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  • 佐藤琢磨 「僕たちには勝てるマシンがあったし、とても落胆した」

    佐藤琢磨 「僕たちには勝てるマシンがあったし、とても落胆した」

    佐藤琢磨が、インディカー第16戦・17戦とダブルヘッダーで開催されたデトロイトのレース週末を振り返った。

    デトロイトのベルアイルで行われたインディカー・シリーズのダブルヘッダーレースで、佐藤琢磨は抜群に速かった。しかし、運の悪さでも人並みを外れていた。どちらのレースでも好成績を収めるチャンスがあったが、どちらのレースでも勝機は佐藤琢磨の指の間をすり抜けてしまった。

    レース1ではレース序盤でギアボックス・トラブルが発生し、レース2ではインディカー・シリーズでキャリア5回目のポールポジションを獲得しながら、佐藤琢磨にはまったく非のないふたつの事故に巻き込まれてしまった。

    インディ500が終わった直後、チームはカナダ国境にほど近い島のなかに設けられた市街地コースに向かった。ここで、AJフォイト・レーシングのダラーラ・ホンダに乗る佐藤琢磨は滑り出しからまずまずの速さを示し、最初のプラクティスではトップ10に入ってみせた。

    「とても忙しいスケジュールでした。ダブルヘッダーレースはいつも忙しいものですが、予選前には45分間のプラクティスが2度あるだけでした。ここで上手くいけば2レース続けていい結果が残せるでしょうし、そうでなければ2レースを立て続けに失うことになります! 僕たちは比較的いいスタートを切りました。バランスが特別よかったわけではありませんが、少なくともトップ10に入ることはできました」

    それでも残念なことに、佐藤琢磨は予選のセグメント2に進出できなかった。極めてコンペティティブな予選グループ内で8番手に終わったからだ。このため佐藤琢磨は15番グリッドからスタートすることが決まった。

    「プラクティスの結果から考えれば、もう少しいい成績が手に入ったはずです。けれども、スケジュールに余裕がなければ、いくら何かを学び取ってもそれをテストで反映させる機会はなく、確実にパフォーマンスに繋げることはとても難しいのです。予選は朝の8時30分に始まるというタフなもので、気温が低いためにグリップは高く、空気の密度も高い状態でしたが、僕たちはグリップ不足に悩まされました。あと100分の数秒速ければセグメント2に進出できたのに、それができませんでした」

    土曜日のスタートでは、柔らかめのレッドタイアを履くウィル・パワーとシモン・パジェノーが強引に割り込んできたため、佐藤琢磨は18番手に後退する。しかし、その後でパジェノーとパワーは接触、パジェノーはリタイアに追い込まれ、イエローコーションとなった。このとき佐藤琢磨は、その後のピットストップの展開によりこのレースで優勝することになるパワーを追い越していた。

    「すべて満足のいく状況でしたが、数周するとギアボックスが問題を起こすようになりました。3速から4速にシフトアップできず、4速を飛び越えて5速に入ってしまうトラブルでした。しかも症状は安定せず、次第に深刻な状況に陥っていきました。このためピットに戻るしかありませんでしたが、ここでメカニックがギアボックスに小さな問題を見つけます。結果的にコースには復帰できましたが、数周のラップダウンになっていたので、残る周回はテストとして利用することにしました」

    けれども、どんな災いにもいい部分はあるものだ。なぜなら、このときの努力が実を結び、チームは日曜日の予選でポールポジションを勝ち取るマシンを作り上げることができたからだ。

    「僕たちはいろいろなことを学びました。ただし、タイアの空気圧を変えたりとか、ほんの小さなことです。けれども、これがとても役に立ちました。僕たちにとっては必要なことだったし、ポジティブな影響を及ぼすことになったのです」

    トラブルが起きたとき、佐藤琢磨はパワーに先行していた。あのままいけば、佐藤琢磨は優勝できたのだろうか?

    「そうは思いません。デトロイトの路面はレッドタイアとの相性が非常に悪いようです。最初の数周は高いグリップ力を発揮しますが、その後グレイニングが起き、パフォーマンスは急激に低下します。このため、レッドタイアでの走行は最小限に留める必要があります。僕はブラックタイアでスタートしましたが、当然、途中でレッドに交換しなければいけません。いっぽうのウィルは、このときすでにレッドを使い終えていたのです。しかも、デトロイトの特徴的な路面にあったタイア空気圧にあわせることができなかったため、僕たちは苦しむことになります。おかげでドライブしにくい状況でしたが、それでもコースに戻って何かを学び取ることが重要でした」

    結果は18位だったが、全体で8番目に速いファステストラップを記録したことは何らかの可能性を示していた。実際、日曜日朝の予選で佐藤琢磨は大きな飛躍を遂げることになる。

    「土曜日の夜、エンジニアたちとディスカッションしました。その後、僕は真夜中に目が覚めます。そこで僕はセットアップをどう変更して欲しいかについて、エンジニアにメールで知らせました。翌朝にもミーティングはありますが、それからではメカニックたちがジオメトリーを変更する時間はありません。朝、目覚めると、エンジニアから『そうしよう!』という返事がきていました。これで予選が本当に楽しみになりました」

    今回は、3段階で行われる通常の予選は実施されず、ふたつの予選グループに分かれて1度だけセッションが行われることになった。佐藤琢磨はふたつめのグループから出走した。

    「最初のグループでジェイムズ・ヒンチクリフがものすごいラップタイムを記録しました。1分16秒で走れるドライバーがいるなんて、想像もできませんでした。なにしろ、僕が土曜日にマークしたタイムは1分18秒3でしたから! けれども、自分がアウトラップを走ってみて、路面のグリップレベルがどれくらい上がっているかに気づき、驚きました。ラバーがしっかり乗っているうえに気温が低かったので、コンディションとしては理想的だったのです」

    「僕自身がアタックするのを楽しみにしていましたが、僕の直前でライアン・ハンター-レイがウォールと接触してセッションは赤旗中断となってしまいます。僕のマシンはまだ完全にウォームアップが終わっておらず、クルマの挙動も十分に把握できていませんでした。レッドタイアでアタックする前に、何周か走ってブレーキやギアボックス・オイルなどの温度を上げて、準備万端にしておきたかったのです。けれども、セッションは残り数分しかありませんでした。最初のアタックでのタイムは1分17秒でしたが、このとき、僕はこう思いました。『マシンの状況はいいし、グリップレベルは高いし、まだタイアはデグラレーションを起こしていない……』 そこで僕は最後の1周にすべてを掛けてアタックしましたが、これは最高のフィーリングでした。すべてのコーナーでマシーンは素晴らしいパフォーマンスを示し、最終的にはコースレコードでポージポジションを獲得できました。言葉では言い表せないくらい最高の気分で、深い満足感を味わうことができました」

    「レースのスタートもうまくいきました。誰にも抜かされることなくトップでターン1に進入していき、何の問題もありませんでした。すべて順調だったのです」

    マイク・コンウェイを除くすべてのドライバーがレッドタイアでスタートしており、早い段階でイエローコーションとなることを誰もが期待していた。そうすれば、残り周回数はブラックタイアで走りきれるからだ(インディカー・シリーズではレース中にレッドタイアとブラックタイアを少なくとも1度ずつ使用することが義務づけられている)。彼らの判断は間違っていなかった。序盤に3台が関係するアクシデントが発生したため、集団の後方を走るドライバーがまずブラックタイアに交換。2回目のイエローで、佐藤琢磨を含むトップグループがピットストップを行った。ピットではエリオ・カストロネヴェスとライアン・ブリスコーに抜かれたため、実質的に佐藤琢磨は3番手となったが、コース上での順位は17番手だった。

    「ピットストップで少し遅れました。ただし、まだピットしていないドライバーもいたので、レースはとても難しいものになります。あるときはブリスコーをオーバーテイクして、また次のときはポジションを落とすといったことの繰り返しでした。とても楽しいレースでしたが、やがてとんでもない災難に巻き込まれてしまいました」

    2回目のピットストップを行ったとき、佐藤琢磨はジャック・ホークワースの直後につけていた。ブリスコーはすでにピットを終えていて、佐藤琢磨はコースに復帰すると、間もなくオーストラリア人ドライバーの攻略に成功する。次の周にホークワースがピットストップを行い、佐藤琢磨の目の前でコースに復帰してきた。

    「ブリスコーは最初のピットストップであまりたくさんの燃料を給油していませんでした。おかげでピット作業では僕をオーバーテイクできたのですが、その後ピットストップでは長いスティントを走行しなければいけません。ジャックがコースに戻ったとき、彼のタイアは冷えた状態でしたが、僕とブリスコーのタイアはウォームアップが終わっていました。ターン3へのブレーキングでジャックとサイド・バイ・サイドになりましたが、僕はアウト側から無理なくオーバーテイクしました。ところが、僕とジャックの間に突然ブリスコーが割り込んできたのです。すでに僕は完全にコーナリング中だったのに、彼は止まりきれずにぶつかってきて、僕をスピンに追い込んだのです」

    これで佐藤琢磨はリードラップの最後尾に転落。けれども、このときコース上を走る誰よりも速いペースで驚くべき追い上げを図ると、集団の後方に追いついたのである。

    「僕はものすごく怒っていました。でも、マシンが好調なのはとにかく嬉しいことでした。そのままいっていれば……、どうなっていたかはわかりませんが、ひどく悔しかったことは間違いありません」

    セバスチャン・ブルデーがクラッシュしたこともあり、レースが残り6周となったとき、佐藤琢磨は11番手を走行していた。ところが、佐藤琢磨はマルコ・アンドレッティから同じような仕打ちを受けることになる。その後、マルコにはペナルティが下された。

    「残念でした。またもや追突されて、今回はウォールに接触してしまいました」 結果はまたもや18位フィニッシュという残念なものだった。

    「とてもフラストレーションが溜まりましたし、とても落胆しました。僕たちには勝てるマシンがありました。懸命に働いてくれたチームのスタッフには心からお礼を申し上げます。ポールポジションを獲得できたのは最高の気分でしたが、優勝はまたもお預けとなりました。でも、僕はこれからもチャレンジし続けます」

    そのチャンスは、今週末やってくるかもしれない。というのも、AJフォイトのホームレースであるテキサス・モーター・スピードウェイでの一戦が開催されるからだ。

    「今度もオーバルなので、とてもエキサイティングな気分です。インディ500ではレースデイにとても力強く走ることができました。あれからまだ1週間しか経っていませんが、ずいぶん前のことのような気もします。インディとテキサスではコースが異なりますが、ポジティブな部分を取り込むことはできるので、最高の結果を残したいと思います。チームのためにも、多くのポイントが絶対に必要なのです」

  • 佐藤琢磨、ポールポジションからスタートも18位 (インディカー)

    佐藤琢磨、ポールポジションからスタートも18位 (インディカー)

    佐藤琢磨は、ダブルヘッダーとして開催されたインディカー第7戦デトロイトの決勝レースを18位で終えた。

    ポールポジションの佐藤琢磨は得意のスタートをきっちりと決め、レース序盤をリード。10周目に出された2回目のフルコースコーションでタイヤをハードに交換したのも予定通りの行動だった。この日は今週で最も気温が高くなっており、ソフトタイヤで多くの周回をこなすとラップタイムが大きく落ちてしまうとの読みがあったためだ。

    土曜日のレースからマシンを大きく進歩させた佐藤琢磨は、速いペースを安定して保ってトップグループとの差を着々と縮めていった。ところが、残念なことに35周目のターン3でライバルが佐藤琢磨の後方でブレーキングをミスしたのか、コーナー入り口で後ろから接触し、イン側にいたジャック・ホークスワースも巻き込んで3台が絡むアクシデントが起こり、不運にも佐藤琢磨だけがスピン。

    19番手まで後退した佐藤琢磨は、約30周をかけて11番手まで再びばん回。しかし、63周目のリスタートのあと、今度はマルコ・アンドレッティにタイヤバリアへと弾き飛ばされ、1周遅れの18位でゴールしました

    佐藤琢磨(18位)
    「今日、すばらしいマシンを作り上げてくれたクルーたちに、まずは感謝をしたいと思います。難しいスタートを切った週末でした。土曜日のレースではメカニカルトラブルという不運に見舞われました。しかし、そのレースを利用して私たちは多くを学び、日曜日のレースに向けて大きく力を伸ばしました。おかげで今朝の予選は本当に楽しめました。マシンのレスポンスがすばらしかったので、100%信頼してのアタックができました。レースではスタートをスムーズに切れ、レース展開的にも非常にいいものになると見えていました。私たちが実質的な2位を走行していたとき、ターン3のブレーキングで後方からライアン・ブリスコーにぶつけられました。私たちが勝てていたレースでした。その後も私たちはトップ10に復活する寸前までいきましたが、今度はマルコ・アンドレッティにヒットされ、壁にぶつかる結果になりました。レースを完走することはできましたが、苦々しい思いです。チームは本当にすばらしい仕事ぶりを発揮してくれていました」

  • 佐藤琢磨、今季2度目のポジションを獲得 (インディカー)

    佐藤琢磨、今季2度目のポジションを獲得 (インディカー)

    佐藤琢磨は、ダブルヘッダーでインディカー 第7戦として開催されたデトロイトで今シーズン2度目となるポールポジションを獲得。1分16秒1371で現在の構成でのトラックレコードを更新した。

    今シーズン、佐藤琢磨がポールポジションを獲得するのは開幕戦セントピーターズバーグに続いて2度目のこと。今年に入ってから2度ポールポジションを獲得したのは、全ドライバーのなかで佐藤琢磨ただひとりとなっている。

    佐藤琢磨がインディカーシリーズでポールポジションを勝ち取ったのはこれが通算5度目、AJフォイト・チームのABCサプライ・ホンダを駆るようになってからは、これが通算3度目となる。

    11名ずつがふたつのグループに分けて行われた予選は各12分と短いもので、ある意味で「イチかバチか」の勝負となった。ABCサプライ・チームは第2グループに出走し、ここで1分16秒1371(111.115mph。約177.8km/h)という抜群のタイムを記録した佐藤琢磨は、第1グループでトップに立ったジェイムズ・ヒンチクリフを1/4秒近くも引き離した。この結果、第2グループのドライバーが奇数番のグリッド、第1グループのドライバーが偶数番のグリッドからレースに挑むことになった。

    佐藤琢磨
    「ABCサプライ・チームにとっては本当に嬉しい結果となりました。ギアボックス・トラブルに見舞われた昨日のレースは苦しい戦いでしたが、このレースをテストとして活用することで、たくさんのことを学びました。解決しなければいけない問題をいくつか見つけ、クルマをまとめ上げるためにチームとエンジニアが素晴らしい仕事をしてくれました。第1グループの様子を見ていて、トラックコンディションが非常にいいことがわかりました。(ポールポジションを獲得)できるかどうかはわかりませんでしたが、2ラップを走るとマシンの調子が素晴らしいことがわかって自信が得られ、最後のラップではマシンがぴったりと仕上がっていました。僕はただ100%集中し、ミスをしないように気をつけるだけで大丈夫でした。本当に最高の予選でした」

  • 佐藤琢磨、デトロイトの初日を7番手で終える (インディカー)

    佐藤琢磨、デトロイトの初日を7番手で終える (インディカー)

    佐藤琢磨は、インディカー第6戦デトロイトの初日を7番手で終えた。

    佐藤琢磨とABCサプライ・チームは順調にプラクティスを終えました。本日はベル・アイル内に設定された全長2.36マイル(約3.78km)の市街地コースで2度のプラクティス・セッションが行われ、No.14をつけたマシーンは順調にパフォーマンスを向上させていった。

    スムーズな路面の上を230mph(約370km/h)で走行するインディアナポリスのレースを終えた後、バンピーなストリートコースをその半分のスピードで走るデトロイトのレースに挑むには、気持ちを一度リセットする必要があると佐藤琢磨は語っていた。

    今朝のセッションで105.599mph(約169km/h)をマークして16番手につけた琢磨は、午後のセッションで108.045mph(約173km/h)を記録し、7番手へと浮上しました。

    佐藤琢磨
    「市街地コースに戻って来られて嬉しいです。今朝はグリップとバランスの改善を追い求める苦しい展開となりましたが、午後には進歩を果たすことができました。2回のセッションはいずれも短いものでしたが、僕たちは多くの仕事をこなし、大きな手応えを掴みました。トップ7で終えられた今日の結果には満足しているので、明日の予選が楽しみです」

  • 佐藤琢磨、インディ500の結果は「残念で仕方ありません」

    佐藤琢磨、インディ500の結果は「残念で仕方ありません」

    佐藤琢磨が、2014年のインディ500を振り返った。

    2014年インディ500が残り32ラップとなったターン4でスコット・ディクソンがウォールに接触したとき、このレースが残念な結果に終わったドライバーはディクソンひとりだけでは済まなかった。

    クラッシュしたマシンの破片が、その数台後方を走行していた佐藤琢磨が駆るマシンに突き刺さってしまう。

    さらにアクシデントが発生して残り21周で再スタートが切られたとき、佐藤琢磨は5番手につけており、フィニッシュまで力強くレースを戦うことが期待されていた。ところが、マシンに突き刺さった破片がブレーキのような役割を果たしたことでライバルたちに抜かれ、きわめて残念な19位でレースを終えることになったのだ。

    もっとも、19位という順位は、佐藤琢磨がもともとスタートしたポジションとそう変わらない。予選でスピードが伸び悩んだ佐藤琢磨は、33台が3列に並んでスタートを切るインディ500の伝統的なスターティンググリッドにおいて、8列目中央のグリッドに並んでいた。

    「昨年のレースで到達した位置から継続する形で今年のテストプログラムを始めることになりました」 インディアナポリスでのプラクティスが始まった当初、佐藤琢磨はそう語っていた。「そして開発する必要のある領域について取り組みました。プラクティスは7日間、クォリファイは2日間ありましたが、そのうちの数日は雨が降ったので、自分たちが思ったとおりの距離を走れたわけではありません」

    予選が行われる週末を迎えると、ポールポジション獲得を賭けて9台だけが出走できる“シュートアウト”に佐藤琢磨が進出するのは困難に思われてきた。

    「クルマは徐々によくなっていきましたが、それでも予選に向けて十分なスピードが手に入ったとは思えませんでした。ファスト・フライデイでは、スピードの伸びがいまひとつで、バランスにも満足できませんでした。しかし全体のレベルは高く、230mphを越えるドライバーが多くいたことを驚異的に思いました。」

    ホンダ勢で予選最高位に入ったのはジェイムズ・ヒンチクリフで、実際、彼は230.839mph(約369km/h)をマークしていた。いっぽう、佐藤琢磨のベストは229.201(約367km/h)で、ほんのわずかな差しかなかったことになるが、これこそ、今年のインディ500の予選がいかに熾烈な争いだったかを示しているといえる。

    「ホンダとHPDはツインターボ・エンジンの開発を見事にやり遂げたと思います。だから、自分もこのレベルで戦えなかったことはとても残念です。土曜日は気温も低くコンディションが良かったので、もう1度アタックすることを希望していましたが、セッションは雨のため1時間半にわたって中断されました。この結果、僕たちは記録を更新することができませんでした」

    「日曜日も難しい状況で、アタックは1度しかできません。この日はずっと温かくなりましたが、思うようにスピードを乗せることができませんでした。僕にとってのファステストラップでは、ターン3でウォールぎりぎりのところを走りました。1インチ(約2.54cm)もなかったくらいです! それでも僕はスロットルを緩めませんでした。僕たちのマシンはスタビリティが不足していたので、ラインはどうしてもアウト側にふくらんでしまいます。結果は23位。自分たちの期待とは違っていましたが、決勝に向けては、この結果自体は構いませんでした」

    「月曜日はフルタンクでのテストを行いました。予選後のプラクティスは今年はじめて行われた試みで、レース時の走行をシミュレーションするつもりでした。そこでトラフィックのなかを走ろうとしましたが、あわせてマシンのバランス取りもしていました。このときも思うような結果が得られなかったうえ、小さなトラブルで走行時間が失われてしまいました」

    「金曜日に行われたカーブデイでは1時間走行できましたが、引き続きバランスに関しては満足できませんでした。トラフィック内でのスタビリティが低いうえにアンダーステアも解消できていませんでした。このアンダーステアの問題を解決しようとすると、今度はスロットルを踏んだときにリアが不安定になってしまうのです」

    けれども、フォイト・チームの奮闘の成果もあり、“本番”である第98回インディ500までにマシンの状態は大幅に改善されることとなった。

    「チームは素晴らしい仕事をしてくれました。ついにトラフィックのなかでもマシンがいい感触を示すようになったのです。ここまで立て直してくれたことを、とても心強く思いました」

    「レースデイのコンディションは完璧でした。真っ青な空に覆われ、ファンの皆さんは興奮していて、去年より混んでいるように思われました。そしてパレードラップを走っているときは最高の気分を味わいました!」

    マシンの状態が改善されていたうえ、レース距離の最初の3/4では一度もイエローが提示されないという異例の展開となった。

    「スタートはまずまず上手くいきました。スムーズなスタートで、素早くリズムに乗ることができました。僕のまわりにいたドライバーは、マシンのバランスがあまりよくなく、アンダーステアに苦しんでいるように見えました。でも、僕にとっての最初のスティントは好調で、コース上でたくさんのマシンをオーバーテイクしながら23番手から12番手までポジションを上げることができました」

    「第2スティントと第3スティントに向けては、トラフィック内のフィーリングを改善するため、ピットストップの際、フロントのグリップを高める方向でフロントウィングやタイアの空気圧を調整しました。ところが、プラクティスで十分なデータを集められていなかったため、期待したほど正確な調整を行うことができませんでした。この影響で第2スティントと第3スティントでは激しいバランスシフトが起こり、ひどいオーバーステアとなってしまいました。そこで僕はウェイトジャッカーやアンチロールバーを最大限活用してニュートラルステアに近づけようとしましたが、マシンをコントロールするのは至難の業でした」

    「とはいえ、いちばん大切なことはリードラップに留まることです。けれども、イエローがずっと出なかったため、一歩間違えるとあっという間にラップダウンにされる可能性がありました。インディ500で130周もイエローが出ないとは思ってもみませんでした! ただし、第4スティント以降はバランス改善の為の調整を進めスピードを取り戻すことに成功します」

    チャーリー・キンボールがクラッシュして最初のイエローが提示されたとき、佐藤琢磨は14番手につけていた。さらに、ディクソンがクラッシュするまでに、佐藤琢磨はジャスティン・ウィルソンやファン-パブロ・モントーヤを追い抜いて10番手まで浮上していた。そして全員がピットストップを行ったこのとき、佐藤琢磨はセバスチャン・ブールデを攻略して9番手へとポジションを上げる。

    このとき、佐藤琢磨のマシンには“歓迎されない”破片が突き刺さっていたが、それでもリスタートではカルロス・ムニョスやクルト・ブッシュをターン1のアウト側から仕留め、ジェイムズ・ヒンチクリフとエド・カーペンターが接触してウォールに流されて行く左側をすり抜けていった。つまり、これで琢磨は5番手へと浮上したのだ!

    「とっても面白かったし、ここで勝負に出なくてはならないことはわかっていました。最後のピットストップを終え、ニュータイアを履いて燃料もたっぷり積んでいる。ちょうど2012年のときのようでした。とてもエキサイティングで、あのときと同じくらいいいレースになることを期待していましたが、改めてリスタートが切られるとクルマの調子がおかしいことにすぐ気づきました。ディクソンのマシンの破片がアンダーボディにダメージを与えていたのです。ただし、フロントウィングは大丈夫そうに見えたので、そのまま走り続けましたが、エアフローの乱れからダウンフォースが減っていて、リスタート後は1ラップごとに1台か2台のマシンに抜かれるようになりました。このときは、とても悲しい気分になりました」

    残り10周でタウンゼンド・ベルがクラッシュすると、イエローのままインディ500を終わらせるのではなく、観客を喜ばせるために赤旗を提示してレースを一時中断とし、フィニッシュまで残り6周のスプリントレースを行うことをオフィシャルは決めた。この場合、レースの中断中もマシンへの作業を行うことは許されないので、チームは、競技が再開される直前のイエロー中に琢磨をピットに呼び戻すことを決めた。

    「サイドポンツーンの下にカーボンの大きなパーツが張り付いているのを見つけました。そのときは何の作業もできませんでしたが、イエローが出ているときにこれを取り除き、テープを貼り付けました。残念ながら集団に追いつくほどの時間はなく、リスタートが切られたとき、僕はちょうどターン3に進入しようとしているところでした」

    フレッシュタイアを履く佐藤琢磨はリードラップを走る最後のドライバーで、ポジションは20番手だった。最終ラップ、佐藤琢磨は数台のスリップストリームに入ると、同じくリードラップを走行していたジャック・ホークワースを仕留め、19位でチェッカードフラッグを受けた。

    「チームは素晴らしい働きをしてくれました。モントーヤとも最高のバトルができましたし、ピットストップ作業にも文句のつけどころがありませんでした。期待したような結果が残せなかったことは残念で仕方ありません。でも、とてもエキサイティングでいいレースだったと思います。優勝できるスピードはありませんでしたが、もっといい順位ではフィニッシュできたことでしょう」

  • 佐藤琢磨、インディ500は不運なアクシデントで19位

    佐藤琢磨、インディ500は不運なアクシデントで19位

    佐藤琢磨は、2014年のインディ500の決勝レースで、一時5番手まで浮上するも、終盤にアクシデントの影響を受けて19位で終えた。

    23番グリッドからスタートした佐藤琢磨は、1回目のピットストップまでに15番手までポジションを上げていたが、レース中盤はマシンのハンドリングが悪化して後退を余儀なくされた。だが、佐藤琢磨とチームは粘り強くセッティング変更を重ね、レース終盤に入ってからスピードを取り戻した。

    次々と先行するマシンをオーバーテイクしていった佐藤琢磨は、175周目に9番手まで順位を上げていた。そして、176周目のリスタートで一気に5番手にジャンプアップし、上位フィニッシュを目指した。

    ところが、不運にも、このリスタートの前に起きたアクシデントでまき散らされた破片がマシンの右側に突き刺さり、佐藤琢磨のマシンはゴールを前にしてストレートではスピードが伸びず、コーナリングが不安定になっており、19位でのゴールとなった。

    佐藤琢磨 (19位)
    「スタートはスムーズに切ることができ、私たちのマシンがなかなかいいセットアップになっていることが感じられました。最初のピットストップを行う前まで、私は30周で12番手にまでポジションを上げていくことができました。ピットで私たちはトラフィック内でのハンドリングをよくするべく、セッティング変更をしたのですが、少々欲張り過ぎだったのか、調整のし過ぎになっていました。マシンは希望していたのとは反対のオーバーステアに変わり、そこからの2スティントではポジションを下げていく結果となりました。しかし、レースが折り返し点を越えたあと、私たちはマシンをスタート時とほぼ同じセッティングに戻し、順位ばん回を目指しました。スピードの戻ってきたマシンによって、私たちは再びトップ12に復帰しました。それにしても、今年は大変長い間イエローフラッグが出ないままでレースが続いていましたね。私のキャリアの中では最も長い149周もグリーンの状態が続きました。非常に残念だったのは、スコット・ディクソン(シボレー)のアクシデントで飛び散ったマシンのカーボンファイバー製の破片が、私たちのマシンに刺さってしまったことです。右サイドポッドの下側にそれは突き刺さり、リスタートでは5番手まで順位を上げたのですが、その破片によってダウンフォースが大幅に減り、スピードも大きく落ちてしまいました。仕方なくピットインして破片の除去、穴の補修、そしてタイヤ交換を行いました。その先はもうばん回するための時間が残されておらず、結果は19位となりました。ミスなくピット作業を行ってくれていたクルーたちのためにも、もっと上位でフィニッシュしたかったですね。それでも、今日のレースで私たちは、チームとして価値ある経験を積むこととなりました。厳しい一日ではありましたが、いい一日ともなっていたと思います」

  • 佐藤琢磨、23番グリッドからインディ500に挑む

    佐藤琢磨、23番グリッドからインディ500に挑む

    佐藤琢磨は、今年のインディ500を23番グリッドから挑むことになった。

    インディ500の予選が、5月17日(土)と18日(日)の2日間にわたってインディアナポリス・モーター・スピードウェイで繰り広げられた。

    全長2.5マイルのオーバルコースを1人ずつが4周連続でアタックするインディ500特有の予選方式を踏襲しながら、今年からは新しいルールが採用された。

    予選1日目には出場全員がアタックを行って予選2日目に走るグループとその順番が決められた。

    33のグリッドが決定するのは予選2日目で、出場全チームは予選初日にそれぞれが記録した予選スピードにより、トップから9番手までと、10番手から33番手までの2グループに分けられ、午前中に10〜33番グリッドを争うグループ1の予選、午後からはポールポジションからの上位9グリッドを競い合う予選グループ2の戦いが繰り広げられた。

    佐藤琢磨は、昨日のスピードを更新する229.201mph(時速368.863km)を記録したが、グループ1の14番手となり、決勝レースは23番グリッドからスタートをすることになった。

    明日もインディアナポリス・モーター・スピードウェイではプラクティスが行われ、その後3日間は走行なし。金曜日に最終プラクティスが開催され、5月25日の日曜日に200周の決勝レースが開催される。

    佐藤琢磨 (23番手)
    「予選は2日間とも厳しいものとなりました。新しい予選方式はよくできていて、とてもエキサイティングでした。予選1日目だった昨日は、天候という要素が絡んだ賭けになっていました。幸運を手にしたチームもあれば、そうでなかったチームもあったように見えました。予選2日目の私たちは、朝の気温が低かったプラクティスで新しい項目を複数チェックし、昨日と比べていくらかの前進を果たすことができました。そして迎えた予選、気温は高くなっていましたが、私たちはスピードアップを達成しました。しかし、ライバル勢もスピードを上げてきており、私たちのマシンはハンドリングがオーバーステアになっていました。なんとか踏ん張ってスロットル全開を保ち続けた4周は、壁ギリギリを走るアタックとなりました。予選までの自分たちのパフォーマンスを振り返ると、全体的に見ればまずまずの成果を挙げていると思います」

  • 佐藤琢磨、18番手となり予選2日目へ (インディ500)

    佐藤琢磨、18番手となり予選2日目へ (インディ500)

    佐藤琢磨は、インディ500の予選で18番手となり、明日は10番から33番までの決勝グリッドを争うことになった。

    第98回インディアナポリス500マイルレースは、予選のルールが昨年までとは大きく変わった。伝統的に、予選初日はポールデイと呼ばれ、その日に最速だったドライバーがポールポジションを手にしていましたが、今年から予選初日では、その翌日(予選2日目)にポールポジション争いをする9名のメンバーを決めることになった。

    気温の低いコンディションの中、33人のドライバーたちは最速の9人となるべく、ダウンフォースを減らしてドラッグを削り取ったマシンで、超高速のアタックを繰り返した。予選アタックが単独走行による4周連続である点は、インディ500の伝統として保たれ、エントリーした33人全員が、少なくとも1度のタイムアタックを行った。

    予選用にターボのブースト圧が上げられるルールによって、インディカーはスピードアップを果たし、トップ争いは、4周の平均時速が230mph台(約370km)というハイスピードなものになった。出場ドライバー、および出場チームの実力はきっ抗し、230mph台に到達できなければ、トップ9に入ることは不可能だった。インディ500の予選スピードが230mph台をマークしたのは、2003年以来のこと。

    佐藤琢磨はアタックを1度のみにとどめ、228.786mphという記録で18番手だった。A.J. Foyt Racingは2度目のアタックを行うタイミングを探っていたが、最終的にそのチャンスは訪れなかった。佐藤琢磨は、今日の走行データをもとにマシンセッティングをさらに向上させ、決勝グリッドを決定するための予選2日目に臨むこととなった。

    今年からの新ルールでは、予選1日目の走行時間終了後、午後7時までは追加のエントリーが認められていたが、締め切りまでに追加のエントリーはなされなかった。そのため、明日は10番から33番までの決勝グリッドを争う予選グループ1と、ポールポジションから9番グリッドまでを争う予選グループ2という2つの予選が行われる。

    佐藤琢磨 (予選1日目 18番手)
    「朝のプラクティスでは、気温も路面温度も大変低く、マシンのスピードは速くなっていました。予選では完全な単独走行ですが、228mphは出せるとの読みがありました。そして私たちはその通りに228mph台を出したのですが、マシンのバランスは決してよくはありませんでした。1周目、2周目はよかったのですが、3周目からはハンドリングがオーバーステアになりました。リアのグリップが下がってしまっていたのです。しかしながら、自分たちはマシンをもっと速くできるという感触を得ました。4周の間に起きたバランスの変化を小さくすることができれば、1度目以上のスピードを出せるはずだと考えました。しかし、自分たちが2度目のアタックを行うことを考えていたころには、太陽が出て気温も少しですが上がり、スピードを出しやすいコンディションではなくなっていました。自分たちとしては、1度目のアタックでのスピードをキープしたまま、2度目のアタックに挑戦したかったのですが、そのチャンスはついに訪れませんでした。明日、10番グリッド獲得を目指してがんばりたいと思います」

  • 佐藤琢磨、インディ500の予選に向けて好感触を掴む

    佐藤琢磨、インディ500の予選に向けて好感触を掴む

    佐藤琢磨は、インディ500のプラクティス6日目に227.741mphを記録した。

    インディアナポリス・モーター・スピードウェイには雨が降ったため、プラクティスはわずか19分間しか行われなかった。2台のABCサプライ・ホンダは、明日の予選に備えて真新しいエンジンに積み替えてから本日のプラクティスに臨んだ。ここで佐藤琢磨は5ラップを走行して227.741mph(約364km/h)を記録し、15番手につけた。チームメイトのマーティン・プロウマンは228.036mph(約365km/h)を記録して12番手となった。

    佐藤琢磨
    「僕が経験したインディのプラクティスとしては、今日がいちばん短かったですね。昨晩、予選用の新しいエンジンを搭載しました。マシーンは予選のシミュレーション用に仕上げられていましたが、最初にインスタレーションラップをして、続いてバランスをチェックするために何ラップか走ることしかできませんでした。その後、雨が降り始めてイエローが提示されました。けれども、マシーンの感触はとてもよく、エンジンはパワフルです。今日は悪天候のため走行を続けられなくて残念でしたが、少なくともいい感触は掴めたので、明日の予選がとても楽しみです」

    インディ500 スケジュール (日本時間)

    5月12日(月)〜 16日(金)
    01:00〜07:00 プラクティス

    5月17日(土)
    01:00〜07:00 プラクティス
    21:00〜21:30 プラクティス(グループ1)
    21:30〜22:00 プラクティス(グループ2)
    22:00〜24:00 プラクティス

    5月18日(日)
    00:00〜06:50 予選
    21:30〜22:30 プラクティス
    23:15〜25:15 予選(10位-30位)

    5月19日(月)
    01:45〜02:30 予選(31位-33位 & 33位以下)
    03:00〜03:45 予選(ファースト9:1位-9位)

    5月20日(火)
    01:00〜06:00 プラクティス

    5月24日(土)
    00:00〜01:00 プラクティス

    5月26日(月)
    01:00〜 決勝(200 Laps)

  • 佐藤琢磨、インディ500でスペシャルヘルメットを着用

    佐藤琢磨、インディ500でスペシャルヘルメットを着用

    今年インディカー5年目を迎える佐藤琢磨は、特別なデザインのヘルメットを着用してインディ500に挑戦する。

    このスペシャル・ヘルメットのデザインは、インディアナポリスを表すブリック(レンガ)模様、カーナンバーの「14」、日本の国旗、佐藤琢磨が所属するチームのオーナーであるAJフォイトがインディ500で4勝したことを示す「4つの星」を入れ込むなど、佐藤琢磨とチームにとってはとても意味深いデザインとなっている。

    このスペシャル・ヘルメットは、インディ500のレース終了24時間以内に、E-Bayのオークションに出品される予定。オークションの詳細は公式サイトにて後日掲載される。収益は「With you Japan」を通じて復興地の子供たちの支援に役立てられる。

    インディ500の決勝は、日本時間5月26日(月)深夜1時にスタートする。

    佐藤琢磨
    「スペシャル・デザインのヘルメットで挑むことになった今年のインディ500をとても楽しみにしています。このヘルメットのデザインは、いつもTSオフィシャル・グッズのデザインを担当してくれているデザイナーと試行錯誤を重ね、いろんな想いを込めてデザインしました。今年は、ファンの皆さんには日本人初のインディ500での「初星」を、そしてAJとチームに新たな「星」をプレゼントできるように全力で頑張りますので、応援よろしくお願いします!また、このスペシャル・ヘルメットはオークションに出品する予定ですので、是非ご協力ください!」