カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • アストンマーティン・ホンダF1、タイトル連覇を掲げる“BHAG”構想

    アストンマーティン・ホンダF1、タイトル連覇を掲げる“BHAG”構想

    2026年からホンダのワークスチームとして新時代に挑むアストンマーティンF1が、明確な目標を掲げた。チーム代表兼CEOのアンディ・コーウェルは、「頂点に立ち、そこに居続ける」というビジョンのもと、“BHAG(Big Hairy Audacious Goal)”としてタイトル連覇を目指すと語った。

    エイドリアン・ニューウェイとエンリコ・カルディーレの加入により技術体制を刷新した同チームは、新ファクトリーと風洞設備の完成を経て、本格的な王者プロジェクトを始動。

    コーウェルの言葉どおり、アストンマーティン・ホンダF1は“挑戦者”から“王者志向チーム”へと進化を遂げようとしている。

    コーウェルが語る“頂点に立ち、そこに居続ける”ビジョン
    アストンマーティンF1のアンディ・コーウェルは、将来的に“連続タイトル獲得”というチーム目標を達成できると確信していると語った。「頂点に立ち、そして頂点に居続ける」という明確なビジョンを共有したかたちだ。

    かつてレーシングポイントとして戦ってきたチームは2021年にアストンマーティンへと生まれ変わり、その後、体制強化を進めてきた。マネージングテクニカルパートナーのエイドリアン・ニューウェイ、チーフテクニカルオフィサーのエンリコ・カルディーレなど、著名エンジニアが次々と加入。また、シルバーストンの新ファクトリーも稼働し、2025年には新風洞が本格運用を開始している。

    アストンマーティンの“BHAG”──ニューウェイ体制で現実味は増すか
    コーウェルは2024年10月にCEOとして加入し、2025年1月からチーム代表も兼任。チーム公式YouTubeのインタビューで「大きな、大きなゴール」について語った。

    「正直であること、過剰に約束しないこと、そして焦点をひとつに絞ること──それはレースカーだ。すべてはレースカーに帰結する。全員が『そのレースカーのために何をするのか』と考えるべきなんだ」

    「大きく、みんなが“不可能だ”と思うような目標を掲げ、それを可能にする。それがチームワークだ。頂点に到達し、そこに居続けるというビジョン。私は“BHAG”と呼んでいる。Big Hairy Audacious Goal(大きく、大胆で、無謀に見える目標)だ」

    その“BHAG”とは何かと問われると、コーウェルは明確に答えた。

    「複数のタイトルを、連続で獲得することだ」

    それは実現すると信じているのかと追及されると、彼は迷いなく言い切った。

    「我々はそのために努力している。そう、実現する」

    さらに「偉大さとは何か」についても触れた。

    「チームワークだ。工学ビジネスとして、チームで働き、レースカーのために尽くすということだ」

    成功を急ぎたいスタッフもいるはず、という質問にはこう返した。

    「そのハングリーさを持とう。私自身にもそれがある。達成したと感じる日は一日もない」

    現在、アストンマーティンはコンストラクターズランキング7番手(69ポイント)。6番手レーシングブルズとはわずか3ポイント差と、ミッドフィールドは混戦となっている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    アストンマーティンの“連覇宣言”の真意
    アストンマーティンは明らかに「トップチーム化の第2フェーズ」に入っている。ニューウェイとカルディーレの獲得、新施設の本格稼働、そしてコーウェルの指揮。単なる上位争いではなく、「王者文化の構築」が合言葉だ。

    “BHAG”という表現は、内部マネジメントにおける“文化スローガン”の色合いが強い。ただし、目標を“連覇”と明言した点は、現場とファン双方への強烈なコミットメントでもある。アストンマーティンが中長期的にチャンピオンチームへと変貌するための、方向性の明確化ともいえるだろう。

    現実的障壁:2026年PU時代と競合勢力
    2026年にホンダとのワークス体制が本格化するものの、その過程には依然として多くの未知数が存在する。新世代パワーユニット(PU)規定の下で性能バランスがどのように変化するのか、レッドブル、メルセデス、フェラーリといったトップ勢との技術競争をどこまで拮抗できるのか、さらに急速な組織拡大に伴うオペレーション面での課題をどう克服するかが大きな焦点となる。コーウェルが掲げる“連覇”のビジョンを現実のものとするには、まず単発的な勝利ではなく、安定して勝利を重ねられる体制づくりが不可欠だ。

    評価:野心は本物、時間軸が鍵
    アストンマーティンは現在、「挑戦者」から「王者志向チーム」へと明確に進化を遂げつつある。しかし、頂点に到達し、そこに居続けるためには、継続的な技術革新に加え、フェルナンド・アロンソとランス・ストロール以降を見据えたドライバーラインアップの安定、そしてチームマネジメントの成熟が求められる。現時点ではやや強気にも映るコーウェルの発言だが、その裏にはチーム全体の士気を高め、組織をひとつにまとめ上げるための明確なリーダーシップ戦略がある。野心の方向性は正しく、あとはそれを実現へと導く時間軸のマネジメントが問われることになる。

  • ローレンス・ストロール「アストンマーティンをF1世界王者にするまで諦めない」

    ローレンス・ストロール「アストンマーティンをF1世界王者にするまで諦めない」

    アストンマーティンF1チームのオーナーであるローレンス・ストロールが、チームを世界王者に導くという「使命」を達成するまで「決して諦めない」と力強く語った。

    カナダ出身の実業家ストロールは、2022年末にレーシングポイントを買収してチームを率い始めて以来、アストンマーティンをF1の強豪チームへと押し上げるべく巨額の投資を続けている。

    ニューウェイ&カルディーレ加入で技術陣を強化
    チームはシルバーストンの本拠地を大幅に拡張し、最先端のファクトリーを新設。さらに人材面でも積極的に補強を進め、レッドブルからエイドリアン・ニューウェイ、フェラーリからエンリコ・カルディーレを迎え入れるなど、技術部門の陣容を大きく強化した。

    2026年からはホンダと提携し、初の「ワークスチーム」として新時代を迎える。これにより、パワーユニットとシャシーを一体で設計できる体制が整うことになる。

    「僕は諦めない。目標は世界王者になることだ」
    ストロールはチーム公式YouTubeチャンネルで次のように語った。

    「チーム全体がひとつにまとまりつつあり、来年の大きなレギュレーション変更を心待ちにしている。ホンダとともにワークスチームとして新しい挑戦を迎えるのは、これまでとはまったく異なる経験だ。顧客エンジンとして与えられるのではなく、パワーユニットと一体で設計できるというのは大きなことだよ」

    「とてつもなくワクワクしている。僕は執念深い。使命を果たすまで決して諦めない。今回の使命は、世界チャンピオンになることだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダ F1

    2026年もアロンソとストロールのコンビ継続
    アストンマーティンは2026年シーズンもフェルナンド・アロンソとランス・ストロールのラインナップを維持する。これで4年連続の同じコンビとなる。

    アロンソはここまで31戦連続でストロールを予選で上回っており、今季もチームを牽引する存在だ。しかし、両者のポイント差はわずかで、ランス・ストロールの評価については依然として意見が分かれている。

    そのため、アストンマーティンにとって今後12カ月は重要な決断の時期となるだろう。もしアロンソがキャリアに区切りをつける場合、チームは次のスター候補を探す必要がある。

    アストンマーティンの真価が問われる“ワークス元年”
    2026年のホンダ製パワーユニット導入により、アストンマーティンは名実ともにトップ争いへ踏み出すことになる。ニューウェイとカルディーレによる技術的飛躍が実現すれば、ストロールの「世界王者への使命」は現実味を帯びるかもしれない。

    チームが夢見る“初タイトル”は、ストロール父子が掲げてきたプロジェクトの最終章となる可能性が高い。

  • ホンダF1 アストンマーティンと挑む“第5期”「継続的にF1で戦い続ける覚悟」

    ホンダF1 アストンマーティンと挑む“第5期”「継続的にF1で戦い続ける覚悟」

    ホンダがF1の新たな時代へと歩み出す。1965年のメキシコGPで初優勝を挙げた伝説のマシン「RA272」が再びサーキットを走り、角田裕毅がそのステアリングを握った。創業者・本田宗一郎が掲げた「世界の頂点で戦う」という理念は、60年の時を経て現代に受け継がれようとしている。

    2026年、ホンダはアストンマーティンとタッグを組み、“第5期”として完全ワークス体制でF1に復帰する。

    三部敏宏CEOと渡辺康治HRC社長が掲げるのは「継続的にF1で戦い続ける覚悟」。過去の栄光と撤退を繰り返してきた歴史を乗り越え、ホンダは再び“挑戦するDNA”を胸に、新たな章を切り開く。

    ホンダ、F1復帰へ──過去へのオマージュと未来への布石
    ホンダはメキシコシティでの特別な週末を通じて、モータースポーツの原点と未来をつなぐ姿勢を鮮やかに示した。1965年のメキシコGPで初優勝を飾った伝説のマシン「RA272」が60年の時を経て再びサーキットに姿を現し、角田裕毅がそのステアリングを握ったのだ。創業者・本田宗一郎の「世界の頂点で勝負する」という精神が、2026年のアストンマーティンとのワークス復帰という新たな挑戦へと受け継がれている。

    日曜の朝、Autódromo Hermanos Rodríguezに響き渡ったのは、往年のホンダV12の咆哮。ピットレーンの一角で、白地に赤い日の丸をあしらったRA272が火を吹き、フェラーリのメカニックたちまでもがスマートフォンを構えた。角田裕毅が小さなコクピットに収まると、エンジンが短く唸りを上げ、60年前と同じコースを再び走り出した。

    1965年メキシコGP──ホンダ初勝利の原点
    1965年の最終戦メキシコGPは、1.5リッター時代最後のレースだった。すでにタイトルはジム・クラークに決まっており、いくつかのチームはやや気の抜けた状態で臨んでいた。しかしホンダは違った。標高2200メートルを超える高地に挑むべく、早朝6時から9時まで追加の練習走行を重ね、燃料混合やインジェクションの最適化に没頭した。

    その成果は圧倒的だった。リッチー・ギンサーとロニー・バックナムは予選で快走を見せ、ギンサーはクラーク、ダン・ガーニーに次ぐ3番手を獲得。決勝ではスタート直後に2人を抜き去り、終始トップを独走。ガーニーの猛追を振り切って、2.89秒差でホンダに初優勝をもたらした。

    レース後、チームマネージャーの中村良夫は東京の本社に「Veni, vidi, vici(来た、見た、勝った)」という電報を送った。ニューヨーク・タイムズは「ホンダの勝因は綿密なセッティング」と報じ、「小柄で陽気なギンサーは、これで真のチャンピオン候補になった」と称えた。だがそれは彼にとって最初で最後の勝利でもあった。

    ホンダ F1 本田技研工業

    本田宗一郎の理念──“世界の頂点で戦う”という夢
    「ホンダがまだとても小さな会社だったころ、創業者の本田宗一郎は“存在感を持つにはトップカテゴリーで戦う必要がある”と考えました」と語るのは、現ホンダCEOの三部敏宏氏だ。

    ホンダは1959年にマン島TTレースで二輪の世界に挑み、翌1961年には初勝利。四輪では1962年にF1参戦を決断し、まだ市販車さえ発売していなかった時代に、モータースポーツの頂点へと歩みを始めた。「誰もが驚きました。従業員も驚きました」と三部氏は笑う。「そして翌年、ここメキシコで初勝利を挙げました」

    2026年、ホンダは再び“ワークスチーム”としてF1に復帰する。ただし、そのカラーは赤ではなく“グリーン”──つまりアストンマーティンとの提携による新時代の幕開けだ。

    「第5期」への決意──ホンダのDNAを未来へ
    ホンダのF1参戦は波のように繰り返されてきた。マクラーレンと組んだ2015年の復帰から、レッドブルとの黄金期、そして2021年の撤退を経て、再び完全ワークス体制に戻る。

    「次の参戦を“第5期”と呼んでいます」と三部氏は語る。「これまでの各期の社長は“レースは金がかかる”として撤退を決めたこともありました。しかしホンダの社員は皆、レーシングDNAを持っています。だからこそ、もう一度安定した参戦を目指すことにしました」

    HRC社長の渡辺康治氏もこう続ける。「目標は“第6期をつくらない”ことです」と笑う。「つまり、撤退を繰り返さず、継続的にF1で戦い続ける覚悟です」

    コストキャップ時代の挑戦──技術と持続性の両立
    三部CEOは「F1は世界で最も金のかかるレースです」と語る。コストキャップ(予算上限)への対応は不可避であり、HRCはパフォーマンス部門を強化しながら、効率的なリソース管理を模索している。

    「ハイテク分野であるF1では、単純に削減はできません。新しい技術開発を続けるためにはバランスが必要です。コストキャップを守りつつ競争力を維持することが新たな挑戦になります」と三部氏は言う。

    ホンダ F1 HRC(ホンダ・レーシング)

    2026年、アストンマーティン・アラムコ・ホンダへ
    2026年、ホンダがアストンマーティンとともに投入する新パワーユニットは、持続可能燃料と100%ハイブリッド化を両立させた新世代仕様となる。アストンマーティンはすでにエイドリアン・ニューウェイを招聘し、400,000平方フィート規模の新テクノロジーキャンパスを完成させた。

    F1史上屈指の空力デザイナーとホンダのエンジニアリングが融合するこの布陣は、レッドブル黄金期の再来を予感させる。これまでホンダはエンジンメーカーとして89勝、6度のドライバーズタイトル、6度のコンストラクターズタイトルを誇る。

    ギンサーが初優勝を飾ったRA272が象徴する「夢への挑戦」は、2026年に“アストンマーティン・アラムコ・ホンダ”として新たな章を迎える。ホンダの物語は、まだ終わらない。

    ホンダ復帰の意義とF1の新局面
    ホンダの復帰は単なるブランドイメージ回復ではない。電動化・脱炭素化を推し進める企業として、F1という「技術実験場」を再定義する意味を持つ。アストンマーティンとの提携は、従来の「エンジン供給者」という枠を超え、共同開発型のテクノロジーパートナーとしての地位を築くものになる。

    一方で、HRCの開発スピードとニューウェイ主導の車体設計との整合性、そして限られたコスト内での技術革新が鍵を握る。2026年のホンダは、60年前と同じように“未知”に挑む立場にある。

    RA272が象徴する「創造の原点」を胸に、ホンダは再び世界の頂点を目指す。60年前に始まった夢の続きが、2026年のF1で再び現実になる。

  • エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティンF1に「レッドブル初期のデジャヴ」

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティンF1に「レッドブル初期のデジャヴ」

    アストンマーティンのマネージング・テクニカル・パートナーとして新体制を率いるエイドリアン・ニューウェイは、2026年の新レギュレーション導入に向けた準備を加速させている。チームの文化や人材を把握する中で、彼はかつてレッドブル加入当初に感じた「自己不信」と「惰性」の空気に似た“デジャヴ”を覚えたという。

    ニューウェイは今年、レッドブル退任後にアストンマーティンへ移籍し、チームの株主でもある新職「マネージング・テクニカル・パートナー」に就任。

    ターゲットは明確に2026年――新しいシャシーおよびパワーユニット規定が導入される年だ。

    アストンマーティンは新ファクトリーや風洞施設などに巨額投資を行っており、タイトル争いへの準備を進めている。

    ニューウェイはこれまでF1で通算26度の世界タイトルに関与しており、その経験から“成功を妨げる文化的課題”を語った。

    「レッドブル初期と同じ空気がある」
    「3月に仕事を始めたばかりで、まだ判断するのは難しい」とニューウェイは語る。

    「2026年のような大きなレギュレーション変更があると、すべてがリセットされる。たいていは、今年のトップチームが来年もトップにいるものだが、ときには混乱も起きる。2009年にはフェラーリとマクラーレンが苦戦し、ブラウンGPとレッドブルが前に出た。そういうことは起こる」

    「ただ正直に言えば、今自分たちが良いのか悪いのか、全く分からない。なぜなら他のチームが何をしているのかを知る術がないからだ」

    そして話題は「チーム文化」へと移る。

    「レッドブルに入ったとき、そこはフォードの管理下にあったジャガーの残骸のような状態だった。長年勝てなかったことで、チーム内には『自分たちは勝てない』という諦めが蔓延していた。自己不信が広がると、怠惰や惰性が生まれ、責任転嫁の文化まで育ってしまう。それを覆すのは本当に大変だった」

    「多くは言わないが、いまアストンマーティンにも少し“デジャヴ”を感じている」

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「3つの部門を一体化させることが鍵」
    ニューウェイは、F1チームを構成する「3つの柱」――空力、メカニカルデザイン、ビークルダイナミクス(車両挙動・シミュレーション)の連携が勝利の鍵だと指摘した。

    「F1チームはどこも似たような構造だ。空力、メカ設計、そしてビークルダイナミクスの3部門がある。この3つをいかに一体化させるかが絶対的に重要だ。空力的に素晴らしいマシンでも、構造が十分に剛性を持っていなければ意味がない」

    「いまのF1ではテスト時間が非常に限られているため、開発の多くは数値シミュレーションに頼っている。だからこそモデルの精度と、それを“盲信しすぎないこと”が重要なんだ」

    彼は長年、手書きノートを愛用する“アナログ派”として知られており、現代の「コンピュータ依存」への警鐘も鳴らした。

    「シミュレーションは便利だが、完璧ではない。人はいつの間にか、コンピュータが吐き出す数値を疑わなくなる。だが、誤った入力をすれば誤った結果が出るのは当然だ。問題はコンピュータではなく、入力する人間側にある」

    「この“問いを持たない姿勢”こそが、いま多くのチームが陥っている惰性の正体なんだ」

    2026年、アロンソ&ストロール体制で挑む新時代へ
    アストンマーティンは2026年もフェルナンド・アロンソとランス・ストロールのラインアップを維持する。新エンジン規定下で迎える新時代、ニューウェイが率いるテクニカル再編とチーム文化の改革が実を結ぶかが注目される。

    ニューウェイ体制の焦点:アストンマーティンは何を変えられるのか
    ニューウェイの発言から浮かぶのは、「技術よりも文化の再構築が最大の課題」という点だ。
    レッドブルが2006〜2010年にかけて成し遂げた進化は、彼が導入した組織横断型の開発体制と、メンバーの“勝つ意志”の再燃によって生まれた。

    アストンマーティンはすでにハードウェア投資(新風洞・新工場)を完了しているため、次のステップは「人と文化の結束」だ。

    ニューウェイがレッドブル時代に見た“惰性の壁”を、今回はどれほど早く乗り越えられるか。2026年のアストンマーティンは、単なる技術刷新ではなく、信念の再構築プロジェクトとしてスタートラインに立つことになる。

  • アストンマーティンF1技術責任者「ニューウェイは妥協を許さない完璧主義者」

    アストンマーティンF1技術責任者「ニューウェイは妥協を許さない完璧主義者」

    アストンマーティンF1の最高技術責任者(CTO)エンリコ・カルディーレは、エイドリアン・ニューウェイと仕事をすることについて「チーフデザイナー、ビークルダイナミクスの専門家、空力責任者が1人に集約されたようだ」と語った。

    カルディーレはフェラーリからアストンマーティンに移籍し、ニューウェイとともに2026年型マシンの開発に携わっている。ニューウェイはレッドブルから移籍し、アストンマーティンの「マネージング・テクニカル・パートナー」としてチームに加わり、株式保有者としても関わる。

    カルディーレは、ニューウェイが「2026年マシン開発を動かすエンジン」であり、何よりも「妥協を許さない完璧主義者」だと強調した。

    「彼のすごいところは、何事にも一切妥協しない姿勢だ。どんなにコストがかかろうと、完璧を追い求める。その執念がチーム全体を突き動かしている」とカルディーレは語った。

    カルディーレはフェラーリ時代に車体技術部門の責任者を務め、現在はニューウェイの隣室で開発にあたっている。彼によれば、ニューウェイから学ぶことは多いという。

    「彼は何かを思いつくと、どう実現するかまで明確なビジョンを持っている。誰かがその実現に苦労していても、具体的な手順を惜しみなく教えてくれる」

    「非常に高いレベルで全体を把握していながら、必要とあれば詳細にも深く入り込み、実現可能性まで詰めることができる。その両立が本当に驚異的だ」

    カルディーレは、ニューウェイの長年にわたる経験こそがこの特異な才能を支えていると語る。

    「エイドリアンのユニークさは、卓越した頭脳と豊富な経験の両方にある。彼がキャリアを始めた頃のF1はチームの人数も少なく、今のような高度なツールもなかった。その環境で培った総合的なスキルが今に生きている」

    「新しい技術が出るたびに、彼は常に最前線で習得してきた。だから彼と話すのは、まるで現代のF1チーム全体と会話しているような感覚だ。チーフデザイナーでもあり、ビークルダイナミクスの専門家でもあり、空力責任者でもある──それがひとりの人間の中にある。そんな存在は唯一無二だ」

    エイドリアン・ニューウェイ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    ニューウェイ加入がもたらす「総合技術融合」効果
    カルディーレの発言から浮かび上がるのは、アストンマーティンが2026年に向けて構築している「ニューウェイ主導の技術統合体制」だ。

    2026年レギュレーションでは、空力・車体・パワーユニットの相互連携がこれまで以上に重要になる。カルディーレの言葉を借りれば、ニューウェイはその3つを横断的に統括できる「万能エンジニア」。従来の部門間の壁を越えた技術融合を推進できる人物だ。

    カルディーレが「コストに妥協しない完璧主義」と評した点も象徴的だ。アストンマーティンはここ数年、巨額の設備投資と人材補強でチームの再構築を進めており、ニューウェイの哲学とカルディーレの構造設計思想が融合することで、マシン全体のアーキテクチャが進化する可能性が高い。

    2026年の「ニューウェイ×カルディーレ」体制は、単なる空力アップデートを超えた“総合設計革命”の幕開けを告げるものになりそうだ。

  • ランス・ストロール アストンマーティンF1決算で年俸が判明:約18億円に倍増

    ランス・ストロール アストンマーティンF1決算で年俸が判明:約18億円に倍増

    アストンマーティンF1チームに所属するランス・ストロールの報酬に関して、イギリスの公式企業登録機関「Companies House(企業登記局)」に提出された最新の決算書類から、その一端が明らかになった。

    カナダ出身のストロールは、チームオーナーである父ローレンス・ストロール(L.S.ストルロヴィッチ)の息子であり、その関係性ゆえに、他のドライバーとは異なり彼の契約金に関する一部情報が「関連当事者取引」として開示されている。

    関連会社間取引から見える「1230万ドル」支払い

    提出書類によると、アストンマーティンF1を運営するAMR GP社は、ランス・ストロールの個人会社「Golden Eagle Racing Ltd.」に対し、2024年シーズン分として約1230万ドル(約18億5000万円)を支払っている。前年の支払額560万8000ドルからおよそ倍増しており、単純計算では報酬が大幅に上昇したとみられる。

    もっとも、この金額のすべてがストロール個人の年俸に相当するわけではない。書類上の支払いは「サービス提供」に対するものであり、ストロールのマネージャー、トレーナー、フィジオセラピスト、栄養・フィットネス関連のコンサルタントなどへの報酬も含まれている可能性が高い。そのため、純粋なドライバー報酬額を特定するのは困難だ。

    それでも、2024年の契約更新に伴いストロールの待遇が見直されたのは確実であり、経験値や市場価値を反映した報酬レンジへと引き上げられたとみられる。

    アロンソとの待遇差と特典
    一方でチームメイトのフェルナンド・アロンソは、同様の情報開示義務が発生しないため年俸は非公開。しかし決算書には、両ドライバーに対して「契約期間中1台の社用車を無償で提供する」特典が明記されている。この取り決めは「契約期間中継続され、会社の財務状況に重大な影響を与えるものではない」と記載された。

    また、ストロール側のGolden Eagle Racing Ltd.がアストンマーティンへ50万ドルのスポンサー収入を支払っていることも報告書で確認されている。

    推定年俸は中堅上位、他ドライバーとの比較

    仮にストロールがこの総額をすべて受け取っていた場合、その報酬はF1グリッドの中堅上位に位置する。およそ1000万〜1200万ドルとされる額は、アルピーヌのピエール・ガスリー(約1200万ドル)と同水準で、エステバン・オコン(600万ドル)、ニコ・ヒュルケンベルグ(500万ドル)、アレクサンダー・アルボン(300万ドル)らを上回る。

    一方で、ウィリアムズに移籍したカルロス・サインツJr.(1900万ドル)、メルセデスのジョージ・ラッセル(約3000万ポンド=約5400万ドル)といった上位勢とは依然として大きな差がある。

    ランス・ストロール アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    F1 2025年推定年俸ランキング(報道ベース)
    ■ マックス・フェルスタッペン(レッドブル) 7500万ドル(約112億5000万円)
    ■ ルイス・ハミルトン(フェラーリ) 5700万ドル(約85億5000万円)
    ■ ランド・ノリス(マクラーレン) 3500万ドル(約52億5000万円)
    ■ フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン) 2750万ドル(約41億2500万円)
    ■ シャルル・ルクレール(フェラーリ) 2700万ドル(約40億5000万円)
    ■ オスカー・ピアストリ(マクラーレン) 2590万ドル(約38億8500万円)
    ■ ジョージ・ラッセル(メルセデス) 2300万ドル(約34億5000万円)
    ■ カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ) 1900万ドル(約28億5000万円)
    ■ ピエール・ガスリー(アルピーヌ) 1200万ドル(約18億円)
    ■ ランス・ストロール(アストンマーティン) 1000〜1200万ドル(約15〜18億円)
    ■ エステバン・オコン(ハースF1チーム) 600万ドル(約9億円)
    ■ ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー) 500万ドル(約7億5000万円)
    ■ アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ) 300万ドル(約4億5000万円)
    ■ リアム・ローソン(レッドブル) 300万ドル(約4億5000万円)
    ■ 角田裕毅(レーシングブルズ) 300万ドル(約4億5000万円)
    ■ アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) 200万ドル(約3億円)
    ■ ガブリエル・ボルトレト(ザウバー) 200万ドル(約3億円)
    ■ オリバー・ベアマン(ハースF1チーム) 100万ドル(約1億5000万円)
    ■ フランコ・コラピント(アルピーヌ) 50〜100万ドル(約7500万〜1億5000万円)
    ■ アイザック・ハジャー(レーシングブルズ) 50〜100万ドル(約7500万〜1億5000万円)

    父子関係ゆえの透明性と皮肉
    ランス・ストロールの報酬が他ドライバーより明確に把握できるのは、チームオーナーが実父という特異な構造によるものである。関連当事者取引として公的開示が義務付けられるため、F1界では異例の“透明性”が発生している格好だ。

    他方で、父ローレンス・ストロルが経営するアストンマーティンにとって、この情報公開はイメージリスクともなり得る。仮に実際の年俸が市場平均を超えていたとしても、企業統治上は正当化される必要があるため、会計上の整合性が特に重視される。

    それでも、ストロールの報酬水準はF1ドライバーとして決して過剰ではなく、経験と実績を踏まえた妥当な範囲に収まっていると見られる。むしろこの開示は、F1界におけるドライバー報酬の透明性に一石を投じた事例といえる。

  • アストンマーティンF1オーナー 「ホンダとのワークス体制で世界王者に挑む」

    アストンマーティンF1オーナー 「ホンダとのワークス体制で世界王者に挑む」

    アストンマーティンF1は、2026年にチーム史上初めてのワークス体制でシーズンを迎える。その準備が進む中で、チームオーナーのローレンス・ストロールは、明確な目標を改めて口にした──「我々の使命は世界チャンピオンになることだ」。

    カナダの実業家であるストロールは、2018年にフォースインディアを買収し、アストンマーティンの名のもとに再編して以降、チームをトップコンテンダーへと押し上げるべく投資を続けてきた。新しいシルバーストーンの本社施設が稼働し、2026年に向けて体制が固まりつつある。

    ニューウェイとカルディーレを迎えた技術刷新
    チームはこの1年で技術陣を大幅に強化した。中でも最大の注目は、レッドブル黄金期を築いたエイドリアン・ニューウェイの加入だ。加えて、フェラーリから移籍したエンリコ・カルディーレがチーフテクニカルオフィサー(CTO)としてレース週末の指揮を執る。

    彼らの参画により、アストンマーティンは空力・シャシー・車体構造のすべてにおいて再構築を進めており、2026年レギュレーション下での競争力強化が期待されている。

    ホンダとのワークス提携が生む“完全統合型マシン”
    2026年からはホンダが新たにアストンマーティンのワークスパートナーとなり、完全自社開発のパワーユニットが搭載される。これはチームにとって初めての“設計段階から一体化したエンジン”となり、これまでのカスタマー供給とは異なる大きな転換点だ。

    ストロールはチーム公式YouTubeチャンネルの中で次のように語った。

    「チーム全体がひとつの形になりつつある。来年の大きなレギュレーション変更に向けて本当にワクワクしている。
    ホンダがパワーユニットパートナーになり、初めて“ワークスチーム”として活動する。エンジンとパワーユニットを最初から一体として設計できるのは、まったく新しい経験だ」

    「とてつもない期待感がある。僕は決してあきらめない。使命が達成されるまでやめない。今回の使命は“世界チャンピオンになること”だ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダ F1

    ホンダPUの初期評価とアロンソの意欲
    ホンダの2026年型パワーユニットはすでに初期ベンチマークで好調とされており、アストンマーティンの将来に明るい兆しをもたらしている。フェルナンド・アロンソもまた、17年間遠ざかっている3度目のタイトル獲得へ意欲を燃やしており、ホンダとの再タッグによってその夢を再び現実に近づける構えだ。

    ストロール体制が築く“勝利のための基盤”
    アストンマーティンはここ数年で最先端の新ファクトリーを完成させ、技術・人材・施設の三拍子を揃えた。ニューウェイの参入は他チームにも警戒感を生じさせており、「アストンマーティンが一気に飛躍するのでは」との見方も広がる。

    2026年の開幕戦オーストラリアGPで、彼らの新たな挑戦がどこまで実を結ぶのか。ホンダとの“真のワークス・アストンマーティン”のデビューは、F1勢力図を塗り替える可能性を秘めている。

  • アストンマーティンF1、ジャック・クロフォードを2026年サードドライバーに起用

    アストンマーティンF1、ジャック・クロフォードを2026年サードドライバーに起用

    アストンマーティンF1チームは、ジャック・クロフォードを2026年シーズンのサードドライバー(リザーブドライバー)に起用することを発表した。この役割により、クロフォードは来季の全レースでチームのリザーブドライバーを務めることになる。

    20歳のクロフォードは、2024年にチームのヤングドライバーデベロップメントプログラムに加入して以来、すでにF1マシンで2000km以上の走行を積み重ねてきた。

    直近では、メキシコシティGPの週末にランス・ストロールのマシン「AMR25」をドライブし、FP1セッションでグランプリウィークエンドデビューを果たした。

    2025年を通じてクロフォードは、AMRテクノロジーキャンパスにおけるシミュレーター業務にも継続的に参加しており、レース運営で使用されるAMR25および次世代マシン「AMR26」の開発作業の両面で貴重な技術的フィードバックを提供してきた。

    現在、クロフォードはフォーミュラ2で3年目のシーズンを戦っており、ドライバーズ選手権では2位につけている。シリーズは来月カタールで最終2戦のうち最初のラウンドを迎える。

    クロフォードは「2026年のサードドライバーに決まって本当に誇らしい。アストンマーティン・アラムコとともに歩んできた僕のキャリアにおいて大きな瞬間であり、これからも学び続け、チームに貢献していく大きなモチベーションになる」とコメント。

    「この2シーズン、ファクトリーでも現場でもF1の環境の中で多くのことを学んだ。チームを全力でサポートしながら、自分自身のドライバーとしての成長を続けていく」

    アストンマーティンF1のCEO、アンディ・コーウェルは「ジャックが2026年にサードドライバーとしてステップアップすることを非常にうれしく思う」とコメント。

    「この2年間で彼は我々のドライバースクアッドの重要な一員として価値を示し、多くの経験とテスト走行距離を積み重ねてきた」

    「彼はAMRテクノロジーキャンパスで定期的にシミュレーター作業を行い、レース運営やマシン開発を支えてきた。また、フォーミュラ2でのパフォーマンスも見事であり、より大きな役割を担う彼の成長を今後も支援できることを楽しみにしている」

    ジャック・クロフォード アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    クロフォードの昇格が意味するアストンマーティンの長期計画
    この発表は、アストンマーティンが育成ドライバー体系を本格的に整備し、将来的なレースドライバー候補を内部から育てる戦略を加速させていることを示している。クロフォードはすでにチームの開発・シミュレーションに深く関わっており、2026年のリザーブ就任によって、2027年以降の正ドライバー昇格に向けた準備段階に入ったと見られる。

    さらに、クロフォードはアストンマーティン初の「完全アカデミー育成→F1実戦デビュー」候補となる可能性が高い。アンディ・コーウェル体制のもと、チームはエンジニアリング主導の一貫した育成ルートを築いており、シミュレーター作業での技術理解やF2での堅実な結果が評価された形だ。

    現在、ランス・ストロールの将来が不透明な中、クロフォードが次世代の正ドライバー候補として実戦体制に組み込まれたことは、チーム内のポスト・アロンソ時代への布石とも言える。

  • 角田裕毅の去就に暗雲 アストンマーティンF1来季リザーブにクロフォード決定

    角田裕毅の去就に暗雲 アストンマーティンF1来季リザーブにクロフォード決定

    アストンマーティンF1チームは、ジュニアプログラム所属のジャック・クロフォードを2026年シーズンのリザーブ(サード)ドライバーに起用すると発表した。20歳のクロフォードは来季、全戦でチームに帯同し、シミュレーター作業や開発支援を担う見通しだ。

    一方で、ホンダとの関係を軸にアストンマーティン入りの可能性が取り沙汰されていた角田裕毅にとっては、この発表が大きな打撃となった。レッドブルでの去就が不透明な中、角田のF1キャリア継続に暗雲が漂っている。

    角田裕毅は、2025年シーズンの開幕2戦後にマックス・フェルスタッペンのチームメイトとなって以降、苦戦が続いており、今季限りでレッドブルから放出される可能性が高いとみられている。

    25歳の角田裕毅は、デビューシーズンで印象的な走りを見せているレーシングブルズ所属のアイザック・ハジャーに取って代わられると予想されている。

    アストンマーティンは、2026年からホンダと技術提携を結ぶことが決まっており、ホンダとの長年の関係を持つ角田にとって、同チームが現実的な選択肢の一つとして浮上していた。

    さらに、チームの現リザーブドライバーであるフェリペ・ドルゴビッチが、今シーズン後半にアンドレッティからフォーミュラEへフル参戦すると発表したことで、角田裕毅がF1での継続を狙う上での希望は一層高まっていた。

    PlanetF1.comが関係筋から得た情報によると、2022年のF2チャンピオンであるドルゴビッチは、12月のフォーミュラE新シーズン開幕前にアストンマーティンとの関係を解消する見込みだという。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダ F1

    アストンマーティンF1 ジャック・クロフォードを2026年のサードドライバーに起用
    火曜日に発表した声明の中で、アストンマーティンはクロフォードが来季チームのサードドライバーを務めると正式に確認した。

    アメリカ出身のクロフォードは現在F2に参戦しており、この役割では来季の全24戦でチームのリザーブドライバーとして帯同することになる。

    アストンマーティンは「本日、ヤングドライバーのジャック・クロフォードが、2026年F1シーズンにおいてチームのサードドライバーになることを発表しました。この役割により、ジャックは来季すべてのレースでチームのリザーブドライバーとして活動します」と述べた。

    アストンマーティンのこの発表は、クロフォードが初めて公式F1レース週末に登場したメキシコGP直後に行われた。

    20歳のクロフォードは、メキシコシティのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスで行われた初日のフリー走行1回目においてランス・ストロールに代わって走行し、19番手タイムを記録した。

    ノースカロライナ州シャーロット出身のクロフォードは、2024年にアストンマーティンのジュニアプログラムに加入しており、2025年シーズンを通してチームのシミュレーターで「常に存在感を発揮する存在」と評されている。

    シミュレーター作業を通じて、クロフォードはアストンマーティンのレースオペレーションを支援し、2026年シーズンに向けてF1のテクノロジー界の第一人者であるエイドリアン・ニューウェイが設計を手掛ける注目の新車「AMR26」の開発にも貢献してきた。

    クロフォードは現在、F2ランキング2位につけており、首位のレオナルド・フォルナローリとの差は19ポイント。残る2戦(カタールとアブダビ)でタイトルを争っている。

    アストンマーティンがクロフォードを選んだ背景と角田裕毅への影響
    アストンマーティンは、2026年からホンダのF1パワーユニットを搭載する「アストンマーティン・ホンダ」として新たな体制を築く。ホンダ系ドライバーである角田裕毅は、レッドブルとの契約が終了した場合にこのチームのリザーブドライバーとして合流する可能性が報じられてきた。

    しかし今回のクロフォード起用発表により、角田裕毅がアストンマーティン・ホンダの一員としてF1に残るという“バックアッププラン”は現時点で極めて不透明となった。

    レッドブルでの将来が定まらないなか、角田裕毅のキャリア継続には新たな選択肢の模索が迫られている。

  • フェルナンド・アロンソに同僚爆笑 F1メキシコGPにルチャマスク姿で登場

    フェルナンド・アロンソに同僚爆笑 F1メキシコGPにルチャマスク姿で登場

    アストンマーティンのフェルナンド・アロンソは、F1メキシコGPのドライバーズパレードに緑のルチャドール(メキシコの覆面レスラー)マスクを着用して登場し、会場を大いに沸かせた。

    マスクにはチームカラーのグリーンが施され、さらにバイザーまで取り付けられており、メキシコ文化への敬意をユーモアたっぷりに表現した姿だった。

    パレードでは、ジョージ・ラッセルやエステバン・オコン、オリバー・ベアマン、アレクサンダー・アルボン、オスカー・ピアストリ、そしてザウバーのガブリエル・ボルトレトらがアロンソの姿を見て爆笑。F1公式はこの様子を「Nando Libre」と題してSNSで公開し、ファンからも「最高すぎる」「まさにメキシコ流!」と話題を呼んだ。

    しかし週末のパフォーマンスは厳しく、アロンソは予選14番手、決勝ではブレーキトラブルにより36周目でリタイア。チームメイトのランス・ストロールも14位に終わり、アストンマーティンにとっては無得点のレースとなった。

    メキシコ文化への敬意を込めた“遊び心”
    アロンソはレース前、「メキシコの文化、特に“ルチャ・リブレ”の精神を感じたかった。みんなで少し楽しもうと思ったんだ。マスクを着けたらドライバーたちも笑ってくれて、最高の雰囲気だった」と語った。

    ベテランらしい余裕とユーモアで周囲を和ませたアロンソだが、その一方でコース上では苦戦が続いている。週末を通してグリップ不足とペースの不安定さに悩まされ、決勝ではマシンを守るためにやむなくリタイアを選択した。


    「フェルスタッペンはF1史上屈指のドライバー」
    メキシコGP週末中、アロンソはメディアの取材でマックス・フェルスタッペンを「F1史上屈指のドライバー」と称賛した。

    「彼はまず“四度のワールドチャンピオン”だ。それは偶然ではない。F1の歴史の中でもトップクラスのドライバーだと思う。マシンが優れているときはチャンピオンを勝ち取り、そうでないときでも常に最大限を引き出して結果を残す」

    「支配的なマシンがあれば記録を次々と塗り替えるし、そうでないときも予選で好ラップを刻み、レースで戦い抜く。その一貫性が彼を偉大にしている」

    フェルスタッペンはこの週末、3位でフィニッシュ。勝利したマクラーレンのランド・ノリスがドライバーズランキング首位を奪還し、フェルスタッペンは3位(321ポイント)で残り4戦に臨む。

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    笑顔の裏にあるアロンソの現実と焦燥
    今回の“ルチャドール・マスク姿”は、アロンソのサービス精神とファンへの感謝を象徴する一幕だった。メキシコの文化をリスペクトしつつ、場を和ませる姿勢は20年以上のキャリアを重ねたベテランらしい余裕の表れだ。

    だが、パドック内では笑顔とは裏腹に、アストンマーティンの競争力低下が深刻視されている。アロンソが自らのリタイアを「ブレーキに問題があった」と説明したように、今季中盤以降は信頼性とペースの両面で苦戦が続く。特に一発の速さとレースペースの落差が顕著で、「マシンのウィンドウが狭い」という課題が再び露呈した。

    アロンソは残り4戦で再びポイント圏内に戻れるかが焦点となる。ベテランの経験とモチベーションは依然として高く、今回のような“メキシコ流のユーモア”を保ちながらも、来季に向けた実質的な立て直しが求められる。