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  • ステファノ・ドメニカリ F1技術軽視批判に反論「クリップを髪留めと思う人も多い」

    ステファノ・ドメニカリ F1技術軽視批判に反論「クリップを髪留めと思う人も多い」

    F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリが、2026年の新レギュレーションやF1ファンの技術的な関心をめぐる自身の発言に対する批判に反論した。

    ドメニカリは、熱心なモータースポーツファンがいる一方で、「クリッピング」と聞いて髪留めを思い浮かべるファンも多いと語り、現在のF1が幅広い層に支持されていることを強調した。

    61歳のドメニカリは夏休み序盤、F1ファンの「大多数」は技術的な細部には興味を持っていないとの見解を示していた。2026年の新パワーユニット規則ではエネルギーマネジメントの重要性が増し、クリッピングやスーパークリッピングといった技術的なテーマが注目されているだけに、この発言にはSNSを中心に反発の声が上がった。

    「SNSではネガティブな話ばかりが聞こえてくる」
    オランダ紙『De Telegraaf』のインタビューで、技術的な部分に興味がないと一括りにされたことで一部のファンが不快感を示していることについて問われたドメニカリは、SNS上の反応だけでF1全体の状況を判断すべきではないとの考えを示した。

    「だが、ソーシャルメディアではネガティブな話ばかりが聞こえてくることが非常に多い。我々が実際に見たり聞いたりしているものは、まったく違う」

    その具体例としてドメニカリが挙げたのが、10月初旬にセパンで開催されるバーレーンGPだ。中東情勢の影響によってマレーシアで代替開催されるレースは、短期間で大きなチケット需要を集めている。

    「10月初旬にマレーシアで開催されるバーレーンGPを見てほしい。わずか数週間でグランドスタンドはすでに完売し、パドッククラブも1500枚が売れている。これは前例のないことだ」

    「それが現在のF1の強さを示している。ネガティブなことばかり言っていても前には進めない。数字を見れば、我々のビジネスが成長していることが分かる。もちろん、批判的な人たちの意見も真剣に受け止めている。しかし、私の仕事はもっと大きな全体像を見ることだ」

    「クリップを髪につけるものだと思う人もいる」
    そのうえでドメニカリは、現在のF1には技術を深く理解して観戦する従来型のファンだけでなく、より幅広い層が存在すると説明。そこで「クリッピング」を例に挙げた。

    「F1の週末に『クリッピング』について話している熱心なモータースポーツファンもいる。しかし一方で、『クリップ』と聞けば髪につけるものだと思う人も大勢いるだろう」

    2026年のF1では、新世代パワーユニットのエネルギーマネジメントが大きなテーマとなっている。特にストレート上で電気エネルギーの供給が制限されることで出力が低下するクリッピングは、レース内容を左右する要素としてファンやドライバーから注目されてきた。

    ドメニカリの発言は、そうした技術的な議論を楽しむコアなファンの存在を否定するものではなく、それだけが現在のF1の観客層を代表しているわけではないという主張だ。

    ステファノ・ドメニカリ F1

    アロンソやハミルトンと若手では「世代が違う」
    2026年のレギュレーションをめぐってはファンだけでなく、ドライバーからも不満が出ている。フェルナンド・アロンソやマックス・フェルスタッペンらも、新パワーユニットの特性やエネルギーマネジメントについて批判的な発言をしてきた。

    ドライバー自身からも否定的な意見が出ていることを指摘されると、ドメニカリは、それについても一括りにするべきではないと主張した。

    「それについても、すべてを一緒にして考えるべきではない。ドライバーの視点というよりも、世代の違いだ」

    「フェルナンド・アロンソやルイス・ハミルトンは、現在のレギュレーションについて、キミ・アントネッリやアービッド・リンドブラッドのような10代のドライバーとは違った話し方をすると思う」

    「だからこそ、全員から意見を聞くことが重要だ」

    ヘイロー導入時も「これは何だ?」という反応
    ドメニカリはさらに、F1の歴史では大きな技術変更や規則変更が導入されるたびに、ドライバーから戸惑いや反発が起きてきたと指摘した。

    現在では当たり前となった技術や安全装備も、導入当初から歓迎されていたわけではないとして、ギアシフト方式の変化や頭部保護デバイス「ヘイロー」を例に挙げた。

    「過去にも、ドライバーが『これは何なんだ?』と思った瞬間は数多くあった」

    「かつてギアシフトの方法が変わったときや、マシンにヘイローが導入されたときを考えてみればいい。今では、それがあることを当然のものとして受け入れている」

    ドメニカリは、2026年F1レギュレーションへの批判そのものを無視する考えではないとしながらも、SNSで目立つ否定的な意見だけではなく、観客動員やチケット販売を含めたF1全体の成長を見る必要があるとの姿勢を示した。

    技術を深く追求する熱心なファンから、新たにF1を見始めたライトなファンまで、現在のF1がかつて以上に幅広い層を抱えるなか、ドメニカリは「クリップ」という独特の例えを使って、そのファン層の広がりを説明した。

  • ステファノ・ドメニカリ F1最終戦中止なら欧州開催を明言「代替案はある」

    ステファノ・ドメニカリ F1最終戦中止なら欧州開催を明言「代替案はある」

    2026年F1カレンダーは、中東情勢の影響によって依然として不透明な状況が続いている。F1のCEO兼社長を務めるステファノ・ドメニカリは、カタールGPとアブダビGPの開催可否について9月中旬までに最終判断を下す考えを明らかにした。

    また、仮に両レースの開催が不可能となった場合でも、シーズン最終戦をラスベガスGPで終える考えはなく、「ヨーロッパでシーズンを締めくくる」と明言した。

    さらに2027年についても、中東情勢の長期化を見据えた代替計画をすでに準備していることを認めている。

    F1は9月中旬までに最終判断へ
    2026年シーズンは、中東地域の紛争によって大きな影響を受けている。

    4月にはバーレーンGPとサウジアラビアGPが中止となり、MotoGPやWEC(世界耐久選手権)も相次いで開催計画を変更。F1ではアゼルバイジャンGPは予定どおり開催される見込みだが、終盤に予定されるカタールGPとアブダビGPの開催には依然として不確実性が残っている。

    ドメニカリは現状について次のように説明した。

    「現時点ではカタールとアブダビでのレースは開催予定だ。ちなみに両大会ともすでに完売している。これは、世界が直面している問題を超えて、このスポーツがいかに大きな存在になったかを示す素晴らしい証拠だ」

    「もちろん、私たちが望むような形で状況が改善しなければ、9月中旬までには判断を下す」

    「もし開催できない場合、シーズンの締めくくりはヨーロッパになる。他地域へ移すことはできないからだ」

    F1 中東ラウンド

    ラスベガス2連戦案は却下
    バーレーンGPについては10月4日に復活開催し、アゼルバイジャンGP、シンガポールGPとの3連戦を構成する案も検討された。しかし実現には至らず、代わりにマレーシア・セパンで『バーレーンGP in マレーシア』として開催されることが決定している。

    この結果、仮にカタールGPとアブダビGPが中止となっても、2026年シーズンは最低21戦が確保される見込みだ。

    一方でF1は、11月21日のラスベガスGPを最終戦とすることは避けたい考えだという。

    一時はラスベガスで2週連続開催する案も浮上したが、ドメニカリは否定した。

    「ラスベガスで2レース開催する可能性もあった。しかし、成長を続けている宝石のようなイベントの価値を、自分たちで下げるようなことはしたくない」

    「さらに、その時期のアメリカではNFLと真っ向から競合することになる」

    「アメリカでは非常に大きなスポーツであり、多くのファンがNFLを見ている。そのような巨大なイベントと正面からぶつかる状況は避けなければならない」

    2027年も代替カレンダーを準備
    ドメニカリは、2027年シーズンについても中東情勢が引き続き影響を及ぼす可能性を認めた。

    秋に発表予定の2027年カレンダーは通常どおりの開催計画になる見通しだが、情勢悪化に備えて複数の代替案を準備しているという。

    「今秋に発表するカレンダーは、基本的には通常のプランになる」

    「ただし、中東情勢が解決しない場合に備えて、私たちは複数の選択肢を用意している」

    「その判断を下すタイミングは、今年末になる予定だ」

    今回の発言は、F1が2026年だけでなく2027年以降についても、中東情勢を踏まえた柔軟な開催計画を進めていることを示すものだ。今後は9月中旬の判断と、秋に公表される2027年カレンダーの内容が注目される。

  • ステファノ・ドメニカリ F1中継データ軽視発言が波紋「ファンを侮辱している」

    ステファノ・ドメニカリ F1中継データ軽視発言が波紋「ファンを侮辱している」

    F1のステファノ・ドメニカリCEOが「誰もクルマをどう運転しているかには興味がない」と発言したことが波紋を広げている。近年のF1中継でバッテリー残量や速度、ブレーキ、スロットル開度などのデータ表示が省略されたことへの不満が高まる中、その発言に対してレッドブル・スーパーカーズのスコット・パイが「ファンを侮辱している」と痛烈に批判した。

    とりわけ2026年F1イギリスGPとベルギーGPでは、オーバーテイクを理解するうえで重要な車載データが表示されず、多くのファンが不満を表明していた。

    そうした状況で飛び出したドメニカリCEOの発言は、F1が目指す新規ファン獲得と、従来ファンが求める情報量とのギャップを改めて浮き彫りにしている。

    ドメニカリCEO「ファンは運転技術よりアクションを求めている」
    近年のF1中継では、シルバーストンやスパ・フランコルシャンで車載データ表示が大幅に削減されたことが議論となった。

    特に両サーキットはエネルギーマネジメントが重要なレイアウトであり、回生の機会が少ないためバッテリー不足に陥りやすい。ベルギーGPでは「スーパークリッピング」によってマシンがケメルストレート終盤でGT3マシン並みまで減速する場面も見られたが、その原因を示すデータは中継画面に表示されなかった。

    一方、エネルギー管理の影響が比較的小さいハンガリーGPでは、それらのグラフィック表示が復活した。

    こうした中、ドメニカリCEOはハンガリーGPで『スター・ウォーズ』の生みの親であるジョージ・ルーカス氏との会話を紹介し、次のように語った。

    「ハンガリーでジョージ・ルーカスと興味深い話をした。彼は新しいファンがF1をどう見ているかについて、とても興味深い考えを聞かせてくれた」

    「彼らはアクションがたくさんあることに魅了されている。スロットルの開度やブレーキ圧が何%だったか、どうやってオーバーテイクしたかには興味がない」

    フォーミュラ1

    スコット・パイ「ファンを侮辱している」
    この発言に強く反発したのが、レッドブル・スーパーカーズのドライバーであり、ポッドキャスト『Apex Hunters』でも知られるスコット・パイだった。

    パイは、技術データを求めるファンを軽視するような発言だとして厳しく批判した。

    「ステファノ・ドメニカリは、ファンを侮辱している。削除されたHALO上のグラフィックなんて誰も気にしていないと本当に思っているのか? 少なくとも僕は気にしている」

    「F1は、僕たちが『ストレートの途中で急に減速したのはバッテリー切れだ』と理解できないほど愚かだと思って、あの表示を消したんだろう」

    さらに、ドメニカリCEOがジョージ・ルーカス氏の意見を根拠に挙げたことにも皮肉を交えた。

    「ジョージ・ルーカスが何を知っているというんだ? 信じられない話だ。もちろん興味深い会話だったんだろう。でも彼が毎日普通のF1ファンと接しているわけじゃない。僕たちファンが何に興味を持っているかを本当に分かっているとは思えない」

    「スロットル開度や、オーバーテイクするために何が必要なのかに興味を持つファンを、まるで愚か者扱いするのは侮辱だ。ブレーキング中のオンボード映像にデータ表示を付けて見せてほしい。それだけでいい」

    新規ファン獲得とコアファンの期待の間で揺れるF1
    近年のF1は、エンターテインメント性を重視して新規ファン層の拡大を進めている。一方で、エネルギーマネジメントやブレーキング、バッテリー使用状況といった技術的要素もF1の魅力の一つであり、長年のファンからは中継での情報量維持を求める声が根強い。

    今回のドメニカリCEOの発言は、新しい観客を意識したF1の方向性を示した一方で、コアファンが重視する「技術を理解しながら観戦する楽しさ」との距離感を改めて浮き彫りにした。今後、中継演出がどのようなバランスを目指すのかにも注目が集まりそうだ。

  • ステファノ・ドメニカリ シルバーストンでのF1イギリスGP「永久開催」に前向き

    ステファノ・ドメニカリ シルバーストンでのF1イギリスGP「永久開催」に前向き

    F1の最高経営責任者(CEO)であるステファノ・ドメニカリは、イギリスGPの開催地シルバーストンについて、2034年までの現行契約を超えて開催を継続する意向を示した。「永遠に開催する」という構想についても協議に応じる姿勢を明らかにしている。

    現在、シルバーストンは2024年に締結した10年契約により、2034年までF1イギリスGPの開催が保証されている。しかしドメニカリは、さらに長期的な関係構築に前向きな考えを示した。

    シルバーストンは「永遠にカレンダーにあるべき」
    英紙『Daily Mail』の取材で、「シルバーストンを永遠に開催し続ける契約を結ぶ考えはあるか」と問われたドメニカリは、その可能性を否定しなかった。

    「もちろん、その話し合いには応じる用意がある」

    「必要なのは、腰を据えて双方にとって適切な条件を見つけることだけだ。シルバーストンはF1カレンダーにふさわしいサーキットだ」

    「ここは永遠に開催されるべき場所だ」

    この発言は、F1が世界各地へ開催地を拡大する一方で、歴史あるグランプリの価値も重視していることを改めて示すものとなった。

    英国で代替できるサーキットは存在しない
    ドメニカリは、現時点でイギリス国内にシルバーストンの代わりを務められるサーキットは存在しないとの認識も示した。

    「イギリスには、ブランドハッチでもドニントンでも、現在のF1を開催するために必要な収容能力を持つ場所はない」

    「F1はそれほど大きなイベントになっている」

    F1人気の拡大に伴い、施設規模や観客受け入れ能力が開催地選定の重要な条件になっていることを強調した。

    56万人超が来場予定 歴史だけではなく進化も評価
    今週末のF1イギリスGPには、4日間で過去最多となる約56万5,000人が来場し、決勝日だけでも約17万5,000人が訪れる見込みとなっている。

    ドメニカリは、これだけの観客を受け入れる運営体制についても高く評価した。

    「これだけ多くの人が来場する中で、物流面の問題を最小限に抑える素晴らしい仕事をしている。これはうれしい悩みだ」

    さらに、シルバーストンが伝統に甘んじることなく進化を続けている点を称賛した。

    「歴史に頼るだけではいけない。しかし彼らはここ数年、ファンに最高の体験を提供する必要性をしっかり理解し、それを実践してきた」

    「モータースポーツへの情熱を最も強く感じられる場所の一つだ」

    「どこの国の人であっても、ここに来れば鳥肌が立つはずだ」

    F1は近年、新たな開催地の開拓を積極的に進める一方で、シルバーストンやモンツァ、モナコといった伝統あるグランプリの価値も重視する姿勢を示している。ドメニカリの発言は、シルバーストンが2034年以降もF1カレンダーに残る可能性を強く示唆するものとなった。

  • ステファノ・ドメニカリがアロンソを絶賛「50年でもF1にいてほしい」

    ステファノ・ドメニカリがアロンソを絶賛「50年でもF1にいてほしい」

    フェルナンド・アロンソの将来を巡る憶測が再び高まっている。F1のCEOであるステファノ・ドメニカリは、アロンソに対する変わらぬ敬意を示しながら、「50年でもF1にいてほしい」と語った。

    2026年のバルセロナ・カタルーニャGPでは、アロンソ自身が「最後の母国レースだったかもしれない」と発言。さらに2027年にアルピーヌへ移籍し、かつての盟友フラビオ・ブリアトーレと再タッグを組む可能性も報じられており、去就への注目が集まっている。

    ドメニカリ「アロンソには50年でもF1にいてほしい」
    スペイン紙『AS』の取材に応じたドメニカリは、長年にわたってF1を支えてきたアロンソへの思いを率直に語った。

    「フェルナンドには50年でもここにいてほしいよ。もちろん彼は同意しないだろうけどね」

    冗談交じりにそう語ったドメニカリだが、その言葉には本心もにじんでいた。

    両者はアロンソがフェラーリに在籍していた時代から親交が深く、ドメニカリは当時チーム代表としてともに戦っていた。

    苦境のアロンソに同情「才能を示すチャンスが必要」
    アロンソにとって母国GPは厳しい週末となった。予選では最後尾に沈み、決勝もバッテリートラブルによってリタイアを喫した。

    その状況について問われたドメニカリは、アロンソへの敬意を強調した。

    「私はアロンソをとても尊敬しているし、彼が素晴らしいドライバーだということも知っている」

    「だが同時に、彼が非常に粘り強い人間であることも知っている」

    「良いマシンを手にできれば、彼はまだ自分の才能を証明する機会を得られるはずだ」

    「彼のメンタリティはあらゆるレベルで恐れを知らず、常に全力で挑むものだ」

    さらにドメニカリは、アロンソには適切なプロジェクトが必要だと指摘した。

    「彼には正しいプロジェクトが必要だ。私はそれがここであることを願っている。しかも1年だけではなく、もっと長くね」

    引退後のF1については語らず
    アロンソが引退した場合、F1が何を失うのかという質問に対し、ドメニカリはその話題自体を避けた。

    「そんな話をする時ではないよ。私は彼にまだ長くここにいてほしいからね」

    また、スペインのDAZNでも同様の見解を示している。

    「彼はチャンピオンであり、その才能と速さを示せるマシンが必要だ」

    「もしフェルナンドが別のクルマに乗っていたら、トップ争いをしていただろう」

    「彼は非常に強いし、決して諦めない真のチャンピオンだ」

    アロンソ「アップグレードの成果を見たい」
    一方のアロンソは、シーズン後半に予定されているアストンマーティンとホンダのアップグレードが、自身の将来を左右する可能性を示唆している。

    「僕たちは団結しなければならない」

    「シーズン後半にはアップグレードによってもう少し競争力が高まることを期待している。でも結果を見なければならない」

    「ある時点で、アップグレードが本当にマシンを速くしたことを確認する必要がある。近年は必ずしもそうではなかったからね」

    「今年の開発でいくつかのことを証明しなければならないし、その後で状況が改善してくれることを期待している」

    アロンソはまた、母国ファンへの感謝も改めて口にした。

    「週末で一番素晴らしかったのは、ファンのみんなの応援だった」

    「僕にとっては、おそらくバルセロナでの最後のレースだったかもしれないし、本当に感情的な時間だった」

    「クルマを降りている時間はすべて楽しめた。でも残念ながら、彼らにふさわしい結果を届けることはできなかった」

    「シーズン後半に改善できることを願っている」

    44歳となったアロンソは依然として将来について明言していない。しかしドメニカリの発言からも分かるように、F1界全体がまだこの伝説的ドライバーの引退を望んでいないのは確かだ。アストンマーティンとホンダが後半戦で競争力を取り戻せるかどうかが、アロンソの次なる決断を左右する重要な要素となりそうだ。

  • ステファノ・ドメニカリ F1新規則の調整焦点「予選フルアタックと安全性」

    ステファノ・ドメニカリ F1新規則の調整焦点「予選フルアタックと安全性」

    ステファノ・ドメニカリは、2026年F1レギュレーションの見直しに向けて、現在の議論が「正しい方向」に進んでいるとの認識を示した。調整の主な焦点として挙げたのは、予選でドライバーがより全開に近い走りをできる環境づくりと、ドライバー側から指摘が出ている安全面の懸念への対応だ。

    3月にオーストラリア、中国、日本で開幕3戦が行われ、2勝を挙げたメルセデスのアンドレア・キミ・アントネッリがランキング首位に立っている。

    5月1日〜3日のマイアミGPを前に、FIA、チーム、ドライバーの間ではレギュレーション調整に向けた議論が続いており、ドメニカリはその進展に手応えを示した。

    マイアミ前に示される可能性がある調整の方向性
    ドメニカリは、マイアミGP前にFIAから調整内容が示される可能性に言及し、焦点となるのは大きく2つの領域だと説明した。

    「できればマイアミの前に、主に2つの考慮事項に対処するため、どのような調整が行われるのかをFIAが示してくれることを期待している」

    「ひとつは予選だ。可能な限りフルパワー、あるいはフルブレーキングの状態で走れるようにすること。そしてもうひとつは、もちろんドライバーたちが安全面で指摘しているいくつかの懸念を、正しい形で解決することだ」

    予選で求められる“限界走行の自由度”
    予選に関しては、まさに現在進行形で議論が続いている領域だと強調した。

    「そこはこの数週間、ドライバーたち、チームたち、そしてもちろんFIAの調整のもとで取り組んでいる領域だ。何が正しい調整になり得るのかを見極めようとしている」

    「だから一般論として言えば、何かについて議論しているというのは、私は常に素晴らしいことだと思っている。建設的な議論を生むからだ。私が好まないのは、批判のための批判をする人たちだ。なぜそうするのかは分からない。批判するための批判は誰の助けにもならないし、本当に何の効果もない」

    ステファノ・ドメニカリ F1レギュレーション

    FIA・チーム・ドライバーの協議は前進中
    ドメニカリは、ここ数か月にわたる関係者間の協議についても前向きに評価した。

    「FIA、チーム、そして今はさらにドライバーたちとも行われている議論は、正しい方向に進んでいると思う」

    「実際、今週、そして来週もマイアミの前に会合があり、状況を改善するために、あるいは調整するために何ができるのかを確認していく」

    また、ドライバーの意見を重視する姿勢も明確にした。

    「彼らとの私の会話は間違いなくとてもオープンなものだし、彼らも私が彼らの意見を大切にしていることを分かっている。私は彼らに関与してほしいと思っている」

    「我々がともに成し遂げてきたことには敬意を持っているが、同時に耳を傾けることにも、そして建設的に一緒に行えるあらゆる指摘に対して非常に、非常にオープンであることにも敬意を払っている」

    ファンの反応は“非常にポジティブ”
    一方で、シーズン序盤のファンの反応については強い手応えを感じているという。

    「結果は素晴らしいし、とても良いものだ。みんな『何が起きているんだ?』と言っている。アクションがたくさんあるし、これこそ人々が見たいものだ」

    「全体として見れば、ファンからの反応は非常にポジティブだった。それが今は1か月レースがないことでいったん途切れているが、マイアミで我々が一緒に行うべき調整を加えたうえで、どんな結果になるのかを見るのを楽しみにしている」

    さらに、3大会が完売し、視聴者数も増加していることから、F1への注目度はこれまでになく高まっていると説明した。

    「我々がやっていることに対する関心と注目の強さは素晴らしい。3つのイベントが完売し、視聴者数も増えている。我々のスポーツへの関心はこれまでで最も高い」

    求められているのは“修正”であって“否定”ではない
    今回の発言から見えるのは、2026年F1レギュレーションを抜本的に否定する姿勢ではなく、競技としての完成度を高めるための調整段階に入っているという点だ。

    予選でドライバーが限界まで攻められる状態を取り戻すこと、安全面の不安を解消すること。その2点を軸に、FIA、チーム、ドライバーが協力して最適解を探っている。

    マイアミGPまでにどこまで具体的な調整が示されるのかが次の焦点となるが、少なくとも現状はパニックではなく、建設的な改善プロセスとして進行している。

  • F1 CEOステファノ・ドメニカリ、ミラノ・コルティナ五輪の聖火リレーに参加

    F1 CEOステファノ・ドメニカリ、ミラノ・コルティナ五輪の聖火リレーに参加

    ステファノ・ドメニカリは、F1のパドックを離れ、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック・パラリンピック競技大会の聖火リレーに参加した。F1 CEOを務めるドメニカリは、イタリアで開催される大会を前に、トーチベアラーとして聖火を掲げて走った。

    走行は1月28日に行われ、雪に覆われたラディン地方を舞台に展開された。聖火はカナツェイからカンピテッロ・ディ・ファッサを経て運ばれ、ラディン地方の名所を巡りながらカレッツァ湖に到達。その後、ソラガとモエナで午前中の行程を終えた。

    ドメニカリは、クロスカントリースキーの名選手フランコ・ノーネス、カーリング金メダリストのアモス・モザネルとともに走行。さらに、ダニエラ・チェッカレッリ、イゾルデ・コストナー、カレン・プッツァーといった元トップアスリートもトーチベアラーとして名を連ねた。

    午後には、聖火はプレダッツォのスキージャンプ競技場を経由し、マージ・ディ・カヴァレーゼへと進み、最終的にカヴァレーゼで夕刻のゴールを迎えた。大雪のなかで行われたこのリレーは、イタリア全土で大会への機運を高める象徴的な一日となった。

    今回の登場は、同週にメルセデスのルーキー、アンドレア・キミ・アントネッリが雨の中で聖火を運んだことに続くものでもある。F1界からも、2026年に向けた“火”が各地で灯されている。

    一方でドメニカリは、2026年F1シーズンを前に、2025年シーズンを振り返るコメントも残している。Sky Sports F1のインタビューで「フェノメナルだった」と表現し、商業パートナーからも大きな関心が寄せられた一年だったと語った。

    「このエネルギーを今の段階からしっかり感じ取り、あらゆるレベルでF1を成長させていきたい。全員が重要な存在だと感じられる環境を作ることが、我々の目標だ」と述べ、2026年に向けた期待を示した。

    ミラノ・コルティナ2026冬季大会は、2月6日から22日までイタリア各地で開催される。F1の2026年シーズンは、その後3月6〜8日にオーストラリアGPで開幕する予定だ。モータースポーツの頂点に立つF1と、世界的なスポーツの祭典が交差する形で、イタリアは2026年を迎えようとしている。

  • F1ドメニカリCEO フジテレビ社長と対談「日本GP継続の鍵は新たなファン層」

    F1ドメニカリCEO フジテレビ社長と対談「日本GP継続の鍵は新たなファン層」

    F1のステファノ・ドメニカリCEOが来日し、フジテレビの清水賢治社長と対談を行った。3月27日から29日にかけて開催される日本グランプリを前に、F1の日本市場における今後の展望や、次世代ファン獲得への取り組みについて意見を交わした。

    日本グランプリは第3戦として三重県の鈴鹿サーキットで開催される。2026年シーズンは、ホンダがアストンマーティンと組んでF1に復帰するほか、フジテレビがF1中継40年目を迎え、2026年から5年間の日本国内独占放送・配信契約を結ぶなど、日本にとって節目の年となる。

    「40年のパートナーシップを次の世代へ」ドメニカリCEO
    フジテレビとの関係について問われたドメニカリCEOは、まず長年の協力関係への感謝を述べた。

    「清水社長をはじめ、フジテレビのみなさまには心から感謝しています。F1へのコミットメント、スポーツに対する情熱、そして40年にわたって声を挙げ続けてくれたことが、我々にとって非常に重要です。この40年間、前を向いて一緒に進化し、発展してきたことをうれしく思っています」

    その上で、今後の重点として「新しい世代」へのアプローチを挙げた。

    「これからは、新しい世代に向けてファンを広げていくことが大切です。これまでF1を支えてくれた方々、長年のファン、そして新しい層のすべてと一緒に、F1を進化・発展させていきたいと考えています」

    フジテレビ清水社長「80年代の熱狂をもう一度」
    これを受け、清水賢治社長は、日本におけるF1の可能性について次のように語った。

    「F1は40年前と比べても大きく進化しています。世界的にもブームとステータスは高まっており、その中で日本でも次世代、今の子どもたちや将来のファンを増やしていきたい」

    さらに、フジテレビが持つメディアの力を生かす考えを示した。

    「地上波、CS、インターネット配信といった複数のメディアを駆使し、F1の今のステータスをさらに拡大して、若い世代にも広げていきたいです」

    ホンダ復帰と“ジャパンパワー”の存在感
    対談では、日本メーカーの役割にも話題が及んだ。ドメニカリCEOは、ホンダがアストンマーティンと組んでF1に復帰することの意義を強調した。

    「ホンダが確信を持ってF1に戻ってきてくれたことは、日本にとって非常に大きな意味があります。1964年からF1に参戦し、多くの成功とチャンピオンシップを築いてきたブランドです。その情熱と技術が再びF1に加わることは重要です」

    さらに、ハースと技術的な関係を持つトヨタの存在にも触れた。

    「トヨタの関与も大きな意義があります。新しいアイデアと価値観を持ち込み、日本市場に新たな風を吹き込んでくれる存在です」

    ステファノ・ドメニカリ 日本グランプリ 角田裕毅

    鍵は「若い世代との接点」
    ドメニカリCEOは、今後の成長の鍵としてコンテンツ戦略を挙げた。

    「新しい世代は、常に魅力的なコンテンツに触れている必要があります。我々が一緒に作るコンテンツが、どれだけ若い世代とのつながりを生み出せるかが、成功の鍵になります」

    日本開催についても、長期的な継続への意欲を示した。

    「日本でのF1開催は、今後も長く続けていきたいです。レースだけでなく、東京で行ってきたようなイベントや、F1ウィーク全体を盛り上げる取り組みも継続していきたい」

    日本人ドライバーへの期待
    日本人ドライバーについて問われると、ドメニカリCEOは角田裕毅に言及した。

    「もし私がチームを持っていれば話は別ですが、今年、角田裕毅選手はリザーブドライバーになります。集中力と忍耐を持って取り組んでほしいです。チャンスはまた巡ってくるかもしれません」

    さらに、育成の重要性も強調した。

    「ホンダの復帰によって、若いドライバーの育成がさらに進むことを期待しています。日本人ドライバーを再び誕生させるためにも、育成は欠かせません」

    これに対し清水社長も「若手を育てていきたいですね」と応じ、ドメニカリCEOは「育成につながるコンテンツを一緒に作ることもできるかもしれません」と語った。

    2026年シーズン、日本でのF1露出も拡大
    2026年F1は全24戦で開催され、開幕戦オーストラリアから最終戦アブダビまで、全セッションをフジテレビNEXTライブ・プレミアム、フジテレビNEXTsmart、FODで放送・配信する予定だ。

    また、オーストラリアグランプリと日本グランプリは地上波でのダイジェスト放送も予定されている。

    ドメニカリCEOと清水社長が口をそろえて強調したのは、「次世代のファンをどう増やすか」という点だった。2026年、日本のF1は新たな局面を迎えようとしている。

  • ステファノ・ドメニカリ F1の“ショー化”批判に反論「革新こそ成長の原動力」

    ステファノ・ドメニカリ F1の“ショー化”批判に反論「革新こそ成長の原動力」

    F1の最高経営責任者(CEO)ステファノ・ドメニカリは、シンガポールGP放送をめぐる“ショー化”批判の声に対し、F1の成長には「革新とコミュニケーションの進化が不可欠だ」と強調した。

    カーロス・サインツがシンガポールGPでのテレビ中継において、セレブやドライバーのパートナーを過剰に映し出したと苦言を呈したことから、F1の演出をめぐる議論が再燃。F1のメディア部門は「常にレースのベストショットを届けることを最優先としている」と反論し、「オン・トラックの出来事を犠牲にしているわけではない」とコメントした。

    一方で、独『Auto Motor und Sport』誌は先週のアメリカGP(オースティン)中継が「意図的にセレブの映像を避けた」と報道。フィニッシュライン上空のドローン映像やピクチャー・イン・ピクチャーによる走行比較など、技術的な映像演出が称賛された。

    「スプリント導入も“革新”の一環」ドメニカリが語る成長戦略
    イタリア・ミラノで開催されたデロイト主催「Brand Connection」イベントで、ドメニカリは伊『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙の取材に応じ、F1の成長には常に革新があったと語った。

    「我々はすべての面で革新を試みてきた。スポーツ面ではスプリントの導入が象徴的な例だ。フォーマットを変えることで注目を高め、異なるアプローチでサーキットを見せることができた」とドメニカリは述べた。

    彼によれば、この哲学はF1の発信方法にも通じているという。

    「同じことはコミュニケーションにも言える。異なる形のコンテンツを、特に若い世代に向けて届けることだ。こうしたトレンドを読み取り、F1というプラットフォームをより大きな存在にできたことを誇りに思う」と続けた。

    伝統と新世代ファンの両立が鍵
    伝統的ファンと新規層のバランスについて問われると、ドメニカリはこう答えた。

    「ファンベースは確実に拡大している。長年支えてくれたコアなファン層があり、同時に新しい世代にも届いている。重要なのは、異なる形で正しい情報を伝えることだ。技術データを重視するファンにも応えられるよう努めている。結局のところ、挑戦の舞台は常にサーキット上にある。それこそが我々にとって最も重要な部分だ。」

    「進化を止めず、関連性を保つことが挑戦」
    ドメニカリは今後もF1が時代に合わせて進化し続ける必要があると述べた。

    「我々が直面する挑戦は、あらゆる次元で“関連性”を保ち続けることだ。テクノロジー面では持続可能な燃料や新レギュレーションなどで主導的な役割を果たすことになるだろう」

    「もう一つの側面はエンターテインメントだ。これまで以上に包括的で、サーキットやデジタルなどあらゆる形でファンに独自の体験を提供する必要がある」と締めくくった。

    F1の“ショー化”は危険か、それとも進化か
    今回のドメニカリの発言は、F1が“スポーツかショーか”という二項対立を超える視点を示したものだ。サインツの批判が象徴するように、F1中継の「演出過多」への懸念は根強いが、一方でNetflix『Drive to Survive』の成功が示すように、映像と物語による発信は新たなファン層を生んできた。

    F1のメディア戦略は今後も、「競技の純度」と「観る側の体験価値」の両立を模索する局面にある。
    そしてドメニカリが言うように、「進化を止めない」ことこそがF1の存続条件である以上、2026年の新時代に向けてF1は“伝統の再定義”を迫られている。

  • ドメニカリの発言が物議「若いF1ファンにはモナコとラスベガスに違いはない」

    ドメニカリの発言が物議「若いF1ファンにはモナコとラスベガスに違いはない」

    F1のCEOステファノ・ドメニカリが発言した「若いF1ファンにはモナコとラスベガスに違いはない」というコメントが波紋を呼んでいる。伝統と商業化のはざまで揺れるF1の現状を語った今回のインタビューは、ファンの間で賛否を呼んでいる。

    F1のCEOであるステファノ・ドメニカリは近年、伝統派のファンを苛立たせる発言を繰り返している。スプリント・ウィークエンドの拡大やリバースグリッド導入など、レースフォーマットの変更に言及してきただけでなく、開催地そのものにも変化の波が押し寄せている。

    今週、イタリアのポッドキャスト『Passa dal BSMT』に出演したドメニカリは、いわゆる「歴史的」サーキットの今後について再び話題に触れた。開催を希望する国が増える中で、これらの伝統サーキットがカレンダーに残るためには何が必要なのかという点である。

    「今日では、我々が話している投資レベルは過去とはまったく異なるものだ」と彼は語った。

    「2020〜2021年のスライディング・ドアのような転換期に私が就任したが、今は一つのドアが閉じ、別のドアが開いた。競争は変わり、状況はより攻撃的になっている。だから、情だけでは十分ではない」

    「グランプリの開催を継続する上で、歴史的価値やイメージを絶対的な基準にするのか」と問われたドメニカリは、明確にこう答えた。

    「いや、もちろんグランプリに歴史的価値があることは“プラス・プラス”だが、それだけでは不十分だ」と彼は言う。

    「それは歴史を加える要素であり、私のように子どもの頃からF1を見てきた人間にとっては重要だ。しかし、F1をフォローしている新しいファンたちにとっては──奇妙に聞こえるかもしれないが、我々が持っているデータによれば、ニュースをスクロールし、去年誰が勝ったかを忘れるスピードは非常に速いんだ」

    「つまり今日、多くの若いファンにとって、モンテカルロでレースをすることと、新しいラスベガス・サーキットでレースをすることの間に違いはない。だから、歴史は我々にとって根本的な要素ではない。だが言っておきたいのは、歴史は未来を見据えた構造によって支えられるべきだということ。インフラへの投資を可能にしなければならない。チケットは決して安くないのだから、あらゆるレベルのファンにサービスを提供し、カレンダーに財政的に参加できる国々が存在することを可能にしなければならない。私は、今のレース数以上に増えることはないと思っている」

    リバティ・メディアが2017年1月にF1の商業権を取得して以来、F1の姿勢は徐々に変化してきた。その直後、当時の“興行主”バーニー・エクレストンは「名誉会長」という名ばかりの肩書を与えられ、事実上追放された。

    後任となったCEOチェイス・キャリーは、エクレストンの退任直後のインタビューで「歴史的会場は安全だ」と断言していた。当時の基準は、カレンダー上の年数よりもF1の歴史的意義そのものに重きを置くというもので、キャリーは具体的にシルバーストン、モナコ、ホッケンハイム、ニュルブルクリンクの名を挙げ、「伝統を維持してこそF1の価値がある」と語っていた。

    当然ながら、突然“神聖な商業牛”であるエクレストンを処刑台に送った直後であり、キャリーのメッセージは「我々がビジネスに新しい印を付けるが、壊すつもりはない」という安心感を与えるものであったのだ。

    そのキャリーが当時名指しした歴史的会場をいま振り返ってみるのは興味深い。

    ニュルブルクリンクは2013年を最後に資金難でカレンダーから消え、COVIDの影響で2020年に「アイフェルGP」を開催したのが唯一の例外だった。

    老朽化の進むホッケンハイムも2019年を最後に姿を消している。

    一方、シルバーストンは週末通しの音楽イベントなどで観客体験を拡張し、長期契約を勝ち取った。モナコは伝統的にF1中継と看板広告の権利を握っていたが、それを譲歩することでようやく契約延長にこぎつけた。

    ドメニカリが自身のCEO就任を「スライディング・ドアの瞬間」と表現するのは適切だ。

    COVIDという存亡の危機に直面したF1は、放映契約を維持するためにレースを開催できるサーキットを“借りる”という財政的な工夫を行わざるを得なかった。

    これが、ニュルブルクリンクやイモラが再びカレンダーに復帰するきっかけとなった。

    同時期にNetflixのシリーズ『ドライブ・トゥ・サバイブ』が世界的ヒットとなり、予想を超えるスピードで新しい観客層が拡大した。

    だが、いわゆる“レイト・キャピタリズム(後期資本主義)”の原則に従えば、その成長を止めるわけにはいかない──そして、より高額な開催料を支払う新興開催地のために“聖なる牛”=クラシックサーキットが犠牲になるとしても、止むを得ないというわけだ。

    ドメニカリ自身も、2022年初頭のラウンドテーブルではこう語っていた。

    「我々は、新しいレースの到来と歴史的グランプリの継続をバランスさせなければならない。これらのサーキットはカレンダーに残り続けなければならない」

    しかし、コンコルド協定によってレース数を24戦以上に拡大することは理論上可能であるものの、人的リソースの観点から24戦が現実的な上限だと関係者間では合意されている。

    そのため、限られた枠をめぐる競争はかつてないほど激化している。

    不動産業界には「プランニング・クリープ」と呼ばれる現象がある。

    これは、議論を呼ぶ開発案件が条件付きで許可され、その後の小さな修正を繰り返すうちに制約が次第に緩和されていくというものだ。

    携帯電話の基地局が反対を押し切って建設された後、数年後に拡張申請が提出される──そうした流れである。

    ステファノ・ドメニカリ F1

    F1の歴史的会場も、同じ道をたどる運命なのだろうか。

    すでにザントフールトはカレンダーから去ろうとしており、スパ=フランコルシャンも“ローテーション制”に移行し、隔年開催となる見込みだ。

    かつてのニュルブルクリンクとホッケンハイムも、交互開催を経て最終的には完全に姿を消した。

    このローテーション制は、マーケットを“慣らす”ための布石でもあるかもしれない。

    スパのような伝統サーキットを毎年ではなく隔年で見ることにファンが慣れてしまえば、いずれ完全に姿を消しても痛みは小さくなる。

    F1から伝統的会場へのメッセージは単純だ。

    「誰も安全ではない。生き残りたければ成長し続けよ」

    まさに後期資本主義の縮図である。

    だが当然ながら、多くの古参サーキットはインフラや観客収容力の拡張能力に欠ける。

    それは立地の問題でもあり、資金提供者の問題でもある。

    自力で採算を取らなければならない伝統サーキットは、政府補助を受けて新設されるサーキットとは競争にならない。

    ドメニカリは、カレンダーから外れることになったイモラについてこう語っている。

    「イモラは開発の文脈が非常に限られた都市だ。インフラやホテルを拡張することは難しい。あるがままの姿でしかない。歴史は価値であるが、成長の条件がなければそれは制約にもなり得る」