F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリが、2026年の新レギュレーションやF1ファンの技術的な関心をめぐる自身の発言に対する批判に反論した。
ドメニカリは、熱心なモータースポーツファンがいる一方で、「クリッピング」と聞いて髪留めを思い浮かべるファンも多いと語り、現在のF1が幅広い層に支持されていることを強調した。
61歳のドメニカリは夏休み序盤、F1ファンの「大多数」は技術的な細部には興味を持っていないとの見解を示していた。2026年の新パワーユニット規則ではエネルギーマネジメントの重要性が増し、クリッピングやスーパークリッピングといった技術的なテーマが注目されているだけに、この発言にはSNSを中心に反発の声が上がった。
「SNSではネガティブな話ばかりが聞こえてくる」
オランダ紙『De Telegraaf』のインタビューで、技術的な部分に興味がないと一括りにされたことで一部のファンが不快感を示していることについて問われたドメニカリは、SNS上の反応だけでF1全体の状況を判断すべきではないとの考えを示した。
「だが、ソーシャルメディアではネガティブな話ばかりが聞こえてくることが非常に多い。我々が実際に見たり聞いたりしているものは、まったく違う」
その具体例としてドメニカリが挙げたのが、10月初旬にセパンで開催されるバーレーンGPだ。中東情勢の影響によってマレーシアで代替開催されるレースは、短期間で大きなチケット需要を集めている。
「10月初旬にマレーシアで開催されるバーレーンGPを見てほしい。わずか数週間でグランドスタンドはすでに完売し、パドッククラブも1500枚が売れている。これは前例のないことだ」
「それが現在のF1の強さを示している。ネガティブなことばかり言っていても前には進めない。数字を見れば、我々のビジネスが成長していることが分かる。もちろん、批判的な人たちの意見も真剣に受け止めている。しかし、私の仕事はもっと大きな全体像を見ることだ」
「クリップを髪につけるものだと思う人もいる」
そのうえでドメニカリは、現在のF1には技術を深く理解して観戦する従来型のファンだけでなく、より幅広い層が存在すると説明。そこで「クリッピング」を例に挙げた。
「F1の週末に『クリッピング』について話している熱心なモータースポーツファンもいる。しかし一方で、『クリップ』と聞けば髪につけるものだと思う人も大勢いるだろう」
2026年のF1では、新世代パワーユニットのエネルギーマネジメントが大きなテーマとなっている。特にストレート上で電気エネルギーの供給が制限されることで出力が低下するクリッピングは、レース内容を左右する要素としてファンやドライバーから注目されてきた。
ドメニカリの発言は、そうした技術的な議論を楽しむコアなファンの存在を否定するものではなく、それだけが現在のF1の観客層を代表しているわけではないという主張だ。

アロンソやハミルトンと若手では「世代が違う」
2026年のレギュレーションをめぐってはファンだけでなく、ドライバーからも不満が出ている。フェルナンド・アロンソやマックス・フェルスタッペンらも、新パワーユニットの特性やエネルギーマネジメントについて批判的な発言をしてきた。
ドライバー自身からも否定的な意見が出ていることを指摘されると、ドメニカリは、それについても一括りにするべきではないと主張した。
「それについても、すべてを一緒にして考えるべきではない。ドライバーの視点というよりも、世代の違いだ」
「フェルナンド・アロンソやルイス・ハミルトンは、現在のレギュレーションについて、キミ・アントネッリやアービッド・リンドブラッドのような10代のドライバーとは違った話し方をすると思う」
「だからこそ、全員から意見を聞くことが重要だ」
ヘイロー導入時も「これは何だ?」という反応
ドメニカリはさらに、F1の歴史では大きな技術変更や規則変更が導入されるたびに、ドライバーから戸惑いや反発が起きてきたと指摘した。
現在では当たり前となった技術や安全装備も、導入当初から歓迎されていたわけではないとして、ギアシフト方式の変化や頭部保護デバイス「ヘイロー」を例に挙げた。
「過去にも、ドライバーが『これは何なんだ?』と思った瞬間は数多くあった」
「かつてギアシフトの方法が変わったときや、マシンにヘイローが導入されたときを考えてみればいい。今では、それがあることを当然のものとして受け入れている」
ドメニカリは、2026年F1レギュレーションへの批判そのものを無視する考えではないとしながらも、SNSで目立つ否定的な意見だけではなく、観客動員やチケット販売を含めたF1全体の成長を見る必要があるとの姿勢を示した。
技術を深く追求する熱心なファンから、新たにF1を見始めたライトなファンまで、現在のF1がかつて以上に幅広い層を抱えるなか、ドメニカリは「クリップ」という独特の例えを使って、そのファン層の広がりを説明した。














