カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • フェルナンド・アロンソが示唆 2026年F1は“頭脳戦”が勝敗を左右する

    フェルナンド・アロンソが示唆 2026年F1は“頭脳戦”が勝敗を左右する

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1シーズンから導入される新レギュレーションにより、レースの様相が大きく変わると見ている。電動パワーの比重が増す新世代パワーユニットでは、単純な速さだけでなく、エネルギーの使い方や判断力がこれまで以上に重要になるという。

    経験豊富なアロンソは、エネルギーデプロイを巧みに使うことで、予想外の結果を引き寄せることが可能になると指摘する一方で、単に頭を使って中団で生き残るレースには満足しない姿勢も明確にしている。

    2026年F1ではパワーユニットが大きく変化し、電動出力が内燃エンジンと同等のレベルまで引き上げられる。これにより、ドライバーがどのようにエネルギーを使い、どの局面でデプロイするかは、これまでとはまったく異なる重要性を持つことになる。

    2025年F1シーズンは、コーナーでの追従性の悪さやマシン間の競争力の差もあり、多くのドライバーにとってオーバーテイクが難しい状況が続いた。

    エネルギーデプロイが生む“予想外の結果”

    フェルナンド・アロンソは、2026年も新たな「ツール」を使うことで、似たような展開が生まれる可能性があると示唆している。

    「手元にあるツールを使って、少し工夫することはいつでもできる」とフェルナンド・アロンソは、RacingNews365を含むメディアに語った。

    「最近はマシンが追いにくくなっているから、予選でうまく走れれば、たとえペースがなくても後ろのクルマを抑えられる」

    「本当は5秒くらいのマージンが欲しい。そうすれば止まっても、後ろに誰もいないからね」

    「でも実際には、後続を引き離すことができない。だから経験を使って、いろいろなコーナーで工夫しながら、抜かれないようにする」

    「だから来年も、エネルギーデプロイをここぞというところで使えば、予想外の結果を生むことがあるかもしれない」

    一方で、アストンマーティンが新時代のスタートで大きな前進を狙っている中、フェルナンド・アロンソは中団での結果に満足するつもりはないと断言した。

    「頭を200%使って6位や7位で終わっても、誇れるものじゃない」とフェルナンド・アロンソは語る。

    「それなら、頭を使わずに20秒差で全レースに勝つほうがいい」

  • アストンマーティン・ホンダF1 AMR26に新たな手応え「かなり良い理解がある」

    アストンマーティン・ホンダF1 AMR26に新たな手応え「かなり良い理解がある」

    アストンマーティンは、2026年F1シーズンがどのようなものになるかについて、すでに「かなり良い理解」を得ているという。

    まだ勢力図のどこに位置するかを正確に把握しているわけではないが、マイク・クラックは、どのサーキットがチームに合い、どのサーキットが不利になるかは把握していると述べた。

    2026年F1の新レギュレーションは、シャシーとパワーユニットの双方が刷新されることで、既存の序列を大きく揺さぶることが予想されている。

    F1は、前の時代を支配していたアンダーフロア・エアロから離れ、可動式ウイングの導入と、エンジンにおける電動パワー比率の増加へと舵を切った。

    通常、レギュレーション変更はマシンかパワーユニットのいずれかに影響を及ぼすが、2026年の変更はその両方に及ぶため、潜在的な影響ははるかに大きい。

    これは、チームの支出額、主要分野での開発時間、そして個性を残しつつ戦力均衡を図るための技術的制限によって、さらに強調されている。

    各チームは現在、3週間後にバルセロナで始まるプレシーズン走行に向け、マシン製作と最終段階の開発作業の真っ只中にある。

    開幕戦オーストラリアで11チームがグリッドに並ぶ時点では、誰もがライバルに対してどの位置にいるかを正確には知らないが、シーズンがどのように展開するかについての感触は持っている。

    「全体的には、かなり良い理解があると思っている」と、アストンマーティンのチーフ・トラックサイド・オフィサーであるマイク・クラックは、2026年についてどの程度イメージできているかと問われて語った。

    「例えば、どのサーキットが我々のマシンにより適していて、どのサーキットがあまり良くないかは分かっている」

    「強いサーキットもあれば、そうでないサーキットもある。そこで最大限を引き出すことが重要になる」

    「あるサーキットでは非常に速いマシンが、別のサーキットではそうでもないという例も見られる」

    「これは、自分たちがどのようなエアロダイナミクスのプラットフォームを開発してきたか、その特性によるものだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダ F1

    アストンマーティンは近年、人材獲得を積極的に進め、インフラへの投資も重ねてきた。

    それにより、エイドリアン・ニューウェイは、チームのチーフ・テクニカル・オフィサーであるエンリコ・カルディレとともに、新設された風洞施設を使って2026年型マシンの開発に取り組む機会を得ている。

    最新の施設と著名なスタッフ、そしてファクトリー仕様のホンダ製パワーユニットの到来。この組み合わせが、アストンマーティンを次期シーズンのダークホースと見る声を生んでいる。

    しかし、事情に通じた関係者は、より慎重な見方を示している。

    好スタートを切るための要素は揃っているものの、チームの多くはまだ新しく、完全に機能しきってはいないという。

    そのため、アストンマーティンの真のパフォーマンスはシーズン序盤ではなく、体制が固まった終盤で測るべきだという見方がある。

    チームの予測としては、一定の競争力は示すものの、位置づけとしてはミッドフィールドの真ん中あたりになる可能性が高い、ということになる。

    この見方は、クラックの発言とも一致しているように見える。彼は、チーム間の差が広がると予想しつつも、最適化と実行力が引き続き重要な差別化要因になると指摘した。

    「少しパフォーマンスが劣るサーキットでも、最大限を引き出すことが重要だ」とクラックは述べた。

    「ギャップは非常に小さいということを忘れてはいけない。少し悪い、少し良いと言っても、ラップタイム差は大きくなくても、順位としては大きな違いになる」

    「ミッドフィールドの真ん中にいるのか、後方にいるのか、前方にいるのかで、レースや週末の様相は完全に変わる。その点を理解しておく必要がある」

    「順位そのものが大きく変わるわけではないが、ペースの小さな向上が、フィールドが密集している分、順位には大きな影響を与える」

    「質問に戻ると、どこで良くなり、どこでそうでなくなるかについては、妥当な理解があると思っている。ただし、それをあなたに共有することはない」

  • エイドリアン・ニューウェイ 「内通者」を味方にアストンマーティンF1を改革

    エイドリアン・ニューウェイ 「内通者」を味方にアストンマーティンF1を改革

    エイドリアン・ニューウェイは、アストンマーティンF1で大規模な変革を推し進めている。その原動力のひとつとなっているのが、シルバーストンのファクトリー内部にいる“内通者”だ。

    この人物は、工場内の実際の運営状況や職場の空気を定期的にニューウェイへ伝えており、それが技術部門を中心とした抜本的な改革を引き起こしている。

    AutoRacer Italiaの報道によれば、チームの筆頭オーナーであるローレンス・ストロールは、ニューウェイに完全な裁量を与えたという。これにより、ニューウェイがかつてレッドブル・レーシングで実践していたマネジメントモデルが、アストンマーティンにも導入された。

    この方針転換の結果、元空力責任者のエリック・ブランダンをはじめ、複数階層のエンジニアがチームを離脱し、その多くがF1のライバルチームへ移籍することとなった。

    再編の本質と新たなリーダー像
    改革は単なる人員整理にとどまらない。チームは経験豊富な人材と若手の両面で補強を進め、とりわけ新時代の課題に対応できるシニア人材の獲得に力を入れている。その一環として注目されたのが、マックス・フェルスタッペンのレースエンジニアであるジャンピエロ・ランビアーゼに対する打診だ。チーム代表(チームプリンシパル)やCEOといった要職を任せる構想が示され、ニューウェイが2026年F1マシン「AMR26」および将来車の開発に専念できる体制づくりが目指されていた。

    しかしランビアーゼは、少なくとももう1シーズンはレッドブルに残留する決断を下した。彼は引き続きフェルスタッペンのレースエンジニア兼、ミルトンキーンズ拠点での現場運営責任者を務める。レッドブルは私的事情による一部レース欠場の柔軟性も認めており、その場合はサイモン・レニーが代役を務める予定だ。

    時代を超えて刻まれた功績
    ニューウェイは、F1史に名を刻んだ数々のマシンの“父”でもある。ウィリアムズ時代にはアイルトン・セナのマクラーレン・ホンダを打ち破り、マクラーレンではミハエル・シューマッハのフェラーリを上回るマシンを生み出した。さらにレッドブルを黄金期へ導き、メルセデスとルイス・ハミルトンの支配を終わらせ、再びエナジードリンクチームを頂点へ押し上げた。F1史上屈指の技術者と評される所以である。

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム F1

    アナログ思考と規則解釈の達人
    ニューウェイの設計手法は今も昔ながらだ。紙にスケッチを描くことから始める。

    「私はよくA4用紙に最初のスケッチを描く。そこから製図板で手描きのラフを重ねていく。コンピューターではできない作業で、とても自然に感じられる」

    40年以上F1の現場を知る“旧世代”のエンジニアである彼は、技術規則を徹底的に読み込み、合法の範囲で限界を突くことに長けている。グレーゾーンを巧みに突き、規則の隙間を最大限に活用するその姿勢こそが、彼の真骨頂だ。

    2022年にグラウンドエフェクトが復活した際、その経験は大きな武器となった。他チームがポーポイジングに苦しむ中、レッドブルだけは大きな問題を抱えず、ニューウェイは再び“切り札”のような存在となった。

    ピットでは今もノートを手に、図を描きながらマシンの特性や調整点を書き留めている。スマートフォンではなく手書きを選ぶ理由は明確だ。それが最も成果を生んできた方法だからである。事実、彼が関与したマシンは通算26回の世界タイトルを獲得しており、これはF1史上最多の実績だ。

    アストンマーティンで、ニューウェイは再び成功の再現を狙っている。自らのやり方を一切曲げることなく。

  • フェルナンド・アロンソ、ニューウェイ設計のアストンマーティンで初走行

    フェルナンド・アロンソ、ニューウェイ設計のアストンマーティンで初走行

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が、2026年F1シーズンを見据え、エイドリアン・ニューウェイ設計によるアストンマーティンの最新マシンをサーキットでテストした。ニューウェイは昨年アストンマーティンに加わり、2026年の新レギュレーション導入に向けた開発作業を本格化させている。

    67歳のニューウェイは、ウィリアムズ、マクラーレン、レッドブルなどで通算26のタイトル獲得に関わってきた、F1史上屈指の名デザイナーとして知られる。

    レッドブルを去った2024年当時も、F1以外の分野でハイパーカープロジェクトに携わっており、その流れで誕生したのがRB17、そして今回アロンソが走らせた「ヴァルキリー」だ。

    ヴァルキリーをバルセロナでドライブ
    今回アロンソがステアリングを握ったのは、アストンマーティンとレッドブル・レーシングの協業によって生み出されたハイパーカー「ヴァルキリー」。今週初めにはRB17の第2仕様も公開されており、ニューウェイが関わるプロジェクトが相次いで注目を集めている。

    アロンソは自身のインスタグラムに、バルセロナ・サーキットを走行するヴァルキリーの写真を投稿し、「Valkyrie on track.」と簡潔なキャプションを添えた。アストンマーティン側も同様に、走行シーンの写真を公開している。なお、ヴァルキリーは約300万ポンド(6億3,000万円)で市販されるハイパーカーで、究極の性能と“走る楽しさ”を両立させた一台とされている。

    アロンソの希望はニューウェイに託される
    ニューウェイはかねてから、「一緒に仕事がしたいドライバー」としてアロンソ、あるいはルイス・ハミルトンの名を挙げてきた。今回、二度のワールドチャンピオンであるアロンソと同じプロジェクトに本格的に関われる状況が整いつつある。

    44歳のアロンソは、最後のタイトル獲得が2006年、最後の優勝が2013年スペインGPと、長く勝利から遠ざかっている。現行契約は2026年までとなっており、去就はアストンマーティンの2026年の競争力次第だと本人は明言している。

    もし表彰台争いや優勝争いが可能なパフォーマンスを示せれば、2026年限りでの引退も視野に入る。一方で、なお中団に留まる状況であれば、ニューウェイ率いる新体制に賭け、2027年や2028年まで現役を続ける可能性もあるという。

    アロンソにとって、そしてアストンマーティンにとっても、ニューウェイと迎える2026年はキャリアとプロジェクトの行方を左右する重要な一年になりそうだ。

  • ランス・ストロール 2026年F1レギュレーションの方向性は「少し悲しい」

    ランス・ストロール 2026年F1レギュレーションの方向性は「少し悲しい」

    ランス・ストロール(アストンマーティンF1チーム)は、2026年F1レギュレーションで示されている現在の方向性について、「少し悲しい」と率直な思いを口にした。

    2026年からF1は大規模なレギュレーション刷新を迎える。空力面では新しいコンセプトが導入され、パワーユニットも完全に新設計となる。物議を醸してきたMGU-Hは廃止され、電動出力は内燃機関と同等の50/50まで引き上げられる見通しだ。

    しかし、この変化は一部ドライバーの間で懸念を呼んでいる。新世代マシンは、これまでとは大きく異なるドライビング特性になると考えられているからだ。

    「全ドライバーが同じ懸念を共有している」
    「レギュレーションの考え方そのものについては、みんな同意していると思う」とストロールはRacingNews365などのメディアに語った。

    「ストレートでは時速400km近くまで加速して、コーナーではスピードが半分になる方向に進んでいるのは、少し悲しい」

    「レーシングドライバーとしては、それは望むものではない。エネルギーやバッテリーを管理する走りよりも、たくさんのダウンフォースを使ってフラットアウトで攻める方が刺激的だ」

    「それは全ドライバーに共通した意見だと思う」

    F1レギュレーション 2026年のF1世界選手権

    競争力があれば評価は変わる
    アストンマーティンは2026年からホンダをパワーユニットサプライヤーとする新たなテクニカルパートナーシップをスタートさせる。また、技術面の中心人物であるエイドリアン・ニューウェイがチーム代表の役割を担い、アンディ・コーウェルに代わって体制を率いることになる。

    ストロール自身は新型マシンを心待ちにしている様子ではないものの、結果がすべてであることも強調した。

    「もしメルボルンでここに座っていて、僕たちがものすごく速くて、ミラーの中に誰もいなければ、それはとても運転しやすいクルマになるだろう」

    「結局は相対的なものなんだ」

    2026年F1は、ドライバーの価値観と競争力の現実が、これまで以上に鋭く交差するシーズンになりそうだ。

  • エンリコ・カルディレが語るフェラーリとアストンマーティンF1の決定的な違い

    エンリコ・カルディレが語るフェラーリとアストンマーティンF1の決定的な違い

    エンリコ・カルディレは、フェラーリで培われた長い歴史と完成されたプロセスを離れ、アストンマーティンF1で“ゼロから築く組織”に挑んでいる。

    勝利を目指す情熱は同じでも、文化、意思決定、そしてチームの成長段階は大きく異なる。確立された基準をなぞるのではなく、自らが新たな基準になる──カルディレはその思想とともに、2026年F1レギュレーションを見据えたアストンマーティンF1の現在地と長期的な改革の方向性を語った。

    フェラーリ一筋からの転身──エンリコ・カルディレが語るアストンマーティンF1の現在地
    2005年にフェラーリへ入社し、ピサ大学で航空宇宙工学の学位を取得したのち、GTプログラムの空力を統括。2016年にF1チームのエアロ開発責任者、2017年には車両プロジェクトマネージャーへ昇格した エンリコ・カルディレ は、2024年7月に アストンマーティンF1 の最高技術責任者(CTO)に就任した。

    当初は2025年初頭の着任予定だったが、慣例的な調整期間を経て実際のスタートは7月中旬。チーム公式サイトのインタビューで、フェラーリと新天地の文化的違いを率直に語っている。

    「違いはある」とカルディレは言う。

    「目標は同じだ。誰もが勝利に集中している。ただ、フェラーリのF1チームは非常に長く安定した歴史を持ち、プロセスやツールが確立されている。一方で、ここではそれらをまだ構築している最中だ」

    新設のコアウィーブ風洞や新シミュレーターの活用、そして“無駄を避けるリーンな組織”の構築が、当面の課題だという。

    「最初にチームへ伝えたメッセージのひとつが、アイデンティティを見つけ、我々のビジョンで組織を形作る必要があるということだ。他所から着想を得るのは構わないが、単にコピーするのは違う」

    「我々は既存の基準のクローンではなく、基準そのものになりたい。誰かの成功例をそのまま真似るのは、追随者になるということだ。それは成功への道ではない」

    “混沌”を恐れない創造性
    カルディレは、 アンディ・コーウェル や エイドリアン・ニューウェイ、そして ローレンス・ストロール と合意した明確なビジョンと計画があると語る。

    コーウェルが掲げる「創造的で、混沌としたイノベーション・マシン」という表現について、カルディレはこう説明する。

    「他チームと違うことをするためには、革新的でなければならない。そして、その過程には多少の混沌が伴う。それを管理する必要はあるが、極端に構造化され硬直した組織では、マシンに大きな価値は生まれない」

    「一度うまくいっても、次に何をするかを探し続ける。人を前向きにプッシュし、野心的な目標を設定する。困難は個人の問題ではなく、組織全体で解決すべき課題だ。我々は結果を出すための“大きな家族”でなければならない」

    スター集団のマネジメントと意思決定
    ニューウェイやコーウェルなど“スター”が集まることでの摩擦について問われると、カルディレは否定的だ。

    「問題はない。むしろ、どう協力し、努力を融合させるかを探っている。情報共有と統合が鍵で、サイロ化を避けなければならない」

    会議での自身の役割については明快だ。

    「ビジョンを示し、明確さをもたらし、決断すること。正しいタイミングで正しい質問をするのが私の仕事だ」

    判断に必要な情報量についても現実的な姿勢を見せる。

    「100%の情報がなくても決断する必要がある場合がある。後から追加情報で誤りが分かれば、方向転換すればいい。重要なのは勝つことだ。非難の文化ではない」

    エンリコ・カルディレ 元スクーデリア・フェラーリ F1

    2026年への賭けと長期プロジェクト
    2026年はレギュレーション刷新と新パワーユニット導入が同時に訪れる大転換期だ。

    「空力コンセプトは完全に変わる。最低重量の引き下げは巨大な挑戦だ。新PU、新燃料……不確定要素が多く、誰がどこに行き着くか予測は難しい」

    短期的な速さと長期的な組織改革を並行して進める考えを示す。

    「このプロジェクトは、マシンが発表されたら終わりではない。ツール、プロセス、人の働き方、つまりチーム文化そのものを改善している」

    “失敗は許されない”
    新時代への心境を問われると、カルディレは即答する。

    「興奮だ。自分たちだけでなく、他の10台を見るのが楽しみだ。今は何をしても十分だとは言えない。すべてが未知数だからだ」

    「我々は来年、正しいところに辿り着く。ただ、それが開幕戦なのか、第2戦なのか、第7戦なのかは分からない。あるのは、コミットメント、集中、そして最終的には正しくなるという自信だ」

    「我々には、素晴らしい仕事をするためのすべてがある。失敗は選択肢にない」

  • アストンマーティンとホンダの2026年F1シーズンに向けた“秘密兵器”

    アストンマーティンとホンダの2026年F1シーズンに向けた“秘密兵器”

    2023年シーズン序盤8戦で躍進を遂げた後、アストンマーティンF1チームは2シーズンにわたり中団に低迷してきた。タイトル獲得を目標に掲げるチームにとって、これらの結果は満足できるものではなかった。

    アストンマーティンの流れを変えるため、チームオーナーのローレンス・ストロールは一連の重要な人材獲得を主導した。シルバーストンのチームには、エイドリアン・ニューウェイ、エンリコ・カルディーレ、そしてアンディ・コーウェルといった重鎮が加わっている。

    2026年を見据えると、チームにとって最大級の課題のひとつが、初めて“マニュファクチャラー”として戦うことだ。ホンダとのパートナーシップは不可欠であり、すでに2026年に向けた体制変更を促している。

    しかし、見落とされがちでありながら極めて重要な存在が、アストンマーティンの燃料サプライヤーであるアラムコだ。

    アストンマーティンとホンダがアラムコとの提携で得る可能性
    新レギュレーション下では、多くの要素がシーズンを通じて影響を及ぼす。空力面では、ライバルに対して優位性を築くため、エンジニアは有利な領域を見極めて活用するという循環的な作業に直面する。

    それでも、2026年を真に変革的なものにしているのはパワーユニットの側面だ。

    2022年以降、エンジンの信頼性は非常に高く、リタイアは年々減少している。このほぼ“防弾”とも言える信頼性により、レースは予測しやすくなり、セーフティカーの出動頻度も減ってきた。

    しかし、この状況は変わる見込みだ。2026年エンジンは、従来型から大きく方向転換した存在となる。こうした重要な主戦場を見据え、アストンマーティンは2023年初頭にホンダと2026年レギュレーションに向けた提携に合意した。

    アストンマーティンの視点では、日本のメーカーと組むことで開発プロセス全体を完全に掌握できる。もしマクラーレンF1やウィリアムズF1のようにメルセデス製パワーユニットを使い続けていれば、トップレベルのエンジンを享受できたかもしれない。

    しかしその一方で、ブラックリーのファクトリーから供給されるコンポーネントに合わせてマシン設計を調整する必要があった。アストンマーティンは、ホンダとの提携を見過ごせない機会だと判断した。

    この協業の可能性をさらに高める変数が燃料サプライヤーである。F1グリッド全体では、チームごとに異なるサプライヤーが燃料を供給している。

    アストンマーティンの供給元がアラムコである点は注目に値する。2026年には持続可能燃料が使用され、これはF1にとって大きな前進となる。

    要するに、燃料そのものが持続可能な供給源から統合的に設計される必要がある。一定の規定はあるものの、サプライヤーにはこの要件を満たすための大きな自由度が与えられている。

    特定の燃料サプライヤーが他よりも効率的なブレンドを開発する可能性があると見られており、この分野での開発自由度はレギュレーションでも認められている。エンジンとの相互作用次第では、サプライヤーによっては追加の馬力を引き出すこともあり得る。

    ここで、アストンマーティンがアラムコと組む利点が生きてくる。アラムコはすでに持続可能燃料の使用経験を有しており、昨シーズンにはF2マシンに供給していた。

    そのため、アラムコは2026年用燃料に多大な投資と開発を行ってきた。ホンダ製エンジンにさらなるエネルギーとパワーをもたらす燃焼特性を持つ燃料を供給することが期待されている。

    マニュファクチャラー各社が多方面で開発を進めるシーズンにおいて、この分野はアストンマーティンとホンダが静かに自信を持てる要素だ。信頼性と効率性に優れた持続可能燃料を生み出してきた豊富な実績は、アストンマーティンにとって貴重な武器となり得る。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム F1 本田技研工業 HRC

    ニューウェイ、カルディーレ、コーウェルが担う役割
    もちろん、2026年シーズンに向けた課題はパワーユニット開発だけではない。アストンマーティンは目標達成のため、革新的な空力パッケージを投入しなければならない。

    この点で違いを生む存在として期待されているのがエイドリアン・ニューウェイだ。66歳の名デザイナーは、かつてフェラーリF1のテクニカルディレクターを務めたエンリコ・カルディーレと協働している。

    昨季終盤には、アンディ・コーウェルがチーム代表からチーフ・ストラテジック・オフィサーへと配置転換された。この変更により、彼はホンダとの連携や開発により深く関与する立場となった。ニューウェイは、この調整がアストンマーティンの上層構造を最適化する最良の方法だと見ている。

    ホンダは過去5年で数々のタイトルを獲得してきた実績あるマニュファクチャラーであり、レッドブル・レーシングとの成功はアストンマーティンが再現を目指すものだ。2026年は、その基盤を築く年となる。

    総じて、ホンダはメルセデスに挑む最有力メーカーのひとつと見なされている。アラムコとの独自のパートナーシップといった利点が決定的な差を生むかどうかは、時が示すことになる。

  • フェルナンド・アロンソ、技術系チーム代表の増加に本音「いまのF1は別物だ」

    フェルナンド・アロンソ、技術系チーム代表の増加に本音「いまのF1は別物だ」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、F1におけるチーム代表の顔ぶれが変化している現状について、「いまのF1は以前とは違う」と語った。近年は、ビジネス畑出身ではなく、技術バックグラウンドを持つ人物がチームを率いるケースが増えており、その流れが契約交渉のあり方にも影響を与えているという。

    かつてのF1では、チームのトップが競技面とビジネス面の双方を統括するのが一般的だった。

    エディ・ジョーダン、ロン・デニス、フラビオ・ブリアトーレといった強烈な個性を持つリーダーが、チームを象徴する存在として君臨していた時代だ。

    しかし現在は、技術責任者出身のチーム代表が増え、CEOなどの商業部門トップと二頭体制を組むケースが主流になりつつある。アロンソは、こうした変化の背景には、F1そのものがよりデータ主導の競技へと進化したことがあると指摘する。

    「違うのは間違いない」とアロンソはメディアに語った。

    「でも、スポーツ自体が違うし、世界も違う。いまはすべてがパフォーマンス重視で、毎週末に完璧を目指そうとしている。マシンは何千ものシミュレーションで動かされ、セットアップも完璧さを追求している。そういう時代だ」

    「週末にやっていることに直感が入り込む余地は少なくなった。すべてがデータによって動かされている」

    アロンソは、過去のF1では「人」を相手に戦っていた側面が強かったとも振り返る。

    「昔は強烈な個性と向き合う必要があった。ルカ・ディ・モンテゼーモロ、フラビオ(ブリアトーレ)、エディ・ジョーダン、ロン・デニス……みんなそれぞれ違っていた」

    その一方で、現代のF1においては、ドライバーにとってある側面が難しくなっているとも冗談交じりに語った。

    「たぶん、いまは契約交渉のほうが大変かもしれない。数字とデータの話になるからね」とアロンソは笑った。

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム F1

    現在所属するアストンマーティンについて、アロンソは「技術と商業のバランスが取れているチーム」だと評価する。

    「僕たちのチームは恵まれていると思う。素晴らしい技術リーダーがいるし、同時にとても強い商業チームもある」

    「スポンサーがいて、そしてトップにはローレンス(ストロール)がいる。彼は今でも昔ながらのキャラクターで、レースへの情熱が血の中にある。すべてがデータというわけじゃない。だから、いまは本当に楽しいチームだ」

    アストンマーティンの人材と体制への確信
    アストンマーティンは、近年テクニカル人材を積極的に補強してきた。アロンソ自身も、チームに明確な「欠けている部分」はないと感じているという。

    「サーキットにいるチームも強い。アンディ・スティーブンソンをはじめ、経験豊富な人たちがいるし、レースエンジニア、パフォーマンスエンジニア、戦略も揃っている」

    「ランスと僕の2人で、合わせて35年の経験がある。レースチームの経験や、成功に必要なビジョンが欠けているとは思っていない」

    「心配していることはない。ただ、来年は速いクルマが必要なだけだ」

    最新鋭のファクトリーと風洞、そして実績ある人材が揃った今、アロンソはアストンマーティンの成功を確信している。

    「ファクトリーは完成した。風洞も新しくて、もう使っている」

    「エイドリアン・ニューウェイ、アンディ・コーウェル、エンリコ・カルディレがいる。つまり、素晴らしい人材と才能が揃っている」

    「問題は、それらをどれだけ早く噛み合わせられるかだ。数か月で十分なのか、それとも1シーズン必要なのか、それは分からない」

    「でも、アストンマーティンは成功する。それは保証できると思っている。一番の問題は、いつなのか、ということだ」

    「僕たちは皆、それをできるだけ早く実現しようとしている」

  • フェルナンド・アロンソ、F1タイトルから20年「正直、信じられない」

    フェルナンド・アロンソ、F1タイトルから20年「正直、信じられない」

    フェルナンド・アロンソは、自身がF1で2度目、そして最後のワールドタイトルを獲得してから今季で20年になるという事実について、「正直、頭が追いつかない」と率直な心境を明かした。

    2006年、当時ルノーに所属していたアロンソは、フェラーリのミハエル・シューマッハとの壮絶なタイトル争いを制し、最終的に13ポイント差で連覇を達成した。シューマッハが5年間にわたって築いてきた支配を終わらせたその快挙は、アロンソが今後何年にもわたってF1の中心的存在になることを予感させるものだった。

    しかし、その後のキャリアは必ずしも順風満帆ではなかった。2007年にマクラーレンへ移籍し、若きルーキーだったルイス・ハミルトンとコンビを組んだが、チーム内の政治的な問題に巻き込まれ、わずか1ポイント差で3年連続タイトルを逃す結果となった。

    その後ルノーに復帰するも大きな成果は得られず、続いてフェラーリへ移籍。そこでは4シーズン中3度にわたりランキング2位となったが、いずれもレッドブルとセバスチャン・ベッテルという新たな絶対王者の前に阻まれた。

    さらにマクラーレンへの不運な移籍を経てF1から一時離脱。その間、アロンソはル・マン24時間レースで2度の総合優勝を果たし、2019年には世界耐久選手権のタイトルも獲得した。のちにアルピーヌで2年間F1に復帰し、現在はアストンマーティンで4年目のシーズンを迎えている。

    最後のタイトルから20年が経った今なお、アロンソがF1の舞台で“待望の3冠目”を目指して戦っているという事実は、驚くべきものだ。

    「こういうことは普段あまり意識しないけど、少し立ち止まって振り返ると、やっぱり信じられない気持ちになる」とアロンソはニューヨーク・タイムズに語った。

    「そんなに昔のことだとは感じない。2007年、2010年、2012年と、僕はチャンピオン争いをしてきたし、最後に勝ったレースも2013年だ。2013年以降、自分が勝てない状態にあるとか、勝てる感覚を失ったとか、そう感じたことはなかった。たとえ、そこまで近づけなかったとしてもだ」

    さらにアストンマーティンで臨んだ2023年シーズン序盤、8戦中6回の表彰台を獲得したことにも言及し、こう続けている。

    「2023年の表彰台は、僕自身への確認であり、同時に、まだここにいるということを皆に思い出させるものだった。

    マシンさえあれば、僕は結果を出せる。F1を離れていた間に、世界耐久選手権やル・マンで勝ったことも、同じことだ」

    「もちろん、20年前のブラジルでF1ワールドチャンピオンを決めた時と同じ感情ではない。でも、あれに一番近い瞬間と感覚ではあった。

    僕にとって最後の大きな満足感は、20年前ではなく、数年前にあった。だから、20年が経ったとは感じない。それが、今の正直な感覚だ」

  • アロンソが語る「ホーナー不要論」 アストンマーティンF1が選んだ明確な道筋

    アロンソが語る「ホーナー不要論」 アストンマーティンF1が選んだ明確な道筋

    アストンマーティンF1は、2026年F1新時代を見据えた組織再編を進めるなかで、ひとつの大きな噂と距離を置いた。長年レッドブルを率いてきたクリスチャン・ホーナーの加入説だ。

    ホーナーは2025年夏、20年にわたるレッドブルでの体制に終止符が打たれて以降、パドック最大の「空席」となっている存在で、現在はアルピーヌが有力な行き先として取り沙汰されている。一時はアストンマーティンF1の名も噂に浮上したが、チーム内部ではすでに方向性が固まっている。

    ローレンス・ストロールはホーナー説に明確な線を引き、エイドリアン・ニューウェイをチーム代表に据え、アンディ・コーウェルを新たな戦略的役割へと配置した。フェルナンド・アロンソは、その布陣を冷静に見つめながら「空席は存在しない」と受け止めている。

    マネジメントにこれ以上の人材は不要
    スカイF1の取材で、ホーナーを別の形で迎え入れる可能性について問われたアロンソは、慎重ながらも明確な言葉を選んだ。

    「分からない。今のところ、それは僕が答える質問ではないと思う」とアロンソは語った。

    「ただ、エイドリアンが今その役割を担い、アンディも別の責任を引き受けていて、彼は非常に有能だ。ローレンスも偉大なリーダーで、常に最大限のコミットメントと決意を持っている。そう考えると、マネジメントにこれ以上の人材が必要だとは思わない。もちろん、最終的な判断は僕ではないけどね」と続けた。

    これはホーナーの実績を否定するものではなく、現在のアストンマーティンF1の中核がすでに機能しているという評価だ。指揮系統が明確な今、さらに大物を加えることは、かえって焦点をぼかす危険があるという考えがにじむ。

    フェルナンド・アロンソ F1 クリスチャン・ホーナー

    ニューウェイが生む“重力”と人材効果
    アロンソが強調するのは、ニューウェイの存在そのものがチームにもたらす吸引力だ。

    「エイドリアンがチームにいることで、人材を引き寄せると思う。それは間違いない」とアロンソは語った。

    「誰もがエイドリアン・ニューウェイと一緒に働き、彼から学びたいと思っている。そういう存在だ。彼がチーム代表であることで、さらに多くの人がこのチームに加わることを夢見るはずだ。それは僕たちにとって良いニュースだ」と述べた。

    ニューウェイの昇格は、組織上のリスクではなく、採用面での強力な武器になるという見方だ。優れたエンジニアを動かすのは説得ではなく、インスピレーションであり、その象徴がニューウェイだという。

    フェルナンド・アロンソ F1 エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    最も重要な仕事を守るために
    もっとも、アロンソの支持にはひとつの含みもある。ニューウェイの才能は、あくまでマシンに向けられるべきだという点だ。

    「正直に言って、彼には速いクルマを作るためのすべてのスキルがあると思う」とアロンソは語った。

    「ただ、今のチーム代表という役割は少し違っていて、メディア対応やスポンサー対応など、別のことも求められる。エイドリアンがそういうことを全部やらず、重要な部分に集中できればいいと思っている」と続けた。

    「彼はチームの運営方法や、全員を一つの方向に集中させる方法を知っている。素晴らしいリーダーだし、この発表には満足している」と締めくくった。

    3度目のワールドチャンピオン獲得を狙い続けるアロンソにとって、必要なのは新たな権力者ではない。求められているのは、方向性の一致と勢い、そして何よりも速いマシンだ。

    その意味で、ホーナーを迎え入れなかった判断は機会損失ではなく、アストンマーティンF1が「自分たちが何を望んでいるのか」をようやく正確に理解した証だと、アロンソは見ている。