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  • ニキ・ラウダ大事故から50年 エンツォ・フェラーリも驚いた42日後の復帰

    ニキ・ラウダ大事故から50年 エンツォ・フェラーリも驚いた42日後の復帰

    1976年8月1日、F1史上最も衝撃的な事故のひとつとなったニキ・ラウダのニュルブルクリンク事故から50年を迎えた。

    炎に包まれたフェラーリ312T2から奇跡的に救出されたラウダは、生死の境をさまよいながらもわずか42日後にF1へ復帰。その驚異的な復活劇は現在もモータースポーツ史に残る伝説として語り継がれている。

    危険すぎたニュルブルクリンクとラウダの警鐘
    1976年当時、ニュルブルクリンク北コース(ノルドシュライフェ)は全長22.8kmを誇り、高速コーナーや激しい高低差、ブラインド区間が連続する世界屈指の難コースだった。

    一方で、安全設備は現代の基準から見れば極めて不十分だった。コースが長大すぎるため、事故が発生してもマーシャルや救急隊が迅速に現場へ到着することは困難だった。

    当時GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)の会長を務めていたラウダは、その危険性を誰よりも理解していた。

    決勝当日の朝、ラウダはドライバーたちを集め、レース中止を提案した。

    レース直前には雨が降ったものの、コース全体ではなく一部だけが濡れている難しいコンディションとなっていた。22kmを超えるコースでは場所によって路面状況が大きく異なり、ラウダは重大事故につながる危険性を強く懸念していた。

    しかし、選手権首位だったラウダに有利な提案だと受け止めるドライバーも多く、最終的な投票ではレース開催が支持された。

    ラウダはその決定を受け入れ、ジェームス・ハントと並ぶフロントローから決勝へ臨んだ。

    炎に包まれたフェラーリ
    決勝は大半のドライバーがレインタイヤでスタートしたが、1周目終了時には路面の乾燥が急速に進み、多くのマシンがスリックタイヤへ交換した。

    ラウダもピットインし、冷えたスリックタイヤで再びコースへ戻った。

    しかし2周目、ベルクヴェルク手前の高速左コーナーでフェラーリ312T2が突然コントロールを失う。

    原因はリアサスペンションのトラブルとする説が有力だが、正式に断定されたことはない。冷えたタイヤと乾き切っていない路面も事故の一因だったと考えられている。

    マシンはガードレールへ激突した後、コース中央へ跳ね返され、燃料タンクが破損して激しく炎上した。

    命を救ったドライバーたち
    衝撃でラウダのヘルメットは脱げ、コクピットは瞬く間に炎に包まれた。

    すぐ後方を走っていたブレット・ランガーやハラルド・アートルは炎上するマシンへ衝突。ガイ・エドワーズは接触を避けてマシンを止め、救助へ向かった。

    そして最も大きな役割を果たしたのがアルトゥーロ・メルツァリオだった。

    メルツァリオは迷うことなく炎上するフェラーリへ駆け寄り、自ら炎の中へ飛び込んでシートベルトを外し、ラウダをコクピットから引きずり出した。この救助でメルツァリオ自身も両手に火傷を負っている。

    ラウダは約1分間にわたって炎と煙にさらされ、顔や頭部に重度の火傷を負った。右耳の一部を失い、まつ毛や眉毛、まぶたにも深刻な損傷を受けた。

    さらに命を脅かしたのは、高温の有毒ガスを吸い込んだことによる肺へのダメージだった。

    病院へ搬送されたラウダは危篤状態となり、昏睡状態に陥ると司祭から終油の秘跡(最後の秘跡)を授けられた。医師たちも生存を確信できないほど深刻な状態だったという。

    一方、レースは再開され、ジェームス・ハントが優勝。ジョディ・シェクター、ヨッヘン・マスが続いた。

    ニキ・ラウダ

    エンツォ・フェラーリが動かした後任探し
    当時、多くの関係者はラウダが二度とF1へ戻ることはないと考えていた。

    そのためフェラーリ創設者エンツォ・フェラーリは、チームマネージャーだったダニエーレ・アウデットにラウダの後任探しを指示したと伝えられている。

    現地で事故を取材していたジャーナリスト、レオ・トゥッリーニによれば、エンツォは「未来を見据える」立場からすぐに代役の確保へ動いたという。

    アウデットはまずエマーソン・フィッティパルディへオファーを出したものの断られ、その後アルゼンチン人ドライバーのカルロス・ロイテマンとの契約をまとめた。

    この判断は、ラウダの生存すら危ぶまれていた状況で後任探しを始めたとして、当時のパドックで物議を醸した。

    誰も予想しなかった42日後の復帰
    しかし、誰も想像していなかった出来事が起こる。

    事故からわずか42日後の1976年9月12日、ラウダはフェラーリの母国レースであるイタリアGPでF1へ復帰した。

    頭には包帯が巻かれ、傷はまだ癒えていなかった。

    ラウダは後に、この復帰が恐怖に満ちたものだったと明かしている。それでもライバルたちに弱さを見せたくないという思いから、再びマシンへ乗り込んだ。

    あまりにも早い復帰だったため、ロイテマンとの契約を済ませていたフェラーリは、モンツァでラウダ、クレイ・レガツォーニ、ロイテマンの3台体制で参戦することになった。

    これはスクーデリア・フェラーリの歴史でも極めて珍しい出来事となった。

    ラウダは復帰戦で4位入賞を果たし、タイトル争いへ復帰。その年の世界選手権は最終戦日本GPまでもつれ込み、豪雨の富士スピードウェイでラウダが自らの安全を優先してリタイアを選択し、ハントがわずか1ポイント差で初のワールドチャンピオンに輝いた。

    ニュルブルクリンクでの炎上事故と、そこから42日後の奇跡の復帰は、半世紀が経った今もなお、F1史上最も壮絶で感動的な物語のひとつとして語り継がれている。

  • インディカー新時代へ 新型IR-28が初走行 ロッシ「まるでクリスマスの朝」

    インディカー新時代へ 新型IR-28が初走行 ロッシ「まるでクリスマスの朝」

    2016年のインディアナポリス500ウイナーであるアレクサンダー・ロッシが、2028年シーズンからNTTインディカー・シリーズに導入される新型シャシー『ダラーラ IR-28』の初回バリデーションテストを担当した。

    テストはインディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースで実施され、新世代マシン開発に向けた重要な第一歩となった。

    新型IR-28が初めてサーキットへ
    2028年から投入されるダラーラIR-28は、現行シャシーに代わる次世代マシンとして開発が進められている。

    ロッシは2.439マイル(約3.925km)、全14コーナーのロードコースで新型マシンを走らせ、開発プログラムのスタートを切った。時折路面が濡れる難しいコンディションだったものの、予定していたテスト項目はほぼ消化できたという。

    ロッシは今回のテストについて、「これまで新型車両の立ち上げには何度か関わってきたけれど、これほどスムーズだったことはない」と振り返った。

    「これは関係者全員のおかげだ。ドライバー、ファン、チーム、スポンサー、みんながずっとこの瞬間を待っていた。そしてついにその日が来た」

    「まるでクリスマスの朝のような気分だった」

    センサー交換だけで終えた順調な初日
    ロッシによれば、悪天候の影響で十分な比較評価はできなかったものの、新型シャシーとしては理想的なスタートだったという。

    「コンディションの影響で完全な比較評価は難しかったけれど、今日のような初日のテストで期待できることはすべて達成できた」

    「完全な新型車なのに、実際に起きた問題はセンサーを1つ交換しただけだった。これはダラーラ、インディカー、そして開発に携わった全員の素晴らしい仕事を示している」

    さらに、「このクルマにはまだ引き出せていない素晴らしいポテンシャルがたくさんある。本当に素晴らしいスタートだったし、運転していて純粋に楽しかった」と高く評価した。

    インディカー IR-28

    「写真以上に迫力がある」新型マシンを絶賛
    ロッシは新型IR-28のデザインにも強い印象を受けたと語る。

    「見た目は期待していたものをすべて満たしている。初めて実車を見たときは本当に驚いた。写真では伝わらない迫力がある」

    「とてもアグレッシブなデザインだし、新しいシャシー、新しい空力、新しい電子制御、そして共通ダンパーパッケージを採用しているにもかかわらず、ベースセットアップの段階から非常に扱いやすかった。もちろん、まだ改善の余地はたくさんあるけれど、とても良い出発点になった」

    インディカーの未来を担う第一歩
    今回のテストは、インディアナポリス・モーター・スピードウェイというロッシにとって特別な場所で行われたこともあり、本人にとって大きな意味を持つものとなった。

    「インディカーの次の時代のスタートに関われること、そしてそれをIMSという自分にとってもシリーズ全体にとっても特別な場所で経験できたことは本当に素晴らしい」

    「この選手権の歴史と未来のほんの一部でも担えることは大きな名誉だ。すべての時間を心から楽しむことができた」

    なお、翌3日には4度のシリーズチャンピオンであり、2025年インディアナポリス500優勝者のアレックス・パロウがIR-28のテストを担当する予定となっている。

    新型IR-28は、2028年シーズンからインディカーに投入される次世代シャシーとして、今後も複数のドライバーによる開発テストを重ねながら完成度を高めていく見通しだ。

  • アストンマーティンF1 ホンダとの厳しい話し合いで結束「関係は大きく改善」

    アストンマーティンF1 ホンダとの厳しい話し合いで結束「関係は大きく改善」

    アストンマーティンF1のマイク・クラックは、苦戦が続いた2026年シーズン序盤を経て、パワーユニット供給元のホンダと「厳しい話し合い」を重ねたことを明かした。その過程を通じて両者の関係は大きく改善し、技術協力もより強固になったという。

    シーズン開幕当初、アストンマーティンは深刻なパフォーマンス不足とホンダ製パワーユニットの振動問題に苦しみ、グリッド後方に沈んだ。

    しかし、ハンガリーGPで大規模アップグレードを投入したことで改善の兆しが見え始めており、夏休み明けにはホンダの新型パワーユニット投入も予定されている。

    ホンダとの厳しい議論が関係を強化
    2026年のアストンマーティンは、期待とは裏腹に苦しいスタートを切った。マシン全体の競争力不足に加え、ホンダ製パワーユニットの振動問題が車両性能を大きく損ない、シーズン序盤は下位争いを余儀なくされた。

    チームは後に、ホンダがF1復帰準備を進める中で、多くのF1専門スタッフを他プロジェクトへ配置転換していたことが判明し、その影響も開発の遅れにつながったことを明らかにしている。

    ハンガリーGPでは大規模アップグレードを投入し、フェルナンド・アロンソが今季初めて純粋なペースでQ2進出を果たすなど改善の兆しを見せた。そして夏休み明けには、ホンダの大幅なパワーユニットアップデートも控えている。

    そうした中、チーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックは、ホンダとの関係について次のように語った。

    「誰かを責めるのは簡単なことだ。しかし、我々は一緒に座り、『これは全員の問題だ。一緒に努力して、この状況を一緒に乗り越えよう』と話し合った」

    「厳しい時期になることは最初から分かっていた。実際に何度も難しい会議を重ねたが、その結果として関係は大きく改善した。ガレージでも、エンジニアリングオフィスでも、そしてシルバーストンとさくら研究所の技術協力全体でもだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「苦しい経験がチームを強くする」
    クラックは、こうした厳しい議論は避けられないものだったと振り返り、その経験が組織全体の成長につながったと強調した。

    「本当に厳しかった。しかし、こうしたことは乗り越えなければならない。そして、その先でチームはより強くなれる」

    「こういう状況では、大人として、そしてプロフェッショナルとして行動しなければならない。自分たちの力で、この状況を抜け出さなければならないんだ」

    さらに、今後競争力を取り戻すことができれば、この苦しい半年間を前向きな経験として振り返ることができると語った。

    「もし近いうちに再び戦える位置へ戻ることができれば、この半年間を振り返り、そこから得た教訓や前向きな要素を改めて確認できるだろう」

    夏休み明けにはホンダの新型パワーユニット投入が予定されており、ハンガリーGPで投入された空力アップグレードとの相乗効果が期待される。アストンマーティンにとっては、シーズン後半戦が巻き返しへの本格的な試金石となりそうだ。

    【関連】
    ・ホンダF1 新型PUは順調 折原慎太郎「遅れを取り戻す」

  • フラビオ・ブリアトーレ メルセデスF1エンジンを絶賛「チーム全体の雰囲気が一変」

    フラビオ・ブリアトーレ メルセデスF1エンジンを絶賛「チーム全体の雰囲気が一変」

    アルピーヌF1のエグゼクティブアドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレは、2026年からメルセデス製パワーユニット(PU)へ切り替えたことで、チーム全体の雰囲気が「完全に変わった」と語った。

    2025年までワークス体制だったルノーPUでは性能不足に苦しみ、チーム内でも将来への不安が広がっていたという。

    しかし、メルセデスPUの採用によって開発の方向性が明確になり、スタッフの意識にも大きな変化が生まれたと明かしている。

    メルセデスPUでチームの雰囲気が一変
    2025年のアルピーヌは、ピエール・ガスリーが22ポイントを獲得した一方、フランコ・コラピントは無得点に終わり、コンストラクターズランキング最下位に沈んだ。

    当時はルノー製PUがライバルより約20馬力劣るとされ、マシン全体の競争力を大きく制限していた。

    しかし2026年はメルセデスPUへ切り替えたことで状況は一変。アルピーヌはコンストラクターズランキング5位につけ、表彰台も獲得するなど復調を見せている。

    ブリアトーレは『The Race』のインタビューで、現在のチーム状況について次のように語った。

    「満足しているかと聞かれれば、もちろん完全に満足することはない。トト(ヴォルフ)だって、常にもっと良く、もっと良くと求め続けている」

    現在のアルピーヌを10点満点で評価すると「6.5点」とした上で、その理由を説明した。

    「前に進めば進むほど難しくなる。でも、メルセデスとは素晴らしい関係を築いている」

    「今はメルセデスのパワーユニットを使っていて、それがチーム全体の雰囲気を完全に変えた。少なくともチームの一部分については、最高のものを手にしていると分かっている。ギアボックスもメルセデス製だ」

    「だから今、我々のスタッフはノーズからドライバーまで、つまりシャシー側の改善に集中できている。後ろ側についてはメルセデスのエンジンとギアボックスがあるので心配していない」

    アルピーヌF1チーム

    「ルノーへの信頼を失っていた」
    ブリアトーレは、ルノー時代の組織運営にも厳しい評価を下した。

    「工場では多くの優秀な人材を失った。ある時期には、チームとして進むべき明確な方向性がなかったからだ」

    さらに、その背景についても率直に語っている。

    「強いマネジメントが存在せず、人々はルノーに対する信頼を失っていた。ルノーという会社は本当に特殊なんだ。何をやっても『ルノーはF1に本気ではない』と報じられてしまう」

    ブリアトーレは、2005年と2006年にフェルナンド・アロンソとともにワールドチャンピオンを獲得した当時を振り返り、ルノーが成功を収めても周囲の見方は変わらなかったと明かした。

    「フェルナンドとタイトルを獲った後、カルロス・ゴーンと一緒に記者会見を開いたことがあった。その時、ある記者は『チームの財政状況について教えてほしい』と質問してきた」

    「我々はワールドチャンピオンだった。それなのに、記者たちはルノーに疑念を抱かせるような話ばかり探していたんだ」

    メルセデスPUへの変更は単なるパフォーマンス向上だけではなく、組織全体の士気や開発体制にも大きな好影響をもたらしたようだ。現在のアルピーヌは、信頼できるパワーユニットを得たことで、シャシー開発へリソースを集中できる環境を手にしており、さらなる上位進出を目指している。

  • ステファノ・ドメニカリ F1最終戦中止なら欧州開催を明言「代替案はある」

    ステファノ・ドメニカリ F1最終戦中止なら欧州開催を明言「代替案はある」

    2026年F1カレンダーは、中東情勢の影響によって依然として不透明な状況が続いている。F1のCEO兼社長を務めるステファノ・ドメニカリは、カタールGPとアブダビGPの開催可否について9月中旬までに最終判断を下す考えを明らかにした。

    また、仮に両レースの開催が不可能となった場合でも、シーズン最終戦をラスベガスGPで終える考えはなく、「ヨーロッパでシーズンを締めくくる」と明言した。

    さらに2027年についても、中東情勢の長期化を見据えた代替計画をすでに準備していることを認めている。

    F1は9月中旬までに最終判断へ
    2026年シーズンは、中東地域の紛争によって大きな影響を受けている。

    4月にはバーレーンGPとサウジアラビアGPが中止となり、MotoGPやWEC(世界耐久選手権)も相次いで開催計画を変更。F1ではアゼルバイジャンGPは予定どおり開催される見込みだが、終盤に予定されるカタールGPとアブダビGPの開催には依然として不確実性が残っている。

    ドメニカリは現状について次のように説明した。

    「現時点ではカタールとアブダビでのレースは開催予定だ。ちなみに両大会ともすでに完売している。これは、世界が直面している問題を超えて、このスポーツがいかに大きな存在になったかを示す素晴らしい証拠だ」

    「もちろん、私たちが望むような形で状況が改善しなければ、9月中旬までには判断を下す」

    「もし開催できない場合、シーズンの締めくくりはヨーロッパになる。他地域へ移すことはできないからだ」

    F1 中東ラウンド

    ラスベガス2連戦案は却下
    バーレーンGPについては10月4日に復活開催し、アゼルバイジャンGP、シンガポールGPとの3連戦を構成する案も検討された。しかし実現には至らず、代わりにマレーシア・セパンで『バーレーンGP in マレーシア』として開催されることが決定している。

    この結果、仮にカタールGPとアブダビGPが中止となっても、2026年シーズンは最低21戦が確保される見込みだ。

    一方でF1は、11月21日のラスベガスGPを最終戦とすることは避けたい考えだという。

    一時はラスベガスで2週連続開催する案も浮上したが、ドメニカリは否定した。

    「ラスベガスで2レース開催する可能性もあった。しかし、成長を続けている宝石のようなイベントの価値を、自分たちで下げるようなことはしたくない」

    「さらに、その時期のアメリカではNFLと真っ向から競合することになる」

    「アメリカでは非常に大きなスポーツであり、多くのファンがNFLを見ている。そのような巨大なイベントと正面からぶつかる状況は避けなければならない」

    2027年も代替カレンダーを準備
    ドメニカリは、2027年シーズンについても中東情勢が引き続き影響を及ぼす可能性を認めた。

    秋に発表予定の2027年カレンダーは通常どおりの開催計画になる見通しだが、情勢悪化に備えて複数の代替案を準備しているという。

    「今秋に発表するカレンダーは、基本的には通常のプランになる」

    「ただし、中東情勢が解決しない場合に備えて、私たちは複数の選択肢を用意している」

    「その判断を下すタイミングは、今年末になる予定だ」

    今回の発言は、F1が2026年だけでなく2027年以降についても、中東情勢を踏まえた柔軟な開催計画を進めていることを示すものだ。今後は9月中旬の判断と、秋に公表される2027年カレンダーの内容が注目される。

  • F1スペインGP初開催のマドリンク ピレリがタイヤ選択を決定

    F1スペインGP初開催のマドリンク ピレリがタイヤ選択を決定

    F1は9月中旬、スペインの首都マドリードに新設された「マドリンク」で初のグランプリを開催する。スペインGPの新たな舞台となる市街地コースを前に、ピレリはC2、C3、C4の3種類を投入することを決定した。

    過去の走行データが存在しない新設サーキットだけに、タイヤの挙動やデグラデーションには多くの不確定要素が残る。ピレリは安全性と戦略の幅を確保するため、中間レンジのコンパウンドを選択した。

    初開催のマドリンクでタイヤ挙動は未知数
    マドリンクは、市街地道路とグランプリ開催のために新設された専用区間を組み合わせたコースで、マドリード市内を縫うようにレイアウトされている。

    F1カレンダーへの追加が正式発表されたのは約2年半前だが、実際のF1マシンによる走行実績はなく、ピレリにはタイヤ選択の基準となる過去のレースデータが存在しない。

    そのため、ピレリは最も硬い側から2番目のC2をハード、C3をミディアム、C4をソフトとして指定。極端に軟らかいコンパウンドを避けながら、各チームが複数の戦略を選択できる構成とした。

    マドリンクは低速のタイトコーナーと強いブレーキングを伴う区間が組み合わされており、タイヤには大きな熱負荷がかかると予想されている。

    さらに、新しく舗装された市街地コース特有の粗い路面によって、タイヤの摩耗やデグラデーションが高まる可能性もある。

    シルバーストンやスパに近いタイヤ負荷
    ピレリは事前シミュレーションの結果、マドリンクでタイヤにかかる負荷はシルバーストンやスパ・フランコルシャンに近い水準になるとの見解を示した。

    「マドリンクを分析した結果、タイヤにかかる負荷はシルバーストンやスパ・フランコルシャンで見られるものと同程度だと考えている」

    「コース特性を踏まえ、中間レンジのコンパウンドを選択した。これにより2ストップ戦略を促すとともに、高温条件で過度なオーバーヒートが発生するリスクに対する余裕を持たせることが狙いだ。最も軟らかいコンパウンドは、そのような状況では影響を受けやすい」

    ピレリは、決勝で1ストップ戦略に収束することを避け、タイヤ交換を含めた戦略的なレースを実現したい考えだ。

    一方で、新舗装の路面はグランプリ週末を通じて急速に変化する可能性がある。走行初日はグリップが低くても、F1やサポートレースのマシンが走行を重ねることで路面にラバーが乗り、タイヤの摩耗やラップタイムが大きく変化することも考えられる。

    ザントフォールトとモンツァの選択も発表
    ピレリは、マドリードでのスペインGPに先立って開催されるオランダGPとイタリアGPのタイヤ選択も明らかにした。

    ザントフォールトではマドリンクと同じC2、C3、C4を使用する。一方、高速コースのモンツァには最も軟らかい組み合わせとなるC3、C4、C5が持ち込まれる。

    初開催となるマドリンクでは、実際の路面状況や気温、タイヤのオーバーヒートがレース展開を左右する重要な要素となる。各チームが限られた走行時間の中でどこまで正確にタイヤを理解できるかが、スペインGPの勝敗を分けることになりそうだ。

  • F1ドイツGP復活へ前進 ホッケンハイムと長期開催に向け初期協議

    F1ドイツGP復活へ前進 ホッケンハイムと長期開催に向け初期協議

    F1のステファノ・ドメニカリCEOは、ドイツGPの復活に向けてホッケンハイム側と初期協議を行ったことを明らかにした。長年カレンダーから姿を消しているドイツにとって、開催復活への扉が再び開かれた格好だ。

    ホッケンハイムリンクでは大規模な再開発計画が進められており、F1側は短期的な単発開催ではなく、必要な投資を伴う長期的な協力関係を視野に入れている。ただし、サーキット側は現時点で具体的な合意には至っていないと慎重な姿勢を示している。

    ドイツGP復活に向けホッケンハイムと初期協議
    ドイツはF1において豊かな歴史を持つ国だが、自動車に対する政治的な反発や開催権料の上昇、公的資金による支援の欠如などによって、グランプリ開催を商業的に成立させることが難しくなっていた。

    ドイツで最後にF1が開催されたのは、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年シーズンに代替戦としてニュルブルクリンクで行われたアイフェルGPだった。ドイツGPとしての最後の開催は、2019年のホッケンハイムまでさかのぼる。

    しかし、ドメニカリは欧州市場の重要性が再び高まっていることから、ドイツがF1の開催候補として再浮上していると説明した。

    「欧州も成長を続けていることが分かっている。再び重要な市場になりつつあり、数字も良好だ」

    「ホッケンハイム側から我々に連絡があり、初期的な話し合いが行われた」

    ホッケンハイムリンクでは現在、サーキット施設の近代化が進められている。ただし、F1を開催するためには、さらなる資金投入が必要になるとドメニカリは強調した。

    「彼らは現在、サーキットの近代化を進めている。しかし、F1イベントの開催について話すのであれば、投資が必要だ」

    「我々のプラットフォームには一定水準の投資が求められる」

    250億円規模を超える再開発計画
    ホッケンハイムでは、ホテルや自動車文化をテーマとした複合施設「モーターワールド」のビジターセンター建設を含む、総額2億5000万ユーロ規模の大規模な再開発計画が進められている。

    ドメニカリは、仮にドイツGPが復活する場合、一時的な開催ではなく複数年にわたる契約が前提になるとの考えを示した。

    「我々は短期的なことだけを考えているわけではない。より長期的な協力関係について考えている」

    一方、ホッケンハイムリンクのマネージングディレクターを務めるヨルン・テスケは、契約が間近に迫っているとの見方を否定した。

    「我々はF1と定期的に連絡を取っている」

    「開催に必要な枠組みがどのようなもので、どのような機会とリスクがあるのか、包括的に把握したいと考えている。関心はあるが、現時点で報告できる結果はない」

    「グランプリ開催に向けた具体的な見通しが立った場合には、喜んで最新情報をお伝えする」

    ホッケンハイム側は採算性を重視
    テスケはドイツの放送局RTLに対しても、F1とホッケンハイムの双方が復活に関心を持っていること自体は、以前から明確になっていると語った。

    「双方がそれを望んでいることは、これまで十分に伝えられてきた」

    「これまでと同様に、我々は経済的に成立する解決策に関心を持っている」

    ドイツ国内では、モータースポーツ復活に向けた動きも見られる。メルセデスに加えてアウディがF1に参戦しており、FIAは2027年からドイツのF4選手権を復活させることも発表している。

    ドイツのF1放映権も競争激化へ
    ドイツにおけるF1のテレビ放映を巡っても変化が起きようとしている。Skyが保有する現在の独占放映契約は2027年末で満了する予定であり、次回の入札には複数の放送局が関心を示しているという。

    「初めて、入札への参加に関心を持つ放送局が複数存在することになる」

    ドメニカリはまた、ドイツ国内でF1への関心をさらに高めるため、無料放送による一定の露出を維持したいとの意向も示した。

    「もちろん、F1にさらに多くの注目を集めるにはどうすればいいか、放送局側と話し合っている。このテーマも協議事項に含まれている」

    ホッケンハイム側とF1の協議はまだ初期段階にあり、開催権料や施設投資、採算性といった課題も残されている。それでも、欧州市場の成長やアウディのF1参戦を背景に、ドイツGP復活の可能性は近年になく現実味を帯び始めている。

  • メルセデスF1代表 アントネッリ成長で「フェルスタッペン獲得はもう急務ではない」

    メルセデスF1代表 アントネッリ成長で「フェルスタッペン獲得はもう急務ではない」

    トト・ヴォルフは、アンドレア・キミ・アントネッリの急成長によって、メルセデスF1が2027年にマックス・フェルスタッペンを獲得する必要性は以前ほど高くなくなったとの見解を示した。

    ヴォルフは、将来的にフェルスタッペンとアントネッリをコンビにする可能性を完全には否定していないものの、現時点では若きイタリア人ドライバーの成長がチームの長期計画において大きな意味を持っていると強調している。

    フェルスタッペン獲得は「もはや急務ではない」
    ベルギー紙『La Derniere Heure』の取材に応じたトト・ヴォルフは、F1界の基準であり続けるフェルスタッペンを高く評価しながらも、メルセデスの状況は以前とは変わったと語った。

    「常に最高のドライバーをマシンに乗せようとするものだ」

    「マックスは今でもドライバーの基準となる存在だ。しかし、彼ほどのドライバーを獲得しなければならないという切迫感は、もはや以前ほどではないかもしれない」

    ヴォルフは、その理由としてアントネッリの台頭を挙げるとともに、チームは短期的ではなく長期的な視点で将来を見据えていると説明した。

    「我々は3年後、5年後、あるいは10年後に誰がトップに立っているのかを考えなければならない」

    「だからこそ、10歳ほどの子どもたちがカートで競う段階から育成する若手プログラムを構築している」

    アントネッリを絶賛「F1のために育てられてきた」
    今季6勝を挙げてランキング首位に立つアントネッリについて、ヴォルフは精神面の成熟ぶりを特に高く評価した。

    「シーズンを通して浮き沈みをどう管理しているかが印象的だ」

    「彼は走っている間は完全に自分の世界に入っている。そしてピットへ戻ると感情を表に出さず、すべてを分析して前へ進んでいく」

    「彼は感情的なイタリア人ドライバーという固定観念とは正反対だ。F1のために育てられてきた存在なんだ」

    ヴォルフによれば、アントネッリの育成は8歳の頃から始まっていたという。

    「トップドライバーでは、パフォーマンスの90%は生まれ持った才能によるものだ。残りの10%が努力だ」

    「キミのF1への準備は8歳のときに始まった。そして、その頃から彼は特別な存在だった」

    さらに、若手ながら精神的な強さも兼ね備えていると称賛した。

    「時には挫折や悪いレースもあるが、それを切り替えて前へ進んでいく」

    「誰もここまでやるとは思っていなかった。チームメイトでさえそうだった」

    マックス・フェルスタッペン

    アップデート不足を認めるメルセデス
    一方で、ハンガリーGPではメルセデスの競争力低下も浮き彫りとなった。アントネッリは予選4番手に終わり、ジョージ・ラッセルはエンジントラブルに見舞われた。

    アントネッリは、ライバル勢の開発が進んでいる一方で、メルセデスは大型アップデートを投入できていないことが影響していると説明した。

    「最近はトップチームが次々とアップデートを投入しているけど、僕たちはダウンフォース面で大きなアップデートをしばらく投入していない」

    「これは予想していたことだ。他のチームはいくつかアップデートを投入してきたけど、僕たちはそれを待っている状態だ。ここまでは間違いなく厳しい週末になっている」

    今季のアントネッリは速さだけでなく精神的な成熟も高く評価されており、ヴォルフの発言は、メルセデスが将来のエース候補として強い信頼を寄せていることを改めて示す内容となった。一方で、開発競争ではライバル勢に後れを取っており、今後予定されるアップデートがタイトル争いの行方を左右する重要な要素となりそうだ。

  • リアム・ローソン F1人生を変えたマルコへの直談判「なぜチャンスをくれない?」

    リアム・ローソン F1人生を変えたマルコへの直談判「なぜチャンスをくれない?」

    リアム・ローソンは、自身のF1キャリアを大きく変えた2023年オランダGPでの出来事を振り返り、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコに直談判したことが、その数時間後に訪れたF1デビューにつながったと明かした。

    当時レッドブル育成ドライバーだったローソンは、F2でランキング3位となりF1昇格を期待していたものの、チームはニック・デ・フリース、続いてダニエル・リカルドを起用。自身は日本のスーパーフォーミュラ参戦を命じられ、不満を募らせていた。

    「なぜ僕にチャンスをくれないのか」 マルコへ直談判
    2023年のオランダGPを前に、ローソンは自らザントフォールトへ向かい、マルコとの面談を申し出た。

    F1公式ポッドキャスト『Off the Grid』でローソンは当時をこう振り返っている。

    「3日間ずっと考え続けて、それからザントフォールトへ飛んだ。ヘルムートと直接話して、彼が何を考えているのか聞き出そうと決めたんだ」

    「金曜日の朝、彼のオフィスに行って『なぜ僕にチャンスをくれないんですか? これだけ僕に投資してきたのに意味がないじゃないですか。僕はもう5年間プログラムにいるんです』と伝えた」

    しかし、その反応は期待したものではなかった。

    「最後には彼もちょっと腹を立てたみたいで、僕の話を打ち切ったんだ」

    「部屋を出たあと、その場にいたコーチへ電話して『これはかなり厳しいな』と話していた」

    リアム・ローソン F1デビュー

    数時間後に訪れた突然のF1デビュー
    だが、その日の午後、状況は劇的に変化する。

    フリー走行2回目でダニエル・リカルドがクラッシュし、中手骨を7か所骨折する重傷を負ったことで、アルファタウリは代役を探す必要に迫られた。

    ローソンによれば、当初から自分が唯一の候補だったわけではなかったという。

    「『リアムが乗る』とすぐ決まったわけじゃない。経験があって、このクルマを走らせたことがあるドライバーは誰だ、と検討していたんだ」

    その後、マルコから呼び出しを受けた。

    「ヘルムートのところへ行くと、彼は僕を見て『準備はできているか?』と聞いた。僕は『はい』と答えた。それが会話のすべてだった」

    ローソンはそのままF1デビューを果たし、5戦で2ポイントを獲得。2024年は再びリザーブドライバーを務めたものの、シーズン終盤6戦で再び実戦復帰し、その走りが2025年シーズンのシート獲得につながった。

    「誰かの代役でも迷いはなかった」
    リカルドの負傷によって得たチャンスに複雑な思いはなかったのかと問われたローソンは、率直な心境を明かした。

    「まったくなかった。もちろん彼にとってはつらいことだけど、僕たちはみんな同じシートを争っている。そこに個人的な感情はない」

    「自分のキャリアを懸けて戦っている時は、それがすべてなんだ。それ以上に優先するものはない」

    ローソンは2025年開幕時にレッドブル・レーシングへ昇格したものの、わずか2戦でレーシングブルズへ復帰。2026年シーズンも同チームで戦い続け、チームが獲得した66ポイントのうち43ポイントを稼ぐ活躍を見せている。

  • アストンマーティンF1 メルセデスPU継続なら「トップ5だった」とモントーヤ

    アストンマーティンF1 メルセデスPU継続なら「トップ5だった」とモントーヤ

    アストンマーティンF1は、2026年シーズン初の大型アップデートによってシャシー性能の改善を示した一方で、依然としてホンダ製パワーユニット(PU)が最大の課題となっている。

    元F1ドライバーのファン・パブロ・モントーヤは、もしアストンマーティンがメルセデス製PUを継続していたなら、「グリッドでも有数のチームになっていた」との見解を示し、シャシーとPUのアンバランスさを指摘した。

    「今のアストンマーティンにメルセデスPUがあればトップ5」
    2026年のハンガリーGPでは、アストンマーティンが待望の大型アップデートを投入。フェルナンド・アロンソとランス・ストロールは13位と14位でフィニッシュしたものの、両者が完走したレースとしては今季最高の結果となり、マシン性能の前進を印象づけた。

    一方で、ホンダ製PUは依然としてライバル勢に対して出力不足が指摘されており、シャシーの改善効果を十分に生かし切れていないとみられている。

    こうした状況について、モントーヤはASコロンビアの取材で次のように語った。

    「多くの人が理解していないことだが、僕自身もそうだった。昨年のマシン、あるいは今季序盤に投入されたマシンは、エイドリアン・ニューウェイが本格的に関わる前にほぼ完成していた」

    「ニューウェイが設計に参加した頃には、すでにほとんどの作業が終わっていた。彼自身も『少しは関わったが、ほぼ完成していた』と言っていた」

    「そして彼は今年、『まずはマシンの状態や問題点を見極め、それを踏まえて何をすべきか判断したかった』とも話していた」

    モントーヤは、アストンマーティンが2023年にホンダとのワークス契約を決断したことにも触れ、もしメルセデスPUを維持していたなら、現在の戦力図は大きく違っていたと考えている。

    「彼らはウィリアムズやキャデラックに約70秒もの差をつけてフィニッシュした。つまり、今のマシンにメルセデスのPUを載せれば、間違いなく上位争いができる」

    「4番手か5番手のチームにはなっていただろう。もうそこまで大きな差はないんだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ホンダ新PU投入で勢力図は変わるのか
    もっとも、アストンマーティンとホンダ陣営も手をこまねいているわけではない。

    ホンダは夏休み明け最初のオランダGPで改良版PUを投入する予定で、報道では約30馬力の性能向上が見込まれている。現時点でメルセデスやフェラーリに並ぶ水準には届かないとみられるものの、大きな前進となる可能性が高い。

    アストンマーティンは今回のアップデートでシャシー面の改善を証明した。今後はホンダの新PUが加わることで、モントーヤの言う「トップ5チーム」に近づけるかが、シーズン後半最大の注目点となりそうだ。

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