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  • 佐藤琢磨 「残念であると同時に腹立たしい状況でもあった」

    佐藤琢磨 「残念であると同時に腹立たしい状況でもあった」

    佐藤琢磨が、ダブルヘッターレースとなったインディカー第6戦デトロイトのレース週末を振り返った。

    IZODインディカー・シリーズのランキング2位として週末を迎えた佐藤琢磨は、ふたつのレースでいずれもトップ10圏内を走行していた。

    だが、最初のレースでは4番手を走行中にガス欠となり、2ラップ遅れの19位でフィニッシュした。そして2レース目では8番手を走行中に押し出され、バリアと激突する憂き目に遭った。

    走り始めの段階では、No.14をつけたダラーラ・ホンダのペースにチームはあまり満足していなかったが、週末を通じてAJフォイト・レーシングは次第にコンペティティブになっていった。

    「デトロイトは興味深いコースです」と佐藤琢磨は語る。

    「公園のなかにレイアウトされているので市街地サーキットとも違うし、パーマネントコースでもありません。おそらく路面のおよそ70%はコンクリートで、しかも冬の気候が厳しいためにコースはとてもバンピーでした。そこでたくさんパッチを張り替えたので、路面の約50%は新しくなっていましたが、バンプのひどさは以前と変わっていませんでした」

    「コースレイストも見直されました。ターン2に続くミッキー・マウス・セクションが改められ、ハードブレーキングで進入するターン3まで真っ直ぐ進入するレイアウトとなりました。彼らはいい仕事をしたと思いますが、路面は相変わらずバンピーで、肉体的に辛いコースであることには変わりありません」

    「予選前のプラクティスは1度だけしかありませんでした。残念ながら、このセッションでは何度か赤旗が提示されたため、時間内にセットアップするのは難しい状況でした。僕たちはあまり好調ではなく、グリップ不足に苦しんでいました」

    予選は雨が降ったおかげで、佐藤琢磨は易々と予選グループのトップとなり、計12名のドライバーが出走する予選の第2ラウンドに進出した。だが、ここで佐藤琢磨の手が及ばない事態が起きて8番手となり、ファイアストン・ファスト6には駒を進められないこととなった。

    「僕は2番手のマイク・コンウェイを1秒以上も引き離していました。これは良かったのですが、第2ラウンドではコースが驚くほど速く乾いていきました。僕は、最初にユーズドのブラックタイア(コンパウンドが硬めのプライマリー・タイア)で1度チェック走行を行いました。それからピットに入り、新品のレッドタイア(コンパウンドが柔らかめのオルタネート・タイア)に付け替えました」

    「ところが、ウォームラップを走行中に1台のマシンがターン3でスピンしました。そこで、この部分のみイエローが出ていましたが、次の周にはもうイエローは提示されていないだろうと考えていました。ところが、ターン3ではまだイエローが提示されていたのです。僕は、最後のアタックに備えて、前を走るウィル・パワーとの間隔を開けようとしてペースを落としていました。そして、再アタックを試みたそのラップがもう少しで終わるというときにレッドフラッグが提示されたため、僕はタイムを残せませんでした。ターン3でスピンが起きるまで、僕はトップ6に入っていたので、これはとても悔しいできごとでした。イエローが提示された状況は変わらなかったにも関わらず、突然、走行を続けるには危険だと判断され、赤旗が提示されたのです。この間にタイムを記録できたのは数名でしたが、あのままローカルイエローのままコース全体がグリーンに保たれていれば数分間は残されていたので、トップ6に返り咲くことができたと思います」

    土曜日の午前中には第2レースの予選が行われたが、21番グリッドと佐藤琢磨にとってはさらに悪い結果となった。

    「チームにとって昨年のデトロイトはあまりいいレースではありませんでした。このため、このコースでマシンを速くするために必要となる情報がやや不足していました。予選に向けてはいくつかのアイデアを試しましたが、残念ながらそれらは期待と反対の効果をもたらしてしまいます。この予選結果は、なによりもインディカー・シリーズの厳しさを物語っています。なにしろ、12人の予選グループで11番手に終わってしまったのです! このときはものすごくドライブしにくくて、グリップも低く、バランスもよくありませんでした。まるでマシンがバラバラのように感じられたのです!」

    それでも第1レースでは苦労が報われそうになる。スタートではパワーの先行を許したが、やがてEJ.ヴィソとトリスタン・ヴォーティエをパスして7番手となり、20周目の時点ではファステストラップを記録。その後、何人かがピットストップを行ったので佐藤琢磨は4番手となるが、間もなく佐藤琢磨は燃料を使い果たすこととなる。これでフルコーションとなったために佐藤琢磨は2ラップ遅れとなっただけで済んだが、いずれにせよ、もはや取り返しようのないハンディキャップだった。

    「計算ミスのためでしたが、メカニックたちにはいい仕事をして速いクルマを用意してくれていたので、本当に残念でした。マシンが止まったときは、電気系のトラブルだろうと思っていたので、シートベルトを外してコクピットの外に降りようとしましたが、マシンの止まったのがレスキューするのに難しい場所だったため、フルコーションとなりました。このときラリー・フォイトから無線が入り、『どうやら燃料を使い果たしたようだ』と伝えられたので、すぐさまコックピットに戻り、一部の望みにかけてピットまで戻してくれとマーシャルに頼みました」

    「2周遅れとなっていたので、現実的にはチャンスは残されていません。もちろん、どんなことが起きるかわかりませんが、プラクティスが限られていたので、レースの残り周回数をテストとして活用し、マシンの変化を見極めることにしました。このときは、マシンのバランスにはまだ満足できていませんでしたが、レース中の最速タイムは5番手か6番手という、とても勇気づけられるラップタイムを記録することができました」

    日曜日のウォームアップは、さらに期待の持てる展開となった。レッドタイアを使うドライバーもいたなか、佐藤琢磨は硬めのブラックタイアを履いて5番手タイムをたたき出した。

    「他のイベントとはタイアの振る舞いが異なっていました。新品のレッドタイアは、最初の1周目は速いけれど、5周か7周ほど走ると急激に性能が低下して、最終的にはブラックタイアよりも2秒近く遅くなります。僕は21番手からスタートしなければいけないので、スタートでは新品のレッドタイア――レース中に1度は使用しなければならない――を使い、できるだけ早い段階で義務を消化しようと考えたのです」

    もっとも、テレビで観ているだけでは気づかなかったかもしれないが、スタートの段階から佐藤琢磨のレースは間違った方向に向かい始めていた。混乱したレースのなか、戦略を駆使した佐藤琢磨は20周目に8番手まで浮上していたが、続くリスタートではヴォーティエと接触し、ターン3でレースを終えることとなった。

    「ヴォーティエのドライビングはスタート前から危険極まりないものでした。スタート・フィニッシュ・ラインの直前には90度コーナーがふたつ続くターン12とターン13があり、続くターン14は少しキンクしていて緩やかなカーブを描いています。2列に並んでスタートを切るインディカー・シリーズでは、ターン11を過ぎたところで整列するのが理想的です。僕はトリスタンのイン側にいましたが、彼が気づいていたかどうかはわかりません。なにしろ、ターン12ではコースの真ん中まで出てきたので、僕は激しく縁石に乗り上げる形となってしまいました。この縁石はあまりに高いので通常は使いません。おかげで、もう少しでスタート前にウォールにヒットしそうになるくらい、ものすごく危険な状態でした」

    「これで彼は半車身ほど僕より前を走ることになり、彼の右リアタイア近くを僕は走っていましたが、『ひょっとすると、この男はまた僕に飛びかかってくるかもしれない』と思えました。最後のキンクは、簡単に全開でクリアできるセクションですが、彼が急に右へ向かってきたため、僕はスタート前にブレーキを使わなければいけなくなりました。そうしなかったら、きっと宙を舞っていたことでしょう」

    「レースはひどい展開でした。数周ごとにイエローが出て、まともではありませんでした。それでも、僕は8番手まで浮上しました。あるとき、僕はトリスタンをオーバーテイクしましたが、すぐさま強引に抜き返されました。彼はそこら中で暴れ回って、いろいろなドライバーと接触していました」

    「そして僕にとって最後のリスタートは……。ターン3ではいろいろなドライバーがサイド・バイ・サイドで進入していくのを何度も見ました。僕自身、最初のレースではパワーとやりました。ブレーキングで、僕はトリスタンとフェアに戦い、コーナーに進入していきましたが、突然、彼は縁石に大きく乗り上げ、この影響でテールを振り出し、これが僕のマシンにぶつかり、僕ははじき出されるようにタイアウォールと接触してしまいました。これはものすごく残念であると同時に、ものすごく腹立たしい状況でもありました」

    不幸中の幸いといえるのは、次のレースまであと数日しかないことだろう。インディカー・シリーズの一団は南に向かい、ハイスピード、ハイバンクで知られるテキサス・モーター・スピードウェイでの一戦に臨む。

    「レースではとてもコンペティティブに戦えるマシンを用意してくれたチームに深く感謝しています。面白い結果を得られたかもしれないレースがこんな結末に終わってしまい、とても申し訳なく思っています」

    「でも、まだたくさんのレースが控えています。僕たちはテキサスのスーパースピードウェイに戻ってハイスピードバトルを行った後、ショートオーバルでの2連戦に挑みます。僕たちのマシンはオーバルでの好調なので、この先のレースを楽しみにしています」

  • 佐藤琢磨、クラッシュリタイアでレースを終える (インディカー第7戦)

    佐藤琢磨、クラッシュリタイアでレースを終える (インディカー第7戦)

    佐藤琢磨は、ダブルヘッダーとなったデトロイトの2レース目をクラッシュリタイアで終えた。

    佐藤琢磨は、土曜日に行われた予選の結果によって、このレースは21番グリッドからスタート。10周目に起きたアクシデントを利用してハードタイヤへとスイッチし、この作戦によって8番手までポジションをアップした。

    残る周回をトップグループで戦うチャンスをつかんだ佐藤琢磨だが、23周目のリスタート直後にターン3でルーキーのトリスタン・ボーティエ(Schmidt Peterson Motorsports)と接触し、タイヤバリアに突っ込んでリタイアとなった。最終的に佐藤は23位となり、レース終了時点でのポイントスタンディングは6位となった。

    佐藤琢磨 (23位)
    「ターン3で接触し、リタイアとなってしまいました。とても残念です。あそこはもう何度も2台が並んで走り抜けているコーナーです。ブレーキングで真横に並びかけていたわけですから、私がアウト側にいることを彼は知っていたはずです。そのような状況では1台分のスペースを相手に与えるようにとドライバーズミーティングで全員が確認をしていたのですが、アクシデントは起こってしまいました。起こってしまったことは仕方ありませんが、マシンが土曜日よりいいセッティングになっていただけに本当に残念な結果です」

  • 佐藤琢磨、19位でフィニッシュ (インディカー第6戦)

    佐藤琢磨、19位でフィニッシュ (インディカー第6戦)

    佐藤琢磨は、インディカー第6戦デトロイトの決勝レースを19位で終えた。

    予選8番手だった佐藤琢磨だが、ダリオ・フランキッティのグリッド降格の影響で7番手から決勝をスタート。レース序盤に2つポジションをアップして順調に戦っていましたが、1回目のピットストップに入るタイミングを1周遅らせたのが裏目に出て、燃料切れでコース上にストップ。

    オフィシャルにリードされてピットに戻ることはできたが、そのときにはすでにトップに3周もの差をつけられていた。それでも、少しでも多くのシリーズポイント獲得することと、明日の日曜日に行われる決勝2日目に向けたデータ収集のため、走行を続け、19位でゴールした。

    佐藤琢磨(19位)
    「慎重にスタートし、順位を少し上げて1回目のピットストップを迎えようとしていました。『次の周にピットインする』と無線で指示を受けていましたが、『もう1周行ける』と指示が変わってピット入口を通り過ぎました。そうしたら、ターン2を過ぎたあたりで燃料切れの症状が出て、コース上にストップしました。レースに復帰するのは難しいと考えてマシンから降りかけましたが、オフィシャルがピットに戻してくれることを期待してコクピットに残りました。その結果、レースに戻ることができ、明日に向けて周回を重ねました。どうしてもソフトタイヤでの走りを経験しておきたかったのです。終盤はいいペースで走れていましたが、まだトップグループとの間には差があることがよく分かりました。今日以上の走りを実現するためのデータを集めることはできたと思います」

  • 佐藤琢磨、予選8番手から優勝を狙う (インディカー第6戦)

    佐藤琢磨、予選8番手から優勝を狙う (インディカー第6戦)

    佐藤琢磨は、インディカー第6戦デトロイトの予選を8番手で終えた。

    インディ500の興奮も醒めやらぬうちに、インディカー・シリーズはミシガン州デトロイトに舞台を移した。ダウンタウンのすぐ北、デトロイトリバーに浮かぶベルアイルのストリートコースにおいて、今週末には第6、第7戦のダブルヘッダーが開催される。

    午前中に行われたプラクティスは晴天下のドライコンディションだったが、予選が始まる直前に雨が降り始め、第1ステージの第1グループは完全なウエットコンディション、第2グループは次第に乾いて行くコンディションでの戦いとなった。
    第2ステージは開始直後だけがハーフウエットで、ファイナルステージは完全なドライコンディションとなり、目まぐるしく変化するコンディションに合わせてマシンを調整するのは大変難しい状況となった。

    佐藤琢磨は、ウエットコンディションを得意としており、予選第1ステージはトップタイムで悠々とクリア。しかし、第2ステージではタイムアタック中に赤旗が出される不運に見舞われ、ファイナルステージ進出を逃した。それでも予選結果は8番手で、決勝レースではトップ争いの期待できるポジションを確保した。

    佐藤琢磨 (8番手)
    「おもしろい予選でした。激しい雨でしたが、予選が始まると路面は瞬く間に乾いていきました。セミウエットのコンディションでは余裕を持ってトップタイムを出せましたから、予選に対して自信を持つことができました。第2ステージはハードタイヤでチェック走行をして、ソフトタイヤに履き替えてアタックに出ていきました。そのアウトトラップ中に1台のマシンがターン3でスピンして止まっており、そのセクションだけにイエローフラッグが出されていました。前を走るマシンとの間隔を広げるためにスピードを落として1周し、もう一度ターン3がローカルイエローのままだったことを確認し、アタックを始めました。そうしたら、そのラップの最中にレッドフラッグが出されたのです。あのタイミングでレッドを出す理由はなかったと思います。結局、私は一度もアタックを行うことなく予選を終えなくてはなりませんでした。がんばってくれているクルーたちのためにも、本当に悔しくてなりません」

  • インディカー、スカパー!オンデマンドとニコニコ生放送で全戦中継

    インディカー、スカパー!オンデマンドとニコニコ生放送で全戦中継

    2013年のインディカーを全戦放送するGAORAは、通常の放送に加え今シーズン残り14戦を『スカパー!オンデマンド』及び『オンデマンド ニコニコ生放送』でも中継することを発表した。

    GAORAは、5月26日(日)に開催された「第97回インディ500」において、通常の放送に加え『スカパー!オンデマンド』、『ニコニコ生放送』での生中継を実施し、好評を博していた。

    さらに、佐藤琢磨が優勝した第3戦ロングビーチや2位表彰台を獲得した第4戦サンパウロを含む、開幕戦から第4戦までも期間限定で無料配信される。

  • 佐藤琢磨 「また優勝のチャンスは巡ってくる」

    佐藤琢磨 「また優勝のチャンスは巡ってくる」

    佐藤琢磨が、2位表彰台を獲得し、日本人として初めてインディカーのポイントリーダーに立つことになったサンパウロのレース週末を振り返った。

    IZODインディカー・シリーズのサンパウロ戦で、これまで佐藤琢磨はいくつもの“初”を達成してきた。2010年は琢磨のインディカー・デビューレース。2011年はレース中に初めてトップに立った。2012年はインディカーの初表彰台を獲得している。

    今回、佐藤琢磨が達成したのは初優勝ではない。それは2週間前にロングビーチで成し遂げている。だが、あとわずかなところで2勝目を挙げられたうえに、世界中の耳目が次戦のインディ500に集まろうとしているいま、佐藤琢磨はインディカー・シリーズのポイントリーダーに初めて立った。

    カリフォルニアで栄冠を勝ち取ってからというもの、より一層忙しい毎日を送ることになった佐藤琢磨は、ブラジルに到着するまでに、およそ3万5000kmのフライトを経験しなければならなかった。

    「ロングビーチの後、仕事がたくさんあったので日本に戻りました。でも、初優勝のおかげで急に予定が膨れあがりました。とはいえ、東京で優勝記者会見ができたのは本当によかったし、応援してくれるファンの前でトークショーができたことはものすごく嬉しかった。それにしても、本当に忙しい毎日です!」

    サンパウロのコースと佐藤琢磨の相性がいいこと、そしてAJフォイト・レーシングが走らせるダラーラ・ホンダが好調なことを考えれば、今回も好成績が期待できると誰もが思うところだが、プラクティスから予選にかけては、そうした期待は現実のものとはならなかった。

    「自分たちがそれほどコンペティティブでなかったことは、ある意味驚きでした。その理由のひとつとして、ファイアストンが昨年仕様のタイヤをサンパウロに持ち込んだことが挙げられます。このタイヤを上手く使いこなそうとして様々な努力をし、今年のセットアップを昨年のタイヤにマッチさせる試みもいくつか行いましたが、どれも上手くいきませんでした」

    「今回は2デイ・イベントだったので、走行時間も限られていました。予選前のプラクティスは2回しかなく、そのうちの1回は途中で赤旗が提示されて中断となりました。おかげで、なにをしてもバランスを改善できませんでした」

    「予選では本当に苦しみました。最善を尽くしたところ、幸運も手伝ってQ2に進出できました。ただし、トップには0.5秒も引き離されており、とても難しい状況に追い込まれていました」

    佐藤琢磨は12番グリッドからスタートすることになったが、決勝当日のウォームアップではまだ多くの作業をこなす必要があった。

    「コースコンディションは大きく変わっていました。気温が下がり、その当然の結果としてペースが上がっていたのです。ここでは、昨年のセットアップをベースに、今年のセットアップの考え方を取り込むことにしました。チームは、昨年のセットアップに満足していませんでしたが、これをきっかけにしてマシンの状態は徐々に良くなっていきます。ただし、決勝レースまでにはまだやるべき仕事がたくさん残っていました」

    「サンパウロではアクシデントなどの波乱が起こりがちで、いつもエキサイティングなレースになるため、展開はまったく予想できません。僕たちにできることといえば、クルマが好調で、スタートでアクシデントに巻き込まれないことを祈るだけでした」

    佐藤琢磨のスタートは順調で、最初のコーションが出るまでに9番手へと浮上すると、続いてジャスティン・ウィルソンとEJヴィソを攻略。コース上でウィル・パワーのマシンから炎が上がって2回目のコーションが出されるまでに、佐藤琢磨は6番手へと駒を進めていた。

    「とてもいい流れでした。ターン1とターン2が大幅に改修されてコース幅が広がり、コーナーの角度も浅くなった結果、コーナリングスピードは大幅に上昇しました。けれども、急減速する区間は引き続き残っていたので、僕はこれを活用して大きく順位を上げていきました」

    「硬めのブラック・タイヤは確実なパフォーマンスを発揮してくれました。ほとんどのドライバーがブラック・タイヤでスタートしたのは、今回がおそらく初めてだったと思います。とても興味深い状況でした」

    「サンパウロのコースレイアウトは大好きです。オーバーテイクもできるので、僕たちはリスタートのたびにポジションを上げていき、思い通りの状況となっていました。マシンの反応が良好なことにも満足していました。僕たちのマシンがいちばん速かったわけではありませんが、安定感はあったので、不安なく速いペースを保つことができました」

    レース中盤、トップのセバスチャン・ブールデと2番手のジョセフ・ニューガーデンがそれぞれ2回目のピットストップを行うと、これとほぼ同時に佐藤琢磨はライアン・ハンター-レイをオーバーテイクして実質的な首位に浮上する。

    「大きな達成感を味わっていました。ポールポジションからスタートした彼と、レース前はトップ争いなど望めないと思っていたマシンで勝負し、これに勝ったのですから……。僕はレッド・タイヤで、ライアンはブラック・タイヤを履いていましたが、それでもオーバーテイクできて最高の気分でした。難しい状況の予選からここまで立ち直れたことに、僕たちは本当に勇気づけられました。とても素晴らしい進歩を果たしたと思います」

    その後、佐藤琢磨は4ラップで4秒間のリードを築いたが、グレアム・レイホールのマシンから落ちた破片を回収することになった影響で佐藤琢磨のアドバンテージは消滅。そこでチームは佐藤琢磨を予定よりも早めにピットへと呼び戻すことにした。残り37ラップを1セットのタイヤ、そして無給油で走りきろうという戦略である。

    「これは少しギャンブルだったと思います」と佐藤琢磨。

    「このとき、ほとんどのドライバーはステイアウトを選びました。僕に確信はなかったので、とりあえずチームの指示に従うことにしました。いまにして思えば、これはやや早すぎるタイミングでした」

    「この頃、僕はできる限り燃料をセーブしながらイエローが出るのを待っていました。けれども、実際にイエローが出ると、僕はピットに呼び戻されてわずかな量の給油を行い、また列の後ろに並ぶことになりました。最初は、これでどうやって順位を上げるのか見当がつきませんでしたが、やがて、ほとんどのドライバーは最後のスティントのためにもう1度ピットストップしなければいけないという朗報がもたらされます。それだったら、レース終盤にかなり順位を上げられるのではないかとの期待が膨らみました」

    残り20周でレースが再開されたとき、各チームの戦略の違いによってオーダーが大きく変化し、佐藤琢磨は4番手に浮上していた。その10周前に20番手まで順位を落としていたことを考えれば、悪くない展開である。

    「あるリスタートでは、周回遅れに行く手を阻まれ、もう少しでウォールと接触しそうになりました。そのとき、目の前では何台かのマシンが互いに絡み合っていました。続いてたくさんのオーバーテイクをしたので、タイヤに大きな負担を強いることになりました」

    このとき、佐藤琢磨はレース中盤に装着したレッド・タイヤを履き続けていたが、マルコ・アンドレッティとジェイムズ・ヒンチクリフをパスして4番手から2番手へとジャンプアップ。さらにウィルソンがタイヤバリアに突っ込んだ影響で、この日最後のイエローが提示される。そしてレースが残り16ラップとなったとき、トップを走っていたJRヒルデブランドがピットストップを行ったため、佐藤琢磨は再び首位に浮上したのだ。

    まずはニューガーデンが、そして最後の数周はヒンチクリフが襲いかかってきたとき、履き古したタイヤでこれに対抗するのは佐藤琢磨にとって容易なことではなかった。

    「ふたりは、僕よりもずっとフレッシュなタイヤを履いていました。彼らが攻めてくることはわかっていました。最後の5ラップは、タイヤがもうなくなったも同然の状態でした。タイヤはすっかり磨り減っていたうえに、ブレーキにも小さな問題を抱えていました」

    「ニューガーデンとのバトルは、お互いホンダ勢ということもあって、とても面白かったのですが、ヒンチが2番手になってからはずいぶん苦しめられました。というのも、トップスピードではシボレー・エンジンにアドバンテージがあったからです」

    「ヘアピンへの進入では、毎周、懸命にディフェンドしなければいけなかったし、最終ラップに入るときはヒンチやニューガーデンとともに3ワイドにさえなりました! これはエキサイティングな展開でしたが、おかげでふたりをほんの少し引き離すことができました。ターン1では、おそらくコンマ数秒の差があったので、『よし、このまま逃げ切るぞ!』と思っていましたが、彼はバックストレートで急激に迫ってきました。僕はストレートでディフェンディングラインを採りましたが、最終コーナーでは本当にギリギリでした。ここでマシンがスライドし、ヒンチを抑えきることができませんでした。彼の動きは見事だったと思います」

    「最終ラップの最終コーナーまでリードしていながら、最後の数百mで敗れたことは本当に残念でした。でも、それまでの状況を考えれば、2位は決して悪い成績ではありません。本当に力強い立ち直りだったので、2戦連続で表彰台に立ち、チャンピオンシップでポイントリーダーに立てたことは、本当にボーナスみたいなものだと考えています」

    もしもニュータイヤに履き替えていたら、結果は変わっていただろうか?

    「最後のピットストップでは、予選で3周しか走っていない比較的フレッシュなレッド・タイヤに交換することが可能でした。これには3〜4秒の時間を要し、おそらくひとつかふたつ、順位を落としていたことでしょうが、そこから力強く挽回できたとも思います。結果がどうなったかはわかりません。レースに“タラ・レバ”はつきものですが、あの時点でチームがこの判断を下すのは難しかったと思います。彼らは素晴らしい働きをし、最高のピットストップ作業を見せ、おかげで僕は楽しくレースができました」

    「もしも2連勝できたら、こんなに素晴らしいことはありませんが、あまり欲張りすぎるのも考え物です。本当に素晴らしいレース、素晴らしいエンターテイメントで、ファンの皆さんも楽しんでくれたことでしょう。いずれにせよ、今季はまた優勝のチャンスが巡ってくるはずです」

    次のレースはシリーズ最大の1戦、インディ500である。今年、アメリカのレースファンは時間を大きく遡ったかのような感覚を味わうことだろう。なにしろ、フォイト(のもとで走る琢磨)がアンドレッティ(の息子であるマイケルのチームで走るマルコ)に13ポイントの差をつけているのだ!

    「ポイントリーダーになるのはいつでも最高の気分ですし、チームのモチベーションも高まります。この2レースでは大成功を収めることができましたが、シーズン最初の2レースでも僕たちは貴重なポイントを獲得していました」

    「でも、インディ500はまったくの別物です。まずは一度落ち着いて、第1週目のプラクティスで手堅い仕事をするつもりです。今回、コノー・ダリィというチームメイトがいることは心強いですね。2台で貴重なデータを収集し、来るべき1戦に備えるつもりです」

  • インディ500、新型コルベットをペースカーに起用

    インディ500、新型コルベットをペースカーに起用

    今月末に開催される伝統のインディ500で、シボレーの新型コルベットがペースカーに起用されることになった。

    新型コルベットは、新開発の6.2リッター V8エンジンを搭載。最大出力は450ps、最大トルクは62.2kgmと、先代コルベットの6.2リットルV8エンジンよりも、最大出力で20ps、最大トルクで3.6kgmアップしているが、気筒休止システムを採用して燃費性能は向上。0‐96km/hは加速4秒を記録。先代の4.2秒よりも0.2秒速くなっている。

    GMによると、「ZR1」などを除いたコルベットのベースモデルでは歴代最速だとしている。

    ペースカーに起用される新型コルベットは、ボディカラーがブルーの1台。

    GMのジム・キャンベル副社長は、「インディ500ペースカーへの起用は、新型コルベットにとって栄誉なこと」と述べた。

    今年のインディ500は5月26日に開催。佐藤琢磨がポイントリーダーとして挑む。

    関連:佐藤琢磨、インディカーで日本人初のポイントリーダーに躍り出る

  • 佐藤琢磨、インディカーで日本人初のポイントリーダーに躍り出る

    佐藤琢磨、インディカーで日本人初のポイントリーダーに躍り出る

    佐藤琢磨は、ブラジル・サンパウロで開催されたインディカー第4戦で2位表彰台を獲得。日本人として史上初となるポイントリーダーに躍り出た。

    予選12番手からスタートした佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)は、34周目にレースリーダーに浮上。37周目に出されたフルコースコーションで2度目のピットインを行い、いったんは19番手まで後退したが、そこから着々とポジションをばん回し、57周目にトップに返り咲いた。

    佐藤琢磨は、激しくアタックしてくるジョセフ・ニューガーデン(Sarah Fisher Hartman Racing)を退け続け、ゴールを目指した。最終ラップを告げるホワイトフラッグをトップで受けた佐藤琢磨。しかし、37周目から使い続けているソフトタイヤはもうグリップを完全に失っており、最終ラップの最終コーナーでアタックを仕掛けてきたジェームズ・ヒンチクリフ(Andretti Autosport)が優勝。

    佐藤琢磨はインディカー2連勝を目前で逃したが、2戦連続の表彰台フィニッシュにより獲得ポイントは136に伸び、ポイントリーダーに躍り出た。日本人ドライバーが、インディカー・シリーズでポイントトップに立つのは史上初。

    佐藤琢磨 (2位)
    「今日は12番手からのスタートでしたが、序盤から着々とポジションを上げていき、ライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)をパスしてトップに立つことができました。そのあとにピットストップに入ったことで、いったん後方に下がりました。あのタイミングは少し早かったですね。そこで新品のソフトタイヤを装着したのですが、ゴールまでは35周以上もあり、最後はグリップがなくなっていました。それでも、後方から迫ってくるライバルたちとバトルし続け、なんとかトップを守り続けていました。ブレーキにもトラブルが少し出ていたので、最後の10周ぐらいはいつ抜かれてもおかしくない状態が続いていました。最終ラップの最終コーナーは、ヒンチクリフが見事でした。優勝を逃したのはとても悔しいですが、チームのクルーたちが本当にすばらしい力を発揮してくれて、2位という結果を手にすることができました。そして、ポイントリーダーになることもできました。チームの士気は高まっていますので、この勢いを保って、3週間後のインディ500でもいい戦いをしたいと思います」

    ロジャー・グリフィス (HPDテクニカル・ディレクター)
    「佐藤琢磨はあと一つのコーナーで優勝を逃しましたが、彼とA.J. Foyt Racingは見事な戦いぶりをみせてくれました。ロングビーチでの彼らの優勝をまぐれだと思った人もいるかしれません。しかし、そうでないことを今日の彼らは証明していました。速いマシンを作り上げ、琢磨はすばらしいドライビングをゴールまで続けていました。ピットストップのタイミングから、一時は後方に埋もれましたが、チームの作戦によって、トップに復活しました。あれだけの周回数にわたってソフトタイヤを持たせられたのも、琢磨とチームの実力が高いからこそです。これで琢磨はポイントリーダーです。シリーズタイトルは、シーズンを通しての安定感が高い者が獲得します。2レースで優勝と2位。今の勢いを保ち続けてほしいです。エンジン競争は第4戦でも大変激しかったです。今日のレースでは、チームによってウイングの角度が違っていたため、ストレートでのスピードだけでパワーを比較することは難しいですが、ライバルとは実力がかなり伯仲している状態です。次のレースであるインディ500は、オーバルコースでの戦いですが、し烈なエンジン開発競争も続いていきます」

  • 佐藤琢磨、最終コーナーで抜かれ惜しくも2位 (インディカー第4戦)

    佐藤琢磨、最終コーナーで抜かれ惜しくも2位 (インディカー第4戦)

    佐藤琢磨は、インディカー第4戦サンパウロの決勝レースで、2位表彰台を獲得。日本人として初めてインディカーでポイントリーダーとなった。

    12番グリッドからスタートした佐藤琢磨は、大半のドライバーとは異なるタイヤ戦略を採用。

    レース後半、トップに立った佐藤琢磨だったが、終盤はタイヤに厳しい状況となった。

    さらにプッシュ・トゥ・パスを使い果たして不利な状況となった佐藤琢磨は、ブロックぎりぎりの走りでジェームス・ヒンチクリフの猛追を抑えたが、最終ラップの最終コーナーで抜かれ、無念の2位表彰台となった。

    最後の5周について佐藤琢磨は「最後はやっぱり厳しかったですね。タイヤも37周くらいしたのかな、結構厳しかったし、最後ちょっとブレーキもきつかったんでブレーキバイアス動かしたんだけども、ほとんど止まれなくて。最後は猛チャージを受けてなんとかしのげるかと思ったんだけど、仕方ないですね。今週はそんなに勝てるポジションにいれるとは思わなかったので、本当にチームは素晴らしいピットストップと仕事をしてくれたと思います」とコメント。

    今回の結果により、佐藤琢磨は合計136ポイントを獲得してポインドリーダーに浮上。日本人初となるインディカーのランキング首位に立った。

    ポイントリーダーとしてインディ500に臨むことに関しては「本当に凄く嬉しいですね。インディの前哨戦としては、もちろん勝ちたかったんですけど、2位とロングビーチの優勝というのは、望みうる最高の結果だったと思うので、いい勢いをインディ500に繋げたいと思います」と佐藤琢磨は述べた。

  • 佐藤琢磨、予選12番手から上位を狙う (インディカー第4戦)

    佐藤琢磨、予選12番手から上位を狙う (インディカー第4戦)

    佐藤琢磨は、インディカー第4戦サンパウロの予選を12番手で終えた。

    第3戦ロングビーチで日本人初優勝を果たしたばかりの佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)は、ブラジルでとても大きな注目を集めている。

    佐藤琢磨はプラクティス1回目に8番手のタイムを出し、まずまずの滑り出しをみせた。

    しかし、プラクティス2で思うようにマシンを向上させることができず、予選がその1時間30分後に行われたため、予選でのマシンセッティングもトップ争いをするレベルにまで仕上げることができなかった。

    それでも、予選での佐藤琢磨は果敢な走りをみせ続け、第1セグメントを5番手で突破。12人で争われる予選第2セグメントでは、バランスの整いきらないマシンでアタックを重ねたが、結果は12番手。明日のレースでは、6列目アウトサイドのグリッドからスタートを切る。

    中団グループからの戦いとなるが、スタートやリスタートでのポジションアップをし、上位でのフィニッシュを実現できるよう、作戦もフルに活用したレースを戦うこととなるだろう。

    佐藤琢磨 (12番手)
    「厳しい一日になりました。今日の私たちには十分なスピードがなく、マシンバランスも納得のいくものではありませんでした。なにかが欠けていますね。すべての要素をよくすることは大変難しいのです。チームのクルーたちはハードワークを続けているのですが、私たちは求めているグリップとマシンバランスを、まだ手に入れることができていません。レースを戦うマシンをいいものにするため、私たちは今晩、すべてのデータを再チェックします」