カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • なぜホンダPUだけ振動?アストンマーティンF1で共振が起きている理由

    なぜホンダPUだけ振動?アストンマーティンF1で共振が起きている理由

    アストンマーティン(アストンマーティンF1)が2026年シーズン序盤に抱えている振動問題について、ひとつの疑問がある。なぜホンダPUだけに症状が出ているのか、という点だ。

    同じ新世代パワーユニットを使用するレッドブルやアウディでは大きな問題が報じられていない中で、アストンマーティンだけが振動に苦しんでいるように見える。

    この現象は本当にホンダPU固有の問題なのか。それとも別の要因があるのか。現時点で出ている情報と過去の事例をもとに整理してみる。

    PU単体ではなく“実車でだけ悪化”している
    まず気になるのは、振動がエンジン単体テストでは目立たず、実車で顕著になっている点だ。

    この点は、問題の本質を示している。もしパワーユニットそのものに根本的な欠陥があるのであれば、ダイナモ上のテスト段階で症状は再現されるはずだ。

    しかし実際にはそうなっていない。つまり振動はPU単体ではなく、車体と組み合わさることで初めて問題として顕在化していると考えられる。

    エンジンマウントやギアボックス、サスペンション、さらにはフロア構造まで含めた“統合された状態”の中で、振動が増幅されている構図だ。

    ニューウェイ設計の“攻め”が影響しているのか
    AMR26はエイドリアン・ニューウェイが関与したとされる、非常に攻めた設計思想のマシンとみられている。

    空力性能を最優先したタイトなパッケージングや独自性の強い構造は大きなポテンシャルを秘める一方で、振動の逃げ場を制限する方向に働く可能性がある。

    さらに、現時点では最低重量を上回る状態にあるとされ、構造の最適化が完全に煮詰まっていない段階にある可能性もある。こうした設計途中のバランスが、振動の伝達や増幅に影響していると見る方が自然だ。

    共振が実車で発生している
    今回の現象を説明するうえで最も重要なのが共振だ。

    2026年のパワーユニットは電動比率の増加によってトルクの出方が複雑化しており、周期的な振動が発生しやすい特性を持つ。

    この振動と車体構造の固有振動数が一致すると、振動は一気に増幅される。

    ダイナモでは問題が出ず、実車でのみ症状が現れているという事実を踏まえると、アストンマーティンではこの共振が実際に発生していると考えるのが自然だ。

    ホンダF1 アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ホンダは過去にも同じ現象を経験していた
    さらに注目すべきは、ホンダ自身が過去に同様の現象を経験している点だ。

    2017年に公開された開発レポートの中で、ホンダはダイナモでは発生しなかった振動が実車で発生した事例を説明している。

    当時はダイナモ上ではパワーユニットが剛性の高い状態にあるため共振は起きなかったが、実車ではギアボックスやタイヤと組み合わさることで慣性モーメントが変化し、その結果として共振が発生したとされている。

    つまり振動はパワーユニット単体の問題ではなく、車体との組み合わせによって初めて顕在化した現象だった。

    今回との共通点と違い
    この2017年のケースと今回の状況はよく似ている。

    いずれもダイナモでは問題が出ず、実車で振動が発生し、車体との組み合わせによって共振が起きている点は共通している。

    ただし当時は新コンセプト導入直後であり、パワーユニット自体の設計や信頼性にも課題があったのに対し、今回は車体側の設計や統合の影響がより大きい可能性がある。

    同じ共振という現象でも、その背景は必ずしも同じではない。

    レッドブルやアウディで起きていない理由
    同じく初年度のパワーユニットを使用しているレッドブルやアウディで問題が顕在化していない点も、この現象を理解するヒントになる。

    両者はパワーユニットの特性を前提に車体設計を進めているとみられるが、アストンマーティンは新しいPU、新体制、新コンセプトが同時に立ち上がっている段階にある。

    統合設計が完全に最適化されていない状態でシーズンに入っていることが、共振という形で表面化している可能性は高い。

    “ホンダだけの問題”ではない
    ここまで見てくると、今回の振動問題は単純にホンダPUの問題と断定するのは適切ではない。

    むしろ、パワーユニットの振動特性とシャシー構造、そして設計思想が重なった結果として、アストンマーティンという特定の条件下で共振が発生していると考える方が自然だ。

    過去にも同様の現象が確認されていることを踏まえれば、「ホンダだけに起きている異常」と見るのではなく、パワーユニットと車体のマッチングによって生じた現象と捉えるべきだろう。

    今回の共振は、F1における統合設計の難しさを改めて示している。

  • ラルフ・シューマッハ 「ルクレールがアストンマーティンF1と交渉の噂」

    ラルフ・シューマッハ 「ルクレールがアストンマーティンF1と交渉の噂」

    ラルフ・シューマッハが、シャルル・ルクレールがアストンマーティンF1と交渉しているとの噂に言及した。ただし、現時点の戦力差や契約状況を踏まえると、この移籍が実現する可能性は高いとは言い難い。

    2027年に向けたドライバー市場が活発化する中で浮上した今回の話題だが、実際にはフェラーリ残留が有力と見られる中での“市場の憶測”の域を出ていないのが実情だ。

    ラルフ・シューマッハが言及した「交渉の噂」
    元F1ドライバーでドイツ『スカイ』の解説者を務めるラルフ・シューマッハは、ポッドキャスト番組「バックステージ・ボクシェンガッセ(Backstage Boxengasse)」でドライバー市場の動向について語った。

    マックス・フェルスタッペンの将来が注目を集める中で、シューマッハは現在出回っている噂のひとつとしてシャルル・ルクレールの名前を挙げた。

    「ジョージ・ラッセルが1年契約を結んだとは思えないが、可能性はある。給与の問題も絡んでいるだろう」

    「トト・ヴォルフが『その条件は受け入れるが1年限定だ。様子を見たい』と言った可能性もある」

    「現時点ではメルセデスがマシン的に優れており、両ドライバーとも結果を出している。その状況で大きな動きがあるとは考えにくい」

    「フェラーリの方が将来的にはドライバーを必要とする可能性が高い。ルイス・ハミルトンが永遠に走り続けるわけではないからだ」

    そして、現在出回っている噂についてこう続けた。

    「シャルル・ルクレールが現在アストンマーティンと交渉しているという噂もある。そういった話がいろいろ出回っている状況だ」

    「重要なのはマックスがどうするかだ。再びF1を楽しめるようになるのか、それとも別の方向に関心を向けるのか。私は彼がやめるとは思わない。まだ若すぎる」

    ルクレールの現状と契約
    シャルル・ルクレールはフェラーリと2029年までの契約を結んでいるが、契約には途中離脱条項が含まれているとされており、2026年の段階で移籍の可能性が取り沙汰されている。

    近年はタイトル争いに絡めない状況が続いており、フラストレーションが蓄積しているとの見方もある。こうした背景が、今回のような他チームとの接触という噂につながっている可能性がある。

    また、マックス・フェルスタッペンの去就次第ではフェラーリのドライバーラインアップにも影響が及ぶ可能性があり、市場全体が連鎖的に動く構図となっている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    アストンマーティンの事情と現実的な障壁
    アストンマーティンは以前からトップドライバーの獲得に関心を示しており、シャルル・ルクレールの動向も注視しているとされる。

    2026年末でフェルナンド・アロンソとランス・ストロールの契約が満了することから、シートが動く可能性はゼロではない。一方で、アロンソは引退を否定しており、ランス・ストロールの立場も考慮すると、実際にシートが空くかどうかは不透明だ。

    さらに、現時点での競争力にも大きな差がある。フェラーリが上位争いを展開しているのに対し、アストンマーティン・ホンダはマシン開発の遅れや信頼性の課題に苦しんでおり、ルクレールにとっては現実的にステップダウンとなる可能性が高い。

    移籍市場の“噂”としての位置づけ
    現時点では、ルクレールがアストンマーティンへ移籍するシナリオは現実的とは言い難い。

    ただし、2027年に向けたドライバー市場が流動化する中で、こうした噂が浮上してくること自体が、水面下での駆け引きの激しさを示しているとも言える。

    フェルスタッペンを中心とした動きが他チームにも波及する可能性がある中で、今後の展開次第では状況が変化する余地も残されている。

  • ホンダF1救済へADUO規則見直し 「1回制限」撤廃案が浮上

    ホンダF1救済へADUO規則見直し 「1回制限」撤廃案が浮上

    ホンダF1が、2026年F1シーズン序盤の苦境から立て直すため、追加開発機会をさらに得られる可能性が浮上している。The Raceによると、F1首脳陣とパワーユニットメーカーの間で、ADUO(追加開発・アップグレード機会)の運用を見直す議論が進められている。

    アストンマーティンとの新体制で開幕を迎えたホンダは、振動問題によってパフォーマンスと信頼性の両面で苦しんでいる。

    現行のADUO規則でも一定の救済措置は用意されているが、ホンダの遅れが大きい場合、それだけでは十分な回復につながらない可能性がある。

    ホンダだけを助けるべきとの空気
    F1は極めて競争の激しい環境であり、ライバルを助ける規則変更には本来慎重な姿勢が強い。それでもパドック内では、ホンダを現在の位置に留めておくことに誰も利益を得ないとの見方が広がっているという。

    メルセデスのチーム代表であるトト・ヴォルフも先週、アップグレード制度について、実質的にホンダだけが対象になるべきだとの考えを示した。

    「私には、問題を抱えているエンジンメーカーが1社あるように見える。我々はそこを助ける必要がある」

    「だが、それ以外はほぼ同じ範囲にいる」

    ADUOの“1回限り”規定が焦点
    現行規則では、パワーユニットメーカーがシーズン中の指定された評価期間で基準値から遅れていると判断された場合、追加開発機会が認められる。

    内燃エンジンがベンチマークから2%遅れていれば、2026年に1回、2027年に1回のアップグレードが可能になる。遅れが4%以上であれば、2026年に2回、2027年にさらに2回のアップグレードが認められる。

    さらにADUOの対象となったメーカーには、パワーユニットのコストキャップ上の追加支出枠や、ベンチテストの自由度も与えられる。

    ただし現行規則では、ADUOはシーズン中に累積しない。つまり一度追加開発機会を得たメーカーは、そのシーズン中に再び同じ救済を受けることはできない。

    ホンダF1 本田技研工業

    追加救済ならホンダの回復幅が拡大
    今回議論されているのは、この上限を見直す案だという。これにより、大きく遅れているメーカーが、1度の救済だけで回復を制限される状況を避けられる可能性がある。

    たとえばホンダが2026年の第2評価期間でも4%以内の性能差に収まらなかった場合、再び開発機会とコストキャップ上の自由度を得られる可能性がある。そうなれば、さらなるアップグレード投入も認められることになる。

    ただし、この規則変更にはパワーユニット諮問委員会での特別多数の支持が必要となる。現在の5メーカーのうち4社に加え、FOMとFIAの支持が必要とされる。

    マイアミGPでは短期対策を投入
    ホンダはADUO規則の見直しを待つ一方で、短期的な改善作業も続けている。

    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアである折原伸太郎は、日本GP後にアストンマーティンAMR26の1台をさくらの研究開発施設に残し、振動問題の理解を進めたことを明らかにした。

    「いくつか進展があり、マイアミ、そしてシーズン後半に向けてさらなる対策を実施できるようになりました」

    「現実的には、この進展がトラック上でのパワーユニット性能に目に見える影響を与えることはありません。ですから、ここで大きな前進を期待すべきではありません」

    ホンダにとって、マイアミGPでの対策はあくまで信頼性と問題理解に向けた一歩にとどまる。より大きな回復には、ADUO制度の運用見直しを含めた中長期的な開発機会が鍵になる。

  • アストンマーティン・ホンダF1に拡大する課題 ギアボックスにも新たな懸念

    アストンマーティン・ホンダF1に拡大する課題 ギアボックスにも新たな懸念

    アストンマーティン・ホンダの2026年F1シーズン序盤の苦戦は、ホンダ製パワーユニットや冷却面の課題だけにとどまらない可能性がある。スペイン紙『Marca』によれば、アストンマーティンが今季から導入した初の自社製ギアボックスも、新レギュレーション下で要求される負荷に苦しんでいるという。

    シルバーストンを拠点とするアストンマーティンは、これまでメルセデスから供給を受けていたトランスミッションから自社設計へと切り替えた。

    しかし、エネルギー回生の比重が高まった2026年F1では、パワーユニット、ギアボックス、ドライバーの操作が密接に連動するため、ひとつの弱点が車全体のパフォーマンスに波及しやすい状況になっている。

    回生重視のドライビングがギアボックスに新たな負荷
    2026年F1のドライビングで重要な特徴のひとつが、エネルギー回生を最大化するための積極的なダウンシフトだ。ブレーキング中やコーナー進入時に、時には1速まで落とすような操作が使われ、バーレーンテストではマックス・フェルスタッペンがいち早くこのテクニックを習得したドライバーのひとりとされた。

    一方で、この操作はギアボックスとパワーユニットの統合に大きな負荷をかける。カルロス・サインツは、この繊細なバランスについて次のように語っている。

    「パワーユニット、ギアボックス、そしてドライバーの好みの統合は、閉じたループでなければならないと強調したい。その2つ、あるいは3つの要素のうちひとつでも望み通りに機能しない瞬間に、問題が始まる。だから全員が適応し、正しい道を見つけなければならない」

    『Marca』によると、アストンマーティンのギアボックスは現在の形式で求められる高回転・低ギアでのコーナリングやブレーキングの負荷に「対応できていない」とされる。同紙が引用した専門家は、全面的な再設計には最大6か月を要する可能性があり、解決は7月頃までずれ込む可能性があると指摘している。

    この時期は、フェルナンド・アロンソが以前から語っていた「アストンマーティンが本当に競争力を発揮するのはシーズン後半になる」という見立てとも重なる。

    ホンダPUの振動問題が耐久性にも影響か
    もうひとつの懸念材料とされているのが、ホンダの内燃エンジンだ。報道では、高回転域で大きな振動が発生しているとされ、この問題がギアボックスの耐久性にも影響している可能性がある。

    2026年F1エンジンはすでに3月1日にホモロゲーションを迎えており、開幕序盤においてハードウェア面での大幅な仕様変更は事実上不可能な状況となっている。パフォーマンスを引き出すためのソフトウェア更新は進められているが、開幕数戦では物理的なエンジン仕様は変わらない見通しだ。

    シーズン後半には、成績が劣るメーカーを対象としたFIAのバランスメカニズムによって部分的な救済が得られる可能性もある。ただし、パドック内では、アストンマーティンが何らかの出力差を2027年まで抱える可能性もささやかれている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    デ・ラ・ロサ「すべてはパッケージ」
    アストンマーティンのチームアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、特定の部品だけを原因とする見方には踏み込まなかった。

    「今はすべてがパッケージだ。新しいレギュレーションでは、ブレーキング性能がストレートスピードに影響する。なぜなら、ブレーキング中にどれだけ回生できるか、そしてブレーキング時の安定性が非常に大きな意味を持つからだ」

    「コーナーの頂点でもう1段ギアを落とすことができれば、次のストレートでより多くのエネルギーを使える。僕たちは、全体としてマシンをもっと堅牢にする必要があるだけだ」

    この発言が示すのは、アストンマーティン・ホンダの問題が単なるエンジン出力や冷却不足ではなく、ブレーキング、回生、ギア選択、車体安定性まで含めた統合性能の課題であるという点だ。

    アロンソは後半戦の改善に期待
    一方で、フェルナンド・アロンソは公には楽観的な姿勢を崩していない。

    「マシン発表のとき、僕たちはシーズン序盤に遅れを取るかもしれないが、後半戦は良くなるはずだと言った。今でもその意見は変わっていない」

    「メルボルンに持ち込むマシンは、テストしているものとは大きく異なるものになる。僕たちには30年のF1経験を持つ人物がいる。エイドリアン・ニューウェイはその間ずっと支配してきた。だから、いずれ僕たちは最高のマシンを手にする。時間の問題だ」

    アストンマーティン・ホンダにとって、2026年F1シーズン序盤は想定以上に複雑な課題との戦いになっている。ホンダPUの振動、ギアボックスの耐久性、回生を軸にした新しいドライビングへの適応。そのすべてがひとつのパッケージとして機能しなければ、アロンソが見据える後半戦の反攻も現実にはならない。

  • アロンソ ホンダF1に理解「忍耐が必要」アストンマーティン再建へ覚悟

    アロンソ ホンダF1に理解「忍耐が必要」アストンマーティン再建へ覚悟

    フェルナンド・アロンソが、2026年限りで満了を迎える契約の先について言及し、アストンマーティン残留の可能性を示唆した。現時点で明確な決断は下していないものの、現役続行への強い意欲をにじませている。

    ホンダとの新パートナーシップで苦戦が続く中でも、アロンソはチームの現状を冷静に受け止め、長期的な視点での成長を強調。短期的な結果にとらわれない姿勢とともに、プロジェクトへの信頼を示した。

    「引退は非常に難しい決断になる」継続への強い意思
    フェルナンド・アロンソは、現役生活に対する率直な思いを明かし、引退が容易な選択ではないことを強調した。

    「自分のやっていることが大好きだし、レースが大好きだ。3歳のときに初めてレースをして、今は44歳だから、人生の41年間をステアリングの後ろで過ごしてきた」

    「だからレースをやめる瞬間が来たとき、それは非常に厳しい決断であり、受け入れるのが難しいものになるだろう」

    「時間が教えてくれると思う。自分で感じることになるだろうが、今のところその時が来たとは感じていない。競争力もあるし、モチベーションもあるし、運転しているときは幸せだ」

    「だから、できればこれが最後のシーズンではないといいと思っている」

    将来は未定も「まだその時ではない」
    一方で、具体的な契約延長については明言を避け、あくまで自身の感覚に委ねる姿勢を示した。

    「言うのは難しい。自分で感じなければいけないが、今のところその時はまだ来ていないと思う」

    ホンダとの苦戦も「忍耐が必要」
    アストンマーティンとホンダの新体制は厳しいスタートを強いられているが、アロンソはパートナーへの信頼を崩していない。

    「ホンダがどれだけ懸命に取り組んでいるかは分かっている。みんなにとって難しい状況だが、チームとして団結し、前進するためにできるすべてのことをやっている」

    結果よりプロセスを重視する再建フェーズ
    現在のフェーズでは、順位そのものの価値は相対的に低いとし、長期的なプロジェクトとしての取り組みを強調した。

    「今年は22人が戦っている。1人が勝ち、残りの21人は厳しいシーズンになる」

    「自分にとっては、3位でも5位でも17位でも、もはやほとんど意味はない。優勝以外の順位はすべて同じように難しいものに感じる」

    「僕たちはこのチームとの旅の始まりにいる。理想的なスタートではなかったが、これはアストンマーティンとホンダの協力関係の初年度だ。これを乗り越えなければならないし、自分もできる限り貢献するつもりだ」

    Source: GMM

  • ニューウェイの“極端設計” アストンマーティンF1 AMR26の狙いと代償

    ニューウェイの“極端設計” アストンマーティンF1 AMR26の狙いと代償

    2026年F1シーズンに向けて投入されたアストンマーティンのAMR26は、エイドリアン・ニューウェイによる設計思想が色濃く反映されたマシンだ。日本GPからマイアミGPまでのインターバルを利用した技術分析により、その構造がこれまで以上に大胆であることが明らかになっている。

    現時点でのパフォーマンスは苦戦が続いているものの、その設計には明確な意図が存在する。

    特に空力効率を極限まで追求した構成は、従来のセオリーを大きく逸脱するものであり、成功すれば大きなアドバンテージを生む一方で、実装には高いリスクを伴う。

    極端なアンダーカットが生む空力ポテンシャル
    AMR26の最大の特徴のひとつが、モノコックとサイドポッドの間に設けられた大きなアンダーカットだ。これはグリッド上でも最も大きい部類に入り、リアのコークボトル形状へ向かう気流を加速させる狙いがある。

    この設計により、フロア下の空気の流速を高め、結果としてマシン全体のダウンフォース増加が期待されている。ただし、そのためには気流が剥離しないよう精密な制御が不可欠であり、設計の難易度は極めて高い。

    さらに、サイドポッド内部のラジエーターは、空力形状に合わせて横方向・縦方向の両方に湾曲させられている。これにより外側のボディワークは極端なダウンウォッシュ形状を実現しているが、そのぶん内部パッケージングは非常にタイトになっている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム AMR26

    一体型サスペンションという大胆な選択
    フロントサスペンションでは、上下のウィッシュボーンを左右分割せず、1本の構造としてノーズを貫通させる“一体型”を採用している。現行グリッドでは唯一の構成だ。

    この設計は空力的には有利とされる。構造をスリム化できることで気流の抵抗を減らし、よりクリーンなエアフローを確保できる可能性がある。また剛性が高まれば、タイヤ接地の精度向上にもつながる。

    一方でデメリットも明確だ。単一構造であるがゆえに荷重集中によるたわみが大きくなりやすく、それを抑えるための補強が重量増につながる可能性がある。また左右独立の調整ができないため、セットアップの自由度は制限される。

    さらに、損傷時の交換作業も複雑で時間がかかるという実用面での弱点も抱えている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム サスペンション

    マルチリンク化で弱点を補う設計思想
    AMR26のサスペンションは、見た目こそウィッシュボーンだが、実際にはマルチリンク構造となっている。前後のアームが独立してハブに接続されることで、ステアリング時のタイヤ接地特性をより細かく制御できる。

    これにより、トーやキャンバー、キャスターといったセットアップ要素をより独立して調整できるようになり、一体型サスペンションの弱点を補う狙いがある。

    結果として、極端な空力設計と機械的な制御精度の両立を図る構成となっているが、その成立には膨大なデータ解析と精密な設計が不可欠となる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム 設計思想

    “成功すれば革命”だが成立は困難な設計
    AMR26は、空力効率を最優先に据えた結果として、従来の設計バランスを大きく崩したマシンとなっている。各要素は理論的には高いポテンシャルを持つが、それらを実走で成立させるには非常に高い完成度が求められる。

    現状のパフォーマンス不足は、その“極端さ”ゆえの難しさを示しているとも言えるが、裏を返せば開発が進めば大きく化ける余地を残している構成でもある。ニューウェイが描いたこの挑戦的なコンセプトが、今後どこまで現実の速さへと結びつくかが焦点となる。

    Source: Formula1.com

  • ホンダF1 マイアミGP展望 振動対策に進展も「大きな飛躍は期待せず」

    ホンダF1 マイアミGP展望 振動対策に進展も「大きな飛躍は期待せず」

    ホンダF1のトラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアである折原伸太郎が、2026年F1第4戦マイアミGPを前にアストンマーティンの現状と今週末に向けた見通しについて言及した。

    2026年F1第4戦マイアミGPは、アメリカ・フロリダ州マイアミのマイアミ・インターナショナル・オートドロームで現地時間5月1日(金)に開幕する。初日はフリー走行1とスプリント予選、2日(土)にスプリント決勝と公式予選、3日(日)に決勝レースが行われる。

    振動問題と信頼性の課題に苦しむAMR26は、ここまでの開幕4戦で中国GPのスプリントを含めて完走はわずか1回にとどまっている。

    日本GP以降の約4週間、ホンダとアストンマーティンは問題解決に向けて開発を進めてきたが、折原はマイアミGPで即座にパフォーマンス向上が表れる可能性については慎重な姿勢を示した。振動低減に向けた対策は強化されているものの、短期的に目に見える改善が現れる可能性は高くないとの見方だ。

    約4週間の開発で進展も“即効性なし”の現実
    折原は、日本GP後のインターバルについて、開発面では一定の前進があったと説明する。

    「日本GP以降、レースのない長いインターバルとなりましたが、その約4週間は非常に充実した時間になりました。日本とイギリスで、アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラワンチームと緊密に連携しながら多くの作業を進めてきました。」

    「日本GPでは、我々の取り組みが正しい方向に進んでいると確認でき、今後も前進し続けるための大きなモチベーションとなりました。」

    さらに、実機を用いた検証として、鈴鹿で走行したAMR26の1台をさくらの施設に残し、振動低減と信頼性向上に向けた静的テストを実施した。

    「その後、鈴鹿でレースを走行したAMR26のうち1台を初めてSakuraに残し、振動の低減と信頼性の向上を目的に、静的テストを行い、一定の進歩が見られました。」

    「これにより、マイアミおよび今後のシーズンに向けて追加の対策を投入できる見込みです。ただし、この進展がパワーユニットのパフォーマンスに目に見える形で影響することはないため、ここでの大きな飛躍は期待しないほうが現実的です。」

    ホンダ / ホンダ・レーシング

    低速コーナー主体のマイアミが突きつける課題
    マイアミ・インターナショナル・オートドロームは、2026年シーズンの中でも特徴的なレイアウトを持つサーキットのひとつだ。

    「マイアミは、2026年カレンダーの中で、初めて低速コーナーが多く登場するサーキットです。2つの長い全開区間と、複数の低速コーナーを併せ持つユニークなレイアウトで、マシンセッティングの最適解を見つけるうえで非常に興味深いコースです。」

    特に重要となるのが、低速域でのドライバビリティとエネルギーマネジメントだ。

    「PUの観点では、低速区間でのドライバビリティが重要になるため、このセクターにおけるエネルギーマネジメントの最適化が、パフォーマンス最大化の大きな鍵となります。また、この区間でのエネルギーロスをいかに削減するかも重要なポイントです。」

    高温条件とスプリント週末が試す総合力
    さらに、マイアミは今季初の高温条件でのレース週末となる。

    「加えて、マイアミは今シーズン最初の高温条件での週末でもあります。新レギュレーションの下でPUの温度を適切に管理することも不可欠です。」

    加えて、スプリントフォーマットによる準備時間の制約も大きな要素となる。

    「今週はスプリントレースも実施されるため、フリー走行は90分間のFP1のみです。限られた時間で、スプリント予選に向けて新レギュレーション下におけるすべてのデータ設定を最適化し、かつ最適な冷却仕様を決定する必要があるため、FP1はより中身の濃いセッションになると考えています。」

    限られた走行時間、低速主体のコース特性、そして高温環境という複数の要素が重なるマイアミGPは、単なる第4戦にとどまらず、各チームの総合力が問われる週末となる。

  • ホンダF1 さくらで“24時間開発”続行 マイアミGPへ総力対応

    ホンダF1 さくらで“24時間開発”続行 マイアミGPへ総力対応

    ホンダF1が、日本GP後も開発の手を緩めていない。ホンダ・レーシング(HRC)とアストンマーティンは、日本のさくら研究所で連携し、問題解決に向けた対策作業を継続している。

    次戦マイアミGPを前に、現状の改善には時間がかかることを認めつつも、現場は“24時間体制”で開発を進めている。ホンダ側の技術責任者がその舞台裏を明かした。

    さくらで続く“24時間体制”の対策開発
    ホンダF1 トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、現在の開発状況について次のように説明した。

    「みなさんご存知の通り、バーレーンGPとサウジアラビアGPは延期となりましたが、それでも作業が止まったわけではありません」

    「日本GPの後、アストンマーティン・アラムコF1チームのメンバーとホンダ・レーシングは、日本のさくらにあるHRC研究開発センターで共同作業を続けています」

    「東京から約3時間の場所にあるこの施設で、私たちは対策強化に向けて24時間体制で取り組んでいます」

    ホンダ(本田技研工業) メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    改善には時間も マイアミGPへ継続対応
    折原伸太郎は、現状の課題が短期で解決するものではないとしながらも、チームとしての取り組み姿勢を強調した。

    「この問題の解決には時間がかかることは理解していますが、私たちは引き続き協力して懸命に取り組んでいきます」

    「次のF1レースであるマイアミでお会いしましょう。2回目のスプリントウィークエンドとなる“サンシャインステート”でお会いできるのを楽しみにしています。ではまた」

  • アストンマーティン・ホンダF1 振動問題に光明 ニューウェイの解決策が浮上

    アストンマーティン・ホンダF1 振動問題に光明 ニューウェイの解決策が浮上

    アストンマーティンは、速さを秘めながらも深刻な振動問題に苦しんでいる。ホンダ製パワーユニットに起因するこの問題は、フェルナンド・アロンソのパフォーマンスに大きな影響を与えており、シーズン序盤の低迷の一因となっている。

    4月のインターバル期間を迎えた現在、チームはこの根本的な欠陥の解消に全力を注いでいる。エイドリアン・ニューウェイが主導する開発作業は、今後の戦力図を左右する重要な局面に入っている。

    振動が奪うパフォーマンスと信頼性
    アストンマーティンのマシンは、エンジン由来の振動がシャシー全体に伝わる構造的な問題を抱えている。この振動は単なる不快要素にとどまらず、ドライビング精度やタイヤマネジメントに直接的な悪影響を及ぼしている。

    ステアリング操作の精度低下によりコーナリングでの再現性が損なわれ、結果としてタイヤの摩耗が進行。これにより戦略の自由度が制限され、予定外のピット戦略を強いられるケースも生じている。

    さらに、振動はドライバーの身体にも負担を与え、長期的な健康リスクすら懸念されている。ニューウェイもこの問題を「根本から断つ必要がある」と認識している。

    日本で見えた“解決策”と新たな課題
    日本での走行において、ホンダは改良型ステアリングロッドを投入した。このパーツはエンジン振動の周波数を吸収し、ステアリングへの伝達を抑える設計となっていた。

    アロンソは初期走行後に「クルマが普通に感じられる」と述べており、振動が大幅に軽減されたことが確認された。ラップタイムの改善も見られ、方向性としては正しいアプローチだった。

    しかし、この新パーツは耐久性に問題を抱えていた。短時間で素材疲労が進行し、週末を通して使用できないことが判明。チームは安全面を考慮し、従来仕様へと戻す判断を下した。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ニューウェイが進める再設計
    現在、アストンマーティンのファクトリーでは、より高い耐久性を持つ素材の検証が進められている。振動を抑えつつ剛性を維持することが開発の焦点となっている。

    ニューウェイとアロンソの連携により、シャシー全体の安定性を高める方向での見直しも進行中だ。単なる部品交換ではなく、車体全体のバランスを含めた再設計が求められている。

    この問題は単なる一時的な不具合ではなく、ホンダとの統合コンセプトそのものに関わるテーマとなっている。ここで確立される解決策は、シーズン後半の競争力を左右する基盤となる。

    マイアミGPが試金石に
    チームの次なるターゲットはマイアミGPだ。ここで改良型ステアリングシステムの最終仕様を投入し、レース距離に耐えうるかを検証する計画となっている。

    新パーツが安定して機能すれば、本来の空力性能を引き出すことが可能となる。現状では振動が気流の安定性にも影響を及ぼしており、ハイダウンフォース領域での性能発揮を妨げている。

    この問題が解消されれば、アロンソは本来の競争力を取り戻し、中団上位争いへ復帰する可能性が高まる。逆に解決が遅れれば、シーズンを通じて苦戦を強いられるリスクも残る。

    アストンマーティンにとって、この数週間の開発は単なる改善ではなく、シーズンの流れを決定づける分岐点となっている。

  • ホンダF1に逆風?2026年F1レギュレーション修正で不利拡大の可能性

    ホンダF1に逆風?2026年F1レギュレーション修正で不利拡大の可能性

    2026年F1レギュレーションに対する不満を受け、FIAはマイアミGPからエネルギーマネジメントに関する重要な修正を導入する。スーパークリッピング時間の短縮や回生レートの引き上げなど、これまで問題視されてきた“奇妙な減速”や速度差の是正を狙った措置だ。

    しかし、この変更はすべてのメーカーにとって同じ意味を持つわけではない。特にパワーユニット性能に依存する回生領域では差が顕在化する可能性があり、ホンダにとってはむしろ不利が拡大するとの見方も出ている。

    マイアミで導入される主な変更点
    スーパークリッピング(エネルギー回収)時間は1周あたり2〜4秒に短縮され、ピーク回生レートは250kWから350kWへと引き上げられる。また、バッテリー上限は8MJから7MJへ引き下げられた。

    これらの変更は、これまで問題視されてきたリフト・アンド・コーストの頻発や、速度差の拡大といった課題の軽減を目的としている。

    ホンダにとっての懸念点
    一方で、この「350kW回生」という変更がすべてのメーカーにとって有利とは限らない。

    ベテランジャーナリストのマーク・ヒューズは、Motor Sport Magazineのポッドキャストで次のように指摘している。

    「すべてはリアアクスルの逆トルク低減に関係していて、それが回生の速さを決める。だからホンダにとっては、さらに不利になる可能性がある」

    新レギュレーションではMGU-Hが廃止されており、回生とエネルギー制御の負担はMGU-Kに集中している。これにより、ターボラグ補填や出力制御も同時に担う必要がある。

    その中で、内燃エンジン(ICE)の性能が重要な鍵となる。

    ICE性能差が生む影響
    現在、ホンダのICEはメルセデス勢と比較して出力面で劣ると見られている。

    出力が低いエンジンは、回生に使えるエネルギーも限られる。その結果、350kWという高い回生レートに到達するまでに時間がかかる、あるいは維持できない可能性がある。

    つまり、同じバッテリー量を充電するために、より長いスーパークリッピング時間が必要となる可能性がある。

    これは本来「短縮」を狙った規則変更の意図と逆行する。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    勢力図への影響とメルセデス優位の可能性
    この変更は、結果として各メーカーに異なる影響を与える。

    メルセデスのように高出力ICEを持つ陣営は、350kWで効率的に回生できるため、短時間でバッテリーを充填できる。一方でホンダや、トルクに余裕のないメーカーは同じ恩恵を受けられない可能性がある。

    つまり、今回の調整は“中立的な修正”ではなく、勢力図を動かす要因になり得る。

    それでも一定の改善は期待される
    ただし、すべての変更が偏った影響をもたらすわけではない。

    バッテリー容量の削減(8MJ→7MJ)や、エネルギー展開制御の見直しは、メーカーを問わずリフト・アンド・コーストの減少に寄与する見込みだ。

    また、ブースト制限の調整も、鈴鹿でのオリバー・ベアマンのクラッシュのような危険な速度差の抑制を狙ったものだ。

    結果として、今回の規則変更は一定の改善をもたらしつつも、その中核である「回生レート引き上げ」は、チーム間の格差を広げる可能性を孕んでいる。実際の影響は、マイアミでの走行を経て初めて明らかになることになる。