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  • トヨタ:WEC 2016年 第5戦 メキシコ6時間レース プレビュー

    トヨタ:WEC 2016年 第5戦 メキシコ6時間レース プレビュー

    TOYOTA GAZOO Racingは今週末、FIA世界耐久選手権(WEC)初開催となる、メキシコでのシリーズ第5戦メキシコ6時間レースに向かう。

    メキシコの首都メキシコシティに位置する1周4.304kmのサーキットで、中嶋一貴とアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミの3名が駆るTS050 HYBRID #5号車と、小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイの3名がドライブする#6号車が、表彰台へと挑む。

    6名のドライバーのうち、ブエミ、サラザン、コンウェイの3名は、メキシコシティのサーキットの一部を既に経験済みだ。3名は3月に行われたフォーミュラEメキシコラウンドで、サーキットの一部を使用した2.14kmレイアウトでレースを戦い、ブエミは表彰台を獲得している。

    世界トップレベルの耐久レースがメキシコで最後に行われたのは1991年。世界スポーツカー選手権最終戦のひとつ前のレースとして行われた。トヨタはこのレースには出場しなかったが、その前年までにメキシコでのレースを2度経験している。

    1990年、世界スポーツカー選手権最終戦となったメキシコシティ480kmレースに、ジョニー・ダンフリーズ/ロベルト・ラバーリア組がトヨタ90C-V、ジェフ・リース/ジョン・ワトソン組がトヨタ89C-Vで出場したが、共にトラブルでリタイアに終わった。その前年にはダンフリーズ/ワトソン組が89C-Vで参戦し、予選では3番手を獲得するも決勝はリタイアに終わっている。

    戦いの舞台となるサーキットは、当時と同じアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスだが、コースは当時とは大きく変わった。このサーキット名は、レース中の事故で亡くなったメキシコ出身の名ドライバー、リカルドとペドロのロドリゲス兄弟にちなむ。エルマノスとはスペイン語で兄弟を意味する。

    旧コースレイアウトは長く、緩やかなバンク角のついた高速のペラルターダと呼ばれた最終コーナーが有名だったが、2015年のコース改修に伴いこの名物コーナーは姿を消した。改修された新コーナーは併設されている野球場の中を通過する。それ以外のレイアウトは、再舗装以外は旧コースを踏襲している。

    このコースは海抜2,285mという高地に位置し、WECの戦われるコースの中では最も標高が高い。高地による空気の薄さゆえ、グリップ確保のために超ハイダウンフォースの空力パッケージを必要とする。また、エンジンやハイブリッドシステムについても、通常よりも大きな容量の冷却システムが使用される。

    超ハイダウンフォースパッケージのTS050 HYBRIDは第4戦ニュルブルクリンクに投入されたが、5位、6位という結果に終わった。チームは、メキシコのコースに合わせた車両特性の最適化を目指して全力で改善作業を進めている。

    レースウィークは9月1日(木)の、2度にわたる4時間半の公式練習走行で幕を開ける。2日(金)は最終公式練習走行と予選が行われ、3日(土)の現地時間午後1時半(日本時間4日午前3時半)に6時間の決勝レースのスタートが切られる。

    佐藤俊男 (TOYOTA GAZOO Racingチーム代表)
    今週末のWEC第5戦メキシコは、シリーズ初開催であり、我々はもとよりWEC参戦全チームにとって新たなチャレンジとなります。また、メキシコのWECファンの方々にお会いできることをとても楽しみにしております。今シーズンのWECシリーズはここで中間点を迎え、レースは欧州内から世界への転戦が始まります。TS050 HYBRIDの力強い走りをお見せしたいと思いますし、それが出来るポテンシャルを持っていると確信しています。メキシコ戦には超ハイダウンフォース仕様の車両を持ち込む予定ですが、薄い空気ゆえに、高い最高速も期待できるものと予想しています。これほど標高が高いサーキットでTS050 HYBRIDを走らせるのは初めてであり、レースへの万全な準備に全力を尽くします。

    中嶋一貴 (TS050 HYBRID #5号車)
    ニュルブルクリンクのあと、メキシコまで充分な準備の時間が取れたことは良かったです。WEC初開催のコースということで、レイアウトの学習を続けて来ましたが、充分に準備は整ったと感じており、実際にコースを走るのが待ち切れません。メキシコのファンはとても熱狂的だと聞いており、素晴らしい雰囲気の中でレースが出来ると思います。彼らの前で素晴らしいレースを戦い、良い週末になることを願っています。

    アンソニー・デビッドソン (TS050 HYBRID #5号車)
    私はメキシコでのレースを戦ったことがありませんし、メキシコを訪れること自体が初めてで、この旅を前にとても興奮しています。メキシコのファンの素晴らしさも多く聞いており、最高の雰囲気の中でのレースをとても楽しみにしています。我々の#5号車の目標は最低でも表彰台獲得で、そのための競争力を期待しています。良いパフォーマンスを発揮すべく全力を尽くします。

    セバスチャン・ブエミ (TS050 HYBRID #5号車)
    新しいコースに挑戦出来るのは嬉しいことです。WECの舞台としてメキシコは素晴らしいコースだと思います。多くのモータースポーツの歴史を持ち、ファンも耐久レースについて良く知っています。私自身は今年の初めにメキシコを訪れており、コースの一部を体験しました。スタジアムセクションは特に素晴らしく、ファンも熱狂的でした。ニュルブルクリンクは我々にとってやや厳しいレースとなってしまいましたが、また上位を争える自信はあります。

    小林可夢偉 (TS050 HYBRID #6号車)
    メキシコは全てのチームにとって未体験のコースであり、面白い週末になるでしょう。薄い空気についても考慮しなくてはならず、レースカーやドライバーにどんな影響を及ぼすかも興味深い点です。我々のパフォーマンスはニュルブルクリンクよりは向上しているはずですが、正確な状況は走り出すまで分かりません。決勝レースへ向けて、完璧なレースカーを仕上げるために全力で作業を続け、表彰台争いが出来ればと思っています。

    ステファン・サラザン (TS050 HYBRID #6号車)
    シリーズに新たなコースでの一戦が加わるというのは、いつもとてもチャレンジングでエキサイティングです。練習走行では、このコースでTS050 HYBRIDがどのような反応をするか、詳細に多くのデータを収集する必要があり、忙しい週末になるでしょう。また、他のレースとは異なる要素として、標高の高さがあります。空気が薄いので、ドライバーにとってもタフなレースになるでしょうが、私自身は充分に準備が出来ています。この週末へ向け自信を感じていますし、上位を争いたいと思っています。

    マイク・コンウェイ (TS050 HYBRID #6号車)
    サーキットのフルコースを走れるのが楽しみです。素晴らしいコースで、メキシコのファンは本当にモータースポーツを楽しんでくれるので、特別なレースになるでしょう。あの標高でのレースを経験しており、何が起こるか分かっているので、それに対する準備という点で多少気は楽です。新しいコースに慣れるため、大変な週末になるでしょうが、準備は出来ており、ライバルとバトルが出来ることを望んでいます。

  • ポルシェ、ニュルブルクリンクで昨年の勝利を再現 / WEC 第4戦

    ポルシェ、ニュルブルクリンクで昨年の勝利を再現 / WEC 第4戦

    ポルシェの世界チャンピオンチームであるティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー/マーク・ウェバー組は、ニュルブルクリンクで開催されたWEC2016年シーズン第4戦の6時間レースで、昨年の勝利を再現した。

    919ハイブリッドによるこの優勝により、ポルシェはFIA世界耐久選手権のマニュファクチュアラー部門におけるリードを広げた。ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組は、4位となり、ドライバー部門の首位を守った。

    初開催となった2015年と同様に、今年のWECドイツ戦も成功のうちに幕を閉じた。58,000人の観衆が、好天に恵まれたアイフェル山脈のサーキットで、息を呑むようなモータースポーツを堪能した。

    ポルシェ919ハイブリッドにとって、この勝利はシルバーストンおよびル・マン戦に続く3回目の優勝となった。このプロトタイプは2014年にデビューしてから累計優勝回数が10回となり、ベルンハルト/ハートレー/ウェバー組にとっては5回目の勝利。現在、ポルシェは164ポイントでアウディ(129ポイント)とトヨタ(97ポイント)をリードしています。デュマ/ジャニ/リーブ組は、ドライバー部門で2位に33ポイント差をつけてリードしている。

    カーナンバー1のレース展開:
    スタート直後、ティモ・ベルンハルトはカーナンバー8のアウディを抜き、3位から2位にポジションを上げる。15周目以降、彼は首位を走るカーナンバー7のアウディにアタックするがオーバーテークには至らなかった。最初のピットストップの直前、カーナンバー1のポルシェがようやく先頭に出る。31周を終了した後のピットストップで、給油、タイヤ交換、ドライバー交代を行ったが、ポルシェのピットクルーは他のどのチームよりもすばやく作業を完了した。これによりブレンドン・ハートレーがレースをリードしたが、プレッシャーがかかる。45周目および48周目に、ハートレーは2台のアウディに先行され、3位に後退。チームはタイヤ空気圧の低下を検出し、予定より早いピットストップを指示する。53周を終了して、ハートレーはクルマをマーク・ウェバーに託した。ウェバーは86周走行後にトップでベルンハルトと交代。レース後半に突入した直後、3回目のフルコース・イエローが出され、この間に2台ともピットに入る。109周目からハートレーが再びステアリングを握る。この時点で、タイトルディフェンダー達は2位のポジションで走行していた。そして4回目のフルコース・イエローの間140周目にウェバーにドライバー交代し、首位に立つ。165周終了後、5回目のフルコース・イエロー中にベルンハルトがコックピットに乗り込む。194周でレースがフィニッシュとなり優勝を決めた。

    カーナンバー2のレース展開:
    スタート後ニール・ジャニは4位のポジションをキープ。22周目、第1コーナーで3位のカーナンバー8のアウディにアタックし、パスするかと思われたが、ブレーキングでリアのグリップを失い、コースアウト。しかし、ジャニは4位で走行を続けた。30周終了後、マルク・リーブにドライバー交代。もう1台の919ハイブリッドがスローパンクチャーでピットに戻り、2台のアウディが予定のピットストップを行うと、57周目にリーブが首位に立つ。62周を終え、彼はクルマをロマン・デュマに託す。91周終了後、カーナンバー2のドライバー達は2回目のフルコース・イエローのチャンスに恵まれ、再度ピットストップとドライバー交代を行う。その後、交代したジャニが首位をキープ。3回目のフルコース・イエロー中、108周走行後のピットストップから、リーブの悪夢のスティントが始まる。138周目、彼がGTE-Amクラスのポルシェ(カーナンバー88)を抜こうとした際、接触してしまう。139周目以降、ノーズコーンを付け替えたジャニは2位で走行を続けるが、ほどなく首位を奪還。147周終了後、彼は先の接触によるドライブスルーペナルティにより、3位に後退。156周目、ジャニはカーナンバー8のアウディのオーバーテークを試みるが、コースの外に押し出される。これにより、ジャニは2台のアウディに挟まれることになった。2位および3位のポジションを争う3台は、時折接触が発生するほどのスリリングなバトルを展開した。165周目に5回目のフルコース・イエローが出され、その間に次のピットストップを行った。172周後、運営側からリアの修理が指示され、予定にないピットストップを行った。ジャニがチェッカーまでドライブし、4位でフィニッシュした。

    レース後のコメント:

    ミヒャエル・シュタイナー (ポルシェAG 研究開発担当役員)
    「厳しいレースでしたが、私達は長い間戦ってきています。祖国での優勝をとても喜んでいます」

    フリッツ・エンツィンガー (LMP1担当副社長)
    「すばらしいの一言です。私達は過去10戦中9戦で勝利を飾っています。これには、ル・マン24時間レースでの2勝も含まれます。この結果を持って夏休みに入ることができます。これ以上望むことはありません。カーナンバー2は残念でした。この車両も十分に優勝を狙うことができるポジションでした。しかし、4位も立派な結果です。私達はすばらしいレースとモータースポーツの真髄を目の当たりにすることができ、今はメキシコ戦を愉しみにしています。それまで、ここニュルブルクリンクのチームとヴァイザッハのチームの全員がすばらしい休暇を過ごせるよう願っています]

    アンドレア・ザイドル (チーム監督)
    「サーキットとヴァイザッハのチームの全員が勝ち取った結果を誇りに思います。カーナンバー1のクルー達は、私達の919ハイブリッドのポテンシャルのすべてを引き出し、ほとんど問題も発生しませんでした。スローパンクチャーも、ピットストップの回数に影響しませんでした。残念だったのは、カーナンバー2が不運なアクシデントに見舞われ、トップを譲らざるを得なかったことです。私達は、マニュファクチュアラー部門でのポイント差を広げ、カーナンバー2のドライバー達も、ドライバー部門の貴重なポイントを稼ぎました。今シーズン3つ目となるエアロパッケージも今日のレースに間に合いました。その裏には大変な努力がありました。というのも、これはル・マンの準備と並行して進められたからです。そして、この新しいパッケージは、週末を通してその威力を発揮しました。私達のクルマは明らかにサーキットにおいて最速であり、この勢いに乗って今後の海外戦に臨みたいと思っています」

    ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー1)のドライバーコメント

    ティモ・ベルンハルト(35歳、ドイツ)
    「レース序盤、私は2位にポジションを上げることができ、トップにプレッシャーをかけ続けました。最初のスティントでは、2、3回、トップを走るアウディに並びかけました。一旦はオーバーテークしたのですが、GTクラスのトラフィックに集中していたためブレーキングポイントを逃し、アウディに抜かれてしまいました。2回目のスティントでは、ファステストラップを記録することができました。最終スティントも簡単ではありませんでした。私にとって、今日の勝利の味は格別です。これまで厳しい戦いで、それはここ故郷の地でも同じでしたが、チャンピオンシップ最初の3戦の不運を跳ね返す原動力となりました」

    ブレンドン・ハートレー(26歳、ニュージーランド)
    「ポルシェ、メカニック、エンジニア、ティモそしてマークに感謝しています。再び表彰台の頂点に立ったときの気分は最高でした。レース序盤は順調で、最初のピットストップではピットクルーによる素早い作業のおかげでトップのアウディを抜くことができました。その後はトラフィックに手こずり、スローパンクチャーにも見舞われてピットに予定より早く戻らなければなりませんでした。2回目のスティントは、もっと愉しむことができました。コースがクルマのバランスにとても合っているようでした。アウディを退けて首位に立つことができました」

    マーク・ウェバー(39歳、オーストラリア)
    「ポルシェが自国での優勝を果たすことができ、とても嬉しく思っています。手強いライバル達を相手に、すばらしい戦いをしました。今シーズン、苦戦を強いられていたカーナンバー1のメカニック達にとって、今日は最高の日となりました。マニュファクチュアラー部門のポイントを獲得することもできました。決勝当日のサーキットのコンディションは、それまでとはまったく異なりましたが、私はクルマのパフォーマンスおよび自分達のドライビングにとても満足しています。今日のレースは混乱気味で、フルコース・イエローでタイムをロスしました。これは、私の前のクルマがレギュレーションで規定された80 km/hを下回る速度で走行していたからです。そして、カーナンバー2はドライブスルーペナルティを課されてしまいました。我々はサーキットでアウディとすばらしいバトルをしていましたし、幾度かの接触もまったく気になりませんでした。私にとって今日一番大事だったのはアウディに勝つことでした」

    ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー1)のドライバーコメント

    ロマン・デュマ(38歳、フランス)
    「私はフルコース・イエロー直前にクルマに乗り込み、多少タイムをロスしました。これは、前を行くクルマが80 km/h以下で走行したからです。2回目のフルコース・イエローはよいタイミングで、私達にとって大きなチャンスとなりました。919は好調だったので、もう少しよい結果を期待していましたが、いずれにしてもチャンピオンシップのポイントを稼ぐことができました」

    ニール・ジャニ(32歳、スイス)
    「今日のレースで優勝する可能性も十分にありました。レース序盤は、あちこちでポジション争いが起こっていて、とても難しい局面でした。フルコース・イエローで首位に立ったときは、運が私達に味方してくれたと思いましたが、その後は見放されました。他車と接触した後はアウディに挟まれて難しい状況になりました。彼らをストレートでオーバーテークするのは、ほぼ不可能でした。私はブーストを一杯まで貯えましたが、それでもアウディの前に出ることはできませんでした。そして、大混戦が始まりました。いずれにしても4位は何も無いよりはましで、チャンピオンシップに向けてポイントは大歓迎です」

    マルク・リーブ(36歳、ドイツ)
    「トラフィックが難しいレースでした。サーキットでは遅いクルマに追い付くことは避けらないことなので、いつでも少なからず運に左右されるからです。私達のクルマは好調でした。私がドライブスルーペナルティを課されてしまい、チームに申し訳なく思っています。トラフィックの中ではよくある状況なのですが、正しい答えを出すか、間違った答えを出すか、決断を迫られている場面でした。私はギャップを利用しようとしましたが、その決断は間違っていました。彼がもう少し間隔を空けてくれるだろうと予想していました。十分に優勝を狙えたので悔しいですし、接触してしまったカーナンバー88に対しても申し訳ない気持ちで一杯です」

  • アウディ:WEC 第4戦 ニュルブルクリンク6時間 決勝レースレポート

    アウディ:WEC 第4戦 ニュルブルクリンク6時間 決勝レースレポート

    FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦、ニュルブルクリンク6時間レースに、予選1・2番手から臨んだ2台のAudi R18が、序盤からレースをリード。

    しかし、レース開始から3時間目に出されたコーションピリオドの影響が大きく、今シーズン2度目の優勝獲得の機会を失わざるを得なかったが、奮闘を続けた結果、2位と3位を獲得した。

    WECの2016年シーズン中もっとも魅力的なニュルブルクリンク大会には、58,000人もの大観衆が詰めかけた。

    今大会にアウディのゲストとして来場した、オリンピックゴールドメダリストのマリア ヘフィル リーシュがスタートフラッグを振った直後に、レースをリードしたのはAudi R18のゼッケン7号車を駆るマルセル ファスラー(スイス)だった。その後、オリバー ジャービス(イギリス)にドライバーチェンジした後も奮闘は続き、レース開始から2時間を経過した時点で、もう1台のAudi R18を従えてトップを維持していた。

    しかし、レース開始から3時間目に不運が訪れた。2台のAudi R18が共に3度目のピットストップを終えた直後に、コース上のアクシデントによってイエローフラッグが出された。一方、レギュレーションにより燃料タンク容量が多いポルシェはピットストップのタイミングをアウディ勢より遅く出来たため、コーションピリオドの間に大幅なアドバンテージを構築することが出来た。コーションピリオドが解除された時点で、トップのポルシェとの差は、ルーカス ディ グラッシ(ブラジル)が24秒、マルセル ファスラーは29秒に広げられていた。

    アウディモータースポーツ代表のDr. ヴォルフガング ウルリッヒは「我々は、ライバル達よりも優れたラップタイムで走行していましたが、不運にもコーションピリオドにより勝利のチャンスを失う結果となってしまいました」とコメント。

    このような状況であったにも関わらず、2組のアウディドライバー達は、勝利への執念を諦めることなく闘い続けた。ディ グラッシとロイック デュバル(フランス)、オリバー ジャービスの3人は、ゼッケン2号車のポルシェとの2番手争いで競り勝った。その結果、年間ドライバーズポイントで首位となっていたポルシェドライバー達との差を6ポイント埋めることに成功した。そしてアンドレ ロッテラー(ドイツ)が、同じくゼッケン2号車のポルシェとのテールtoノーズのバトルを制し、3位を獲得した。さらにマルセル ファスラーがファステストラップを記録したことで、Audi R18の優秀さが際だった週末となった。

    アウディスポーツLMPプロジェクトリーダーのDr. ウルリッヒ ステファン ドライヤーは「ライバルに大きくアドバンテージを取られた時も、決して諦めることなく闘いを挑み続けたドライバー達やチーム全員を、褒め称えたいと思います。今回のFIA WEC戦は、ドイツの皆様に耐久レースの醍醐味を改めて示すことで、多くのファンの皆様に感動的な体験を提供する素晴らしいレースとなりました。今日、我々は優勝獲得を目標としていました。サーキットに来ていた者だけでなく、ネッカーズルムで支援作業をしていた者を加えたすべてのチーム員は、素晴らしい仕事をしていました」とコメント。

    次回のFIA WECは8月のインターバル期間を経て9月3日に開催される。

    Audi WEC Nürburgring

  • トヨタ、実力発揮ならず無念の5位、6位フィニッシュ / WEC 第4戦

    トヨタ、実力発揮ならず無念の5位、6位フィニッシュ / WEC 第4戦

    7月24日(日)、FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ニュルブルクリンク6時間レースが行われ、TOYOTA GAZOO Racingの2台のTS050 HYBRIDは、5位と6位という残念な結果に終わった。

    第2戦スパ、第3戦ル・マンで見せたTS050 HYBRIDのパフォーマンスから、高い望みと共に挑んだ第4戦ニュルブルクリンク。しかし、レース序盤に選択したタイヤが路面状況に合わずタイムを失った。それ以降、上位を争うことは出来なかった。

    TS050 HYBRID #5号車は優勝したポルシェ#1号車から1周遅れの5位、#6号車はトラブルにも見舞われて修復に時間がかかり、4周遅れの6位に終わった。

    ニュルブルクリンク以降、今シーズン後半戦のレースへ向けて開発された超ハイダウンフォース仕様のTS050 HYBRIDのデビューは残念な結果となってしまったが、レース終盤のラップタイムで競争力を示せたのは次戦以降へ向けての励みとなった。

    5万8千人(週末合計)の観客が見守る中で、中嶋一貴とマイク・コンウェイの操る2台のTS050 HYBRIDは、高い路面温度を想定したタイヤを装着してレースのスタートを切った。第1スティント向けのタイヤコンパウンドは予選前に選択しなければならないが、チームは決勝日の路面温度を高く見積もり過ぎていた。

    アウディとポルシェが接近戦での首位争いを繰り広げる中、TOYOTA GAZOO Racingの2台は、スタートから90分を過ぎた時点で、首位から40秒以上引き離されての走行を余儀なくされた。

    このため、チームは2台に異なるコンパウンドのタイヤに換えることを選択。これにより状況は改善され、競争力を取り戻すことが出来たが、首位争いをするライバルとの差は手の届かないところまで開いてしまっていた。

    さらに、レースの折り返し直前には、アンソニー・デビッドソンのドライブしていた#5号車が、GTクラスの車両と接触し、車体前部を交換するために予定よりも早いピットインを強いられ、#5号車は順位を落とすこととなってしまった。

    レース前半に出された何度かのフルコースイエローによってもトップから離される結果になってしまった。中盤にかけて2台のTS050 HYBRIDは好ペースで周回を重ねていたが、#6号車がエンジン周辺部品の不具合のためピットで5分間に渡って修復を余儀なくされた。

    その時点から、チームの目標はトラブル無く最後まで走り切ることへと切り替えられ、それは達成された。

    次戦よりWECの舞台はヨーロッパ大陸を離れる。WEC第5戦は、初開催となるメキシコ6時間レース。オートドローモ・エルマノス・ロドリゲスで9月3日(土)に決勝レースが行われる。

    佐藤俊男 チーム代表
    激しい戦いの末に勝利を勝ち取ったポルシェに祝福を送ります。先頭争いは非常にエキサイティングでしたが、残念ながら我々はそこに加わることが出来ませんでした。レース序盤の速さが足りず、厳しい一日となってしまいました。レース途中からコンパウンドの違うタイヤに交換したことでペースを取り戻すことが出来、新しいパッケージのポテンシャルを示すことは出来ましたが、遅すぎました。パッケージの改良を進め、シーズン後半となる遠征戦には更に競争力を高め戻って来ます。

    中嶋一貴
    我々にとっては厳しいレースでした。タイヤ選択が鍵でしたが、それが上手く働きませんでした。とにかくこのコースに我々のTS050 HYBRIDは少し合っていなかったように感じました。しかし、路面に適合したタイヤを装着してからは感触も良く、ライバルと比較してのペースも悪くありませんでした。最善を尽くしましたが残念な結果に終わった今日のレースを反省し、次のレースでは上位争いが出来ることを願っています。

    アンソニー・デビッドソン
    レースを通してスピードが足りず、期待外れの結果で終わってしまいました。もっと良い戦いが出来ることを想定していましたし、一時的には速さを見せられたこともありましたが、レースを通してではありませんでした。コース上の混雑にも苦しめられ、運にも恵まれず、接触を喫してしまいました。ここから仕切り直し、初めてのコースである次戦メキシコでは上位へ復帰することを目標とします。

    セバスチャン・ブエミ
    スタート時のタイヤが路面に合っていなかったのですが、コンパウンドの異なるものに交換してからは好調でした。ライバルと比較して僅かにダウンフォースが足りない感覚があり、ハードなレースになると思っていましたが、予想以上に厳しいものになってしまいました。すぐに次戦へ向けての準備を開始し、メキシコでは勝負出来るレベルまで復帰しなくてはなりません。

    小林可夢偉
    もっと上位でのフィニッシュを期待していました。全力を尽くしましたが、結果は望み通りにはなりませんでした。トラブルを懸命な作業で修復し、コースに戻してくれたメカニックに感謝します。彼らは今日一日素晴らしい仕事をしてくれました。ニュルブルクリンクは我々に向いているサーキットとは言えませんでした。次戦メキシコへ向けて改良を進め、再び上位争いが出来ることを望んでいますし、チーム全員でその目標に向けて努力して行きます。

    ステファン・サラザン
    難しい週末でした。残念ながら我々は序盤戦で路面に合わないタイヤコンパウンドを選択してしまい、ラップタイムに影響してしまいました。タイヤを換えたことでパフォーマンスは改善しましたが、それでも望んでいたレベルには届きませんでした。期待していたパフォーマンスを発揮することが出来ず、ここニュルブルクリンクは、我々の新しいパッケージをもってしても難しいコースでした。これから我々は次戦メキシコの準備のために懸命に働かなくてはなりません。

    マイク・コンウェイ
    チームにとって厳しいレースでした。スタートから良いペースで走ることが出来ず、ペースを取り戻してからはトラブルに見舞われるなど、運にも見放されたレースでした。#5号車も苦戦を強いられるなど、全体的に上手く行かない週末でした。今シーズンの残りレースはもっと良いレースが出来ることを祈っています。

  • トヨタ:天候に翻弄され、2台のTS050 HYBRIDは3列目から決勝へ

    トヨタ:天候に翻弄され、2台のTS050 HYBRIDは3列目から決勝へ

    FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ニュルブルクリンク6時間レースの予選が行われた。TOYOTA GAZOO Racingの2台のTS050 HYBRIDは変わりやすい天候に翻弄され満足いくアタックが出来ず、5,6番手でグリッド3列目から明日の決勝レースに臨むこととなった。

    朝から断続的な雨に見舞われ、変わりやすいコンディションの中で、チームはタイヤチョイスやセッティングに悩まされる一日となった。

    午前中の公式練習第3回目は、霧のために予定より45分遅れで実施。ウェットコンディションで開始されたが、雨は止み、セッションが進むにつれてコースコンディションが改善していき、中盤以降はドライでの走行になった。2台のTS050 HYBRIDは、ライバル勢と遜色のないタイムを叩き出し、予選、決勝での走りにも期待がかかった。

    しかし、予選のグリーンライトが点灯する直前から軽い雨が降り始め、セバスチャン・ブエミと小林可夢偉がドライブする2台のTS050 HYBRIDは、インターミディエイト・タイヤで最初のアタックに向かった。しかし、雨はすぐに上がってコースのライン上は乾き始め、2台は共に1周のアタックの後すぐにピットへ戻り、ドライ仕様のタイヤへと交換した。

    同時にこのピットでブエミはアンソニー・デビッドソンへ、小林はステファン・サラザンへとドライバーを交代し、共にラップタイムを2秒以上更新した。

    WECの予選では、2人のドライバーそれぞれのベストタイムの平均でグリッドが決定されるため、ブエミと小林はドライタイヤで再度アタック。
    2人はインターミディエイト・タイヤでのタイムは更新したが、アタックラップ中に再び雨が降り始めて一気に路面コンディションが悪化。結局グリッドポジションを上げることは出来なかった。2台のTS050 HYBRIDは3列目から明日の6時間レースに臨むこととなる。

    決勝レースは、24日(日)の午後1時(日本時間・午後8時)にスタートが切られる。

    TS050 HYBRID #5号車:(中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ)
    公式練習第3回目:  2番手 (1分41秒293), 28周
    公式予選:  6番手 (平均1分40秒748)

    TS050 HYBRID #6号車:(小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)
    公式練習第3回目:  6番手 (1分42秒309), 30周
    公式予選:  5番手 (平均1分40秒639)

    アンソニー・デビッドソン
    複雑なコンディションでの困難な予選でした。ドライブするのも難しかったのですが、1周のアタックではコース上の混雑にも苦しみ、上位争いには加われませんでした。決勝レースこそが重要ですし、決勝でのペースには自信があります。

    セバスチャン・ブエミ
    天候のおかげで奇妙な予選となってしまいました。我々はタイヤ選択やセットアップの面で決勝レースに焦点を合わせていたので、予選でのパフォーマンスについては妥協せざるを得ませんでした。それが予選の結果に出てしまったということですが、でも少し残念です。

    小林可夢偉
    予選時のコンディションは簡単ではありませんでしたが、我々が狙っているのは予選ではありません。我々は決勝レースでのセットアップに集中しており、3列目グリッドはその結果と言えます。レースは別の展開になると思っていますし、力強いレースが出来ると思っています。

    ステファン・サラザン
    コースコンディションは非常に難しい状況でした。我々がドライタイヤでコースインした時、まだコース上には濡れた部分が残っており、限界でのアタックは出来ませんでした。厳しい予選結果となったことは分かっていますが、1周のアタックではない、決勝レースのペースでは勝負出来るはずです。我々のターゲットは決勝レースであり、決勝へ向けたTS050 HYBRIDのバランスも良いので、良いレースが出来ると思っています。

  • トヨタ、新空力パッケージのTS050 HYBRIDに手応え / WEC 第4戦

    トヨタ、新空力パッケージのTS050 HYBRIDに手応え / WEC 第4戦

    FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ニュルブルクリンク6時間レースが開幕。初日の7月22日(金)には2度にわたる公式練習走行が行われた。TOYOTA GAZOO Racingは、新空力パッケージのTS050 HYBRIDで着実な手応えを得た。

    TOYOTA GAZOO Racingの本拠地があるドイツ・ケルンから90km程に位置するニュルブルクリンク・サーキット。ここで開催される6時間レースは、メカニカルトラブルで勝利を逸した第2戦スパ、第3戦ル・マンでの雪辱を果たす絶好のチャンスである。

    舞台となるグランプリコースは、1周5.148km。2台のTS050 HYBRIDは決勝レースを見据え、データの収集及びセッティング作業などの準備作業をこなした。
    チームはこのニュルブルクリンク6時間レースで、シーズン後半戦へ向けて開発された超ハイダウンフォース仕様のTS050 HYBRIDをデビューさせた。この新空力パッケージは、ストレートでの最高速よりも、コーナーリング時の性能を重視している。

    正午から行われた公式練習1回目では、TS050 HYBRID #5号車が1分42秒593で首位のポルシェから0.890秒差の5番手。#6号車が1分43秒635で6番手。午後4時半からの公式練習2回目には共にタイムを短縮、#6号車が1分41秒822で4番手、#5号車は1分42秒325で6番手タイムをマークした。

    幸にも公式練習初日は暖かく、ドライコンディションのまま両セッションを終えることが出来、TOYOTA GAZOO Racingは2台で合計155周、約800kmをトラブル無く走破。新パッケージの最適化に向けて着実な手応えを得た。

    明日23日(土)は、午前9時15分(日本時間午後4時15分)から60分間の公式練習3回目が行われた後、午後2時45分(同午後9時45分)よりLMPクラスの公式予選が行われる。決勝レースは、24日(日)の午後1時(同午後8時)にスタートが切られる。

    TS050 HYBRID #5号車:(中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ)
    公式練習第1回目: 5番手 (1分42秒593), 34周
    公式練習第2回目: 6番手 (1分42秒325), 40周

    TS050 HYBRID #6号車:(小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)
    公式練習第1回目: 6番手 (1分43秒635), 35周
    公式練習第2回目: 4番手 (1分41秒822), 46周

    中嶋一貴
    TS050 HYBRIDの感触は良く、特にロングランでのバランスとパフォーマンスには満足しています。1周のタイムについては更に向上の余地があると思いますが、トップからそれほど大きな差ではありません。今日は幸運にも好天に恵まれましたが、この後の週末の天候が気がかりです。

    アンソニー・デビッドソン
    建設的な一日で、天候にも恵まれてセットアップ作業もはかどりました。ロングランについては全員が満足していますが、ニュルブルクリンクは天候が不安定なことが多いので、ウェットでの走行も試せれば良いと思います。TS050 HYBRIDのバランスにも満足しており、これまでのところは問題はありません。

    セバスチャン・ブエミ
    今日の結果には満足しています。ダウンフォースを増した新しい空力パッケージでの初走行で、多くのデータが得られました。ラップタイムも充分に競争力のあるもので、週末へ向けては自信があります。ここまでは順調です。

    小林可夢偉
    今日は多くの作業をこなし、全体的に上手く行きました。まだやるべきことはあり、それによって更なるパフォーマンスの向上も見込めるでしょう。我々のなすべきことは1周のアタックタイムではなく、決勝レースにおいて安定したハイペースで走ることが狙いです。

    ステファン・サラザン
    有意義な一日でした。新しい空力パッケージは、ニュルブルクリンクのようなコースに合っています。決勝レースのために非常に重要なタイヤ戦略とセットアップで有意義な作業が出来ました。全てに満足しています。非常に接近した、厳しい戦いになると思いますが、ベストを尽くします。

    マイク・コンウェイ
    正しい方向性で、TS050 HYBRIDの性能を引き出し、着実な進歩を遂げられたと思います。目標は明確であり、全てが順調です。新パッケージでの初走行でしたが、一歩一歩進化を続けており、更なる向上が期待出来ます。

  • トヨタ:WEC 2016年 第4戦 ニュルブルクリンク6時間レース プレビュー

    トヨタ:WEC 2016年 第4戦 ニュルブルクリンク6時間レース プレビュー

    トヨタにとって衝撃的な幕切れとなったル・マン24時間レースから約1か月、FIA世界耐久選手権(WEC)は第4戦ニュルブルクリンク6時間レースを迎える。

    TOYOTA GAZOO Racingはル・マンでの雪辱を果たすべく、もう一つのホームレースとなるニュルブルクリンクで今季初勝利を目指す。

    ル・マン24時間レースでは、TS050 HYBRID #5号車がチェッカーフラッグまであと数分というところで、痛恨のメカニカルトラブルにより、ほぼ手中にしていた初勝利を逃すこととなった。

    しかし、速さではライバルのポルシェとアウディに決して引けを取らないことを証明した。

    この週末にWEC第4戦が行われるニュルブルクリンク・サーキットは、チームの本拠地であるドイツ・ケルンから車で1時間ほどの場所にあり、ル・マンでの悪夢を振り払い、心機一転、勝利を目指すのに最高の舞台と言える。

    中嶋一貴とアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミの駆る#5号車は今シーズン運に恵まれないレースが続いており、ドライバーズランキングにおける現在のポジションは、実際の競争力やパフォーマンスを反映したものとは言えない。今週末のWEC第4戦での目標はこの不運を断ち切って表彰台に上ることだ。

    小林可夢偉とステファン・サラザン、マイク・コンウェイの#6号車はル・マン24時間レースで2位フィニッシュを果たしたことで、ドライバーズランキングでも上位を争っている。#5号車同様に、シーズン初勝利を目指し第4戦に挑む。

    今週末のレースには、ル・マン24時間レース用に開発された低ドラッグ空力仕様ではなく、ストレートの距離が短く、タイトなコーナーをもつニュルブルクリンクに合わせた超ハイダウンフォース仕様のTS050 HYBRIDが投入される。

    ケルンのトヨタモータースポーツ有限会社(TMG)の風洞で開発された新しい空力仕様は、最高速性能と引き替えにより強力なダウンフォースを生み出し、これが、これからのシーズン後半戦へ向けたパッケージとなる。

    7月22日(金)に行われる公式練習走行では、5.137kmのニュルブルクリンク・グランプリコースにおいて新しい空力仕様の検証とそのセッティングが進められる予定。尚、サーキットに関しては、今シーズンからヴィードル・シケインがよりタイトに変更されている。

    佐藤俊男 TOYOTA GAZOO Racingチーム代表
    前戦ル・マンの無念は一旦胸中に収め、前を向いて進みたいと思います。ファンの皆様をはじめ、関係者やライバルメーカーの方々にはこれまでに多くの温かい励ましの言葉を頂き、心から感謝を申し上げます。モータースポーツチームとして、改めてレースをしたい、戦いたい思いで一杯であり、モチベーション、チーム力ともこれまで以上に高まっています。よってニュルブルクリンク6時間レースは再度パフォーマンスを示す絶好の機会になると思います。またケルンのTMG社員など大勢の応援がもらえるこのレースは、我々にとってはホームレースと言えるイベントです。昨年は、とても多くの観客の皆様にも声援を頂きました。今年も、グランドスタンドを埋めつくす皆様の前で勝利に向かって戦うことが出来るものと確信しています。

    中嶋一貴 (TS050 HYBRID #5号車)
    ル・マンからあまり間を空けずにレースに戻ることが出来るのは嬉しいことです。例年WECはル・マンのあと長い夏休みとなっていましたが、1か月でシリーズが再開するのは我々にとって歓迎すべき状況です。ル・マンでは我々の真の強さを証明出来たので、今週末も同様に戦えると思っています。ニュルでのレースには、ケルンからチームの仲間が、大勢応援に駆けつけてくれます。特にあのル・マンのあとだけに、彼らに好結果をもって応えるべく、士気は高まっています。チームの仲間は、懸命な努力を続けてくれています。このレースは彼らの働きに報いる絶好のチャンスです。

    アンソニー・デビッドソン (TS050 HYBRID #5号車)
    ル・マンが残念な結果に終わっただけに、これまでにないほど雪辱に燃えています。ニュルブルクリンク・サーキットはとても楽しいコースで、これまでと同じように、我々のTS050 HYBRIDがここでも競争力があることを願っています。チームのホームレースで勝利を目指し戦えることは大きな励みとなるでしょう。ケルンから応援に来てくれる多くの仲間の前でのレースは特別です。その素晴らしい雰囲気とチームスピリットは、この週末のレースに大きな力をもたらしてくれるでしょう。

    セバスチャン・ブエミ (TS050 HYBRID #5号車)
    あのル・マンからすぐにレースに戻れるのは気分的に良いことで、ニュルブルクリンクでの第4戦をとても楽しみにしています。我々は再び勝利を争えると思っていますし、シーズンの前半戦を良い流れで締めくくるためにも好結果を目指します。今季これまでの3戦中、2戦でレース終盤までリード出来たことは大きな自信に繋がっており、ニュルブルクリンクでも同様の好パフォーマンスを見せられると思っています。ル・マンの結果を受け入れるのが困難なのは我々全員同じですが、それはもう胸にしまい、シーズン残りのレースを見据えて戦う時期に来ています。何としても今季初勝利を狙って行きます。

    小林可夢偉 (TS050 HYBRID #6号車)
    個人的にはニュルブルクリンクでここ数年間レースを行っていませんが、フォーミュラカーでは何度か良い結果も得ており、LM P1-Hカーでの初のニュルブルクリンクを楽しみにしています。我々のTS050 HYBRIDは充分に上位を争える速さがあると思っていますので、表彰台の一番上を目指します。このレースにはダウンフォースを増強した空力仕様を投入することになり、最高のパフォーマンスを引き出すべくハードワークが必要です。チームはル・マンのパッケージでも素晴らしい仕事をしてくれ、今週末も再び良いレースが戦える自信があります。

    ステファン・サラザン (TS050 HYBRID #6号車)
    ル・マンで我々は素晴らしい仕事をやり遂げ、昨年と比べて大きな進歩を果たしました。今の我々にとって最も重要なのは、ライバルと戦える位置に戻れたということです。今の我々の目標はレースに勝つ事、そして世界チャンピオンのタイトル争いです。ル・マンのあとに長い休暇がないのは良いことだと思っています。ニュルブルクリンクのコースは大好きですし、我々には競争力の高いTS050 HYBRIDがあります。この週末のレースを心待ちにしており、戦う準備は出来ています。

    マイク・コンウェイ (TS050 HYBRID #6号車)
    ニュルブルクリンクは最高のコースで、レースを戦うのを本当に楽しみにしています。ハイダウンフォースサーキットなので、どのチームのパッケージが適しているのか、とても興味があります。我々も改良したパッケージを持ち込みますので、ル・マンのような良いペースで戦えることを望んでいます。#6号車はドライバーズ選手権を争っており、着実にポイントを獲得してタイトルを狙いにいきます。昨年のニュルブルクリンクでの雰囲気は最高でした。我々にとってもう一つのホームレースで、多くのファンやチームの仲間を前に戦えるのを楽しみにしています。

  • 【WEC】 将来的にLMP1カーへの水素燃料電池の導入を検討

    【WEC】 将来的にLMP1カーへの水素燃料電池の導入を検討

    FIA世界耐久選手権(WEC)は、将来的に水素燃料電池を搭載したLMP1を導入する方針を発表した。

    FIAとル・マンの主催者であるフランス西部自動車クラブは、水素燃料電池で動くマシンを許可する方向で専門調査委員会を設立したことを発表した。

    導入のタイムスケジュールは設定されていないが、来年のこの時期に日付が発表されることが期待されている。

    フランス西部自動車クラブのポーティングディレクターを務めるビンセント・ボーメニルは「水素は明らかに我々が進んできたい方向だ」とコメント。

    「ゼロエミッション、パフォーマンス、航続距離、短いローディングタイムという点で利点がある」

    「そういうわけで、我々は専門委員会を設立した。しかし、我々は水素の導入には解決しなければならない複雑な問題があることを把握している」

    ビンセント・ボーメニルは、水素を使用することに関心を持っているメーカーがいることを確認したが、メーカーを特定することは拒否した。

    BMWが水素燃料電池車でル・マンへのエントリーを評価していることは知られており、日産が2012年と2014年に参戦した際に“ガレージ56”として知られていた“イノベーティブカー”のグリッドで参戦する可能性があるとされている。

    水素車でのガレージ56エントリーは、2013年にスイスのGreenGT組織が試みたが、実現はしなかった。

    2018年の新しいP1規則集ではバイオ燃料が許される。

    ビンセント・ボーメニルは、“ゼロカーボン・エネルギーをさらに進めたい”という願望があり、バイオ燃料は、ガソリンとディーゼルとともに“Equivalence of Technology”に容易に取り入れることができると説明した。

    「我々はバイオメタンに巨大なポテンシャルがあることを知っているが、いかなる液体やガスであっても、バイオマス起源であればそれは資格がある」

    「我々が興味を持っているメーカーに言っているのは、燃料をEotに取り込むことができるということだ」

    2017年のイノベーティブカーのエントリーは、長年のル・マンのエントラントであるジャラール・ウェルターのバイオ燃料マシンに与えられた。ビンセント・ボーメニルは、プロジェクトは進行中だが、まだチームはパートナーを探していることを確信している。

    フランス西部自動車クラブとFIAは、2018年に10MJの回生エネルギーを展開できる新しいハイブリッドLMP1サブクラスが許可されることを確認した。それは、エネルギー回復システムの数が2から3に増加することと合わせて実施される。また、LMP1ファクトリーチームに許される従来の燃料量はおよそ8%削減される。

  • アウディ、スパ・フランコルシャンで今シーズン初優勝 / WEC

    アウディ、スパ・フランコルシャンで今シーズン初優勝 / WEC

    アウディは、FIA世界耐久選手権(WEC)の第2戦、スパ・フランコルシャン大会で非常に過酷な状況を制し優勝を飾った。

    外気温が25℃以上に達するなか、ワークスチームからエントリーしたハイブリッドカー全6台のうち、完走はわずか2台だけだった。優勝したルーカス・ディ・グラッシ / ロイック・デュバル / オリバー・ジャービス組は、2位以下に2ラップの大差を付けてゴールし、アウディ R18の優秀さを証明した。

    今回のWECを観戦した観客は、これまでになくスリリングなレースを目の当たりにした。6時間におよぶレースには様々なドラマがあり、3ワークスチームのいずれもが、一度は大きなアドバンテージを持ってトップ走行する場面が見られたものの、上昇を続けた気温と激しいレース展開のため多くのマシンはリタイヤした。しかし、フォルクスワーゲンAG取締役会会長、マティアス・ミュラーと、アウディAGの技術開発担当取締役のDr.シュテファン・クニルシュが見守るなか、アウディスポーツ チームヨーストのメンバーは最高の活躍を見せた。

    8号車のアウディ R18は、ルーカス・ディ グラッシがスタートを切り、その後ロイック・デュバル、オリバー・ジャービスへと引き継がれた。幾度ものイエローコーション、数多くのペナルティストップ、アクシデントやマシントラブルが見られた6時間のレースが終了した時、彼ら3人は、トリオを組んで初めての優勝を手にした。今回の優勝は、ディ・グラッシにとってはアウディドライバーとなってから初めてのもので、ジャービスにとっては2回目、そしてデュバルは4回目となる。

    アウディモータースポーツ代表のDr. ヴォルフガング・ウルリッヒは「今日のレースでは、ドライバー、チーム、そしてマシンのすべてに完璧な耐久性が求められていました。そしてルーカス、ロイック、オリバーが、トリオを組んでから初めての優勝を獲得出来たことを心から祝福します。今日の彼らは、非の打ち所がない、完璧なパフォーマンスを見せてくれました」とコメン。

    今回の優勝は、アウディにとって2000年シーズン以来、通算106回目のLMPクラス優勝となった。

    もう1台のAudi R18、マルセル・・ファスラー / アンドレ・ロッテラー / ブノワ・トレルイエ組の7号車は、いくつもの不運に見舞われてしまった。トレルイエが激しいバトルを展開する中、アンダーフロアを縁石に強打し、パーツ交換を余儀なくされてしまった。その交換作業には14分30秒の時間を要し、その後、エアダクトの洗浄が不可避となり、さらに時間を費やした。また、マルセル・ファスラーへのドライバーチェンジを行う際には、カウルの交換が必要となり、この作業に対するドライブスルーペナルティも課せられた。これらの不運のため、彼らは5位でゴールすることとなったが、アウディは今レースで40ポイントを獲得した。

    次回のWEC関連イベントは、6月5日に行われるル・マン24時間レースの公開テストとなる。6月18-19日開催の、アウディが通算18回目の参戦となるル・マン24時間レース本番に向けて、アウディスポーツメンバーは一丸となって入念な準備を整えている。

    アウディ WEC  世界耐久選手権

  • トヨタ、首位独走もトラブルで無念の2台戦線離脱 / WEC 第2戦

    トヨタ、首位独走もトラブルで無念の2台戦線離脱 / WEC 第2戦

    5月7日(土)スパ・フランコルシャン6時間レースの決勝レースが行われ、TOYOTA GAZOO RacingのTS050 HYBRIDは#5号車が4時間の時点で首位を独走していたものの、突然のエンジントラブルで脱落。#6号車も中盤のトラブルでリタイアに終わった。

    TOYOTA GAZOO Racingは、FIA世界耐久選手権第2戦スパ・フランコルシャン6時間レースで、ほぼ手中にしていた勝利をトラブルで逸し、無念の結果で終えることとなった。

    シリーズのマニュファクチャラーズ選手権ポイントリーダーとして今大会に臨んだトヨタは、レース開始から4時間が経過した時点で首位を独走し、2014年以来となるスパ・フランコルシャン6時間レースでの優勝を目前にしていた。

    しかし、2台のTS050 HYBRIDは共にエンジントラブルに見舞われ、レースからの脱落を余儀なくされてしまった。中嶋一貴、アンソニー・デビッドソンとセバスチャン・ブエミが駆った#5号車は総合26位でレースを終えることとなったが、クラス7位完走で、マニュファクチャラーズ選手権において12ポイントを獲得した。小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイの#6号車はリタイアに終わった。

    トラブルに見舞われるまで、2台のTS050 HYBRIDは大幅にパフォーマンスが向上したことを証明する走りを見せ、#5号車は2位に1分以上の大差をつけて首位を快走、#6号車もレース序盤に見舞われたアクシデントの修復により周回遅れになりながらも3位を走行していた。

    次戦は6月18日(土)と19日(日)に行われるル・マン24爺間レース。25万人ものファンが集まる、世界で最も有名な耐久レースは、今年で84回目を数える。レースを前に、6月5日(日)にレースの舞台となる公道も使用されるサルト・サーキットで公式練習走行が行われる。

    佐藤俊男 チーム代表:
    週末を通じ性能面での向上を確認することが出来ましたが、レース結果は厳しいものとなりました。前戦シルバーストンと比較し明らかな向上を果たせたことに関して、ケルンのチームスタッフとトヨタ東富士研究所の努力に改めて感謝したいと思います。レース中盤を過ぎた時点まで安定して速いラップタイムを刻みながらトップを走行することが出来ましたが、残念なことに2台共エンジンにダメージを受けてしまいました。直ちに原因を究明し、次戦ル・マン24時間レースに向けて対策を講じたいと思います。

    TS050 HYBRID #5号車:
    (中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ)
    決勝レース: 26位 114周、ピットストップ 5回、グリッド:5番手
    最高ラップタイム:1分59秒740

    中嶋一貴:
    今日は難しい日となってしまいました。ダウンフォースレベルのセッティングも良く、タイヤ選定も、戦略も全て上手く行っていました。さらに、良いところを探せば、TS050 HYBRIDは非常に競争力が高いことが分かり、それを証明出来たことです。しかし、最後にこのような終わり方をするとは思いもしませんでした。本当に勝てるチャンスはあったと思います。残念としか言いようがありません。

    アンソニー・デビッドソン:
    序盤は良かっただけにとても悔しいです。今日こそは勝利をものに出来ると思っていました。しかし、これまでに経験したことのないトラブルですべてを失ってしまいました。テストでは十分な距離を走って来ましたが、初めてのトラブルでした。気持ちを切り換えてル・マン24時間レースを頑張ります。

    セバスチャン・ブエミ:
    満足とは言えませんが、納得しています。長時間にわたりレースをリードし、まさか、このような終わり方をするとは思っていませんでした。パフォーマンスについてはこの週末を通して満足の行くものでした。今は、ル・マンに向けて照準を合わせています。

    TS050 HYBRID #6号車:
    (小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)
    決勝レース: リタイア 87周、ピットストップ 6回、グリッド:3番手
    最高ラップタイム:2分00秒177

    小林可夢偉:
    残念ながら満足出来る結果には結びつきませんでした。良い走りは見せることが出来ただけに、とても残念なレースでした。しかし、TS050 HYBRIDの性能の高さは確認出来たので、ル・マンでは期待して下さい。

    ステファン・サラザン:
    これほど難しい日はありませんでした。TS050 HYBRIDは2台とも最高の性能を発揮出来ていたので、揃って表彰台に立てるはずでした。とても残念ですが、走行フィーリングは良い感じなのでル・マンに向けては期待が出来ます。

    マイク・コンウェイ:
    とても厳しいレースとなってしまいました。ミスを犯してLMP2のクルマに接触して、レースは苦しくなってしまいました。その後はとにかく、全力でプッシュして表彰台を狙っていました。多分、2台揃って表彰台は狙えたと思います。しかし、現実は厳しいものでした。戦略は悪くはなく、上手く行っていたと思います。