カテゴリー: WEC (FIA世界耐久選手権)

  • ランド・ノリス マクラーレンのWECハイパーカーをポルティマオで本格テスト

    ランド・ノリス マクラーレンのWECハイパーカーをポルティマオで本格テスト

    F1世界王者ランド・ノリスが、ポルトガルのポルティマオでマクラーレンの新型ハイパーカー「MCL-HY」をテストした。2027年のFIA世界耐久選手権(WEC)参戦に向けて開発が進められているマシンで38周を走行し、開発プログラムにも参加した。

    ノリスは、初開催となったマドリンクでのF1スペインGPを終えると、そのままポルトガルへ移動。マクラーレン・ハイパーカーにとって5回目となるサーキットテストに加わった。

    グッドウッドに続いてMCL-HYをドライブ
    ノリスがMCL-HYをドライブするのは今回が2度目となる。最初の機会はグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、2027年からFIA WECに投入されるマシンの一般公開に合わせてステアリングを握っていた。

    ただし、グッドウッドではヒルクライムでの走行だったため、本格的なサーキットテストへの参加は今回が初めてとなった。

    ノリスはポルティマオのアウトドローモ・インテルナシオナル・ド・アルガルヴェで、マシンへの習熟走行を行った後、全長4.653kmのコースを38周。複数の開発項目を含むテストプログラムを消化した。

    テストにはマクラーレン・レーシングのファクトリードライバーであるミケル・イェンセンと、2024年FIA WECハイパーカークラスのドライバーズチャンピオンで、2027年から正式にチームへ加入するローレンス・ヴァントールも参加した。

    「まず、MCL-HYを運転させてくれたマクラーレン・ハイパーカー・チームに本当に感謝しています」とノリスは語った。

    「来年に向けた忙しい準備の最中に、少し楽しみながら新しいものを試す機会を与えてもらえたのは素晴らしかったです。貴重なデータもいくつか集められたと思いますし、僕自身も違った感覚やコメント、物事の見方を持ち込めたと思っています。それが、この重要なテスト期間にチームの役に立っていればうれしいです」

    ノリスにとって、F1マシン以外を本格的にサーキットでテストすること自体が久々の経験だった。

    「個人的にもこのチームと仕事ができたのはすごくよかったですし、新しいマシンを試せたのも刺激的でした。もう何年もF1マシン以外でちゃんとしたテストをしていなかったので、違うものを試すことができて、しかもマクラーレン・ファミリーの一員としてそれができたのは、とても特別でした」

    「速いマシンをクールなサーキットで走らせて、来年のWEC開幕に向けたチームの準備を手伝うことができた楽しい1日でした。関係した皆さんに本当に感謝しています。また将来このマシンに乗れるのを楽しみにしています」

    ランド・ノリス マクラーレン MCL-HY

    マクラーレン「非常に素早く適応した」
    マクラーレン・ハイパーカー・チームのチーム代表ジェームス・バークレーも、ノリスが短時間でMCL-HYに適応し、開発に有益なフィードバックを提供したと評価した。

    「マクラーレン・レーシングにいる我々は全員がレーサーだ。F1、インディカー、そして世界耐久選手権に参戦することで、カテゴリーをまたいだエキサイティングな機会が生まれる」

    「ランドはグッドウッドのヒルクライムで走らせただけでなく、さらにMCL-HYをドライブしたいと考えていた。そのため、ポルティマオでのプライベートテストに招待した」

    「我々が予想していた通り、彼は非常に素早く適応し、チームにもシームレスに溶け込み、マシン開発を支える貴重なフィードバックを提供してくれた。一緒に仕事ができたことをうれしく思う。残りのF1シーズンでの成功を願っているし、近いうちに再びマクラーレン・ハイパーカー・チームに迎えられることを楽しみにしている」

    ノリスのWEC参戦は未定
    現時点で、今回のテストがノリスのWECレース参戦に直結するとの発表はない。F1のチームメイトであるオスカー・ピアストリや、2027年からマクラーレンのインディカー・プログラムに加わるスコット・ディクソンについても、MCL-HYでレースに出場する計画は確認されていない。

    一方、ノリスには耐久レースの経験がある。2018年のデイトナ24時間レースにユナイテッド・オートスポーツのLMP2リジェで出場し、フェルナンド・アロンソ、フィル・ハンソンとマシンを共有した。

    マクラーレンは2027年からMCL-HYでFIA WECの最高峰ハイパーカークラスに参戦する予定であり、今回のポルティマオテストはその開発過程の一環となる。ノリス自身も「また将来このマシンに乗れるのを楽しみにしている」と語っており、F1世界王者が今後もMCL-HYの開発に関わるのか注目される。

  • BMWがF1復帰を否定する理由「市販車から離れすぎている」

    BMWがF1復帰を否定する理由「市販車から離れすぎている」

    BMWは、近年F1に大手自動車メーカーが相次いで参入するなかでも、現時点でF1復帰を計画していない。BMW Mを率いるフランク・ファン・ミールは、その最大の理由として、F1で開発される技術と市販車との距離を挙げた。

    BMWにとってモータースポーツは、単なるブランド露出の場ではない。レースで磨いた技術を市販モデルへ移植することが重要であり、ファン・ミールは現在のF1について、その思想とは合致しないと説明している。

    BMWにとってF1は「研究所すぎる」
    ミュンヘンを本拠地とするBMWは、2009年にザウバーの株式を売却してF1から撤退した。それ以降、F1への本格的な復帰には動いていない。

    その一方で、近年のF1には自動車メーカーの参入が相次いでいる。BMWと同じドイツのプレミアムブランドであるメルセデスは長年ワークスチームを運営し、BMWがかつて関係していたザウバーは現在、アウディのワークスチームとなっている。

    さらにキャデラックがF1に参入し、フォードもレッドブル・パワートレインズとの提携を通じてF1に加わった。ポルシェも2022年にはレッドブル・レーシングとの間でパワーユニットを含む提携について交渉していたが、最終的に合意には至らなかった。

    それでもBMWが同じ道を選ぶ考えはない。

    BMW Mの最高責任者を務めるフランク・ファン・ミールは、Motor1 Germanyに対し、F1がBMW Mの哲学に適していない理由を説明した。

    「F1は私たちにとって市販車から離れすぎています。あまりにも研究所的で、市販車に十分うまく反映することができません」

    BMW Mにとって重要なのは、レースで得られた技術を市販車へ直接還元できることである。

    「もちろん、私たちのお客様やファンもF1が好きです。しかし同時に、もっと直接的で、市販車に近いモータースポーツも好んでいます」

    「Mの背景にある考え方は、モータースポーツを市販車へ持ち込むことです。F1は、私たちにとってその考え方に合わないのです」

    WECとIMSAを重視するBMW M
    BMWが現在力を入れているのは、F1ではなくスポーツカーやGTレースだ。

    BMWはBMW M Hybrid V8でFIA世界耐久選手権(WEC)とIMSAスポーツカー選手権に参戦している。WECではル・マン24時間レースを含む世界最高峰の耐久レースで競争を続けている。

    また、BMW M4 GT3やM4 GT4といった、市販車との結びつきがより明確なレーシングカーも世界各地のカスタマーチームへ供給している。

    特にBMW MにとってIMSAは重要なカテゴリーだという。その背景には、米国市場の存在がある。

    「私たちにとって重要なのはWECだけではなく、IMSAも同様です」

    「米国はBMW Mの販売台数のおよそ40%を占めており、単一市場として最大です。BMWはモータースポーツを通じて米国で大きなブランドへ成長しました。だからこそ、IMSAは私たちにとって非常に重要なのです」

    つまりBMWのモータースポーツ戦略は、ブランドマーケティングだけではなく、市場と技術開発の双方に直結している。

    BMW 自動車競技

    レース技術をそのまま市販車へ
    ファン・ミールによれば、WECやIMSAを選ぶ最大のメリットのひとつが、市販車への直接的な技術移転にある。

    BMW Mは、レースで使用した技術やアイデアを、実際に次世代の市販モデルへ取り入れている。

    「WECとIMSAが私たちに適しているのは、技術を直接移転できるからでもあります」

    「例えばM Concept Neue Klasseには、M4 GT3から取り入れた要素があります。空気の流れを最適化したボンネットやディフューザーなどです。ライトのグラフィックについては、私たちのLMDhレーシングカーから来ています」

    外観や空力だけではない。パワートレインについても、レースと市販車との間には明確なつながりがあるという。

    「パワートレインについても技術移転があります。私たちはモータースポーツでV8ハイブリッドを使用していますし、市販車のM5やXMにもV8ハイブリッドがあります」

    BMW M Hybrid V8は、その名の通りV8エンジンとハイブリッドシステムを組み合わせたLMDhマシンだ。一方、BMW M5やXMにもV8ハイブリッドシステムが採用されており、レースとロードカーの開発には共通する技術領域が存在する。

    同じエンジニアがレースと市販車を開発
    BMWでは、技術の考え方だけでなく、人材そのものもレースと市販車の開発を行き来している。

    ファン・ミールは、一部では同じエンジニアがレーシングカーと市販車のパワートレイン開発を担当していることを明かした。

    「場合によっては、同じエンジニアが市販車のパワートレインにも携わっています」

    「こうしたレーシングシリーズを利用することで、特定の要素をより早く、そして市販化に近い状態でテストすることができます」

    BMWにとってモータースポーツは、文字通り市販車開発の実験場として機能している。ただし、その実験場は市販車から遠く離れたものであってはならない。

    現在のF1は高度に専門化した技術競争となっており、BMW Mが重視する「レースから市販車への直接的な技術移転」という基準では、WECやIMSAの方が適しているという判断だ。

    メルセデスやアウディ、フォード、キャデラックなど自動車メーカーのF1への関与が拡大するなかでも、BMWは異なる道を選んでいる。F1そのものへの関心がないのではなく、モータースポーツを市販車開発へ直結させるBMW Mの哲学が、現在のF1とは一致していないことが、その最大の理由となっている。

  • F1最終2戦にも暗雲 WECが中東ラウンド中止で代替開催を決定

    F1最終2戦にも暗雲 WECが中東ラウンド中止で代替開催を決定

    2026年FIA世界耐久選手権(WEC)がシーズン終盤に予定していたカタールとバーレーンでの開催を断念したことで、F1でも今季最終戦の開催を巡る不透明感が一段と高まっている。

    WECは安全面や物流への影響を理由に欧州での代替開催を決定した。一方、F1は依然としてカタールGPとアブダビGPをカレンダーに残しているものの、情勢次第では代替開催地への変更も視野に入れた検討を続けているとみられる。

    WECがカタールとバーレーン開催を正式中止
    FIAは29日、WECの終盤2戦について開催地を変更すると発表した。

    当初、ルサイル・インターナショナル・サーキットで開催予定だったカタール戦は10月18日にスペイン・バルセロナで6時間レースとして実施。さらにシーズン最終戦として予定されていたバーレーン戦は、11月8日にイタリア・モンツァへ移される。

    この決定は、中東地域で続く紛争が安全性や貨物輸送、国際移動に及ぼす影響を慎重に検討した結果だ。

    WECのフレデリック・ルキアンCEOは、チームやマニュファクチャラーに十分な準備期間を確保する必要があったと説明した。

    「ここ数か月、中東情勢を注意深く見守ってきた」

    「数週間前まではカタールとバーレーンで開催できると楽観視していた。しかし現在の状況では代替案へ切り替えざるを得ない」

    「メーカーやチーム、そしてWEC運営が必要な準備を進められるよう、このタイミングで決断することが物流面で不可欠だった」

    また、FIA会長モハメド・ビン・スライエムも最後まで開催継続を模索したことを明らかにした。

    「ここ数か月、カタールとバーレーンのパートナーと協力し、開催維持に向けあらゆる選択肢を検討してきた」

    「しかし地域情勢を考えれば、チームや関係者、そしてモータースポーツファンの安全を最優先しなければならない」

    「容易な決断ではないが、モータースポーツコミュニティの安全確保が最優先だ」

    F1も最終2戦の代替開催を検討
    WECの決定により、F1が11月29日に予定するカタールGP、12月6日に予定するアブダビGPにも改めて注目が集まっている。

    現時点で両レースとも2026年カレンダーに残されており、正式な変更は発表されていない。しかし、現地情勢が改善しない場合に備え、F1は複数の代替開催案を検討しているとされる。

    有力候補の一つがイモラ・サーキットだ。2025年までF1を開催していた実績があり、短期間でグランプリ開催に対応できるインフラを備えている。

    ただし、12月のイモラは低温によってタイヤのウォームアップが難しくなるほか、悪天候のリスクも大きな課題となる。

    もう一つの候補として挙がるポルティマオは、近年F1開催実績があり冬場の気候も比較的温暖だ。しかし、2027年からのF1復帰に向けた施設改修工事が予定されているため、開催可能性は以前より低下しているという。

    このほか、トルコのイスタンブール・パークや、すでに2026年カレンダーへ組み込まれているサーキットでダブルヘッダーを実施する案も検討対象となっている。

    2026年カレンダーはすでに大幅変更
    F1は2026年シーズン序盤にも中東情勢の影響を受け、大幅な日程変更を余儀なくされた。

    バーレーンGPとサウジアラビアGPはシーズン途中で中止となり、当初24戦だったカレンダーは22戦へ縮小。その後、マレーシアGP復活という異例の措置により、セパンで10月2日から4日に「バーレーンGP」として開催されることが決定した。

    このレースは「フォーミュラ1 ガルフ・エア・バーレーンGP・イン・マレーシア」の名称で実施され、アゼルバイジャンGP、シンガポールGPと合わせたアジア3連戦を構成する。

    この追加によって2026年シーズンは23戦へ戻ったものの、WECが中東ラウンドの中止を正式決定したことで、F1もシーズン最終盤の開催について慎重な判断を迫られる状況となっている。

    現時点でF1から変更は発表されていないが、今後の地域情勢次第では、シーズン最終2戦の開催地が変更される可能性も残されている。

  • WEC第4戦サンパウロ6時間 BMWが今季2勝目 ケビン・マグヌッセン組が制す

    WEC第4戦サンパウロ6時間 BMWが今季2勝目 ケビン・マグヌッセン組が制す

    2026年FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦「サンパウロ6時間レース」がブラジル・インテルラゴスで開催され、#15 BMW M Hybrid V8が総合優勝を飾った。BMWにとっては今季4戦で2勝目となる。

    ケビン・マグヌッセン、ラファエレ・マルチェッロ、ドリス・ファントールの3人がドライブした#15 BMWは、王者フェラーリAFコルセの#51 フェラーリ 499Pとの激しい首位争いを制し、伝統のインテルラゴスで勝利を手にした。

    BMWがフェラーリとの接戦を制して優勝
    レース終盤まで続いた優勝争いでは、ジェームズ・カラド、アントニオ・ジョビナッツィ、アレッサンドロ・ピエール・グイディが乗る#51 Ferrari AF Corse 499PがBMWを猛追。しかし、BMWクルーは最後までリードを守り切り、シーズン2勝目を挙げた。

    総合3位には、ポールポジションからスタートした#12 キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAが入賞。ウィル・スティーブンスとノーマン・ナトが表彰台を獲得した。

    LMGT3はコルベットが制覇
    LMGT3クラスでは、フォード・マスタング、コルベット、BMW、メルセデスAMG、ポルシェが入り乱れる白熱したトップ争いが展開された。

    最終的に勝利を手にしたのは、サリフ・ヨルチュ、チャーリー・イーストウッド、ピーター・デンプシーがドライブする#81 レーシング・チーム・ターキー by TF コルベット。激戦を制し、クラス優勝を果たした。

    クラス2位にはパーカー・トンプソン、アンソニー・マッキントッシュ、ダニエル・ハーパー組の#69 Team WRT BMWが入り、3位はリヒャルト・リエツ、リカルド・ペラ、ヤセル・シャヒーン組の#92 Manthey Porscheとなった。


    2026 WEC第4戦 サンパウロ6時間 決勝結果

    ■ ハイパーカー
    1位 #15 BMW M Hybrid V8(ケビン・マグヌッセン/ラファエレ・マルチェッロ/ドリス・ファントール)
    2位 #51 Ferrari AF Corse 499P(ジェームズ・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ/アレッサンドロ・ピエール・グイディ)
    3位 #12 Cadillac Hertz Team JOTA(ウィル・スティーブンス/ノーマン・ナト)

    ■ LMGT3
    1位 #81 Racing Team Turkey by TF Corvette(サリフ・ヨルチュ/チャーリー・イーストウッド/ピーター・デンプシー)
    2位 #69 Team WRT BMW(パーカー・トンプソン/アンソニー・マッキントッシュ/ダニエル・ハーパー)
    3位 #92 Manthey Porsche(リヒャルト・リエツ/リカルド・ペラ/ヤセル・シャヒーン)

    BMWはインテルラゴスで今季2勝目を挙げ、ハイパーカー選手権争いで存在感をさらに高めた。一方、LMGT3では複数メーカーによる激しい戦いの末、TFコルベットが価値あるクラス優勝を手にした。

  • ランド・ノリス マクラーレンWECマシン「MCL-HY」をグッドウッドで初走行

    ランド・ノリス マクラーレンWECマシン「MCL-HY」をグッドウッドで初走行

    マクラーレンは2026年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで数々の注目イベントを披露したが、その中でも大きな話題となったのがランド・ノリスによる特別なデモランだった。

    2026年のF1でタイトル防衛に挑むノリスは、新たな技術レギュレーションの下でメルセデスやフェラーリに後れを取る苦しいシーズンを過ごしている。しかし、グッドウッドでは大勢のファンから温かい声援を受けながらヒルクライムに挑んだ。

    ただし、ノリスがドライブしたのはF1マシンではなかった。

    マクラーレンが2027年からFIA世界耐久選手権(WEC)のハイパーカークラス参戦に向けて開発を進める新型マシン「MCL-HY」のステアリングを握り、初めて一般公開の場で走行を披露した。

    ジェームズ・バークレー代表のもとで進められているマクラーレンのWECプロジェクトは着実に準備が進められており、来季の参戦に向けた実力派ドライバーラインアップもすでに発表されている。

    その一方で、今回のグッドウッドではWECドライバーではなく、F1世界王者のノリスがMCL-HYをドライブする役目を担った。

    パパイヤカラーをまとった新型ハイパーカーは、多くの観客が見守る中で名物ヒルクライムを駆け上がり、マクラーレンの新たな挑戦を印象づける走行となった。

    今回のデモランは、F1で苦戦を強いられる一方で、マクラーレンが2027年のWEC参戦に向けた新プロジェクトを着実に前進させていることをファンに示す機会となった。


    【関連】
    ・マクラーレンF1の幻のマシン「MP4/8 ランボルギーニV12仕様」が初の公開走行

  • 中嶋一貴がトヨタのル・マン制覇を総括「勝ったのは7号車だけではない」

    中嶋一貴がトヨタのル・マン制覇を総括「勝ったのは7号車だけではない」

    TOYOTA GAZOO Racing Europe(TGR-E)の副社長を務める中嶋一貴が、2026年のル・マン24時間レースで7号車GR010 HYBRIDが総合優勝を果たしたことを受け、チーム公式サイトを通じてメッセージを発表した。

    中嶋一貴は、ドライバーやチームスタッフだけでなく、ライバルチームや大会関係者、そしてファンへの感謝を述べるとともに、今回の勝利を「人の力で勝ち取った勝利」と表現。

    さらに、TOYOTA RACINGが掲げる新たな哲学「For the Engineering Race」についても語り、その意義を強調した。

    「誰も諦めなかった」4年ぶりのル・マン制覇
    7号車のマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ニック・デ・フリース組は、予選14番手から追い上げ、2022年以来4年ぶりとなるル・マン24時間レース総合優勝を達成した。

    中嶋一貴は厳しい戦いだったことを振り返りながら、チーム全員の努力を称賛した。

    「今年のル・マンは決して楽なレースではありませんでした。予選は14位と15位。決して有利な位置からのスタートではありませんでした」

    「そこから仲間たちは知恵を出し合い、勇気を持って決断し、一歩ずつ前へ進みました。苦しい場面もありました。流れを失うこともありました。思いどおりにならないこともありました。それでも誰も諦めませんでした」

    また、中嶋一貴は今回の勝利が単なる速さだけによるものではないと強調した。

    「エンジニアは知恵を絞り続けました。メカニックは最後までクルマを信じ続けました。ドライバーは限界のその先まで挑戦し続けました。そしてチーム全員が、お互いを支えながら24時間を戦い抜きました」

    「今日の勝利は、速さだけで勝ち取ったものではありません。人の力で勝ち取った勝利です」

    「勝ったのは7号車だけではない」
    中嶋一貴は今回の勝利について、総合優勝を果たした7号車だけでなく、3位表彰台を獲得した8号車や、それを支えた全てのスタッフによる成果だと語った。

    「そして今日、優勝したのは7号車ですが、勝ったのは1台ではありません」

    「7号車と8号車。そして2台のTR010 HYBRIDを支えたすべての仲間たちです」

    「ドライバー。エンジニア。メカニック。スタッフ。誰ひとり欠けても、この結果はありませんでした」

    「私は、この勝利はTOYOTA RACING全員で勝ち取った勝利だと思っています」

    さらにBMW、キャデラック、フェラーリなど最後まで優勝を争ったライバル勢にも敬意を表した。

    「BMW、キャデラック、フェラーリをはじめ、最後まで本気で戦ってくださったライバルの皆様。皆さんがいたからこそ、この勝利には価値があります」

    トヨタ ル・マン24時間

    新たな哲学『For the Engineering Race』
    中嶋一貴はメッセージの後半で、TOYOTA RACINGが掲げる新たなフィロソフィーについても言及した。

    「GRが『もっといいクルマづくり』を追い続けるなら、私たちTOYOTA RACINGは、もっといい技術をつくりたい。もっといいパワートレーンをつくりたい」

    「もっと速く。もっと強く。もっと効率よく。限界のその先を目指したい」

    その上で、ル・マンを単なるレースではなく技術開発の最前線と位置付けた。

    「ル・マンはレースです。でも私たちにとっては、それ以上に技術開発の最前線です」

    「エンジン。ハイブリッド。燃料。ソフトウェア。制御。空力。そして人づくり。そのすべてが競争です。そのすべてが挑戦です」

    そして、その思想を象徴する言葉として次のメッセージを掲げた。

    「だから私たちTOYOTA RACINGは、新しいフィロソフィーとして、『For the Engineering Race』という言葉を掲げています」

    「レースのために技術を磨く。技術のためにレースをする。勝利のためだけではなく、技術者たちが世界一を目指せる舞台としてレースに挑む。それがTOYOTA RACINGです」

    モリゾウ会長へのメッセージも
    最後に中嶋一貴は、東京オートサロンで豊田章男会長(モリゾウ)と交わしたやり取りにも触れた。

    「今日は約束どおり、TOYOTA RACINGがル・マンで勝利しました」

    「残念ながら、トロフィーはまだフランスにあります。ですので今日のところは、オートサロンで宣言したように『叩きつける』ことができません。でも、必ず日本へ持ち帰ります。覚悟しておいてください」

    その一方で、本当に見てもらいたいものは優勝トロフィーではないと語る。

    「あなたが育てた仲間たちが、自分たちで考え、自分たちで決断し、自分たちで挑戦し、自分たちで勝てるチームになったことです」

    そして最後は、TOYOTA RACINGの未来への期待を込めてメッセージを締めくくった。

    「私たちが日本へ持ち帰るのは、優勝トロフィーだけではありません。TR010 HYBRIDに込めた技術者たちの意地です。現場で汗を流した仲間たちの挑戦です。そしてTOYOTA RACINGという新しいチームの可能性です」

    「そのすべてを持って、あなたに報告に行きます。その時は、ぜひ受け取ってください」

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    ・ル・マン24時間:トヨタが4年ぶり総合優勝 小林可夢偉組7号車が悲願達成

  • BMW ル・マン24時間でポール獲得 キャデラック降格で繰り上がり

    BMW ル・マン24時間でポール獲得 キャデラック降格で繰り上がり

    BMWは、2026年のル・マン24時間レースでトップクラス初のポールポジションを獲得した。ハイパーポール2で最速タイムを記録したのはNo.38キャデラック・ハーツ・チームJOTAだったが、セッション後にベストタイムを抹消され、No.15 BMW WRTが繰り上がりでポールを手にした。

    No.38キャデラックは、ジャック・エイトケンが最後のアタックで3分23秒078を記録し、No.15 BMWをわずか0.005秒差で上回った。

    キャデラックは昨年もJOTAのNo.12でポールを獲得しており、2年連続のル・マン24時間ポールとなるはずだった。

    しかし、No.38はポール獲得を祝った後、セッション後の裁定でベストラップを削除された。理由は現時点で明らかにされていない。この結果、No.38は10番手に降格し、ドリス・ヴァントール、ケビン・マグヌッセン、ラファエレ・マルチェッロが乗るNo.15 BMW WRTがポールポジションを引き継いだ。

    わずか0.005秒で決まった暫定ポール
    ハイパーポール2では、No.15 BMW WRTが序盤から主導権を握った。ドリス・ヴァントールは3分22秒745を記録し、その後さらに3分22秒559まで更新。セッション終盤まで首位を守り、一時は後続に1秒以上の差をつけていた。

    だが、最後のアタックでNo.38キャデラックのジャック・エイトケンが最終セクターをまとめ、BMWを0.005秒だけ上回った。僅差でポールを奪ったかに見えたキャデラックだったが、セッション後のタイム抹消により、その結果は覆った。

    BMWにとってトップクラス初の快挙
    No.15 BMW WRTのポールは、BMWにとってル・マン24時間トップクラスで初のポールポジションとなる。さらに、元F1ドライバーのケビン・マグヌッセンにとっても、ル・マンのトップクラスで初のポール獲得となった。

    No.12キャデラックは2番手に繰り上がり、No.35アルピーヌが3番手。もう1台のWRT BMWが4番手に入り、No.101 WTRキャデラックが5番手となった。

    デビュー戦となるNo.19ジェネシス・マグマ・レーシングは6番手。アストンマーティンのNo.009が7番手に入り、No.51フェラーリと姉妹車のジェネシスが続いた。

    フェラーリとトヨタは苦戦
    過去3年のル・マンを制しているフェラーリにとっては厳しい予選となった。ファクトリーのNo.51 499Pはジェームス・カラドがハイパーポール2を担当したが、キャデラックの降格後でも8番手にとどまった。

    アントニオ・フォコが走らせたNo.50フェラーリは12番手。前年優勝車のNo.83 AFコルセ・フェラーリは、水曜日の予選で敗退しており、17番手から決勝をスタートする。

    トヨタもハイパーポール1で流れをつかめず、No.7の小林可夢偉が14番手、No.8の平川亮が15番手。決勝では後方から追い上げる展開を強いられる。

    LMP2とLMGT3のポール
    LMP2クラスではNo.29パニス・レーシングがポールポジションを獲得した。

    LMGT3クラスでは、No.27ハート・オブ・レーシングのアストンマーティンがクラストップとなった。

    ル・マン24時間レース

    2026年 ル・マン24時間レース 決勝スターティンググリッド(ペナルティ反映後)
    ■ ハイパーカークラス
    1.No.15 BMW M Team WRT(BMW M Hybrid V8)
    2.No.12 Cadillac Hertz Team Jota(Cadillac V-Series.R)
    3.No.35 Alpine Endurance Team(Alpine A424)
    4.No.20 BMW M Team WRT(BMW M Hybrid V8)
    5.No.101 Cadillac WTR(Cadillac V-Series.R)
    6.No.19 Genesis Magma Racing(Genesis GMR-001 Hypercar)
    7.No.009 Aston Martin THOR Team(Aston Martin Valkyrie)
    8.No.51 Ferrari AF Corse(Ferrari 499P)
    9.No.17 Genesis Magma Racing(Genesis GMR-001 Hypercar)
    10.No.38 Cadillac Hertz Team Jota(Cadillac V-Series.R)
    11.No.007 Aston Martin THOR Team(Aston Martin Valkyrie)
    12.No.50 Ferrari AF Corse(Ferrari 499P)
    13.No.13 Alpine Endurance Team(Alpine A424)
    14.No.7 Toyota Racing(Toyota TR010 Hybrid)
    15.No.8 Toyota Racing(Toyota TR010 Hybrid)
    16.No.93 Peugeot TotalEnergies(Peugeot 9X8)
    17.No.83 AF Corse(Ferrari 499P)
    18.No.94 Peugeot TotalEnergies(Peugeot 9X8)

    ■ LMP2クラス
    19.No.29 Panis Racing(ORECA-Gibson)【LMP2ポール】
    20.No.28 IDEC Sport(ORECA-Gibson)
    21.No.24 Nielsen Racing(ORECA-Gibson)
    22.No.43 Inter Europol Competition(ORECA-Gibson)
    23.No.4 CrowdStrike Racing by APR(ORECA-Gibson)
    24.No.30 Duqueine Team(ORECA-Gibson)
    25.No.14 TDS Racing(ORECA-Gibson)
    26.No.99 AO by TF(ORECA-Gibson)
    27.No.183 AF Corse(ORECA-Gibson)
    28.No.343 Inter Europol Competition(ORECA-Gibson)
    29.No.22 United Autosports(ORECA-Gibson)
    30.No.222 United Autosports(ORECA-Gibson)
    31.No.26 Vector Sport(ORECA-Gibson)
    32.No.37 CLX Motorsport(ORECA-Gibson)
    33.No.9 Proton Competition(ORECA-Gibson)
    34.No.44 Proton Competition(ORECA-Gibson)
    35.No.25 Algarve Pro Racing(ORECA-Gibson)
    36.No.48 RD Limited(ORECA-Gibson)
    37.No.3 DKR Engineering(ORECA-Gibson)

    ■ LMGT3クラス
    38.No.27 Heart of Racing(Aston Martin Vantage AMR LMGT3)【LMGT3ポール】
    39.No.21 AF Corse(Ferrari 296 LMGT3 Evo)
    40.No.87 Akkodis ASP(Lexus RC F LMGT3)
    41.No.78 Akkodis ASP(Lexus RC F LMGT3)
    42.No.32 WRT(BMW M4 LMGT3 Evo)
    43.No.69 WRT(BMW M4 LMGT3 Evo)
    44.No.74 Kessel Racing(Ferrari 296 LMGT3 Evo)
    45.No.23 Heart of Racing(Aston Martin Vantage AMR LMGT3)
    46.No.91 Manthey DK Engineering(Porsche 911 GT3 R LMGT3)
    47.No.77 Proton Competition(Ford Mustang LMGT3)
    48.No.88 Proton Competition(Ford Mustang LMGT3)
    49.No.62 Iron Lynx(Mercedes-AMG LMGT3)
    50.No.61 Iron Lynx(Mercedes-AMG LMGT3)
    51.No.54 AF Corse(Ferrari 296 LMGT3 Evo)
    52.No.92 Manthey Racing(Porsche 911 GT3 R LMGT3)
    53.No.10 Garage 59(McLaren 720S LMGT3 Evo)
    54.No.33 TF Sport(Corvette Z06 LMGT3.R)
    55.No.79 Iron Lynx(Mercedes-AMG LMGT3)
    56.No.150 Richard Mille AF Corse(Ferrari 296 LMGT3 Evo)
    57.No.57 Kessel Racing(Ferrari 296 LMGT3 Evo)
    58.No.59 Racing Spirit of Le Mans(Aston Martin Vantage AMR LMGT3)
    59.No.58 Garage 59(McLaren 720S LMGT3 Evo)
    60.No.2 TF Sport(Corvette Z06 LMGT3.R)
    61.No.13 13 Autosport(Corvette Z06 LMGT3.R)
    62.No.34 Race Team Turkey by TF(Corvette Z06 LMGT3.R)

    ■ クラス別ポールポジション
    ・ハイパーカー:No.15 BMW M Team WRT(BMW M Hybrid V8)
    ・LMP2:No.29 Panis Racing(ORECA-Gibson)
    ・LMGT3:No.27 Heart of Racing(Aston Martin Vantage AMR LMGT3)

  • マクラーレン 2027年WEC参戦ハイパーカー「MCL-HY」発表 ル・マン復帰へ

    マクラーレン 2027年WEC参戦ハイパーカー「MCL-HY」発表 ル・マン復帰へ

    マクラーレンは、2027年のFIA世界耐久選手権(WEC)およびル・マン24時間レースに投入するFIAハイパーカー「MCL-HY」を発表した。2026年に本格的なテストプログラムを開始し、冬のホモロゲーション取得を経て、2027年のWECデビューを目指す。

    MCL-HYは、マクラーレンがF1、インディカーに続き、世界最高峰の耐久レースへ再び挑むためのマシンとなる。

    同時に、VIP顧客向けの超限定トラックカー「MCL-HY GTR」のベースにもなり、マクラーレンのレース活動と市販車部門を結ぶ象徴的なプロジェクトとして位置づけられている。

    ル・マン復帰を告げるMCL-HY
    マクラーレンが発表したMCL-HYは、ACO/IMSAのLMDhレギュレーションに基づいて開発されるFIAハイパーカーだ。軽量カーボンファイバー製モノコックを採用し、パワーユニットにはツインターボV6レーシングエンジンとハイブリッドMGUシステムを組み合わせる。

    最高出力は最大520kW(707PS)で、駆動はリアアクスルに伝えられる。最低重量は1,030kgとされ、FIA世界耐久選手権とル・マン24時間レースで求められる性能と効率の両立を狙って開発されている。

    2026年のテストプログラムでは、マクラーレン・ハイパーカー・チームのワークスドライバーであるミケル・イェンセンに加え、マクラーレン・ドライバー・デベロップメント・プログラムのグレゴワール・ソーシーとリチャード・フェルシュホーが参加する。さらに、ユナイテッド・オートスポーツのベン・ハンリーも開発経験をチームにもたらす。

    マクラーレン MCL-HY

    M6Aに着想を得たテストカラー
    発表されたMCL-HYは、2026年用のテストリバリーをまとって公開された。そのデザインは、ブルース・マクラーレンがかつてル・マン参戦を夢見たM6GTの源流にあたるマクラーレンM6Aから着想を得ている。

    マクラーレンにとってスポーツカーレースは、1960年代後半から1970年代前半のCan-Amでの支配的な活躍、そして1995年ル・マン24時間レースでのマクラーレンF1 GTRによる伝説的勝利に連なる重要な歴史だ。

    今回のMCL-HYは、その系譜を受け継ぐだけでなく、マクラーレンが再びモナコGP、インディ500、ル・マン24時間レースから成るモータースポーツのトリプルクラウンに挑むための新たな一歩となる。

    ハイブリッドを外した顧客向けMCL-HY GTR
    MCL-HYをベースにしたトラックカー仕様のMCL-HY GTRも、レースカーと並行して開発されている。こちらはFIAハイパーカーで義務づけられるLMDhハイブリッドシステムを搭載せず、2.9リッターV6ツインターボ・レーシングエンジンのみで駆動する。

    これにより乾燥重量を抑えつつ、出力は約730PSに達する。マクラーレンはこの仕様について、顧客がより純粋なトラック走行体験を得られるよう、複雑さを減らし、所有しやすさを重視した選択だとしている。

    MCL-HY GTRのオーナーには、単なる車両所有を超えたプログラムも用意される。Project: Enduranceでは、WEC参戦チームのテストと開発、そして2027年ル・マン24時間レースへ向かう過程に参加できる。

    さらに、2年間で6イベントのトラック走行プログラムも組み込まれ、主要国際サーキットでの走行、PURE McLarenイベントでのドライブ、プロドライバーによるコーチング、専属ピットクルー、レースエンジニアリングサポートが提供される。MCL-HY GTRの納車は2027年末に開始される予定だ。

    マクラーレン ル・マン24時間レース

    ザク・ブラウン「3つの世界最高峰シリーズに挑む」
    マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、MCL-HYの発表について次のように語った。

    「何年も、何か月もかけて準備してきて、ついにMCL-HYを世界に披露するところまで来た。マクラーレン・レーシングには今、世界最大級のモータースポーツシリーズに挑む3台のレースカーがそろっている。F1、インディカー、そしてWECだ」

    「これは、マクラーレン、そのパートナー、そしてファンが、モナコGP、インディ500、ル・マン24時間レースというトリプルクラウンにともに挑めることを意味している。我々を際立たせる、唯一無二のクロスシリーズの物語だ」

    マクラーレン・オートモーティブCEOのニック・コリンズは、顧客向けプログラムについて次のように述べた。

    「これはマクラーレンの歴史において非常にエキサイティングな瞬間であり、Project: Enduranceプログラムを通じてこの新たな旅を始められることをうれしく思っている。MCL-HY GTRは、トラック走行を愛する人々に、これまでにないほど身近なFIAハイパーカー体験を提供する」

    「この旅に参加する人々は、マクラーレンの最高の部分を見て、感じることになる。そして、我々のレーシングヘリテージがこれまで以上に未来を形づくっていることを知るはずだ」

    マクラーレン・エンデュランス・レーシングのエグゼクティブディレクターであり、マクラーレン・ハイパーカー・チーム代表を務めるジェームス・バークレーは、次のように語った。

    「MCL-HYの発表は、マクラーレンがスポーツカーレースの頂点へ戻る次章の幕開けを示すものだ。1960年代のCan-Amのルーツを反映し、敬意を払ったテストリバリーから、世界最高水準のチームによって設計・開発されている新しいハイブリッド搭載ハイパーカー、そして1995年のマクラーレンF1 GTRのように、我々の顧客をル・マン総合優勝を目指すマシンのドライビングシートへ戻すトラックカープログラムまで、すべてがつながっている」

    「これは、我々の旅の始まりを意味している」

  • マクラーレン WEC復帰ハイパーカー「MCL-HY」と命名 2027年ル・マン挑戦へ

    マクラーレン WEC復帰ハイパーカー「MCL-HY」と命名 2027年ル・マン挑戦へ

    マクラーレン・レーシングは、2027年からFIA世界耐久選手権(WEC)とル・マン24時間レースの総合優勝争いに復帰するハイパーカーの名称を「MCL-HY」と発表した。

    同時に、サーキット専用車「MCL-HY GTR」と、マクラーレンのスポーツカーレース最高峰復帰に特別アクセスできるトラックデイプログラム「Project: Endurance」も明らかにされた。

    F1由来の命名規則をハイパーカーにも採用
    MCL-HYは、マクラーレン・レーシングがF1で使用してきた「MCL」の接頭辞に、ハイパーカーを示す「HY」を組み合わせた名称となる。

    これは、マクラーレンがモータースポーツ最高峰カテゴリーで統一されたブランドアイデンティティを打ち出す狙いを持つものだ。

    MCL-HY GTRはル・マン制覇の系譜を継承
    サーキット専用仕様となるMCL-HY GTRについて、マクラーレン・オートモーティブは歴史ある名称を採用した。

    「MCL-HY GTRは、1995年にル・マンで総合優勝を果たしたマクラーレンF1 GTRから始まり、その後のマクラーレンP1 GTR、マクラーレン・セナGTRへと続いた系譜を誇りを持って受け継ぐものだ」とマクラーレン・オートモーティブのチーフ・コマーシャル・オフィサー、ヘンリック・ウィルヘルムスマイヤーは述べた。

    「このバッジは、マクラーレンを定義する瞬間を意味している。MCL-HY GTRによって、我々は最も焦点を絞り、本物で、妥協のないトラックカーの次章を書いている」

    5月4日に2027年型レースカーを正式公開
    今回の発表は、2027年型レースカーとそのサーキット専用仕様の正式公開に先立つものだ。両車はマクラーレン・レーシングとマクラーレン・オートモーティブの緊密な協力によって開発されている。

    「マクラーレンの名をスポーツカーレースの頂点へ戻すことは大きな節目であり、マクラーレン・レーシングとマクラーレン・オートモーティブの全員にとって、素晴らしい系譜を持つマクラーレンのレーシングカーに続く新しいハイパーカーの名称を共有できるのは誇らしい時だ」とマクラーレン・エンデュランス・レーシングのエグゼクティブディレクター、ジェームス・バークレーは語った。

    「我々はスポーツカーレースの黄金時代にあり、ハイパーカーカテゴリーは引き続き非常に成功している。そして、我々の新しい車名はそれに敬意を示すものだ。我々の開発車両MCL-HYは、最初のロールアウトに先立ち、非常にクールなテストカラーリングで公開される」

    マクラーレンは、1995年にF1 GTRでル・マン24時間レースを制した歴史を持つ。MCL-HYという名称は、その伝統を継承しながら、F1、WEC、ル・マンを横断する現代のマクラーレン・モータースポーツ戦略を象徴するものとなる。

  • ローガン・サージェント WECで再出発「F1時代の評価は気にしない」

    ローガン・サージェント WECで再出発「F1時代の評価は気にしない」

    ローガン・サージェントは、F1での不本意な終幕を経て表舞台から姿を消していたが、2026年はフォードの一員としてWECに復帰した。ウイリアムズから2024年シーズン途中で外れて以降、しばらくレースから離れていたアメリカ人ドライバーは、いま外部の評価に左右されることなく新たなキャリアを歩み始めている。

    今季はGTカテゴリーでWECの全8戦に参戦し、来季にはフォードのハイパーカープログラムでフルタイムドライバーを務める予定だ。

    F1時代には厳しい視線にさらされたサージェントだが、いま本人の口から語られるのは、証明への執着ではなく、自分の意思でレースを続けるという静かな決意だった。

    F1を離れた時間が気持ちを整えた
    イモラのWEC開幕戦で、サージェントはフォードのGTファクトリーチームとして実質的に機能しているプロトン・コンペティションのガレージにいた。F1を離れてからの時間について、サージェントは率直にこう語っている。

    「この2年間? ビーチで座ってリラックスしていた」

    「友人や家族と過ごして、フロリダらしい暮らしをしていた。すべてから少し離れる時間を持てたのはよかったし、主に友人や家族と過ごすための時間だった。家族がアメリカに戻ってきてから、長い期間ずっと一緒にいることは長いあいだなかった。だから皆とそういう時間を過ごせたのは本当によかった」

    2024年の夏にウイリアムズのシートを失って以降、サージェントは表立った活動が少なく、SNS上の様子からはこのままレースに戻らないようにも見えた。しかし本人の中では、完全に競技を離れるつもりだったわけではなかったようだ。

    「いずれ戻るだろうとはずっと思っていた。でも、自分の気持ちが自然にどう向かうかに任せようと思っていた。もし戻りたいと思わなければ戻らなかっただろう。でも、もちろん自然とまたそこに戻っていった。それは自分でもそうなると思っていたことだった」

    インディカーではなく耐久レースを選んだ理由
    気持ちを整理し、新たなマネージャーも加わったことで、サージェントには再び複数の選択肢が生まれた。そのなかで本人が選んだのが耐久レースだった。

    「他の選択肢は実際のところインディカーくらいだったけど、それにはあまり興味がなかった。2021年に一度、耐久レースのパドックで時間を過ごしたことがあった」

    「その雰囲気が自分に合うと分かっていた。チームメイトと一緒に協力しながらひとつの目標に向かっていくところがいいと思う。雰囲気ももっと落ち着いていて、それがいい。F1のように常に魚鉢の中にいるような感覚はない」

    F1のような強い注目を集める環境から一歩引き、より協調性のあるカテゴリーへ移る決断は、サージェントにとって自然な流れだったようだ。IMSAでの2戦を経て、ほどなくしてフォードとの契約がまとまり、WEC参戦へとつながった。

    高ダウンフォース車とは異なる難しさ
    今季サージェントが駆るのは、近年まで慣れ親しんできたオープンホイールやLMP2とは大きく異なるフォード・マスタングだ。マシンの性格の違いについても、本人は率直に認めている。

    「確かにかなり違う。僕はハイダウンフォースのクルマやLMP2を運転してきた。ハイパーカーには乗ったことがないけど、たぶんプロトタイプに近い感覚なんだと思う。正直に言えば、楽しいよ。運転していて面白いクルマだし、とても難しくて、しかもかなり違う」

    「正直に言えば、ハイダウンフォースのクルマほど自分に合っているとは思わない。僕たちはオープンホイールやダウンフォースのあるクルマで育ってきたし、もちろんできる限り適応はする。でも、やっぱりダウンフォースがある方がいつも快適に感じる。ノルドシュライフェ? 将来的にはあるかもしれないけど、今すぐということではない」

    ここには、F1やジュニアカテゴリーで培った感覚がそのまま通用するわけではない耐久レースの現実がある。同時に、自分にとって何が得意で何が異なるのかを冷静に把握していることも伝わってくる。

    ローガン・サージェント

    来季ハイパーカー参戦へ向けた準備
    サージェントは来季、フォードのハイパーカークラスでフルタイムドライバーになる予定だ。今季をその準備期間と位置づけていることも明確にしている。

    「そのためのテストは、今年のどこかの時点で始まるのは明らかだ。今年は本当にWECを理解し、選手権を理解し、すべてのサーキットを走って、来年に向けてできる限り準備を整える年なんだ」

    F1では結果を急ぎ、短期間で評価される厳しさがあったが、いまのサージェントはより長い時間軸で自分のキャリアを組み立てようとしている。WECでの1年は、単なる復帰ではなく、次の本格挑戦への土台づくりでもある。

    外部の評価に証明するものはない
    もっとも印象的なのは、サージェントがもはや外部の視線に自分を縛られていないことだ。F1時代に浴びた批判についても、いまはまったく別の距離感で受け止めている。

    「まったくない。何を証明する必要がある?」

    「IMSAでLMP2に乗った3レースを見ればいい。1年も運転していなかったのに、あれはかなりうまくいった。だから、それがすべてを物語っていると思う。僕はいま、自分のために走っている。特に今はそうだ。外の世界が何を思おうと、まったく気にしない」

    「以前にそういうことは経験してきたし、もう自分にとって興味のあることではない。僕はフォードを代表して走るし、自分自身を代表して走る。でも同時に、いまここにいるのは自分がここにいたいからであって、もう必ずしもここにいる必要があるからではない」

    F1を去ったドライバーの物語は、しばしば“再起”や“復活”という言葉で語られる。しかし、サージェントが示しているのは、それとは少し異なる姿だ。誰かに認めさせるためではなく、自分が納得できる場所で、自分が望む形で走る。その静かなスタンスこそが、いまのローガン・サージェントの現在地なのかもしれない。

    Source: GPblog