カテゴリー: マクラーレンF1チーム

  • アロンソは“孤立していた” ロバトが明かす2007年マクラーレンF1の内幕

    アロンソは“孤立していた” ロバトが明かす2007年マクラーレンF1の内幕

    フェルナンド・アロンソが2007年にマクラーレンで経験した“孤立”と“対立”について、当時を知るDAZN解説者アントニオ・ロバトが詳細を明かした。

    2007年のマクラーレンは、アロンソとルイス・ハミルトンの対立、スパイゲート問題、ロン・デニスのチーム運営などが絡み合ったF1史上屈指の混乱期として知られている。ロバトはYouTubeチャンネル『Senén Morán』のインタビューで、当時アロンソ本人から聞いていた内容や、自らが現場で目撃した出来事を振り返った。

    アロンソはハミルトンを“過小評価していた”
    アントニオ・ロバトは、フェルナンド・アロンソ自身もルイス・ハミルトンの実力を見誤っていたと認めていたと語った。

    「フェルナンドは、ハミルトンがあれほど強いとは思っていなかった」

    ロバトはそう振り返り、過去にアロンソ本人へ確認した際にも「そうかもしれない」と認めていたと明かした。

    さらにロバトは、ハミルトンの2007年シーズンを高く評価した。

    「ハミルトンは本当に素晴らしいシーズンを送った。野心もあったし、イギリスメディアとの結び付きも強かった。父親もかなり攻撃的だった。でも、彼は結果を出した。もしあれがスペイン人ドライバーだったら、我々も称賛していたかもしれない」

    マクラーレン内部で進んだ“アロンソ孤立”
    ロバトによれば、マクラーレン内部では徐々にルイス・ハミルトン側へ傾いていったという。

    「かなり酷いことが起きていた。フェルナンドは酷い扱いを受け、孤立させられ、脅されていた。いろいろなことがあった。私は“ガラスのジャングル”と呼んでいたマクラーレンのホスピタリティ内で、それを見ていた」

    ロバトは当時の具体的なエピソードも紹介した。

    マクラーレンにはスペイン人のウェイターがおり、アロンソを気に掛けていたという。しかしロン・デニスがその様子に気付き、そのスタッフを別フロアへ異動させたと語る。

    「シーズン終盤には、フェルナンドがコーヒーを飲みたくても自分で取りに行かなければならなかった。誰も対応してくれなかったんだ。あの孤立感は今でも覚えている」

    “エンジンを0.3秒遅くするのは簡単だ”
    ロバトはさらに、スパイゲート問題の最中に起きたという衝撃的な内幕も明かした。

    当時、フェラーリの機密情報流出問題でマクラーレンが揺れる中、アロンソは内部メール問題を“防御材料”として利用していたとされる。

    その際、当時メルセデス側トップだったノルベルト・ハウグが、アロンソに圧力をかけたという。

    「トルコGPでフェルナンドは部屋に呼ばれた。そして当時マクラーレンのエンジンサプライヤーだったメルセデスの責任者ノルベルト・ハウグがこう言ったそうだ」

    「“どうするかは君次第だ。でも、もしメールが表に出たら、エンジンをコンマ3秒速くなくするのは簡単なんだぞ”」

    ブラジルGPで“もう1台の選択肢”は存在しなかった?
    ロバトは2007年最終戦ブラジルGPについても意味深な証言を残した。

    当時、タイトル争いはアロンソ、ハミルトン、キミ・ライコネンの三つ巴となっていた。しかしロバトは、マクラーレンが実質的にアロンソ側を見限っていた可能性を示唆した。

    「ハミルトンがミスをしたとき、彼らにはもう別の弾がなかった。フェルナンドのクルマは走らなかったし、機能していなかった」

    「レース序盤でハミルトンに問題が起きるとは想定していなかったんだと思う。でも、もう一方の選択肢を消したような感じだった。なぜなら、もう一方の選択肢は存在していなかったからだ。競争力のあるクルマではなかった」

    最終的に2007年のタイトルはキミ・ライコネンが獲得。フェルナンド・アロンソとルイス・ハミルトンは同点でランキング2位となり、わずか1ポイント差で王座を逃した。

  • マクラーレンF1 本社拡張を承認 新テストリグ施設を建設へ

    マクラーレンF1 本社拡張を承認 新テストリグ施設を建設へ

    マクラーレンF1が、英国ウォーキングの本社拡張計画に関して正式な建築許可を取得した。新たな施設には、F1マシン開発用の「テストリグ(試験装置)」が設置される予定で、チームの技術基盤強化に向けた重要な投資となる。

    今回の計画は、既存のマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)の敷地内を拡張するもので、現在の施設容量が限界に達していることが背景にある。F1活動だけでなく、グループ全体の成長戦略とも結びついたプロジェクトだ。

    マクラーレンF1本社に新テストリグ施設
    ウォーキング市議会の計画文書によると、新施設は既存の南東側ルーフキャノピー下に建設される。テストリグエリアの面積は143平方メートルで、関連設備として外部コンデンサーユニットも設置される。

    今回の計画は、2025年に承認された案をベースに調整が加えられており、地下部分の拡張やコンデンサー設備の配置変更が盛り込まれた。

    マクラーレン側の建築設計を担当する「tor&co」は提出書類の中で、次のように説明している。

    「マクラーレングループが新市場への進出と継続的な成長を実現するためには、このようなテストリグを含む新たな施設と試験設備が必要になる」

    「これらはグループの技術的・運営的要求を満たすうえで不可欠な存在になる」

    市議会側は、工事について「3年以内に着工すること」を条件として承認を与えている。

    F1で重要性を増す“テストリグ”
    近年のF1では、コストキャップ導入や走行制限の強化によって、シミュレーション設備やテストリグの重要性が急速に高まっている。

    特に2026年F1レギュレーションでは、パワーユニットやエネルギーマネジメントが複雑化しており、実車走行前のシステム検証能力が競争力を左右する時代になっている。

    マクラーレンは今年、開幕前テスト前に新車「MCL40」をオーストリアのAVL施設へ搬入し、事前テストを実施していた。

    チーム代表のアンドレア・ステラは当時、その理由について次のように説明している。

    「いまのF1では一般的なやり方だ。こうした施設を使うことで、マシンの基本システムをより深く検証できる」

    「MTCにもギアボックスリグやダイノ設備はあるが、AVLのような施設は以前から活用してきた」

    今回の新施設建設によって、マクラーレンは外部施設への依存を減らし、自社敷地内でより多くの開発・検証作業を進められるようになる可能性が高い。

    “インフラ投資”でF1覇権維持へ
    現在のF1では、空力性能だけでなく、開発スピードや検証効率そのものが戦闘力に直結する。

    メルセデスやレッドブル、フェラーリが巨大なシミュレーション設備を武器にしてきたなか、マクラーレンもここ数年で急速に設備投資を進めている。

    風洞刷新、シミュレーター強化、データ解析能力向上に続き、今回のテストリグ拡張は“次世代F1開発競争”への本格対応とも言える。

    2026年F1シーズンはレギュレーション変更によって各チームの勢力図が大きく変わる可能性がある。その中で、マクラーレンはサーキット外の技術基盤整備でもライバルとの差を縮めようとしている。

  • ザク・ブラウン FIA会長に書簡 “レッドブルF1の2チーム体制”に異議

    ザク・ブラウン FIA会長に書簡 “レッドブルF1の2チーム体制”に異議

    マクラーレンのCEOを務めるザク・ブラウンが、FIA会長モハメド・ビン・スライエムに対し、F1における“複数チーム所有”の規制強化を求める書簡を送っていたことが明らかになった。

    現在、レッドブル社はレッドブルとレーシングブルズの2チームを所有しており、ブラウンは以前からこの体制について「スポーツの公正性を損なうリスクが高い」と批判を続けてきた。RacingNews365が確認した書簡では、近年の具体例を挙げながら、現行ルールへの問題提起を行っている。

    “チーム間連携”を問題視したシンガポールGP
    ブラウンが特に問題視したのは、2024年F1シンガポールGPでの出来事だ。

    当時レーシングブルズに所属していたダニエル・リカルドは、レース最終盤にファステストラップ狙いのピットストップを実施。その結果、マクラーレンのランド・ノリスからボーナスポイントを奪う形となり、タイトル争いを展開していたマックス・フェルスタッペンに有利な状況を生み出した。

    結果としてフェルスタッペンは、残りレースでノリスに次ぐ順位でもタイトル獲得が可能な条件を維持することになり、ブラウンはこの件を“系列チームによる競技介入”の象徴例として挙げた。

    マイアミGPのローソン指示も槍玉に
    ブラウンはさらに、先日のF1マイアミGPで発生したレーシングブルズの対応についても言及した。

    レース序盤、ターン2で360度スピンを喫したマックス・フェルスタッペンは順位を落としたが、その後リアム・ローソンとの争いの中でコース外へ押し出したように見える場面があった。

    その後、レーシングブルズはローソンに対してフェルスタッペンへポジションを返すよう指示。ブラウンは、この対応が結果的にレッドブル側を利するものだったとして、競技の独立性に疑問を投げかけている。

    ローレン・メキース移籍問題も指摘
    書簡では、人材移動の扱いについても問題視された。

    2025年7月、レーシングブルズ代表だったローラン・メキースは、解任されたクリスチャン・ホーナーの後任として即座にレッドブルへ昇格。当時、一般的に適用される“ガーデニング休暇”は課されなかった。

    ブラウンはこれに対し、マクラーレンがレッドブルからロブ・マーシャルを引き抜いた際には、9か月のガーデニング休暇と高額補償が必要だったと比較。さらに、レーシングブルズからアンドレア・ランディがレッドブル入りした件も挙げ、「本当に独立した競争相手同士で許容されるレベルのファイアウォールが機能しているとは思えない」と主張した。

    また、風洞利用やソフトウェア開発などにおいても、複数チーム所有による潜在的な優位性が存在する可能性があると指摘している。

    FIA会長も“2チーム所有”に疑問
    こうした問題提起に対し、FIA会長モハメド・ビン・スライエムも、F1マイアミGPでRacingNews365などに対して見解を示していた。

    「2チーム所有については、その理由が正しいものである限り問題ないとも言える。だが、“正しい理由”とは何か?」

    「他チームに買われたくないから保有する、あるいはレギュレーション投票で影響力を得るためという理由であれば問題だ」

    「個人的には、2チーム所有は正しい形ではないと思っている。ただ非常に複雑な問題なので、現在FIA内部で調査を進めている。可能なのか? 許されるべきなのか? 本当に正しいのか? を検討している」

    ブラウンは書簡の中で、FIAとのさらなる協議にも前向きな姿勢を示している。

    “レッドブルモデル”への包囲網は強まるのか
    これまでF1では、レッドブルとレーシングブルズの関係性についてたびたび議論が巻き起こってきた。

    特に2026年F1シーズンは、新レギュレーションやPU勢力図の変化により、チーム間協力や技術共有への視線がこれまで以上に厳しくなる可能性がある。ザク・ブラウンの書簡は、単なる政治的牽制ではなく、F1全体の競技構造そのものに一石を投じる動きとなりそうだ。

  • オスカー・ピアストリ レッドブルF1移籍説に警鐘「今より弱いチームへ行くのか?」

    オスカー・ピアストリ レッドブルF1移籍説に警鐘「今より弱いチームへ行くのか?」

    オスカー・ピアストリの将来的な移籍をめぐり、レッドブル移籍説がF1パドックで再び注目を集めている。

    2026年シーズンのピアストリは、開幕から2戦連続DNSという不運に見舞われながらも、日本GPでは2位表彰台を獲得。マクラーレンF1の有力ドライバーとして存在感を示している。

    一方で、マックス・フェルスタッペンが2026年F1レギュレーションへの不満を繰り返し口にしていることから、レッドブルが後任候補としてピアストリに関心を寄せているとの見方が浮上している。

    “今より弱いチーム”への移籍に警鐘
    こうした状況について、元フェラーリのレースエンジニアであるロブ・スメドレーは、ピアストリがマクラーレンを離れることに慎重になるべきだと語った。

    「もし君がそのチームにいて、チームメイト相手に苦戦しているとする。私はフェラーリ時代を振り返って話しているんだ」とロブ・スメドレーは『High Performance Racing』ポッドキャストで語った。

    「そのときの選択肢は何だ? 実際にはワールドチャンピオンを獲得する可能性がない、今より弱いチームに移籍したほうがいいのか? ただ、そのチームでは自分のほうが優れたドライバーになれるかもしれない」

    「私はそういうケースを何度も見てきた。ドライバーがそういう選択をするのを何度も見てきた。でも、それがうまくいった例は見たことがない。ドライバー本人が幸せになったケースも見たことがない」

    スメドレーは、トップ争いが可能なチームを離れ、“絶対的エース”の立場を求めて移籍することの危険性を強調した形だ。

    レッドブルF1復活にも“不確定要素”
    さらに、元アルピーヌF1チーム代表のオトマー・サフナウアーも、レッドブル移籍には大きなリスクがあると指摘している。

    「そうだね。なぜなら、そこには2つの条件があるからだ」とサフナウアーは語った。

    「まず、自分が移籍先でナンバーワンドライバーになれること。そして、そのチーム自体がベストチームに上がっていかなければならない」

    「でも、その2つが同時に成立するケースはかなり珍しい」

    「特に、そのチームが3番手からトップに上がるというのは簡単じゃない。通常はメルセデスの時代が6〜7年続き、レッドブルの時代が4〜5年続き、フェラーリとミハエル・シューマッハの時代は10年近く続いた」

    「だから、その10年間にフェラーリでナンバー2だったドライバーが、『別の場所でナンバー1になりたい』と思って移籍したとしても、結局その移籍先はベストチームではなかったということになる」

    “マクラーレン残留”か“レッドブルのエース”か
    現在のピアストリにとって最大の選択肢は、最強マシンを持つマクラーレンで“対等なエース”として戦い続けるか、それともレッドブルで絶対的ナンバーワンになる道を選ぶかという点にある。

    前者はタイトル争いを継続できる可能性が高い一方で、チーム内競争は避けられない。後者はチームの中心になれる魅力があるが、レッドブルが再びF1最強チームへ返り咲ける保証はない。

    ピアストリにとって、キャリアを左右する重要な判断になる可能性がありそうだ。

  • インテルがマクラーレンF1と提携 BMWザウバー以来17年ぶり復帰

    インテルがマクラーレンF1と提携 BMWザウバー以来17年ぶり復帰

    マクラーレンは、テクノロジー大手のインテルと新たなパートナーシップを締結し、同社が約17年ぶりにF1チームのスポンサーとして復帰することを発表した。

    インテルがF1チームに直接関与するのは、2006年から2009年までのBMWザウバーとの提携以来となる。

    F1とインディカーの公式コンピュートパートナーに
    今回の契約により、インテルはマクラーレンのF1チームおよびインディカーチームの公式コンピュートパートナーに就任した。契約は即時発効し、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリのマシンには、次戦カナダGPからインテルのロゴが掲出される。

    さらにインテルのロゴは、8月にワシントンで開催されるフリーダム250でマクラーレンのインディカーの1台に掲出され、来年のインディ500にも登場する予定だ。

    インテルCEO「データを競争力に変える」
    インテルのCEOであるリップブー・タンは、マクラーレンとの提携が双方に利益をもたらすものになると語った。

    「F1レーシングとインディカーは、ハイパフォーマンス・コンピューティングにとって究極の実証の場の一部だ」

    「インテルとマクラーレンはともに可能性の限界を押し広げ、あらゆる場面でデータを競争上の優位性へと変えていく」

    インテルは今後、マクラーレンに対してデータ処理能力の支援を行うとともに、レース週末のオペレーションに必要な追加のコンピューティングパワーを提供する。

    インテルはBMWザウバー以来17年ぶりにF1チームノスポンサーに復帰する

    ザク・ブラウン「設計、製造、レースに重要な役割」
    マクラーレンCEOのザク・ブラウンも、インテルがチームの技術基盤において重要な存在になっていると強調した。

    「インテルはすでに我々のテクノロジー・エコシステムの重要な一部であり、コンピューティングにおける同社のリーダーシップは、我々がマシンを設計し、製造し、レースを戦ううえで重要な役割を果たす」

    「この関係をさらに深められることをうれしく思う」

    インテルは過去にもBMWザウバーのほか、トヨタやウィリアムズとの小規模な提携に関与していた。今回のマクラーレンとの契約は、単なるロゴ掲出にとどまらず、F1とインディカーの両プログラムにおけるデータ活用と計算処理能力の強化を狙った技術提携として位置づけられる。

  • F1は“第4のアメリカGP”より韓国と南アフリカへ ザク・ブラウンが市場戦略を語る

    F1は“第4のアメリカGP”より韓国と南アフリカへ ザク・ブラウンが市場戦略を語る

    マクラーレンのCEOを務めるザク・ブラウンは、F1の次なる成長戦略について「第4のアメリカGP」よりも、南アフリカや韓国といった新市場への拡大を優先すべきだとの考えを示した。

    近年のF1はNetflixの『Drive to Survive』や、ブラッド・ピット主演のF1映画効果もあり、北米市場で急成長を遂げている。現在はアメリカ国内でマイアミ、ラスベガス、オースティンの3戦を開催しているが、ブラウンは“開催数拡大”だけでは次の成長にはつながらないと見ている。

    F1の本当の成長余地は“テレビ視聴者数”
    ABX主催イベントに登壇したザク・ブラウンは、F1のアメリカ市場での最大の課題は「開催数」ではなく「視聴者数」だと説明した。

    「成長の鍵はテレビ視聴者数だと思っている」

    「アメリカにはすでに素晴らしい3つのグランプリがある。もちろん4戦、5戦開催することも可能だと思う。しかし、それは我々が拡大すべき他市場を犠牲にすることになる」

    「だから今の状況には満足している。南アフリカや韓国のような新たな成長市場が存在しているからだ」

    ブラウンは特に、アメリカ国内におけるF1視聴者数の伸びしろを重要視している。

    「NFLと比較すると、F1のテレビ視聴者数はまだかなり小さい。そこが最大の成長分野だ」

    Apple TV時代でF1人気はさらに拡大
    2026年からアメリカでのF1放映権はESPNからApple TVへ移行した。Apple幹部のエディ・キューは、開幕3戦の視聴データに強い手応えを感じているという。

    「昨年よりも大幅に視聴者数が増加している」

    「しかも日曜決勝だけではなく、週末全体を通じて長時間視聴されている」

    Appleはモバイルアプリやデジタル配信を軸に、若年層や女性ファンの獲得を進めている。F1の2025年調査では、アメリカの新規ファンの47%が18〜24歳で、その半数以上が女性だった。

    ESPN最終年となった2025年シーズンには、F1はアメリカで平均130万人の視聴者を記録。これは2022年の121万人を上回る史上最高記録だった。

    ただしNFLは2025年レギュラーシーズン平均で1870万人を記録しており、F1との差は依然として圧倒的に大きい。

    ドメニカリ「アメリカ市場はまだ始まりにすぎない」
    F1 CEOのステファノ・ドメニカリも、アメリカ市場での成長はまだ“序章”だと語る。

    「我々のアメリカでの冒険はまだ始まったばかりだ」

    「アメリカの巨大スポーツがはるか先を走っていることは理解している。しかし我々は競争者だ」

    「だから我々は挑戦を恐れない。もちろん他スポーツへの敬意は払う。しかしF1はアメリカのファン文化の一部になっていく」

    “開催数拡大”から“市場浸透”へ変わるF1戦略
    今回のザク・ブラウンとステファノ・ドメニカリの発言から見えてくるのは、F1がアメリカ市場で「新規開催地を増やす段階」から、「既存市場で文化として定着させる段階」へ戦略を移し始めていることだ。

    実際、マイアミ、ラスベガス、オースティンの3戦体制によってF1の存在感は急速に拡大した一方で、NFLやNBAのような“国民的スポーツ”との差は依然として大きい。F1側は今後、Apple TVやデジタル配信を武器に、若年層や女性ファンをさらに取り込むことで、アメリカ国内の視聴規模そのものを押し上げようとしている。

    そのうえで、次の開催地候補として南アフリカや韓国が具体的に語られた点は興味深い。F1は近年、中東・北米偏重とも言われるカレンダー構成が続いていたが、“未開拓市場の再獲得”へ再び目を向け始めていることがうかがえる。

    特にアフリカGP復活は、F1が以前から掲げてきた「全大陸開催」構想の最後のピースでもあり、韓国についてもアジア市場再強化の一環として注目される可能性がある。

  • オスカー・ピアストリ レッドブルF1移籍説をけん制「マクラーレンを強くしたい」

    オスカー・ピアストリ レッドブルF1移籍説をけん制「マクラーレンを強くしたい」

    オスカー・ピアストリが、レッドブル移籍説が浮上するなかでもマクラーレンへの強い忠誠心を改めて示した。

    マックス・フェルスタッペンの将来的な去就が不透明視されるなか、レッドブルが後継候補としてピアストリに注目しているとの報道が続いている。しかし、本人の最新コメントからは、少なくとも現時点でマクラーレンを離れる意思がないことが明確に伝わってくる。

    “チームに尽くすドライバー”として記憶されたい
    ピアストリはマクラーレンのYouTubeチャンネルの特集内で、自身がF1ドライバーとして何を重視しているかを語った。

    「自分自身をしっかり管理する必要がある。エンジニアのチームだけじゃなく、ファクトリーにいる何百人もの人たちとも協力していかなければならない」

    「求められるものは本当に多い。でも、それらを全部備えていても、速くなければ意味はない」

    そう語ったピアストリは、自身のキャリアを“マクラーレン成功時代の一員”としてだけではなく、“チームを強くしたドライバー”として残したいと説明した。

    「僕がただ成功した時代のドライバーだった、というだけではなく、チームの成功に貢献したドライバーだったと思ってもらえたら嬉しい」

    「たとえワールドチャンピオンになれなかったとしても、常に全力で戦い、ベストを尽くそうとしていたドライバーとして記憶されたい。それも正しいやり方でね」

    「真のレーサーでありながら、チームにとても献身的で、マクラーレンをより良いチームにしようとしていた人物として覚えられたい」

    レッドブル移籍説との温度差
    ピアストリは現在、F1グリッドでも屈指の評価を受ける若手ドライバーのひとりであり、レッドブルが関心を寄せるのは自然な流れとも言える。

    特に、2025年シーズン終盤にはチーム内でランド・ノリスとの扱いの差が話題になったことで、“エース待遇”を求めて将来的な移籍を検討する可能性も取り沙汰されてきた。

    しかし今回のコメントでは、個人の立場よりも“チーム全体への貢献”を重視する姿勢が前面に出ている。

    実際、ピアストリはF1デビュー前にもアルピーヌとの既存関係を断ち切ってまでマクラーレン加入を選択しており、一度決めたプロジェクトに対して強いコミットメントを示してきた。

    マクラーレンはピアストリに応えられるか
    ザク・ブラウンはこれまで、タイトル争いで明確な優位性が生まれればピアストリを支援する可能性を示唆している。

    ただ、昨年のチームオーダーや戦略判断を巡っては、「本当にピアストリを全面支援するのか」という懐疑的な見方も依然として存在する。

    だからこそ、2026年シーズンはマクラーレンにとっても重要な意味を持つ。ピアストリの“献身”に対して、チームがどこまで本気で応えられるか――その姿勢が、今後の長期的な関係性を左右する可能性がある。

    Photo:Getty Images

  • マクラーレンF1も“マカレナ・ウイング”投入か ザク・ブラウンが示唆

    マクラーレンF1も“マカレナ・ウイング”投入か ザク・ブラウンが示唆

    マクラーレンF1が、F1パドックで大きな話題となっている“マカレナ・ウイング”の開発競争に加わる可能性が浮上した。チームCEOのザク・ブラウンが、回転式リアウイングについて「有益になり得る」と認めたことで、マクラーレンが独自仕様を準備しているとの見方が強まっている。

    フェラーリが今季序盤に試験導入したこのコンセプトは、マイアミGPでレッドブルF1が独自解釈版を投入したことで、一気に注目を集めた。

    RB22には計7つのアップデートが投入され、マックス・フェルスタッペンは予選フロントローを獲得。レッドブルのパフォーマンス改善の象徴として、“マカレナ・ウイング”は一躍トレンド技術となっている。

    ザク・ブラウン「有益になり得る」
    フェラーリがプレシーズンテストで試した回転式リアウイングは、マイアミGPでより完成度を高めた仕様として登場した。

    そこへレッドブルF1も独自仕様を持ち込み、RB22のパフォーマンスは大きく改善。フェルスタッペンは予選でフロントローを獲得し、スプリントと決勝の両方で5位に入った。

    一方、マクラーレンも今季最高レベルの競争力を示し、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリがダブル表彰台を獲得した。

    そのなかでザク・ブラウンは、各チームがこの技術を注視していることを認めた。

    「もちろん見ている。想像できると思うが、すべてのチームがお互いのやっていることを見ている」

    「非常に賢いアイデアだし、我々としても有益になり得ると考えている。だから他チームが使っているのを見ても驚きはない」

    このコメントによって、マクラーレンの技術陣がすでにMCL40への導入を本格検討しているとの憶測が広がっている。

    “マカレナ”リアウイング

    “空力軍拡競争”が再び激化
    回転式リアウイングを巡る開発競争は、2026年F1シーズンの勢力図をさらに接近させる要因になりつつある。

    マイアミGPでは、マクラーレンとレッドブルが揃ってパフォーマンスを改善。メルセデスとフェラーリを含めたトップ4チームの差は、開幕当初よりも明らかに縮まり始めている。

    ブラウンも、グリッド全体の接近を実感している。

    「彼ら(レッドブル)は週末を通して速かった。素晴らしい開発をマシンに投入してきた」

    「フェラーリ、そしてメルセデスもいる。トップ4が形成されている状況だ」

    「オーストラリアと比べてラップタイムを見れば、グリッド全体がどんどん接近しているのが分かる」

    「そう遠くないうちに、以前のような非常に接戦のグリッドに戻ると思う」

    もしマクラーレンF1が今後、“マカレナ・ウイング”を投入すれば、F1の空力開発競争はさらに激化することになりそうだ。

  • レッドブルF1とマクラーレンが非公開協議 ランビアーゼ移籍騒動の内幕

    レッドブルF1とマクラーレンが非公開協議 ランビアーゼ移籍騒動の内幕

    レッドブル・レーシングとマクラーレンの間で、ジャンピエロ・ランビアーゼの移籍を巡る認識の違いが表面化した。ランビアーゼはマックス・フェルスタッペンのレースエンジニアであり、レッドブルでレース部門責任者も務める重要人物だ。

    発端となったのは、マクラーレンがランビアーゼを「チーフ・レーシング・オフィサー」として迎えることを発表した後、マイアミGPでローラン・メキースが「彼は向こうでチーム代表になる」と語ったことだった。

    これに対し、マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは「彼は私の知らないことを知っているらしい」と受け流し、現在のチーム代表アンドレア・ステラへの支持を改めて強調した。

    移籍時期と役職を巡る両チームの温度差
    ランビアーゼの移籍が4月初旬に発表された際、レッドブルは「現在の契約が満了する2028年に退団する」と説明した。一方、マクラーレンは「遅くとも2028年までに」と表現し、一般的な人材移籍と同じように、何らかの妥協によってより早い加入が可能になるという期待をにじませていた。

    この発表はオランダメディアへのリーク後に行われたもので、当初は両チームが協力して公式発表を整え、F1の4月中断期間が終わる前にそれぞれメディア対応も行っていた。その段階では、両者の間に目立った対立はなかった。

    しかしマイアミGPでメキースがスカイスポーツF1に対し、ランビアーゼがマクラーレンでチーム代表になると発言したことで、マクラーレン側は驚かされることになった。

    マクラーレンが否定したステラ退任説
    マクラーレンとステラは、この見方を明確に否定している。ステラはブラウンと同じく長期契約を結んでおり、昨年チームを両選手権制覇へ導く上で中心的な役割を果たした人物で、チームを離れる意向はないとされている。

    マクラーレン側の立場は、ランビアーゼの「チーフ・レーシング・オフィサー」という役職は変わらないというものだ。ランビアーゼは、現在ステラがチーム代表職と兼任している業務の一部を引き継ぐ予定であり、ステラ自身もその兼務を長期的に続けるのは持続可能ではないと考えている。

    マイアミで行われた“空気を清める”話し合い
    レッドブル側にとって、ランビアーゼの退団はここ数年続く「人材流出」の文脈に組み込まれやすいニュースだった。クリスチャン・ホーナー、ヘルムート・マルコ、エイドリアン・ニューウェイ、ロブ・マーシャル、ウィル・コートニーらの離脱に続く動きと見られたからだ。

    一方、マクラーレンの発表文では、近年レッドブルから加入したロブ・マーシャルとウィル・コートニーにも触れており、それがメキースにとって「事実関係を正したい」という思いにつながった可能性がある。

    その結果、マイアミGPの日曜日にブラウン、メキース、レッドブル親会社側のオリバー・ミンツラフがこの件について話し合った。双方は現在、問題は整理されたと受け止めており、ブラウンと前任のホーナー時代に見られたような敵対的な関係に戻るのではなく、敬意あるライバル関係を望んでいる。

    「我々の誰も、この件で言い合いをしたかったわけではない。いつものように良い話し合いができたし、我々は前に進む」とメキースは語った。

    ステラが語った“毒入りビスケット”
    ステラは4月にマクラーレン公式サイトで公開されたインタビューの中で、ランビアーゼを巡る初期の憶測にも触れていた。

    「正直なところ、天文学的な給与や神話のような事前契約に関する最近の噂には笑ってしまった」とステラは語った。

    「通常なら夏前に始まる“シリーシーズン”が、早く到来したように見える」

    「私はこういうことにはかなり慣れているし、笑って受け止めている」

    「まるで嫉妬深いパティシエが、マクラーレンの菓子工房で良いデザート作りを台無しにしようとしたようにも見える」

    「だが、我々は良い材料と毒入りビスケットを見分ける方法をよく分かっている」

    ステラが使う「毒入りビスケットを取らない」という表現は、ライバルからの雑音や揺さぶりに誘惑されないよう、マクラーレン内部に警告する際によく使われるものだ。今回の場合、最初のランビアーゼ移籍リークはマクラーレンやレッドブル・レーシングの直接の内部から出たものではないと見られている。

    その含意は、両チームを不安定にし、さらにステラの古巣であるフェラーリまで巻き込む意図があった可能性だ。ステラは2015年にマクラーレンへ加入する前、フェラーリで長年働いており、同チームの論理的な獲得候補として名前が挙がってきた。

    ランビアーゼ退団が示すレッドブルの世代交代
    ランビアーゼがマクラーレンでどの役職に就くとレッドブルが考えているにせよ、その退団がチームにとって具体的な損失であることは変わらない。フェルスタッペンのレースエンジニアであり、チーム内でより広い職務も担ってきた人物の離脱は、レッドブルにとって小さな変化ではない。

    メキースも「我々が何人かの才能を失ったという事実について、防御的になるつもりはない。それは事実であり、3年か4年にわたって存在してきた」と認めている。

    ただし、メキースとミンツラフは、レッドブルを新たな方向へ進めようとしている。内部再編と外部からの採用を組み合わせ、チームの次世代体制を築く考えだ。

    「ピットレーンで最高の才能を維持し、育成し、引き付けるための環境を作ることは、チームにとって最優先事項だ」とメキースは語った。

    「我々にはすでに、各部門ごとに最高の才能がいると感じている。それはパワーユニット側のベン・ホジキンソンと彼のチームから始まり、シャシー側のピエール・ワシェと彼のチームにも当てはまる」

    「可能なときには、常に内部昇格の方法を探る。我々はここ数年で多くの才能を生み出してきたし、それを誇りに思っている。今後も続けたい」

    「特定のスキルや経験が必要になったときには、ピットレーンにいる親愛なる競争相手のところから獲得しに行く。我々がこれまでそうしてきたように」

    「我々はそのように物事を見ている。まず自分たちの才能に最大のチャンスを与える。そして外部から注入する必要があれば、喜んでそうする」

    人材流出ではなく“役割の再定義”を巡る攻防
    今回の一件は、単なるランビアーゼ移籍話ではなく、レッドブルとマクラーレンがそれぞれ自分たちの物語をどう守るかという攻防でもある。レッドブルにとっては「また有力人材を失った」という印象を薄める必要があり、マクラーレンにとっては「ステラ退任」や「体制変更」という見方を封じる必要があった。

    マクラーレンは、ランビアーゼ加入をステラ体制の強化として位置づけている。一方のレッドブルは、ランビアーゼにとって自チームでは得られない大きな機会だったと説明することで、退団を単なる内部崩壊の証拠として見られることを避けようとしている。

    マイアミでの話し合いによって表面上の火種は収まったが、ランビアーゼが実際にマクラーレンへ加わる2028年までには、両チームの勢力図も役職の意味も変わっている可能性がある。その意味で、この移籍はまだ終わった話ではなく、レッドブルの新世代体制とマクラーレンの王者体制を測る長期的な材料になっていく。

    Source: The Race

  • メルセデスF1がマクラーレンを“逆研究” PUソフトウェア戦争が激化

    メルセデスF1がマクラーレンを“逆研究” PUソフトウェア戦争が激化

    2026年F1マイアミGPで最も印象的だったのは、メルセデスPU勢の圧倒的な競争力だった。特にマクラーレンのパフォーマンス向上は急激で、イタリア紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』によれば、その背景には“ソフトウェア制御の理解”があるとみられている。

    興味深いのは、そのマクラーレンの進化を、供給元であるメルセデス自身が分析対象として見始めている点だ。

    現在の2026年F1レギュレーションでは、内燃エンジンと電力エネルギーを高度に統合管理する必要があり、単純なハードウェア性能だけでは差がつかない時代になっている。

    マクラーレンが“本家メルセデス”を上回った理由
    報道によると、メルセデスのエンジニアはカスタマーチームであるマクラーレンに対し、最新仕様PUの運用方法について追加情報を求めているという。特に焦点となっているのは、エネルギーマネジメントを司るソフトウェア面だ。

    皮肉なのは、シーズン序盤にはマクラーレン側が「メルセデスから十分な運用ガイダンスが得られていない」と不満を漏らしていたことだ。

    しかし現在は立場が逆転しつつある。マイアミGPでは、マクラーレンがアップグレードだけでなく、PU制御の理解度でも一歩先に進んだ可能性が指摘されている。

    2026年F1では、50対50の電動・内燃配分により、エネルギー回生、放出タイミング、コーナー進入時のデプロイ制御などが極めて重要になっている。単純な最高出力よりも、“どう使うか”がラップタイムを左右している状況だ。

    フェラーリF1はADUO判断待ち ベルギーGP投入説も
    一方でフェラーリは、FIAが近く下すとみられるADUO(追加開発・アップグレード機会)判断に神経を尖らせている。

    イタリアメディアによれば、現在の基準エンジンは事実上メルセデスであることが明確になっているという。

    ADUOは、性能不足に陥ったPUメーカーに対し、追加開発やアップグレード自由度を与える救済制度だ。補正幅は2〜4%になるとみられており、フェラーリがどこまで修正を許可されるかが焦点になっている。

    さらにイタリア国内では、もしADUO適用が認められた場合、フェラーリが2026年F1ベルギーGPに向けたアップグレードパッケージを準備しているとの報道も出ている。

    フレデリック・バスールは逆転を諦めず
    フェラーリF1代表フレデリック・バスールは、マイアミでメルセデスPU勢が優位に立ったあとも、タイトル争い継続への自信を崩していない。

    「昨年のフェルスタッペンはモンツァ以降から勝負していた」

    そう語ったバスールは、「私はまだ選手権を信じている」と強調した。

    2026年シーズンは、レギュレーション変更直後ということもあり、勢力図が固定化されていない。特にPU制御とソフトウェア運用は、数か月単位で勢力を入れ替える可能性を秘めている。

    ニコ・ロズベルグ「フェラーリはあと一歩」
    2016年F1ワールドチャンピオンのニコ・ロズベルグも、フェラーリの完全復活は近いとみている。

    「勝利のために何かが足りないが、昨年と比べれば素晴らしい仕事をしている」

    「彼らは近いうちに再びグランプリで勝つようになると思う」

    さらにロズベルグは、2025年シーズン序盤に苦戦していたルイス・ハミルトンについても、「ようやく適応できたように見える」と評価した。

    2026年F1の戦いは、単なるマシン開発競争ではなく、“ソフトウェア戦争”の色合いを急速に強めている。マクラーレンが示した進化は、その象徴と言えるかもしれない。