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  • アウディF1 2026年に現実路線「サプライズはない。必要なのは忍耐」

    アウディF1 2026年に現実路線「サプライズはない。必要なのは忍耐」

    2026年のF1本格参戦を控えるアウディだが、プロジェクトを率いるマッティア・ビノットは、早期の成功を期待する声にあらためて釘を刺した。重要なのは勢いではなく土台づくりであり、初年度からの“花火”を期待するのは方向違いだという。

    現在ビノットは、ザウバーをアウディのワークス体制へと転換する改革の指揮を執る立場にある。目標は明確で、今は奇跡を求める段階ではなく、10年の終わりにタイトル争いをするための積み上げに集中している。

    信頼を築くフェーズ
    今季の成績は前向きな兆しを示した。ザウバーは70ポイントを獲得し、10年以上で最高のリターンを記録。シルバーストンではニコ・ヒュルケンベルグがキャリア初表彰台を獲得し、進歩が現実であることを示した。

    「プロジェクトとして、我々は正しい道、正しい方向に進んでいる。信頼性を築いている。ダイナミクスがどれほど変わったかを感じている」と、ビノットはロイターのアラン・ボールドウィンに語った。

    当初、アウディのF1参入は経営陣の入れ替わりや不透明感に覆われていた。しかしビノット就任後、追加投資、カタール投資庁の少数株取得、そしてレボリュートのタイトルスポンサー就任が、プロジェクトを安定させた。

    「社員にとっては明白だ。我々は拡張し、長期的に投資している。それらの事実が、プロジェクトへの信頼性を大きく高めている。アウディが全面的にコミットしていることに疑いはない。

    現在行っている投資はすべて長期プロジェクトだ。パフォーマンスという形でリターンが見えるのは、3年、4年後になるだろう」

    アウディ F1

    近道はない
    1月のベルリンでのリバリー発表など注目イベントが控える一方で、ビノットは2026年の即時競争力という期待を意図的に抑える。

    「我々はまだ構築段階にある。忍耐が必要だ。来年、最高のエンジンを持つとは全く期待していない。だがそれは問題ではない。我々は2030年に向けた目標を設定している。

    来年、サプライズになるつもりはない」

    また、アウディのパワーユニット計画をレッドブルの取り組みと比較する見方についても、背景の違いを強調した。

    「彼らはより特化したスキルを持っている。我々にはアウディというバックグラウンドと、その知見がある。それが長期的には確実に違いを生むはずだ」

    アウディが掲げるメッセージは明快だ。まずは信頼性、栄冠はその先。F1という長い道のりに、近道は存在しない。

  • 「想像以上に若かった」ウィートリー語るザウバーF1の現実とアウディの野心

    「想像以上に若かった」ウィートリー語るザウバーF1の現実とアウディの野心

    ジョナサン・ウィートリーは長年、レッドブル・レーシングでスポーティングディレクターを務めてきたが、その職を離れ、ザウバーF1チームに加わった。現在はチーム代表として職務にあたり、このチームは2026年からアウディF1チームへと姿を変える予定だ。

    スポーティングディレクター出身者がチーム代表として成功を収める例は多い。ウィートリーも、アンドレア・ステラ(マクラーレンF1チーム)、そしてレッドブルの新代表であるローラン・メキースと並び、その系譜に連なる存在だ。

    「私は心の底から、チームの力を信じてきた。我々が向かうべき方向性のもとに人々を結集させ、各自が自分の役割を完全に理解し、何ができて何ができないのか、いつ責任を果たすべきなのか、そしてチーム内のコミュニケーションがどのように機能するのかを明確にする。その力を信じている」とウィートリーは語る。

    若手発掘と育成、その経験をザウバーへ
    フィナンシャル・タイムズのインタビューで、ウィートリーは自身がチームにもたらした最優先事項を明かしている。

    「私が持ち込んだのは、若い才能を見極め、育成し、組織の中で成長させていくことに関する膨大な経験だ。」

    Revolutとの大型契約が象徴する変化
    スポンサー獲得を巡る競争は、コース上の戦いと同じくらい激しい。最近の例が、英国のデジタル銀行であるRevolutだ。複数チームが交渉を進めたが、最終的に2026年からの契約を勝ち取ったのはアウディだった。

    この契約は年間およそ6,000万ドル規模とされ、F1としては異例のスピードでまとまった。最初の話し合いは今年3月、最終署名はその2か月後だったという。

    「我々は既存の秩序を揺さぶりたい。どうやって? 互いから何を学べるのか? Revolutは我々を限界以上に押し上げ、我々もRevolutを押し上げる。同じ道を歩んでいる。」

    若く、未経験だが情熱に満ちたチーム
    ウィートリー加入以降、ザウバーはパフォーマンスを向上させ、13年ぶりの表彰台も獲得した。ただし彼は、勝利を信じる意識をチーム全体に根付かせる必要性も理解している。

    「ザウバーに来て驚いたのは、チームがこれほど若いことだった。経験不足は多いが、同時に情熱も非常に大きい。長年サバイバルモードで戦ってきたチームで、グリッドに2台並べるだけでも、ときに並外れた偉業だった。」

    アウディ ザウバーF1チーム

    アウディの野心と“勝てる”という確信
    「我々の野心はそれをはるかに超えている。アウディの目標は、10年末までにレースに勝ち、選手権を争うことだ。謙虚さは忘れないが、マッティアと私は、どうすれば最強の相手を倒し、世界選手権を勝ち取れるのかを正確に理解している。」

    ヒュルケンベルグの表彰台が示した“可能性”
    7月のイギリスGPで、ニコ・ヒュルケンベルグが獲得した表彰台は、アウディに待ち受ける課題の大きさと同時に、成功がもたらす喜びと一体感を浮き彫りにした。

    「チェッカー後、ピットウォールに座りながら『今日は本当に良いレースだった。10の判断をして、10すべてが正しかった。堅実な結果だ』と考えていた。振り返ると、背後で感情が爆発しているのを見て、その意味の大きさに気づいた。」

    「こうした瞬間は今でも鳥肌が立つ。あの喜びと感情の爆発が、私をさらにチームに近づけてくれた。彼らは今、自分たちにもできるのだと分かっている。」

  • アウディF1 ビノット「2026年に最強となるのは最も早く対応できたチーム」

    アウディF1 ビノット「2026年に最強となるのは最も早く対応できたチーム」

    アウディが2026年F1シーズンから本格参戦を控えるなか、同社のF1プロジェクトを率いるマッティア・ビノットは、新レギュレーション下での勢力図について「開幕前に予測することは不可能だ」との見解を示した。

    2026年F1レギュレーションでは、パワーユニットが電動比率50%のハイブリッド構成へと進化し、同時に空力パッケージも全面的に刷新される。ビノットは、この二重の大変革が既存の常識を大きく揺るがすと考えている。

    「来シーズンの開幕時点で、どのチームが最強かを判断できるとは思わない」

    ビノットはそう語った上で、真に重要なのは“初速”ではなく、その後の対応力だと強調した。

    「重要なのは、その後にどう反応できるかだ。初期パフォーマンスがどうであれ、私にとって最も優れたチームとは、素早く反応し、迅速に開発を進められるチームだ」

    フェラーリ時代の苦い経験が示す教訓
    この考え方の背景には、ビノット自身の経験がある。彼はフェラーリのチーム代表として、2022年F1レギュレーション刷新を指揮した張本人だった。

    当時フェラーリはシーズン序盤で優位に立ったものの、開発競争の中で次第に後退し、タイトル争いから脱落した。この経験が、単発の成功よりも長期的な実行力の重要性を彼に強く印象付けている。

    Audi Revolut F1 Team

    2026年は「すべてを同時に変えなければならない」
    ビノットはまた、2026年の難しさはパワーユニットだけでなく、マシン全体を同時に再構築しなければならない点にあると指摘する。

    「空力とマシンが大きく変わる。それに加えて、パワーユニットという新たな要素が組み合わさる」

    さらに、これまで性能向上の鍵だった要素が、必ずしも同じ重要度を持たなくなる可能性にも言及した。

    「これまでパフォーマンスに重要だったパラメータが、今後は違うものになるかもしれない。ファクトリーのツールやシミュレーションなど、現行規則に最適化されてきたものは、すべて見直す必要がある。重視される変数が変わるからだ」

    こうした変化は、開幕直後からチーム間に明暗を分ける結果をもたらす可能性があるという。

    「来シーズンの序盤で、正しく対応できているチームもあれば、そうでないチームも出てくるだろう。ツールがまだ完全に校正されていないチームもあるはずだ」

    ザウバーを母体とするアウディF1チームにとって、2026年は単なる新規参戦ではなく、“変化への対応力”そのものが試されるシーズンとなる。ビノットの言葉は、新時代F1における成功の条件を端的に示している。

  • アウディ、2026年F1参戦へ「アウディ・レボリュートF1チーム」発表

    アウディ、2026年F1参戦へ「アウディ・レボリュートF1チーム」発表

    アウディは、キック・ザウバーに代わってF1グリッドに加わる2026年シーズンに向け、正式なチーム名「Audi Revolut F1 Team」、ロゴ、そして2026年リバリーを世界に披露するための壮大な没入型ローンチイベントの開催日を発表した。

    2022年にF1参戦の意向を表明したドイツの自動車大手アウディは、ザウバーと協力しながら段階的に施設の強化を進め、2026年F1開幕戦となるオーストラリアGPから即座に競争力を発揮できる体制構築に取り組んできた。

    ドイツ、スイス、イギリスにまたがる拠点の強化を経て、チームの正式名称が「アウディ・レボリュートF1チーム(Audi Revolut F1 Team)」となることが発表された。フィンテック企業レボリュートとのタイトルパートナーシップは、すでに今年7月に確認されていた。

    チームのプレスリリースでは、レボリュートについて「革新性、パフォーマンス、多様で国際的なオーディエンスとの接続という野心を共有している」と説明し、この協業により「既成概念に挑戦し、新たなファンエンゲージメントの形を創出することを目的とした強力なアライアンス」が生まれるとしている。これには、レボリュートのユーザー向けアプリ内特典なども含まれる。

    両者はまた、ファン向けのアクティベーションやレースへのアクセス施策に加え、アウディのオンラインストアへのRevolut Payの統合、さらには厳格な予算上限の下で重要となる財務運営において、レボリュートのビジネスにおける専門知識を活用することでも協力していく。

    アウディは主要人物の継続性を重視しており、ジョナサン・ウィートリーがチーム代表として引き続きその職を務める。ドライバーラインアップはニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトとなる。かつてフェラーリで活動していたマッティア・スピーニは、アウディF1プロジェクト責任者の役職に就いている。

    ウィートリーは次のように語った。

    「本日、我々のプロジェクトは正式なアイデンティティを得た。アウディ・レボリュートF1チームという名称は、ドイツ、イギリス、スイスに広がる我々のチームと、パートナーとの結束した力を象徴するものだ」

    「これは、2026年に向けて我々が築き上げていく過程において、全員が一体となるための旗印となる。この節目は、プロジェクト全体にエネルギーを与え、我々の長期的な野心を関係者全員にとって具体的なものにする重要なマイルストーンだ」

    Audi Revolut F1 Team

    発表のもう一つの要素として、2026年1月20日にベルリンで行われる公式ローンチイベントが明らかにされた。このイベントでは、「明瞭さ、技術的知性、そして感情」というブランドの中核的な柱が、没入型かつエクスクルーシブな形で表現される。

    チームはこの場でフルレースリバリーを初披露し、翌日には一般公開を実施する予定だ。これにより、11月にチタン、カーボンブラック、アウディレッドを基調色とした初期コンセプトリバリーを公開して以来、ファンがこの特別な機会を直接体験できることになる。

    アウディR26コンセプトは、モータースポーツの頂点におけるブランドのアイデンティティを予告するものだ。11月に公開されたコンセプトリバリーでは、アウディがその印象を示していた。

    スピーニは、このローンチについて次のように付け加えた。

    「このイベントは、我々が一つの集団として初めて並び立ち、グローバルなファンベースを招き入れる瞬間となるだろう」

    そして、チームが形を成していく中で、「精密さと容赦ない野心に突き動かされた文化」によってプロジェクトが推進されていくと語った。

    チームはアウディのアイデンティティを前面に押し出す包括的なリブランディングを進めているものの、ピーター・ザウバーの遺産を尊重し、Sauber Holding AGおよびSauber Technologies AGという名称は維持される。ビスターにあるテクノロジーセンターを含む他の事業部門については、「アウディ・モータースポーツ」を冠する名称へと変更される。

    AUDI AGのCEOであり、ザウバー・モータースポーツAG取締役会会長を務めるゲルノート・デルナーは次のように述べた。

    「アウディ・レボリュートF1チームの名称とロゴを公開することは、モータースポーツの頂点へと向かう我々の歩みにおける、もう一つの大きなマイルストーンだ。これらは我々の野心に明確なアイデンティティを与え、力強いビジョンと革新的な精神を反映している。今後は1月のベルリンに目を向け、アウディブランドにとってのこの刺激的な新章を、世界に向けて正式に発表することを楽しみにしている」

  • アウディF1チーム パウラーナーと公式サプライヤー契約

    アウディF1チーム パウラーナーと公式サプライヤー契約

    アウディF1チームは、ミュンヘンに本拠を置くパウラーナー醸造所をチームの公式サプライヤーとする長期的なパートナーシップを発表した。この合意は、パウラーナーにとってグローバルなモータースポーツの舞台における新たな章の始まりを意味する。

    2026年にチームがグリッドに加わるのにあわせ、このパートナーシップは、バイエルンの祝祭的で親しみやすい文化を、将来のアウディF1チームの世界的なファンベースに届ける具体的な機会を提供するものであり、責任ある形でF1を観戦し、楽しむ体験を高めていく。

    その中心にあるのが、パウラーナー0.0%の小麦ビールだ。これはノンアルコール飲料であり、ハイパフォーマンス、安全性、責任という中核的価値を守りながら、誰もがモータースポーツの祝祭的で社交的な側面を受け入れることを可能にする。

    将来のアウディF1チームは、責任ある祝福のためのブランドのノンアルコール代替品であるパウラーナー0.0%をプロモーションし、次世代のモータースポーツファンが持つ活気あるエネルギーを世界中で後押ししていく。これにより、本物で、プレミアムかつ社交的な瞬間を創出する。このパートナーシップは、真のドイツのカルチャーアイコンを称えるものであり、現代的で、包括的かつダイナミックなファン文化を反映している。

    将来のアウディF1チームの最高商務責任者であるステファノ・バッティストンは、次のように語った。

    「パウラーナーと将来のアウディF1チームは、パフォーマンス、情熱、そして自らのヘリテージに対する誇りに根ざした勝者のマインドセットを共有している。両ブランドは、職人技、本物志向、そして卓越性を追求し続ける姿勢を体現している。我々は共に、ファンをチームにより近づける体験を創り出し、世界規模で、パウラーナー0.0%を手に、コース上でもコース外でもあらゆる成功を祝っていく。」

    パウラーナー・ブリュワリー・グループのCEOであるヨルク・ビーバーニックは、次のように述べた。

    「将来のアウディF1チームとパートナーシップを結べることを非常に誇りに思っており、国際的な舞台で新たな章を開くことに大きな期待を寄せている。この協力関係は、プロスポーツにおいて、楽しさ、品質、そして責任を融合させるという我々の長期的な取り組みを強調するものだ。我々の計画を具体化し、パウラーナーを新しい世代のモータースポーツファンに紹介できることを楽しみにしている。」

  • アウディF1、Perkと複数年契約 AI導入で巨大オペレーションを効率化

    アウディF1、Perkと複数年契約 AI導入で巨大オペレーションを効率化

    アウディF1チームとPerkは、職場環境を支援するためにPerkのAI搭載プラットフォームを活用する複数年パートナーシップを締結した。

    F1の業務規模は複雑であり、5大陸24のレース開催地にわたるチームメンバーが関わっている。Perkのインテリジェントなツールは、出張手配、経費管理、請求処理などの時間を要する手作業を自動化することで、重要なオペレーション全体の摩擦を減らす。

    新たなパートナーシップは、Perkのロゴが指定されたチーム資産に掲出されることになっており、より現代的でインテリジェント、そして接続性の高い組織を構築するための意図的な一歩を示すものだ。また、この提携は強固なオペレーション基盤をさらに強化し、将来のアウディF1チームが最高レベルでパフォーマンスを発揮するための確固たる土台を提供する。

    将来のアウディF1チームのチーム代表であるジョナサン・ウィートリーは次のように述べた。「Perkをパートナーとして迎えることを大変うれしく思っている。すべてのレースの舞台裏には莫大な物流努力があり、F1の厳しいグローバルカレンダーのもとでは、数百人規模の精密な出張管理が求められる。業務の規模と複雑性は極めて大きい。どんな細部も重要であり、すべてのこと、すべての人が勝利に貢献する。Perkのテクノロジーは、我々のオペレーションの中でも最も要求の厳しい部分にインテリジェンスと効率性をもたらし、チームが最大限の集中力、パフォーマンス、精度をもって活動できるようにしてくれる。」

    PerkのCEO兼共同創業者であるアヴィ・メイアは次のように述べた。「将来のアウディF1チームは、Perkが掲げる理念――行動によって裏付けられた野心――を体現している。私たちPerkが新たな時代に入り、業界を変革し、人と企業の働き方を刷新していく中で、この上ないパートナーが将来のアウディF1チームだ。我々は“リアルな仕事”を支え、チームがトラック上で最高のパフォーマンスを発揮することに集中できるよう支援できることを誇りに思っている。」

  • “F1の新章”へ向かうアウディ、その原点と歴史で存在感を示す

    “F1の新章”へ向かうアウディ、その原点と歴史で存在感を示す

    キャデラックが新規参入チームとして大きな注目を集める中、アウディは静かに、しかし確実に自らのF1プロジェクトを前へ進めている。アウディがF1参戦を発表したのは3年以上前。2022年にはザウバーとの提携を正式発表し、ドナウ河畔ノイブルクの本社施設には新たなパワーユニット部門を設置した。その後、チームの完全買収も完了し、2026年からF1グリッドに並ぶ準備が整いつつある。

    キャデラックの派手なローンチとは対照的に、アウディはこれまで慎重なアプローチを続けてきた。カタール資本からの投資やRevolut、Adidasとのパートナーシップを公表したものの、ブランド発信の面では控えめだった。しかし2025年11月、いよいよ参戦目前となったミュンヘンで、アウディは明確に“F1時代の到来”を告げるイベントを開催した。

    “歴史”で語るアウディのレース哲学
    この日、アウディが特に強調したテーマが「歴史」だ。2026年のイメージを示すR26コンセプトリバリーを披露しつつ、同社が長年にわたって築いてきたモータースポーツの伝統を改めて示す構成となった。

    会場には、往年の名車アウトウニオン・タイプCが姿を見せ、ゲルノート・デールナーCEO、F1プロジェクト責任者マッティア・ビノット、チーム代表ジョナサン・ウィートリーといった主要人物が歴代アウディ車に乗って登場した。

    ドライバーのニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトも、象徴的なアウディ・クワトロのラリーカーに同乗して登場。さらに、トム・クリステンセン、ハンス=ヨアヒム・スタック、ミシェル・ムートン、アラン・マクニッシュといったレジェンドたちもイベントに加わった。

    アウディはラリーGr.B時代のタイトル、R10 TDIによるル・マン初のディーゼル制覇、そしてダカールで電動駆動車として初優勝を果たしたRS Q e-tronなど、革新的技術と勝利の歴史を積み上げてきたブランドでもある。

    ジョナサン・ウィートリーは、その歴史が自身をアウディへと導いた理由だと語る。

    「僕は“クルマが好きな人間”なんだ。アウディのF1プロジェクトに誘われた瞬間、心のどこかで自然に惹かれた。どこかを去るという感覚ではなかった。子供の頃、森の中を走るクワトロの炎を見ながら育った。技術への探求心、そして何をどう変えるか、アウディが挑んできた姿勢そのものが魅力なんだ」

    2030年に“勝てるチームへ” 明確に示されたロードマップ
    アウディはイベントの随所で「未来」を語った。会場には2026年オーストラリア開幕まで“115日”を刻む巨大カウントダウンが設置され、F1参戦の本格始動が迫っていることを強調。さらに、より重要な節目として「2030年に世界選手権を争うチームになる」という目標が繰り返し掲げられた。

    マッティア・ビノットはその目標について「野心的だ。我々は野心的であるべきだ」と語り、デールナーCEOは他のアウディのレースプロジェクトから学んだという。

    「このプロジェクトには、新しいチーム、新しい体制、まったく新しい要素が一度に集まっている。2026年は特にチャレンジングな年になるが、長期計画を掲げている。高速で学び、適応していくことが求められる。過去のプロジェクトを基準にすれば、4年間で“勝てる状態”に近づくことは、野心的ではあるが現実的でもある」

    アウディは自らを「挑戦者→競争者→勝者」という3段階で進化させる構想を示しており、2030年はその最終段階だ。

    アウディ F1

    既存チーム買収によるアドバンテージ、そしてF1という新世界
    巨額の投資によってザウバーの設備やインフラは大幅に強化されている。既存チームを引き継ぐことは、新規参入チームとしての成長速度を高めるうえで大きな利点となる。

    ただしアウディ自身も認めるように、F1はかつて成功してきたカテゴリーとは異質の世界だ。“四輪駆動の王者”“耐久レースの革新者”“電動オフロードの開拓者”であっても、F1という巨大競争市場に適応するには険しい道が待ち受ける。

    それでもアウディは、自らの歴史に刻まれた数々の挑戦と成功を武器に、「F1という新章を切り開く準備が整っている」と強調している。

  • ニコ・ヒュルケンベルグ「アウディF1での期待値は高まるが現実的であるべき」

    ニコ・ヒュルケンベルグ「アウディF1での期待値は高まるが現実的であるべき」

    ニコ・ヒュルケンベルグは、現在のサウバーが来季ついにアウディのワークスチームへと生まれ変わることで、チームに対する世間の見方が大きく変わるだろうと語った。しかし同時に、「いきなり勝てる」といった過剰な期待は抱くべきではないと強調している。

    サウバーは長い歴史の大半で中団に属してきたチームであり、コンストラクターズランキングでトップ6に入ったのは2022年の6位が近年の最高成績。

    2026年からの完全なアウディ体制に向けて歩みを進めているものの、ヒュルケンベルグは“変わるのは perception(認識)であって、すぐに順位表の最上位に躍り出るわけではない”と冷静だ。

    「認識は確実に変わる。アウディという大きな自動車メーカーになるわけだから、もっと多くの視線が注がれるし、もっと大きな期待をされる。でも、我々は現実的であるべきだ」とヒュルケンベルグはコメント。

    「最初からレースに勝てるとは思っていない。これは長い旅の始まりで、インフラ面でもファクトリー面でもトップチームにはまだ大きなアドバンテージがある。でも僕らは前に進んでいるし、追いつこうとしている。メーカーとして見られる来年は、チームへの期待値もこれまでとは少し変わるはずだ」

    豊富な経験をアウディの成長加速に生かす──「学習スピードを上げる手助けがしたい」
    今年38歳のヒュルケンベルグは、ウィリアムズ、フォースインディア、ルノー、アストンマーティン、ハース、そしてサウバーと多くのチームを経験してきた。この“引き出しの多さ”をアウディの土台づくりに役立てたいと考えている。

    「ドライバーとして速く走り、結果を出すのはもちろんだけど、それ以外の面でも貢献できる。とくにレギュレーションが変わる時は新しく学ぶことが多い。来年のチームの学習を少しでも早められたらと思っている」

    「経験は助けになる。違う時代、違う規則、違うクルマを知っていれば、それだけ知識の幅が広がる。そこに自分のフィーリング、データ、エンジニアリングの視点が加わる。常にテストして、答えを得て、また積み重ねていく──その繰り返しで全体像を構築していくんだ」

    アウディ F1 ニコ・ヒュルケンベルグ

    “15年目でアウディのワークスドライバー”という誇り
    どれだけ結果が出るかは未知数だが、ヒュルケンベルグには特別な感情がある。ドイツの名門アウディのF1ワークスドライバーに就任するという事実は、キャリア終盤の彼にとって大きな意味を持つ。

    「すごくクールだし、そう何度も巡ってくる機会じゃない。2023年にハースへ戻ってから、そこから物事がどう動いていったかを考えると、本当にクレイジーだと思うよ。15年間この業界でやってきて、そこからアウディというメーカーのファクトリードライブにたどり着いた。とても誇りに思っているし、幸せだ」

  • アウディF1が語る“長期戦の覚悟” 栄光への道は忍耐から始まる

    アウディF1が語る“長期戦の覚悟” 栄光への道は忍耐から始まる

    アウディは、F1参戦で“すぐに勝つ”ような幻想を抱いていない。目指しているのは、長期的で多層的な、年単位で積み上げる本格的な挑戦だ。そして何より重要なのは、この難しさを経営陣が完全に理解している点だ。

    インゴルシュタットのブランドは、これまでもモータースポーツで大胆な挑戦を続けてきた。しかし、F1参戦はそれすら上回る規模の一大プロジェクトであり、ル・マンを制し、ラリーを変革し、ツーリングカーを支配したアウディが“世界最大の舞台”で存在感を示すという宣言にほかならない。

    しかし、ミュンヘンで行われた華やかな発表会の裏側には、意外なキーワードがあった。それは――謙虚さだ。

    華やかな門出と、現実的な姿勢
    会場には、アウディCEOのゲルノート・デルナー、F1プロジェクト責任者のマッティア・ビノット、チーム代表ジョナサン・ウィートリー、そしてニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトらが登場し、ブランドの歴史を象徴するマシンも披露された。

    その中で、空気を最も端的に語ったのはウィートリーだった。

    「これは我々の旅路における、とても重要な瞬間だ」とウィートリーは語る。

    「アウディが“おもちゃ箱の中身を全部出してきた”ような夜だよ。さっきも、自分の大好きなクワトロ・スポーツを運転して会場に来た。すべてが本当に現実味を帯びてきた」

    アウディは中途半端にモータースポーツへ参入する企業ではない。研究し、投資し、積み重ねて勝ってきた。しかし、F1はまったく別格だ。ザウバーの中団力を“チャンピオンシップを争える力”に引き上げるのは、世代を跨ぐほどのチャレンジとなる。

    フェラーリで栄光も混乱も味わったビノットは、その難しさを熟知したうえで、アウディの目標を明確に語った。

    「計画はできている。競争相手は強いが、我々は成功するために来た。2030年までに世界チャンピオンを獲るつもりだ。それが我々の野心であり、目標だ」

    5年でF1の頂点に立つ――歴史を刻むか、失敗の象徴になるか。だがアウディ内部に焦りはない。道のりを理解し、その苦しみに向き合う覚悟がある。

    段階構築、忍耐、そしてゼロから作るパワーユニット
    ノイブルクとヒンウィルを軸に、F1パワーユニットをゼロから開発する巨大プロジェクトが進んでいる。同時に、ヒンウィルのファクトリーも拡張・再編・最新化が進められており、“アウディの名にふさわしいワークスチーム”へと変貌を遂げつつある。

    だが、過去の新規参入チームのように、経営陣が即時の勝利を要求することはない。ウィートリーは、ボードの姿勢が極めて現実的だと強調する。

    「アウディのボードは、とても現実的な目標を示してくれた。どれだけ時間が必要なのか、どんな段階を踏むのか、そのすべてを理解してくれている」

    「まずは土台を作り、成長し、しばらく定着させ、また成長し、また定着させる。この積み重ねを続けることこそが、2030年頃にチャンピオン争いへたどり着く道だ」

    勢い――これがアウディが今最も大切にしている言葉だ。

    パワーユニットはすでにダイナモ上で稼働しており、エンジニアは信頼性の確認に全力を注いでいる。一方で、スイスでは初代アウディF1シャシーの製造が進行中だ。

    ビノットも、規則変更の新たな挑戦を楽しんでいるという。

    「新レギュレーションのマシンは良い感じだ。数週間後にマシンに火を入れるのは特別な瞬間になる。来年メルボルンでグリッドに並ぶとき、全員にとって忘れられない一日になるだろう。夢はすぐそこまで来ている」

    ただし、彼は楽観視しているわけではない。

    「パワーユニットの開発は非常に難しい。シャシーや空力よりも長い時間が必要だ。新規メーカーにとっては特に簡単ではない」

    挑戦は山積みだが、道筋は明確だ。

    アウディ F1

    “アウディらしさ”をF1へ――ブランドの設計思想
    披露されたアウディ R26コンセプトは、赤・黒・チタンシルバーで彩られ、TV映えを徹底して計算したデザインだった。

    「ユニークなものを作りたい」とウィートリーは言う。

    「5年後にF1マシンを見て“それはアウディだ”と言われるように。10年後もそう言われるように。だからこそ、長く続く設計思想を作る必要がある」

    アウディは“グリッドを飾るため”に来たわけではない。F1の未来に影響を与えるつもりでやって来た。

    待ち構えるのは、データ地獄、レギュレーションの迷宮、空力の難題、そして新興勢力を叩き潰すつもりの強豪チームたち。

    しかしアウディには、これまでの新規参入チームが欠いていたものがある。
    それは――現実に基づき、技術に根ざし、長期戦を恐れない企業文化だ。

    この計画を着実に遂行できれば、F1は“新しいタイプの巨大勢力”と向き合うことになる。

    準備に手を抜かず、投資を惜しまず、来るべき瞬間に正確に現れる――
    そんなアウディこそ、他チームにとって最も厄介な存在となるのかもしれない。

  • アウディF1代表 「マックス・フェルスタッペンに我々のマシンを運転してほしい」

    アウディF1代表 「マックス・フェルスタッペンに我々のマシンを運転してほしい」

    アウディのチーム代表ジョナサン・ウィートリーはすでに、他チームより何十周も先の未来を見据えている──その野心は大胆そのものだ。4度のF1世界王者マックス・フェルスタッペンをアウディに招くという、極めて明確なターゲットを口にしたのだ。

    アウディは来季、ザウバー運営体制を完全に掌握し、2026年の大規模レギュレーション変更とともに正式にF1へ参入する。

    独自パワーユニット開発、次世代に向けた長期計画など、アウディは“全面的な変革”を狙っている。その最終到達点として、ウィートリーはF1最大のスターを迎えたいと明言した。

    友情を背景にした野心
    水曜日、ミュンヘンで行われたアウディの2026年F1コンセプトデザイン発表会で、ウィートリーはオランダ紙『De Telegraaf』に対し、フェルスタッペンを将来構想に含めるかどうか問われ、飾らずこう答えた。

    「はい、マックス・フェルスタッペンに我々のマシンを運転してほしいと思っている」

    アウディはすでに2026年のドライバーとしてニコ・ヒュルケンベルグとルーキーのガブリエル・ボルトレトを確保している。しかし、ウィートリーは自身の野心がその枠で終わるものではないと考えている。フェルスタッペンは2028年末までレッドブルとの契約を結んでいるが、各チームは何年も先を見据えて動き出している。

    「それを望まないチーム代表がいるだろうか?」

    これは“リップサービス”ではない。ウィートリーはフェルスタッペン本人、その父ヨス、そしてマネージャーのレイモンドと長い信頼関係を築いてきた。

    「私は長い間、マックスと友人でいられるという幸運な立場にある。同様に彼の父ヨスとも、マネージャーのレイモンドともね。友情というのは、常に正直であり、築いた信頼を裏切らないことで育まれるものだ」

    「だが今の段階でフェルスタッペンとアウディのF1シートを直接結びつけるほど、その友情が十分だとは思っていない」

    つまり──ドアは開いているが、タイミングが合う必要があるということだ。

    争奪戦は避けられない?
    もちろん、2028年より前にフェルスタッペンを狙うチームはアウディだけではない。メルセデスはすでに来年にもアプローチを再開するとみられ、トト・ヴォルフは折に触れてフェルスタッペンへの賛辞を口にしている。

    アストンマーティンもまた、静かに準備を進めている可能性が高い。ローレンス・ストロールは施設や人材へ大規模投資を続けており、「世界を獲りにいくパッケージ」を構築している。フェルスタッペンが耳を傾けたくなる要素は揃いつつある。

    そう考えると、アウディが初期ラインナップを固めたときの状況とは比べものにならないほど、将来の“移籍市場”はカオスを迎えるだろう。

    マックス・フェルスタッペンとジョナサン・ウィートリー(アウディF1代表)

    アウディの“長期戦略”
    それでもウィートリーは焦らない。アウディは2030年までに世界選手権争いへ加わるという長期目標を掲げている。それは、レッドブルでの成功を重ねたフェルスタッペンが「新たな挑戦」を求めるタイミングと一致する可能性もある。

    今のウィートリーの戦略は明快だ──信頼を築き、競争力を築き、フェルスタッペンが“いつか帰って来たくなる環境”を築くこと。

    楽観的に聞こえるかもしれない。しかし、ウィートリーの言葉どおり、野心こそがアウディがF1の勢力図を変えようとする上で不可欠な燃料なのだ。

    アウディF1の本気度:なぜウィートリーは“フェルスタッペン指名”を公言したのか
    アウディはF1参入前から人員、設備、PU開発に前例のないレベルの投資をしており、ウィートリーの発言はその延長線上にある。「大物を獲りに行く姿勢」そのものが、ブランド価値の演出と長期的な信頼構築につながるからだ。

    ■ ポイント整理
    ・アウディは2030年のタイトル争いを目標に掲げる超長期戦略
    ・フェルスタッペンは2028年までレッドブル契約
    ・ウィートリーはフェルスタッペン陣営と長年の強い信頼関係
    ・メルセデス、アストンマーティンも“獲得レース”に参戦見込み
    ・現段階での明言はアウディの本気度を示す“メッセージ戦略”

    長期的な戦力図が流動化する2026〜2030年のF1において、アウディが早い段階で“主役級ドライバーを本気で迎える気がある”と示したことは、ライバルチームにも強いシグナルとなる。

    フェルスタッペンが本当にアウディへ向かうかは別として──アウディがF1の勢力図を本気で変えようとしているのは、間違いない。