カテゴリー: ホンダF1

  • アストンマーティンF1 コーナーで20km/h遅れ ニューウェイのホンダ責任論に疑問

    アストンマーティンF1 コーナーで20km/h遅れ ニューウェイのホンダ責任論に疑問

    アストンマーティンの2026年F1シーズンは、開幕前の期待とは裏腹に深刻なパフォーマンス不足に直面している。日本GPでもQ1敗退圏から抜け出せず、競争力の低さが改めて浮き彫りとなった。

    これまでチーム内部では、ホンダ製パワーユニットの出力不足や信頼性が主因とする見方が強かった。しかし、最新のデータはその前提に揺らぎを与えている。

    コーナーで最大20km/hの差
    開幕前、エイドリアン・ニューウェイはアストンマーティンのシャシーについて「トップ5レベル」と評価していた。仮にエンジンが競争力を持てば、Q3進出やポイント争いが可能だという見立てだった。

    しかし、日本GP時点でもQ1脱出には1.5秒以上足りていない。この差をすべてパワーユニットの問題として説明するのは難しい。

    『The Race』が共有したデータによれば、アストンマーティンの最低コーナリング速度はライバル勢より最大で約20km/h遅れている。通常、ストレートで不利なマシンはコーナーで補う傾向にあるが、AMR26はその両方でタイムを失っている。

    コーナー進入、旋回中、立ち上がりのいずれでも遅れが見られることから、問題は局所的ではなく、マシン全体に及んでいる可能性が高い。

    シャシー側の課題が浮上
    こうした状況は、ホンダPU単独の問題では説明しきれない。仮にニューウェイの主張通りシャシーがトップ5レベルであれば、パワーユニットがラップあたり2.5秒近い差を生んでいる必要があるが、そのような差が存在するとの見方は少ない。

    むしろ、シャシー側に根本的な問題があるとの指摘が強まっている。AMR26は重量超過が疑われており、これがブレーキングや旋回性能に影響している可能性がある。

    さらに、空力バランスやメカニカルグリップの不足も重なり、コーナリング全体でパフォーマンスを落としていると考えられる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    ホンダ責任論に変化
    これまで繰り返されてきたホンダ責任論は、こうしたデータの前では説得力を失いつつある。コーナーでの大幅な速度差は、エンジンではなく車体側の問題を強く示唆しているためだ。

    一部では、マシンそのものがパワーユニット以上に深刻な課題を抱えているとの見方も出ている。

    プロジェクト全体への影響
    こうした状況の中で、チーム内部に責任の所在を巡る歪みが生じている可能性も指摘されている。ホンダがスケープゴートとなっているとの見方もあり、開発体制そのものへの影響も懸念される。

    表向きには関係は維持されており、契約も現行レギュレーション終了の2030年まで継続すると見られている。ただし、このパフォーマンス状況が続けば、単なる開発遅れでは済まされない局面に入る可能性が高い。

  • アストンマーティンF1苦戦 ニューウェイに開幕前から疑念「全盛期は過ぎた」

    アストンマーティンF1苦戦 ニューウェイに開幕前から疑念「全盛期は過ぎた」

    アストンマーティンF1の2026年シーズンは、開幕からわずか3戦でコンストラクターズ最下位に沈む厳しいスタートとなった。2台合わせて完走はわずか1回にとどまり、予選・決勝ともにトップから約3.5秒遅れというパフォーマンス不足が浮き彫りになっている。

    その背景にはホンダのパワーユニットの問題が指摘されている一方で、長年F1を席巻してきたエイドリアン・ニューウェイにも視線が向けられている。開幕前からパドック内では評価が割れており、現在の苦戦はその見方を裏付ける形にもなりつつある。

    ニューウェイ評価は開幕前から分裂していた
    報道によれば、ニューウェイのアストンマーティン加入は歓迎一色ではなかった。パドック関係者の間では「すでに全盛期を過ぎた」とする見方もあり、評価は当初から二分されていた。

    ある関係者は、ニューウェイが手がける最初のマシンについて「太ったグリーンのクジラになる」と予測していたとされる。その後、AMR26が実際に最低重量を上回るオーバーウェイト状態にあることが明らかになり、この見方が現実味を帯びる結果となった。

    一方で、レッドブルで長年成功を収めたニューウェイが新天地で再び輝きを取り戻すと期待する声も存在した。環境の変化が彼を“再活性化”させるという見立てである。

    責任はPUかシャシーか 交錯する評価
    現状のパフォーマンス不足については、主にホンダのパワーユニットが原因とされている。しかし、ニューウェイ自身はシャシーについて「グリッド上でトップ5に入る」との認識を示しており、責任の所在は明確ではない。

    ただし、チーム全体の結果を踏まえれば、設計面にも一定の課題があるとの見方が強まりつつある。特に重量面の問題は、パフォーマンス全体に影響を及ぼす要素として無視できない。

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    “語られない問題” 年齢という現実
    ニューウェイはF1史上でも屈指の実績を持つエンジニアであり、これまでに15台のタイトル獲得マシンを設計してきた。しかし現在、議論の中心に浮上しているのが年齢という要素だ。

    今年で68歳を迎えるニューウェイが、今後どこまでフルタイムで第一線に立ち続けられるのかは不透明だ。現在のアストンマーティンの状況を考えれば、競争力を取り戻すには数年単位の時間が必要とみられている。

    その過程で、ニューウェイが長期的に関与し続けるのか、あるいは別の体制へ移行するのかは大きな焦点となる。

    チーム体制再構築が鍵を握る
    短期的な課題として挙げられているのは、チーム体制の整理だ。特にチーム代表ポジションの補強が重要視されており、ニューウェイが設計業務に専念できる環境の構築が求められている。

    報道では、元レッドブルのジョナサン・ウィートリーの加入が有力視されている。もし実現すれば、組織運営と技術開発の役割分担が明確になり、現在の混乱を収束させる一手となる可能性がある。

    アストンマーティンF1にとって2026年は、単なる苦戦のシーズンではなく、チームの将来像を左右する重要な転換点となりつつある。ニューウェイの評価、ホンダPUの改善、そして組織体制の再構築――複数の課題が絡み合う中で、反撃への道筋が問われている。

    Source: F1 OVERSTEER

  • フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1逆襲へ「夢のシナリオ」

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1逆襲へ「夢のシナリオ」

    フェルナンド・アロンソは、2026年F1シーズン序盤で苦戦するアストンマーティンについて、2023年のマクラーレンのようなシーズン途中からの巻き返しを“夢のシナリオ”として挙げた。

    ホンダのパワーユニットに関する問題が新レギュレーション初年度の戦いを鈍らせている一方で、チームは前進も見せており、日本GPではアロンソが今季初の完走扱いとなった。

    その2週間前の中国GPでは激しい振動に見舞われてリタイアしており、エイドリアン・ニューウェイはオーストラリアで、こうした症状がアロンソとランス・ストロールの指に恒久的な神経障害をもたらす可能性があると示唆していた。性能不足と信頼性の課題を抱える中でも、アロンソは問題を理解し修正できれば、シーズン後半に状況を大きく変えられると見ている。

    マクラーレンの再浮上を理想像に挙げる
    アロンソが理想像として引き合いに出したのは、2023年のマクラーレンだ。

    その年のマクラーレンは、技術責任者のジェームス・キーが職を離れるなど、マシン開発の出遅れに苦しんでいた。しかし、オーストリアGPとイギリスGPで投入した大規模アップグレードをきっかけに、MCL60は中団の一台から表彰台、さらに勝利を争えるマシンへと変貌した。

    そしてマクラーレンはその流れを維持し、2024年のコンストラクターズタイトル、さらに2025年にはドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルの両方を獲得した。アロンソは、アストンマーティンにも同じような道筋があり得ると考えている。

    アロンソ「楽観的すぎるかもしれないが夢のシナリオだ」
    アストンマーティンがいつ頃競争力を持てるようになるかを問われたアロンソは、数か月単位での改善に期待を寄せた。

    「たぶん数か月後だと思う」とアロンソは、レーシングニュース365を含むメディアに語った。

    「2023年のマクラーレンを見た。最初の数戦では最後尾にいたのに、年末には先頭にいた」

    「もしかしたらそれは楽観的すぎるかもしれないが、夢のシナリオだ。シーズンは長いし、問題を理解して修正できれば、今年の後半、あるいは最後の3分の1では、ずっと良いポジションに行けるだけの時間は十分にある。そこを目指して取り組んでいる」

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    課題は振動とパワー不足 それでも前進はある
    アロンソは現状について、依然として複数の根本的な問題を抱えていることを認めた一方で、バーレーンテスト以降に進歩があったとも説明した。

    「マシンにもエンジンにも大きなポテンシャルがある。それに、デプロイメントや、いくつかのドライバビリティの問題を理解するという点で、バーレーンテスト以降は進歩している。だから今は、はるかに良い位置にいる」

    「振動は解決しなければならないし、パワー不足も解消しなければならない。まだ根本的な部分で後れを取っていることはある。でも、チームがただテレビを見ているわけではない」

    「彼らは全力で働いている。だから必要なのは時間だし、辛抱強さだ。ファクトリーがアップグレードを持ち込む間も、今はまだ最も競争力のあるパッケージではないマシンで、毎週末レースをしながら働き続けなければならない」

    アストンマーティンにとって、序盤戦は厳しい現実を突きつけるものとなっている。ただ、アロンソの言葉からは、現場が問題点を明確に認識し、改善の方向性も見えてきているという感触がにじむ。マクラーレンのような急回復が現実になるかはまだ分からないが、少なくともチーム内部では、今の苦境をシーズン全体の結論にはしていない。

    Source: RacingNews365

  • アストンマーティンF1 AMR26のマイアミ進化版に冷静姿勢「通常の進化」

    アストンマーティンF1 AMR26のマイアミ進化版に冷静姿勢「通常の進化」

    アストンマーティンF1は、2026年F1マイアミGPでAMR26に進化版を投入する予定だが、その内容は開幕からの苦戦を一変させるような“大型アップデート”ではないようだ。チームのアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、4月の中断期間があっても開発計画を大きく変えることはなく、もともと予定されていた範囲の改良にとどまると説明した。

    バーレーンGPとサウジアラビアGPの中止によって、苦戦するチームが一気に巻き返す好機とみる向きもあったが、アストンマーティンの現状はそれほど単純ではない。

    ホンダPUの振動問題をはじめ、マシン全体に複数の課題を抱えるなかで、まず優先されているのは戦闘力の急上昇ではなく、ドライバーが安定して走り切れるだけの信頼性確保だ。

    マイアミの進化版は“新しい始まり”ではない
    アストンマーティンとホンダは、今季序盤に露呈した問題の深刻さを認識しており、短期間で一気に解決できるものではないと見ている。そのため、マイアミGPでもフェルナンド・アロンソとランス・ストロールを取り巻く状況は劇的には変わらない見通しだ。

    デ・ラ・ロサは「マイアミで僕たちがどこにいるかを見ることになるが、このスポーツに秘密はない」と語った。

    「新しい始まりなどない。F1に新しい始まりはなく、あるのは絶え間ない開発だけだ。開発して改善するのは自分たちだけではなく、ほかも同じだ」

    さらにデ・ラ・ロサは、今回の投入物について過度な期待を戒めた。

    「これは通常の進化であり、中断前から計画していたものだ。とくにドライバーが余裕を持ってレースを完走できるよう、信頼性を改善することが中心になる」

    焦点は性能向上よりも信頼性改善
    アストンマーティンAMR26の置かれた状況は深刻で、ホンダ製パワーユニットを搭載するこのマシンは、さまざまな分野で問題を抱えている。デ・ラ・ロサの説明からも、現段階では一発のアップグレードで競争力を取り戻すというより、まず正常な走行を確保することが重要課題であることがうかがえる。

    依然として最大のテーマは振動の解消だ。これが改善されなければ、アロンソとストロールが正常に周回を重ねることすら難しくなるため、マイアミでの進化版も、まずはその土台を整える内容になる。

    記事中では、デ・ラ・ロサの言葉として次の一文も紹介されている。

    「エイドリアンは、ほかの者が考えるだけのことを口にできるが、ほかの者が想像するだけのことを実行することもできる」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    今季中の巻き返しは諦めていない
    一方で、アストンマーティン側は2026年シーズンを捨てたわけではない。デ・ラ・ロサは、最終的には今季中に競争力のあるマシンへ近づけたい考えを示しつつ、その実現が簡単ではないことも認めている。

    「僕たちはそのために戦う。誰にもそうでないとは思ってほしくない。ただ、僕はコース上で示したいのであって、話したり約束したりはしたくない。ファンに値するのは事実であり、僕たちはそこに取り組んでいる」

    「僕たちが首位から大きく離されているのは事実だ。だからこそ、この先数か月の進化は重要なものにならなければならない」

    開幕から期待を大きく下回る内容となっているだけに、ファンの失望は小さくない。だがデ・ラ・ロサは、その感情をチームも共有していると強調した。

    「そのフラストレーションは理解しているし、僕自身も感じている」

    「ファンのフラストレーションは、チーム全体のフラストレーションでもある。僕たちがそれを別の受け止め方をしているなどとは誰にも思ってほしくない。歯を食いしばって、ほかよりももっと多く、もっと良い仕事をし、このシーズン序盤の苦い感覚を振り払わなければならない」

    そして、いたずらに期待を煽るつもりはないと繰り返した。

    「僕がしたくないのは、間違った希望を生み出すことだ。約束できるのは仕事だけだ。そこから先は、僕たちがほかより多く、より良い仕事をしたかどうかをレースが示すことになる。だが、たくさんの仕事をすることは約束する」

    危機脱出の鍵として挙げた2人の存在
    厳しい状況を立て直すには、強いリーダーシップが欠かせない。デ・ラ・ロサは、アストンマーティンにはそれを担う存在がいると語り、そのうちのひとりとしてフェルナンド・アロンソの名前を挙げた。

    「彼は贅沢な存在であり、インスピレーションの源だ」

    「僕たちは難しい状況にあるが、フェルナンドは支えてくれているし、もっと働く必要があるなら力を貸してくれる。そして非常に強い意欲を持っている。失望しているフェルナンドではなく、ただ『働かなければならないし、僕はここにいる』という姿勢だ。それこそが偉大なリーダーであるということだ」

    マイアミで投入されるAMR26の進化版は、アストンマーティンを一気に上位争いへ戻す切り札にはならないかもしれない。それでも、デ・ラ・ロサの発言からは、現実を直視しながらも、今季の立て直しを諦めていないチームの姿勢がにじんでいる。

  • フェルナンド・アロンソをF1専門家が解剖 2つの強みと“異次元の適応力”

    フェルナンド・アロンソをF1専門家が解剖 2つの強みと“異次元の適応力”

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は、F1で2度のワールドチャンピオンに輝き、106回の表彰台と32勝を記録している。だが、その評価は単なる数字を超えた領域にある。

    『The Race』でマーク・ヒューズとエド・ストローが分析したように、彼の価値は統計ではなくドライビングそのものに宿る。適応力、感覚、知性、そして一貫性。複数の要素が極めて高い水準で融合している点こそが、フェルナンド・アロンソを特別な存在にしている。

    あらゆる条件で速さを引き出す“究極の適応力”
    ドライバーの才能といえば純粋なスピードが想起されがちだが、ヒューズはそれだけでは説明できないと指摘する。

    「おそらくこの世紀で最も適応力の高いドライバーだ。どんなクルマでも、どんなバランスでも、どんなタイヤでも最大限のパフォーマンスを引き出せる」

    さらにヒューズは、アロンソのスピード特性を独特の形で説明する。

    「シューマッハやフェルスタッペンのように“ピーク一点”で極限に達するタイプではない。彼の速さは広い範囲に分布している。絶対的なピークはわずかに劣るかもしれないが、その差は極めて小さい」

    そしてその適応力こそが、問題が発生した際の対応力につながる。

    「クルマに問題があっても、それを乗り越えて機能させることができる。これほどの能力を持つドライバーは他に見たことがない」

    この能力を象徴する例として、2004年の出来事が挙げられる。

    「シルバーストンでは電子制御が崩壊し、完全に制御不能になった。彼は半周で理解し、2周で元のペースに戻した。当時のパット・シモンズでさえ“どうやったのか全く分からない”と言っていた」

    さらにホッケンハイムでは、フロントバランスが18%も前方に移動するトラブルに見舞われた。

    「通常なら運転不能になるレベルだったが、4〜5周で対応した。他のドライバーならピットに戻っていただろう」

    “扱いにくいマシン”で真価を発揮するドライバー
    ストローもこの評価に同調し、アロンソの別の側面を強調する。

    「彼は史上最高レベルの“遅いクルマのドライバー”の一人だ」

    その理由について、具体例を挙げながら説明する。

    「2001年のミナルディ、2012年のフェラーリ、今季序盤のアストンマーティン、そしてマクラーレン時代。難しいクルマほど彼の力が際立つ」

    さらにこう続ける。

    「クルマが複雑で扱いにくいほど、チームメイトとの差が開く。彼はクルマに足りない要素を“引き出す”ことができる。固定されたスタイルではなく、動的に変化するドライバーだ」

    その能力の多くは無意識レベルで行われているとストローは指摘する。

    「非常に知的なドライバーだが、それを意識的にやっているわけではない。あまりにも自然に、速く処理している」

    “すべてが高水準”という完成されたプロファイル
    ストローは、アロンソ自身の言葉にも触れる。

    「彼はよく“すべてにおいて10点満点中9.5点”と言う」

    この言葉が示す通り、特定の能力で突出するタイプではない。

    「予選一発なら他に速いドライバーがいるかもしれない。だが、すべての分野で高いレベルを維持できる。それが真の強さだ」

    レースペース、安定性、適応力、判断力。そのすべてが高水準で統合されている。

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ステアリングとアクセルを“操る”異常な協調性
    ヒューズはもう一つの重要な要素として、操作の精密さを挙げる。

    「ステアリングとアクセルの協調性が驚異的だ。まるでその間を踊っているかのようだ」

    モナコのタバックでの走りを例に出し、こう説明する。

    「クルマが曲がらない状況でも、極端なブレーキングを使いながら成立させる。必要なときだけクルマに対して非常にアグレッシブになれる」

    さらに即興対応力も高く評価する。

    「即興での修正能力は見てきた中で最高レベルだ」

    加えて、空間認識能力にも言及する。

    「周囲の状況把握が非常に優れている。スタート直後の1周目は特に際立っている。クルマの置きどころが完璧で、360度すべてを把握しているようだ」

    “反応型”でありながら先読みする独特のドライビング
    ストローは、アロンソのドライビングスタイルをこう表現する。

    「彼のドライビングは“常軌を逸している”。あのレベルで限界を維持し続けるのは極めて難しい」

    多くのドライバーが同様の走りを試みるとミスやクラッシュにつながるが、アロンソはそれを安定して実現する。

    「フロントタイヤとステアリングからのフィードバックに非常に敏感で、それがすべての基盤になっている。その感覚がなければ何もできないと彼自身も言っている」

    そのスタイルは一見すると“反応型”だが、実際には異なる。

    「反応はしているが、その処理速度が異常に速いため結果的に先読みしているように見える」

    クルマに合わせて“自分を変える”ドライバー
    ヒューズは最後に、アロンソの本質をこうまとめる。

    「彼は常に解決策を見つける」

    たとえアンダーステアの強いクルマでも、それを前提に操作を組み立てる。

    「初期のルノーでは強いアンダーステアがあったが、彼はそれを極端に利用し、ステアリング操作で必要な情報を引き出していた」

    その結果、当時は“独特なスタイル”と誤解された。

    「だが他のクルマに乗れば全く違う運転をする。つまりスタイルがあるのではなく、そのクルマに最適化しているだけだ」

    そしてこの能力は年齢に左右されにくい。

    「重要なのは反応速度ではなく感覚と認知だ」

    さらに、日常的にカートに乗り続けていることも、その能力維持に寄与していると指摘する。

    フェルナンド・アロンソの価値は、タイトル数や勝利数では測れない。適応力と感覚、そしてあらゆる要素を高次元で統合する能力こそが、彼を唯一無二の存在にしている。

  • アストンマーティンF1低迷でニューウェイに批判の声「役割を理解していない」

    アストンマーティンF1低迷でニューウェイに批判の声「役割を理解していない」

    ギュンター・シュタイナーは、アストンマーティンF1の不振の要因としてエイドリアン・ニューウェイの役割を疑問視した。開幕から期待を裏切る結果が続く中で、チーム代表というポジションの適性にまで踏み込んで批判を展開している。

    今季のアストンマーティンは上位争いを予想されながらも苦戦が続き、完走すら難しいレースも目立つ状況だ。そうした中でシュタイナーは、技術トップとしての実績は認めつつも、チーム運営の中核を担う立場としては別の能力が求められると指摘した。

    シュタイナーが指摘した「役割のミスマッチ」
    ギュンター・シュタイナーはポッドキャスト内で、ニューウェイがチーム代表という役割を十分に理解しないまま引き受けた可能性に言及した。

    「もし今アドリアンに聞けば、『なぜ引き受けたのか分からない』と答えるかもしれない。チーム代表になりたかったのかどうかも分からないが、いずれにしてもそれは彼の強みではない」

    さらに、設計者としての能力とチーム運営の能力は別物だと強調する。

    「彼は自分の仕事では非常に優れている。つまりマシンを設計することだ。今のアストンマーティンは別としても、いずれ修正するだろう。ただ、チーム代表になるというのは別の話だ」

    “昇格のリスク”という視点
    シュタイナーは今回のケースを、組織運営における典型的な失敗例として捉えている。

    「これはアドリアンの一種のこだわりだったのかもしれない。『チーム代表にならなければならない』という。しかし実際にその役割が何を意味するのかを理解していなかった」

    そのうえで、個々の強みに応じた役割配置の重要性を強調した。

    「人にはそれぞれ強みがある。その強みを発揮できる役割を与えるべきで、過剰に昇格させるべきではない」

    エイドリアン・ニューウェイ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    アストンマーティンの現状が示す構造的課題
    今回の発言は単なる個人批判にとどまらず、アストンマーティンの組織構造そのものへの問題提起でもある。設計面の強化を狙った人事が、結果としてマネジメント機能の弱体化につながっている可能性が示唆されている。

    本来、チーム代表には開発・戦略・人材管理を横断的に統括する能力が求められる。技術分野で突出した才能を持つ人物であっても、そのまま組織トップとして成功するとは限らないという現実が、現在のパフォーマンスに表れている形だ。

    アストンマーティンが今後巻き返しを図るためには、マシン開発だけでなく組織全体の役割分担を見直す必要がある状況にある。

  • アストンマーティンF1 苦境でも団結維持 デ・ラ・ロサ「開発は止まっていない」

    アストンマーティンF1 苦境でも団結維持 デ・ラ・ロサ「開発は止まっていない」

    アストンマーティンF1のアンバサダーであるペドロ・デ・ラ・ロサは、開幕から苦戦が続くAMR26について、チームは冷静さを保ちながら開発を進めていると強調した。ホンダ製パワーユニットの振動問題やパフォーマンス不足に直面するなかでも、開発の歩みは止まっていないという。

    シーズン序盤で大きく後れを取る状況にあるが、デ・ラ・ロサは内部での進展を評価しており、数値以上に改善は進んでいると説明する。

    現状の苦境は認めつつも、チームの結束と開発体制には確かな手応えを感じているようだ。

    AMR26は全領域で課題も開発は継続
    ホンダ製パワーユニットを搭載するAMR26は、ラップあたり約4秒の遅れを抱え、グリッド後方に沈んでいる。この遅れは単一の要因ではなく、複数の問題が重なった結果だとされている。

    そのため、ホンダは振動の解消と出力向上に取り組む一方、チームはシャシーと空力の改善に注力している。軽量化だけでなく、ダウンフォースの増加とその作動域の拡大も重要なテーマとなっている。

    デ・ラ・ロサ「冷静さと団結を維持した」
    「非常に難しい状況で作業しているが、我々は冷静さと団結を保ってきた」とペドロ・デ・ラ・ロサは語った。

    「まず、今の位置にいるとは予想していなかった。本来はもっと競争力があるはずだった。だから受け入れるのは難しかった」

    「外からは分かりにくいが、実際には舞台裏で多くの作業が進んでいる。チーム全体の反応を見るのは非常に励みになった。忍耐と団結を示している」

    「開発は優れたペースで進んでいる」
    振動問題は依然として大きな課題だが、開発そのものは止まっていない。スケジュールには影響が出ているものの、アップデートはマイアミ以降のレースで投入される予定だ。

    「バルセロナのテスト以来、振動問題はかなり軽減してきた。ドライバーがマシンに乗るたびに改善している」

    「オーストラリアでは空力パッケージを投入した。それによってクルマは大きく速くなった」

    「我々は本来あるべき形で開発を続けているし、そのペースも非常に良い。振動問題によって開発の方向性を変えたわけではない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    テスト不足が開発の足かせに
    一方で、レースの中断は開発にとってマイナス要素でもある。デ・ラ・ロサは、実戦こそが最良の開発機会だと強調する。

    「レースカーを開発する最良の方法は、実際にレースをすることだ」

    「今回の中断は我々にとって有利ではない。新しいレギュレーションのもとで学ぶ必要があるからだ」

    「我々は遅れている。これまでのレースとテストで走行距離が大きく不足している。だから毎週レースをしたいと思っている」

    「とはいえ状況は全チーム同じだ。この期間を利用して立て直し、裏での作業に集中する時間にもなる」

    巻き返しの鍵は今後2カ月の開発
    現時点でAMR26はパワーユニット、シャシー、空力のすべてに課題を抱えているが、開発自体は計画通り進行しているとチームは見ている。

    今後2カ月で投入されるアップデートがどこまで効果を発揮するかが、アストンマーティンのシーズンの流れを大きく左右することになりそうだ。

  • ホンダF1計画を断った1999年の悲劇 ヨス・フェルスタッペンの分岐点

    ホンダF1計画を断った1999年の悲劇 ヨス・フェルスタッペンの分岐点

    1999年4月15日、F1界は最も優れた技術者のひとりを失った。ハーベイ・ポスルスウェイトの急死は、ホンダが進めていたワークス参戦計画に決定的な打撃を与え、その余波はヨス・フェルスタッペンのキャリアにも及ぶことになった。

    この計画は、ホンダが単なるエンジンサプライヤーとしてではなく、自らシャシーを開発してF1へ復帰しようとしていた時期のものだった。

    テストでは有望な速さも示していたが、中心人物を失ったことでプロジェクトは急速に失速し、ついにはグランプリ出走を果たさぬまま幕を下ろした。

    ホンダがコンストラクター復帰を目指した背景
    物語は1991年シーズン末にさかのぼる。当時のホンダはエンジンサプライヤーとして絶頂期にあり、1986年から1991年にかけてウィリアムズとマクラーレンとともに6度のコンストラクターズ選手権を獲得していた。

    だが、その支配的な成功こそが、当時のホンダ社長だった川本信彦に「F1はもはや自社のエンジニアにとって十分な技術的挑戦ではない」と考えさせる要因になった。この判断は重みを持ち、ホンダは1992年限りでF1から撤退した。

    その後、日本のメーカーはエンジニア陣を再活性化し、創業者・本田宗一郎への敬意を示す意味も込めて、自社のシングルシーター用シャシー開発へと軸足を移した。

    最初のシャシーであるRC100は成功しなかったが、開発は止まらず、1993年レギュレーションに合わせた新バージョンが作られた。

    これらのシャシーのテストは、ホンダがコンストラクターとしてF1へ復帰するのではないかという憶測を呼んだ。RC101はFIAのクラッシュテストにも合格し、グランプリ参戦が可能な状態にあった。

    その後継となるRC101Bはさらに注目を集めたが、ローランド・ラッツェンバーガーとアイルトン・セナの死亡事故、さらにその後のレギュレーション変更を受けて改修が必要となった。

    1998年デビュー計画から2000年参戦へ
    ホンダが公にF1復帰の意思を示したのは1995年になってからだった。

    川本は当初、1998年のデビューを目標にしていた。1997年にブリヂストンがF1タイヤサプライヤーとして参入することもその判断に影響しており、同社はRC100をテストシャシーとして使用していた。

    ホンダはまた、無限ホンダV10エンジンを使って独自のF1構想を進めていた日本のドームの経験も取り込もうとしていた。

    しかし、計画された復帰時期は2000年へと後ろ倒しされた。ホンダは、自社がまだ準備不足だと認めていたためだ。ドーム支援やティレルへの出資が噂される時期もあった。

    一方で、無限ホンダはジョーダン・グランプリへエンジン供給を開始しており、これは広くホンダ復帰への布石と受け止められていた。

    1998年末になると、ホンダが少なくとも5年間、ワークスチームとしてF1に参戦するというニュースは正式なものとなった。

    目標は野心的だった。2000年の時点で表彰台争い、そして3年以内の勝利だった。年間予算は2億ドルと報じられたが、その数字には異論もあり、プロジェクト規模を巡る社内の温度差も示していた。

    ティレル人脈とポスルスウェイトの存在
    不透明さを抱えつつも、チームの形は整い始めていた。ホンダは、ティレルがブリティッシュ・アメリカン・レーシング(BAR)へ移行する流れのなかで、同チームから積極的に人材を集めた。

    技術部門の中心に据えられたのがポスルスウェイトだった。彼には、新生BARに残ることを望まなかった元ティレルスタッフも加わった。

    この体制は、ホンダが単なる実験ではなく、本気でF1復帰を目指していたことを示していた。

    ホンダ F1

    ヨス・フェルスタッペンが託した復帰への道
    同じ頃、ホンダはテストドライバー探しを進めていた。当初の候補は野心的で、ジャック・ビルヌーブや高木虎之介の名が挙がっていた。アレッサンドロ・ザナルディやジョニー・ハーバートも候補として検討された。

    だが、それらの選択肢が消えると、ミカ・サロにも声がかかった。しかしサロはBAR加入を選び、その結果としてフェルスタッペンに道が開けた。

    スチュワート・グランプリのシートを失っていたオランダ人ドライバーは、ホンダと3年契約を結んだ。これは2000年、2001年のグリッド復帰への道筋を与えるものだった。フェルスタッペンはその機会を歓迎していた。

    「本当にうれしい。これでF1に戻る道ができたし、それもポイントを獲得できるチームにまっすぐ入る道だ」

    RA099はすぐに有望さを示した。ヘレスで行われた冬季テストでは、フェルスタッペンが最速タイムを記録し、BARのジャック・ビルヌーブより1秒以上速かった。

    数週間後のバルセロナでは、ヤルノ・トゥルーリから1.4秒差の11番手タイムを記録した。一部チームはマシンの合法性に疑問を投げかけたが、別の陣営はその速さと信頼性に感銘を受けていた。

    ポスルスウェイト急死がもたらした転機
    しかし舞台裏では緊張が続いていた。特に北米市場では、F1プログラムへの投資規模に対する懸念が強まりつつあった。

    さらに、BARがスーパーテック製エンジンに不満を抱き、無限ホンダへのスイッチに関心を示していたことも状況を複雑にした。

    これに対し、ポスルスウェイトら上層部は、ホンダのレーシング部門の60%を買い取り、独立チームとして運営する案を提案していた。

    その体制でホンダエンジンを使い続け、将来的にはホンダが原価でチームを買い戻せるようにする構想だった。

    そして転機が訪れる。

    4月14日、バルセロナでのテスト中に、ポスルスウェイトが胸の痛みを訴えた。彼はホテルへ戻ったが、その後病院に搬送され、夜のうちに心臓発作で亡くなった。

    ホンダは直ちに進行中だったテストプログラムを中止した。これが終焉の始まりとなった。

    本田技研工業

    RA099計画はなぜ消えたのか
    ポスルスウェイトの死は大きな空白を残した。ホンダ・レーシング・ディベロップメンツは計画継続を試み、その後のテストも予定し、6月からはサロをテストドライバーとして起用する契約まで進めていた。

    その一方で、ホンダ首脳部はバーニー・エクレストンやマックス・モズレーと交渉し、プロジェクトの引き取り先を探っていた。

    2000年シーズンの参戦枠を確保していたため、撤退すればFIAから多額の罰金を科され、評判も傷つく恐れがあった。ホンダは、エクレストンがチームを買い取り、別の買い手へ転売する可能性に期待していた。

    それでもテストは続けられた。5月19日のバルセロナでは、フェルスタッペンがマクラーレンのミカ・ハッキネンから1.5秒差の6番手タイムを記録した。

    ところが3日目、計画は突然打ち切られた。ホンダの取締役がサーキットに現れ、フェルスタッペンをピットへ呼び戻し、プログラムは即時終了すると通告した。

    ジョン・マクドナルドやフラビオ・ブリアトーレら複数の買い手候補も現れたが、RA099がグランプリを走ることはなかった。

    この撤退は、より広い影響も及ぼした。10年ぶりの復帰を目指していたザクスピードの計画を事実上塞ぐことになり、2000年シーズンのエントリーは11チーム、22人にとどまった。

    フェルスタッペン自身は、その後アロウズへ加入し、2000年にフルタイムのレースシートへ復帰した。彼は2003年までF1に残り、最後はミナルディでキャリアを終えた。

    RA099が残した評価と現在の位置づけ
    ホンダが開発したRA099は、実戦投入には至らなかったものの、当時のテスト関係者や他チームからはその完成度の高さを評価する声もあった。

    短期間で開発されたマシンでありながら、安定した走行と一定の速さを示していたことは、ホンダの技術的ポテンシャルを示す材料ともなっていた。

    このプロジェクトの中断は、単なる一計画の終了にとどまらず、その後のホンダのF1復帰の形にも影響を与えたと考えられている。

    ホンダF1 本田技研工業

    フェルスタッペンとホンダに残された“もしも”
    RA099の物語は、F1史に残る大きな「もしも」のひとつであり続けている。

    もしポスルスウェイトがあの致命的な心臓発作に見舞われていなければ、プロジェクトは継続していたのか。続いていたとして、潤沢な予算と技術陣を背景に、どこまで成功できたのか。

    フェルスタッペンは何を失ったのか。2000年以降、ホンダとともに自身最大の成功をつかんでいた可能性はあったのか。マシンは表彰台、あるいは勝利を狙えるだけの力を備えていたのか。

    その答えは、今も分からないままだ。

    ホンダはその後、エンジンサプライヤーとしての活動を経て、2006年にBARを引き継ぐ形でF1へ復帰した。しかし短い低迷ののち、2008年に再び撤退し、チームは象徴的な1ポンドでロス・ブラウンへ売却された。

    歴史が別の方向へ動いていた可能性を示す一件として、1999年4月15日は今も重い意味を持ち続けている。

    Source: RacingNews365

  • アストンマーティンF1 AMR26“Bスペック”開発遅延 イギリスGP投入見送りか

    アストンマーティンF1 AMR26“Bスペック”開発遅延 イギリスGP投入見送りか

    アストンマーティンとホンダが開発を進める2026年型マシン「AMR26」の改良版、いわゆる“Bスペック”の投入計画に遅れが生じている可能性が浮上した。当初はチームの本拠地シルバーストンで開催されるイギリスGPでの投入が見込まれていたが、現実的には後ろ倒しとなる見方が強まっている。

    開幕から苦戦が続くなかで、チームの巻き返しを担うはずだったアップデート計画にもズレが生じている形だ。単なるスケジュール変更にとどまらず、開発全体が想定通り進んでいない可能性を示唆している。

    Bスペック投入はスパへ後ろ倒しの見通し
    スカイスポーツF1のデビッド・クロフトは、チームが準備を進めている“AMR26 B”について、投入時期の変更に言及した。

    「私はシルバーストンでAMR26 Bが投入されると言っていたが、おそらくスパになるだろう」

    当初の計画から約2週間の遅れとなる可能性があり、開発の進行が予定通りではない実態が浮かび上がる。

    「これは長期的なプロジェクトであり、見落とされていた問題を修正する必要がある。プロジェクト全体で少し油断があったと思う」

    クロフトはそう述べ、問題が一時的なものではなく、構造的な課題に起因している可能性を示した。

    遅延の背景にあるPUと車体の統合問題
    開発の遅れの背景には、パワーユニットとシャシーの統合に関する深刻な課題があるとみられる。

    現状のAMR26は振動問題を抱えており、パワーユニットの特性に車体側が十分に対応できていない。さらに重量過多や中高速コーナーでのパフォーマンス不足も重なり、単純なアップデートでは解決が難しい状態にある。

    こうした複合的な問題が、Bスペックの開発進行そのものにも影響を与えていると考えられる。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    ブランドルが示す“遅れの深刻さ”
    この状況について、元F1ドライバーでスカイスポーツF1のマーティン・ブランドルも厳しい見方を示している。

    「それは本当に痛々しい。まるで傷口に塩を塗るようなものだ」

    「ホンダに適切な人材を配置し、正しい方向性を与える必要がある。状況は2027年まで改善しないだろう」

    「もちろん、ある程度の改善はあるだろう。しかし時には1周あたり3〜4秒遅れている。つまり、トップとはまったく別のカテゴリーにいるということだ」

    ブランドルの指摘は、単なるパフォーマンス不足にとどまらず、開発全体の遅れが長期化する可能性を示唆している。

    Bスペック投入でも即時解決は困難か
    仮に“Bスペック”が投入されたとしても、問題が即座に解決する保証はない。

    クロフトは、パワーユニット自体の完成度にも時間が必要であると指摘している。

    「このパワーユニットは多くの作業と調整が必要であり、おそらくクリスマス休暇後に改良されて戻ってくるだろう」

    さらに、現実的な戦力評価として次のように語る。

    「ポイントを獲得できるか? 現時点では難しい。他に12台がリタイアしない限りは無理だろう」

    開発の遅延、構造的な技術課題、そして戦力不足。これらが重なる現状において、アストンマーティンの2026年シーズンは依然として厳しい戦いが続く見通しだ。

  • アストンマーティン・ホンダF1新代表候補は“詰んでいる” バクストンが悲観論

    アストンマーティン・ホンダF1新代表候補は“詰んでいる” バクストンが悲観論

    アストンマーティンF1の将来について、ウィル・バクストンが極めて厳しい見方を示した。ホンダとの新体制やチーム運営を巡る不透明感が続くなか、仮に新たなチーム代表が就任しても、少なくとも今後1年から2年は結果を出せない可能性が高いと指摘している。

    3月末には、ジョナサン・ウィートリーがアウディを「即時退任」した直後から、アストンマーティンの新チーム代表就任説が浮上した。

    現在その役職はエイドリアン・ニューウェイが担っているとされるが、仮に人事が動けば、ニューウェイは技術部門へ軸足を戻し、別の人物がチーム運営の重圧を引き受ける構図になる。しかしバクストンは、そもそも誰がその役割を引き受けたがるのかと疑問を投げかけた。

    バクストンが示した悲観的な見通し
    ウィル・バクストンは「Up to Speed」ポッドキャストで、アストンマーティンのチーム代表職が魅力的な仕事には見えないと率直に語った。

    「僕たちの小さなWhatsAppグループで、アストンマーティンでエイドリアンがテクニカルディレクターに戻り、チーム代表の役職が空くかもしれないという話を最初に聞いたとき、僕の最初の反応は『いったい誰がそれをやりたがるんだ?』だった」

    「なぜなら、少なくとも今後1年、いや2年は、最終的に失敗することが分かっている仕事に踏み込もうとする人間がどこにいるのか、という話だからだ」

    バクストンはさらに、アストンマーティンとホンダの現状を、2015年にホンダがF1へ復帰した当初のマクラーレン時代と重ね合わせ、その状況は同等か、それ以上に深刻だと主張した。

    「アストンマーティンにおけるホンダの状況は災難だ。しかも、2015年にホンダが最初に戻ってきたときにマクラーレンが直面していた状況と同じか、それ以上に悪い」

    「2015年のホンダの失敗を修正するのに5年かかった」

    「彼らがグランプリで勝ったのは2019年になってからで、それは復帰5年目だった。そしてそれは、レッドブルに移った後の別チームでの勝利だった」

    「マクラーレン自身も、ホンダとの騒動と苦難を経て、グランプリ優勝を挙げたのは2021年になるまで待たなければならなかった」

    「だから、いまアストンマーティンのそのポジションに入るなら、少なくとも当面の間、もしかするとこの10年の残りすべてにわたって、完全に詰んでいると理解していなければならない」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム ホンダF1

    ホンダとの新体制にかかる時間
    アストンマーティンは、2026年F1シーズンの新パワーユニット規則と新シャシーレギュレーションを追い風に、一気に上位争いへ進出することを狙っていた。しかし実際には、チームはグリッド後方へ沈み、キャデラックと争うような位置にまで後退。さらに、信頼性トラブルも継続的に抱えている。

    バクストンの見立てでは、こうした状況は単なる短期的な不振ではなく、構造的な立て直しを要する問題だ。しかも現在のF1では、かつてのように資金力だけで遅れを取り戻すことはできない。

    予算上限下では“金で解決”できない
    バクストンは、ローレンス・ストロールの資金力があっても、いまのF1では状況打開の決定打にはなり得ないと語る。

    「ただ金を投げ込めばいいという話ではない」

    「ローレンス・ストロールは『私は神より金を持っている』と言って座っていられるかもしれない。だが結構なことだ。いまのF1には予算上限がある。10年前、15年前、20年前のように、ただ金を投げ込むことはできない」

    「プロセスが必要だし、自分たちがどこへ向かっているのかについて、しっかりした理解も必要だ」

    そしてバクストンは、もし最終的にローレンス・ストロールがすべてを差配し、その意向に従うだけの人物が求められているのだとすれば、なおさら有能な人材は近寄らないのではないかと踏み込んだ。

    「もしローレンス・ストロールが最終的にこれらすべてを監督していて、必要なのがイエスマン、操り人形、つまりローレンスが望むことを何でもやる人物だとしたら、いったい誰がその役割に踏み込み、そういう存在になろうとするんだ?」

    「もちろん、その代わりに巨額で非常に魅力的な給料は得られるかもしれない」

    「だが、成功したいという意思があり、ジョナサンがそうであるように、最高を目指し、レースに勝ち、世界選手権を勝ち取りたいと思うなら、2030年までにそれを実現できるのか? 僕はできないと思う」

    問われるのは人事より再建の道筋
    今回の発言が示しているのは、単なる新代表人事への懐疑ではない。アストンマーティンに必要なのは、肩書きを入れ替えることではなく、ホンダとの新体制をどう機能させ、限られた予算の中でどの順番で問題を潰していくのかという再建の道筋そのものだ。

    新しいトップが就くかどうかは注目点ではあるが、それ以上に重要なのは、その人物に結果を出せるだけの時間と裁量が与えられるのかという点だ。バクストンの厳しい言葉は、いまのアストンマーティンが直面している問題の深さを、そのまま映し出している。