カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • ランス・ストロール GT参戦でフェルスタッペンに相談 F1日本GPで計画始動

    ランス・ストロール GT参戦でフェルスタッペンに相談 F1日本GPで計画始動

    ランス・ストロールが、F1カレンダーの中断期間を利用してGTレースに参戦する。その決断の裏には、マックス・フェルスタッペンへの相談があったことが明らかになった。

    中東情勢の影響でバーレーンGPとサウジアラビアGPが中止となり、約1カ月の空白が生まれた2026年F1シーズン。その時間をどう使うかという議論の中から、今回のGT参戦プランは生まれている。

    鈴鹿で生まれたGT参戦プラン
    ストロールは今週末、ポール・リカールで開催されるGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ開幕戦に、アストンマーティン陣営のコントーユ・レーシングから参戦する。ロベルト・メルヒ、マリ・ボヤとともにアストンマーティン・バンテージGT3をドライブする予定だ。

    この参戦のきっかけは、直近のF1日本GP期間中にあった。ストロールは鈴鹿での夕食の場で、メルヒや関係者とともにこの中断期間の過ごし方について話し合っていたという。

    「いくつかのレースが中止になって、この約1カ月のブレイク期間に何ができるかを話していた」

    「一緒にGTレースに出ようというアイデアが出た。それがすべての始まりだった」

    フェルスタッペンとの短い相談
    この計画を現実のものにする過程で、ストロールはマックス・フェルスタッペンにも相談していた。

    そのやり取りは鈴鹿で行われたもので、内容はシンプルだが実務的なものだった。GTレース参戦を実現するために、どこにコンタクトを取るべきかについて意見を交わしたという。

    「誰に連絡を取るべきかについて話した。彼はすでにGTレースに関わっているから、その点について少し話をした」

    フェルスタッペン自身も、ここ12カ月でGTレースへの関与を深めており、来月にはニュルブルクリンク24時間レースへの参戦も予定している。そうした背景もあり、今回の助言は現実的なものだった。

    わずか数日で実現した参戦体制
    今回のプロジェクトは、長期的に準備されたものではない。ストロールによれば、日本に滞在していたわずか数日の間に一気に具体化したものだった。

    参戦体制の構築には、コントーユ・レーシングのオーナー兼チーム代表ジャン=ミシェル・ベールの存在が大きかったという。

    「すべてをこれほど短期間でまとめてくれた。彼がいなければ実現しなかった」

    「僕たちは日本にいる間の数日で、本当にすべてをまとめ上げた」

    今回のレースには59台がエントリーしており、ストロールたちのマシンはその中でコントーユが投入する4台のうちの1台となる。参戦クラスはトップカテゴリーのプロクラスで、18台がエントリーしている。

    ランス・ストロール(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    「F1では得られない勝利のチャンス」
    ストロールは今回の参戦について、「楽しむこと」を第一に挙げながらも、勝利の可能性についても言及している。

    「F1では、常に勝つチャンスがあるわけではない」

    「ここでは非常に競争が激しいけど、たとえ初めてで経験が不足していたとしても、すべてがうまくかみ合えば――いいセットアップ、いいフィーリングがあれば――勝つことは可能だ」

    「それはF1にはあまり存在しない」

    F1の現実とGTレースの可能性。その対比こそが、ストロールにとって今回の挑戦を後押しした最大の要因となっている。

    そしてその第一歩は、鈴鹿での何気ない会話と、フェルスタッペンとの短い相談から始まっていた。

  • アストンマーティンF1 ホンダPU95馬力不足 ADUO適用で巻き返しなるか

    アストンマーティンF1 ホンダPU95馬力不足 ADUO適用で巻き返しなるか

    アストンマーティンは2026年F1シーズン序盤、深刻なパフォーマンス不足に直面している。ホンダのパワーユニットは約70kW(95馬力)不足していると評価されており、トップ勢との差は依然として大きい。

    ただし問題はパワーユニットだけではない。シャシーと空力にも大きな課題があり、チーム内部では「問題の半分はマシン側にある」との認識が共有されている。巻き返しには、単なるエンジン改善では不十分な状況だ。

    95馬力不足と想定外の開発ミスマッチ
    壊滅的なシーズン序盤によって、アストンマーティンに寄せられていた期待は完全に崩れた。シャルル・ルクレールのようなトップドライバーを引きつける可能性もあったが、その関心は消え、フェルナンド・アロンソの契約延長の可能性だけが現実的な選択肢として残っている。

    ホンダのパワーユニットは、グラウンドエフェクト時代にマックス・フェルスタッペンとともに4度のタイトルを獲得した実績から、大きな期待を集めていた。しかし新レギュレーション下での復帰は想定以上に困難で、性能不足と信頼性問題の両面で苦戦している。

    日本GPでアロンソが18位完走を果たしたことは、むしろ“達成”と受け止められる状況だった。オーストラリアGPでは振動問題により数周でリタイアの懸念すらあったことを考えれば、前進ではあるが、依然としてトップからは大きく遅れている。

    アストンマーティンとホンダは、それぞれの開発データを信頼しながらも、相手側のポテンシャルを過大評価していた。バルセロナでのシェイクダウンで初めて問題が顕在化し、エンジンだけでなく、エイドリアン・ニューウェイが提案した極端な設計コンセプトも課題であることが明らかになった。

    関係悪化と立て直しへの協力体制
    状況をさらに悪化させたのは、メルボルンでのニューウェイの発言だった。彼はパフォーマンス不足の責任をホンダに集中させ、日本側との関係に緊張が生まれた。

    これを受けて、折原慎太郎とエンリコ・カルディレを含む合同作業グループが結成され、優先順位の整理と問題解決に向けた連携が進められている。振動問題については一定の改善策が見出されつつあるが、マシン全体のパフォーマンスは依然としてトップから約4秒遅れと厳しい状況だ。

    折原は「我々はバッテリーの信頼性とパワーユニットの性能向上に懸命に取り組んでいる。エネルギー管理の最適化が必要であり、メカニカルな性能向上にも取り組んでいるが、それは短期間で解決できる問題ではない」と述べている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1(本田技研工業)

    ADUO適用が巻き返しの現実的シナリオ
    出力不足は約70kW(95馬力)と評価されている。これはイタリア版Motorsportの報道によるもので、現在のパフォーマンス差を示す象徴的な数値となっている。

    この状況を受けて、ホンダは4%のADUOフレームワークの適用対象となる可能性が高く、現時点では唯一の該当メーカーになるとみられている。この制度により、2026年に2回、さらに2027年にも2回のパフォーマンスアップデートが認められる見込みだ。加えて、ベンチテスト時間が190時間追加され、パワーユニットの予算上限も800万ドル引き上げられる。

    アップデート対象は燃焼室、ピストン、シリンダーヘッド、バルブ、ターボ、エキゾースト、MGU-K、コントロールエレクトロニクス、エナジーストアなど広範囲に及び、性能改善の余地は大きい。

    ただし、これらのアップデートは即効性のあるものではない。大規模な改善は夏以降になる可能性が高く、短期的な巻き返しは難しいとみられる。

    シャシー側の課題とニューウェイの選択
    一方で、メルセデスとの差はパワーユニットだけでは説明できない。マイク・クラックは「信頼性問題が解決されれば、次はパフォーマンスに目が向く。そして我々には小さな改善ではなく、大きなステップが必要だ」と語り、シャシーと空力の課題を認めている。

    AMR26は中高速コーナーでの応答性に欠け、なおかつオーバーウェイトという問題も抱えている。これは設計コンセプトそのものの見直しを必要とするレベルの課題だ。

    エイドリアン・ニューウェイが2027年マシンに注力するのか、それともAMR26の修正に集中するのかは焦点となるが、その性格を考えれば、現行マシンの問題解決に最後まで取り組む可能性が高い。

    アストンマーティンにとって2026年は明確に移行期となった。ホンダはリソースを投入して巻き返しを図り、チームも冷静に再建プランを進めている。ADUOという制度的救済は存在するが、それだけで状況が一変するわけではない。

    巻き返しの鍵は、パワーユニットとシャシーの両面でどこまで同時に改善を進められるかにある。現状は厳しいが、そのプロセスこそが、このプロジェクトの真価を問うことになる。

  • アストンマーティン・ホンダF1 初期不振認める「隠す意味はない」

    アストンマーティン・ホンダF1 初期不振認める「隠す意味はない」

    アストンマーティン・ホンダF1は、2026年シーズン序盤の不振について隠すことなく認め、立て直しに向けた姿勢を明確にした。開幕3戦で完走はわずか1回という厳しい現実に直面する中でも、チームは問題を公にしたうえで改善に取り組んでいる。

    その状況について、チームアンバサダーのペドロ・デ・ラ・ロサはSpeedcafeに対し、「隠す意味はない」と語り、現実を受け入れたうえで前進する方針を示した。外からは低迷が際立つ状況にあるが、内部では冷静さと団結を維持しながら再建が進められている。

    想定外の低迷と受け入れの難しさ
    今季のスタートは、チームの想定を大きく下回るものとなった。

    「我々は冷静さと団結を保ってきたと思う」

    「明らかに非常に難しい状況で作業している。なぜなら、まず第一に、我々は今の位置にいることを予想していなかった。我々はもっと競争力があると考えていた」

    「だからこそ、受け入れるのは難しかった」

    唯一の完走結果となったF1日本GPでは、フェルナンド・アロンソが18位に終わり、優勝したキミ・アントネッリから1周遅れとなった。この結果が、現時点での競争力不足を象徴している。

    ホンダPU由来の振動問題が直撃
    低迷の大きな要因となっているのが、ホンダのパワーユニットに関連する高周波振動の問題だ。この問題はパフォーマンス低下にとどまらず、ドライバーの身体にも影響を及ぼしている。

    中国GPでは、アロンソがレース中に手足の感覚を失い、リタイアを余儀なくされた。

    「改善はしている。外から見ると改善について語るのは難しいが」

    「実際には、まさに今も舞台裏で多くの作業が進行している」

    「チーム全体が忍耐強く団結を保っているという反応は、非常に心強いものだ」

    タイムに表れない改善と開発継続
    外部からは見えにくいものの、チーム内部では段階的な改善が進められている。

    「振動の問題については、我々はそれを軽減してきた。バルセロナテスト以降、大幅にだ」

    「ドライバーがマシンに乗るたびに、改善している」

    「そしてマシンの開発もある。オーストラリアでは空力パッケージを投入し、それによってマシンはかなり速くなった」

    振動問題が続く中でも、開発の方向性は変えていない。

    「我々はあるべき姿で、非常に良いペースでマシンを開発しているだけだ」

    「振動問題があるからといって、アプローチを変えたわけではない」

    「隠す意味はない」アストンマーティンの選択
    チームは問題を隠すのではなく、あえて公にする姿勢を取っている。

    「透明で明確であることが重要だと思う。我々が経験している問題を説明することだ」

    「それが我々が目指していることだ。我々は極めてオープンである」

    「エイドリアンはオーストラリアで非常にオープンだった。我々もそうである必要がある」

    「問題を隠したり、小さく見せようとする意味はない。すべてをコントロール下に置く唯一の方法は、現実的であることだ」

    この「隠さない」という判断そのものが、現在のアストンマーティンの再建戦略となっている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ニューウェイがもたらす再建の軸
    その中心にいるのが、エイドリアン・ニューウェイだ。設計専念への憶測もある中で、その存在はチームの方向性を決定づけている。

    「エイドリアンの素晴らしさは、他の人が考えることしかできないことを言えるだけでなく、それを実現できることだ」

    「彼は模範を示して導く人物だ。すべての人の話を聞き、特にドライバーの声に耳を傾ける。そして解決策を見出す」

    「我々は皆、ある時点でレースカーにどんな問題があるかを理解している。その中で実際に解決策を見出すエンジニアこそが、マシンを速くし、チャンピオンシップを勝つ」

    「エイドリアンはまさにその一人だ。だからこそ彼はインスピレーションであり、真のリーダーだ」

    走行不足が開発遅れを招く構造
    振動問題は日本GPで約80%の改善が試されたものの、信頼性の懸念から見送られるなど、完全解決には至っていない。

    さらに、序盤のレース中断によって走行距離が不足し、開発の遅れが顕在化している。

    「レースカーを開発する最良の方法はレースだと私は思っている」

    「だから今回の状況は、我々のケースにとって良いものではない。我々は新しいレギュレーションについてできるだけ多くを学ぼうとしているからだ」

    「我々はスケジュールより遅れている。この最初の2戦で、我々はレース周回数もテスト周回数も大幅に少ない」

    「だから私は毎週レースをしたいと思っている。そうすればより速く改善できる」

    「とはいえ現実は現実であり、全員にとって同じ条件だ。だから我々も舞台裏で立て直し、作業する時間が増えることになる」

    「F1で勝つことは常に特別なことだ。長くF1にいると、それがどれだけ難しいかを理解する」

    「そして競争力を持つために必要な努力をより深く理解するようになる」

    「1200人以上の大規模なチームを一つにまとめ、うまく機能させ、団結して成功したとき」

    「それに勝るものはない」

    厳しい結果が続く中でも、アストンマーティンは問題を隠さず、現実と向き合うことを選んだ。その「隠さない」という選択こそが、再建に向けた第一歩となっている。

  • ホンダF1エンジン改善は数カ月遅れ 信頼性問題で性能向上は後回し

    ホンダF1エンジン改善は数カ月遅れ 信頼性問題で性能向上は後回し

    ホンダは2026年F1パワーユニットの信頼性改善を最優先しながら、出力不足の解消に向けた開発も並行して進めている。ただし、エンジン性能を大きく引き上げるアップグレードは短期では実現できず、実戦投入までには数カ月を要する見通しだ。

    The Raceによると、ホンダの開発は現在も初期トラブル対応が中心であり、本格的な性能向上は夏以降になる可能性が高いとされている。

    アストンマーティンとホンダのワークス体制は、2026年シーズン序盤の3戦で1台が1度完走しただけと厳しい立ち上がりとなっている。ホンダのホームレースとなった日本GPでも、アストンマーティンは予選で全10チーム中最下位に沈み、パワーユニットとシャシーの両面で課題を抱えている現状が改めて浮き彫りになった。

    エンジンとシャシーの両面で苦戦
    ホンダのパワーユニットは出力不足に加え、信頼性の確保にも苦しんでいる。さらに、アストンマーティン側もシャシーに問題を抱えており、新たな提携は現時点で期待や本来のポテンシャルを大きく下回っている。

    ホンダの不足分がどれほど大きいかは正確には分かっていない。ただ、内燃エンジンの出力が不足しているだけでなく、バッテリーのエネルギー運用効率も低く、1周の中でどれだけMGU-Kを使い、どれだけ回生できるかにも制約があるとみられている。

    鈴鹿の予選では、アストンマーティンはラップ前半の長いストレートでライバル勢より20〜30km/h遅かった。さらに、3〜6コーナーではMGU-Kが使われていなかった可能性があり、極めて低調だったセクター1の一因になった可能性もある。

    一方で、ラップ全体を通して多くのコーナーで最低速度が低かったことは、AMR26そのものの限界も示している。アストンマーティン自身も鈴鹿でその点を隠しておらず、車体側の改善余地は明確に存在している。

    車体改善よりエンジン改善のほうが時間がかかる
    マシン側の改善も大仕事ではあるが、軽量化プログラムやシーズン中の広範な開発が計画されている。これに対し、ホンダがエンジン性能だけでどこまで改善できるかは見通しづらく、その工程はより長く厳しいものになる可能性が高い。

    ホンダが2026年シーズン序盤の危機の中で最優先しているのは、まず信頼性を正常化することだ。性能改善に向けた作業も並行して進められているが、たとえ研究開発がかなり進んでいたとしても、アップグレード版のエンジンを実際に用意するまでには数カ月を要する見込みだ。

    その前提として、まずFIAがホンダの遅れの度合いを確定し、どの種のアップグレードが認められるかを判断する必要がある。

    ADUOが初の性能改善時期を左右
    2026年の新レギュレーションでは、開発・アップグレード機会を管理するADUO制度が導入されている。これは各メーカーのパフォーマンスを監視し、劣勢にあるメーカーに対して、どれだけ遅れているかに応じた開発機会を与える仕組みだ。

    ホンダは最大限の救済対象となる可能性が高く、その場合は今季2回の性能アップグレードが認められる。また、それを実施するためにコストキャップ上の支出枠やダイノ使用制限も緩和される。

    ただし、最初のADUO期間がいつ設定されるかは、今週行われる関係者会議で決まる見通しだ。バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止により、24戦前提で定められていた当初のタイムラインに影響が出ているためだ。

    それでも、最初の判定は5月まで行われない見通しとなっている。しかも、そこから新しいエンジン仕様を設計し、試験し、妥当性を確認し、生産するにはさらに数カ月を要する。

    ホンダが暫定的なアップグレードを投入する計画でもない限り、夏休み前に大きな性能改善が実現する可能性は低い。仮に何かを投入できたとしても、その効果は限定的になるとみられている。

    当面はエネルギーマネジメント改善が中心
    より早い段階で見込める進展は、エネルギーマネジメントの最適化と信頼性向上に関する部分に限られる可能性が高い。

    ホンダのF1トラックサイド・リードエンジニアである折原真太郎は次のように説明した。

    「バッテリーの信頼性改善に取り組んでいますが、一方で、さくらの施設でもエンジン性能の改善に懸命に取り組んでいます」

    「さらに、エネルギーマネジメントの最適化にも取り組んでいます。いまはそれを並行して進めています」

    「そして、メカニカルな意味でエンジン性能を開発するのは短期的な仕事ではないので、バックグラウンドでエンジン性能改善に向けて懸命に取り組み続けています」

    「ただ、鈴鹿ではレース距離を通じて多くのデータを集めることができました。それによって、ドライバビリティやエネルギーマネジメントを改善するためのデータが得られました」

    「それは、マイアミまでの今後4週間に向けて良いデータになります」

    ホンダF1 / 本田技研工業 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソが経験した“マクラーレン・ホンダ時代”を下回る現状
    フェルナンド・アロンソが経験してきた過去の苦境と比較しても、2026年の状況はより厳しいものとなっている。

    The Raceのデータによれば、マクラーレン・ホンダ時代の開幕3戦と比べても、現在のアストンマーティン・ホンダは複数の指標で下回っている。

    まず予選での平均タイム差(Average Q deficit)は、2015年が2.94%、2016年が2.42%、2017年が2.75%だったのに対し、2026年は4.05%と大きく悪化している。

    平均グリッド位置も、2015年の16.67、2016年の12.00、2017年の13.33に対して、2026年は18.67とさらに後退している。

    さらに完走率(Laps completed)も、2015年の77.65%、2016年の72.94%、2017年の80.59%に対し、2026年は62.87%にとどまっている。

    これらの数値が示しているのは、単なるパフォーマンス不足ではなく、信頼性と運用の両面で深刻な問題を抱えているという現実だ。

    かつて“GP2エンジン”と揶揄された時代と比べても、2026年はより複合的で、かつ構造的な難しさを抱えた状況にある。

    マイアミでの信頼性対策が最初の節目か
    フェルナンド・アロンソは、アストンマーティンの競争力が夏休み前に大きく変わることはないと見ており、このパッケージが最後尾集団から抜け出すまでには数カ月かかる可能性がある。

    信頼性が著しく低いことは、シャシーとエンジンの両方の性能、そして開発可能性に直接影響している。そのため、まずこの明白な弱点への対応を優先せざるを得なかった。

    その結果、本来なら性能アップグレードに回せたはずの時間と資金も信頼性対策に割かれている。ここまでの対策は応急処置にとどまっているが、4月はレース間隔が空くため、ホンダが次戦マイアミに向けて、まず信頼性目的の仕様変更を持ち込む現実的な可能性があるようだ。

    性能アップグレードはADUOの枠外では認められないが、信頼性改善を目的とした変更はFIAの許可を得れば別枠で実施できる。

    ただし、バーレーンテスト後の短期間では、信頼性確保のための検証に長い準備期間を要する本格的な変更を間に合わせることはできなかった。マイアミ投入も簡単ではないが、変更の規模次第であり、ホンダ自身もそこを目標のひとつとして示唆している。

    保守的な運用が続く中で性能解放も課題
    こうした変更が実現すれば、結果的にわずかな性能向上にもつながる可能性がある。現状のホンダは、明らかに保守的な状態で運用しており、回転数も約1000rpm低く抑えているとされるからだ。

    折原真太郎は次のようにも語った。

    「我々はまだ、走行を完了するために少しマージンを取っていますが、そこまで大きくはありません」

    「我々が集中しなければならないのは、エネルギーマネジメントを改善することです」

    「我々のエンジンの運転条件は限界に近いので、それほど大きなマージンは取れません」

    「我々はデータ設定の改善、そしてダイノ上でエンジン性能そのものを改善することに集中しています」

    「そこが我々の主な焦点です」

  • アストンマーティン・ホンダF1低迷の理由 「半分はシャシー」BBC記者が指摘

    アストンマーティン・ホンダF1低迷の理由 「半分はシャシー」BBC記者が指摘

    「半分以上はシャシーに原因がある」――BBCのF1担当アンドリュー・ベンソンが、アストンマーティン・ホンダF1低迷の実態に新たな見方を示した。

    これまでホンダ製パワーユニット(PU)への批判が集中してきたが、実態はそれほど単純ではない。ベンソンの分析が示しているのは、「PUかシャシーか」という二項対立ではなく、両者が絡み合う構造的な問題だ。

    「半分以上はシャシー」発言の根拠
    「アストンマーティンの遅れの半分以上はシャシーによるものだ」とベンソンは指摘する。

    「この情報は日本GP週末に、非常に高いレベルで事情を知る人物から得たものだ」

    さらにこの見方は、全チームが共有するGPSデータとも一致している。

    「各チームがアクセスできるGPSデータからも、コースの異なる区間における速度差として確認できる」

    実際、アストンマーティンは高速コーナーで顕著に遅く、加えて車重の問題も抱えている。予選では平均してトップから3.6秒遅れ、トップ10圏内との差は約2.3秒。その大部分がシャシーによるものだとされている。

    それでも「ホンダだけの問題ではない」理由
    ただしベンソンは、この問題を単純に切り分けることを否定する。

    「車体とエンジンのどちらにどれだけの損失があるかを正確に分けることはできないし、おそらく不可能だ」

    その理由は、PUの挙動そのものがマシンの運動性能に影響するためだ。

    「エンジンの挙動はコーナリング性能にも影響を及ぼす」

    さらに振動問題が、その複雑さを増している。

    「その振動がエンジンに起因するのか、それともシャシーへの取り付け方によって増幅されているのかは明確ではない」

    つまり問題は、どちらか一方ではなく、PUとシャシーの“組み合わせ”として発生している。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    “メルセデスPUなら変わる”が示す構造
    ベンソンは、現状を理解するための分かりやすい仮説も提示している。

    「仮にこのマシンにメルセデスのエンジンを搭載すれば、アルピーヌやハースと同じ位置には来るだろう」

    これは、シャシーが完全に機能していないわけではなく、一定のポテンシャルを持っていることを意味する。一方で現状は、そのポテンシャルがPUとの組み合わせによって十分に引き出されていない。

    設計責任者エイドリアン・ニューウェイも、シャシーの不足を認めている。

    「シャシー面ではQ3争いができるポテンシャルはあるが、現時点では不足している」

    開発遅延が生んだ“未完成の統合”
    この問題の背景には、マシン開発の遅れがある。

    「ニューウェイ加入後、事実上ゼロからやり直す形となり、風洞投入も遅れたことで開発プログラムは圧縮された」とベンソンは説明する。

    本来であればシャシーとPUは並行して最適化されるべきだが、アストンマーティンはその統合が不十分なままシーズンに突入した。

    その結果、個別の性能以前に「組み合わせとして機能しない」状態に陥っている。

    問われているのは“責任”ではなく完成度
    ベンソンは最終的にこう強調する。

    「重要なのは、どこにどれだけの遅れがあるかではない」

    「アストンマーティンもホンダも、どちらもまだ競争力には遠く、多くの作業が必要な状態にある」

    アストンマーティンF1の低迷は、単一の原因では説明できない。シャシーとPUが絡み合う“未完成のシステム”として捉える必要がある。

  • フェルナンド・アロンソ 父となった特別な週末 F1日本GPで今季初完走

    フェルナンド・アロンソ 父となった特別な週末 F1日本GPで今季初完走

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)にとって、2026年F1日本GPは私生活と競技の両面で特別な週末となった。レース直前に第1子が誕生し、日本への到着を可能な限り遅らせながらも、鈴鹿ではついに今季初めてレース距離を走り切った。

    結果そのものは18位だったが、アロンソとチームにとっては完走自体に大きな意味があった。オーストラリア、中国、そしてプレシーズンテストでも達成できなかった「チェッカーフラッグを受ける」という最低限の課題を、ホンダのホームレースでようやくクリアしたためだ。

    Road & Trackの取材に応じたアロンソは、新たな家族を迎えた直後の強行日程を前向きに受け止めつつ、アストンマーティンとホンダが直面する現実、そして改善に必要な時間軸についても率直に語った。鈴鹿で投入された小規模アップデートの意味や、現状のマシン開発の限界、さらに今後数か月が自身の将来を左右する重要な期間になることも明確にしている。

    第1子誕生を経て鈴鹿に遅れて到着
    フェルナンド・アロンソにとって、鈴鹿は2001年にミナルディで初めて訪れて以来、常に特別なサーキットであり続けてきた。2026年はワークス・ホンダのドライバーとして日本の観客の注目を集める週末となったが、今回はそれ以上に個人的な事情が大きかった。

    44歳のアロンソはレース直前に第1子を授かり、チームとの合意のもとで日本への渡航を可能な限り遅らせた。その影響で木曜のメディアデー、さらに通常の週末前ブリーフィングやミーティングもすべて欠席した。

    チームは負担を少しでも軽くするため、FP1ではジャック・クロフォードをルーキーセッションで起用した。アロンソが日本に到着したのは金曜の昼ごろで、ちょうどクロフォードが自身のマシンを走らせる姿を見ることができるタイミングだった。その後FP2に出走し、19番手でセッションを終えたが、信頼性が確保されていたことで欠いた走行をある程度取り戻すことができた。加えて、マシンに施された小規模アップグレードもここで試す機会となった。

    予選後、アロンソは新たに父親となった状況と、慌ただしい移動日程を終えたこともあってか、明るい表情を見せていた。

    「大丈夫だ」とアロンソは語った。

    「飛行機で寝たし、昨夜も疲れていたから眠れた。正直に言えば、火曜日に到着するよりこっちのほうが良かったと思う。それに木曜日をスキップできたから、まさに一石二鳥だった」

    完走は前進 だがパフォーマンス不足は深刻
    アストンマーティンAMR26は、少なくとも一定の周回を重ねられるだけの信頼性を見せた。アロンソ自身も、その点は現状の数少ないポジティブ要素として認めている。

    「そうだね、明らかにポジティブな面としてはその通りだ」とアロンソは語った。

    「この2週末は大きな問題なく走れている。でも、パフォーマンスの面では明らかに僕たちは最後尾にいる。競争力がなければ、満足なんて見つからない。それでも、僕たちは結束を保ち、強いままでいて、両方のファクトリーに状況を修正する時間を与えようとしている」

    アロンソは、チーム内部ではすでに改善案やアイデアがいくつも動いていることを明かした一方、それが即効性を持つものではないとも強調した。

    「彼らは全力で取り組んでいる。いくつかの改善もあるし、いくつかのアイデアもある」とアロンソは続けた。

    「でもF1では、それはすぐには起きない。今のマシンには、たぶん数か月は費やす必要がある。このマシンについては、あと数か月で完全に変わると分かっているなら、そこまで多くを変えることはないだろう」

    いつごろ変化が見え始めるのかと問われると、アロンソは「数か月」と見ていることを明言した。

    「数か月だと思う。2023年のマクラーレンを見たはずだ。最初の数戦では最後尾にいて、それでも最終的には年末には前方に来ていた。たぶんそれは楽観的すぎるし、夢のようなシナリオだろう。でもある意味では、シーズンは長いし、問題を理解して修正できれば、シーズン後半や選手権の最後の3分の1を、ずっといい位置で戦う時間は十分にある」

    鈴鹿のアップデートは速さより“方向確認”
    鈴鹿で投入されたアップデートについて、アロンソは純粋なパフォーマンス向上を狙ったものではなく、今後の開発の方向性を見極めるためのテスト要素が強いと説明した。

    「アップグレードは、マシンのどこに問題があると僕たちが考えているのかを理解するために試している、小さなものにすぎない」とアロンソは語った。

    「それを試すことで、僕たちが正しい方向に進んでいるのかどうかが分かる」

    そのうえで、たとえ有望な兆候があっても、それをサーキットに持ち込める形にするまでには長い工程が必要だと現実的に話している。

    「すべては期待通りに機能している。言ったように、ファクトリーでは多くのことが進んでいて、テストしているものの中にはかなり前向きなものもある」とアロンソは述べた。

    「そのあと風洞が必要になる。次にCFDが必要になる。それを生産に載せる必要がある。そしてサーキットに持ち込まなければならない。そうしているうちに、もう7月、8月になっている」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・ホンダ) F1 日本GP

    孤独なレースの中で得たデータと今季初完走
    決勝の目標は、競り合う相手がほとんどいない状況もあって、まず完走することに置かれていた。スタートではハードタイヤを履くキャデラックのバルテリ・ボッタスをかわし、その後はチームメイトのランス・ストロールとの“内部バトル”が続いた。

    2台はセーフティカー中にハードへ交換したが、最後尾で失うものがなかったこともあり、翌周に再びピットインして後半用にミディアムへ戻した。アロンソによれば、この2台走行自体がデータ収集の一環でもあった。

    「レース前に、たぶん僕たちのレースはペースの面では少し孤独なものになるだろうと話していた」とアロンソは語った。

    「そして2台が一緒に走れば、エネルギーやエンジンの異なるマップについて、何かいい情報も得られるかもしれないと思っていた。だからそこには少し楽しさもあった。不運にも、ランスはマシンを止めなければならなかったと思う。だから後半の楽しみは失ってしまった」

    それでもアロンソ自身は走り続け、最終的に1周遅れの18位で完走。2台のキャデラックの間でチェッカーを受けた。派手な結果ではなかったが、チームにとっては明確な節目だった。

    「僕たちにはチェックすべき項目がたくさんあって、これはそのうちのひとつだった。レース距離を走り切ることだ」とアロンソは語った。

    「オーストラリアでも、中国でも、テストでもできなかった。だからこれが本当に初めてだし、次に向けてチームがマシンをもう少し理解し、よりいい位置に進むための十分なデータを手にしたことを願っている」

    さらに開幕からの状況についても、率直な表現で振り返った。

    「オーストラリアに入った時、僕たちは100%レースを完走できないと確信していた。次の週の中国では、95%は完走できないと思っていた。そして今、3戦目でレースを完走した」とアロンソは語った。

    「求めているのはこんなペースではない。チームには改善を続けるべき仕事がある。だから、これが全員にとって最初の一歩になり、両方のファクトリーを鼓舞するものになればいいと思っている」

    ホンダのホームレースで示した“まず完走”という一歩
    中国でのリタイア原因となったパワーユニット由来の身体的な問題についても、アロンソは完全には解消していないと認めた。

    「振動はあった」とアロンソは語った。

    「空から突然消えてなくなるようなものではない。でも、より扱いやすくはなっている」

    鈴鹿はホンダにとってのホームレースでもあり、完走を持ち帰れたことは最低限の成果だった。アロンソは、日本のパートナーが開幕から懸命に取り組んでいることを強調し、困難な状況でも一体となって改善を目指す姿勢を示した。

    「彼らがオーストラリア以来、本当に懸命に取り組んでいることは分かっている」とアロンソは語った。

    「僕たちは常に話をしている。ここはホンダにとって特別なレースだったし、僕たちはベストを尽くしたかった。残念ながら、そのベストはレースを完走することだけだった。でも、僕たちが彼らを助けることにコミットしていて、近くで支えていることを示すものにはなったと思う。みんなにとって厳しい状況だ。でも僕たちはひとつのチームだし、一緒に良くなっていく」

    週末を終えたアロンソは、そのまま大阪空港からヨーロッパへ戻り、パートナーと新しく生まれた息子のもとへ向かった。

    「そうだね、これから1か月オフだし、家族との時間、質の高い時間を過ごして、休むつもりだ」とアロンソは笑みを交えて語った。

    「いや、休めないかもしれない。でも楽しむよ」

  • ジェンソン・バトン ホンダF1復活に確信「トップ4を崩せる唯一の存在」

    ジェンソン・バトン ホンダF1復活に確信「トップ4を崩せる唯一の存在」

    ホンダの2026年F1パワーユニットを巡る苦戦が続く中、アストンマーティンとの新体制には依然として厳しい視線が向けられている。性能と信頼性の両面で後れを取る現状は、2015年の再参戦時を想起させる展開となっている。

    その一方で、長年ホンダと関わってきたジェンソン・バトンは、この状況を「過渡期」と位置づける。現場を知る立場から、ホンダがこのまま終わることはないと断言し、アストンマーティンとのプロジェクトが将来的にトップ勢を脅かす存在になると強調した。

    ホンダとアストンマーティンの現状と構造的課題
    ホンダは2026年の新レギュレーション対応において出遅れ、パワーユニットのパフォーマンスと信頼性の両面で課題を抱えている。アストンマーティンとの新たなパートナーシップも始動したばかりであり、開発・統合の両面で時間を要する状況にある。

    チーム内では責任の所在を巡る緊張も生まれており、プロジェクト全体が試練の局面にあることは否定できない。ただし、これは新体制特有の“初期不整合”とも言える段階であり、構造的には改善余地が大きい領域でもある。

    バトンが語る「時間が解決するプロジェクト」
    「チームに関わる全員が、自分たちの現在地を理解している。基盤はしっかりしているし、いずれ競争力を持つようになる」

    「これは非常に厳しいスポーツだ。メルセデスやフェラーリは長年同じエンジンでトップにいる。一方でアストンマーティンとホンダの関係は始まったばかりで、ニューウェイとの協働も同様だ。すべての要素を組み合わせるには時間が必要だし、一朝一夕では実現しない」

    「このチームが将来的に何を成し遂げられるかは、全員が理解している。将来トップ4に入れる唯一のチームだ」

    バトンは、現状の苦戦を一時的なものと見ており、プロジェクトの本質は“統合の進行度”にあると示唆する。特にエンジン、シャシー、組織の連携が揃うまでの時間軸が鍵になるという見方だ。

    ホンダF1 / 本田技研工業

    「失敗はあり得ない」ホンダへの絶対的信頼
    「タイムラインを語るのは難しい。自分は詳細を把握していないが、3レースで変わるものではない。ただ時間はあっという間に過ぎる。最終的には一夜にして変わったように見えるだろう」

    「失敗する可能性はあるのか? ない。100%確信している。時間の問題だ。ホンダはいつもやり遂げてきた」

    この発言が示すのは、短期的な結果ではなく“開発文化への信頼”だ。ホンダは過去にも苦境から巻き返してきた実績を持ち、その再現性をバトンは強く評価している。

    結果として、現在のアストンマーティン・ホンダは“未完成プロジェクト”に過ぎず、完成時には既存の勢力図を崩すポテンシャルを秘めているという見立てになる。現状のパフォーマンスだけでは測れない長期的な競争力が、このプロジェクトの本質だ。

  • アストンマーティンF1に痛烈批判 パーマー「アロンソはテストドライバー状態」

    アストンマーティンF1に痛烈批判 パーマー「アロンソはテストドライバー状態」

    フェルナンド・アロンソとアストンマーティンF1を巡り、元F1ドライバーのジョリオン・パーマーが厳しい見方を示した。2026年F1日本GPでアストンマーティンは今季初めて完走を果たしたものの、パーマーはそれを前進とは受け取っておらず、現状を「歴代級の失敗」とまで表現した。

    パーマーは『F1 Nation』ポッドキャストの中で、アストンマーティンが完走の代償として大幅な妥協を強いられていると指摘した。

    日本GPではアロンソが21番手で予選を終え、Q2進出ラインの16番手までなお大きな差があったことを踏まえ、その競争力不足は深刻だと断じている。

    ローレンス・ストロールがかつて掲げた「5カ年計画」は、頂点を目指す構想として語られてきた。しかし、その期限が残り1年となった現在、アストンマーティンはコンストラクターズ選手権で無得点のキャデラックF1すら下回る位置に沈んでおり、期待と現実の落差がいっそう際立っている。

    完走できても前進とは言えない現実
    パーマーが問題視したのは、単に遅いというだけではない。マシンを完走させるために出力面で譲歩し、ドライバビリティと信頼性を優先せざるを得ない状態にあることだ。

    「彼らは日本で本当に遅かった」

    「明らかに問題の切り分けをしているところだ。レースを完走できるようにするためだけに譲歩を重ねてきた」

    さらにパーマーは、アストンマーティンの現状を極めて重い言葉で表現した。

    「状況はひどい。我々が見ているのは歴代級の失敗のひとつだ。アストンマーティンは、ドライバビリティと信頼性を少しでも確保するために大きくパワーを落とした状態でしかレースを完走できない。その状態で、開幕から3戦を終えてようやく1台だけが最後まで走れた。これはひどいことだ」

    日本GP予選では、アロンソがQ2に進出するためだけでも大きなタイム差を埋める必要があったとされる。パーマーは、この差が短期間で解決できるものではないと見ている。

    「Q1を突破するだけで1.7秒も足りない。去年ならその差の中にグリッドを丸ごと2つ入れられたくらいだ。それはフェルナンド・アロンソがQ2に行くためだけに必要な差だ。それが彼らに求められているパフォーマンスの水準であり、すぐにどうにかなる話ではない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    アロンソに見える“別の顔”
    一方でパーマーは、アロンソ個人の振る舞いについては意外な変化を感じ取っている。かつてマクラーレン・ホンダ時代には、ホンダのパワーユニットを厳しく批判したアロンソだが、今回は感情を爆発させるのではなく、忍耐を見せているという。

    日本GPでは、アロンソがホンダの社長に温かく挨拶する場面もあった。かつて同じ鈴鹿でエンジンを「GP2」レベルと表現したドライバーとは異なる姿が、そこにはあった。

    パーマーは、そうしたアロンソの現在地を2002年のルノー時代になぞらえた。当時のアロンソは実戦というより開発色の強い役割を担っており、いまのアストンマーティンでの立場もそれに近いという見方だ。

    「今のフェルナンドからは、現状全体に満足していない様子が見える。今年はかなり率直にも語っている」

    「ただ、その一方で忍耐も見える。2回のワールドチャンピオンで、まもなく45歳になる彼なら、ここでかんしゃくを起こして『もう終わりだ』となってもおかしくない。2026年への夢は実現していないのだから」

    「それでも、ここではフェルナンドの別の面を見ている。忍耐のゲームだ。『正しくはない。だが、これをどうする?』と考えているように見える」

    “走って報告するだけ”という厳しい評価
    パーマーは、現在のアストンマーティンを事実上の開発走行段階にあるチームだと捉えている。アロンソもランス・ストロールも、週末に結果を争うというより、マシンの挙動を確認して報告する役割に追われているというのがその見立てだ。

    「これは2002年のフェルナンドだ。彼は25年ぶりにテストドライバーになっている。今のアストンマーティンがやっているのはそれだけだ」

    「彼らがまったく競争力を持っていないのは、本当に嘆かわしい。彼はキャデラックの後ろでフィニッシュした。あまりにも離されている」

    「彼やランスにとって、現段階では戦うものが何もない。毎週末サーキットに来て、周回を重ねて、バランスを報告する。それが今の仕事になっている。現時点では、結果そのものすらそれほど重要ではない」

    アストンマーティンにとって、日本GPで完走できたこと自体は最低限の材料ではある。しかし、パーマーの見立ては、その事実だけで状況を楽観視できる段階ではないというものだ。2026年の体制を大きな飛躍の年と位置づけていたチームが、いまは完走とデータ収集を優先せざるを得ない。その現実が、アロンソという大物の立場をも変えてしまっている。

  • ホンダF1振動問題の核心 渡辺康治「実車で大幅増幅」

    ホンダF1振動問題の核心 渡辺康治「実車で大幅増幅」

    ホンダの2026年F1パワーユニットを巡る振動問題が、アストンマーティンの車体に搭載した段階でさらに深刻化していることが明らかになった。

    日本GPのメディアブリーフィングで、ホンダの渡辺康治が説明した内容から、単体試験では許容範囲だった振動が、実車に組み込むと大幅に増幅される実態が浮き彫りとなった。

    アストンマーティンは、2026年シーズン開幕前から信頼性不足に苦しんでおり、プレシーズンテストでは十分な走行距離を確保できなかった。ホンダにとっても、複数チームへ供給するメルセデスやフェラーリに比べ、実走データの蓄積で不利な立場に置かれている。

    問題はパワーユニット単体では完結せず、車体側との統合そのものに及んでいる。ホンダとアストンマーティンが共同で対策を進めている現状は、2026年F1シーズンにおける苦戦の核心が、マシン全体のパッケージングにあることを示している。

    実車搭載で振動が増幅 渡辺康治が明かした現状
    渡辺康治は、2025年までの経験がありながら今回のような問題に直面している理由について、開発開始の遅れと、実車搭載時に振動が想定以上に増える点を挙げた。

    「2025年までは十分な経験がありました。これまでお話ししてきた通り、最も難しい点は、他と比べて少し遅れて開発を始めたことです」

    「また、ダイノ上でのテストでは振動は許容できるレベルでしたが、実際のシャシーに組み込むと、その振動はダイノ試験よりもかなり大きくなってしまいます」

    「ですので、パワーユニット単体だけでこの問題を解決することはできません。PUだけの問題ではありませんので、アストンマーティン・アラムコと非常に密接に連携しながら、パワーユニットだけでなくシャシーも含めて一緒に解決に取り組んでいます」

    この発言は、課題が単なるエンジン不調ではなく、車体との統合設計にあることを示している。

    プレシーズンから続く苦戦 バッテリー問題も発生
    アストンマーティンAMR26は、1月のバルセロナ走行開始以来、信頼性の確立に苦しんできた。特にプレシーズンテストでは、パワーユニット由来の振動がバッテリーパックへ深刻な影響を及ぼし、バーレーン終盤にはバッテリー在庫の不足もあって走行を制限せざるを得なかった。

    こうした事情により、アストンマーティンは基礎的な信頼性確認に多くの時間を割かれ、性能開発へ十分に移れなかった。ホンダを搭載するのが1チームのみであることも、学習速度の面で不利に働いている。

    状況はわずかに改善しつつあるものの、依然として問題は解決していない。日本GPではフェルナンド・アロンソが18位で今季初完走を果たしたが、他陣営と比較すれば大きく出遅れている状況だ。

    ニューウェイ関与説を補強する内容
    今回の説明は、プレシーズン段階から取り沙汰されていた「エイドリアン・ニューウェイが車体との統合方法に変更を求めた」との見方に一定の現実味を与える内容でもある。

    ダイノでは問題が軽微でも実車では振動が増幅されるという構造は、単なるパワーユニットの問題ではなく、シャシーとの結合条件に起因する可能性を示唆している。

    現時点でこの点について明確な公式説明はないものの、少なくとも問題の中心が「統合」にあることは、渡辺康治の発言から明確になった。

    ホンダF1/本田技研工業

    信頼性と性能の両立という難題
    渡辺康治は今後について、アストンマーティンと共同で回復計画を進めているとしつつ、詳細は明かさなかった。

    「アストンマーティンと一緒に回復プランはございますが、現時点ではお話しすることはできません」

    また、今後の開発方針についても、信頼性と性能の両立が必要であると強調した。

    「難しい状況ではありますが、信頼性だけでなくパフォーマンスも改善していく必要があります」

    「現行レギュレーションの下では性能そのものを大きく改善するのは簡単ではありませんので、まずは信頼性をしっかり改善し、そのうえでルールの範囲内でパフォーマンス向上にも取り組んでいきます」

    アストンマーティンは開発継続
    一方のアストンマーティンも、ホンダの問題解決を待つだけではない。日本GPでは改良型フロントウイングとフロアを投入しており、車体側の開発も並行して進めている。

    マイク・クラックは、信頼性と性能の両面で課題が残っている現状を認めた。

    「確かに信頼性に集中する必要がある。しかし同時に、たとえ完走できたとしても、我々はまだ十分に速くない」

    「PUについてはレギュレーション上、好きなタイミングでどんな変更でもできるわけではないので、待たなければならない」

    「シャシー側では、我々は全力でマシンを速くしようとしている」

    信頼性の回復とパフォーマンス向上。この二つを同時に達成できるかが、アストンマーティンとホンダの2026年シーズンを左右する最大の焦点となっている。

  • フェルナンド・アロンソ F1去就に期限「数か月で判断」ホンダPU改善が鍵

    フェルナンド・アロンソ F1去就に期限「数か月で判断」ホンダPU改善が鍵

    2026年F1シーズンの序盤戦が進む中、フェルナンド・アロンソの去就に“期限”が設定された。契約最終年を迎える中で、アロンソ自身が示したのは「今後数か月のチームの反応」が判断材料になるという明確な条件だ。

    現在のアストンマーティンは開幕から苦戦が続き、グリッド後方に沈んでいる。シャシーとホンダ製パワーユニットの両面で適応に課題を抱えており、その改善スピードがアロンソの決断に直結する状況にある。

    つまり今回の焦点は明確で、「短期間で競争力を取り戻せるかどうか」――これが現役続行か撤退かを分ける分岐点となる。

    アロンソが示した“数か月”というタイムリミット
    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は自身の将来について次のように語った。

    「問題はおそらく必要な時間だ。それが僕のキャリアの時間軸と一致していない」

    「いつ問題が解決するか正確には分からない。だからレースごと、月ごとに見ていくしかないし、短期的に改善が見えれば来年の判断材料になる」

    この発言が示すのは、単なるパフォーマンス評価ではなく「改善までのスピード」そのものが判断基準になっているという点だ。

    決断のタイミングについても、夏休み前後がひとつの区切りとなる見通しであり、それまでにどこまで巻き返せるかが重要になる。

    ホンダPUと開発速度が握る去就の行方
    今回の構図で見逃せないのが、ホンダとの関係だ。

    「今シーズンのスタートには課題があるのは確かだ。でもそれを受け入れて、自分の経験でホンダがこの時間をできるだけ短くできるように助けたい」

    アロンソはそう語り、開発への強い関与姿勢を示している。

    つまり、改善が見込める限りは残留の可能性を残しつつも、開発が停滞すれば一気に引退へと傾く構図だ。

    ホンダF1/本田技研工業

    “勝てるチーム”という確信とキャリア終盤の現実
    一方でアロンソは、チームの将来性については揺るぎない自信を見せている。

    「このチームがチャンピオンを獲るのは時間の問題だ。唯一の疑問は、その時に僕がドライバーなのか、それとも別の立場なのかということだけだ」

    この言葉が示すのは、プロジェクトへの信頼と、自身のキャリア終盤との時間的なズレだ。

    アストンマーティンの問題は“遅いこと”ではなく、“間に合うかどうか”にある。

    去就を分ける3つの条件
    アロンソの判断基準は極めて明確だ。短期的にパフォーマンス改善が見えるか、ホンダPUとシャシーの統合が進むか、そして2027年を見据えた競争力の兆しがあるか――この3点が揃うかどうかが、現役続行か撤退かを分ける決定的な分岐点となる。

    アロンソは今もなお戦う意志を示している。しかしその前提条件は「時間内に結果が出ること」だ。

    そのタイムリミットは、すでにカウントダウンに入っている。