投稿者: dbcheck

  • ヘルムート・マルコ 2026年F1規則を酷評「ライブタイミングは意味がない」

    ヘルムート・マルコ 2026年F1規則を酷評「ライブタイミングは意味がない」

    ヘルムート・マルコは、2026年F1レギュレーションの複雑化によって、レース観戦時に使用していた“セカンドスクリーン”を諦めたと明かした。

    レッドブルF1の元アドバイザーであるマルコは、電動比率が大幅に高まった2026年規則を以前から強く批判してきたひとりだ。特にエネルギーマネジメントやバッテリー運用の重要性が増したことで、レース展開が外部から極めて分かりづらくなっていると指摘している。

    「誰がフルバッテリーなのか分からない」
    オランダ紙『De Telegraaf』の取材に応じたヘルムート・マルコは、現在のF1中継ではライブタイミングを見ても状況を把握しづらいと不満を口にした。

    「最初は2画面で見ていたが、今はテレビ1台だけで見ている」とマルコは語った。

    「タイム表示用の2画面目にはあまり意味がなかった。誰がフルバッテリーで、誰がそうでないのか分からないからだ」

    現在のF1では、電力デプロイメントや回生状況によってラップタイムの意味合いが大きく変化する。しかし、その重要情報が視聴者に十分共有されていないことが、観戦体験を難解にしているというのがマルコの主張だ。

    「F1はもはや昔のF1ではなくなってしまった」

    2027年規則変更と“V8回帰”への期待
    マルコは、将来的なエンジン簡素化によってF1本来の姿が戻ることを期待している。

    「V8エンジンが早く戻ってくることを願っている」

    F1ではすでに2027年に向けたレギュレーション調整が議論されており、現行の“50対50”電動比率から、内燃機関寄りの“60対40”へシフトする案が浮上している。

    2026年規則は、環境性能と技術革新を重視した結果としてエネルギーマネジメント主体のレースになったが、その一方で「分かりやすさ」を犠牲にしているという批判は少なくない。マルコの発言は、長年F1を見てきた関係者でさえ現在のレースを直感的に理解しづらくなっている現状を象徴している。

    マックス・フェルスタッペンへの絶対的評価
    一方でマルコは、苦戦が続くレッドブルについても、マックス・フェルスタッペンの能力だけは依然として別格だと強調した。

    「レッドブルは他のトップチームに遅れを取っている。それでもマックスは再びマイアミでフロントローにマシンを並べた」

    「適切なマシンさえあれば、彼は誰にもできない何かを持ち込める」

    さらにマルコは、満員となったニュルブルクリンク24時間レースでのフェルスタッペンの走りにも言及。別媒体『f1-insider.com』では、次のように最大級の賛辞を送っている。

    「マックスは史上最高のレーシングドライバーかもしれない」

    「彼はノルドシュライフェでもそれを改めて証明した。あのパフォーマンスは彼の評価をさらに高めるものだった」

  • ウィリアムズF1 カナダGPでリザーブ交代 ビクター・マルタンスが帯同

    ウィリアムズF1 カナダGPでリザーブ交代 ビクター・マルタンスが帯同

    ウィリアムズは今週末の2026年F1カナダGPを前に、リザーブドライバー体制を変更した。

    ルーク・ブラウニングが日本で開催されるスーパーフォーミュラ第4戦に参戦するため、カナダGPではビクター・マルタンスがリザーブドライバーを務める。

    ビクター・マルタンスが約1年ぶりにF1週末の現場へ
    24歳のフランス人ドライバーであるビクター・マルタンスは、今季ウィリアムズでテスト&開発ドライバーを務めている。今回の短期的な役割変更により、サーキット現場での業務に復帰するのは約1年ぶりとなる。

    ウィリアムズの広報担当者は、今回の変更について次のように説明した。

    「ビクターは2025年初めにアトラシアン・ウィリアムズF1チーム・ドライバー・アカデミーの一員としてチームに加わり、2026年にはテスト&開発ドライバーの役割に昇格した」

    「彼はファクトリーでアレックス・アルボンとカルロス・サインツと密接に作業し、レース週末にはマシン開発とセットアップの改善に貢献してきた」

    「ビクターが現場での役割を担うのは、チームで2025年F1スペインGPのFP1を走行して以来初めてとなる」

    ビクター・マルタンスにとって今回のカナダGPは、単なる代役起用ではなく、ファクトリーで積み重ねてきた開発作業をグランプリ週末の現場に接続する機会となる。ウィリアムズにとっても、ブラウニング不在の週末に備えた実務的な体制変更となった。

  • マクラーレンF1 “マカレナウイング”投入へ カナダGPでメルセデスと全面対決

    マクラーレンF1 “マカレナウイング”投入へ カナダGPでメルセデスと全面対決

    マクラーレンは今週末の2026年F1カナダGPで、MCL40に大規模なアップグレードパッケージを投入することを明らかにした。舞台となるジル・ヴィルヌーヴ・サーキットでは、メルセデスも今季初の本格アップデートを投入する予定となっており、タイトル争いを左右する重要な週末になる可能性が高まっている。

    マクラーレンはマイアミGPですでに7種類のアップデートを導入していたが、アンドレア・ステラ代表が事前に説明していた通り、開発計画は“2段階構成”となっていた。

    カナダではフロア、シャシー、フロントウイング、リアウイング、ボディワーク、ヘイロー、ロールフープに至るまで新コンポーネントが投入される予定だ。

    「シーズン開幕時に説明した通り、マイアミはMCL40にパフォーマンスを加える最初の大きなステップだった」とマクラーレンは説明した。

    「その流れは今週末のモントリオールでも継続される。フロア、シャシー、フロントウイング、リアウイング、ボディワーク、ヘイロー、ロールフープに新コンポーネントを投入する」

    今回のパッケージで最も注目されているのが、新型リアウイングだ。パドックでは、これがフェラーリSF-26で話題となった“マカレナウイング”コンセプトをマクラーレン流に解釈したものだと見られている。

    2026年型フェラーリSF-26は、これまで保守的と見られてきたフェラーリのイメージを覆す空力コンセプトを採用しており、その中でも最大の注目を集めているのが、フラップ可動構造を持つ独特なリアウイングだった。

    この“マカレナウイング”は、バーレーンテスト以来ライバル勢の関心を集めており、レッドブルはすでにマイアミGPで独自解釈版をRB22に投入している。

    一方のマクラーレンは、マイアミでは主にサイドポンツーン、アンダーボディ、フロントウイングの開発を優先し、リアウイングについては大幅な変更を加えていなかった。しかし、モントリオール投入予定の“第2弾”パッケージの中心が、このフェラーリ風リアウイングになるとの噂がパドック内で急速に広がっている。

    アンドレア・ステラ率いるマクラーレンは、ここ2か月にわたってこの空力コンセプトの可能性を詳細に分析してきたとされ、MCL40に実際のメリットをもたらすとの結論に達したという。

    ただし、このリアウイングは従来型とは異なる支点構造を持つため、製造工程は非常に複雑だったとされる。カナダへ輸送するため、2台分に加えてスペアパーツも含めた生産は急ピッチで進められたという。

    しかし、現時点で実戦投入が最終決定されたわけではない。最大の障害となっているのは、カナダGPがスプリント形式で開催される点だ。

    マクラーレン F1 カナダグランプリ

    スプリント週末では、実質的に新パーツを十分検証できる時間は金曜フリー走行1回しか存在しない。これは新コンポーネント導入には大きなリスクとなる。

    もっとも、マイアミも同じスプリントフォーマットだったにもかかわらず、フェラーリ、レッドブル、そしてマクラーレン自身も大規模アップデートを投入していたことを考えれば、今回も投入に踏み切る可能性は十分にある。

    マクラーレンにとって重要なのは、このアップグレードがメルセデスとの差を縮められるかどうかだ。ステラ代表はマイアミ後、「メルセデスは1周あたりコンマ2秒ほど優位だった」と認めていた。

    実際、マイアミではランド・ノリスとオスカー・ピアストリがスプリントでワンツーを達成し、決勝でもダブル表彰台を獲得したものの、優勝したのはメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリだった。

    そしてメルセデスは、フェラーリやレッドブル、マクラーレンとは異なり、マイアミ投入を見送り、カナダGPに今季最初の大型アップグレードを集中投入する戦略を取っている。

    マクラーレンは現在コンストラクターズランキング3位。首位メルセデスとの差は86ポイント、2位フェラーリとの差は16ポイントとなっている。

    「マイアミでは接戦だったが、チームはスプリントでワンツー、決勝でもダブル表彰台を獲得した」とマクラーレンは語った。

    「2週間のインターバルを経てチームはリフレッシュしており、この勢いを次の北米ラウンドへ持ち込みたいと考えている」

    カナダGPでは、メルセデスの大型アップデートと、マクラーレンの“マカレナウイング”導入が真正面からぶつかる可能性がある。2026年F1タイトル争いの流れを変える週末になるかもしれない。

  • ランス・ストロール アストンマーティンF1の苦境に信念「勝てる要素は揃っている」

    ランス・ストロール アストンマーティンF1の苦境に信念「勝てる要素は揃っている」

    ランス・ストロール(アストンマーティン)は、チームが厳しい時期を迎えているなかでも、アストンマーティン・アラムコのプロジェクトに対する信念は揺らいでいないと語った。

    F1で約200戦を重ねてきたストロールは、結果が出ない時期こそ信念が問われると強調。新施設、CoreWeave AIRトンネル、シミュレーター、そしてエイドリアン・ニューウェイの加入を含む体制強化を背景に、チームの将来には「非常に明るい」可能性があると述べている。

    困難な時期に問われる信念
    現在のチーム状況について、ストロールはAMRテクノロジー・キャンパスに集まる人材と新設備に大きなポテンシャルがあると語った。

    「AMRテクノロジー・キャンパスには信じられないほど才能のある人たちがいるし、新しいCoreWeave AIRトンネルやシミュレーターのようなツールには大きなポテンシャルがある」

    「僕たちには勝てるチームになるための要素がすべて揃っている。あとはそのポテンシャルを引き出すだけだ」

    「今は難しい時期を経験しているけれど、僕はこのプロジェクトを強く信じている。未来はとても明るいし、この厳しい時期を乗り越えて、僕たちが進んでいる旅の一部でありたい」

    ストロールは、こうした時期は信念を強めると同時に試すものでもあると語る。

    「難しい瞬間は常に人を試す。でも同時に、自分たちが築いているものを本当に信じている人が誰なのかも示してくれる」

    「結果が出ていて、すべてが良いと感じられるときに信じるのは簡単だ。本当のチャレンジは、物事が難しくなり、一緒に問題に取り組まなければならないときに、コミットし続けることだ」

    「それがトップF1チームを築くことの一部だ。今築いている基盤は、将来とても特別なものにつながると本気で信じている」

    経験がもたらした冷静さと視点
    F1での年月を通じて学んだことについて、ストロールはドライビングだけでなく、マシン、チーム、そして自分自身への理解が深まってきたと語った。

    「たくさんある。いろいろなドライビングの戦術、マシンセットアップに関すること、変化するコンディションへの対応、各サーキットでラップタイムを稼ぐためのコツだ」

    「F1で長い時間を過ごすほど、このスポーツの多くが自信とフィーリングに関わっていることに気づく。それは常に続くチャレンジのひとつだ。毎シーズンが違うからだ。常に学び、適応し、マシンや周囲のチームと一緒に進化しようとしている」

    「フィジカル面でもそうだ。レース週末に自分がベストでいるために何が必要か、シーズンを精神的にも肉体的にもどう管理するかを理解する。そういうことはすべて、時間とともに向上していく」

    精神面で難しい時期をどう乗り越えるかについて、ストロールは冷静さと視野の広さが重要だと語った。

    「地に足をつけて、視野を保たなければならない。F1では物事がとても速く動く。数カ月で状況が完全に変わることもある。だから、良い時も悪い時も感情的になりすぎると、本当に大事なことに集中し続けるのが難しくなる」

    「ドライバーとして、僕たちはみんな先頭で戦いたい。厳しい時期を過ごしているときは、もちろんフラストレーションがある。チームの全員が信じられないほど懸命に働いていて、もっと多くを望んでいるからだ。でも、そうした瞬間も何かを築く一部だ」

    「働き続け、自分たちがどこを改善しなければならないかに正直であり続け、すぐに結果が出なくてもプロセスを信じなければならない」

    ランス・ストロール アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    20年以上かけて築いてきたドライビングへの情熱
    ストロールにとって、ドライビングは単なる仕事ではない。シーズン中の休みであっても、彼はコックピットから長く離れることは少ない。

    最近、アストンマーティン・ヴァンテージGT3やF3マシンを走らせた理由について、ストロールは純粋なドライビングへの情熱を語った。

    「僕は人生を通じてクルマとレースに情熱を持ってきた。いろいろなクルマや、いろいろなモータースポーツのカテゴリーをドライブするのが好きだ。これは20年以上かけて築いてきた技術だ」

    「異なるクルマが何をするのかを感じることは、ドライバーとして素晴らしい練習になる。レース感覚を鋭く保てるし、何を学べるか分からない」

    「特にF3マシンは、僕がずっとドライブするのを好きだったクルマだ。2016年にその選手権で勝ったし、そこにはたくさんの良い思い出がある。僕のドライビングスタイルに合っていたし、いつも笑顔にしてくれるクルマのひとつだ」

    「トラックデイやラリードライビングのような機会があるときは、いつも楽しんでいる。僕にとってはステアリングホイールの後ろにいて、運転することが大事なんだ。それが僕のやりたいことすべてだ」

    若手との共有と理想のレーシングカー
    ポール・リカールでのGT3走行では、アストンマーティン・アラムコ・ドライバーアカデミーのマリ・ボヤ、ロベルト・メリとともに走行した。

    「マリを誘った一番大きな理由は、自分が気の合う人たちとその経験を楽しみたかったからだ。そして、彼が速いことも知っている」

    「僕たちは良い関係を築いているし、以前にも一緒にトラックデイをしたことがある」

    「ポール・リカールでマリと僕と一緒に走ったロベルト・メリとは何年も前から知り合いで、日本GPの週末に夕食をしていたときにそのアイデアが出た」

    「マリはすでにアストンマーティン・アラムコ・ドライバーアカデミーの一員で、良い人間だし、一緒に多くの時間を過ごしてきた。だから自然にそうなった」

    若手を助ける責任について問われると、ストロールはボヤの速さを認めた。

    「彼にはあまり指導は必要なかった! マリはものすごく速かった」

    「僕は耐久レースを経験しているので、トラフィックマネジメントのようなことについていくつかアドバイスした。でも、ドライバーがF3やF2のレベルに到達すれば、基本はすでに備わっている」

    理想のレーシングカーについて、ストロールは低速域でのメカニカルグリップ、高速域での空力グリップ、軽さ、鋭い方向転換、反応の良いフロントエンドを挙げた。

    「重いブレーキングゾーンや複合的な進入コーナーでは、しっかりしたリアも欲しい。僕はノーズに従って動くクルマが好きだ」

    「例を挙げるなら、セバスチャン・ベッテルがチャンピオンを獲得した時代のエイドリアン・ニューウェイ設計の多くのマシンは、完璧に近かった」

    「だから、僕たちにはその仕事にふさわしい人物がいる」

    ストロールの見方は明確だ。困難な時期は一時的なものだが、アストンマーティンの野心は変わらない。チームの物語はまだ書かれている途中であり、その中心に自分もいたいと考えている。

  • メルセデスF1 アントネッリの“ニュル挑戦”を制止「4回王者になってからだ」

    メルセデスF1 アントネッリの“ニュル挑戦”を制止「4回王者になってからだ」

    メルセデスは、2026年F1で圧倒的な強さを見せるアンドレア・キミ・アントネッリに対し、ニュルブルクリンク北コースへの挑戦を認めない方針を明確にした。

    マックス・フェルスタッペンがニュルブルクリンク24時間レースでGT3マシンを駆り話題を集める中、19歳のアントネッリも将来的な参戦に意欲を示していたが、メルセデス首脳陣はその“夢”に急ブレーキをかけている。

    アンドレア・キミ・アントネッリは最近、年内に「DMSBノルドシュライフェ・パーミット」を取得したいと語っていた。これは、ニュルブルクリンク北コースで開催される耐久レースへの参加資格を意味する。

    だが、メルセデス副代表のブラッドリー・ロードは、その可能性を一蹴した。

    「4回タイトルを獲ってからだ」 メルセデスの本音
    ロードは、アントネッリが今季ノルドシュライフェを走る可能性について問われると、即座に否定した。

    「ノーだ。彼とはその件について話した。我々としては、彼は半分冗談で言ったのだと思っている」

    さらにロードは、フェルスタッペンを引き合いに出しながらこう続けた。

    「4回ワールドチャンピオンを獲ってから挑戦すればいい」

    これはもちろん、すでに4度のF1王者となっているフェルスタッペンへの言及だ。GT3マシンで“グリーンヘル”を攻める危険な挑戦も、実績を積み重ねた今だからこそ許されるという意味合いが強い。

    ロードはさらに、フェルスタッペンには「経験による引き出しの多さ」があるとも語った。

    メルセデスにとって現在のアントネッリは、単なる才能ある若手ではない。タイトル争いの中心にいる“最重要資産”だ。

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    メルセデスが恐れる“無駄なリスク”
    アントネッリは2026年シーズン、開幕から異例の快進撃を続けている。

    F1史上初となる「最初の3回のポールポジションをすべて優勝につなげたドライバー」となり、現在はチームメイトのジョージ・ラッセルに20ポイント差をつけてランキング首位に立っている。

    メルセデスも開幕から無敗を維持しており、コンストラクターズランキングでは180ポイントを獲得。フェラーリに70ポイント差を築いている。

    そんな状況で、チームが最も避けたいのは、選手権をリードする若きエースがニュルブルクリンクのガードレールに突き刺さるような事態だ。

    ノルドシュライフェは“グリーンヘル”の異名を持つ世界屈指の難コースとして知られ、GTカーによるクラッシュも日常的に発生する。

    フェルスタッペンとの差が示すF1チームの現実
    今回のやり取りは、フェルスタッペンとアントネッリの立場の違いも浮き彫りにしている。

    フェルスタッペンはすでにF1で数々のタイトルを獲得し、自身のブランド「フェルスタッペン・レーシング」でもGT活動を積極展開している。一方のアントネッリは、まだキャリア序盤にいる19歳の若手だ。

    F1チームにとって、現代のトップドライバーは単なるレーサーではなく、数百億円規模の投資対象でもある。

    特に2026年のメルセデスは圧倒的な競争力を持っており、チームとしては“余計なリスク”を負わせる理由がない。

    そのため、アントネッリのニュルブルクリンク挑戦は、少なくとも今すぐ実現する可能性は低そうだ。

    メルセデスにとって優先事項はただ一つ――まずはF1ワールドチャンピオンを獲得することである。

  • F1がレッドブルに“2チーム体制見直し”要求 レーシングブルズ売却構想を模索

    F1がレッドブルに“2チーム体制見直し”要求 レーシングブルズ売却構想を模索

    クリスチャン・ホーナーの去就問題やBYD参戦観測が浮上する中、F1パドックでは今度はレッドブルの“2チーム体制”そのものにメスを入れる動きが加速している。

    マクラーレンCEOのザク・ブラウンがFIAに対してマルチチームオーナーシップ禁止を要求したことで、レーシングブルズ売却問題は単なる政治論争ではなく、F1全体の構造改革へと発展しつつある。

    F1首脳陣は“レッドブルが受け入れられる売却案”を模索
    レッドブルは2005年にジャガーを買収して現在のレッドブル・レーシングを設立し、翌2006年にはミナルディを買収してトロロッソを発足させた。現在のレーシングブルズは、その流れを汲む存在だ。

    しかし、同一企業による2チーム保有は長年にわたり論争の対象となってきた。特に近年は、ドライバー昇格や人材異動、さらにはレース中の戦略的協力まで含め、「事実上のBチーム」として機能しているとの批判が強まっている。

    その中心にいるのがザク・ブラウンだ。

    ブラウンは最近、FIAに対してマルチチームオーナーシップ禁止を求める書簡を送付。背景には、ローラン・メキースがガーデニング休暇なしでレッドブル代表へ昇格した件や、2026年F1マイアミGPでリアム・ローソンがマックス・フェルスタッペンを先行させた場面などへの不満があるとされる。

    豪Auto Actionによると、現在F1首脳陣は「レッドブル側が受け入れ可能な解決策」を模索しており、その一環としてレーシングブルズ売却プランが検討されているという。

    “売却後もレッドブル傘下同然”という特殊条件
    ただし、仮に売却が実現するとしても、通常のチーム売却とは大きく異なる条件が課される可能性が高い。

    報道によれば、将来的な買収企業には以下のような条件が求められる見通しだ。

    ■ レッドブル・パワートレインズ製PUを継続使用
    ■ レッドブルとの技術提携維持
    ■ 少なくとも1人はレッドブル育成ドライバーを起用
    ■ ミルトンキーンズとの密接な協力関係を維持

    つまり、名目上は売却されても、実態としては“準レッドブル体制”を維持する構想になっている。

    さらに、レーシングブルズの評価額は最低15億ポンド(約3000億円規模)とも言われており、この条件面も含めて「買い手探しは容易ではない」と見られている。

    レッドブル側も現時点では売却に消極的だ。

    同社は「ミナルディはレッドブルが買収しなければF1から消滅していた」と主張しており、長年にわたり2チーム体制を維持するために莫大な投資を続けてきたことを強調している。

    レッドブル・レーシングとレーシングブルズ(ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム

    BYDや吉利汽車が“12番目のチーム”ではなく買収を選ぶ可能性
    一方で、この構想が現実味を帯びる理由として、中国メーカー勢の存在がある。

    BYDや吉利汽車(Geely)は近年F1参入への関心が噂されているが、新規12番目チームとしてゼロから参入するよりも、既存チームを取得する方が現実的との見方が強い。

    特に今回のレーシングブルズ売却案では、PU開発を即座に求められない点が大きい。両社とも当初から独自F1エンジンを開発する計画はないと見られており、レッドブル・パワートレインズを使用できる条件は参入障壁を大幅に下げる。

    その意味では、今回浮上した“特殊条件付き売却”は、F1側にとってはマルチチーム問題の解消策であり、同時に中国メーカーをF1へ呼び込む入口にもなり得る。

    ただし、その結果として誕生するのは、独立系チームなのか、それとも“名前だけ変わった第三のレッドブル”なのか――。パドック内でも見方は大きく分かれている。

  • クリスチャン・ホーナーの新F1チーム構想 BYD計画にFOMが慎重な理由

    クリスチャン・ホーナーの新F1チーム構想 BYD計画にFOMが慎重な理由

    クリスチャン・ホーナーと中国EV大手BYDの接触が明らかになったことで、F1パドックでは「12番目のチーム」誕生への期待が再び高まり始めている。しかし、その構想は話題性や資金力だけで実現できるほど単純なものではない。

    ホーナーはレッドブルF1離脱後、F1復帰に向けた複数の選択肢を模索しているとされるが、BYDとの新規チーム構想はその中でも最も野心的なシナリオだ。ただし、現在のF1には、新規参入を歓迎する空気と同時に、“これ以上チームを簡単には増やせない”という現実も存在している。

    FIAは前向きでもFOMは慎重姿勢
    BYDは現在、F1参入について検討を進めているとされ、ホーナーは同社副社長のステラ・リーと複数回にわたって会談を行ったと伝えられている。

    FIA会長モハメド・ビン・スライエムは以前から、中国メーカーによるF1参入に前向きな考えを示してきた。

    「中国からチームが来るとしよう。FOMが承認すれば、私は100%承認すると考えている。中国が加われば、より多くの収益を生むのではないか。私はそう思う」

    FIAにとって、中国メーカー参入は商業面でも大きな意味を持つ。世界最大級の自動車市場を抱える中国は、F1にとって依然として重要な成長領域であり、BYDのような巨大メーカーが加わる意義は小さくない。

    一方で、FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)の姿勢はより慎重だ。

    F1グループCEOのステファノ・ドメニカリは、新規チームについて「極めて重要な意味を持つ申請だけを評価する」と明言している。

    現在のF1は24戦体制へ拡大し、輸送やパドック運営はすでに限界に近づいている。単純にチーム数を増やせば済む段階ではなくなっているのが実情だ。

    既存10チームが警戒する“収益分配”問題
    新規参入が簡単ではない最大の理由は、既存チームの商業的利益に直結するからだ。

    F1の賞金や商業収益は現在の参戦チーム間で分配されているため、新たなチームが加われば、各チームが受け取る取り分は減少する。

    特に近年は、F1チームそのものの企業価値が急騰している。かつては経営難に苦しんでいたチームが、現在では数十億ドル規模の資産として扱われるようになり、既存チーム側は“価値希薄化”を強く警戒している。

    ドメニカリも以前、「投資家は新規参入より既存チーム買収に関心を示している」と語っていた。

    その流れの中で注目されているのが、アルピーヌF1チームの株式を保有するオトロ・キャピタルの持ち分問題だ。

    ホーナー自身もこの案件に関連して名前が挙がっており、メルセデスも関心を示しているとされる。既存チームへの関与であれば、新規参入ほど強い反発を受けにくいからだ。

    BYDが持つ“中国市場”という最大の武器
    BYD側も、F1を単なる広告媒体としてではなく、ブランド価値と技術力を示す場として捉えている。

    副社長のステラ・リーは、F1への関心について次のように語っている。

    「F1が好きなのは、情熱と文化があり、人々がF1にいることを夢見るからだ」

    さらにリーは、F1参入について「議論している」と認めたうえで、自社技術を試す場としても魅力を感じていることを明かしている。

    BYDは現在、EVと新エネルギー車分野で急成長を続けており、中国を代表する巨大メーカーへと成長している。高性能ブランド「仰望(ヤンワン)」では、量産車の最高速記録やニュルブルクリンクでのEVスポーツカー記録も打ち立てている。

    F1側にとって重要なのは、単に資金を持つ企業かどうかではない。

    ■ 新たな市場を開拓できるか
    ■ グローバルブランドとしてF1価値を押し上げられるか
    ■ 技術面でF1と結びつけられるか
    ■ 長期的に継続参戦できるか

    こうした“付加価値”が問われている。

    その意味で、中国市場、EV技術、巨大資本を持つBYDは、FIAとFOMにとって無視しにくい候補であることも事実だ。

    ホーナーが求めるのは“チーム代表”以上の役割
    ホーナーにとっても、BYD構想には大きな意味がある。

    レッドブルF1を黄金時代へ導いたホーナーは、単なるチーム代表ではなく、所有権や株式を伴う形での復帰を望んでいるとされる。

    既存チームへ雇われる立場ではなく、新たなプロジェクトを立ち上げ、自ら経営面にも関与する。その条件に最も近いのが、BYDとの新規参入構想というわけだ。

    もちろん、現時点では正式なFIA新規参入プロセスは存在していない。さらに、既存チーム側の抵抗、FOMの慎重姿勢、物流問題など、越えなければならない壁は多い。

    それでも、F1が今後さらにグローバル市場拡大を目指す中で、中国メーカーとホーナーという組み合わせは、単なる噂話で片付けられないだけの説得力を持ち始めている。

  • フェラーリF1困惑 アップグレードがシミュレーション以下の実走結果

    フェラーリF1困惑 アップグレードがシミュレーション以下の実走結果

    フェラーリは、2026年F1カナダGPをマイアミGPで投入した大型アップグレードの“再検証の場”と位置づけている。マイアミではフロントウイング、フロア、リアウイング、ディフューザー、前後サスペンション関連を含む大規模な更新を投入したが、実走データはシミュレーションで示されていた期待値を下回った。

    ルイス・ハミルトンはマイアミGPでフェラーリ勢最上位の5位に入った一方、シャルル・ルクレールは終盤にスピンを喫し、さらにレース後のペナルティで8位に後退した。

    フェラーリはマクラーレンとレッドブルに上回られ、メルセデスの主要な対抗勢力としての立場を示せなかった。

    失敗ではないが、期待値には届かなかったアップグレード
    Motorsport.comによれば、フェラーリはマイアミGP後にアップグレードのデータを分析し、個々のパーツが明確に「機能しなかった」わけではないと判断している。ただし、全体としてはシミュレーションが示していた性能向上には大きく届かなかった。

    そのため、今週末のジル・ヴィルヌーヴ・サーキットは、SF-26のアップグレードが本来のポテンシャルを発揮できるかを確認する重要なテストになる。マイアミで期待外れに終わったパッケージが、単にサーキット特性やセットアップとの相性で力を出し切れなかったのか、それとも開発の方向性そのものに問題があるのかが問われる。

    スクーデリア・フェラーリ

    カナダで浮上するバッテリー回生の課題
    一方で、カナダGPの舞台となるモントリオールは、フェラーリにとって別の課題も突きつける。低ダウンフォース仕様が求められるレイアウトであり、SF-26が抱えるバッテリー回生面の“慢性的”な問題が露呈する可能性がある。

    フェラーリは、2026年型マシンの強みのひとつであるトラクションがカナダで助けになると見ている。しかし、ハミルトンとルクレールが十分にバッテリーを回生できるようにするため、加速性能の一部を犠牲にする必要が生じる可能性もある。

    マラネロの空気を左右する週末
    マイアミGP後には、マクラーレンとレッドブルに先行されたことで、フェラーリ内部の雰囲気が悪化したとも伝えられている。さらに、マイアミで投入したアップグレードは今季のコストキャップ予算の大きな部分を使ったとされる一方、ラップタイム面で大きな成果を生まなかった。

    カナダではマクラーレンとメルセデスも新アップデートを投入する見込みであり、フェラーリにとっては比較対象がさらに厳しくなる。マイアミで見えなかったアップグレードの効果を引き出せなければ、開発計画だけでなく、チーム内の士気にも影響を及ぼす週末になる。

  • ホンダF1撤退懸念を否定 過去最大級の赤字でもHRC「変更は見込んでいない」

    ホンダF1撤退懸念を否定 過去最大級の赤字でもHRC「変更は見込んでいない」

    ホンダは、EV関連事業の巨額損失と経営方針の大幅な見直しを発表したが、F1を含むモータースポーツ活動に影響はないと強調した。

    同社は2026年3月期決算で、EV需要の急減を背景に約1兆4536億円規模のEV関連損失を計上。上場企業として70年以上の歴史で初の通期赤字となる営業損失4239億円を記録した。

    EV戦略を後退させ、ハイブリッドへ再配分
    ホンダは、米国での環境規制の巻き戻しなどを背景に、世界的なEV需要が大きく減速したと説明している。

    これを受け、同社は従来のEV重視路線を修正し、需要が高いハイブリッド車へ開発・生産リソースを再配分する方針を示した。

    「ホンダは、現在需要が高いハイブリッドモデルに、より多くの開発・生産リソースを再配分する」と同社は発表した。

    また、2040年までに内燃機関車を事実上廃止するという従来の目標からも後退し、EV、ハイブリッド、カーボンオフセットを組み合わせながら、2050年のカーボンニュートラル達成を目指す姿勢に切り替えた。

    三部社長は辞任を否定「成長軌道に戻す」
    本田技研工業の三部敏宏CEOは、今回の厳しい業績を受けて辞任する考えがあるかを問われた。日本企業では大きな経営失敗の後に経営責任を問う質問が出ることは珍しくない。

    だが、三部CEOは再建に集中する姿勢を示した。

    「我々は、電気自動車用バッテリーを含む将来技術の開発研究を継続していく」

    「成長軌道に戻していく」

    本田技研工業 ホンダ・レーシング

    HRCはF1活動への影響を否定
    F1に関しては、ホンダの財務状況悪化に加え、アストンマーティンとの新たな電動比率の高いレギュレーション時代の立ち上がりが難しいものになっていることから、活動継続への懸念も出ている。

    しかし、ホンダはF1プロジェクトの安全性を強調している。

    ホンダ・レーシング(HRC)は声明で、「HRCは、5月14日に発表された財務発表に起因するモータースポーツ活動への具体的な変更は見込んでいない」と述べた。

    ホンダは市販車事業ではEV一辺倒の戦略を修正する一方で、F1を含むモータースポーツ活動については継続方針を崩していない。アストンマーティンとのF1プロジェクトは、同社の将来技術開発を示す重要な場として、少なくとも現時点では経営再建の対象とは切り離されている。

  • フェルスタッペン昇格にホーナーは猛反対 マルコが明かすレッドブルF1秘話

    フェルスタッペン昇格にホーナーは猛反対 マルコが明かすレッドブルF1秘話

    マックス・フェルスタッペンが2016年スペインGPでレッドブル昇格初戦優勝を飾ってから10年。レッドブルの育成責任者を長年務めたヘルムート・マルコが、当時のドライバー交代劇の内幕を振り返った。

    当時トロロッソでチームメイトだったカルロス・サインツも昇格候補だったが、マルコは迷わずフェルスタッペンを選択。しかし、その決断にはクリスチャン・ホーナーの強い反対があったという。

    ダニール・クビアト更迭で動いたレッドブルF1
    2016年シーズン開幕からわずか4戦。当時のレッドブルはメルセデス勢を追いながらフェラーリと争う立場にあり、ダニール・クビアトとダニエル・リカルドのラインアップで戦っていた。

    しかし、ヘルムート・マルコはクビアトのパフォーマンスに不満を抱いていた。

    「前年のクビアトは十分なパフォーマンスを見せていたし、とくに雨ではダニエル・リカルドより速い時もあった」とマルコは振り返った。

    「だが2016年になると、彼は以前のようなドライバーではなくなっていた。テスト初日からブレーキについて不満を口にしていたし、我々は何かを変える必要があると感じていた」

    そこで白羽の矢が立ったのが、当時トロロッソで走っていた18歳のマックス・フェルスタッペンだった。

    レッドブル・レーシング

    カルロス・サインツではなくフェルスタッペンを選択
    当時のトロロッソでは、フェルスタッペンとカルロス・サインツがほぼ互角の評価を受けていた。

    それでもマルコは、フェルスタッペンこそレッドブル昇格に相応しいと判断した。

    「マックスのチームメイトだったカルロス・サインツは、我々が彼を選ばなかったことに大きく失望していた」

    「だが我々にとっては非常に明確で簡単な決断だった」

    その一方で、レッドブル内部では反対意見も強かったという。

    「クリスチャン・ホーナーは、2016年のわずか4戦後にマックスを昇格させることに同意していなかった。彼は断固として反対していた」

    当時のフェルスタッペンは才能こそ高く評価されていたものの、経験不足やアグレッシブなドライビングによる接触の多さから、“まだ早すぎる”との声も少なくなかった。

    マックス・フェルスタッペンとクリスチャン・ホーナー

    “狂っている”と言われた決断
    レッドブルの決断にはパドック内外から批判も集まった。

    「多くのライバルや批評家から大きなプレッシャーを受けた。彼らは『マックスはまだ若すぎる』『危険な決断だ』と言っていた」

    「彼らは我々を狂っていると思っていた。しかし我々は全員を黙らせた」

    その言葉通り、フェルスタッペンは昇格初戦となったスペインGPで優勝。メルセデス勢の同士討ちを尻目に、フェラーリ勢とリカルドを抑え切り、F1史上最年少優勝記録を打ち立てた。

    この勝利は、後の4連覇へと続く“フェルスタッペン時代”の始まりでもあった。

    カルロス・サインツは別の道へ
    一方、レッドブル昇格を逃したカルロス・サインツは、その後トロロッソを離れルノーへ移籍。さらにマクラーレン、フェラーリを経て、現在はウィリアムズで走っている。

    ワールドタイトル争いの機会こそ得られていないものの、複数勝利を挙げるトップドライバーへ成長した。

    結果論ではあるが、2016年当時のレッドブルには「フェルスタッペンを選ぶ未来」と「サインツを選ぶ未来」の2つが存在していた。その分岐点でマルコが下した決断は、F1の勢力図そのものを変えることになった。