カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • ホンダ、2026年F1パワーユニットのサウンドを初公開

    ホンダ、2026年F1パワーユニットのサウンドを初公開

    ホンダは、2026年F1シーズンに向けた自社パワーユニットのサウンドを、短い映像クリップとして公開した。日本の自動車メーカーは来季、アストンマーティンのワークスパワーユニットサプライヤーとして、F1にフルスケールで復帰する。

    ホンダは2021年末をもってF1から公式に撤退したが、その後もエンジンサポート契約を通じてレッドブルとの関係を継続してきた。この体制により、レッドブル・レーシングとレーシングブルズは2025年シーズン終了までホンダ製パワーユニットを使用している。

    しかし、2026年のF1レギュレーション刷新に伴い、レッドブルはフォードと協力した初の自社製パワーユニットへ移行する。それにより、ホンダは新たなパートナーとしてアストンマーティンと組むことになった。同チームはこれまでメルセデスのカスタマーチームだった。

    2026年型ホンダPUの第一印象
    金曜日、ホンダはソーシャルメディア上で、2026年仕様パワーユニットのサウンドを収めた短いクリップを投稿した。詳細な技術情報は明かされていないものの、新時代のF1を象徴する音として注目を集めている。

    この投稿は、ホンダが再びF1の最前線に戻ってくることを強く印象づけるものとなり、アストンマーティンとの新たなワークス体制が本格的に動き出していることを示している。

  • ホンダ × アストンマーティン:F1での戦略的パートナーシップの裏側

    ホンダ × アストンマーティン:F1での戦略的パートナーシップの裏側

    ホンダが2026年にF1へ本格復帰する決断を下した背景には、単にパワーユニット規則の変化だけでなく、「誰と戦うのか」という本質的な問いがあった。

    ホンダは挑戦する企業であり、その挑戦を“勝利”につなげるためには、技術力と姿勢、そして哲学の面で一致するパートナーが必要だった。その答えがアストンマーティン・アラムコだった。

    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長が明かした“ホンダ×アストンマーティン”戦略的パートナーシップの深層に迫る。

    ローレンス・ストロールとの出会い:ホンダを動かした“勝利への執念”
    アストンマーティンとの協業で最初に渡辺康治が強く惹かれたのは、ローレンス・ストロールの姿勢だったという。ストロールは数年前から、アストンマーティンをF1タイトル争いへ押し上げるべく莫大な投資を進め、最新設備の整ったAMRテクノロジーキャンパスを完成させ、経験豊富なエンジニアを次々と引き入れてきた。

    渡辺康治はストロールを“常に勝利を志向する人物”と表現する。

    「ローレンスさんは本当に勝つことにこだわる方です。ビジョンが明確で、言葉だけでなく行動も伴っている。その姿勢がとても印象的でした」

    ホンダは“勝つための復帰”を掲げていた。勝利への熱量が揃わなければ、ワークス体制でのパートナーシップは成立しない。アストンマーティンはその条件を満たすどころか、それを大きく超えるエネルギーを持っていた。

    2つの拠点が“1つのチーム”に変わる:さくら×シルバーストーンの24時間体制
    ホンダとアストンマーティンの関係を象徴するのが、さくらとシルバーストーンの間で構築された「24時間開発体制」だ。

    日本が昼なら、イギリスは夜。イギリスが昼になれば、日本は夜。

    両者の時差は、通常は障害となる。しかし渡辺康治は、この9時間の差を“強みに変えた”と語る。

    「誰かが出社すると、もう片方の拠点で新しいデータが生まれている。プロジェクトが24時間止まらず前に進むのです」

    アストンマーティンのエンジニアはさくらに常駐し、ホンダのエンジニアはシルバーストーンに常駐する。PUとシャシーの融合というF1最大の難題に取り組むために、両者は物理的な距離を越えて一体化している。

    この“ワンチーム化”こそが、ホンダがアストンマーティンを選んだ最大の理由のひとつでもあった。

    技術だけではない──理念の一致が生んだ協業
    技術的な親和性はもちろん重要だが、渡辺康治は“理念の一致”の方がより本質的だと語る。

    ホンダは挑戦、革新、そして勝利への意志を根幹に持つ企業。アストンマーティンもまた、徹底した勝利志向を掲げ、技術的な不足を埋めるために外部の知見を積極的に取り入れ、組織改革を進めていた。

    そのプロセスはホンダの哲学に非常に近い。

    「アストンマーティンは常に改善に向かって動き続けている。これはホンダと同じです」

    同じ方向を向いているパートナーだからこそ、大規模プロジェクトを“共に”進めることができる。

    アンディ・コーウェルという“橋渡し役”の存在
    アストンマーティンがPUサプライヤーとしてホンダを迎える上で大きな役割を果たしているのが、元メルセデスPU部門のトップであり、現在アストンマーティンのチーフ・ストラテジー・オフィサーを務めるアンディ・コーウェルだ。

    渡辺康治はコーウェルを“いつでも電話できる存在”と表現する。

    「アンディさんはPU開発の難しさをよく理解している方です。彼との議論はいつも非常に有益で、私たちの考えや技術の進捗を互いに共有する上で欠かせない存在です」

    PUとシャシーの境界線は曖昧であり、両者は“どちらかが正解を持っている”というものではない。だからこそ、PUとシャシーの視点を両方理解するコーウェルの介在は、ホンダ×アストン連携の大きな強みとなる。

    “ワンチーム”を実現したアストンマーティンの組織改革
    アストンマーティンはここ数年で劇的に組織を変化させ、大型投資によって設備を一新し、シャシー部門と空力部門を大幅に強化した。AMRテクノロジーキャンパスは従来のチーム体制を根本から変えるレベルのインフラとなり、ホンダとの共同開発に最適な環境を整えている。

    渡辺康治はこうした改革を「勝つために必要な姿勢」と評価している。

    「新しい施設に象徴されるように、アストンマーティンは成功を本気で追いかけています。その熱量が私たちを惹きつけたのです」

    ホンダがアストンマーティンを選んだのは、設備が立派だからではない。設備は“勝つための覚悟”を形にしたものであり、その覚悟にホンダは共鳴した。

    本田技研工業 F1 ホンダ

    技術連携の深まり:PU開発はホンダ、シャシーはアストン──だが境界線はない
    ホンダが担当するのはPUの開発であり、アストンマーティンはシャシー開発を担当する。しかし現代F1では、PUとシャシーは別々に作れば突然うまく機能するものではない。冷却要求、重量配分、空力パッケージ、電力回生ポイントなど、互いの設計が密接に絡み合う。

    そのため、ホンダとアストンは“境界線のない共同作業”を進めている。

    渡辺康治は「どこからがシャシーでどこからがPUという境界はありません。交差点が非常に多いのです」と語り、双方が一つのプロジェクトとして動いていることを明かす。

    こうした開発体制は、単なる供給関係ではなく、“共同で勝利を作る関係”へ進化している。

    ニューウェイの加入は“共同体”をさらに強固にした
    ニューウェイの加入は記事2で深掘りするが、本記事においてもパートナーシップの強度を示す象徴として触れておくことが自然だ。

    渡辺康治はニューウェイとの最初のミーティングを振り返り「また一緒に仕事ができますね、と皆で笑い合いました」と語る。
    両者にはレッドブル時代の付き合いがあり、PUとシャシーの融合という難題に取り組む上で、ニューウェイの存在は極めて心強い。

    アストンマーティンは、ホンダのPUを中心に据えたマシン作りができる人物を迎えた。
    ホンダにとっても、自らのPUを最大限に活かせる相手と組むことができた。

    この相互補完こそ、強いパートナーシップの証だ。

    “共同体”と呼べるレベルに達したホンダ×アストンの関係
    ホンダとアストンマーティンの関係は、単なるPU供給や技術協力では説明しきれない段階にある。両者の開発拠点は密接につながり、エンジニアは日常的に往来し、議論が深まり、価値観が共有され、そして“勝つ”という目標が同じ方向を向いている。

    渡辺康治はこう語る。

    「アストンマーティンには情熱があり、質の高い組織があり、勝つための環境があります。私たちホンダと同じ方向を向いて歩んでいるのが分かるのです」

    この発言は、パートナーシップという言葉を超え、“共同体”に近い関係が築かれつつあることを示している。

    総括:ホンダはなぜアストンマーティンと組むのか?
    答えは“勝つため”である

    ホンダがアストンマーティンを選んだ理由は明確だ。

    理念が一致し、組織が本気で勝利を目指し、技術的な補完関係が成立し、そしてPUとシャシーを一体で開発できる環境が整っていたからだ。

    挑戦する企業ホンダにとって、このパートナーシップは“復帰の必然”であり、“挑戦を勝利に変えるための選択”だった。

    ホンダとアストンマーティン。その関係は、もはやチームとサプライヤーではなく、“共に勝利を作りにいく存在”へと進化している。

  • フェルナンド・アロンソが皮肉 「ニューウェイがF1マシンに触れたら速くなった」

    フェルナンド・アロンソが皮肉 「ニューウェイがF1マシンに触れたら速くなった」

    フェルナンド・アロンソは、エイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンF1カーに“触れた”ことがチームの終盤戦での復調につながったと、冗談めかして語った。アブダビGP決勝で6位に入り、今季初めてドライバーズ選手権トップ10へ浮上したアロンソは、失望の多かった2025年シーズンの中でも随一の活躍を見せた。

    アロンソはアストンマーティン加入後、ランス・ストロールとの予選対決を完全制覇。キャリア3度目となる“予選全勝”を達成するという強さを示した。

    アブダビでの6位、シーズン終盤の強さ
    アブダビGP決勝後、アロンソはF1 TVに次のように語った。

    「とても強いレースだったと思う。あなたが言うように、僕たちは土曜日に速くても日曜日に競争力を少し失うことがある。でも今日はそうではなかった。今日は速かった。

    7位のカタール、そしてここで6位。シーズン終盤は明らかに強かった」

    アストンマーティンの再構築とニューウェイ就任
    カタールGP前、アストンマーティンはエイドリアン・ニューウェイの2026年チーム代表就任を発表した。昨年からマネージング・テクニカル・パートナーとしてデザイン部門を率いていたニューウェイは、2026年からチームのデイリー業務を統括する役割を担う。

    チームは組織再編を進めており、アンディ・コーウェルはホンダとの統合に注力する形へ移行。ニューウェイはカタールでアストンマーティンの現場をチェックしていた。

    「ニューウェイが触れたから速くなった?」アロンソが笑いを交えて説明
    アロンソは終盤戦の復調について「ニューウェイ効果」があったのかと問われ、次のように冗談めかして答えた。

    「分からないよ。エイドリアンはカタールに来ていた」

    アブダビには来ていなかったと指摘されると、アロンソは笑いながら続けた。

    「分かってる。彼がカタールでクルマに触れたんだ。もしかするとその何かが残っていて、今日の最終ラップまで効いたのかもしれない。正直なところ、今年ずっと見てきたようにサーキットによって違うんだ。

    イモラではすでに強かったし、ブダペストではポールまで0.2秒で5位フィニッシュ。なのに、あるレースではQ1落ちもあった。今季はアップダウンが激しかったし、僕たちは一貫性とパフォーマンスが少し足りなかった。来年はそこを改善したい」

    アロンソの言う“復調”は偶然ではない
    アロンソのジョークはさておき、アストンマーティンは本当に終盤戦で調子を取り戻した。低速・中速コーナー主体のサーキットでは依然として強さを見せ、セットアップの適合とアップデートの理解が深まったことが結果につながった形だ。予選での強さを決勝ペースへ反映できた点も改善ポイントといえる。

    アロンソ自身のパフォーマンスも突出しており、安定性、タイヤ管理、レースクラフトのすべてでトップクラスを維持している。2026年に向けて体制を大幅に刷新するアストンマーティンにとって、ニューウェイ加入とアロンソの存在は明確な武器になる。

  • エイドリアン・ニューウェイ 「ホンダF1エンジン統合に近い形で取り組める」

    エイドリアン・ニューウェイ 「ホンダF1エンジン統合に近い形で取り組める」

    アストンマーティンにおけるエイドリアン・ニューウェイの存在感が、一気に強まっている。カタールに続きアブダビにも姿を見せ、2026年の新レギュレーション導入に向けてフルスピードで動き出したことを示す明確なサインと受け止められている。

    今季、レース現場に姿を見せたのは1戦のみだったにもかかわらず、ここにきて常駐に近い形へ変化。その理由は率直だ。ニューウェイ以前の体制で設計された今季マシンは期待外れであり、新時代に向けて彼の直接指揮が不可欠だという判断である。

    「今年のクルマはみんなにとって失望だった。ドライブするのも、セットアップするのも難しかった」とニューウェイはアブダビでDAZNに語った。

    来季、すべてが変わる。アストンマーティンはニューウェイが全面的に指揮した初のシャシーを投入し、ホンダのワークスPU、そしてチーム史上初となる自社製ギアボックスを搭載する。統合作業の規模があまりに大きいため、ニューウェイはアンディ・コーウェルに代わってチーム代表を兼務することになった。

    「アンディは非常に寛大にその部分を任せてくれた。来年の複雑なパワーユニット、ホンダとアラムコと我々の統合を考えると、すべてが完璧に調整される必要があると気づいたんだ。細かい部分が抜け落ち始めることを彼は心配していた」とニューウェイは説明した。

    パドック内には、“チーム運営”がニューウェイの技術的才能を妨げるのではという懸念もある。しかし本人はそれを一蹴する。

    「主な違いはメディア対応と、いくつかの細かいことだけで、それ以外はほとんど変わらない」と述べている。

    ホンダ F1 エイドリアン・ニューウェイ

    2026年プロジェクトに関しては、むしろ意欲を隠さない。「エンジン統合に非常に近い形で取り組める。それに、我々が長い間行ってこなかった“自社製ギアボックス”も必要で、完全な新部門を立ち上げることになる」と語った。

    また、レッドブルを離れた際、当初はアストンマーティン行きを想定していたわけではないとも明かしている。

    「レッドブルを去ったとき、次にどうなるかなんて全く分かっていなかった。これまでのキャリアを本当に楽しんできたし、このスポーツの一員でいられたことをとても幸運に思っている。もし仕事を続けるなら、情熱に従うべきだと思った。それを実行しただけだ」と66歳のニューウェイは語った。

    そして2026年のもうひとつの武器であるフェルナンド・アロンソも、44歳で迎えた今季が個人的に“最高の一年のひとつ”だったと強調する。

    「僕が言う必要はない。最後の判断を下すのはストップウォッチだ。結果としては最悪のシーズンのひとつだけど、個人的には最高のシーズンのひとつ。説明することは不可能だし、家で見ている人に理解してほしいとも思わない。そういうものなんだ」とスペインメディアに語った。

    「このパドックでは、間違いなく僕が最も価値を感じ、最もリスペクトを得られた一年だったと思う」

  • ヘルムート・マルコ アストンマーティンF1加入説は「馬鹿げた噂」

    ヘルムート・マルコ アストンマーティンF1加入説は「馬鹿げた噂」

    レッドブルがヘルムート・マルコ(82歳)のモータースポーツアドバイザー退任を正式発表した翌日、マルコ本人がオーストリア紙『Kleine Zeitung』の取材に応じ、自身の言葉で“20年の終止符”の理由を明かした。

    チーム側は今回を「解任ではなくマルコの意思による退任」と説明。オリバー・ミンツラフは「ヘルムートから年末で役職を終えたいと申し出があった。彼の決断を深く残念に思う。これは特別な時代の終わりだ」とコメントしている。

    ■ 決断の引き金は「フェルスタッペンの逆転タイトル逸」
    マルコは、最終戦アブダビでの僅差の敗北が決断を左右したと明かした。

    「今季、私は最初に、そして後にはジャンピエロ・ランビアーゼとともに、チームの中で最後までタイトルを信じていた存在だった。大きな熱意とコミットメントをもって取り組んでいただけに、うまくいかなかったことは非常に大きな失望だった。この失望が、今が退くのに良いタイミングだと思わせたのだ」とマルコは語った。

    ■ 「良好な関係のまま離れる」
    マルコは今回の別れが円満であることを強調する。

    「レッドブルとは最良の関係のまま離れるし、今後もサーキットで時々姿を見ることになるだろう。チームは非常に良い体制が整っているし、混乱を残していくわけではない。全体がうまく機能しており、いくつかの分野では必ずさらに良くなるはずだ」

    ■ 後任人事は「レッドブルが決めること」
    レッドブルはすでに「後任ポジションは置かない」と発表しているが、セバスチャン・ベッテルの名前が噂として取り沙汰され続けている。

    「それはレッドブルが決断すべきことで、私がコメントする立場にはない。私は月曜日にドバイで退任を伝えただけだ。彼らは急ぐ必要はないし、最良の解決策を探すことになるだろう」

    ■ フェルスタッペンは「少し悲しんでいた」
    ジュニア時代にマルコが発掘し、強力な関係を築いてきたマックス・フェルスタッペンは、今回の知らせに感情を揺らしたという。

    「彼は少し悲しんでいたと言えるだろう。我々はこれまで共に過ごしてきた素晴らしい時間を思い返していた」

    フェルスタッペンは後にInstagramで「僕たちは夢見たすべてを共に成し遂げた」と投稿している。

    ■ 「マックスの将来が不安定になることはない」
    マルコはフェルスタッペンがチーム残留に揺らぎはないと強調する。

    「いや、まったくない。マックスは成功したいだけでなく、調和のとれた環境で成功したいと願っている。それを失えば、彼は翌日にでも辞めるだろう。しかし彼はまだそんな年齢ではない」

    一方で、マルコが独断で動いたとか、アストンマーティンに接触したなどの憶測は明確に否定した。

    「そんなことはしていない。他チームに関わるつもりもない。それらはすべて馬鹿げた噂で、主に英国メディアが流しているだけだ」

    ■ “黄金の握手”と報じられた退職金
    ドイツ『Bild』は、マルコが2026年までの契約を満額支払われると報道。退職金は1,000万ユーロ規模の“ゴールデンハンドシェイク”であり、ベッテルとフェルスタッペンを発掘した功績への評価だとしている。

    ■ ランビアーゼは2026年も継続へ
    また噂されていたジャンピエロ・ランビアーゼ(GP)の将来については、関係者の見立てでは「2026年も引き続きレースエンジニアを務める見通し」とされている。

  • ホンダF1復帰の理由と2026年PUレギュレーションの核心

    ホンダF1復帰の理由と2026年PUレギュレーションの核心

    ホンダは2026年、アストンマーティン・アラムコF1チームとのワークス体制によりF1へ本格復帰する。2021年末の活動終了からわずか数年で復帰へと舵を切った背景には、単なる気まぐれでも回帰でもない、“ホンダという企業の本質が選ばせた必然”があった。

    ホンダ・レーシング(HRC)渡辺康治社長は、復帰の理由を語る際にまず「ホンダは挑戦する企業です」と言い切った。

    モータースポーツは技術を磨く戦場であり、人材を育てる学校であり、そして走ることの喜びを世界と共有する舞台でもある。そのすべてがホンダの企業文化と結びついており、F1はそれを最も純粋な形で体現できる場だという。

    2026年PU規則が復帰を“決定的”にした
    ホンダがF1復帰を決めた最大の契機は、2026年に導入されるパワーユニット新規則にある。新しいPUは、内燃機関と電動モーターの出力比率がほぼ50:50となり、モーター出力は従来の約3倍である350kWに引き上げられる。また100%サステナブル燃料の使用が義務づけられ、MGU-Hは廃止される。これらの変更は単なる技術の入れ替えではなく、F1そのものを大きく組み替える“新時代の入口”となるものだった。

    渡辺は、2026年PUがホンダにとって「将来の推進システムの方向性と完全に一致した」と語る。ホンダは電動化とカーボンニュートラル技術を企業の根幹に据えており、まさにF1がその理念と重なる形になった。つまり、ホンダが積み上げてきた未来の技術をF1という極限環境で鍛えることができる。それは企業にとっても研究開発にとっても、唯一無二の価値を持つ挑戦だった。

    F1はホンダにとって“実験室”であり“育成機関”でもある
    ホンダにとってF1はマーケティング活動ではない。技術を磨き、人材を育て、企業の将来を形づくる巨大な実験場だ。F1のパワーユニットは、高電圧システム、バッテリーの最適化、瞬時のエネルギー回生と展開、耐久性、熱効率の向上など、あらゆる技術要素が極限環境の中で試される。

    特に2026年PUは、2万を超えるパラメータを扱いながらエネルギーの流れを最適化する、きわめて高度なマネジメントが勝敗を左右する。HRCはそのための独自のシミュレーション技術を開発しており、厳しいテスト制限の中で戦う現代のF1では大きな武器となる。

    渡辺は「モータースポーツは技術を鍛える場であり、エンジニアの才能を引き上げる場です。F1で得た知見はホンダ全体を強くします」と説明する。F1で磨かれた人材が企業のコア技術を支えるという循環が、ホンダ復帰の大きな意義となっている。

    アストンマーティンは“勝つための相手”だった
    復帰の理由を語る上で、アストンマーティンとのワークス提携は欠かせない。渡辺が強く惹かれたのは、ローレンス・ストロールの“勝つことへの執念”だった。新設されたAMRテクノロジーキャンパスには、トップチームを本気で目指す姿勢が明確に表れており、組織改革も着実に進んでいた。

    ホンダは挑戦する企業であり、その挑戦を「勝利」に結びつけるには、勝利を本気で求めるパートナーが不可欠だった。さくらとシルバーストーンのエンジニアが互いの拠点に駐在し、時差を活かして24時間体制で開発が進む今の体制は、ホンダ復帰に確信を与える要素にもなった。

    この記事の主題は復帰と規則だが、復帰の意志を後押ししたのが“勝利を狙えるパートナーの存在”であることは、十分に記事の厚みを支える要素になる。

    2026年は“リセットの年”。だからこそホンダにチャンスがある
    2026年は、F1の勢力図が大きく揺らぐ年だ。メルセデス、フェラーリ、レッドブルという既存の優位性が一度リセットされ、全メーカーが新しいPUと新しい空力概念でゼロベースからスタートする。ホンダにとってこれは、過去の流れを断ち切り、純粋に技術力で勝負できる舞台を得ることを意味する。

    渡辺はこう語る。

    「ホンダは挑戦する企業です。2026年は新しいF1の形が始まる年であり、その中心で勝負しなければなりません」

    これはスローガンではなく、新時代のスタートラインでチャンスを取りに行くという、ホンダの強い意志である。

    ホンダ F1 本田技研工業

    復帰を後押しした“人の力”――コーウェルとニューウェイの存在
    深い内容は別記事で扱うが、ホンダの挑戦を支える要素として、アンディ・コーウェルとエイドリアン・ニューウェイという2人の存在は欠かせない。コーウェルはPU開発の緻密さと難しさを最も理解する人物であり、ニューウェイはシャシーとPUの融合というF1最大の難問に対して明確な哲学を持つ。

    この2人と緊密に連携できる体制が整ったことも、ホンダが復帰を現実的に選択できた理由のひとつだ。挑戦する舞台に挑戦できる仲間が揃った――そう言える状況だった。

    “復帰の理由”を総合すると、すべてが2026年でつながった
    ホンダがF1に戻る決断をした背景には、企業文化、未来の技術戦略、パートナーシップ、人材育成、そして2026年規則がもたらす大転換という、複数の要素が一つの線でつながった瞬間があった。

    ・挑戦する企業であるというDNA
    ・未来の推進技術と一致した新PU規則
    ・技術を磨き人材を育てる場としてのF1
    ・勝利をともに狙えるパートナーとの出会い
    ・ゼロベースで戦える2026年という“ゲームチェンジの年”。

    すべてが揃ったことで、ホンダは再びF1へ戻ることを選んだ。

    そして渡辺康治が語った次の言葉こそ、この決断のすべてを象徴している。

    「ホンダは挑戦する企業です。2026年は新しいF1の形が始まる年であり、その中心で勝負しなければなりません」

    復帰は必然だった――その理由が、こうして明確に浮かび上がる。

  • フェルナンド・アロンソ 2025年F1シーズン総括「ドライバーズ10位はひどい」

    フェルナンド・アロンソ 2025年F1シーズン総括「ドライバーズ10位はひどい」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、2025年シーズンを振り返り、自身の走りには誇りを持ちながらも、最終的なドライバーズ選手権10位という結果には強い不満を示した。アブダビGPでは予選6番手、決勝6位と堅実にまとめたが、「表には反映されていない」と語っている。

    アロンソは、シーズン終了後すぐにシルバーストンのシミュレーター作業に戻る予定で、2026年の大規模なレギュレーション変更に向けた準備をすでに開始している。

    アロンソ「10位はキャリアでも最悪の部類。ひどい結果だ」
    アロンソは2025年の最終リザルトについて率直だった。

    「ドライバーズ選手権で10位というのは、僕のキャリアでもひどい部類の順位だ。自分にとって本当に“ひどい”」

    「アブダビでは予選6位、決勝6位だった。レースでは何も起きなかった。セーフティカーも、悪いピットストップもなかった。僕には“タダでもらえるポジション”なんてない。いつも戦って自分で獲らなければいけない」

    その一方で、自身のパフォーマンスには満足しているという。

    「シーズンを通して自分が示したレベルは良かったと思っている。ただ、正直なところ、早く終わってほしかった」

    「24年間ずっと同じ。倒すべき相手はチームメイトだけ」
    現在のF1での自身の目的について、アロンソは明確だ。

    「僕にできる唯一のことはチームメイトより前でフィニッシュすることだけだ。ドライバーは20人いて、10人はチームメイトに勝ち、10人は負ける。それが唯一のベンチマークだ」

    「24年間ずっと同じことをやってきたし、ほとんど問題を抱えたことはない」

    2026年は“未知の領域”。本当に重要なのはシーズン序盤後の開発力
    アロンソはアブダビから間を置かずにイギリスへ戻り、アストンマーティンの新シミュレーターで2026年マシン開発に取り組む。

    「これから未知の領域に入る。期待値は“事実以上”に高い。誰も来年の速さを語ることはできない。参考になるデータも噂もないからだ。バルセロナとバーレーンでようやく全体像が見えてくる」

    特に重要なのは開幕仕様ではなく、その後のアップデートだと強調する。

    「僕にとって希望があるのは、オーストラリアで発表するマシンよりも4戦目のマシンだ。こういう大きな革命期では、2か月後に突然コンマ5秒速くなることだってある」

    ニューウェイ加入への期待「彼が手掛ける初のアストンマーティン」
    アロンソは、アストンマーティンの新体制に明確なポジティブ要素を見ている。

    「新しいファクトリー、新しい風洞、そしてエイドリアン・ニューウェイが初めてこのチームのマシンに関わっている。誰が最も良い仕事をするかで前に行くかどうかが決まる」

    「もし最初にうまくいかなくても、2回目で正さなければならない。それだけの話だ」

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ノリス初タイトルに賛辞「3人とも“ふさわしい”シーズンだった」
    アロンソは2025年ワールドチャンピオンとなったランド・ノリスについても温かい言葉を述べた。

    「ランド、おめでとう。本当にうれしい。3人ともチャンピオンにふさわしいシーズンだった。ピアストリは非常に堅実で、マックスは間違いなくグリッドで最強だ。そしてランドはとても速かった」

    さらに、自身との縁にも触れている。

    「僕がマクラーレンを去ったとき、彼はテストドライバーだった。その後デイトナで一緒に走った。彼はいい奴で、信じられないほどのドライバーだ」

  • フェルナンド・アロンソ F1新王者ノリスを祝福「いい子で素晴らしいドライバー」

    フェルナンド・アロンソ F1新王者ノリスを祝福「いい子で素晴らしいドライバー」

    マクラーレン時代にテストドライバーとして過ごした若き日から、デイトナ24時間レースでの共闘まで。フェルナンド・アロンソは、F1アブダビGPで初のF1ワールドチャンピオンに輝いたランド・ノリスを、心のこもった言葉で祝福した。

    アロンソはスペインメディアに対し、タイトル争いを演じた3人全員を称えながら、とりわけ旧友ノリスの戴冠を喜んだ。「カートの頃から夢見てきた世界王者の座を今日つかんだ」と語り、彼の成長を振り返った。

    ノリスの初タイトルを称賛「いい子で、信じられないほどのドライバー」
    「ランドは本当によくやった。とても嬉しい。3人ともチャンピオンに値したし、素晴らしいシーズンを戦ってきた」とアロンソは口火を切った。

    「ピアストリは非常に堅実だった。シーズン最後の3分の1で多くのポイントを失った理由は分からないが、シーズン中盤は無敵に見えた。マックス?マックスを疑う人なんているのか。おそらくグリッドで一番のドライバーだ。そしてランドはとても速かった。こういう緊張感のある週末で、とてもよくやった」

    3人は予選トップ3を占め、決勝でも表彰台に並んだ。「誰も失敗しなかった。全員が勝つに値した。でも勝てるのは1人だけで、ランドが勝った。彼のために喜ぶべきだと思う。カート時代からの夢であるF1に到達し、世界選手権を獲った。今日はそれを叶えた日だ」

    「僕がマクラーレンを去ったとき、彼はまだとても若いテストドライバーだった。その後デイトナも一緒に走ったし、彼はいい子で、信じられないほどのドライバーだ」と振り返り、改めてノリスを称えた。

    アロンソ「10位はキャリア最悪レベル」──不本意な最終順位
    今季終盤の2戦で16ポイントを加算し、アロンソはドライバーズ選手権10位でシーズンを終えた。しかしこの順位について満足はしていない。

    「キャリアの中でも最悪レベルだ。ドライバーズ選手権で10位なんて、僕にとってはひどい」と語る。

    自身のパフォーマンスについて問われると、「分からないよ。僕ができる唯一のことはチームメイトの前でフィニッシュすること。20人のうち10人はチームメイトの前に行き、10人は後ろになる。それが唯一の指標だ」と説明した。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    トラブル続きの終盤戦を回顧「僕はいつも自力で戦ってきた」
    最終戦前の数戦については、こう振り返る。

    「ラスベガスでは悪い形で終わった。多くのポイントを失った。モナコでは6番手を走っていたのに、突然エンジンが止まった。そういう瞬間がいくつかあった。だけど、僕は自分の結果にいつも満足している。なぜなら、あまり“プレゼント”をもらったことがないからだ」

    「24年間ずっと同じことをやってきた」 来季への自信は揺るがず
    来年、競争力あるマシンさえあれば再びトップ争いに加われるのか——その問いにも、アロンソは迷いなく答えた。

    「疑ってはいなかった。傲慢に聞こえたら申し訳ないが、24年間ずっと同じことをやっている。チームメイトと同じマシンに乗り、問題を抱えることはほとんどなかった。ほかのカテゴリーに乗っても同じだ。毎週末カートに乗っても問題ない。僕のことを疑う人は、この24年間を見ていなかっただけだ」

    アロンソはなお強く、なお勝利を求めている。今年10位という結果は受け入れがたいものの、彼の競争心と自信は揺らいでいない。来季、アストンマーティンとともに再び上位へ返り咲くことを目指す。

  • アストンマーティンF1に罰金 ドライバー欠席で「ファンを炎天下で待たせた」

    アストンマーティンF1に罰金 ドライバー欠席で「ファンを炎天下で待たせた」

    アストンマーティンは、フェルナンド・アロンソとランス・ストロールが金曜日に予定されていた必須のファンイベントを欠席したとして、F1競技規則19.2(c)の違反によりスチュワードから罰金を科された。

    チームは金曜FP1を若手のジャック・クロフォードとキアン・シールズに任せており、アロンソとストロールは「イベント出席義務はない」とチームから伝えられていたという。

    しかしスチュワードはこの説明を受け入れず、各ドライバーに2万5000ユーロの罰金(うち1万5000ユーロは12か月の執行猶予付き)を科したと明らかにした。

    アストンマーティンの弁明は退けられ、声明では「ファンはF1の核心であり、多くのファンが炎天下の中で長時間ドライバーを待っていた」と指摘されている。

    欠席の経緯とスチュワードの判断
    アストンマーティン側はスポーティングディレクターと広報責任者が出席し、「FP1に参加しないドライバーはファンイベントにも参加しない」という内部の誤った理解があったと説明した。しかしスチュワードは規則違反と断定し、厳しい姿勢を示した。

    特に声明では、アブダビの強い日差しのもと、ファンが長時間待機していた事実が重視された。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アストンマーティンがファンに向けた“償い措置”
    チームはこの状況を受け、週末中にヤス・マリナ・サーキットのファンゾーンを訪れ、アストンマーティン製品を身に着けているファンへサイン入りキャップを配布する。

    さらに、以下の特典を提供することが決まっている。

    ■ 2名のファンにピットボックスの特別ツアーを実施
    ■ ピットボックス内でのセッション見学を招待
    ■ アロンソ&ストロールとの記念撮影の機会を提供

    ファンへの姿勢を重視するF1の方針を受け、アストンマーティンは週末を通して誠意ある対応を取ることになる。

  • ニューウェイ、アストンマーティンF1代表就任でも「設計の仕事は薄まらない」

    ニューウェイ、アストンマーティンF1代表就任でも「設計の仕事は薄まらない」

    エイドリアン・ニューウェイが2026年にアストンマーティンのチーム代表に就任するという衝撃の発表からわずか数日。最大の懸念とされていた「デザインチーフとしての仕事が削がれるのではないか」という声に対し、本人が明確に否定した。

    アストンマーティンは先週末、アンディ・コーウェルの後任としてニューウェイがチーム代表に就くと発表。コーウェルはホンダとのパワーユニット連携を強化するため、来季から別の要職に移ることになる。

    「デザインの仕事は絶対に薄まらない」──ニューウェイが明言
    ニューウェイは昨年アストンマーティンに加入し、マネージング・テクニカル・パートナーとして設計部門を牽引してきた。最強デザイナーがチーム代表も兼務するという大胆な編成について、専門家からは「ニューウェイの設計時間が奪われるのでは」と懸念が上がっていた。

    しかし、ニューウェイはスプリント予選後にSky Sportsへ次のように語り、その懸念を否定した。

    「僕がやりたいし、やる必要があるのはデザインの仕事だ。それが僕を毎朝ベッドから起こす原動力なんだ。だから、それを薄めるつもりはまったくない」

    仕事内容についても、「どうせ初期のレースには行くつもりだった。それならついでにチーム代表の仕事も引き受ければいい。実際の作業量は変わらないよ」と説明している。

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    2026年PU時代へ、コーウェルはホンダとアラムコ連携に専念
    今回の人事が行われた背景には、2026年の大規模レギュレーション変更がある。PU(パワーユニット)分野で莫大な作業量が見込まれる中、コーウェルはホンダ(PU)とアラムコ(燃料)の三者連携に集中することが最適と判断された。

    「2026年PUの難しさを考えると、ホンダ、アラムコ、そして我々をつなぐ調整役としてのアンディのスキルセットは完璧なんだ」とニューウェイは語る。

    その上で、コーウェル自身が「2026年前半はその役割に専念する」と申し出たことで、チーム代表職が空席になったという。

    早速結果も、アロンソがスプリント4番手
    発表翌日のカタールGPスプリント予選では、アストンマーティン勢が好調を示し、フェルナンド・アロンソが4番グリッドを確保。2026年の体制変更を前に、チームは確かな手応えを掴みつつある。