カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • アストンマーティンF1不振の核心 ニューウェイのホンダPU設計介入が原因か

    アストンマーティンF1不振の核心 ニューウェイのホンダPU設計介入が原因か

    アストンマーティンF1は2026年シーズン開幕から苦戦が続いている。その背景として浮上しているのが、エイドリアン・ニューウェイによるホンダのパワーユニット設計への介入だ。

    単なるパフォーマンス不足ではなく、設計段階でのパッケージング変更が原因となり、現在の振動問題やドライバビリティの悪化を招いている可能性が指摘されている。

    この問題は「なぜアストンマーティンがここまで苦しんでいるのか」という問いに対し、技術的な因果関係を伴う形で説明できる数少ない仮説のひとつでもある。

    ベテランF1ジャーナリストのマーク・ヒューズは、ポッドキャストでニューウェイの関与について言及した。

    「現在のホンダのパワーユニットの振動問題の一部は、エイドリアンが到着した際に可能かどうかを尋ねたレイアウトに関係している可能性があると考えられている」

    「彼はかなり遅れて合流したが、パワーユニットを短くしたいと考えていた」

    「そのための方法のひとつが、バッテリーを電子系で二重に積層し、MGU-Kをエンジン後方ではなく前方に配置することだった。これによってダウンフォースを生むためのスペースが生まれる」

    「ホンダはまだ問題の正確な原因を特定できていないが、それと関連している可能性はある」

    この証言が示すのは、空力性能を優先したパッケージング変更が、パワーユニット本来の安定性とトレードオフの関係にあった可能性だ。

    “空力優先設計”が生んだ構造的なズレ
    本来、パワーユニットは信頼性と一貫性を最優先に設計される領域だ。しかし今回のケースでは、シャシー側の要求に合わせて配置そのものが再設計されたとみられる。

    その結果、振動という形で副作用が顕在化し、エネルギー回収系や車体全体の挙動にまで影響を及ぼしている可能性がある。

    単なるセットアップの問題ではなく、「設計思想の衝突」に近い構図が見えてくる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ニューウェイの哲学は“成立させてから解決する”
    1996年F1ワールドチャンピオンのデイモン・ヒルは、ニューウェイのアプローチについて次のように説明している。

    「彼はこう考えるはずだ。『基本的な目標は達成した。あとは機能させるだけだ』と」

    「これは彼のやり方だ。まず理想のレイアウトを成立させ、その後に問題を解決していく」

    「彼はその方向で押し続けるだろうし、最終的には何かしらの成果が出るはずだ。うまくいかない可能性は低い」

    この発言は、現在の問題が“失敗”ではなく、開発途中の段階にあることを示唆している。

    鍵は“成立したコンセプトを機能させられるか”
    現状のアストンマーティンは、空力的には理想に近いパッケージを手にしている可能性がある一方で、それを実際のパフォーマンスに変換できていない。

    振動問題の解決は、単なる改良ではなく、PUとシャシーの関係性そのものを再調整する必要がある領域に踏み込む可能性が高い。

    ニューウェイ主導の攻めた設計が、時間とともに完成形へと収束するのか。それとも設計そのものの見直しを迫られるのか。アストンマーティンの2026年シーズンは、この一点に大きく左右されることになる。

  • アストンマーティンF1 ホンダ批判の構図 マクラーレンの“前例”と酷似

    アストンマーティンF1 ホンダ批判の構図 マクラーレンの“前例”と酷似

    2026年F1シーズンの開幕とともに始まったアストンマーティンとホンダのパートナーシップは、期待とは裏腹に不安定な立ち上がりを見せている。チームは低迷の要因としてパワーユニット側の問題を繰り返し指摘しており、その構図が過去のある事例と重なり始めている。

    その比較対象とされているのが、かつてマクラーレンがメルセデスとの関係において取っていた対応だ。

    技術的課題を巡る責任の所在が、チーム内の力学や政治的な判断によって外部へと向けられていた可能性が浮かび上がっている。

    ホンダ批判の構図と浮かび上がる課題
    アストンマーティンは2026年シーズン序盤の不振について、ホンダ製パワーユニットの振動問題を主因として挙げている。フェルナンド・アロンソは日本GPでようやく今季初完走を果たし、ランス・ストロールはここまで合計82周の走行にとどまっている。

    この振動問題については、エンジン単体ではなくシャシー側の影響も指摘されている。ホンダ上層部は、問題がAMR26への搭載後に顕在化したことから、シャシーが振動を増幅している可能性を見ているとされる。また、エイドリアン・ニューウェイが手がけたこのマシン自体も、期待に達していないとの見方が出ている。

    それにもかかわらず、チーム側の発信は一貫してホンダ側の問題に焦点を当てている。この状況が、過去のマクラーレンとメルセデスの関係と重ねられている。

    マクラーレン時代との共通点
    デビッド・クルサードは、マクラーレン在籍時にチーム代表ロン・デニスから「問題があればエンジンのせいにするように」と指示されていたと明かしている。

    「ロン・デニスは、何か問題があれば『エンジンのせいだと言え』と言っていた」

    「当時のモータースポーツ責任者だったノルベルト・ハウグにその話をすることもあったが、彼がクルマのせいにしろと言ったことは一度もなかった」

    「つまり、同じチームであっても、実際には成功を目指す2つの異なる組織だったということだ」

    この構図は、現在のアストンマーティンとホンダの関係にも通じる。表向きはワークス体制であっても、責任の所在が明確に共有されていない場合、こうした“責任の外部化”が起きやすい。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1/本田技研工業

    ニューウェイ初号機に向けられる視線
    今回のホンダ批判が意味するもうひとつの側面は、ニューウェイが加入後初めて関与したマシンへの評価を巡る問題だ。

    アストンマーティンは2025年4月にニューウェイを迎え入れ、その後のマシン設計を任せている。しかし、2026年型マシンAMR26は現時点で結果を残せておらず、本来であればその設計思想やパフォーマンスが問われる局面にある。

    だが、パワーユニット側の問題に議論が集中することで、シャシーへの直接的な批判は相対的に抑えられている。この点が、戦略的な情報コントロールと見る向きもある。

    パートナーシップに残るリスク
    ホンダは今回のプロジェクトのためにF1活動を再構築しており、今回の一連のネガティブな報道はブランドイメージへの影響も小さくない。

    かつてマクラーレンとの関係では、過度な要求や制約がパワーユニット開発の妨げとなり、最終的にプロジェクトは短期間で解消された。ホンダは2019年にレッドブルと組んで以降、ようやく成功を手にした経緯がある。

    今回のアストンマーティンとの関係においても、同様の構図が繰り返される場合、パートナーシップそのものの持続性が問われる可能性がある。

    現時点ではまだシーズン序盤だが、責任の所在を巡るこの構図が今後どのように変化していくかは、2026年F1の重要なテーマのひとつとなりそうだ。

    Source: F1 Oversteer

  • アストンマーティンF1混迷 ウィートリー待望論「誰も責任が分からない」

    アストンマーティンF1混迷 ウィートリー待望論「誰も責任が分からない」

    アストンマーティンは2026年シーズン序盤、組織面での混乱がパフォーマンス低迷の要因として浮き彫りになっている。技術的な課題だけでなく、チーム内部の意思決定構造そのものに問題があるとの指摘が強まっている。

    その象徴ともいえるのが、元F1ドライバーであり現在は解説者を務めるマーティン・ブランドルの発言だ。彼はチームの現状について「誰も何をすべきか分かっていない」と断じ、ジョナサン・ウィートリーの加入を“必要不可欠な処方箋”と位置づけた。

    今回の焦点は3つある。第一に、長年続く経営陣の不安定さ。第二に、エイドリアン・ニューウェイを巡る異例の体制。そして第三に、その混乱を収束させる存在としてのウィートリー待望論だ。

    止まらない人事の揺らぎが組織を崩壊させる
    ローレンス・ストロールのもとで進められてきたチーム強化は、施設面では大きな成功を収めた。しかし人的構成、とりわけ上層部の安定性は確保できていない。

    ここ数年、アストンマーティンは主要ポジションの入れ替えを繰り返してきた。その結果、組織としての一貫性が失われ、現場の判断基準も曖昧になっている。

    マーティン・ブランドルはこの状況を強く問題視している。

    「アストンマーティンの最大の問題は、経営陣のローテーションが激しすぎることだ。誰が何を担当しているのか、誰が責任者なのか、奇妙な決定がいくつもある」

    この指摘は単なる印象論ではない。意思決定のラインが不明確な組織では、戦略の継続性が担保されず、結果としてパフォーマンスにも直結する。

    ニューウェイ体制の“歪み”
    混乱を象徴するのが、エイドリアン・ニューウェイの起用だ。

    純粋な設計者であるニューウェイにチーム代表的な役割を担わせる判断について、ブランドルは疑問を呈する。

    本来、マシン開発に集中すべき人物が組織運営まで担うことで、役割の分断が曖昧になっている。これは短期的には意思決定のスピードを落とし、長期的には組織全体の方向性を不安定にするリスクを孕む。

    実際、現場ではその影響がすでに表面化している。

    「チーム内では皆が様子をうかがっている。誰に報告すべきか、どんな戦略なのか、何も分かっていない」

    この証言は、単なる混乱ではなく“統治不全”に近い状態を示唆している。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ウィートリー待望論の現実性
    そうした中で浮上しているのが、ジョナサン・ウィートリーの加入だ。

    ブランドルは、ウィートリーがアウディを離れた判断について「軽いものではない」とし、その先にアストンマーティンがあるとの見方を示す。

    「彼はアウディのプロジェクトも、家族のスイス移住も簡単に捨てたわけではない。だから最終的にはアストンマーティンに行くと考えるのが自然だ」

    さらに、ニューウェイとの関係性も重要な要素だ。

    「ニューウェイは彼をよく知っているし、ウィートリーの現実主義と献身性は、今のチームに必要なものだ」

    つまり、現在のアストンマーティンに欠けている“組織をまとめる機能”を補完できる人物として評価されている。

    なぜ今ウィートリーなのか
    今回の一連の発言が示しているのは、単なる人材補強の話ではない。

    アストンマーティンの問題は、マシン性能でもホンダとの関係でもなく、「組織の意思決定構造」にあるという点だ。

    ブランドルは最後にこう締めくくっている。

    「今のアストンマーティンはプレミアリーグのチームのようだ。監督を次々と替えている。だがその先に何があるのか?」

    この問いに対する明確な答えは、まだ存在しない。

    だが少なくとも、ウィートリーの加入が“秩序の回復”に向けた最初の一手になる可能性は高い。現状の混乱を放置すれば、どれだけ優れた技術リソースを持っていても結果には結びつかない。

    アストンマーティンにとって今必要なのは、速さではなく「方向性」そのものだ。

  • ホンダF1とアストンマーティンに温度差 スペイン人記者が鈴鹿で見たズレ

    ホンダF1とアストンマーティンに温度差 スペイン人記者が鈴鹿で見たズレ

    日本GPの現場で、ホンダF1とアストンマーティンの間に“認識のズレ”が浮き彫りになった。

    スペインのジャーナリスト、アントニオ・ロバトは、鈴鹿でのガレージの様子から、両者の間に責任の押し付け合いとも受け取れる空気があったと指摘している。一方でアストンマーティン側は関係悪化を否定しており、同じ状況を巡って異なる見方が存在している。

    この“ズレ”は単なる印象論にとどまらず、2026年F1の技術的な複雑さを象徴するものでもある。

    スペイン人記者が見た鈴鹿の違和感
    アントニオ・ロバトは、ホンダ首脳陣がアストンマーティンのガレージを訪れていた場面に注目し、そのやり取りから一定の緊張感を読み取っている。

    「ホンダの首脳陣はガレージを訪れ、この週末の状況について話していた」

    「そして彼らは責任の一部をアストンマーティンにあると示唆していた」

    「サクラのテストベンチでパワーユニットを回した段階でも振動は存在していたが、シャシーに搭載したことでそれが増幅されているという見解だった」

    「つまり『問題はそちらにもある』ということだ」

    ロバトの見立てでは、振動問題は単なる技術課題ではなく、責任の所在を巡る認識のズレとして表れている。

    当事者は「問題なし」と強調
    一方で、アストンマーティン側の見解は明確だ。

    チーフ・トラックサイド・オフィサーのマイク・クラックは、日本GPのグリッド上で交わされたホンダとの握手について、「和解」を意味するものではないと説明している。

    「和解する必要はなかった。我々は良好な関係にあるからだ」

    「我々はホンダに大きな敬意を持っているし、現在抱えている問題に対してどれほどの作業が行われてきたかも見てきた」

    さらにクラックは、関係性に問題があるという見方そのものを否定した。

    「問題は存在しない。以前から話し合っているし、今後も続けていく」

    公式な立場としては、あくまでパートナーシップは維持されているという姿勢だ。

    ホンダF1/本田技研工業 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム 日本GP

    ズレが生まれる構造的な理由
    今回のケースで重要なのは、「関係性」と「技術的責任」は別の問題である点だ。

    2026年F1のパワーユニットは、エンジン、バッテリー、ギアボックス、そしてシャシーが高度に連携する構造となっている。そのため、

    ・パワーユニット側は「単体では問題は限定的」
    ・シャシー側は「統合後に問題が顕在化する」

    という認識のズレが生じるのは珍しくない。

    ホンダが示した「テストベンチでは存在するが、車体で増幅される」という説明は、まさにその構造的な特徴を示している。

    “関係良好”の裏で進む現実
    外部からは対立や責任転嫁に見える場面でも、当事者は「関係は良好」と語る。これはF1において珍しいことではない。

    実際には、開発を前進させるために両者が問題を共有し、解決策を探るプロセスが続いている。

    ロバトの印象が示した“違和感”は、その内部で進んでいる調整の一端を映し出したものと言える。

    Source: SoyMotor

  • フェルナンド・アロンソ 息子の名前は「レナード」F1パドックパスを公開

    フェルナンド・アロンソ 息子の名前は「レナード」F1パドックパスを公開

    フェルナンド・アロンソが、自身の子どもの名前を巡る報道を否定し、SNSで正式な名前を明かした。スペインのテレビ番組が「父と同じ“フェルナンド・アロンソ”と命名した」と伝えたが、本人がこれを否定する形となった。

    実際の名前は「レナード・アロンソ・ヒメネス」。アロンソはユーモアを交えながら誤報に反応し、証拠としてF1のパドックパスも公開している。

    今回の出来事は、日本GP週に誕生した第一子と重なり、プライベートとレース活動の両面で注目を集める形となった。

    誤報を否定 アロンソが自ら名前を公表
    フェルナンド・アロンソは、自身の子どもの名前に関する報道をSNSで否定した。

    スペインのテレビ番組が「父と同じ名前を付けた」と報じたことに対し、アロンソは皮肉を交えたコメントで反応した。

    「今日、僕たちは報道によって息子に別の名前があることを知った。毎日彼を見ている僕たちは、これからも彼をレナードと呼び続ける」

    さらにアロンソは、F1が発行したパドックパスの画像を公開し、そこに記載された「レナード・アロンソ・ヒメネス」という名前を示した。

    「F1に感謝する。これが最初の一枚で、これからも続いていく」

    フェルナンド・アロンソ F1 レナード

    日本GP週に誕生 現地スケジュールにも影響
    第一子は日本GPの週に誕生した。

    この影響でアロンソは木曜のメディアデーを欠席し、鈴鹿でのフリー走行1回目にも参加しなかった。このセッションではジャック・クロフォードが代役としてマシンをドライブしている。

    その後、アロンソは週末の走行に復帰し、決勝まで走り切った。

    アストンマーティンにとって初の完走
    決勝では18位でフィニッシュしたものの、これは今季のアストンマーティンにとって初の完走となった。

    開幕からトラブルが続いていたチームにとっては、小さくも重要な一歩となる結果だった。

    今回の一件は、誤報への迅速な対応という側面に加え、F1ドライバーとしての活動と私生活のバランスを象徴する出来事でもあった。

  • ホンダF1 アストンマーティン巻き返しの鍵はADUO FIA判断はモナコGP後

    ホンダF1 アストンマーティン巻き返しの鍵はADUO FIA判断はモナコGP後

    ホンダF1にとって2026年F1シーズンの分岐点が近づいている。アストンマーティンにパワーユニットを供給する立場として、序盤戦で見えてきた性能差をどう埋めるかが今後の戦局を左右する。

    その鍵を握るのが、FIAが導入した救済措置「ADUO(追加開発・アップグレード機会)」だ。現時点で事前承認は出ておらず、適用の可否はマイアミGP後の技術査定を経て、モナコGP前後に判断される見通しとなっている。

    ホンダPUとアストンマーティンの現状
    2026年のパワーユニット勢力図では、メルセデスが内燃エンジンの基準とされている。その一方で、フェラーリやアウディ、そしてホンダは一定の差を抱えていると見られている。

    アストンマーティンはホンダ製パワーユニットを搭載しており、この差はそのままチームのパフォーマンスに直結する。ホンダの巻き返しは、そのままアストンマーティンの戦闘力回復を意味する構図だ。

    ADUOは巻き返しの制度的チャンス
    ADUOは、出力で遅れを取るメーカーに対して開発の自由度を与える仕組みで、シーズン中に3回の評価が行われる。最初の査定はマイアミGP後に実施され、その後モナコGPの時期までに対象メーカーが確定する。

    出力差が2%を超えればADUO1、4%を超えればADUO2と段階的に開発範囲が拡大する。仮に基準となるメルセデスの内燃エンジンが550〜560馬力とすれば、約11馬力差でADUO1、約22馬力差でADUO2が発動する計算になる。

    ホンダがどのレンジに位置するかによって、許される開発の幅が大きく変わることになる。

    すでに始まっている“見えない駆け引き”
    この制度は単なる技術評価にとどまらない。

    各メーカーがどこまで本来の性能を見せているのか、あるいは意図的に出力を抑えているのかは外部からは見えない。評価結果そのものが戦略の一部になり得るため、序盤戦は“性能を競う場”であると同時に“評価をどう受けるかの駆け引き”でもある。

    ホンダとしても、アストンマーティンとのパッケージ全体での位置を見極めながら、ADUO適用を前提とした開発準備を進めている可能性がある。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1/本田技研工業

    アストンマーティンの反撃タイミング
    2026年のパワーユニットは1基あたり約8戦を想定して設計されており、シーズン中に使用できるのは3基に制限されている。

    そのため、仮にADUOが認められた場合でも、改良版を投入するタイミングが極めて重要になる。現実的には2基目への切り替えが視野に入る6月のオーストリアGP前後が有力と見られる。

    スペインGPでの前倒し投入も理論上は可能だが、開発と検証の進行を考えれば難易度は高い。

    ホンダ×アストンマーティンの分岐点
    今回の焦点は、ホンダがADUOの対象に入るかどうかだけではない。

    重要なのは、その機会をどれだけ効果的に使い、どこまで差を縮められるかだ。そしてその成果は、そのままアストンマーティンの戦闘力として表れる。

    FIAの判断はまだ下されていない。しかし、ホンダとアストンマーティンにとって、この数戦は単なる序盤ではなく、シーズンの流れを左右する分岐点になっている。

  • フェルナンド・アロンソ 新世代F1に苦言「スタッフの50%は鈴鹿を走れる」

    フェルナンド・アロンソ 新世代F1に苦言「スタッフの50%は鈴鹿を走れる」

    2026年F1シーズンを巡る議論が続くなか、フェルナンド・アロンソが新世代F1マシンの特性に対して改めて疑問を呈した。焦点となっているのは、エネルギーマネジメント主導のレース構造がドライビングの本質を変えている点だ。

    その問題はF1日本GPの舞台となった鈴鹿サーキットで顕在化した。従来はドライバーの技量が試される象徴的な高速コーナーが、別の役割を担うようになっているという。

    「高速コーナーは充電ステーション」ドライビング価値の変化
    アロンソは、新世代F1において高速コーナーの意味が大きく変わったと指摘する。

    「バーレーンテストのときに、シェフでも運転できると言ったが、今はスタッフの50%は鈴鹿を走れると思う」

    「何度も言っているが、高速コーナーは今やクルマの充電ステーションになっている」

    「そこでは減速してバッテリーを回収し、ストレートでフルパワーを使う。だからドライバーのスキルはもう必要とされない。高速コーナーは挑戦ではなくなった」

    鈴鹿で露呈したエネルギー依存のレース構造
    鈴鹿サーキットは回生効率が低く、エネルギー確保が難しい“エネルギー不足型”のレイアウトとされる。そのためドライバーはラップ中に意図的な減速を挟み、バッテリーを回収する必要がある。

    特に130Rでは、本来は全開で駆け抜けるべき区間で出力制限、いわゆるスーパークラッピングが発生。これにより不自然な速度変化が生まれ、観戦面でも違和感が指摘された。

    予選ではエネルギー上限が9MJから8MJへと引き下げられたが、理論上の改善とは裏腹に、ドライバーが積極的に攻められない状況は大きく変わらなかった。

    構造的問題としての“ドライバー依存度の低下”
    アロンソは、この問題が単なるセットアップやサーキット特性の問題ではなく、レギュレーションそのものに起因すると見ている。

    「改善は簡単ではない。常にストレートとエネルギー管理に偏るからだ」

    「規則の修正でスーパークラッピングや出力制限は良くなるかもしれないが、クルマを限界まで攻める必要はもうなくなる」

    この指摘は、2026年F1で顕著となっている“ヨーヨーレース”とも一致する。ストレートでのエネルギー消費と回生のバランスによって順位が入れ替わる構造は、純粋なドライビングバトルとは異なる性質を持つ。

    マイアミでの改善と残る本質的課題
    次戦マイアミは回生機会が多く、鈴鹿ほど極端なエネルギー制御は求められないと見られている。そのため表面的なレース展開は改善する可能性がある。

    ただし、アロンソの発言が示すのはコース依存の問題ではない。エネルギー運用が主導する現在のF1において、ドライバーが限界まで攻める価値そのものが薄れているという構造的な課題だ。

    2026年F1はオーバーテイクの増加という成果を見せつつも、その質について新たな議論を生んでいる。アロンソの言葉は、その変化の核心を突くものとなっている。

  • アストンマーティンF1 苦戦はホンダPUだけではない 高速域と重量に問題

    アストンマーティンF1 苦戦はホンダPUだけではない 高速域と重量に問題

    アストンマーティンは2026年F1日本GPで初完走を果たし、これまで最大の課題とされてきた振動問題に一定の改善の目処が立ったことが明らかになった。

    しかしチームはすでに次の段階へと移行しており、ホンダPU由来の問題だけでなく、シャシーと空力性能、そして重量といった車体側の課題がAMR26の競争力を制限している現実が浮き彫りとなっている。

    振動問題は「二次的な課題」へ
    アストンマーティンのマイク・クラックは、これまで最大の問題だった振動について、今後は優先度が下がるとの見方を示した。

    「振動は今後も取り組む必要はありますが、二次的な問題になると考えています。マイアミまでには前進し、この話題について議論する必要がなくなることを期待しています」

    これによりチームは、これまで信頼性を優先してきた段階から、パフォーマンス向上へと焦点を移しつつある。

    クラック「本当の問題は車体側にある」
    クラックは、現在の課題がパワーユニットだけではないことを明確にした。

    「我々は高速コーナーで十分な性能を持っていないし、最低重量にも達していない」

    この発言は、AMR26の弱点がシャシーおよび空力設計に及んでいることを示しており、開発の主軸が車体側へ移行していることを意味する。

    ニューウェイ体制の次の課題
    エイドリアン・ニューウェイが主導するAMR26は、振動問題に加え、高速域でのパフォーマンス不足と重量超過という複合的な課題を抱えている。

    これにより、単純なパワーユニット改善だけでは競争力の向上にはつながらない状況となっている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1/本田技研工業

    ホンダも性能改善フェーズへ
    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、日本GPでの完走に安堵を示した。

    「これほど完走を願ったことはありませんでした。正直、ほっとしています」

    一方で、振動問題は依然として根本解決には至っておらず、これまでの対策は暫定的なものであったことも明かされた。

    「これまではバッテリー損傷を防ぐための暫定的な対策でした。今後はシャシー側と連携して根本的な解決に取り組んでいきます」

    さらにホンダは、エネルギーマネジメントの精度向上などパフォーマンス改善にも着手している。

    「山を登る段階」に入ったアストンマーティン
    クラックはチームの現状について、長期的な改善が必要であると強調した。

    「我々は自滅してはいけない。難しい状況だが、この数カ月のポジティブな側面に集中する必要がある」

    「これは本来なら当たり前のことだが、今は現実を受け入れ、そこから前に進むしかない」

    「我々は大きなステップを踏まなければならない。小さな改善ではなく、山を登る必要がある」

    アストンマーティンは約1カ月のインターバルを活用し、次戦マイアミに向けてシャシーと空力の改善を進める方針だ。

  • F1日本GPで関係に変化 アストンマーティンとホンダに転換点

    F1日本GPで関係に変化 アストンマーティンとホンダに転換点

    2026年F1日本GPで、アストンマーティンとホンダの関係に変化の兆しが見えた。数週間にわたり緊張が続いていた両者だが、鈴鹿では完走という共通目標のもとで結束し、これまでとは異なる姿勢を示した。

    結果そのものは決して満足のいくものではなかったが、発言のトーンと現場の連携には明確な変化が見られ、関係性の“転換点”といえる週末となった。

    開幕前から続いていた緊張関係
    エイドリアン・ニューウェイが開幕前に発した発言以降、アストンマーティンとホンダの関係は緊張状態にあった。

    アストンマーティンは不振の主因がホンダにあると示唆し、場合によっては提携を見送っていた可能性にまで言及。一方でホンダは、設計変更やシャシー側にも原因があると主張し、責任は一方に偏るものではないと反論していた。

    鈴鹿で非難は消えた
    しかし鈴鹿では、その空気が一変した。

    アストンマーティンのマイク・クラックは次のように語った。

    「チームの誰もこの結果を祝う気分ではない。それは明らかだ」

    「現在の状況を認識し、受け入れ、それを乗り越えるために懸命に取り組まなければならない」

    結果的にチームは上位争いには加われず、レースはドライバーとチームにとっての学習の場となったが、現場の努力は前進として評価された。

    共同作業が生んだ“前進”
    中国GPと日本GPの間には、両チームのエンジニアが共同でデータ調整を実施し、ダイナモやファクトリーを活用した連携作業が行われた。

    ホンダのチーフエンジニアである折原慎太郎は次のように語った。

    「中国と日本のグランプリの間の週に、データ設定の調整を行い、両チームのエンジニアが我々のダイナモメーターとアストンマーティンの工場を使って共同作業を行いました」

    「アストンマーティンは対策の実装において顕著に協力してくれました。そして、それが結果に結びつき、レース完走につながったことは重要だったと思います」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1/本田技研工業

    渡辺は関係悪化説を否定
    ここ数週間、アストンマーティンとホンダの関係については、かつてのマクラーレン時代のような決別に向かうのではないかという憶測が広がっていた。

    しかしホンダ・レーシング社長の渡辺康治は、日本グランプリ前にこの見方を明確に否定している。

    「まったくそのようなことはありません。我々の関係は悪化していません」

    「信頼は一夜にして築かれるものではありません。さまざまな困難を乗り越えながら時間をかけて築かれるものです。その意味では、今が信頼を生み出す時だと思います」

    フェルナンド・アロンソは鈴鹿でレースを完走し、ホンダにとって母国での小さな喜びをもたらした。

    そして実際にそうなったようで、少なくとも鈴鹿では公の場でも内部でも状況は好転した。

    「アストンマーティンとホンダの関係はかなり良好です」と渡辺は強調した。

    「例えばホンダでは角田哲史がパワーユニットのプロジェクトリーダーであり、アストンマーティンではエンリコ・カルディレ(同チームのテクニカルディレクター)が密接に連携しています。さらに、私はストロール氏やエイドリアン・ニューウェイとも良好な関係にありますので、心配はしていません」

    さらに渡辺康治は、エイドリアン・ニューウェイの過去の発言についても説明した。

    「はい、基本的には誤解だと思います」

    「我々の方針は、モータースポーツのエンジニアを量産部門や、ジェット航空、eVTOL、水関連技術などの先進分野へ定期的にローテーションさせることです。つまり、このローテーションは最初から維持してきました」

    「おそらく私の説明だけでは十分ではないでしょう。また先ほども言ったように、組織の再構築には時間がかかったため、それが懸念だったのだと思います。しかし現在は十分な組織と人材を備えています」と渡辺はまとめた。

    アロンソの一言が象徴した変化
    この週末を象徴する場面のひとつが、フェルナンド・アロンソの行動だった。

    渡辺康治は次のように明かしている。

    「アロンソがグリッドで私のところに来て、日本語で『がんばって!』と言ってくれました」

    「彼は日本語をあまり理解していないので、おそらく『がんばるよ!』と言いたかったのだと思います」

    さらにチーム全体についてもこう語った。

    「全員が同じ目標のために努力しました」

    「ただレースを完走するだけですが、我々にとっては大きな前進だったと思います」

    「サーキットで努力してくれたアストンマーティンとホンダのスタッフにとても感謝していますし、本当にうれしく思っています」

    「これを前進の一歩として活かし、さらに進んでいきたいと思います」

    この転換点は本物か
    鈴鹿で示された結束は、これまでとは明らかに異なるものだった。

    ただし、それが一時的なものに終わるのか、それとも本格的な関係改善へとつながるのかは、今後の結果に委ねられている。

    完走という第一歩を踏み出した両者が、この“転換点”を継続的な前進へと変えられるかが問われている。

  • マックス・フェルスタッペンが覆い隠していた? ホンダF1の弱点露呈

    マックス・フェルスタッペンが覆い隠していた? ホンダF1の弱点露呈

    2026年シーズンに苦戦するアストンマーティンとホンダのパッケージ。その背景について、新たな見方が浮上している。

    かつての成功の裏で、実際のパフォーマンスは過大評価されていた可能性があるという指摘だ。そして、その“見え方”に大きく関わっていたのが、マックス・フェルスタッペンの存在だったとされている。

    では、何が覆い隠されていたのか。

    フェルスタッペンが補っていたパフォーマンス
    ラルフ・シューマッハは、2025年時点でホンダのパフォーマンスはすでに十分ではなかったと指摘する。

    「昨年の時点で、私が把握している限り、ホンダはすでに十分なレベルではなかった」

    「だからこそマックスは小さなウイングで走っていた。それを可能にする才能が彼にはあったが、他のドライバーにはなかった」

    フェルスタッペンは空力的に不利なセットアップを選択しながらも、そのドライビングで不足分を補っていたと見られている。

    “実力以上に見えていた”ホンダの実態
    シューマッハはさらに、当時のパフォーマンス評価そのものに疑問を投げかける。

    「エンジンは実際よりも強力に見えていただけだった可能性がある」

    この見方が正しければ、2025年の結果は純粋なマシン性能ではなく、ドライバーの能力によって押し上げられていたことになる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム 本田技研工業

    アストンマーティンの判断に影響か
    この“見え方”は、アストンマーティンの意思決定にも影響を与えた可能性がある。

    同チームは2026年の新レギュレーションに向けて、メルセデスからホンダへのスイッチを選択した。しかし現在は、パフォーマンスと信頼性の両面で深刻な苦戦を強いられている。

    組織的な問題も指摘
    問題はパワーユニットだけではないとシューマッハは見る。

    「F1では一貫性が極めて重要だ」

    「アストンマーティンにはその一貫性がない。人員が頻繁に入れ替わり、大物は多いが、安定した基盤がない」

    「それは成功にとって致命的だ」

    チームの構造的な不安定さも、現在の苦戦に拍車をかけているという。

    結果として表れた苦戦
    鈴鹿ではフェルナンド・アロンソがようやく完走したものの、チームは依然としてグリッド最下位のペースにとどまった。

    ランス・ストロールも再びリタイアし、水圧トラブルに見舞われている。

    レース後、ストロールはこう語った。

    「今はフェルナンドと僕で、小さなアストンマーティン選手権をやっているようなものだ」

    フェルスタッペンの卓越したパフォーマンスが生み出していた“錯覚”が剥がれた今、ホンダとアストンマーティンの真の実力が問われている。

    Source: GMM