2030年以降のF1マシン軽量化で「給油復活」案 チーム首脳は揃って反対

2030年以降のF1マシン軽量化で「給油復活」案 チーム首脳は揃って反対

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F1では2030年以降を見据えた将来のレギュレーションを巡り、マシンのさらなる軽量化が重要なテーマとなっている。その手段のひとつとして、2010年から禁止されているレース中の給油を復活させる案も浮上している。

しかし、ウィリアムズF1代表のジェームス・ボウルズ、レーシングブルズCEOのピーター・バイエル、ハースF1代表の小松礼雄はいずれも給油復活に否定的な見解を示した。

3人ともマシンを軽くするという目的そのものには賛成しているが、給油をその解決策とすることにはスポーツ面やコスト、安全性などの観点から疑問を呈している。

F1軽量化の手段として浮上する「給油復活」
F1では将来的なV8エンジンへの回帰が議論される一方、マシン重量をいかに削減するかも次世代レギュレーションにおける大きな課題となっている。

その選択肢のひとつがレース中の給油だ。現在のF1では決勝を走り切るために必要な燃料をスタート時から搭載する必要があるが、給油が認められれば、搭載燃料を減らした軽い状態でレースをスタートできる。

理論上はマシン重量を削減できるだけでなく、給油量やタイミングによって戦略の幅が広がる可能性もある。しかし、過去に給油時代を経験してきたチーム関係者からは、そのスポーツ的なメリットを疑問視する声が相次いでいる。

小松礼雄「給油はまったく好きではありません」
ハースF1代表の小松礼雄は、給油復活について明確に反対の立場を示している。

「個人的には、給油は本当にあまり好きではありません。というか、まったく好きではないですね。私が好きだと言いましたか? 好きではありません」

小松礼雄は、かつてF1を外から観戦していた立場からも、給油がレース展開を分かりにくくしていたと振り返る。

「私が外からF1を見ていたときでさえ、給油があると、スタンドで観戦している人にとってレースが非常に分かりにくくなっていました」

一方で、小松礼雄は予選については、ドライバーが可能な限り軽いマシンで限界まで攻められる状態が望ましいと考えている。

「ただ、予選ではマシンをできるだけ軽くして、ドライバーが全力で攻められるという考え方は好きです。それについては賛成です」

「ですから、まとめると、レース中の給油には賛成ではありません。重量やコスト、それに伴うあらゆることを考えてもそうです。本当に給油はあまり好きではありません」

ピーター・バイエル「ショーにはほとんど何も加えない」
レーシングブルズCEOのピーター・バイエルも、小松礼雄と同様に給油復活には否定的だ。

バイエルはFIAで働いていた時代、F1のエンターテインメント性を向上させるためのワーキンググループに参加しており、その際にも給油復活について詳細な検証が行われたという。

「まだFIAで働いていたころ、ロス・ブラウンと彼のチームを含むF1とのワーキンググループがあり、エンターテインメントやショーをどう改善するかについて検討していた」

「そのとき、一部の人たちから出てきた大きなアイデアのひとつが給油だった。そこで、過去の映像や手元にあったデータを非常に詳しく調べた」

その検証から得られた結論は、給油が必ずしもレースを面白くするわけではないというものだった。

「その結果、非常に派手で危険な映像がいくつかあったことを除けば、給油はスポーツにそれほど何かをもたらしてはいなかったことが分かった。なぜなら、オーバーテイクの多くが突然ピットレーンで起きるようになったからだ」

つまり、コース上で行われていた順位争いの一部が、給油時間やピットストップのタイミングによるポジション変動へと置き換わってしまう。

「だから、私はこのアイデアにはあまり賛成ではない。実際のところ、ショーにそれほど多くのものを加えないことが分かっているからだ」

ジェームス・ボウルズ「レースが予測しやすくなる」
ウィリアムズF1代表のジェームス・ボウルズも、基本的には2人と同じ考えだ。

まず、給油が行われていた時代ならではの個人的な経験を交えて冗談を飛ばした。

「私も似たような意見だ。非常に個人的な話をすると、ピットウォールでレーシングスーツを着ているとかなり暑い。だから、できればもう一度あれを経験したくはない」

給油時代には火災の危険があることから、ピット作業に関わるスタッフだけでなく、ピットウォールのチームメンバーにも防火装備が求められていた。

だが、ボウルズがより大きな問題として挙げたのは、給油によって各マシンのピットストップ時期を予測しやすくなることだ。

「もうひとつ起きるのは、基本的にマシンがいつピットストップするのかを正確に予測できるようになることだ」

「燃料を使い切るところまで走らせることになる。なぜなら、そのときにマシンが最も速くなるからだ」

給油量が分かれば、各ドライバーが何周目付近でピットに入るのかも計算しやすくなる。ボウルズは、それによって戦略的な意外性が失われる可能性を指摘する。

「つまり、何が起こるのかを予測できる。誰かが1ストップなのか、2ストップなのか、3ストップなのかが分かるようになり、最終的にはそれほど大きな違いを生まない」

さらに現在は、テレビ中継や公式データなどを通じて、ファンがリアルタイムで膨大な情報を入手できる。

「今は外の世界に対して非常に多くの情報が公開されているので、誰もがそうした情報にアクセスできるようになるだろう。それによって、私にとってはレースの駆け引きのかなりの部分が失われてしまう」

フォーミュラ1カー 給油

軽量化には賛成 ただし「給油は正しい解決策ではない」
3人の意見に共通しているのは、F1マシンを軽量化するという目標そのものを否定しているわけではないという点だ。

むしろボウルズは、将来のF1にとってマシン重量を抑えることは重要だと強調する。そのうえで、給油復活を軽量化のための手段とすることには反対している。

「このアイデアの背景にある考え方は、『マシン重量を低く保とう』ということだと思う。それについては完全に賛成だ」

「ただ、それを実現するために給油へ戻ることが正しい解決策だとは思わない」

F1では2030年以降に向けたパワーユニットやシャシー規則について議論が続いており、軽量化は今後の重要なテーマのひとつとなる。ただし、かつてF1のレース戦略を大きく左右した給油を復活させることについては、少なくとも現場のチーム首脳から強い支持は得られていない。

マシンを軽くし、ドライバーがより限界まで攻められるF1を目指すという方向性では一致している。一方、そのためにレース中の給油を復活させるべきかという問いに対して、ボウルズ、バイエル、小松礼雄の答えはいずれも「ノー」だった。