くなかったです」

    それでも佐藤琢磨は、初日の課題を冷静に受け止めており、2日目へ向けて立て直しを図る考えを示した。

    「今夜はしっかりとデータを見て、もう一回リセットして、本来今日やるべきだったことをしっかり比較テストしながら進めたいと思います」

    Source: @TakumaSato_Info (X)

  • アントネッリ メルセデスF1で10年ぶり“開幕4戦100点” 王者級スタート

    アントネッリ メルセデスF1で10年ぶり“開幕4戦100点” 王者級スタート

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、2026年F1第4戦終了時点で100ポイントを獲得し、ここ10年で最も強力なシーズン序盤を記録したドライバーとなった。

    19歳のアントネッリは日本GPで今季2勝目を挙げたことで史上最年少の選手権リーダーとなり、続くマイアミGPでも勝利。これにより、自身最初の3回のポールポジションをすべて勝利につなげた史上初のドライバーとなった。

    F1公式サイトは、この100ポイント到達が2016年のニコ・ロズベルグ以来の記録であると特集している。

    ロズベルグ以来となる“開幕4戦100点”
    アントネッリは今季ここまで3勝を記録。さらに開幕戦オーストラリアGPで2位、中国とマイアミのスプリントでそれぞれ5位と6位に入ったことで、合計100ポイントに到達した。

    これは2016年のニコ・ロズベルグ以来となる数字だった。

    当時のロズベルグは、ルイス・ハミルトンとのタイトル争いに敗れ続けた状況から強烈なスタートを切り、オーストラリア、バーレーン、中国、ロシアで4連勝。開幕4戦で100ポイントを獲得していた。

    その勢いは第5戦スペインGPで止まることになる。ハミルトンとの有名な同士討ちにより両者リタイアとなり、そのレースでは18歳のマックス・フェルスタッペンがF1初優勝を飾った。

    一方、アントネッリも上海で初優勝を記録した際、フェルスタッペンの“史上最年少優勝記録”更新には届かず、史上2番目の若さでの優勝となっている。

    ただし、もし今後の流れまでロズベルグの2016年シーズンと重なるならば、アントネッリは史上最年少F1ワールドチャンピオン誕生という歴史的瞬間に近づくことになる。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    ハミルトンの“王者パターン”とも一致
    アントネッリの序盤戦の成績は、2021年のルイス・ハミルトンとも一致している。

    ハミルトンは2021年、開幕バーレーンGPで勝利を挙げた後、イモラでマックス・フェルスタッペンに敗れて2位。しかしその後、ポルトガルとスペインで再び勝利を記録した。

    つまり、開幕4戦で「3勝+1回2位」という並びが、現在のアントネッリと完全に一致している。

    ただし、2021年当時にはスプリント制度が存在しておらず、ハミルトンのポイントは94点。スプリント込みの現行制度により、アントネッリはそれを上回る数字を記録している。

    しかし2021年のハミルトンは、最終的に8勝を挙げながらも、アブダビGP最終戦でフェルスタッペンにタイトルを奪われた。

    つまり、ハミルトン型の流れをなぞった場合、アントネッリが王座に届かない可能性も存在する。

    ベッテルや過去王者たちとも重なる序盤戦
    さらにF1公式サイトは、2015年のハミルトン、2011年のセバスチャン・ベッテルとも比較している。

    2015年のハミルトンは開幕4戦で3勝+1回2位を記録し、93ポイントを獲得。その年は最終的に10勝を挙げてタイトルを獲得した。

    また2011年のベッテルも、オーストラリア、マレーシア、トルコで勝利し、中国GPで2位となる“3勝+1回2位”の流れを記録。最終的には11勝で自身2度目のワールドチャンピオンに輝いている。

    つまり、アントネッリが今季ここまで見せているスタートは、過去10年以上のF1において“王者級シーズン”と重なるケースが極めて多い。

    メルセデスF1の新時代を象徴する存在へ
    2026年F1シーズンは、新世代パワーユニット時代への移行とともに勢力図が大きく変化している。

    その中で、19歳のアントネッリが開幕4戦で100ポイントという数字を叩き出した事実は、単なる“ルーキー旋風”では片付けられない。

    しかも、その比較対象として並ぶ名前はニコ・ロズベルグ、ルイス・ハミルトン、セバスチャン・ベッテル、そしてマックス・フェルスタッペンといった歴代王者ばかりだ。

    F1公式サイトが特集を組んだ背景には、“次の時代の王者”が本当に誕生しつつあるという空気感があるのかもしれない。

  • フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1の2027年飛躍を確信「疑いはない」

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1の2027年飛躍を確信「疑いはない」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、ホンダとの新体制で苦戦が続く2026年F1シーズンについて、現在が「一年で最も厳しい時期」だと認めながらも、2027年にはチームがより強い状態になると断言した。

    アストンマーティンとホンダのパッケージは開幕から速さと信頼性の両面で課題を抱え、今月初めのマイアミGPで初めて2台完走を果たしたものの、ポイント圏内には届かなかった。

    アロンソが断言した2027年への確信
    来年のマシンがより競争力を持つと予想しているかと問われたアロンソは、RacingNews365を含むメディアに対して明確に答えた。

    「100%だ。疑いはない」

    「そうでなければ、僕たちは後退することになる」

    アストンマーティンは2026年の現実的な目標を再設定している段階にあるが、アロンソは現在の苦戦をプロジェクト初年度特有の痛みとして捉えている。

    「僕たちは厳しい瞬間、厳しい状況にいる。一年で最も厳しい部分だ」

    「今シーズンを通じて、改善が入ってきて、いくつかの問題を修正できれば、僕たちはどんどん良くなっていくと確信している」

    「パワーユニットも含めて、そういったすべてのことだ」

    「来年、2年目になれば、このプロジェクトは1年目よりも準備が整ったものになる。そこに疑いはない」

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    初年度の混乱をどう乗り越えるか
    アストンマーティンは、2026年からホンダと組む新体制に移行したが、開幕から信頼性不足とパフォーマンス不足が重なり、完走そのものが課題となるレースも続いた。

    マイアミGPで2台完走を果たしたことは小さな前進だった一方、まだポイント争いには届いておらず、チームにとっては速さよりもまず基礎的な安定性を取り戻す段階にある。

    アロンソの発言は、今季を諦めるものではなく、2026年を「修正と学習の年」と位置づけたうえで、2027年に向けた立て直しを強調するものだ。

    ホンダとの2年目が真価を問うシーズンに
    アロンソが「2年目」を強調した意味は大きい。新しいパワーユニット、新しい車体コンセプト、新しい運用体制は、初年度から完成形に到達することは難しい。

    それでも、アロンソは改善の余地が明確にあるからこそ、2027年にはプロジェクトがより整った状態になると見ている。現在の苦戦は結果だけを見れば厳しいが、チームが問題を特定し、改善を積み重ねられるかどうかが今後の焦点となる。

    アストンマーティンとホンダにとって、2026年は期待外れのスタートとなった。しかしアロンソの言葉は、チーム内部がまだこのプロジェクトの将来性を失っていないことを示している。