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  • オスカー・ピアストリ「2026年F1マシンはドライビングが根本的に変わった」

    オスカー・ピアストリ「2026年F1マシンはドライビングが根本的に変わった」

    2025年にタイトル争いを繰り広げたオスカー・ピアストリだが、2026年シーズン前半は新レギュレーションへの適応に苦戦した。しかし、マクラーレンのドライバーは、シーズン終盤戦へ向けてマシンを速く走らせるための重要なヒントを見つけつつあると明かした。

    2026年はシャシーとパワーユニットが全面刷新され、ドライバーにも従来とは異なるアプローチが求められている。

    ピアストリは、この変化は単なるマシン性能の違いではなく、「レースカーの運転方法そのものが変わった」と語っている。

    2026年マシンへの適応に苦戦した前半戦
    2025年は開幕前半だけで6勝を挙げ、選手権首位で夏休みに入ったピアストリだったが、2026年は状況が一変した。

    ここまで獲得ポイントは92点。表彰台はマイアミGP以降なく、今季はわずか2回にとどまっている。マクラーレンのMCL40自体がライバル勢ほど競争力を発揮できていないことに加え、チームメイトのランド・ノリスに対しても予選で苦戦。マイアミGP以降の8戦では、公道コースのモナコGPを除き、ノリスがすべて予選で前につけている。

    ピアストリは、その理由の一つとして2026年マシン特有のドライビングスタイルへの適応を挙げた。

    「マシンや自分自身からパフォーマンスを引き出すために、本当にたくさんの新しいこと、新しいやり方を見つけなければならない」

    「これまでずっとやってきた自分のリズムや運転の仕方に落ち着いてしまうのは簡単だけど、このマシンでは必ずしもそれが通用しない。バルセロナはまさにその例だった」

    オーストリアGPから新しい走らせ方を模索
    ピアストリは、オーストリアGPをきっかけに自らのアプローチを変え始めたという。

    「オーストリアでは、自分自身をもう少し追い込んで、新しいことを試さなければいけないと感じた。そして、少し違う方法でクルマを走らせるようにした」

    その試行錯誤を続けた結果、夏休み前の数戦で重要な発見があったと説明した。

    「どのクルマにも速く走るために必要なものは少しずつ違う。そして夏休み前の数戦で、このクルマをどう運転すべきか、どういう特性なのか、どうすれば速く走れるのかを以前よりずっと理解できるようになった」

    「それは必ずしも直感的でも自然なことでもない」

    オスカー・ピアストリ(マクラーレン)

    「レースカーの運転方法そのものが変わった」
    ピアストリは、2026年レギュレーションを過去の技術規則変更とは別物だと位置付けている。

    これまでのレギュレーション変更では、ダウンフォース量や発生方法が変わることはあっても、基本的なドライビングの考え方は大きく変わらなかった。しかし2026年は、マシンの性能を引き出すための運転方法そのものを見直さなければならないという。

    「今回のレギュレーションは、本当にいろいろな意味でまったく違う」

    「以前のレギュレーション変更では、ダウンフォース量やダウンフォースの生み出し方など、クルマ自体はかなり変わった」

    「でも今回は、ある意味ではレースカーの運転方法そのものが完全に根本から変わったようなものなんだ」

    「僕たちにとっても、僕自身にとっても大きなリセットだった。物事への取り組み方や、いろいろなことの進め方を変えなければならなかった」

    後半戦へ向けた復調の兆しか
    ピアストリのコメントからは、2026年型マクラーレンの性能だけでなく、自身のドライビングスタイルにも課題があったことを率直に認めている様子がうかがえる。一方で、オーストリアGP以降に新たな走らせ方を見つけたことで、夏休み明け以降は本来の速さを取り戻せる可能性も見えてきた。新世代F1マシンへの理解をさらに深められるかが、後半戦の巻き返しを左右する重要な鍵となりそうだ。

  • アストンマーティンF1 2026年低迷の内幕 ニューウェイ計画はなぜ躓いたのか

    アストンマーティンF1 2026年低迷の内幕 ニューウェイ計画はなぜ躓いたのか

    2026年シーズン前半に苦戦を強いられたアストンマーティンF1。その原因について、BBC SportのF1担当記者アンドリュー・ベンソンが、これまで明かされていなかったプロジェクトの舞台裏を交えながら詳細に解説した。

    2026年仕様「AMR26」は、エイドリアン・ニューウェイ加入の遅れや風洞施設の完成延期、さらにホンダ製パワーユニットの開発遅延が重なり、開幕時点で大きなハンディキャップを背負っていたという。

    ハンガリーGPで投入された大規模アップデートによってようやく改善の兆しが見え始めたものの、ベンソンは「ニューウェイが本来目指すマシンが完成するのは2027年になる」との見方を示している。

    ニューウェイ加入で開発は2か月後退
    ベンソンは、2026年レギュレーションへの対応が当初から予定通りには進まなかったと説明する。

    「2026年の新空力レギュレーションは2025年1月2日に正式発表された。しかし、エイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンでマネージング・テクニカルパートナーとして正式に働き始めたのは3月2日だった」

    ニューウェイは着任直後、それまで進められていた設計作業を中止し、自身のコンセプトへ全面的に切り替えるよう指示したという。

    その結果、開発スケジュールは約2か月遅れることになり、プロジェクト全体へ影響が及んだとベンソンは説明している。

    新風洞の完成遅れで他チームとの差が拡大
    開発をさらに難しくしたのが、新風洞施設の稼働延期だった。

    「風洞は4月中旬までモデルを投入できる状態ではなかった。その時点でライバルより約4か月遅れていた」

    さらに、ホンダ製パワーユニットについても想定以上の遅れがあったという。

    「チームは昨年11月になるまで、ホンダのエンジン開発が大きく遅れていることに気付いていなかった」

    これらの問題が積み重なり、バルセロナとバーレーンで行われたプレシーズンテストでは、車体・パワーユニットともに競争力と信頼性を欠いていることが明らかになった。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    開発体制を全面刷新してハンガリー仕様へ
    その後、アストンマーティンは開発体制そのものを見直した。

    ベンソンによれば、ニューウェイは「仕事の進め方を全面的に作り直した」と説明しており、組織改革や新たな開発システムの導入、さらにマシン設計の見直しを進めたという。

    その成果がハンガリーGPで投入された16項目に及ぶ大型アップデートだった。

    新仕様のAMR26Bは軽量化に加え、空力性能も大幅に改善され、ベンソンは「ラップタイムを約2秒短縮したようだ」と評価した。ただし、実際のサーキットでの改善幅はそこまで大きくはなかったとみられる。

    ホンダ新PU投入でも本格勝負は2027年
    アストンマーティンは夏休み明けのオランダGPでホンダ製パワーユニットのアップグレードを投入する予定だ。

    ベンソンは、このアップデートによって一定の性能向上は期待できるものの、メルセデスなどトップ勢とのエンジン性能差を一気に埋めるほどではないと分析する。

    現在の改善幅は30馬力弱とみられる一方、トップとの差は約60馬力あるとの見方もあり、依然として大きな隔たりが残るという。

    そのうえでベンソンは、次のように締めくくっている。

    「ニューウェイが本当に目指しているマシンを見ることになるのは2027年だ。そして、その競争力はホンダが2027年型パワーユニットでどれだけ成功するかにも左右される」

    2026年の苦戦は単一の要因ではなく、ニューウェイ加入時期の遅れ、風洞完成の延期、ホンダ製パワーユニット開発の遅延という複数の問題が重なった結果だった。ハンガリーGPから改善の兆しは見え始めたものの、本格的な評価は2027年マシンまで待つ必要がありそうだ。

  • ラファエル・カマラ ハースF1加入報道を冷静視「今は何も分からない」

    ラファエル・カマラ ハースF1加入報道を冷静視「今は何も分からない」

    ラファエル・カマラは、自身に浮上している2027年のハースF1加入説について、「今は何も分からない」と冷静な姿勢を示した。

    フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)に所属する21歳のブラジル人は、今季FIA F2選手権で好成績を残しており、エステバン・オコンの後任候補として名前が挙がっている。しかし本人は、F1昇格への期待を認めつつも、「今は今年のF2に集中している」と強調した。

    ハースF1加入の噂にも冷静な姿勢
    フェラーリとハースF1の強い関係性から、カマラは2027年にエステバン・オコンの後任として加入する有力候補とみられている。ほかにも候補者の名前は挙がっているものの、フェラーリ育成ドライバーであるカマラへの注目は高まっている。

    2022年からフェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属するカマラは、F2デビューイヤーの今季、ここまで4回のポールポジションと2勝を記録するなど、タイトル争いを展開している。

    F2公式サイトのインタビューで、F1昇格の噂について質問されたカマラは、次のように語った。

    「そういう話が出るのはうれしいことだ」

    「現時点では何が起こるかは本当に分からない。でも、夢が近づいていると感じられるのは素晴らしいことだ」

    「でも同時に、そのことばかり考えすぎるわけにはいかない。今はとても重要な選手権を戦っているし、良い結果を残せば、おそらくチャンスはやって来る」

    「だから僕は、本当に今シーズンに集中している」

    ラファエル・カマラ

    F1テスト経験も大きな財産
    カマラはこれまでにフェラーリで複数回にわたりF1マシンのテストも経験している。

    将来のF1参戦については、夢であることを認めながらも、テストではドライバーとしての責任を強く意識していたという。

    「もちろん夢はフルタイムでF1に参戦することだ。でも、その瞬間は本当に感情が込み上げるものだった」

    「同時に、それは仕事でもある。できる限り楽しもうとするけれど、それでも良い仕事をしなければならない」

    F2で結果を残すことが最優先
    カマラは現在、F2ルーキーイヤーながら優勝争いに加わる活躍を見せている。安定した速さを武器に評価を高めており、2027年のF1シート候補として名前が挙がるのも不思議ではない状況だ。

    それでも本人は、将来の噂に気を取られることなく、まずはF2で結果を残すことがF1への最短ルートだと考えている。

    その冷静な姿勢は、フェラーリ育成ドライバーとして着実にステップアップを目指すカマラらしさを物語っている。

  • レッドブルF1技術責任者 RB22の弱点を説明「進入時の不安定さが課題」

    レッドブルF1技術責任者 RB22の弱点を説明「進入時の不安定さが課題」

    レッドブル・レーシングのテクニカルディレクターを務めるピエール・ワシェが、2026年型マシン『RB22』が現在も抱える課題について説明した。

    チームはシーズン序盤から着実な進歩を遂げているものの、コーナー進入時の安定性やコーナー中盤でのアンダーステアといったマシン特性には依然として改善の余地があるという。

    ワシェは、開幕当初に抱えていたダウンフォース不足や機械的な問題は解消されたとしつつも、現在はRB22本来の特性を改善するため、セットアップや開発を続けていると明かした。

    RB22が抱える設計上の課題
    2022年から2024年までマックス・フェルスタッペンとともに3年連続でドライバーズタイトルを獲得したレッドブル・レーシングだが、新レギュレーションが導入された2026年は11戦を終えても未勝利と苦戦している。

    ハンガリーGPで2位に入ったフェルスタッペンの走りの裏で、ワシェはRB22が現在も抱える弱点について次のように説明した。

    「どのレーシングカーでも同じだが、ドライバーがどのようにマシンを使えるか、その荷重のかかり方には限界が見えてくる」

    「その特性によって、バランス調整やリバランスでできることが制限される」

    「我々のマシンにも、進入時の安定性やコーナー中盤でのアンダーステアといった制約があり、それを改善するためにメカニカルな手法を使って対処しようとしている」

    開幕時の問題はすでに修正
    ワシェは、現在の課題とは別に、シーズン序盤には別の問題も抱えていたことを改めて認めた。

    「シーズン序盤は、ライバルと比べてダウンフォースが不足していたことは明らかだった」

    「それに加えて、マシンにはいくつか機械的な問題があり、ドライバーがステアリングを通じてマシンの状態を感じ取れなかった。我々はシーズン序盤にその問題を修正した」

    「修正には少し時間がかかったが、それはマシン全体の性能やポテンシャルとは別の問題だった。ドライバーのフィーリングに関する問題があったということだ。隠している話ではない」

    現在はこれらの機械的な問題は解消されており、チームはマシン本来の性能向上に開発の重点を移している。

    レッドブル・レーシング

    「後れた状態から着実に前進した」
    ワシェは、レッドブル・レーシングがシーズンを通じて競争力を高めてきたことにも手応えを示した。

    「最大のポイントは、我々がライバルより後れた状態でスタートしたということだ。それでも確実に前進してきた」

    「ここまで巻き返してきたことはチームにとって非常に良い仕事だったと思う」

    「もちろん、まだ目指す位置には到達していない。しかし、エイドリアン(ニューウェイ)が言っていたように、何が機能していないのかを理解し、改善を積み重ねるしかない。その結果として現在の位置がある」

    「チームとして見れば、この進歩は非常に興味深いものだった」

    ワシェは2025年のタイトル争いが2026年型マシンの開発へ影響したかについては明言を避け、「他チームが非常に良い仕事をした」とライバルの開発力を評価した一方、「我々もマクラーレンも昨年は最後までタイトルを争った。その影響もあって少し後れを取ったのだろう」と分析した。

    開幕時の機械的トラブルはすでに解消されたものの、RB22は依然としてコーナー進入時の安定性やコーナー中盤でのアンダーステアという設計上の課題を抱えている。レッドブル・レーシングが2026年シーズン初勝利を挙げるためには、これらの弱点を克服し、マシン本来のポテンシャルをより安定して引き出すことが鍵となりそうだ。

  • オリバー・ベアマン アストンマーティンF1移籍を否定「フェラーリが夢のチーム」

    オリバー・ベアマン アストンマーティンF1移籍を否定「フェラーリが夢のチーム」

    オリバー・ベアマンは、2027年にフェルナンド・アロンソがアストンマーティンF1を離れた場合の後任候補として自身の名前が取り沙汰されていることについて、「フェラーリが夢のチーム」と語り、移籍の可能性を否定した。

    フェラーリ育成ドライバーとしてハースF1から参戦する21歳のベアマンは、これまで支えてきたフェラーリへの忠誠心を強調。「いつかフェラーリのF1ドライバーになること」が自身の目標であり、現時点では他チームへの移籍は考えていないと明言している。

    アロンソ後任候補の噂を否定
    イギリスでは、フェルナンド・アロンソが2027年限りで現役を退く場合、アストンマーティンF1がオリバー・ベアマンの獲得を検討する可能性が報じられている。

    21歳のベアマンは今季ハースF1で好スタートを切ったものの、ここ6戦はノーポイントが続いている。一方で、フェラーリにはシャルル・ルクレールが長期契約を結び、2026年に復調したルイス・ハミルトンも残留の意思を示しているため、近い将来にフェラーリのレースシートを獲得するのは容易ではない状況だ。

    それでも、ポッドキャスト『Beyond The Grid』で将来について問われたベアマンは、アストンマーティン移籍の可能性を即座に否定した。

    「僕はフェラーリが与えてくれたすべてに強くコミットしている。彼らは僕がF3に加入したときから支えてくれたし、今ここにいるのもフェラーリのおかげなんだ」

    「フェラーリが僕の夢のチーム」
    ベアマンは、自身の最終目標は今も変わらずフェラーリでF1を戦うことだと改めて強調した。

    「だから僕はフェラーリに本当に大きな恩義を感じている」

    「僕にとってフェラーリは夢のチームだ。僕がフェラーリの一員だからというだけではなく、おそらく世界で最も象徴的なブランドだからね」

    「だから目標は、いつかフェラーリのF1ドライバーになることだ。それが今の僕の考えだし、その先のことは今後どう展開していくかを見ていくことになる」

    オリバー・ベアマン アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    将来的なアストンマーティン入りは否定せず
    もっとも、ベアマンはアストンマーティンF1の将来性そのものを否定したわけではない。

    エイドリアン・ニューウェイを迎え、ホンダとのワークス体制を築くアストンマーティンについては、高く評価している。

    「アストンマーティンは今は難しい時期にある。でも、いつか信じられないほど強いチームになると確信している」

    「ただ、現時点で僕がアストンマーティンのことを考えているというわけではない」

  • キミ・アントネッリ「ハミルトン移籍発表前にヴォルフ代表からF1昇格を告げられた」

    キミ・アントネッリ「ハミルトン移籍発表前にヴォルフ代表からF1昇格を告げられた」

    アンドレア・キミ・アントネッリが、メルセデスF1昇格の舞台裏を明かした。ルイス・ハミルトンのフェラーリ移籍が正式発表される前、チーム代表のトト・ヴォルフから翌シーズンのレギュラー昇格構想を直接伝えられていたという。

    当時はまだF2デビュー前だったアントネッリは、その言葉に「目が飛び出るほど驚いた」と回想。18歳でメルセデスのシートを託された背景や、その後に経験したプレッシャー、そして現在F1ランキング首位に立つまでの成長を振り返った。

    ハミルトン移籍発表前にヴォルフ代表から極秘の打診
    スペイン紙『AS』のインタビューで、アンドレア・キミ・アントネッリは、メルセデス加入がどのように決まったのか、その舞台裏を詳しく語った。

    2025年シーズンに向けてルイス・ハミルトンがフェラーリへ移籍することが決まった当時、トト・ヴォルフは正式発表前の段階で、後任候補としてアントネッリに直接考えを伝えていたという。

    アントネッリは当時を次のように振り返った。

    「シルバーストンでF3マシンを使ってテストをしていた。F2で走る前にコースに慣れるためだった。そして、その日の終わりにトトがオフィスへ呼んでくれた」

    そこでヴォルフは、ハミルトンの移籍とチームの計画を打ち明けた。

    「トトは『ルイスはフェラーリへ行く。そして来年は君をマシンに乗せたいと考えている』と言った」

    「その瞬間、『えっ!?』という感じだった。本当に目が飛び出るほど驚いた」

    当時のアントネッリは、まだF2どころかF3のレースすら経験しておらず、自分が候補になるとは想像もしていなかったという。

    「まだF2も始まっていなかった。だから自分には、そのシートを勝ち取るために証明しなければならないことがたくさんあると思っていた」

    それでも、チャンスが訪れたときには準備はできているとヴォルフへ伝えた。

    F2で経験を積み夢だったメルセデス入りを実現
    その後、アントネッリはF2で2勝を挙げるなど才能を示し、2024年8月31日にメルセデスから2025年のレギュラードライバーとして正式発表された。

    しかし、夢だったトップチーム入りは、すぐに現実味を持って受け止められたわけではなかった。

    「もちろん本当にうれしかった。でも同時に、あまりにも大きな出来事だったので、何が起きたのか理解するまで少し時間がかかった」

    「テラスのハンモックに横になって空を見上げながら、『本当に起きたんだ』と自分に言い聞かせていたのを覚えている」

    アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ)

    F1デビューで苦しんだプレッシャーを乗り越える
    メルセデスで迎えたF1デビューイヤーは、18歳の新人にとって決して簡単なものではなかった。

    シーズン序盤はプレッシャーに押し潰され、自身の精神状態にも影響が及んだという。

    「特に去年はプレッシャーに飲み込まれてしまった。シーズンのスタートは良かったけれど、自分を信じてくれた人たちを失望させているように感じていた」

    「特にトトには申し訳ないと思っていた。僕を起用すると決断したのは彼だったからだ。当時は本当に苦しかった」

    その苦境を救ったのが、メルセデスとの話し合いだった。

    「その困難を乗り越えられたことが、今年に向けた自信につながった。それだけでなく、ドライバーとしてだけではなく、人間としても自分自身について多くを学べた」

    さらにアントネッリは、大きなチームだからこそ得られた経験が、自身を大きく成長させたと語る。

    「小さなチームに行っていたら学べなかったことを、ここでは学べたと思う。学習曲線は本当に信じられないほど急だった」

    「まるで3年分を1年で経験したような感覚だった。肉体的にも精神的にも大変だったけれど、そのぶん得られたものは大きかった」

    アントネッリは現在、2026年シーズン前半を終えて219ポイントを獲得し、F1ドライバーズランキング首位に立っている。ハミルトンの後継者として大胆な決断を下したヴォルフの判断は、わずか2年足らずで正しかったことが証明されつつある。

  • フラビオ・ブリアトーレ F1全戦スプリント開催を提案「観客にもっと与えるべき」

    フラビオ・ブリアトーレ F1全戦スプリント開催を提案「観客にもっと与えるべき」

    アルピーヌF1の実質的なチーム代表を務めるフラビオ・ブリアトーレは、F1の全24戦でスプリントレースを実施すべきだとの考えを示した。観客により多くの見どころを提供するためには、現在の週末フォーマットを見直す必要があると主張している。

    F1では2021年にスプリントレースを導入。当初は年間3戦で実施されていたが、2023年からは年間6戦へ拡大され、現在もその形式が採用されている。

    F1のステファノ・ドメニカリCEOも先日、ファンやプロモーターからスプリント開催を求める声が高まっていることを明かし、今後は開催数の増加やフォーマットの見直しについて各チームと協議していく考えを示している。

    そうした中、ブリアトーレは『The Race Business』のインタビューで、現在の週末フォーマットでは観客への提供価値が十分ではないと指摘し、全グランプリでスプリントレースを開催するべきだと語った。

    「僕はスプリントレースをやるべきだと思う」

    「もし僕が決めるなら、全レースで実施する。観客にもっと何かを提供する必要があるからだ」

    ブリアトーレは、金曜日のフリー走行はチームにとって技術的な作業が中心となり、観客にとって見応えが少ないことを問題視している。

    「金曜日の午前中は技術的な走行ばかりだ。2周ほど走ってピットへ戻る。観客のためになっていない」

    現在の通常開催では、金曜日に2回のフリー走行、土曜日に3回目のフリー走行と予選、日曜日に決勝レースが行われる。一方、スプリント週末では金曜日に1回のフリー走行とスプリント予選、土曜日にスプリントレースと決勝予選、日曜日に決勝レースというスケジュールとなる。

    ブリアトーレは、このフォーマットであれば観客は3日間を通じてより多くのレースアクションを楽しめると考えている。

    「スプリントレースがあれば、少なくとも2つのレース、2回のスタートを見ることができる。ドライバーも何かを懸けて走るのであって、エンジニアリングのためだけに走るわけではない」

    そして最後に、自身の考えを端的にこう締めくくった。

    「私なら24戦、24回すべてでスプリントレースを開催する」

  • ホンダF1 F1プロジェクト経験者を呼び戻し反撃へ「体制は回復できる状態」

    ホンダF1 F1プロジェクト経験者を呼び戻し反撃へ「体制は回復できる状態」

    ホンダF1が、2026年シーズン前半の苦戦から巻き返しへ向け、開発体制を強化していることが明らかになった。

    ホンダ・レーシング(HRC)のトラックサイドマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原慎太郎氏は、以前のF1プロジェクトを経験した技術者を呼び戻し、組織の立て直しを進めていることを明かした。

    RacingNews365の独占インタビューで折原氏は、問題が悪化していく過程や現在までの改善状況を詳しく説明。シーズン後半に投入されるアップグレードへの自信も明かした。

    「競争力があると思っていました」 想定外だった開幕の苦戦
    2026年レギュレーションに合わせて開発されたホンダの新型PUは、アストンマーティンとの新プロジェクトとして大きな期待を集めていた。

    しかし実際には、バッテリー由来の激しい振動、信頼性不足、エネルギーマネジメントの問題が重なり、アストンマーティンはシーズン前半をキャデラックと争うほど苦しい状況で過ごした。

    エイドリアン・ニューウェイは後に、この振動がフェルナンド・アロンソとランス・ストロールの手に神経障害を引き起こす可能性まで懸念していたことを明かしている。

    折原慎太郎氏は、その状況について率直に語った。

    「大きな衝撃だったと言えると思います。通常であれば、私たちは競争力があることを期待しています」

    「それがF1に復帰した理由でもあります。ですから、自分たちのパフォーマンスが良くないと分かった時は、本当に大きな衝撃でした。ある程度は予想していた部分もありましたが、実際にそうだと分かった時は衝撃でした」

    実は1月には異変を察知していた
    折原氏によれば、問題はバーレーンテストや開幕戦メルボルンで突然発生したものではなかった。

    2025年シーズン終了後から徐々に状況は悪化しており、2026年1月には危機感を抱いていたという。

    「状況は突然悪くなったわけではなく、少しずつ悪化していました」

    「今年の1月になって、状況が悪化していることに気付きました。昨年はトップコンテンダーではありませんでしたが、ウインターテストのような状態ではありませんでした」

    「ですから状況は徐々に悪化していて、年明けには『あまり良いポジションではないかもしれない』と感じていました」

    この証言は、ホンダがバルセロナで初めて問題の深刻さを認識したと以前説明していた内容とも一致しており、開幕前から危機的状況だったことが改めて裏付けられた。

    振動問題を克服 「誇りに思っています」
    その後、ホンダとアストンマーティンは原因究明を最優先事項として開発を進めた。

    マイク・クラックは「まず問題を理解することが最優先」と繰り返し説明し、アロンソも前半戦を「学習期間」と表現していた。

    その成果が表れたのがハンガリーGPだった。アストンマーティンは大規模なシャシーアップデートを投入し、空力性能と車体バランスを改善。さらにホンダもPU側で振動対策や耐久性向上を進めてきた。

    まもなく迎えるオランダGPでは、ホンダも2026年最初のアップグレードを投入する予定となっている。

    折原氏はここまでの成果について強い自信を示した。

    「冬季テストから現在まで、そしてファクトリーのメンバーが成し遂げたことを誇りに思っています」

    「大きな振動の問題は解決しました。そして耐久性とエネルギーマネジメントの面でも大きく前進しました」

    「今年ここまで達成してきたことを考えれば、今後についてもかなり自信を持っています」

    ホンダF1  / ホンダ・レーシング

    ザントフォールトでPUアップデート投入へ
    ハンガリーGPでは、アストンマーティンが大規模なシャシーアップデートを投入し、空力性能と車体バランスを大幅に改善した。

    次戦オランダGPでは、ホンダも2026年最初のADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)を投入する予定となっている。

    2026年のPUレギュレーションでは、性能面で基準に達していないメーカーに対し、ホモロゲーション期間中でも一定範囲の性能改善が認められている。

    ホンダはこの制度を活用し、内燃エンジンを中心としたアップグレードを投入する計画だ。

    経験者を呼び戻し体制も強化
    折原氏は、技術体制そのものも強化が進んでいると説明した。

    以前、ニューウェイはレッドブル時代を知る経験豊富なホンダのF1エンジニアが数多く離れていたことが、新プロジェクトに影響したと語っていた。

    これに対しホンダは、経験豊富な技術者を現場へ呼び戻すとともに、新世代エンジニアも半年間で大きく成長したという。

    「今年は、以前のF1プロジェクトを経験した専門家を何人か呼び戻しました」

    「また、このプロジェクトで初めてF1に携わった若いエンジニアたちも、冬季テストから前半戦までで多くの経験を積みました」

    「ですので、現在の体制はパフォーマンスと信頼性を回復できる状態にあると考えています」

    ホンダとアストンマーティンの新プロジェクトは、期待とは程遠いスタートとなった。しかし折原慎太郎氏の証言からは、最大の課題だった振動問題を克服し、組織体制も着実に立て直しつつあることがうかがえる。

    オランダGPで投入されるPUアップグレードは、その再建プロジェクトが本格的な反撃へ転じるかを占う重要な一戦となりそうだ。

  • ニコラ・ツォロフ F1昇格に自信「今やるべきはF2王座獲得」

    ニコラ・ツォロフ F1昇格に自信「今やるべきはF2王座獲得」

    レッドブル育成ドライバーのニコラ・ツォロフは、レーシングブルズの2027年シート争いが激化する中でも、将来的にF1昇格のチャンスは必ず訪れると自信を示した。

    現在FIA F2選手権でランキング首位を走る19歳のブルガリア人は、今季の好調なパフォーマンスによってレッドブル育成の有力候補として評価を高めている。一方で、レーシングブルズではリアム・ローソンとアービッド・リンドブラッドが好成績を残しており、2027年のドライバー選考は難しい状況となっている。

    チーム代表のアラン・パーメインは先日、ツォロフを「次の候補(next in line)」と表現し、F1昇格候補として注目していることを明かしていた。

    「いつか必ずチャンスは来る」と確信
    ハンガリーGP週末、将来について何か進展があったかと問われたツォロフは、まだ具体的な話はないと認めた。

    「残念ながら、まだ何もない。でも、まだ時期としては早い。まずは夏休みを終える必要がある」

    今季はツォロフが2027年からレーシングブルズ入りするとの憶測も一部で流れたが、そうした報道は時期尚早だったとみられている。

    それでもツォロフは、自身の結果を積み重ねれば道は開けると確信している。

    「僕は今やっていることを続ける必要がある。もちろん、すべてが今と同じように進めば、いつか必ずチャンスをもらえると信じている」

    ニコラ・ツォロフ FIA フォーミュラ2選手権

    F2タイトル獲得が最優先
    ツォロフは現在、F2ランキングでガブリエーレ・ミニに20ポイント差をつけて首位に立っている。

    F1昇格の可能性よりも、まずはF2タイトル獲得に集中することが重要だと強調した。

    「僕にとって大事なのはそこだ。今はF2に集中しているし、今日のF2でより良い結果を残せば残すほど、自分自身により多くのチャンスを与えることになる」

  • ルイス・ハミルトンの復活を元F1ドライバーが称賛「再び本来の姿を取り戻した」

    ルイス・ハミルトンの復活を元F1ドライバーが称賛「再び本来の姿を取り戻した」

    2025年にフェラーリ移籍初年度の苦戦を経験したルイス・ハミルトンだが、2026年はスペインGPで移籍後初勝利を挙げるなど復調を印象づけている。

    その復活ぶりについて、かつてF1で活躍した名ドライバーたちが相次いで評価。ゲルハルト・ベルガーやデイモン・ヒルらは、苦しい時期を乗り越えて再び勝利をつかんだハミルトンの精神力と実力を高く称えている。

    ベルガー「ハミルトンは苦境から這い上がった」
    元フェラーリドライバーのゲルハルト・ベルガーは、フェラーリでの初年度に苦戦したハミルトンが再び結果を残し始めたことを喜んでいる。

    「フェラーリが勝つ姿を見るだけで誰もがうれしい。フェラーリは特別な存在だからね」

    「ルイスのこともうれしかった。フェラーリに来て過去の成功を再現したいと思っていたが、技術的にもチームメイトとの比較でも非常に難しい状況に置かれてしまった」

    「昨年は本当に厳しい一年だった。しかし今は再び本来の調子を取り戻しつつあるように見える」

    ヨハンソン「2%の勝機を勝利へ変える能力」
    元F1ドライバーのステファン・ヨハンソンは、スペインGPでのハミルトンの勝利は、王者らしいレースマネジメントだったと分析する。

    「バルセロナでのレースは、まさにルイス・ハミルトンらしい勝利だった」

    「彼は金曜日の段階で勝てる可能性を感じ取り、レース前から勝つためのプランを組み立て、それを完璧に実行した」

    「正直、あの状況で勝てたドライバーは多くないと思う。しかし彼は何をすべきかを正確に理解し、それをやり切った。それこそがチャンピオンの証だ」

    「彼らは2%しかないチャンスでも勝利へ結び付けられる。マックス・フェルスタッペンも同じタイプのドライバーだ」

    フィッティパルディ「年齢への批判を実力で覆した」
    2度のF1王者エマーソン・フィッティパルディは、自身も年齢による批判を受けた経験があるとして、ハミルトンに共感を示した。

    「ルイスとフェラーリが速さを見せて本当にうれしかった。昨年の状況は、私自身がインディカーやF1で経験したことでもある」

    「年齢を重ねると『もう速く走れない』と言われ始める。昨年は誰もが『ルクレールに勝てない』『年を取り過ぎた』とルイスを批判していた」

    「しかし今の彼は絶好調だ。これはF1にとってもファンにとっても素晴らしいことだ」

    さらにフィッティパルディは、2026年型マシンの特性もハミルトン復活の要因になっていると考えている。

    「今年のマシンは小型化され、ダウンフォースも減っている。その分、速く走らせるのが難しくなり、ドライバーの才能がより際立つ」

    「ルイスはマシンコントロールとフィーリングに優れた非常に才能あるドライバーだ。フェラーリとの2年目を迎え、エンジニアやチームのやり方も完全に理解している」

    ルイス・ハミルトン スクーデリア・フェラーリ

    ヒル「競争心がハミルトンを支えている」
    1996年F1ワールドチャンピオンのデイモン・ヒルは、ハミルトンほどの競争心を持つ人物なら苦境から立ち直るのは当然だったと語る。

    「本物は最後には必ず浮かび上がってくる。彼を半分に切っても、中身はすべて『競争心』でできているような人間だ」

    「彼は何をやっても勝ちたいタイプで、簡単に諦めることなどない」

    ヒルは、ハミルトン自身がフェラーリの開発にも大きく関与したことが復活につながったと考えている。

    「彼は冬の間に懸命に努力し、自分が望むフェラーリのセットアップをチームへ伝えてきた」

    「フェラーリは莫大な金額を払って彼を獲得した。だから彼は『ただチームのやり方に従うだけではない。自分の求める方向へマシンを作ってもらう』という姿勢を貫いた」

    「彼の実績と影響力を最大限に活用した。それは当然のことだ」

    ブーツェン「敗北から学んだから再び勝てた」
    ティエリー・ブーツェンも、ハミルトンの復活劇を高く評価する一人だ。

    「ルイスはルイスだ。彼はトップにいるべきドライバーだ」

    「昨年は自信やマシン性能など様々な要素が重なって苦しんだ。しかしマシンが改善されれば、すぐに本来の力を発揮した」

    ブーツェンは、ニキ・ラウダの言葉を引用しながら、敗北が成長につながったと指摘する。

    「ニキ・ラウダは『勝っている時には何も学べない。負けた時こそ多くを学べる』と言っていた」

    「勝てない時こそ、自分自身やマシン、チームとの関係まで徹底的に分析し、改善を重ねる。そしてそれを乗り越えた時に再び勝利をつかめる」

    「常に勝ち続けることは不可能だ。だからこそ苦しい経験が次の成功につながるのである。」