投稿者: dbcheck

  • ピアストリ マクラーレンF1逆転戴冠に望み「まだ自分たちを除外すべきではない」

    ピアストリ マクラーレンF1逆転戴冠に望み「まだ自分たちを除外すべきではない」

    オスカー・ピアストリは、2026年F1世界選手権でマクラーレンが厳しい状況に置かれていることを認めながらも、タイトル争いから脱落したとは考えていないと語った。パフォーマンス向上が不可欠としつつも、「昨年のように勢力図は急速に変わり得る」と逆転の可能性を信じている。

    今週末のオーストリアGPを前に、ピアストリはドライバーズランキング6位の68ポイントでシーズン第8戦を迎える。

    前年の同時期には146ポイントでランキング首位に立ち、すでに4勝を挙げていたことを考えれば、大きな後退となっている。

    今季はまだ優勝がなく、日本GPでの2位が最高成績。マクラーレン唯一の勝利も、マイアミGPスプリントでランド・ノリスが挙げたものだった。

    さらに開幕戦オーストラリアGPではグリッドへ向かう途中のクラッシュでスタートできず、第2戦中国GPでも両マシンがトラブルで決勝に出走できないなど、序盤から不運に見舞われた。

    「昨年のように流れは変えられる」
    オーストリアGPの記者会見で、夏休み前までに優勝できるマシンを手にしなければタイトル争いは厳しいのではないかと問われたピアストリは、現状の厳しさを認めつつも希望は捨てていないと強調した。

    「確かに僕たちにとって厳しい状況なのは間違いない」

    「でも、昨年は状況がどれだけ早く変わるかを示したシーズンだった。まだシーズンは長い」

    「改善しなければならないことは十分わかっているし、状況を変える必要もある。でも、自分たちをタイトル争いから除外すべきではないと思う」

    「もちろん多くの努力が必要だし、運も味方してほしい。でも、今年はどのチームにも信頼性の問題が起きているし、状況は本当にあっという間に変わる」

    「一方で、マシン性能や勢力図がこのまま変わらなければ勝てないのも事実だ」

    「ここ数年のように大きく改善できれば、まだ何でも起こり得ると思っている」

    「浮き沈みの激しいシーズン」
    ピアストリは今季前半戦を振り返り、「良いレースより悪いレースの方が多かった」と率直に評価した。

    「本当に浮き沈みが激しかった。残念ながら良かった時より悪かった時の方が多い」

    「速さを見せられた場面もあったし、周囲の状況をうまく生かして最大限の結果を得られたレースもあった」

    「一方で、ドライバーのミスだったり、信頼性の問題だったり、さまざまな理由でポイントを取り逃したレースも確実にあった」

    また、カナダGPやモナコGPではMCL40の弱点がより明確になったと説明した。

    「チームとしてパフォーマンス不足なのはわかっている。特にカナダの決勝とモナコでは、自分たちが苦戦している部分がはっきり見えた。それを改善しようとしている」

    「でも問題は一つだけではない。全体的に少しずつ足りていない。際立った強みもなければ、極端に弱い部分もない」

    「ある意味では良いことだけど、別の意味では難しいことでもある」

    「メルセデスに追いつくには、そしてフェラーリが今の勢いを維持するなら、その両方に対抗するには新しいアップグレードが必要だ」

    「マシンを速くしなければならないし、それを他チームより早く実現しなければいけない。このレギュレーション終盤では、どのチームも次々とアップグレードを投入してくる」

    「だから僕たちも改善する必要がある」

    序盤欠場の影響は「もうない」
    開幕2戦を実質的に失った影響については、現在はもう引きずっていないと否定した。

    「そうは思わない」

    「日本GPで戻ってすぐ2位に入れたことは、本当に良い結果だった」

    「ここ数戦はまた別の課題があった」

    「特にバルセロナでは、もう一度同じレースを走るなら違うアプローチを取るだろうという点がはっきりしている。でも経験不足が原因ではないと思う」

    「昨年とはいろいろな面で状況が違うし、それに適応するのは自分の役目だ」

    「すぐ順応できた部分もあるし、まだ十分に適応できていない部分もある」

    「まだ学ぶことはたくさんある」


    オーストリアGPでも即座の逆転は期待せず
    バルセロナGPで苦戦した原因については分析を終え、改善策も見つけたという。しかし、オーストリアGPですぐに勢力図が変わるとは考えていない。

    「バルセロナでなぜあれほど苦戦したのか、多くの分析を行った」

    「原因についてかなり明確な理解があるし、同じことを繰り返さないためのプランもある」

    「でもフェラーリはバルセロナで大きく前進したし、メルセデスは依然としてベンチマークだ。それにレッドブルも大規模アップグレードを持ち込むという話を耳にしている」

    「だから簡単な週末にはならない」

    「このコースは過去に相性が良かったけれど、突然僕たちが最速チームになるとは思っていない。そんな幻想は持っていない」

    「できるだけ前に近づいて、これまでのように他チームのトラブルを生かせる位置にいたい」

    「純粋な速さだけで勝負するのはかなり厳しいだろう。でも、良い意味で予想を裏切れたらうれしい」

    2025年のオーストリアGPでは、マクラーレンがランド・ノリス、オスカー・ピアストリのワンツーフィニッシュを達成し、24年ぶりのオーストリアGP制覇を飾った。ピアストリは今週末、マシンのエンジンサウンドの波形をモチーフにしたライトブルーとグリーンの特別ヘルメットを着用してレースに臨む。

    現状ではマクラーレンはメルセデスやフェラーリに後れを取っていることを認めながらも、ピアストリはアップグレードによる巻き返しに期待を寄せている。オーストリアGPでは劇的な逆転は見込んでいないものの、着実に差を縮め、タイトル争いへの望みをつなぐ週末にしたい考えだ。

  • セルジオ・ペレス F1復帰成功で争奪戦勃発 ウィリアムズやアルピーヌも関心

    セルジオ・ペレス F1復帰成功で争奪戦勃発 ウィリアムズやアルピーヌも関心

    2026年シーズンにキャデラックからF1へ復帰したセルジオ・ペレスが、その安定したパフォーマンスによって2027年以降のドライバー市場で注目株となっている。

    キャデラックとの契約を結んでいる一方で、ウィリアムズやアストンマーティン、アルピーヌなど複数のチームが獲得に関心を示していると報じられた。

    キャデラックで評価急上昇 複数チームが獲得に関心
    復帰初年度となる2026年シーズン、ペレスはルーキー参戦のキャデラックで苦戦を強いられながらも、チームメイトを圧倒する走りを続けている。

    開幕から7戦を終えた時点で、そのパフォーマンスは高く評価されており、RacingNews365の取材によると、数週間前から浮上していた他チームの関心は、バルセロナ・カタルーニャGPの週末を境にさらに強まったという。

    パドック関係者によれば、その一つがウィリアムズだ。

    ウィリアムズではカルロス・サインツJr.とアレクサンダー・アルボンの両ドライバーが、より競争力のあるチームへの移籍を望んでいるとされる。今季ここまで期待外れの成績が続き、大きな改善も見られないことから、チーム首脳陣は将来に備えて積極的な動きを検討している。

    市場の状況次第では、36歳のペレスを理想的な後任候補と位置づけ、多額の資金を投じてでも獲得に動く可能性があるという。豊富な経験に加え、マシン開発能力の高さも大きな魅力と評価されている。

    アロンソの去就次第でアストンマーティン復帰の可能性
    ペレスに関心を示しているとされるチームにはアストンマーティンも含まれる。

    その背景にはフェルナンド・アロンソの去就問題がある。アロンソには、マネージャーでもあるフラビオ・ブリアトーレが率いるアルピーヌへの復帰説が浮上しており、アストンマーティンは万一の離脱に備えて代役候補を探しているという。

    RacingNews365によれば、アロンソ本人はスパで投入予定の大型アップグレードの成果を見極めた上で将来を判断する考えとされている。

    もしアロンソがチームを離れれば、アストンマーティンは実績あるドライバーの獲得が必要になる。しかし現在の競争力ではトップチームの有力ドライバーを引き抜くことは容易ではない。

    その点、グランプリ6勝、ドライバーズランキング2位の実績を持ち、マシン開発にも定評のあるペレスは有力な選択肢となる。

    また、ペレスは2014年から2020年までチームの前身であるフォース・インディアおよびレーシングポイントで戦っており、現在も当時のエンジニアを含む多くのスタッフがチームに残っている。

    さらに、現在アストンマーティンの技術部門を率いるエイドリアン・ニューウェイは、レッドブル時代にペレスと仕事をしており、メキシコ人ドライバーの技術的な理解力や開発能力を高く評価していることで知られている。

    アルピーヌも候補 スポンサー面でも相性
    アロンソの復帰が実現しなかった場合、アルピーヌもペレス獲得に動く可能性がある。

    ピエール・ガスリーとのコンビは競争力の面でも魅力的であり、スポンサー戦略とも相性が良い。

    アルピーヌの主要スポンサーであるメルカド・リブレはペレス個人も支援しているほか、高級ブランドのグッチにとっても、中南米市場、とりわけメキシコ市場は重要な成長分野となっている。

    さらに、ペレスはトミー・ヒルフィガーとの契約でもグローバルブランドアンバサダーとして高い広告効果を発揮しており、その商業的価値も改めて証明されている。

    本人はキャデラックでの開発に集中
    もっとも、現時点でペレス本人はキャデラックへのコミットメントを繰り返し強調している。

    ただし、ドライバー市場が大きく動けば状況が変わる可能性は否定できない。

    当面の焦点はオーストリアGPで投入されるキャデラックの大型アップグレードだ。

    スペインGPで、このアップグレードがチームの弱点を解決するかと問われたペレスは次のように語っている。

    「いや、それだけですべてが解決するわけではありません」

    「もちろん改善はすると思います。でも、本当に問題を解決できるのは、おそらくシルバーストンになることを期待しています」

    キャデラックで着実に評価を高めるペレスは、2027年以降のF1ドライバー市場で存在感を強めつつある。ウィリアムズ、アストンマーティン、アルピーヌといった複数チームの名前が浮上する中、本人はまずキャデラックのアップグレードによる競争力向上に集中する姿勢を崩していない。今後の市場の動き次第では、ペレスの去就がストーブリーグの重要な焦点の一つとなりそうだ。

  • FIA会長の任期制限撤廃を承認 ビン・スライエム会長は無期限続投が可能に

    FIA会長の任期制限撤廃を承認 ビン・スライエム会長は無期限続投が可能に

    FIA(国際自動車連盟)は6月26日、マカオで開催した臨時総会で会長を含む幹部職の任期制限を撤廃する定款改正を承認した。これにより、現職のモハメド・ビン・スライエム会長は、落選または自ら退任を選ばない限り、任期を重ねて再選を目指し続けることが可能となった。

    今回の改正は加盟クラブによる投票で可決され、これまで定められていた「3期・計12年まで」という会長職の任期上限が撤廃された。

    ビン・スライエム会長は2021年末に初当選し、2025年末には対立候補不在のまま2期目の再選を果たしている。

    ビン・スライエム会長は2021年末に初当選し、2025年末には対立候補不在のまま2期目の再選を果たしている。

    加盟クラブが圧倒的多数で承認
    FIAの広報担当者は、今回の改正について次のように説明した。

    「FIA定款は、世界モータースポーツ評議会や上院を含むすべてのFIA機関と整合性を持たせるため、任期制限の扱いを統一するよう更新された」

    「提案された定款改正は、臨時総会において特別多数の賛成によって承認された」

    「FIAの各機関は、適切と判断した候補者を民主的に選出する完全な権限を引き続き有している」

    BBC Sportによると、この改正案には90.71%が賛成したと報じられているが、FIAはこの数字を公式には公表していない。

    従来の3期制限は、2009年から2021年まで3期12年間にわたり会長を務めたジャン・トッド前会長の時代に導入されたものだった。

    ビン・スライエム「FIAは前進を続けている」
    ビン・スライエム会長は、今回の決定はFIA改革の成果を示すものだと強調した。

    「本日、加盟団体によって承認された決定は、連盟として共に進めてきた継続的な前進を反映している」

    「より強固なガバナンス、財務規律、そして明確な長期ビジョンを通じて、加盟団体への支援、選手権の強化、そして世界のモータースポーツとモビリティへの貢献をより確実に実現できるFIAを築いている」

    選挙制度にも新たな要件
    今回の総会では、任期制限の撤廃に加え、大統領選挙の立候補資格についても新たな規定が承認された。

    今後は会長候補に対し、FIA加盟団体またはFIA機関で十分な活動実績を有していることが求められる。

    一方、2025年の会長選では、立候補者はFIAの6地域それぞれから副会長候補を擁立する必要があり、南米代表のファビアナ・エクレストンが早い段階でビン・スライエム支持を表明したことで、対抗候補の擁立が事実上困難になったと指摘されていた。

    立候補を断念したアメリカのモータースポーツ関係者ティム・メイヤーは当時、次のように批判していた。

    「この選挙のルールでは、選挙そのものが存在しない」

    「投票が行われる前に結果が決まっているなら、それは民主主義ではない。単なる演出だ」

    なお、FIA定款には現在も「会長候補は選挙または再選時点で70歳未満でなければならない」と規定されているが、一部ではビン・スライエム会長が将来的にこの年齢制限についても撤廃を目指す可能性があると報じられている。

    今回の定款改正により、FIA会長職の任期上限は撤廃され、ビン・スライエム会長は今後も再選に立候補し続けることが可能となった。また、選挙制度にも立候補資格の追加要件が導入され、FIAの統治体制は新たな枠組みへ移行することになった。

  • フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・ホンダF1を擁護「虐待のような扱い」

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・ホンダF1を擁護「虐待のような扱い」

    フェルナンド・アロンソが、F1第8戦オーストリアGPの木曜メディアデーで、アストンマーティンとホンダを取り巻く厳しい批判に強い口調で反論した。

    アルピーヌ復帰説など自身の去就を巡る憶測が飛び交うなか、アロンソはプロジェクトへの揺るぎない信頼を強調。さらに、SNSなどでチームが「虐待に近い扱い」を受けているとして、外部からの過度な批判に苦言を呈した。

    「プロジェクトへの約束は現役生活を超えている」
    今季のアストンマーティンは、新たなPUパートナーとなったホンダとともに苦戦が続いている。ここまで獲得したポイントは、アロンソがモナコGPで記録した1ポイントのみ。競争力不足から、アロンソにはアルピーヌ復帰や引退の可能性まで取り沙汰されている。

    しかしアロンソは、そのような憶測を明確に否定した。

    「噂はいつでもある。僕たちは外の世界から非常にひどい扱いを受けてきた。今は期待外れのパフォーマンスしかできておらず、厳しい時期にいる。夏休みが近づけば、いつも噂は出てくる」

    「トップチームにも噂はあるし、僕たちにもある。それは僕たちが苦戦しているからだ。でも以前から言っているように、僕のアストンマーティンへのコミットメントは、ドライバーとしての現役生活を超えたものなんだ」

    アロンソは現役引退後もアンバサダーやスポーツカー活動などを含む長期契約を結んでいるとされており、プロジェクトへの信頼は揺らいでいないと改めて強調した。

    「僕はこのプロジェクトを信じているし、適切な人材がそろっている。本当に最高の人たちがいる。エイドリアン・ニューウェイがいて、ホンダもいる。確かに出遅れたことは理解している。でも、できるだけ早く状況を整えようとしているところだ」

    「問題は必ず解決できる」とホンダとチームを擁護
    2026年のアストンマーティンはここまでモナコGPでアロンソが獲得した1ポイントのみと苦戦が続いている。ホンダ製パワーユニットも競争力不足に苦しんでいる一方、チームはエイドリアン・ニューウェイが主導する大規模アップグレードの投入を待っている状況だ。

    アロンソは、SNS上でアストンマーティンやホンダを揶揄する投稿が相次いでいる現状にも言及した。

    「僕たちは最後尾にいるから格好の標的になっている。SNSではいろいろなことが起きていて、僕たちをネタにしたジョークも投稿される。それは虐待と言ってもいいくらいの境界線にあると思う」

    その一方で、チーム全体の努力を強調し、必ず状況は改善すると訴えた。

    「もちろん今の順位に満足しているわけではない。でも、ホンダもアストンマーティンも本当に勤勉な人たちばかりだ。1,000人ものスタッフが毎日懸命に働いて問題の解決に取り組んでいる」

    「問題は必ず解決できる。それは時間の問題だ。僕はこのプロジェクトを信じているし、チームを信頼している。僕たちは全員で一緒に戦っている」

    さらに、開幕戦オーストラリアGPの時点で、費用対効果を考慮して十分な効果が見込めるタイミングまでアップグレード投入を待つ方針をチーム首脳が決断し、全員がそれに同意していることも明かした。

    「僕たちドライバーは毎週レースをして、毎週メディア対応をして、そして競争力のないマシンで走っている。でもチームのリーダーたちは、アップグレードは効果が十分に見込めるタイミングまで待つという決断をオーストラリアで下した。コスト効率も含めてね」

    「僕たちは全員その方針に同意しているし、そのアップグレードをできるだけ前向きな気持ちで待っている」

    アロンソはアルピーヌ復帰説を明確に否定するとともに、アストンマーティンとの長期的な関係に改めて強い信頼を示した。現在の苦境についても、ホンダやチームスタッフの努力を高く評価し、大型アップグレードによって状況は必ず改善できるとの確信を口にした。

    【関連】
    ・アストンマーティンF1開発停滞にアロンソ皮肉「他チームには金を生む機械がある」

  • ホンダF1 今季PUアップグレードは1回のみ AMR26Bは完成次第投入

    ホンダF1 今季PUアップグレードは1回のみ AMR26Bは完成次第投入

    2026年シーズンの巻き返しを目指すアストンマーティンは、新型マシン「AMR26B」の投入をホンダのパワーユニット開発スケジュールに合わせることなく、完成次第デビューさせる方針を明らかにした。

    一方、ホンダF1のチーフエンジニアを務める折原慎太郎は、今季のパワーユニットアップグレードは夏に予定する1回限りとなり、その後は2027年型エンジンの開発へ全面的に注力する考えを示した。

    AMR26Bはホンダの開発を待たず完成次第投入
    アストンマーティンは現在、エイドリアン・ニューウェイが主導して開発した大規模アップデート版「AMR26B」の投入準備を進めている。低迷するシーズンを立て直す切り札と位置付けられており、チームは一刻も早い実戦投入を目指している。

    オーストリアGPが開催されるレッドブル・リンクで取材に応じたマイク・クラックは、AMR26Bの投入時期についてホンダの開発状況とは切り離して判断すると説明した。

    「アストンマーティンとホンダは互いに依存しているわけではない。常にスケジュールをできる限り前倒ししようとしているし、準備が整い次第マシンを投入する。いつ完成するかを見極めることになる」

    一方、ホンダは新型パワーユニットを7月末から8月初旬に投入できるよう開発を進めている。

    ホンダは今季アップグレードを1回に集中
    2026年はADUO制度によってホンダには最大2回のパワーユニット性能向上が認められる可能性があるものの、ホンダはその権利を使い切る予定はない。

    チーフエンジニアの折原慎太郎は、夏に予定するアップグレードが今季唯一の改良になることを明言した。

    「夏頃に新しいエンジンを投入する予定です。夏休み前になるか後になるかはまだ分かりません」

    「今年はそれ以上の開発は行いません。そのため、この夏のアップデートを重要なものにしたいと考えています。小さな改良ではありませんが、奇跡のようなものでもありません。大きな前進を実現できるよう懸命に取り組んでいます」

    夏以降は2027年の新レギュレーションに向けたパワーユニット開発へ完全に軸足を移す計画だ。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム / 本田技研工業

    高地のオーストリアGPはホンダに厳しい戦い
    オーストリアGPが行われるレッドブル・リンクは標高約700mの高地に位置しており、ターボチャージャーへの負荷が大きいサーキットとして知られている。競争力不足に苦しむホンダにとっては、さらに厳しい条件となる見込みだ。

    折原は、高地特有の課題について次のように説明した。

    「ターボにとって大きなチャレンジになります。昨年はMGU-Hのサポートがありましたが、今年はありません」

    「そのため、ターボには先週(バルセロナ)とは異なる挙動が求められます。パワーベンチでは同様の条件を再現したテストを行いましたが、このサーキットでターボとエンジンがどのような挙動を示すかを確認することが重要です。それがフリー走行で最も重要なポイントになります」

    アストンマーティンはAMR26Bを完成次第投入する方針を維持し、ホンダは夏の1度だけの大型アップグレードに勝負を懸ける。両者はそれぞれ独立したスケジュールで開発を進めながらも、シーズン後半の巻き返しに向けて重要な局面を迎えている。

    【関連】
    ・ホンダF1渡辺社長 ニューウェイの批判にも「率直な対話」で関係修復

  • アントネッリがメルセデスF1のチームオーダー示唆「状況次第で戦い方を変える」

    アントネッリがメルセデスF1のチームオーダー示唆「状況次第で戦い方を変える」

    2026年F1ドライバーズ選手権をリードするアンドレア・キミ・アントネッリは、メルセデスが今後のレースでチーム内バトルへの対応を見直す可能性があることを明かした。ライバル勢が急速に迫る中、ジョージ・ラッセルとの自由なバトルだけでなく、タイトル争い全体を見据えた判断が必要になるとの考えを示している。

    前戦バルセロナ・カタルーニャGPでアントネッリは、残り3周で電気系トラブルによりリタイア。

    当時2位を走行していたが、この結果により5連勝が止まり、フェラーリのルイス・ハミルトンが今季初優勝を挙げてランキング2位へ浮上した。

    さらにこのレースでは、アントネッリとラッセルが激しく争ったことでタイムを失い、その間にハミルトンがバーチャル・セーフティカー(VSC)中のピットストップを活用して逆転勝利を収めた。

    レース後、チーム代表のトト・ヴォルフは「ドライバー同士を自由に戦わせたことで勝利を逃した可能性がある」と認め、オーストリアGPを前にドライバーと話し合いを行ったことを明かしていた。

    ライバル次第で戦い方を変更
    アントネッリは、今後も基本的には自由にレースをする方針を維持しながらも、ライバルとの戦況によっては対応を変える考えを示した。

    「どういうレースをするかは、本当に状況次第だと思う」

    「もし他チームからプレッシャーを受けている状況なら、違った戦い方をすることになる。でも僕とジョージだけの争いなら、これまで通り自由にレースができる」

    さらに、タイトル争いが激化する中ではチーム内だけを見て戦う段階ではなくなってきたと説明した。

    「もちろん、これからはもっと賢くレースをすることが重要になる。ジョージと僕だけの問題ではなく、他のライバルたちも迫ってきているからだ」

    「今週末はトップ4チームが本当に接近すると思う。フェラーリはよりパワフルな新しいエンジンを投入するし、レッドブルは大規模アップグレードを持ち込む。それにマクラーレンもマイアミ以降ずっと速さを見せている」

    「だから僕自身のレースの進め方も少し変わるかもしれない。それも状況次第だ」

    「もし他のドライバーがすぐ近くにいて、ライバルが接戦なら、ジョージと2人だけで争っている時とは違う戦い方になると思う」

    ヴォルフもスペインGPを反省
    スペインGP後、ヴォルフはチーム内バトルが結果的に勝利を逃す要因になった可能性を認めていた。

    「今日はチーム内ではフェアにレースをさせようとした。しかし、それが勝利を失う原因になったのかもしれない」

    「レース優勝を他チームと争っている状況では、どう対応すべきかをドライバーたちと話し合う必要がある」

    メルセデスは開幕から圧倒的な強さを見せてきた一方、近年はライバル勢との差が急速に縮まりつつある。

    タイトル争いは「簡単ではない」
    アントネッリは、ハミルトンの復調やラッセルの速さ、さらにメルセデスの信頼性問題も含め、今後のタイトル争いは厳しいものになると認めた。

    ハミルトン、ラッセル、そしてマシンの信頼性のどれが最も気になるかと問われると、アントネッリは「全部だ」と笑いながら答えた。

    「でも心配しているというより、簡単な戦いにはならないと分かっているだけだ」

    「ジョージは本当に速いし、ルイスは今とても調子が良く、マシンにも完全に馴染んで勢いがある」

    「厳しい戦いになるのは間違いない。だからこそ、あらゆるチャンスを最大限に生かすことが重要だ。バルセロナでは最後にトラブルが起きて大きなポイントを失ってしまった」

    「チャンスがある時は必ず最大限の結果を出さなければならない。何が起きるか分からないからね」

    さらに、ランキング上位以外のドライバーもまだ優勝争いから脱落したわけではないと強調した。

    「他のドライバーたちも決して除外はできない。昨年マックス(フェルスタッペン)が大きなポイント差をひっくり返したことを見れば分かる。だから常に集中し、自分のベストを尽くすことが大切なんだ」

    メルセデスは2026年シーズン序盤を支配してきたものの、直近3戦で2度のメカニカルトラブルによるリタイアを喫している。カナダGPではラッセル、スペインGPではアントネッリがトラブルで戦列を去り、スペインGPは今季初めてメルセデスが勝利を逃したレースとなった。

    オーストリアGPではフェラーリの新型パワーユニット、レッドブルの大規模アップグレード、そして好調を維持するマクラーレンが加わることで、タイトル争いは新たな局面を迎えそうだ。メルセデスはドライバー同士の自由なバトルを維持しつつも、状況に応じた柔軟なチーム戦略で王座防衛を目指すことになる。

  • リアム・ローソン ニコラ・ツォロフのF1昇格で交代説「話すにはまだ早い」

    リアム・ローソン ニコラ・ツォロフのF1昇格で交代説「話すにはまだ早い」

    リアム・ローソンは、自身の将来を巡る憶測について冷静な姿勢を示し、2027年シーズンに向けた話し合いを行うには「まだ早い」と強調した。

    今週末のF1オーストリアGPを前に、スペインメディアのsoymotor.comは、FIA F2選手権に参戦するニコラ・ツォロフが2027年にレッドブル陣営のいずれかのF1チームのシートを確約されたと報じた。この報道を受け、レーシングブルズで戦うローソンの去就にも再び注目が集まっている。

    しかしローソンは、今は将来ではなく現在のシーズンに集中していると語った。

    「まだすごく早い段階だ」

    「ここまでは本当にいいシーズンになっている。すごく楽しめているし、このマシンから学ぶこともたくさんある。毎週末少しずつ理解を深められているし、いい状態にいる。でも、その勢いを維持していきたい」

    「そういう話をするにはまだ早いけれど、僕自身は本当に満足しているし、チーム全体としても満足している」

    昨年の苦境から着実に復活
    昨年のローソンは、レッドブルからわずか2戦で降格という厳しい経験を味わった。その後レーシングブルズで再び評価を高め、2025年オーストリアGPでは自身最高となる6位入賞を記録。これが自信回復の大きなきっかけとなった。

    そして2026年は開幕7戦で5度のポイント獲得を記録し、ドライバーズランキング10位につけるなど安定したパフォーマンスを披露。コンストラクターズランキングでもレーシングブルズは6位につけている。

    この1年間で大きく成長したとローソンは振り返る。

    「今はすごくいい状態にいると思う。この12か月で本当に多くのことを学んだ」

    「現時点では物事はうまく進んでいる」

    オーストリアGPは実行力が勝負
    レッドブル・リンクは中団勢のタイム差が非常に小さくなるサーキットとして知られており、ローソンは週末を通じた実行力が結果を左右すると考えている。

    「ここはいつも本当に接戦になる。だから週末を通してどう実行するかが非常に重要になる」

    レーシングブルズ代表のアラン・パーメインも、VCARB 03の最新アップデートに手応えを感じている。

    「最新アップデートを投入したVCARB 03は、さまざまなタイプのサーキットで良好な性能を示している。オーストリアでも自信を持って臨めるし、強い週末をまとめられればさらにポイントを持ち帰れるはずだ」

    課題は決勝ペースの改善
    一方でローソンは、予選での速さを決勝でも再現することが現在の課題だと認めた。

    「予選ではいい状態にあるし、本当にいいマシンだと思う。でも、そのパフォーマンスを決勝でも再現するのは少し難しくなっている」

    最近のレースでも、予選では好位置につけながら決勝ではライバル勢に苦戦する展開が続いている。ただし、ローソンはマシンに大きな欠点があるとは考えていない。

    「今取り組んでいる課題だ」

    「決勝では予選とはまったく違うスピード域で走ることになるし、バランスを改善する方法を探っているところだ」

    「きっと細かい部分の問題なんだと思う。大きな欠点ではない」

    「マシン自体の速さはある。だから速さを引き出す方法は分かっているし、決勝仕様のマシンをさらに磨き上げて強くしていくだけだ」

    レーシングブルズはアップデートによって競争力を高めつつあり、ローソン自身も現在の環境に満足していることを強調した。一方で、2027年のレッドブル陣営のドライバーラインアップを巡る憶測は今後も続く可能性があるが、本人は現時点では将来よりも目の前のシーズンで結果を積み重ねることに集中する姿勢を崩していない。

  • ヤマハ 2028年からMoto3独占供給 新プロジェクト始動

    ヤマハ 2028年からMoto3独占供給 新プロジェクト始動

    ヤマハ発動機は6月26日、MotoGPと共同で2028年から2033年までFIM Moto3世界選手権の独占マシン・サプライヤーを務める新たな長期プロジェクトを開始すると発表した。オランダGP開催中のアッセンTTサーキットで正式発表され、次世代グランプリ・レースの新たな基盤づくりが始動する。

    新プロジェクトでは、688ccのCP2エンジンをベースにした新型レース用プロトタイプを開発するほか、JuniorGPや各地域選手権も含めた育成プラットフォームを構築。2027年にマシンを公開し、2028年からMoto3の新時代が幕を開ける。

    2028年からMoto3を独占供給
    ヤマハ発動機とMotoGPは6月25日、2028年から2033年までFIM Moto3世界選手権の独占マシン・サプライヤーとなることを正式発表した。

    オランダGPが開催されているアッセンTTサーキットでの合同記者会見で明らかにされたこのプロジェクトは、近年のグランプリ・レースにおける最も重要な取り組みの一つと位置付けられている。

    両者は、親しみやすさ、スポーツとしての健全性、技術の卓越性、長期的なビジョンを柱に掲げ、世界最高峰の競技レベルを維持しながら、才能あるライダーが実力で成長できる環境づくりを目指す。

    新開発プロトタイプで次世代ライダーを支援
    プロジェクトの中核となるのは、ヤマハが開発する新型レース用プロトタイプマシンだ。

    エンジンは688cc水冷直列2気筒270度クランクを採用する実績あるCP2プラットフォームをベースに、グランプリ専用として大幅な再設計を実施。現行Moto3マシンを上回るパワーウエイトレシオを実現するとともに、次世代ライダーの体格やライディングスタイルに適したフルサイズマシンを目指す。

    また、このプログラムはMoto3世界選手権だけにとどまらない。JuniorGP Moto3では2029年以降、性能をやや抑えた仕様の導入が予定されているほか、同じプラットフォームへの参加に関心を示す各地域選手権との協議も進められている。

    今後は年内にプロトタイプのテストを開始し、2027年シーズン中のマシン公開を予定。ヤマハとMotoGPは段階的に開発状況を発信していく方針だ。

    ヤマハとMotoGPが描く将来像
    Yamaha Motor Racingのマネージング・ディレクターを務めるパオロ・パヴェジオは、このプロジェクトについて次のように語った。

    「Moto3は常に、グランプリという夢の出発点です。未来のチャンピオンが技を磨き、才能が初めて露わになり、このスポーツの未来が始まる場所なのです」

    「私たちの目標は、単にマシンを作ることだけではありません。ライダーやチーム、そしてチャンピオンシップそのものを長期的に支えることのできるプラットフォームの構築を目指しています。このプラットフォームは親しみやすさ、優れた技術的効率性、究極のレーシング・パフォーマンスを兼ね備えています」

    「プロジェクトにはヤマハ発動機株式会社、Yamaha Motor Racing、Yamaha Motor Europeの専門知識が結集されています。まさにグローバルな取り組みであり、モーターサイクル・レースの発展とライダー育成を目指す長期プログラムを体現したものです」

    MotoGPチーフ・スポーティング・オフィサーのカルロス・エスペレータも、このプロジェクトが世界選手権だけでなく世界規模の育成活動にも大きな意味を持つと説明した。

    「Moto3の未来について発表できることを大変誇りに思います。これは世界選手権のためだけでなく、世界中での普及・育成プログラムにとっても重要な意味を持つからです」

    「MotoGPは、モーターサイクル・レースの発展、才能の育成、そしてより多くの人々にモーターサイクルを楽しんでもらえる機会の拡大に尽力し、可能な限り安全なスポーツをより多くの人々に届けたいと考えています。今回のプロジェクトでは、ヤマハ発動機と協力して、単にライダーがどのバイクに乗るかを発表するだけでなく、若いライダーのためのグローバルなプラットフォームを構築していきます。この変化は、パドックの外、つまり世界規模で、そしてここMotoGP内部においても、モーターサイクル・レースに大きな貢献をもたらすと確信しています」

    「Moto3は、私たちの未来において重要な役割を担っています。スポーツの観点から言えば、Moto3は、後に世界的なスーパースターとなるライダーにとって、プロとしてのレースキャリアの第一歩になることが多いからです。ファンにとっては、未来のスターたちとの出会いの場であり、グランプリの醍醐味の一つです」

    「Moto2とMoto3を含む3つのクラスを各イベントで開催する私たちの体制は、他に類を見ないファン体験を生み出します。グランプリのスタートからチェッカーが振られるまで、素晴らしいアクション、純粋な才能、そして卓越したエンジニアリングが披露されるのです」

    「Moto3の新時代は、これらの要素をさらに強化し、MotoGP世界選手権におけるエントリークラスとしての地位をより確固たるものにするために設計されています。これは、才能とパフォーマンスが輝くための新たな舞台なのです」

    2028年から始まる新プロジェクトにより、ヤマハはMoto3世界選手権の独占マシン供給に加え、JuniorGPや各地域選手権まで含めたライダー育成の新たな基盤づくりを進める。2027年に新型マシンを公開し、MotoGPとともに次世代グランプリ・レースの新時代を切り拓いていく。

  • メルセデスF1 オーストリアGPヒートハザード宣言でバッテリーの信頼性に懸念

    メルセデスF1 オーストリアGPヒートハザード宣言でバッテリーの信頼性に懸念

    メルセデスは2026年シーズンのF1で両選手権をリードしているものの、シーズンを通じてパワーユニットの信頼性問題に苦しんでいる。そして、FIAがオーストリアGPを対象に「ヒートハザード(高温警戒)」を宣言したことで、その懸念はさらに大きくなりそうだ。

    レッドブル・リンクは高速レイアウトが特徴で、理論上はストレート性能に優れるメルセデスに有利なサーキットと考えられている。

    また、高地に位置するため、小型ターボを採用するフェラーリは標高の影響を受け、パフォーマンス向上が制限される可能性もある。

    しかし、メルセデスも決して安心できる状況ではない。チームが抱える信頼性問題は、シュピールベルクの厳しい環境でより深刻になる恐れがある。

    バッテリー問題に高温が追い打ち
    メルセデスのパワーユニットで最も深刻な課題となっているのはバッテリー関連のトラブルだ。

    元F1ドライバーのジョリオン・パーマーは、メルセデスには「根本的な電気系統の問題」があると指摘している。

    実際、カナダGPではジョージ・ラッセルが首位争いの最中にバッテリーが故障。続くスペインGPではアンドレア・キミ・アントネッリも同様のトラブルに見舞われ、レース終盤にリタイアを喫した。

    この問題はワークスチームだけにとどまらない。メルセデス製パワーユニットを使用するカスタマーチームにも影響が及んでおり、マクラーレンではランド・ノリスがカナダGPとモナコGPでメカニカルトラブルによりリタイアしている。

    そうした状況の中、FIAはオーストリアGPで気温およびヒートインデックスが基準値を超える見通しとなったことから、週末に「ヒートハザード」を宣言した。

    高温の路面環境は冷却系やバッテリーへの負荷をさらに高めるため、メルセデスとカスタマーチームにとっては、さらなるメカニカルトラブルのリスクを抱えることになる。

    メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    性能と信頼性の難しいバランス
    メルセデスにとって、オーストリアGPでエンジントラブルを再発させる余裕はない。

    一方のフェラーリは今週末にパワーユニットのアップグレード投入を予定しており、もしメルセデスが信頼性問題でポイントを失えば、両チャンピオンシップ争いでライバルとの差は一気に縮まる可能性がある。

    さらに厄介なのは、現時点でメルセデスが決定的な解決策を見いだせていないことだ。バッテリーの信頼性を確保するためにパワーユニットの出力を抑えれば、今度は最高速やレースペースが犠牲になる可能性がある。

    シュピールベルクの暑さは、メルセデス製パワーユニットにさらなる負荷を与えることになる。冷却性能の確保とバッテリー管理を両立できなければ、今季序盤に築いた優位性が揺らぐ週末となるかもしれない。

    メルセデスは高速サーキットとの相性では優位に立つとみられているが、FIAのヒートハザード宣言によって最大の課題は信頼性へと移った。オーストリアGPでは純粋な速さだけでなく、高温環境を乗り切る耐久性が結果を左右する重要な要素となりそうだ。

  • フェラーリF1 ハミルトンの「ベーシックすぎる」指摘受けSF-26を全面刷新

    フェラーリF1 ハミルトンの「ベーシックすぎる」指摘受けSF-26を全面刷新

    ルイス・ハミルトンはモナコGP後、フェラーリの2026年型マシン「SF-26」がアンドレア・キミ・アントネッリのメルセデスと比べて「とてもベーシックだ」と評した。しかし、その後フェラーリはスペインGPに向けてマシンを全面的に刷新し、ハミルトンが求めていた革新性を実現する大規模アップグレードを投入した。

    モナコGPでハミルトンは2位に入ったものの、優勝したアントネッリとの差はセーフティカーや赤旗の影響で縮まったものだった。実際には30秒以上遅れてフィニッシュする展開だったとみられている。

    モナコ市街地コースはフェラーリの長所を引き出し、弱点を隠せるレイアウトと考えられていたことから、レース前には優勝候補との評価も受けていた。しかしチーム内部では、すでに大規模アップグレードパッケージの投入が予定されていた。

    SF-26を全面刷新
    『The Race』のコラムで元F1テクニカルディレクターのゲイリー・アンダーソンは、スペインGP以前のSF-26について「設計はかなりシンプルに見えた」と分析した。

    ただし、それはフェラーリが2026年の新レギュレーションを十分に理解するまで、あえて保守的な設計を選択していたためだと指摘している。

    その後フェラーリは、一部チームが発想すらしていなかった回転式の「マカレナ・リアウイング」を投入。これにより、あらゆる領域で限界を追求する開発姿勢を明確に示した。

    そしてモナコGPからわずか5日後のスペインGPでは、SF-26を全面的に改良した仕様を投入。アンダーソンは「何一つ手つかずの部分はなかった」と表現し、マイアミGPで投入されたアップデートとは異なり、今回は「すべてが即座に機能した」と高く評価している。

    その成果はすぐに表れた。ハミルトンは予選でジョージ・ラッセルからわずか0.064秒差の2番手となり、今季初めてフェラーリをフロントロウへ導いた。

    決勝ではバーチャル・セーフティカー(VSC)の恩恵もあったが、それ以前から優勝争いを展開しており、最終的にフェラーリ移籍後初勝利を飾った。

    ハミルトン「このマシンは必ず勝てる」
    スペインGP予選後、ハミルトンはイタリア紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』に対し、今季の勝利に強い自信を示していた。

    「このマシンは間違いなくレースで勝てる。僕はそう確信している」

    「開発の方向性もそうだし、チーム全体の連携もある。みんな本当に懸命に取り組んでいる。だから、どこかの時点で勝利争いができると確信している」

    その言葉どおり、ハミルトンはスペインGPでフェラーリ加入後初勝利を達成した。これはフェラーリにとっても、カルロス・サインツJr.が2024年メキシコGPで優勝して以来のグランプリ勝利となり、2020~2021年以来で最も長かった未勝利期間に終止符を打った。

    フェラーリの反撃は続くのか
    今回の大規模アップグレードは、ハミルトンが「ベーシックすぎる」と表現したマシンを、フェラーリが短期間で大きく進化させたことを示す結果となった。さらにランド・ノリスは「フェラーリのエンジン性能がさらに向上すればライバル勢を圧倒できる」と評価しており、今後の開発次第ではタイトル争いの勢力図を左右する存在となる可能性がある。

    バルセロナ・カタルーニャGPでの勝利が一時的なものなのか、それともフェラーリ復活の始まりなのか。今後の数戦が、その答えを示すことになりそうだ。