ホンダF1は、2026年型パワーユニット(PU)の開発で重要な段階をクリアしたとみている。第2仕様PUの投入後に課題となっていたドライバビリティの改善が進み、今後は純粋なパフォーマンス向上へ開発の重点を移す方針だ。
F1スペインGPではアストンマーティン・ホンダが再び厳しい週末を過ごしたものの、ホンダF1はマドリンクで収集したデータに前向きな兆候を確認。フェルナンド・アロンソが決勝中に行った複数のテストも、開発の方向性が正しいことを裏付ける材料になったという。
第2仕様PUのドライバビリティ改善に手応え
ホンダF1はF1オランダGPで第2仕様のパワーユニットを投入し、アストンマーティンAMR26のパフォーマンス改善を図った。
ザントフォールトではアロンソが9位に入り、アストンマーティンとホンダのパートナーシップ開始後では当時のベストリザルトを記録した。しかし、その後のモンツァでは、エンジンパワーへの要求が特に高いサーキット特性によってアストンマーティン・ホンダは大きく苦戦した。
初開催となったマドリンクでのF1スペインGPでも、チームはポイントに届かなかった。アロンソは優勝者から2周遅れの17位でフィニッシュし、ランス・ストロールはブレーキペダルの問題によってリタイアした。
ストロールにとっては週末を通じて厳しい展開だった。アストンマーティンはパワーユニット交換を決断したため、ストロールは40グリッド降格ペナルティを抱えて予選を迎えたが、AMR26に水圧の問題が発生し、タイムを記録できなかった。それでもFIAスチュワードから決勝への出走を許可された。
結果だけを見れば、ホンダF1にとって満足できるF1スペインGPではなかった。しかし、パワーユニット開発という観点では重要な前進があった。
第2仕様PUの投入時、アロンソはそのドライバビリティと扱いやすさについて懸念を示しており、この部分ではホンダが事実上「振り出しに戻った」と感じるほどだった。
それから3戦を経て、ホンダF1トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフエンジニアの折原伸太郎は、この問題について十分な改善が進み、今後はより多くのリソースをパフォーマンス向上に振り向けられる段階に入ったと説明した。
「マドリードの結果は我々が望んでいたものではありませんが、今後のレースに向けて、そこから得られる学びや改善点をしっかり確認する必要があります」
「過去3戦を通じて、F1オランダGPで投入した第2仕様パワーユニットのドライバビリティを改善してきました。その問題を軽減できたことで、これからはパフォーマンス面に集中できるようになります」
アロンソが決勝中にエンジン設定を検証
ホンダF1の取り組みはマドリンクでも続けられた。折原伸太郎によれば、週末を通じてパワーユニットのキャリブレーションを変更し、その効果をセッションごとのデータで確認していったという。
「例えば今週末も、その部分を改善するためにいくつかのキャリブレーションを変更しました。セッションを重ねるごとに、データから良い兆候を確認することができました」
「フェルナンドも決勝中に別のテストを行い、それを確認してくれました。これは我々全員にとって、正しい方向に進んでいることを示すものです」
アストンマーティン・ホンダにとってF1スペインGPの決勝はポイント争いから大きく離れた展開となったが、その状況を逆に利用して、パワーユニットに関するさまざまな検証を実施した。
アロンソ自身も、マドリンクでレース終盤まで異なるエンジン設定やエネルギーのデプロイメント戦略を試し、今後につながるデータ収集を続けていたことを明らかにしている。

バクーはパワーユニットの新たな試金石
一方、次戦F1アゼルバイジャンGPは、ホンダF1にとって現在地を測る新たなテストとなる。
バクー市街地サーキットはパワーユニットへの要求が非常に高く、約2.2kmに及ぶ長い全開区間を持つ。最高速とエンジンパワーがラップタイムに大きく影響するため、モンツァに続いてホンダF1のパワーユニット性能が明確に試される舞台となる。
アロンソは、バクーでも再び厳しい週末になる可能性について問われたが、先を決めつけることはせず、1戦ずつ取り組む姿勢を強調した。
「週末ごとに進んでいかなければならない」
「ザントフォールトのようにポイントを獲得できる可能性が少しでもあれば、それを生かさなければならない。でも、難しくなることは分かっている」
さらにアロンソは、結果を狙うだけでなく、2026年シーズン終盤までパワーユニットとマシンへの理解を深め続ける必要があると語った。
「学び続けなければならない。マドリードでも争えるものは何もなかったけど、いろいろなことを試した。異なるエンジン設定や、最後の数周ではデプロイメント戦略も試して、学習のプロセスを続けた。それをシーズン終了まで続けなければならない」
第2仕様PU投入後の大きな課題だったドライバビリティについて、ホンダF1は改善に手応えを得た。マドリンクでアロンソが行った実走テストでもデータとの相関が確認され、開発の焦点はいよいよ純粋なパフォーマンス向上へと移る。次戦バクーは、その進歩がどこまで結果につながるかを測る重要な機会となる。
