カテゴリー: ロマン・グロージャン

  • ロマン・グロージャン ピアストリ巡るザク・ブラウン批判を謝罪「完全に誤解」

    ロマン・グロージャン ピアストリ巡るザク・ブラウン批判を謝罪「完全に誤解」

    元F1ドライバーのロマン・グロージャンが、F1スペインGPでマクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンの発言を誤って解釈し、オスカー・ピアストリを「チェーンソーで切り刻んだ」と激しく批判したことについて謝罪した。

    フランスのテレビ局Canal+で解説を務めていたグロージャンは、ブラウンがランド・ノリスを称賛したF1TVでのインタビューについて、ピアストリの士気を打ち砕くほど厳しい発言だったと主張していた。

    しかし、その後に発言の真意を確認し、「完全に彼の言葉を誤解していた」と認めた。

    ノリスの圧巻のポールラップを称賛したブラウン
    発端となったのは、F1スペインGP予選後に行われたF1TVのインタビューだった。

    ノリスはマドリンクで行われた予選でポールポジションを獲得。一方、チームメイトのピアストリは約0.4秒差の7番手に終わった。

    ブラウンはノリスのラップについて次のように称賛した。

    「ラップ全体が素晴らしかった。ランドはどんどん良くなっている。ああいうラップを決めるのを見ると、『彼はワールドチャンピオンだ』と思う」

    続いて、ファン・パブロ・モントーヤからピアストリに何が足りなかったのかと質問されたブラウンは、ノリスが極めて高いレベルの走りを見せていたと説明した。

    「まず、ランドがAプラスの状態だったということだ。ラップタイムという意味では、もう何も残っていなかったと思う。それだけのものを引き出した」

    「オスカーも週末を通してずっと彼のすぐそばにいた。ただ、あのラップでは同じような最後のひと押しを引き出せなかった。我々も引き続き分析するし、彼もデータを見るだろう。そして、おそらく我々と同じように『すごいラップだ』と思うはずだ」

    グロージャン「チェーンソーでピアストリを切り刻んだ」
    しかし、Canal+でF1スペインGPを解説していたグロージャンは、この発言をまったく異なる意味に受け取った。

    「ザク・ブラウンがランドのラップについて話したコメントを見たけど、彼はオスカー・ピアストリをチェーンソーで切り刻んでいた」

    「もしオスカーにまだ士気が残っていたとしても、もうなくなっただろう。あの発言の厳しさ、激しさには驚いた」

    グロージャンはさらに、ブラウンの発言を事実上「ノリスの方が優れたドライバーだ」と評したものだと受け止めた。

    「少なくともオスカーが選手権をリードしていたことや、モンツァでランドを前に出すよう彼に求めたことくらいは言えたはずだ。それが正しいことだったかどうかは別としてね」

    「言葉を失ったよ」

    このグロージャンの発言はSNSでも急速に拡散され、ブラウンがピアストリを公然と批判したかのような形で話題となった。

    ロマン・グロージャン

    「完全に誤解していた」とグロージャンが謝罪
    しかし、その日の夜、グロージャンはSNSを更新。ブラウンの発言を自分が誤って解釈していたことを認め、公に謝罪した。

    「今日、Canal+で、昨日F1TVで行われ、僕自身も参加していたインタビューでのオスカー・ピアストリについてのザク・ブラウンのコメントに関して発言した」

    「僕は彼の言葉を完全に誤解していた。そのことについて謝罪したい」

    「ザクとマクラーレンのチーム全体にとって、ドライバーを尊重し、公平かつ平等に扱うことがどれほど重要なのかは分かっている」

    グロージャンはさらに、F1スペインGP決勝でマクラーレンがバーチャル・セーフティカー(VSC)のタイミングによって不利を被ったことにも言及した。

    「マクラーレンは今日最速のマシンを持っていたけど、VSCでは不運だった」

    「ランドとオスカーの2人には、バクーでもう一度優勝を争うチャンスがあると確信している」

    グロージャンはブラウンへの批判を撤回し、自らの誤解だったことを明確にした。ノリスへの最大級の称賛が、ピアストリへの批判として受け取られたことで生じた騒動は、本人の謝罪によってひとまず収束する形となった。

  • ロマン・グロージャン 残り5周でインディカー初優勝逃す「少し泣いた」

    ロマン・グロージャン 残り5周でインディカー初優勝逃す「少し泣いた」

    ロマン・グロージャンは、インディカーのマーカム戦であと一歩のところまで迫った初優勝を逃し、レース後に「少し泣いた」と明かした。

    デイル・コイン・レーシングのグロージャンは、大胆な2ストップ戦略と絶妙なタイミングで出たコーションを味方につけて首位争いに浮上。終盤にはトップに立ったものの、アンドレッティ・グローバルのマーカス・エリクソンに残り5周で逆転を許し、2位でチェッカーを受けた。

    グロージャンは54周目、その直前にピットストップを済ませた直後にコーションが出たことで大きな恩恵を受けた。

    90周で争われたレースの69周目、首位を走っていたエリクソンがグロージャンに14秒のリードを築いた状態からピットイン。これにより、スイス生まれのフランス人ドライバーであるグロージャンがトップに立った。

    しかし、エリクソンはそこから上位勢を次々と攻略。残り5周、ヘアピンでグロージャンを抜き去り、優勝を手にした。

    「エリクソンが追いつくなんてあり得ないと思った」
    レース後、グロージャンはエリクソンがピットに入った瞬間、勝利をほぼ確信していたと振り返った。

    「レース終盤は、タイヤと燃料で37周くらい走らなければならないことは分かっていた。それはチャレンジになると思っていた」

    「28号車(マーカス・エリクソン)がピットに入るのを見たとき、僕たちに追いつけるわけがないと思った」

    「10号車(アレックス・パロウ)が後ろにいた。それはいつだって心配だけど、ギャップを広げられた。これなら大丈夫だと思った。でも次に気づいたときには、28号車が迫ってきていた」

    燃料面ではホンダのサポートが大きかったという。

    「ホンダは僕たちと素晴らしい仕事をしてくれた。本当にうまくやってくれて、フィニッシュラインを越えたときにタンクが空になるよう、正確な燃料の数字を出してくれた」

    「守るためにできることはほとんどなかった。今日はそういう日じゃなかったんだ」

    「少し泣いた。嘘はつかない」
    初優勝が目前で消えたグロージャンは、レース後に感情を抑えきれなかったことを認めた。

    「少し泣いた。嘘はつかない」

    「でも、自分でコントロールできることをコントロールする。それは僕が読んだアンドレ・アガシの本に書いてあった言葉だったと思う。僕は自分にできることをすべてやった」

    「28号車の戦略がどうやって機能したのかは分からない。おそらく短いピットレーンが彼らを助けたんだと思う。それに、多くのドライバーが燃料をセーブしなければならなくなって、スペースができたことも影響したんだろう」

    「もちろん、まだレースを見返してはいない。チームと自分のパフォーマンスにはとても満足している。来週のフリーダム250に向けて希望を持てる。また素晴らしいレースになると思う」

    グロージャンはインディカー参戦5シーズンでいまだ未勝利。今回が通算6度目の2位となった。

    2位は2023年のバーバー戦以来で、その際にはチーム・ペンスキーのスコット・マクラフリンに次ぐ順位だった。

    さらにグロージャンは、カテゴリーを問わず2011年以来、レースで勝利していない。最後の勝利はGP2シリーズ(現在のFIA F2)時代にハンガロリンクで挙げたものだ。

    「勝ち方を忘れたわけじゃない」
    長く続く未勝利について、グロージャンは冗談交じりに、勝つためにはカテゴリーを下げる必要があるかもしれないと語った。

    「僕はできることをすべてやった。F1には10年間いた。F1では、勝てるマシンがなければレースには勝てない」

    「確かに、レースで勝っていない期間は長い。でも、勝ち方を忘れたとは思っていない。ただ、それをするチャンスに恵まれなかっただけだと思う」

    「だから、これからも挑戦する。レースを続けるよ。もしかしたらゴーカートのレースに出たほうが勝つチャンスはあるかもしれない。あるいは自転車レースかな」

    「確かに長いよ。最悪だ。今日、パロウとの差を広げたときは、これはいいと思った。でも、もう燃料もタイヤも何も残っていなかった。ただ、すべてを出し切った」

    あと一歩でインディカー初優勝を逃したグロージャンだが、戦略と燃料管理を駆使して勝利争いを演じた今回の2位は、次戦に向けた大きな手応えとなった。インディカーは8月23日にワシントン市街地で開催されるフリーダム250で次戦を迎える。

  • ロマン・グロージャン インディ500で故カイル・ブッシュ追悼仕様の18号車

    ロマン・グロージャン インディ500で故カイル・ブッシュ追悼仕様の18号車

    ロマン・グロージャンは、インディ500で故カイル・ブッシュへの特別なトリビュートを施した18号車を走らせる。

    2度のNASCARカップ王者であるカイル・ブッシュは、重度の肺炎が敗血症に進行し、41歳で死去した。ブッシュはNASCARカップ通算63勝、2015年と2019年のタイトルを獲得し、NASCAR主要3シリーズでは歴代最多となる通算234勝を記録した。

    18号車に込められたブッシュへの敬意
    グロージャンがインディ500でドライブするデイル・コイン・レーシングの18号車には、ブッシュがジョー・ギブス・レーシング時代に使用していた象徴的な18番のフォントが採用される。発案したのはFOXスポーツの解説者タウンゼント・ベルで、ジョー・ギブス・レーシングの協力も得て実現した。

    ブッシュは長年、ジョー・ギブス・レーシングの18号車と強く結びついてきた。特にM&M’sカラーのトヨタ・カムリは、現代NASCARを象徴するマシンのひとつとして知られ、その18番はブッシュのキャリアそのものを示す数字でもあった。

    NASCARを超えて広がる追悼
    インディ500という別カテゴリーの大舞台で、元F1ドライバーのグロージャンが18号車にブッシュの意匠を重ねることは、単なるカラーリング変更ではない。NASCARで築かれた功績が、アメリカンモータースポーツ全体に広がる存在だったことを示している。

    ブッシュは2023年にリチャード・チルドレス・レーシングへ移籍してから8号車を使用していたが、チームは今後その番号を一時的に使用せず、33号車へ変更する方針を示している。息子のブレクストンが将来NASCARに到達した場合には、8号車を再び使用可能にする考えだという。

    インディ500の18号車は、グロージャンにとってのレースカーであると同時に、カイル・ブッシュという偉大なドライバーの記憶を走らせる一台となる。

  • ロマン・グロージャンの冗談が対立に発展 インディカーで“殴り合い寸前”騒動

    ロマン・グロージャンの冗談が対立に発展 インディカーで“殴り合い寸前”騒動

    ロマン・グロージャンとマーカス・アームストロングが、インディカーのソンシオ・グランプリ後に緊張したやり取りを繰り広げた。

    発端となったのは、レース中の接触をめぐるグロージャンの接近だったが、後に本人は「殴りたかった」という冗談が文脈を外れて受け取られたと説明している。

    グロージャンがレース後にアームストロングへ接近
    ロマン・グロージャンとマーカス・アームストロングは、インディ500の第110回大会を前にインディアナポリス・モーター・スピードウェイのロードコースで開催されたインディカーのソンシオ・グランプリで、レース中のインシデントをめぐって口論になった。

    フランス系スイス人のグロージャンは、予選11番手からスタートしたものの、決勝ではロード上で最後尾となる21位でフィニッシュした。

    デイル・コイン・レーシングのグロージャンは、後方から追い上げ、グロージャンがスタートした11番手まで順位を上げたニュージーランド人ドライバー、アームストロングに不満を抱いていたようだ。

    グロージャンがアームストロングと話そうとする様子を捉えた映像では、メイヤー・シャンクのチームメンバーが、自チームのドライバーに近づこうとする10度の表彰台経験者を制止しようとしている。

    アームストロング「彼は殴り合いをしたがっていた」
    その後、アームストロングはインディカーに対し、グロージャンはコース上での一件のあと「ちょっと殴り合いをしたがっていた」と語った。

    「分からないけど、彼は実際、ちょっと殴り合いをしたがっていたんだ。UFCとかMMAみたいな感じで、僕はそういうものには慣れていない」

    「でも、まあいい。僕の後ろには350ポンドの給油担当がいたからね。だからロマンにはフェアプレーだ。彼がその人を背後にして僕を攻撃しようとしたなら、かなり度胸がある」

    それに驚いたかと問われると、アームストロングはこう答えた。

    「無線で『ピットレーン乱闘の合図だ』と言いそうになった」

    「実際、僕たちはいつも話しているんだ。ピットレーンで乱闘が起きたらどうなるかって。僕たちはどれくらいやれるのか。かなりうまくやれると思う」

    グロージャンは「冗談が誤解された」と説明
    この対立映像をSNSに投稿したモータースポーツ記者のマーシャル・プルエットはその後、グロージャン本人から連絡があったことを明かした。

    プルエットによれば、グロージャンはアームストロングと単に話をしようとしていただけで、「殴りたい」という趣旨の発言は冗談だったと説明したという。

    グロージャンは、その冗談が文脈を外れて受け取られたことで誤解が生じたと語った。

    レース中の接触をきっかけにした感情的なやり取りは、ピットレーンでの物理的な衝突には至らなかったものの、グロージャンの発言とアームストロングの反応によって、インディカーの週末に思わぬ緊張感を生む出来事となった。

  • ロマン・グロージャン インディカーは「特定のコーナーでF1よりはるかに速い」

    ロマン・グロージャン インディカーは「特定のコーナーでF1よりはるかに速い」

    ロマン・グロージャンが、インディカーとF1の違いについて率直な見解を示した。

    元ハースF1ドライバーであり、2026年シーズンにデイル・コイン・レーシングからインディカーへフル参戦復帰するグロージャンは、特定の低速コーナーではインディカーの方がF1よりも速いと主張している。

    「F1よりはるかに速い」
    昨年夏、ムジェロでハースのマシンをドライブし再びF1マシンを体験したグロージャンは、両カテゴリーの哲学はまったく異なると語った。

    「F1で最大の違いは、まったくスライドさせないことに集中し、できるだけ早くスロットルを開けてコーナー出口で良い加速を得ることだ」とグロージャンは語った。

    「1000馬力が背中を押してくれる。そこでラップタイムを稼ぐんだ」

    一方でインディカーはアプローチが異なるという。

    「インディカーは少し違う。進入速度、最低速度、そして可能なタイミングでスロットルを開けてコーナーを抜けることが重要だ。ドライビング面での違いはそこだと思う」

    さらにグロージャンは、ストリートコースの低速区間での性能を特に評価した。

    「僕がインディカーで一番好きなのは、ストリートコースの低速コーナーを、あのダンパーとグリップで走れる能力だ」

    そしてF1パドックの神経を逆なでする可能性のある比較を口にした。

    「モナコの最終コーナー、ヘアピンを例に取れば、インディカーの方があそこではF1よりはるかに速い」と述べ、低速域でのメカニカルグリップを理由に挙げた。

    もっとも、F1カレンダーで最もタイトな約時速30マイルのヘアピンで優位だと主張することは、限定的な条件下での比較ではある。

    ロマン・グロージャン F1 インディカー

    「愛している」選手権
    F1への郷愁を見せることなく、グロージャンはアメリカ最高峰のシングルシーターシリーズへの復帰を楽しみにしている。

    「僕が愛している選手権で、たくさん楽しんできた」とグロージャンは語った。

    「デイルは本当に大好きな人物だ。ぴったりの言葉が分からないけど、とにかく戻れてうれしい」

    「チームは良い状態だし、デニス・ハウガーと一緒にレースできるのも楽しみだ。彼はとても速い若手だと思うし、シングルシーターでの残り数年を最大限に生かしたい」

    一方で、2026年の新時代を迎えるF1については慎重な姿勢を示した。

    「開幕戦を見ないと分からない。紙の上では少し心配しているけど、チームは解決策を見つけると思う」と語る。

    「美しいのは、勢力図がかなり変わる可能性があることだ。レースでは多くのアクションが見られるかもしれない」

    「それが僕たちの望むアクションなのかどうか。それは最初の数戦を見てみないと分からない」

    現時点で彼のメッセージは明確だ。壁が迫り、速度が落ちる状況では、インディカーが優位に立つ可能性があるということだ。

  • ハースF1 小松礼雄、グロージャン火災事故は「生きているとは思えなかった」

    ハースF1 小松礼雄、グロージャン火災事故は「生きているとは思えなかった」

    ハースF1チーム代表の小松礼雄は、2020年バーレーンGP決勝で起きたロマン・グロージャンの大事故について、今もなお強烈な記憶として残っていると語った。炎に包まれたマシンから脱出するまでの数十秒間について、小松礼雄は「彼が生きているとは思えなかった」と当時の心境を振り返っている。

    グロージャンとはロータス時代から行動をともにし、2016年のハースF1チーム創設時にも再びタッグを組んだ。

    小松礼雄にとって、グロージャンは単なるドライバーではなく、長年苦楽を共にした友人でもあった。そのため、事故の瞬間は強烈な恐怖として刻み込まれている。

    「最初は誰のクラッシュなのか分かりませんでした。でもロマンだと気づいた瞬間、『これは無理だ、生きているはずがない』と思いました。彼は僕のドライバーですが、それ以上に友人なんです」

    マシンが炎に包まれてから、グロージャンが自力で姿を現すまでには約30秒を要した。その時間について小松礼雄は、非常に長く感じられたと振り返る。

    「数秒が永遠のように感じられました。正直、彼がクルマから出てくるところは見ていません。ただ、レースエンジニアのひとりが無線で『違う、違う、ロマンは出た。ロマンは出た』と言ったんです」

    小松礼雄はすぐにサーキット内のメディカルセンターへ向かった。そこで、ヘリコプター搬送前のグロージャンを一瞬だけ目にすることができたという。

    「彼が親指を立ててくれたのを見ました。その瞬間に初めて、『ああ、生きている』と思えました。彼はメディカルセンターの中にいて、僕は外にいたんですが、あるところまで入れてもらえたんです。彼は僕に気づいて、また親指を立ててくれました。そのときにようやく、『大丈夫だ、生きている』と実感しました」

    レース後も、その衝撃は簡単には消えなかった。ケビン・マグヌッセンも病院へ向かうことを強く望み、小松礼雄自身も同じ気持ちだったという。

    「ケビンはまだロマンに会っていなくて、『病院に行かなきゃいけない』と言っていました。僕もまったく同じ気持ちでした。テレビで彼の姿を見ていても、生きているという実感が湧かなかったんです。自分の目で確認する必要がありましたし、奥さんにも『彼は生きています』と伝えたかったんです」

    ハースF1チーム 小松礼雄

    事故では、ハースVF-20がダニール・クビアトとの接触をきっかけにガードレールへ突っ込み、マシンは真っ二つに裂けた。現在、その残骸はF1エキシビションに展示されているが、小松礼雄の記憶に最も強く残っているのは、マシン回収時の匂いだという。

    「とにかく匂いが酷かったです。焼けたゴムの匂いで、本当に耐えがたいものでした。あのコクピットを見れば、誰もが『ここから生きて出られるとは思えない』と感じるはずです」

    後日のマシン検証でも、事故の凄惨さは明らかだった。グロージャンの左足はペダル周辺に引っかかり、脱出の途中で一度体を戻して足を引き抜く必要があった。その際、レーシングシューズが脱げてコクピット内に残されたという。

    「彼のレーシングシューズがペダルの後ろに残っていました。左足が引っかかっていたんです。一度クルマから出ようとして、足が抜けないと分かって、体を戻して力を入れて引き抜いた。そのときにシューズが脱げたんだと思います」

    最終的にグロージャンは両手に火傷を負いながらも自力で脱出し、衝撃は最大67Gに達していたことが後に判明した。それでも歩いて姿を見せた光景は、家族やチームに「彼が生きている」ことを強く印象づけるものだった。

    現在、グロージャンはインディカー・シリーズで活動を続けているが、小松礼雄にとってバーレーンでのあの夜は、今も決して消えることのない記憶として胸に刻まれている。

  • ロマン・グロージャン、2020年F1大事故のヘルメットと再会

    ロマン・グロージャン、2020年F1大事故のヘルメットと再会

    ロマン・グロージャンは、F1史上でも最悪の事故のひとつとされる2020年F1バーレーンGPで使用していたヘルメットと、約5年ぶりに再会したことを明かした。

    2020年のサクヒールで行われた決勝のオープニングラップで、グロージャンのハースF1チームのマシンはガードレールの下に潜り込み、レールを真っ二つに裂く形で激突した。衝撃の直後、マシンは炎に包まれ、しばらくの間、グロージャンが脱出できた様子は確認できなかった。

    しかし最終的にグロージャンは自力で炎の中から脱出した。両手に重度の火傷を負ったものの、それ以外の深刻な負傷を免れたことは奇跡的だった。

    このレースはグロージャンにとってF1最後の出走となった。そして命を救ったヘルメットを手渡された彼は、インスタグラムで当時を振り返る心境を綴った。

    ロマン・グロージャン ハースF1チーム

    「2020年11月29日から5年が経ち、僕はレースヘルメットと再会した」

    「それを見る準備ができているのか分からなかったけど、子どもたちが、あの火の中で僕がどうやってあれほど守られていたのか、あの夜に何が起きたのかを本当に理解したがっていた」

    「その瞬間に僕をこれほど守ってくれたベルとアルパインスターズには、永遠に感謝している」

    「人生は進み、僕たちは忘れていく。でもこれは、毎日をどれほど大切に生きるべきかを思い出させてくれる」

    グロージャンは最近、アメリカのチームによる感情的なテストにも参加し、再びマシンのステアリングを握るという長年の願いを叶えた。これは、彼のF1での時間を象徴的に締めくくる出来事となった。

  • ロマン・グロージャン F1での役割復帰に意欲「機会があれば」

    ロマン・グロージャン F1での役割復帰に意欲「機会があれば」

    F1でのキャリアに終止符を打つことになった事故から5年が経つが、ロマン・グロージャンは、自身を世に送り出した世界から完全に離れたことは一度もなかった。テレビ解説者として複数のグランプリに帯同し、インディカー、そしてIMSAにも参戦してきたこのフランス人ドライバーは、今もパドックの周辺に身を置き続けている。そして近年、より能動的な形でF1に関わりたいという思いが、少しずつ表に出てきている。

    9月26日、グロージャンはハースF1チームのマシンをドライブし、1日限りのテストでF1のコクピットに戻る機会を得た(下の写真)。2020年のバーレーンで起きた大事故から、ほぼ5年後に実現したこの走行は、象徴的な意味を持つものだった。炎に包まれたマシンから奇跡的に脱出したあの事故を経ての復帰走行は、2016年に始まったハースとのプロジェクトに関わった多くのメンバーに囲まれながら行われ、長く胸の奥にしまわれていた感情を呼び覚ました。

    「今年の中でも、最も大きな出来事のひとつは、間違いなくハースとともにF1カーに戻れたことだったと思う。」

    「事故からほぼ5年が経っていた。そして、2016年にハースで初めてレースをした時にすでにいた人たちの多くが、その場にいた。あの日は、チームにとって初めての“ファミリーデー”でもあった。だから、ハースの最初のドライバーとしてムジェロに戻り、マシンをドライブできたことは、本当に強い意味を持っていた。レースやパフォーマンスの話ではなく、ただ仲間と一緒に過ごす、とても良い一日だった。」

    ロマン・グロージャン F1

    39歳となったグロージャンは、この特別な時間が、自分の中に眠っていたある欲求を呼び起こしたことを認めている。それは、何らかの形でF1に戻るという考えだ。解説者として、友人として、そしてチームとの関係を通じて、彼は一度もF1とのつながりを断ってこなかった。もし将来、魅力的な機会が訪れるのであれば、迷わず手を挙げるつもりだという。

    「人生において、“絶対にない”とは言わないほうがいいと思う。いつか何らかの形でF1に戻ることがあるのかどうか、それは分からない。ただ、F1は自分がとてもよく理解している世界だし、ここで働いている非常に良い友人たちがいる。フランスのテレビ局のコンサルタントとして、年に6戦ほどグランプリに行っているから、そこでまた皆と会っている。でも確かに、将来、チームの中で興味深い役割を担える良い機会があれば、それはぜひやってみたいことだ。自分にとってチャレンジになるし、何かをもたらせると思っている。断ることはないだろう。」

    “復帰”ではなく“関与”という選択肢
    グロージャンの言葉からは、ドライバーとしての現役復帰を強く求めるというよりも、F1という舞台に自分の経験を生かす場を探している姿勢がにじむ。長年にわたりF1の内側を知り、事故という極限を経験し、その後も第一線のレースカテゴリーで戦い続けてきた視点は、チームにとって独自の価値を持つ可能性がある。

    ハースとの再会が示したもの
    ハースF1チームでのテストは、単なるノスタルジーでは終わらなかった。家族や旧知のスタッフに囲まれた環境での走行は、グロージャンにとって「結果」や「速さ」とは別次元のF1との向き合い方を再確認する機会となった。その体験こそが、彼に再びF1での役割を思い描かせるきっかけになったと言える。

    機会があれば、という静かな意欲
    「決してノーとは言わない」という一言に象徴されるように、グロージャンは自ら積極的に席を求めるのではなく、価値ある役割が提示されたときに応える準備があるという立場を取っている。F1をよく知る人物が、今後どのような形でこの世界に関わるのか。その行方は、まだ静かにパドックの片隅に置かれている。

  • エステバン・オコン グロージャンのF1走行を称賛「特別で感動的な一日」

    エステバン・オコン グロージャンのF1走行を称賛「特別で感動的な一日」

    エステバン・オコンは、ロマン・グロージャンが5年ぶりにF1マシンのステアリングを握った瞬間について語り、この「最高」の光景を目撃できたことを喜んだ。これはハースの特別イベントで行われたものだった。

    グロージャンのF1キャリアは2020年バーレーンGPで幕を閉じた。その開幕ラップで彼のマシンはガードレールを突き破って炎上し、衝撃的な事故となった。

    手に火傷を負ったグロージャンはその後インディカーなどに参戦してきたが、先週イタリアのムジェロ・サーキットで、ハースが再びF1マシンを走らせる機会を与えた。

    グロージャンオコンはチームメイトのオリー・ベアマンや代表の小松礼雄とともにその場に立ち会い、今週末のシンガポールGPを前に、この特別な一日の雰囲気を振り返った。

    「最高だった」とオコンは語った。「従業員のほとんどがそこにいて、大きなハースファミリーデーだった。みんながバーレーンでの事故から5年後にロマンが再びF1マシンを走らせるのを見守り、幸せと感動に満ちた一日だった」

    「僕がそこにいてすべてを目撃できたことをうれしく思う。ロマンは何も失っていなかった!すぐにペースをつかんでいたし、ステアリングホイールの操作もすべて覚えていた。もちろんまだ5年しか経っていないけどね」

    「まさに素晴らしい一日だったし、このチームが特別な理由はそこにある――感情がある。僕たちは小さなチームだけど、本当に大きな家族のようで、たとえあれから5年が経っても、チームはロマンが最初からここにいたことを忘れていない。それが特別なんだ」

    今日のF1グリッドにも、バーレーンでの事故を経験したドライバーは何人もいる。その一人であるジョージ・ラッセルも、木曜のシンガポールでのメディアデーで、かつてのハースドライバーの復帰について前向きに語った。

    「僕たちがあのレースに出ていて、実際に目の当たりにした者として、あの光景はいまでも覚えているし、バックミラー越しに炎が見えたときのことは非常に恐ろしかった」とラッセルは説明した。

    「誰もあんな形でキャリアを終えたいとは思わない。だから彼が再び走る機会を得たことはうれしい。事故以来、彼はいつも前向きな気持ちを持ち続けていた。彼にとっても良いことだし、こうした機会を与えたハースもすばらしいと思う」

    マクラーレンのランド・ノリスも同じ意見を述べ、こう付け加えた。

    「そう、彼にとって良かったと思う。彼自身にとっても、チームにとってもね。彼らはおそらくあんな形で終わらせたくはなかっただろう。彼はその後もレースをしてきたけど、F1マシンに戻って過去の良い思い出を取り戻せたのは、彼にとって良いことだった。だから、見られてよかったよ」は後に、その瞬間に圧倒され感極まったと語っている。

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  • ロマン・グロージャン F1復帰テストで感動「最後に泣かされてしまったよ!」

    ロマン・グロージャン F1復帰テストで感動「最後に泣かされてしまったよ!」

    ロマン・グロージャンは、F1バーレーンGPでのキャリアを終えることになった大事故から5年を経て、ムジェロでのテストにおいて感情的なF1復帰を果たした。

    2016年から2020年までハースに在籍し、その後インディカーに参戦していたグロージャンは、今回ハースの2023年型マシン「VF-23」を駆る機会を得た。F1 TVの解説者で元インディカーのレーサーでもあるジェームス・ヒンチクリフも同席し、公式チャンネル向けの企画として初めてF1マシンを体験した。

    ピレリの開発走行と並行して行われたこのテストデーについては多くの情報は出ていないが、雨が降ったことは伝えられている。それでもグロージャンは走行後に喜びを爆発させ、ピットレーンでの拍手喝采に胸を熱くした。

    「雨の日だったけど、結婚式が雨なら幸せになるって言うよね。だから今日は雨の日、幸せな日、最高だった」と39歳のグロージャンは語った。

    「最初はちょっと錆びついた感じだったけど、すぐに感覚が戻った。スタンディングスタートもできたんだ。僕の最後のスタンディングスタートは2020年バーレーンだったけど、今回はずっと良い結果になった」

    「とても感謝しているし、本当に特別な機会だった。2016年オーストラリアにいた人たちとも再会できたし、新世代のマシンをドライブできた。本当に素晴らしくて、言葉にならないくらい感謝している」

    ロマン・グロージャン ハースF1チーム

    このテストには、ロータス時代からともにハースへと移った小松礼雄チーム代表(当時レースエンジニア)、さらに2019〜2020年にグロージャンのレースエンジニアを務めたヘリテージ主任エンジニアのドミニク・ヘインズをはじめ、数多くの懐かしい顔ぶれが集まった。

    「最後に泣かされてしまったよ!」とグロージャンは興奮気味に語った。

    「最後のインラップのときはバイザーを下げたままだったけど、フェラーリ、レッドブル、ピレリ、そしてもちろんハースF1チームのみんながいて、拍手とオベーションを送ってくれたんだ」

    「それは2020年アブダビ(予定されていたF1最後のレース)で期待していたことだったけど、今日のほうがもっと良かったと思う」