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  • マクラーレン・セナ: 究極のサーキット指向型ロードカー

    マクラーレン・セナ: 究極のサーキット指向型ロードカー

    マクラーレンは、伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナの名を冠したマクラーレン史上最も究極な性能を持つロードカー『マクラーレン・セナ』を発表した。

    「まったく妥協のないレベルにまで自分を高めるのだ。自分の全てを、まさに全てを捧げるのだ」-アイルトン・セナ

    マクラーレン・セナは“公道でも走れる、マクラーレンの究極のサーキット仕様モデル”というただ1つの目的をもって設計、デザイン、開発された。

    マクラーレン・セナは法的には公道での走行が可能だが、それを第一目的とはしていない。日常生活でも多様な使い方のできるスーパーカーという、マクラーレンのトレードマークからの方向転換が慎重になされており、ドライバーとクルマとの一体感を最も純粋な形で実現し、マクラーレンの他のロードカーでは味わえない強烈なサーキット体験を与えてくれる。

    技術面でのアプローチは、先進的なスポーツカーとスーパーカーのメーカーであるマクラーレン・オートモーティブが2010年の創業以来、短期間で培ってきた、クラシックなスーパーカーの流れを継承するものだが、マクラーレン・セナではそのレベルがさらなる高みに引き上げられている。

    カーボンファイバーシャシーとボディー・パネルによる超軽量の構造。ミッドシップのマクラーレンV8ツインターボ・エンジン。後輪駆動。レース経験にもとづく、洗練されたサスペンションは、制御とダイナミクスのバランスを比類なき絶妙さで維持する。電動油圧式のステアリングは、正確なインプットとダイレクトなフィードバックを実現。さらに、ツーシーターではあるもののドライバー・シートの重要性にも焦点が当てられている。

    マクラーレン・セナのコアとなるカーボンファイバー製Monocage IIIシャシーは、マクラーレン 720Sの基本部分をさらに発展させたもので、マクラーレンの公道向けモデルで最も強固なモノコックとなっている。全てカーボンファイバー製のボディー・パネルは、個々の部品を徹底的に軽量化するという飽くなき追求の結果であり、それにより、マクラーレン・セナの重量は、伝説のMcLaren F1以来、最軽量でわずか1,198kgとなる。

    最高出力800PS(789bhp)のマクラーレン・セナは、668PS/トンのパワーウェイトレシオを誇る。この数字が、この新モデルの性能の高さを示している。

    マクラーレン・セナには、マクラーレン P1の背後にある哲学が強く反映されている。マクラーレン P1が公道とサーキットの両方で最高のドライバーズ・カーになるようにデザインされたのに対し、マクラーレン・セナは、公道でも走行できる、最高のサーキット仕様車になることを目指しており、サーキットでの名声を新たな目標とし、サーキットでの活躍を最優先した機能が搭載されている。

    マクラーレン・オートモーティブ最高経営責任者マイク・フルーウィットは「マクラーレン・セナは比類なきクルマです。マクラーレンのモータースポーツでのDNAが具現化されており、公道での走行も可能だが、そもそもはサーキットでの活躍を目指してデザインおよび開発された。このアルティメットシリーズの新モデルに込められた全ての要素が、優れた性能を生み出すための妥協なき姿勢を示しています。このクルマには、ドライバーとマシンとの一体感を可能な限り純粋な形で結実させるための工夫が凝らされており、サーキットにおける究極のドライビング・エクスペリエンスはまさにマクラーレンならではです」と語る。

    この新しいマクラーレンに、このように広く知られた名前が冠されていることを考えれば、比類なき究極の性能と優れたダイナミズムは想像に難くないかもしれない。この伝説のF1レーサーは、並外れた集中力とサーキットで最高の結果を出すことへのこだわりで有名だった。マクラーレン・セナのドライバーは、このクルマのダイナミックなエクスペリエンスに夢中になることだろう。ドライバーは、クルマとの強い一体感をステアリングホイールやペダル、シートから感じとることができる。高速走行でのセンセーションは余すところなくドライバーに伝わり、ドライバーを虜にするだろう。

    アイルトン・セナの不屈の精神はマクラーレンで生き続けており、マクラーレン・セナを通じて、彼が残してきたものが全世界でさらに脚光を浴び、マクラーレン・ブランドとリンクされるようになるだろう。

    「私たち家族は、アルティメットシリーズの新モデルマクラーレン・セナとして名前が冠されることをこの上なく誇りに思っています。アイルトンのレーシング・スピリットや業績と真につながるプロジェクトは、これが初めてです。マクラーレン・セナは、叔父に敬意を表したものです。というのも、ドライバーが最高の自分になれるような、比類なきサーキット・エクスペリエンスを生み出すことに徹底的にこだわっているからです。クルマとドライバーの間には強固でシームレスな関係があり、クルマとドライバーのこのピュアな一体感により、ドライバーは自身が反応すべき状況やクルマに頼るべき状況について知るようになり、その深くて、強烈なエクスペリエンスを通じマクラーレン・セナの優れた性能の虜になるでしょう」とレーシング・ドライバー兼マクラーレン・アンバサダー、ブルーノ・セナは語る。

    マクラーレン・セナの外見はまさに衝撃だ。最初に受ける印象は、猛々しく、容赦ないマシン。その有機的な形状は、絶対的な性能を追求するために意図的に細分化されたデザイン言語の集合体となっている。ダウンフォースとエアロダイナミクスとのバランスを見ればわかるように、このクルマは、“フォルムは機能に従う(form follows function)”というマクラーレンのデザイン哲学を最も純粋な形で表現している。

    ボディーは自然の最も効率的な形状であるティアドロップ型になっており、エアロダイナミクス性能を最適化するために、ボディーの部品はキャビンに“クリップ留め”されたようになっている。マクラーレンのデザイナーたちは思い切った方法をとり、“シュリンクラップ”のボディーを切り開いて、ビジュアル面と機能面の両方で重量の削減を行った。全体のバランスはマクラーレンだが、フロントからリアまで1本の線が通り、機能的なエアインテークまたはベントを通るというのは、これまでのパターンは見られない。

    マクラーレン・セナでは、フロントとリアのアクティブ・エアロダイナミクスが新世代に移行しており、ダウンフォースと空力制御がかつてないレベルにまで向上し、潜在的な性能を最大限にまで追求できるようになっている。ブレーキ中でも、コーナー中間のスロットル調整でも、あるいはコーナー出口での加速においても、ダウンフォースとエアロダイナミクスのバランスが最適化されることを目指し、フロントのスプリッターからリアのダブル・ディフューザーに至る、ボディー・デザインのあらゆる要素が改良されている。

    冷却に関する性能要求も、マクラーレン・セナの全体デザインにおける重要な要素となっている。例えば、リアのクラムシェルは、エアロダイナミクスと冷却性能という2つの要件を満たすために生まれたもので、空気をリア・デッキから逃し、ボディー側面の下側に送る、階段状に並ぶルーバーの前には特徴的な“ガーニー”フラップが付けられている。その結果生まれる低圧のエリアには、ラジエーターとエンジンベイから高温の空気が流れ込み、この空気の流れがリアウィングの効率性に影響が及ばないようにルーバーが機能する。独自のインコネルとチタンで作られたエキゾーストは、“スラッシュ・カット”仕上げの部分が他のマクラーレンと同じくリア・デッキの最下部(トレーリング・エッジにて測定)から出ており、パイプの角度を利用して、排気ガスがリアウィングから排出される。

    スリムな、リアのLEDテールライトへも、ヘッドライトや他の空気関連部品と同じく、細部まで徹底した配慮がなされており、シングルブレードのデザインにより、エアフローのへの干渉が最小化されている。

    リアにあるダブル・ディフューザーは他に類を見ないもの。カーボンファイバーのシングル・ピースとして作られた、このダブル・ディフューザーは、後輪の車軸下から後部へと上に向かって伸びており、クルマの下部の空気の流れを加速させる。その結果、低圧のゾーンが生まれ、マクラーレン・セナをより地面近くに引きつける。もう1つ類を見ないものは、二層構成になっている、巨大なカーボンファイバー製リアウィングで、停車状態では、路面から最大で1,219mmの高さに位置する。油圧で作動し、プラットフォームの表面積が6,500cm2以上もあるこのウィングは、ダウンフォースとエアロダイナミクスのバランスを最適化するための調整を絶えず行い、ヘビー・ブレーキングの際にはエアブレーキとして機能する。

    マクラーレン・セナとの一体感は、ドライバー・シートでも、サーキットでも十分に感じとることができるが、最も親密な関係はもっと前から、つまり乗車の時点から始まる。マクラーレンのF1にインスパイアされたディヘドラル・ドアは、特徴的な低いシルが見えるように、ルーフの一部を伴って上部前方に向かって開き、広い開口部を通じて、ドライバーと同乗者は、ヘルメットやレーススーツを着用していても、簡単にコックピットに出入りできる。

    カーボンファイバーで作られたドアには、2枚のガラス製サイドウィンドーが付いており、上部のガラスは固定され、下部には小型の開口部がある。ドア上部(実質的にはルーフの一部)とドア側の下半分はどちらも、標準装備のカーボンファイバー・パネルの代わりにガラスを指定することもできる。そうすることによって、コックピット内部の空間感覚が向上し、ドライバーとサーキット環境とのあいだの視覚的な一体感が劇的に強まる。ドアのデザインに合わせるように、リリース・メカニズムとウィンドー・スイッチは、ドライバーの頭上にあるカーボンファイバー製コンソールにある、エンジンスタート・ボタンの横に配置されている。

    コックピットの環境は、マクラーレン・セナの他のあらゆる部分と同じように、徹底的に無駄を省いた、機能的な特性が反映されたものとなっている。内部では、カーボンファイバーが明らかに多く使用されている。他の室内装飾を省いたことによって重量が削減され、さらにドアの構造を明らかにする効果が得られている。少しでもグラム数を減らすために、ガス・ストラットも露出している。

    ドライバーの制御エリアは、“乱雑なコックピット”にならないように最小限の装備に留められ、3本スポークのステアリングホイールにはボタンもスイッチも取り付けられておらず、フィードバックを純粋に感覚で受け止められるように配慮されている。ドライバーが必要とする情報は全て、高解像度の折りたたみ式ドライバー用ディスプレイと中央のインフォテインメント・スクリーンから得ることができる。マクラーレンのデザイナーたちは助手席を取り外すことまで考えたほど、余分な手荷物への考慮はされておらず、収納スペースは、Monocage IIIと一体化した、シートの後ろのチェンバーだけで、2人分のヘルメットとレーススーツを入れるには十分な広さとなる。

    マクラーレン・セナの心臓部であり、M840TRというコードネームが付けられた4.0リッターV8ツインターボ・エンジンは、マクラーレンがこれまで生み出してきた中で最もパワフルなロードカー向け内燃エンジンで、最高出力は800PS(789bhp)、最大トルクは800Nm(590 lb ft)。エンジンのドライサンプ潤滑方式とフラットプレーン・クランクシャフトは、モータースポーツをルーツとする技術です。軽量の内部コンポーネントが、パワートレインの質量削減に貢献し、さらに超低慣性のツインスクロール・ターボチャージャーおよび電子制御式ウェイストゲートとの組み合わせによって、光のような速さのスロットル反応を実現する。

    プログラムの当初より、マクラーレンのエンジニアたちは、インテークから燃焼、排気に至る、エンジン全体が機械的なシンフォニーを奏でられるようにするには、ドライバーとの一体感を中心にしたエクスペリエンスが大切だと考えていた。

    デュアルクラッチ、シームレスシフトの7速ギアボックスが、後輪にパワーを伝達する。フルオートマチックモードが初期設定になっているが、ドライバーは、ステアリングホイールの後ろのロッカーに取り付けられたパドルを通じて、ギアシフトの完全マニュアル・コントロールを選択することができる。細長い、カーボンファイバー製のパドルは、レーシング・グローブを着用している時としていない時の両方で使用できるように最適化されており、マクラーレン・セナとの機械的な一体感を深めてくれる。

    マクラーレン 4.0リッターV8ツインターボ・エンジンとトランスミッションの特性は、アクティブ・ダイナミクス・パネルを使ってカスタマイズすることができ、ドライバーは、コンフォート、スポーツ、トラックの中からパワートレインのモードを選ぶことができ、どのモードでも荒々しい性能を実感することができるだろう。

    「マクラーレン・セナは、ドライバーが能力を限界まで発揮できるような、本当の性能を提供します。扱い易く、驚異的なパワーウェイトレシオによって性能をフルに発揮することができる一方で、強烈なエクスペリエンスとともに、世界中の優れたドライバーだけが感じることのできる、興奮とチャレンジも与えてくれます」とマクラーレン・アルティメットシリーズ・ビークルライン担当ディレクター、アンディー・パーマーは述べた。

    レースアクティブ・シャシー・コントロールII(RCC II)油圧サスペンションは、フロントとリアのアクティブ・エアロダイナミクスと超剛性のMonocage IIIと作用し合い、サーキットにおいて、信じられないくらい強烈なエクスペリエンスを生み出す。マクラーレン・セナのあらゆる要素は、あらゆるスピードで、あらゆる状況で、ドライバーとクルマとの一体感を最大化させる設計となっている。ダンピングとステアリング重量についての忍耐強い取り組みの結果、マクラーレン・セナは、性能の上限をはるかに下回っている場合でも“生命力”を十分に実感できるようになっている。サスペンションに十分な負荷がかかっておらず、タイヤがまったく圧迫されていない場合でも、クルマとの一体感を生み出す多様な要素が、ドライバーに送られるフィードバックとミックスされ、空気圧のレベルとコーナリングのスピードが決定される。RCC IIはダブルウィシュボーン式サスペンションで、油圧式で相互接続されているダンパーと従来の機械的なアンチロール・バーにとって代わる油圧装置が追加装備されている。さらに、マクラーレン P1の画期的な油圧装置で初めて導入された、可変剛性と最低地上高の技術もさらに進化している。

    アダプティブ・ダンパーは、左右前後が油圧式で相互接続されているほか、1つのダンパーに2つのバルブが付いており、圧縮とリバウンドを独立して調整することができる。マクラーレン・セナの場合、剛性は、Kダンパーとも呼ばれる、キネティック・ロール・システムを使って個別に制御される。継続的な変更が可能なRCC IIシステムにより、マクラーレン 720Sで初めて導入された制御戦略がさらに進歩し、レース・モードが追加された。このモードにより、より低い最低地上高、より低い重心、剛性が大幅に増加したサスペンションでの走行が可能となる。

    マクラーレン・セナのブレーキ・システムは、マクラーレンのロードカーに搭載のものでは最先端で、カーボンセラミックのディスクとモータースポーツ由来の技術の組み合わせが極限の性能を実現しています。タイヤの選択も重要視されており、マクラーレンの技術パートナーであるピレリの協力により、ビスポークのPirelli P Zero(TM) Trofeo Rタイヤが開発された。ホイールのスタイルは、レーススタイルのセンターロック・システムを採用した、超軽量合金ホイールのみとなっている。

    マクラーレン・セナは、イングランドのマクラーレン・プロダクション・センターにおいて、手作業で組み立てられる。生産台数は500台限定で、価格は675,000ポンド(日本向け税込価格)から、そしてすでにオーナーが決定している。

  • マクラーレン、アイルトン・セナの名を冠した『マクラーレン・セナ』発表

    マクラーレン、アイルトン・セナの名を冠した『マクラーレン・セナ』発表

    マクラーレンは、伝説のF1ドライバーであるアイルトン・セナの名を冠したスポーツカー『マクラーレン・セナ(McLaren Senna)』を発表した。

    マクラーレン P1をベースにした『マクラーレン・セナ』は、最高出力800ps、最大トルク800Nmを誇るを発生させる4リッター V8ツインターボエンジンをミッドシップに搭載。マクラーレン史上で最もパワフルなスポーツカーとなる。

    マクラーレン・セナは、エアロダイナミクスが追及され、フロントとリヤにはスロットル開度によってアクティブに制御する可変式のウイングが搭載され、コーナリングやブレーキングなど、状況に応じて最適な空力効果するようにようセットアップされている。車体は徹底的に軽量化が施され、車両重量は1198kgを実現。駆動方式はRWDとなり、トランスミッションには7速DCTを組み合わせられる。

    マクラーレン・セナは、英国のマクラーレン・プロダクション・センターで手作業で組み立てられる。生産は500台限定となり、すでに完売。売り上げの一部はアイルトン・セナ財団に寄付される。

    アイルトン・セナは、1988年から1993年までマクラーレンに所属。マクラーレン・ホンダ時代に3度のワールドチャンピオンを獲得している。

    マクラーレン・オートモーティブのCEOを務めるマイク・フルーウィットは「マクラーレン・セナは比類なきクルマです」とコメント。

    「マクラーレンのモータースポーツでのDNAが具現化されており、公道での走行も可能だが、そもそもはサーキットでの活躍を目指してデザインおよび開発された。このアルティメットシリーズの新モデルに込められた全ての要素が、優れた性能を生み出すための妥協なき姿勢を示しています。このクルマには、ドライバーとマシンとの一体感を可能な限り純粋な形で結実させるための工夫が凝らされており、サーキットにおける究極のドライビング・エクスペリエンスはまさにマクラーレンならではです」

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  • ホンダのF1エンジニアが語る「アイルトン・セナとの思い出」

    ホンダのF1エンジニアが語る「アイルトン・セナとの思い出」

    ホンダのF1エンジニア 岡田研が、アイルトン・セナとの思い出を語った。

    過去に活躍した人物は、往々にして実際の働きよりも大きく評価される傾向にある。それは、現代に生きる我々が、直にその活躍を見ることができない以上、仕方のないことだと言えるだろう。

    だが、アイルトン・セナの場合は違う。

    ブラジル出身のアイルトン・セナは、国内だけでなく、世界中のF1ファンから尊敬の対象となっている。そんなセナが獲得した3度のタイトルは、1980年代後半~90年代前半にF1界を席巻したマクラーレン・ホンダとともに手にしたものだった。当時、彼と一緒に仕事をした人々は、セナから大きな影響を受けたと言う。

    岡田研は、1991年にエレクトロニクス分野のエンジニアとしてマクラーレン・ホンダに加入。最初に一緒に仕事をしたドライバーがセナでした。現在はチームのERSエンジニアとして働く岡田が、ブラジルGPを前に当時を振り返ってくれた。

    「初めて一緒に働いたF1ドライバーが、アイルトンとゲルハルト(ベルガー)でした。雑誌やホンダ内での情報で、もちろんセナのことは知っていましたし、私がテストチームで働き始めた頃には、すでに彼はスーパースターになっていました。大学生の時、テレビで見たレースで彼がホンダのマシンをドライブしていて、こんな人と一緒に働けたらいいな、と思っていましたね」と岡田研はHonda Racing F1の公式サイトで語った。

    「当時、チームで一番の若手だった私は、アイルトンに話しかけるのにビビッてしまって(笑) でも、私の上司はアイルトンととても親しかったですね。アイルトンも我々みんなとフレンドリーに接してくれました。当時、チームが遠征でヒースロー空港に集合していて、アイルトンが私たちを見つけるとすぐに、陽気に会話の輪に加わってきたものでした」

    アイルトン・セナの接し方にはスタイルがあった。それは、エンジニアの持っている情報で知りたいことがあれば、相手が多少嫌な思いをしようが聞き出す、というものだった。

    「彼は技術分野やエンジンコントロールの方法まで、何にでも興味を持つ人でした。移動の際にアイルトンが我々を見つけると、我々の中から自分の知りたい分野のエンジニア1人を助手席に乗せて、質問攻めにするんです」

    「話している中で、興味をそそることがあると、彼は前を見ずに10秒も20秒も助手席を向いてしまうんです(笑) 助手席にいる方としては、たまったもんじゃないんですが、アイルトンは“周りで起きていることは全部把握しているから心配するな”と言っていましたね」

    当時、チームはレースウイーク以外のテスト走行を無制限に行うことができた。岡田のいたテストチームはセナと緊密に連携していたが、そこで有名なアラン・プロストとのライバル関係の一因を知ることになる。

    「走行を終えて戻ってくると、アイルトンはマシンから飛び出して僕らのところへ向かってくるんです。そこでデータを見せると、彼は本当にいいフィードバックをしてくれました。当時はドライバーがエンジニアに直接指示して、フロントエンドをミリ単位、フラップの角度を1度単位での変更の指定していました。今はドライバーがエンジニアにドライビングでのフィーリングを伝えたら、エンジニアが空力やエンジンのセットアップをどう変えるかを決定しますから、やり方はかなり違っていますね」

    「これはプロストとアイルトン、両方と仕事をしていた同僚から聞いた話なのですが、プロストはセットアップが得意で、アイルトンはそのレベルには達していなかったそうなんです。そこで、アイルトンがプロストのセットアップを真似したところ、かなり速くなって勝てるようになった。それを知ったプロストは怒って、自分のセットアップをアイルトンに隠すようになったそうです」

    このライバル関係は、周囲の人々すべてを緊張させ、1989年の日本GPでの出来事のように、火がついてしまうこともあった。しかし、アイルトン・セナにはホンダとの絆があり、お互いを尊重し合っていたと、岡田は信じている。

    「彼が僕らのすることに興味を示し、積極的に関与してくれたことは、ホンダを大いに奮い立たせました。F1の世界では欧州の文化がかなり強く反映されています。我々は日本人だし、彼はブラジル人。両方ともヨーロッパの考え方とは違うものを持っているわけで、F1という世界で、かなり似たような立場だったのではないかと僕は思います。それに、ブラジル人と日本人には、歴史的に深いつながりもありますから」

    アイルトン・セナがF1で残した実績というと、勝利数やタイトルが注目される。しかし、岡田はセナの本当のすごさは、小さな事柄ながら誰にも真似できない部分にあると言います。

    「一つは、無線でのやり取りです。ほとんどのドライバーは、操作の少ないストレート走行時に無線での会話をしていましたが、アイルトンはコーナリング中に話すんです。当時の無線にはノイズキャンセリングシステムがありませんでしたから、エンジンの回転数が低くなるコーナーのほうが聞き取りやすかったのは事実です」

    「普通、ドライバーはコーナリング中に息を止めて、ストレートでまた呼吸をするものですが、アイルトンはノイズによってチームに自分の意図が間違って伝わる可能性を考えたのでしょう。これにはとても驚きました」

    「もう一つは、安全性への意識の高さです。1992年、ドイツのホッケンハイムでテストを行ったとき、当時ベネトン所属でF1キャリア2年目のミハエル・シューマッハも参加しました。走行中、ミハエルがアイルトンを、まるでレースのようにアグレッシブな動きで抜いていったんです。すると、アイルトンはピットに戻るなりマシンを飛び降りて、ベネトンのガレージへ駆けていきました」

    「レースとテストは違う、という彼の考えがよく表れた出来事でした。テストでは、マシンの細かな動きにまで集中するのがアイルトンのやり方ですし、当時はすべての走行でさまざまなことをテストしていました。その評価に集中しているときに、シューマッハがテストには不必要な危ない動きで飛び込んできたので、アイルトンは怒ったのでしょう」

    アイルトン・セナの姿勢や手法は当時としても、かなり独特のものだった。そして、わずかな違いを見分ける注意力においても、彼はずば抜けた能力を発揮していた。

    「私はソフトウエアの担当でしたが、90年代前半にはマシンのダッシュボードにデジタル画面があり、エンジン回転数などの表示をソフトで操作していました。当時、ECU(エンジンコントロールユニット)から0.1秒ごとに回転数が送信されていたのですが、あるときピットに戻ってきたセナが“コーナーでデータ送信が止まることがある”と教えてくれたんです」

    「ECUチェッカーを使い、似たような状況を再現して調べたところ、1時間に1回くらいの割合で、0.2秒ほど送信がフリーズすることが分かりました。驚いたことに、アイルトンは、こんなわずかな違いを、全開で走行しながら感じ取ることができたんです」

    それから25年、岡田は同じことができるドライバーと出会えたのだろうか?

    「いやいや、一人もいませんよ」と笑って答えた岡田。「アイルトンと仕事をしたと言えるのが、私の誇りです。彼は素晴らしい人物で、たくさんの思い出を残してくれました」

  • エイドリアン・ニューウェイが語るアイルトン・セナの事故死への“罪悪感”

    エイドリアン・ニューウェイが語るアイルトン・セナの事故死への“罪悪感”

    エイドリアン・ニューウェイは、なぜ自分がアイルトン・セナの死について“有罪”であると感じているかについて、自らの自伝で1994年のサンマリノGPでの事故で命を落とす前にアイルトン・セナのウィリアムズに加えた変更を詳細を説明しながら語った。

    ウィリアムズ FW16のチーフデザイナーだったエイドリアン・ニューウェイは、これまでにもクラッシュについての見解を示している。

    しかし、今週発表された自伝『How to Build a Car』のなかで、アイルトン・セナのクラッシュを取り巻いた環境、その前にセナのクルマに加えていた変更についてさらに詳しく分析した。

    エイドリアン・ニューウェイによると、当初、ウィリアムズはクラッシュの原因はアイルトン・セナのマシンで改良が加えられていたステアリングコラムの故障だと考えていたが、アイルトン・セナの後ろを走っていたミハエル・シューマッハのオンボード映像を確認して、彼らは心を変えたという。オンボード映像では、アイルトン・セナのクルマは、最初にステアリングの故障に一致するフロントではなく、リアのトラクションを失っていたためだ。

    アイルトン・セナのステアリングコラムは、ドライビングポジションを改善するために改良されていた。エイドリアン・ニューウェイは、ステアリングコラムの位置を変更し、あるポイントで直径を小さくする計画を進めた。

    エイドリアン・ニューウェイは、その変更を“2つの非常に悪いエンジニアリングの要素”だと表現し、「パトリック(ヘッド)と私に責任がある」と述べた。

    事故後、ウィリアムズはステアリングコラム設計のテストを実施。直径の縮小とシャフトに疲労亀裂が入っているにも関わらず、カラムはまだ機能していることが判明した。それでも、エイドリアン・ニューウェイは、まだクラッシュについて“有罪”だと感じていると語る。

    「私は偉大な男の命を奪ったクルマを設計したチームの上級役員の一員だった」とエイドリアン・ニューウェイは述べた。

    「ステアリングコラムが事故を引き起こしたかどうかに関わらず、それが決してクルマに施されることを許されるべきではない悪い設計だったという事実は免れない」

    アイルトン・セナは、ウィリアムズでの最初の2戦で競争力のないマシンに苦しみ、ポイント獲得に失敗していた。エイドリアン・ニューウェイは、アイルトン・セナが自分の設計上の欠点を補うためにクルマを限界を超えてプッシュしていたと感じていると語った。

    「私が最も罪悪感を感じているのは、ステアリングコラムの故障が事故を引き起こした可能性ではなく、私がクルマの空力をめちゃくちゃにしていたという事実だ」とエイドリアン・ニューウェイは語る。

    「私は(1993年の)アクティブサスペンションからパッシブへの移行に混乱し、空力的に不安定なクルマを設計した。アイルトンはそのクルマではできないことにやろうとしていた」

    「彼がパンクしていかどうかに関わらず、空力的に不安定なクルマで、速いがバンピーなインサイドのラインを取ったことで、彼をもってしてもクルマをコントロールするのは難しかっただろう」

    また、エイドリアン・ニューウェイは、マウリツィオ・パッサリーニ検事によるアイルトン・セナの死に対する裁判に疑念を抱いていることを明かした。

    「過失ではなかったにしろ、私はこれからもアイルトンの死に対して責任を感じていくだろう」とエイドリアン・ニューウェイは述べた。

    「(ローランド)ラッツェンバーガーのケースが何かが隠されたまま非常に簡単に片づけられたことは、パッサリーニの主な動機が個人的な栄光と評判なのかもしれないという疑念を私に抱かせた」

  • マックス・フェルスタッペン、アイルトン・セナとの比較にも冷静

    マックス・フェルスタッペン、アイルトン・セナとの比較にも冷静

    マックス・フェルスタッペンは、アイルトン・セナと比較されても浮き足立つことはない。

    F1ブラジルGPでのマックス・フェルスタッペンのパフォーマンスは、同じように雨のレースとなった1993年のドニントンでのアイルトン・セナの驚異的な走り以来となるF1でのベストパフォーマンスだったとの呼び声が高い。

    実際、ライバルチームのメルセデスのニキ・ラウダは、レース後、父親のヨス・フェルスタッペンと話す際に珍しく有名な赤いキャップを脱いでマックスのパフォーマンスを称えた。

    「彼が頻繁にそうすることはないので、彼が父にそうしたのを見てとても嬉しかったよ」とマックス・フェルスタッペンはコメント。

    アイルトン・セナとの比較を誘発したのは、マックス・フェルスタッペンが、インテルラゴスで通常のレースライン外でより多くのグリップを見い出したことにある。

    「セーフティカーの後ろですでに多くの異なるレーシングラインを試していた」とマックス・フェルスタッペンは認める。

    「クルマは大きいけど、ちょっとカートのようだったね。でも、限界では滑りに滑っていたよ。

    まるでアイルトン・セナのようだったと話されることに関して、マックス・フェルスタッペンは冷静さを失わない。

    「そう書かれることは本当にいいことだけど、冷静で落ち着いたままでいることが重要だ」

    「常に改善を続けなければならない。決して十分というものはないからね」

    関連:【動画】 マックス・フェルスタッペンの雨のドライビングに称賛の嵐

  • 伊勢丹新宿店 「アイルトン・セナ 栄光の軌跡展」開催

    伊勢丹新宿店 「アイルトン・セナ 栄光の軌跡展」開催

    伊勢丹新宿店は、6月1日(水)から「アイルトン・セナ 栄光の軌跡展」を開催する。

    1994年 F1サンマリノGPのレース中の事故で不慮の死を遂げたF1界のスーパースター、アイルトン・セナ。

    「アイルトン・セナ 栄光の軌跡展」は、ブラジルの英雄である、アイルトン・セナの生き方やドライビングに対する考え方、F1にかけた思い、次世代の子どもたちに向けたメッセージを伝える記念展となる。

    セナ財団の後援により、アイルトン・セナの家族が保管しているヘルメットやレーシングスーツなど貴重な愛用品を展示。また、当時の写真や映像も紹介される予定。

    会場内では、アイルトン・セナ関連の書籍や雑誌をはじめ、Tシャツ・キャップ・モデルカーなど50点以上のグッズも販売。ここでセナ財団が得る収益は、ブラジルの恵まれない子供たちの救済に使われる。

    「アイルトン・セナ 栄光の軌跡展」

    開催期間:2016年6月1日(水)〜6日(月)<最終日は18時終了>
    開催場所:伊勢丹新宿店・本館7階 催物場
    後援:駐日ブラジル大使館

  • ジャン・トッド 「アイルトン・セナはフェラーリ移籍を望んでいた」

    ジャン・トッド 「アイルトン・セナはフェラーリ移籍を望んでいた」

    ジャン・トッドは、フェラーリのチーム代表を務めていた1994年にアイルトン・セナがフェラーリへの移籍を望んでいたことを明かした。

    「彼はフェラーリに来たがっていたし、フェラーリも彼がほしかった」とジャン・トッドは Auto Bild に語った。

    「1993年に彼と長い話し合いをした。私が魅了されたのはその声だ。とてもゆっくりとしており、非常に明確な話し方だった」

    だが、当時フェラーリはすでにジャン・アレジとゲルハルト・ベルガーと契約を結んでいた。

    それを告げると、アイルトン・セナは「F1では契約など何の価値もないではないか」と言ったが、ジャン・トッドはアイルトン・セナの要求を拒んだ。

    だが、ジャン・トッドは「私はもう一度彼に電話をして、1995年についてのオファーをしたが、すでにウィリアムズに決めたと断られた」と語った。

    アイルトン・セナは、1994年のF1サンマリノGPの事故で34歳の若さでこの世を去った。

  • アイルトン・セナ、自身の役にシルベスター・スタローンを望んでいた

    アイルトン・セナ、自身の役にシルベスター・スタローンを望んでいた

    シルベスター・スタローンは、アイルトン・セナが自身の人生を映画化する際にはスタローンに演じてほしいと語っていたことを明かした。

    ロッキー・バルボアやジョン・ランボー役で知られるシルベスター・スタローンは、以前からモータースポーツに興味を持っており、2001年には映画“ドリヴン”の制作、脚本、出演を務めた。

    アイルトン・セナが亡くなる前に、2人は映画化ついて頻繁に話をしていたとシルベスター・スタローンは語った。

    アイルトン・セナから送られたヘルメットをオークションに提供したシルベスター・スタローンは「アイルトン・セナは史上最も偉大なドライバーの1人であり、彼は私に自身の人生を演じてほしいと願っていた」とコメント。

    「何年も前のことだが、私たちはよく電話で話していた。彼は、『あなたなら本当にうれしい。あなたの映画が好きなんだ』と言ってくれた。私はどうもありがとうと答えた。彼について詳しく調べていき、私たちはよく電話で話すようになった」

    「彼は『このカラーをあなたに見てもらいたい。黄色と黒でまるでロッキーのようなカラーなんだ』と言っていた。そして送られてきたのがこのヘルメットだ。もちろん、こんなヘルメットを見たのは初めてだった」

    「ところが、残念なことに彼はあの酷い事故で亡くなってしまった。それからはとても映画を撮ろうなどという気分にはなれなかった。あまりにも辛かった」

    「だが、これ(ヘルメット)は彼が私に送ってくれたものだ。15年もの間、家に飾ってきた。本当に素晴らしい」

  • フェリペ・マッサ、アイルトン・セナの始めてのF1カーで走行

    フェリペ・マッサ、アイルトン・セナの始めてのF1カーで走行

    フェリペ・マッサは、アイルトン・セナが初めて走らせたF1カー『ウィリアムズ FW08C』を今週のAutosport Internationalで走らせることになった。

    1983年にケケ・ロズベルグとジェック・ラフィットがレースを戦ったコスワース製エンジンを搭載するFW08Cは、アイルトン・セナが1983年7月にドニントン・パークで初めてテストで走行したF1カーだった。

    フェリペ・マッサは、バーミンガムのNECで開催されるショーのなかで、日曜日の午後にLive Action Arenaでウィリアムズ FW08Cを走らせる。

    また、ウィリアムズのモーターホームには、さらに8台のF1カーが特別展示される。

    ウィリアムズからはクレア・ウィリアムズ、パット・シモンズ、ロブ・スメドレーといった幹部が参加。また、元ワールドチャンピオンのデイモン・デルも出席する。

  • ルイス・ハミルトン、アイルトン・セナ仕様のヘルメットを用意

    ルイス・ハミルトン、アイルトン・セナ仕様のヘルメットを用意

    ルイス・ハミルトンは、子供の頃からのアイドルだったアイルトン・セナの祖国ブラジルで、ヘルメットの後部をセナの特徴的な黄色と緑色をあしらったカラーリングに変更した。

    アイルトン・セナに憧れ、尊敬し続けるルイス・ハミルトンは、今年、セナの生涯勝利数と同じ41勝を記録し、ワールドチャンピオンの獲得数も3回に達してアイルトン・セナと肩を並べた。

    ルイス・ハミルトンは、まだインテルラゴスのレースを制したことがなく、今年こそ表彰台の頂点に立って憧れのアイルトン・セナに“挨拶”したいと意気込んでいる。

    今週初めにヘルメットカラーの変更を明かしていたルイス・ハミルトンは、F1ブラジルGPが開幕した13日(金)にお披露目。

    FIAはヘルメットデザインの変更を禁止しているが、ルイス・ハミルトンがマシンに乗ると見た目にはヘルメットに変化がないことから、新ルールには抵触しないようだ。

    この新しいルールは、ドライバーがヘルメットのデザインを頻繁に変更するのではなく、ひと目でどのドライバーであるかを認識できるようにするために導入された。

    ヘルメットをしばしば変えることで知られるセバスチャン・ベッテルも、今シーズンに何度かルールの範囲内で微調整を加えている。

    ルイス・ハミルトンは一度、F1マレーシアGPで青と緑のヘルメットをかぶろうとしたが、こちらはルールに違反するとして実現しなかった。

    また、変更が加えられたヘルメット後部には、ラップアーティストである2パックのアルバム名である『Still I Rise(スティル・アイ・ライズ/それでも僕は立ち上がる)』のスローガンが掲げられ、その上部にはセナ基金のロゴが張られている。