カテゴリー: F1マシン

  • レッドブルとアウディが示す2026年F1パワーユニット成功例

    レッドブルとアウディが示す2026年F1パワーユニット成功例

    2026年F1シーズンは新レギュレーションによるパワーユニット時代の幕開けとなったが、その中でポジティブなスタートを切ったメーカーもある。レッドブル・フォードとアウディは、ともにF1で初めて自社開発のパワーユニットを投入し、開幕から競争力あるパフォーマンスを見せている。

    開幕戦オーストラリアGPでは、ミルトンキーンズ製のエンジンを搭載したマックス・フェルスタッペンが6位、アービッド・リンドブラッドが8位に入りポイントを獲得。

    さらにアウディの初レースでもガブリエル・ボルトレトが9位に入り、上海で行われている中国GPでも両メーカーはトップ10争いに加わっている。

    ゼロから始まったレッドブルのエンジン計画
    レッドブルのパワーユニット計画は2020年までさかのぼる。ホンダがF1プロジェクトからの撤退を発表した後、クリスチャン・ホーナーは市場を調査したうえで、ミルトンキーンズに自前のエンジン工場を設立する決断を下した。

    2025年までは日本のエンジニアが設計したホンダ製パワーユニットを凍結仕様で使用していたが、その運用にはRBパワートレインズのスタッフも関与しており、他チームから引き抜いた人材も多く加わっていた。そして最大の挑戦は、2026年用パワーユニットをゼロから設計・開発し、初年度から一定の成功を収めることだった。多くのライバルは、そのエネルギー回生性能をすでに高く評価している。

    レッドブルのチーム代表ローラン・メキースは次のように語った。

    「まずはミルトンキーンズの工場を称えるべきだ。3〜4年前にはレースチームの隣にある敷地にすぎなかったが、今ではパワーユニットのすべての作業を行う施設になっている」

    「メルボルンに行ったとき、僕たちはエンジンについてほとんど話さなかった。レッドブル・フォードのパワーユニットで走るのが初めてだったことさえ忘れてしまうほどだった。これは驚くべき節目だし、忘れてしまうほど問題がないというのは良い兆候だ」

    「間違いなく歴史的な出来事だ。新しい基準を打ち立てたと言えるし、4年前にゼロから開発を始めたすべての人々の功績だ」

    F1エンジン

    F1初参戦のアウディが直面する課題
    一方、アウディのケースはさらに特異だ。同社はこれまで公式にF1へ参戦した経験がなく、2026年からシャシーとパワーユニットの両方を自社で開発する完全ワークス体制で参戦している。

    しかしモータースポーツでの実績は豊富で、ル・マン24時間レースではディーゼルやハイブリッド車で13勝を記録し、2024年のダカール・ラリーでは電動パワートレインで総合優勝を果たしている。

    チーム代表ジョナサン・ウィートリーはこう語った。

    「F1に参入するというのはブランドの選択だけではない。シャシーとエンジンの両方を開発するメーカーになるという挑戦でもある」

    「ノイブルクの工場が短期間で成し遂げたことは信じられない。膨大な作業量と努力、そしてエネルギーが注がれている。サーキットやテストで見つかった問題への答えを探し、それを解決してきた。我々は新しいシャシーと新しいパワーユニットを同時に統合している」

    走行距離の差という現実
    レッドブルは同じパワーユニットを使用する2チーム、合計4台のマシンをグリッドに送り出している。一方でアウディは、ガブリエル・ボルトレトとニコ・ヒュルケンベルグの2台のみでデータを収集している。

    現時点では他チームへのエンジン供給を検討する段階にはないが、走行距離の不足が開発速度に影響することはチームも認めている。

    「カスタマーへ供給できる段階に到達するまでには、まだ長い道のりがある」とウィートリーは語る。

    「テストでのメルセデスのエンジンの走行距離を見ると、我々がかなり信頼性の高いプログラムで達成できた距離の4倍にもなる。つまり彼らは我々より速いペースで学習しているということだ」

    「ただ、我々はまだプロジェクトの初期段階だ。目標は強力なライバルになることであり、競争力のある形でそれを実現することだ」

    「現代のF1パワーユニットは信じられないほど複雑だ。現代のF1エンジンを作ることは本当に困難だが、同時に非常にエキサイティングでもある。技術が我々に猛烈なスピードで学習することを要求してくる」

  • ハースF1チーム 中国GPでフェラーリ型“エキゾーストウイング”を導入

    ハースF1チーム 中国GPでフェラーリ型“エキゾーストウイング”を導入

    ハースF1チームは2026年F1中国GPで、フェラーリが先行導入した革新的な排気周辺ウイングの発展版を投入した。これはマシン後端、テールパイプ後方の気流を活用してダウンフォース増加を狙う空力処理だ。

    フェラーリがバーレーンでのプレシーズンテスト終盤に投入して注目を集めたこの仕様は、クラッシュ構造とギアボックス配置の設計自由度があって初めて成立するものだった。

    フェラーリ製ギアボックスなどを使用するハースF1チームは、同様の自由度を活かして上海で独自仕様を採用した。

    フェラーリ発のアイデアをハースF1チームも採用
    フェラーリはプレシーズンテスト最終盤のバーレーンで、テールパイプ後方に独特な小型ウイングを装着したSF-26を走らせ、パドックの視線を集めた。

    このウイングは排気流を利用してその周辺のダウンフォースを高めることを狙ったものだ。リアクラッシュ構造上部に取り付けられ、排気の流れを捉える設計となっている。

    最大の利点は、高温で密度が低く乱れた排気ガスによって影響を受ける、ディフューザー出口の気流を整える点にある。この小型ウイングは、ディフューザーから伸びてテール構造を囲む壁面部分ともつながっている。

    設計自由度が採用のカギ
    フェラーリがこのウイングを導入できたのは、クラッシュ構造とギアボックス位置の関係における設計判断によって、合法的にこの部品を配置できる空間を確保していたからだ。

    一方で、他チームはクラッシュ構造とギアボックスの関係について異なる設計選択をしているため、同じ発想をそのままコピーすることはできない。

    その点で、フェラーリ製ギアボックスや複数のコンポーネントを使用するハースF1チームは、同様の自由度を持っている。そのため上海の週末に向けて、独自版の排気ウイングを採用した。

    ハースF1チーム仕様はフェラーリより控えめ
    ハースF1チーム版は、フェラーリほど積極的に多くの気流をすくい上げる形状ではない。ただし、その仕様は自チームのディフューザー特性に合わせて最適化されたものとみられる。

    ハースF1チームは、このウイング形状についてアップウォッシュを促進するよう設計されており、「局所的な空力特性を改善し、それに応じて荷重の増加をもたらす」と説明している。

    スクーデリア・フェラーリ

    フェラーリとアウディも中国GPで空力アップデート
    フェラーリは中国で、この排気周辺ウイング以外にも開発を進めている。話題となっていた上下逆配置のリアウイングを、初めてレース週末に持ち込んだ。

    さらにSF-26には、ヘイロー中央支柱に2枚の小型ウイングも確認された。これはコクピット周辺の気流最適化を狙ったものだ。

    フェラーリの設計提出書類では、このウイングレットについて「小さな空力荷重の利益をもたらす」と説明されている。

    また、アウディも中国GPに空力アップデートを投入した。新しいフロントウイングのエンドプレートとノーズが導入されている。

    エンドプレート形状は、さらに後方へ流れていく気流特性を改善するために見直されており、新ノーズはその傾斜全体にわたって、より効率的な荷重発生を可能にするという。

  • F1開幕戦で何が起きた?スタート混乱の原因は“8MJエネルギー規則”

    F1開幕戦で何が起きた?スタート混乱の原因は“8MJエネルギー規則”

    2026年F1シーズンの開幕戦オーストラリアGPでは、グリッド全体でスタートのばらつきが目立った。好スタートを切るマシンがある一方で、大きく出遅れるドライバーも多く、その背景には新しいパワーユニット時代特有の課題があった。

    その要因として注目されているのが、ターボの準備手順に加えて導入された“奇妙な副作用”を持つエネルギー規則だ。これらが重なり、2026年F1のスタート手順は例年以上に複雑なものとなっている。

    ターボ準備のため追加された5秒
    2026年のF1マシンでは、スタート前にターボを最適な状態にするため約10秒間スプールアップする必要がある。この作業はバッテリーの過充電を避けながら行わなければならず、多くのドライバーにとってテスト段階から難しい課題となっていた。

    こうした状況を受け、FIAは安全性の観点からスタート手順を変更。2026年開幕戦から、消灯前のシーケンスに5秒の追加時間が設けられた。

    しかし、オーストラリアGPで見られたスタートの大きな差は、このターボ準備だけが原因ではなかった。

    フォーメーションラップで露呈した“8MJ制限”
    問題の核心は、2026年レギュレーションで定められたエネルギー回生の上限にあった。

    F1では各ドライバーに1周あたりの最大回生量が設定されており、サーキットごとに異なる。オーストラリアGPではこの上限が8MJに設定されていた。

    この数値はタイミングライン通過ごとにカウントされるが、レース周回だけでなくフォーメーションラップにも同じ制限が適用される。

    ここで問題が発生した。

    フォーメーションラップでは通常、ドライバーはタイヤを温めるため強く加速し、さらにブレーキを温めるため急減速を繰り返す。しかしこの動作がエネルギーの回生と使用を同時に発生させ、あっという間に8MJの上限に到達してしまったのだ。

    ポールポジションほど不利だった理由
    ポールポジションからスタートしたジョージ・ラッセルのようなドライバーは、さらに不利な状況に置かれていた。

    スタートラインのすぐ近くにグリッドがあるため、バーンアウトなどの準備動作でエネルギーを使用してもタイミングラインを通過する前にリセットされない。一方で後方のドライバーは、バーンアウト後にラインを通過することでエネルギーカウントがリセットされるケースがあった。

    この違いにより、スタート時点でのバッテリー残量にばらつきが生まれた。

    バッテリー消耗とタイヤ温度のジレンマ
    さらに2026年の規則では、一定以上のスロットル操作が行われた場合、バッテリーによる電力供給が自動的に行われる。

    そのためドライバーは、知らないうちにバッテリーを消費してしまう状況に直面した。

    しかし、すでに回生上限に達している場合はエネルギーを再び充電することができない。その結果、グリッドに到着する時点でバッテリーがほぼ空の状態になるドライバーもいた。

    一方でメルセデス勢のように、バッテリー消費を避けるため追加のバーンアウトを控えた結果、リアタイヤの温度が低いままスタートを迎えるケースもあった。

    このように、

    ・タイヤ温度
    ・バッテリー残量
    ・ターボ準備状態

    という複数の要因が絡み合い、グリッド全体でスタート性能のばらつきが生まれた。

    F1レギュレーション

    中国GPでは同じ問題は起きにくい
    この問題については、フォーメーションラップでの回生制限を撤廃する案もチームとFIAの間で議論されている。しかしフェラーリなどは、早急なルール変更には慎重な姿勢を示している。

    もっとも、中国GPでは同じ混乱が再現される可能性は低いとみられている。

    上海インターナショナル・サーキットではスタートラインとタイミングラインの間に約190メートルの距離があり、オーストラリアのように前列グリッドが不利になる状況は発生しない。

    実際、上海のグリッドでは最後尾の22番グリッドがタイミングラインの直前に位置しており、フォーメーションラップでのエネルギー使用量は全車ほぼ同じ条件になる。

    オーストラリアGPを通じてチームはバッテリー管理について多くの知見を得ており、中国GPではより洗練されたスタート戦略が見られる可能性が高い。とはいえ、タイヤ温度とエネルギー管理のどちらを優先するかという新たな判断が、2026年F1のスタートに新たな駆け引きをもたらすことになりそうだ。

  • アウディとフェラーリ 新F1レギュレーション批判に反論「数レースは待つべき」

    アウディとフェラーリ 新F1レギュレーション批判に反論「数レースは待つべき」

    2026年F1シーズンの開幕戦オーストラリアGPを受け、新レギュレーションを巡る議論がパドックで広がるなか、アウディとフェラーリのトップが批判の声に反論した。

    ドライバーからはエネルギーマネジメントを巡る戦いに対して“マリオカートのようだ”との不満も出ているが、アウディのチーム代表ジョナサン・ウィートリーとフェラーリCEOのベネデット・ヴィーニャは、むしろ現状を肯定的に評価し、拙速な結論を出すべきではないと主張している。

    アウディはデビュー戦でポイント獲得
    アウディのチーム代表ジョナサン・ウィートリーは、ガブリエル・ボルトレトが9位入賞を果たした開幕戦を振り返り、新しいF1の姿を前向きに評価した。

    「ポジティブなことは、アウディがF1にいるということだ。そしてキャデラックもF1にいる」

    「ポジションが入れ替わるレースを見た。素晴らしいオーバーテイクもあった。マシンはレースを成立させていたし、戦略も依然として重要な要素だった」

    ニコ・ヒュルケンベルグはフォーメーションラップ中にテレメトリー通信が完全に失われ、スタート前にリタイアを余儀なくされたが、それでもチームにとっては歴史的な一日となった。

    ウィートリーは、ドライバーから批判が出ているエネルギーマネジメントについても擁護した。

    「この魅力的なエネルギーの戦いについて、ドライバーは魅力的ではないと言っているが、私は素晴らしいと思った」

    さらに、レギュレーション批判の急先鋒となっているマックス・フェルスタッペンに対しても言及した。

    「マックスもかなり良いレースをして結果も出していた。正直に言って、私は問題を見なかった」

    また、アウディがゼロから築いたプロジェクトの規模の大きさも強調した。

    「トラック上で見えているものはすべて新しい。マシンもギアボックスもすべてだ。いきなりポイントを獲得できたのは歴史的な日だ」

    「ヒンヴィルとノイブルクで働くすべての人々、そしてここまで我々を導いてくれたすべての人々の仕事をとても誇りに思う」

    F1レギュレーション

    フェラーリは拙速な判断に慎重姿勢
    フェラーリCEOのベネデット・ヴィーニャも、新レギュレーションへの評価については慎重な姿勢を示した。

    「新しいレギュレーションについて正確な評価をするには、あと数レース待つほうが良いと思う」

    「レースの前半は非常に見応えがあった。エネルギーを使い、配分するという考え方は、このスポーツをより面白くするものだ」

    「誰もが改善を続け、このパッケージ全体をどのように最適に使うべきかをより理解していくことになるだろう」

  • メルセデスF1圧縮比問題 FIAが16.7:1容認 PU論争が新局面

    メルセデスF1圧縮比問題 FIAが16.7:1容認 PU論争が新局面

    2026年F1シーズンの序盤戦で、パワーユニット規則を巡る新たな技術論争が浮上している。焦点となっているのは、内燃エンジンの「圧縮比」をどの条件で測定するのかという問題だ。

    FIAとエンジンメーカーの協議の結果、2026年6月1日以降はエンジンが高温状態にある場合の測定方法が変更されることが決まり、実質的に最大16.7:1までの“測定許容値”が認められる形になる。この変更は、メルセデスのパワーユニット設計を巡る議論と深く関係していると見られている。

    F1レギュレーションの圧縮比は16:1が基本
    現在の2026年F1レギュレーションでは、内燃エンジンの圧縮比は「16:1」が上限と定められている。この数値は、エンジンを常温状態で測定した場合の基準であり、2026年開幕戦オーストラリアGPで検査を受けたすべてのパワーユニットはこの規則に適合していた。

    しかしパドックでは、メルセデスがシリンダーヘッド内にプレチャンバー(副燃焼室)を導入したことで、実際の運転条件では圧縮比が18:1に近い値まで上昇するのではないかという疑惑が浮上している。

    この数値は2025年まで許されていたレベルであり、ライバルメーカーからは強い懸念が示された。ただし、メルセデスのパワーユニットが実際にそこまで達している証拠は確認されていない。

    PUAC合意でレギュレーションを修正
    この問題を受け、エンジンメーカーが参加するPUAC(パワーユニット・アドバイザリー委員会)で議論が行われ、レギュレーションの該当条項である「C5.4.3」を修正することで合意が成立した。

    新しい規定では、圧縮比16:1の上限は維持されるものの、測定条件が以下のように変更される。

    ■2026年5月31日まで
    エンジンが常温状態で測定

    ■2026年6月1日~12月31日
    常温および油温130度の状態で測定

    また、運転条件下で圧縮比が16:1を超えるよう設計された機構や部品の使用は禁止されることも明記された。

    高温測定では16.7:1まで許容
    ただし、合意の詳細にはもうひとつ重要なポイントがある。

    高温状態で圧縮比を測定する際、測定誤差を考慮した“許容範囲”が設定されており、その結果として最大16.7:1までの値が容認される可能性があるという。

    ここで言う130度とはエンジンオイルの温度を指しており、実際のレースコンディションに近い状態で検査を行うことになる。

    このため、メルセデスの6気筒エンジンがこの許容範囲内に収まるのか、それともシリンダーヘッドの設計変更が必要になるのかが大きな焦点となっている。

    メルセデスは改修不要と主張
    メルセデス側は、現在の設計のままでもレギュレーションに適合すると主張している。

    一方でライバル陣営は、プレチャンバーの充填効率を調整するためにシリンダーヘッドの小さな穴を拡大するなど、何らかの改修が必要になる可能性があると見ている。

    圧縮比16:1という基準は、パワーユニット規則を策定する段階でアウディやポルシェが強く要求したものでもあり、この技術的な駆け引きはメーカー間の政治問題にも発展している。

    圧縮比 メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

    6月1日という日程の意味
    今回の規定変更が6月1日から適用されるのは偶然ではない。

    F1では24戦のシーズンで使用できるパワーユニットは3基のみと定められており、1基あたりの理論寿命は約8レースとなる。

    その8戦目にあたるのが6月7日に開催されるモナコGPであり、もしメルセデスが設計変更を行う場合でも、次のエンジンである「PU2」から導入すれば通常のローテーション内で対応できる。

    また、圧縮比を活用して発熱量を最大化する設計を前提に開発されたペトロナスの持続可能燃料についても、仕様変更が行われる可能性があると見られている。

    ライバル勢はADUOの活用を検討
    もしメルセデスのパワーユニットが性能面で優位に立つ場合、ライバルメーカーはADUO(開発追随措置)を利用して差を縮めることが可能だ。

    この制度では、基準となるパワーユニットより2%以上出力が低いと認定された場合、FIAの承認を得て6気筒エンジンの改修を行うことができる。

    その申請は第6戦マイアミGP以降に可能となり、承認は第12戦ベルギーGPで行われる見込みだ。実際のアップデート投入は、続くハンガリーGPからになる可能性が高い。

    序盤戦での“逃げ切り”を狙うメルセデス
    メルセデスは2026年F1開幕戦オーストラリアGPでワンツーフィニッシュを達成し、すでに競争力の高さを示している。

    チーム代表のトト・ヴォルフはフェラーリを最大のライバルとして警戒しているが、同時にシーズン序盤でポイント差を広げることを狙っているとも見られる。

    同じメルセデス製パワーユニットを搭載するマクラーレンでさえ、まだエネルギー回生の最適な管理方法を完全には理解できておらず、現時点ではワークスチームに後れを取っている状況だ。

    とはいえ、マクラーレンがこの課題を解決すれば、再びメルセデスにとって大きな脅威になる可能性も高い。2026年F1シーズンの勢力図は、パワーユニットを巡る技術戦争とともに今後も大きく揺れ動くことになりそうだ。

  • F1オーストラリアGP決勝 なぜグリッドでバッテリー切れが多発したのか

    F1オーストラリアGP決勝 なぜグリッドでバッテリー切れが多発したのか

    2026年F1シーズンの開幕戦となったオーストラリアGPでは、スタート直前のグリッドで多くのマシンがバッテリー残量不足に陥るという異例の事態が発生した。フォーメーションラップ終了時点で電力が枯渇したマシンが複数確認され、スタート時の加速性能に大きな差が生まれた。

    原因は、2026年レギュレーション下のエネルギーマネジメントとフォーメーションラップの特殊な走行状況にあった。

    バッテリーの充電機会が限られるなか、タイヤとブレーキを温めるための激しい加減速が重なり、想定以上に電力を消費してしまったためだ。

    フォーメーションラップで電力が枯渇した理由
    2026年F1マシンでは、スタート手順に関するレギュレーションがエネルギー管理に大きく影響している。グリッド上で静止している間は電力を使用できず、さらにスタート後もマシンが時速50kmに達するまでバッテリーの使用が禁止されている。

    このため、ターボの回転を立ち上げるための電動アシストが使えず、大型ターボを搭載するパワーユニットほど加速の初動が不利になる可能性がある。実際にスタート直前、メルセデスのドライバーを含む数名が、消灯前の5秒警告よりも前からエンジン回転数を上げてターボを回そうとする場面が見られた。

    一方、フェラーリは比較的小型のターボと短い低速ギア比の組み合わせにより、電力不足の影響を他チームほど受けなかった。シャルル・ルクレールもバッテリー残量は少なかったが、完全に枯渇することはなく、スタートで優位性を見せた。

    中団で安全懸念を生んだスタート直後の速度差
    電力不足はスタート時の加速性能に大きなばらつきを生み、特に中団では危険な状況が発生した。

    リアム・ローソンはスタート直後にパワーユニットの問題でほぼ停止状態となり、後方から加速してきたフランコ・コラピントが間一髪で追突を回避する場面があった。こうした極端な速度差は、通常のスタート時のばらつきに加えてバッテリー問題が重なった結果だった。

    さらに電力不足は、タイヤを温めるためのバーンアウトにも影響した。アンドレア・キミ・アントネッリなど一部のドライバーは電動アシストがない状態では十分なバーンアウトができず、リアタイヤの温度が不足したままスタートを迎えることになった。その結果、ホイールスピンが発生し、加速が鈍るケースも見られた。

    フォーメーションラップ特有の走行が電力消費を増大
    メルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクター、アンドリュー・ショブリンは次のように説明した。

    「スタートは難しかった。フォーメーションラップで限られたエネルギーを十分に管理できず、両ドライバーともグリッドに着いた時点でバッテリー残量が少なくなってしまった」

    「ドライバーたちはトラブルを避けるために素晴らしい仕事をしたが、多くのポジションを失い、レースはリカバリーを強いられる展開になった」

    フォーメーションラップでは、タイヤとブレーキを温めるために加速と減速を繰り返す必要がある。この動きはエネルギー消費を大きく増やす一方で、充電の機会は限られている。

    特にメルボルンのアルバート・パーク・サーキットでは回生できる強いブレーキングポイントが少なく、実質的な充電チャンスは2本の長いストレートの後にあるターン11のブレーキング程度しかない。さらに最終セクターをゆっくり走行すると回生量が減り、バッテリー回復が難しくなる。

    オーストラリアグランプリ フォーミュラ1カー

    ブレーキバランス変更が回生量を減少させた
    もうひとつの要因は、タイヤとブレーキを温めるためのブレーキバランス調整だった。

    多くのドライバーは温度を上げるため、ブレーキバランスをフロント寄りに設定する。この状態ではリア側の回生が減り、エネルギー回収が難しくなる。メルセデスが過去に「ブレーキマジック」と呼んでいた手法と同様の原理だ。

    2026年F1マシンでは、減速の多くをMGU-Kが担うためリアブレーキシステム自体が小型化されている。そのため、ブレーキバランスの変化がERSの回生量に与える影響も大きくなっている。

    チーム側も想定外だったエネルギー管理の難しさ
    レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキースは、フォーメーションラップでのエネルギー管理の難しさを次のように説明した。

    「この状況を避けるのは我々の責任だ。フォーメーションラップでバッテリーを充電・放電できる範囲の制限に引っかかってしまった」

    「フォーメーションラップではタイヤやブレーキを温めるために加速と減速を繰り返す必要がある。その結果、スタート時に適切な充電状態に戻すことができなかった」

    「最初の1周でバッテリーを回復させる必要があり、当然ながら理想的な状況ではなかった」

    実際、レッドブルではマックス・フェルスタッペンとアイザック・ハジャーもグリッドに整列する前にバッテリーを使い切っていたという。

    新世代F1の課題として浮上したスタート手順
    今回のオーストラリアGPでは、スタート直後の順位変動が非常に多く見られた。その一因は、ドライバーが最初の1周を攻撃ではなくバッテリー回復に使わざるを得なかったことにある。

    リフト・アンド・コーストを多用して回生を行うドライバーもおり、ラップ全体で速度差が生まれたことで順位が大きく入れ替わる展開となった。

    2026年F1マシンは電動パワーの比率が大きく増えた新世代のパワーユニットを採用している。今回のバッテリー問題は、そのエネルギーマネジメントがいかに複雑になったかを示す象徴的な出来事となった。

  • ジョージ・ラッセル FIAに安全対策要請 新F1マシンのストレートモードに懸念

    ジョージ・ラッセル FIAに安全対策要請 新F1マシンのストレートモードに懸念

    ジョージ・ラッセル(メルセデス)は、2026年F1オーストラリアGPを制したものの、新レギュレーションで導入された「ストレートモード」に安全面の懸念があるとして、FIAに改善を求めた。

    アルバート・パークでポールポジションから勝利を挙げたラッセルは、レース序盤にシャルル・ルクレール(フェラーリ)と激しい首位争いを展開。その際、ストレートモード作動時にフロントのダウンフォースが急激に失われ、大きなアンダーステアが発生したと明かした。

    ラッセルは、低ダウンフォース仕様に切り替わる際のフロントウイングの挙動が急激すぎると指摘し、安全面の観点から改善が必要だと訴えた。

    「今日のレースを経験して実際にバトルをしてみて、FIAにお願いしたいのは一つだけだ」とラッセルは語った。

    「ストレートモードを開いたとき、フロントウイングがあまりにも急激に落ちないようにしてほしい」

    「ストレートモードを開くと大きなアンダーステアが出る。シャルルの後ろにいて、スリップストリームから外れようとしたとき、まるでフロントウイングが機能していないように感じた」

    ストレートモードは「かなり危うい」
    ラッセルの懸念は、レース直後に語ったコメントとも一致している。彼は新しいシステム、とりわけコーナー付近での使用が非常に扱いにくかったと振り返った。

    「少し改善する必要があると思う。正直言って、かなり危うかった」

    メルボルンで特に問題となったのは、ターン8からターン9へ向かう長い高速区間だった。この区間には4番目のストレートモード作動ゾーンが設置されていた。

    週末にはこのゾーンを巡って議論が起きていた。金曜夜のドライバーブリーフィングを受け、FIAは土曜朝にゾーン4を削除する決定を下したが、各チームがFP3前の作業負担を理由に反発したため、すぐに撤回された。

    GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)のディレクターでもあるラッセルは、今後のレースでもより慎重な運用を採るべきだと考えている。

    「安全という観点から見れば、それはレースをより安全で、より良いものにするはずだ」

    「その変更を行うことにデメリットはないと思う」

  • 2026年F1新レギュレーションに批判噴出「マリオカートのよう」

    2026年F1新レギュレーションに批判噴出「マリオカートのよう」

    2026年F1開幕戦オーストラリアGPは、ジョージ・ラッセルとシャルル・ルクレールによる激しい首位争いが観客を魅了した。アルバート・パークでのレース序盤、両者は何度もポジションを入れ替え、今季初戦を大いに盛り上げた。

    しかし、その裏では2026年から導入された新レギュレーションへの批判がパドック全体で噴出している。新しいF1マシンは、内燃エンジンと電力の出力を50対50で分けるハイブリッドパワーユニットを採用しており、これがレースの戦い方を大きく変えている。

    ラッセルとルクレールの攻防が生んだ“希望”
    レース序盤の12周は、2026年F1の新時代が成功する可能性を感じさせる瞬間だった。

    ラッセルとルクレールは何度もトップを入れ替えながら激しいバトルを展開。結果的にバーチャルセーフティカーのタイミングでメルセデスがピットインを選択し、フェラーリがステイアウトしたことで流れが決まり、ラッセルが優勝。チームメイトのキミ・アントネッリが2位に入り、メルセデスが1-2フィニッシュを飾った。

    F1はこのレースを前向きな材料として強調した。
    昨年の開幕戦では45回だったオーバーテイクが、今年は120回に増加。そのうち7回はラッセルとルクレールの序盤の攻防によるものだった。

    “マリオカート”のようなレース
    新レギュレーションの象徴とも言えるのが、レース中に使用できる「ブースト」機能だ。

    旧来のDRSとは異なり、ドライバーは任意のタイミングでパワーブーストを使うことができる。これは新しいハイブリッドパワーユニットのエネルギーマネジメントに基づく仕組みだ。

    ルクレールは無線でこう冗談を言った。

    「これはマリオカートのキノコみたいだ」

    この言葉は、新しいF1のレーススタイルを象徴するものだった。実際、ラッセルはこの現象を「ヨーヨー効果」と表現している。

    ドライバーからは“ゲームのようだ”との声
    ハースF1チームのオリバー・ベアマンは、レース後にこう語った。

    「ブーストボタンを使うと、まるでビデオゲームみたいな感覚だった」

    しかし、この変化を歓迎していないドライバーも多い。特に、ドライバーズチャンピオンのランド・ノリスは厳しい言葉を並べた。

    「人工的すぎる。完全にカオスだ。大きな事故が起きる可能性もある」

    「パワーユニットの挙動次第で、5台に抜かれることもあるし、何もできないこともある」

    F1レギュレーション

    “抜いた直後に抜き返される”新しいレース
    ハースF1チームのエステバン・オコンも、新しいF1マシンでのレースを「非常に苦しい」と表現した。

    「ブーストを使っても、次のストレートですぐ抜き返される」

    「ピエール・ガスリーとは3回も同じことが起きたし、ガブリエル・ボルトレトとも同じだった」

    このような状況は、トップ争いではスリリングな攻防として映る。しかし、中団では単なる“ヨーヨーのようなポジション交換”になっているとの指摘もある。

    F1は“ドライビング”から離れているのか
    新しいF1では、ドライバーの仕事は大きく変わっている。

    アルピーヌのピエール・ガスリーは、その変化をこう説明する。

    「今は運転だけじゃない。バッテリー管理、エネルギー管理、どのコーナーでどれだけ使うか、どこでリフトするか……」

    「純粋なドライビングから、かなり離れてしまっている」

    F1はこの方向に進むべきなのか
    ルクレールは、この新しいレーススタイルを冷静に分析している。

    「以前は誰が一番遅くブレーキを踏めるかが勝負だった」

    「今はもっと戦略的だ。ブーストを使うたびに大きな代償を払うから、何手も先を考える必要がある」

    それでも、この変化がF1にとって正しい方向なのかは議論が続いている。

    マックス・フェルスタッペンは、レース後にこう語った。

    「僕はレースが大好きだ。でも、我慢にも限界がある」

    「僕たちはスポーツを良くしたいから批判している。これは本来のF1であるべき姿ではない」

    2026年F1シーズンはまだ始まったばかりだ。しかしオーストラリアGPは、新しいレギュレーションが生む“エンターテインメント”と“本来のF1らしさ”の間で、スポーツが揺れていることをはっきりと示したレースとなった。

  • 2026年F1マシンの新ライトとは?リアとサイドの役割と点滅の意味

    2026年F1マシンの新ライトとは?リアとサイドの役割と点滅の意味

    2026年F1マシンは新レギュレーションにより多くの技術変更が導入されたが、ファンにとって最も分かりやすい変化のひとつが「新しいライトシステム」だ。

    各マシンにはリア中央のライトに加え、ミラー付近のサイドライトが追加され、コース上で点滅する光によってマシンの状態や安全情報が伝えられる仕組みになっている。では、このライトは具体的に何を意味しているのか。

    リア中央ライト(Rear Impact Structure)の役割
    2026年F1マシンのリア中央には楕円形のライトが設置されており、通常は赤色で点灯する。これは「Rear Impact Structure(RIS)」と呼ばれ、主にパワーユニットのエネルギー状況を示す役割を持つ。

    例えばチームがバッテリー温存のため最大出力を下げた場合、その状態が点滅パターンで表示される。

    ■ 点滅1回
    MGU-Kが最大350kWより少ない電力を供給している状態

    ■ 点滅2回
    MGU-Kが電力供給を停止している状態

    ■ 素早い連続点滅
    内燃エンジンが作動したままMGU-Kが充電中

    この表示により、後続ドライバーは前方マシンのエネルギー状況をある程度把握できる。

    さらにRISライトはエネルギー表示以外にも、安全面でさまざまな役割を持つ。

    ■ セーフティカー導入
    ■ ダブルイエロー区間
    ■ コース上でエンジン停止
    ■ インターミディエイト/ウェットタイヤ装着

    といった状況を示す信号としても利用される。

    また2026年仕様のRISは約180gの軽量化が行われた新設計で、後方カメラも内蔵されている。さらに色を変更できる仕様となり、今後はより多くの情報を後続車に伝えることが可能になる。

    現在は「スーパーライセンスを完全取得していないドライバー」の場合に青色で表示される仕組みも導入されている。これはルーキー走行が義務付けられているFP1で特に有効とされている。

    フォーミュラ1カー F1 マシン

    リアウイング端のライト
    リアウイングのエンドプレートにもライトが装着されており、中央のRISライトと同じ点滅パターンを表示する。

    こちらは常に赤色で表示され、後方のドライバーからより見やすくするための補助的役割を担っている。

    ミラーの新サイドライト
    2026年マシンでは新たに「ラテラルセーフティライト」が追加された。

    これはミラー部分に設置されており、横や前方からでも見える位置に配置されている。

    このライトは以下の状況で点灯する。

    ■ スピンや事故が発生した場合
    ■ マシンが完全停止した場合
    ■ 車速が20km/h未満になった場合

    色はアンバー(オレンジ系)で表示され、レーススタート時にギアが入っていない状態でも点灯することがある。ドライバーがギアを入れて発進すると消灯する仕組みだ。

    このサイドライトはドライバー会議での提案を受けて導入された。

    雨天時などでマシンが横向きに停止すると、通常のリアライトが見えなくなることがある。その場合でも、側面のライトがあれば接近するドライバーが状況を把握しやすくなるためだ。

    2026年F1は“ライトで情報を伝える”時代へ
    2026年の新ライトシステムは、エネルギー管理の複雑化と安全対策の強化という2つの目的から導入された。

    とくに電動出力が350kWに拡大された新世代パワーユニットでは、エネルギーの使用状況がレース戦略に大きく影響する。そのため、視覚的な情報共有が重要になっている。

    またスピンや停止したマシンを素早く認識できるようにすることで、悪天候時の安全性向上も期待されている。

    オーストラリアGPで幕を開ける2026年シーズンでは、サーキットのあらゆる場所でこの新しいライトが点滅する光景が見られることになる。

  • 2026年F1レギュレーション大改革 DRS廃止など12の変更点

    2026年F1レギュレーション大改革 DRS廃止など12の変更点

    2026年F1シーズンは、パワーユニットと空力の両面で大規模なレギュレーション変更が導入される“新時代”の幕開けとなる。マシンのサイズや重量、エネルギー管理、オーバーテイクシステム、さらにはチームの予算上限に至るまで、スポーツの多くの要素が刷新された。

    ここでは、ファンが知っておくべき2026年F1の主要な12の変更点を整理する。

    マシンは小型化 ホイールベース200mm短縮
    2026年F1マシンは全体的にサイズが縮小された。

    ホイールベースは2025年の3600mmから3400mmへと200mm短縮され、ドライバーからはより機敏なマシンになったとの声も上がっている。

    さらにフロア幅は100mm狭くなり、タイヤも細くなった。フロントタイヤは25mm、リアタイヤは30mm幅が減少している。

    こうした変更はコース上のスペースをわずかに増やし、バトルをしやすくする狙いがある一方、タイヤ接地面積の減少によってグリップには影響が出る可能性がある。

    最低重量は768kgへ大幅減
    2025年の800kgから2026年は768kgへと最低重量が引き下げられた。

    MGU-Hの廃止に加え、マシンサイズとタイヤの縮小が軽量化の主な要因となっている。

    ドライバーからはすでに、ダウンフォースが減少したにもかかわらずハンドリングが改善したという感想も聞かれている。

    グラウンドエフェクト縮小 新しい空力コンセプト
    最大の空力変更は、グラウンドエフェクトの中核だったベンチュリトンネルの廃止だ。

    新しいフロアでも空力性能は依然として重要だが、これまでほど支配的ではなくなる。

    フロントウイングとリアウイングはシンプル化され、ホイールカバーも廃止された。さらにバージボードが再導入され、フロントタイヤから発生する乱流を車体内側へ導く設計となっている。

    狙いはアウトウォッシュの抑制と、後続車が前走車に近づきやすくすることだ。

    新パワーユニット MGU-H廃止で電動比率50%
    2026年F1のパワーユニットは引き続きV6ターボハイブリッドだが、中身は大きく変わった。

    MGU-Hが廃止され、内燃エンジン出力は約400kWに低下。一方でMGU-Kの出力は120kWから350kWへ大幅に増加した。

    その結果、内燃エンジンと電動パワーがほぼ50対50という構成となっている。

    また1周あたりのエネルギー回生量も従来の4MJから倍以上に増え、ブレーキングや部分スロットルなどを通じてエネルギー回収がより重要になる。

    次世代燃料「持続可能燃料」を導入
    2026年からF1はAdvanced Sustainable Fuel(先進持続可能燃料)を使用する。

    原料は化石燃料ではなく、食品生産と競合しない廃棄物や産業副産物などの持続可能な原料から抽出される。

    さらに既存エンジンにそのまま使用できる「ドロップイン燃料」であることが求められている。

    F1レギュレーション 2026年のF1世界選手権

    DRS廃止 新オーバーテイクモード導入
    DRSに代わる新たな追い抜きシステムとして「オーバーテイクモード」が導入された。

    このモードでは追加で0.5MJのエネルギーを使用し、より高い電動出力を長く維持できる。

    作動条件は、検知ポイントで前車から1秒以内に入ること。条件を満たすと次の周回で使用可能となる。

    アクティブエアロ「ストレートモード」
    2026年マシンには新たなアクティブ空力システムが導入される。

    ストレートモードではリアウイングに加えてフロントウイングも可動し、直線では空気抵抗を減らす低ドラッグ状態になる。

    コーナーでは自動的に高ダウンフォース仕様へ戻るため、コース上で2つの空力状態を使い分ける形となる。

    エネルギー「ブースト」機能
    ドライバーは回生した電力を任意のタイミングで使用できる「ブースト」も利用できる。

    オーバーテイクだけでなく防御やラップタイム向上にも使えるため、エネルギー管理がより戦略的な要素となる。

    サーキットに新しいゾーン表示
    DRSゾーンに代わり、サーキットには「SM(ストレートモード)」の標識が設置される。

    これらのゾーンでは自動的に低ドラッグ状態に切り替わる。

    低グリップ条件では短いゾーンが設定され、フロントウイングのみが作動するケースもある。

    スタート手順の微調整
    MGU-Hの廃止により、ターボを回転させるための準備時間が必要になった。

    そのためグリッド整列後にプレスタート警告が出され、ドライバーは5秒間エンジン回転数を上げて準備できるようになる。

    予選方式を調整 22台グリッド対応
    2026年はキャデラックF1チーム参戦によりグリッドが22台に拡大した。

    これに合わせて予選方式も変更される。

    ■ Q1:6台脱落
    ■ Q2:6台脱落
    ■ Q3:トップ10が争う

    Q3の時間は13分となる。

    予算上限を大幅引き上げ
    新レギュレーションへの対応コストを考慮し、チームのコストキャップも拡大された。

    ■ チーム予算上限
    1億3500万ドル → 2億1500万ドル(約332億円)

    ■ パワーユニット予算上限
    9500万ドル → 1億3000万ドル(約201億5000万円)

    新世代マシンの開発に伴うコスト増を吸収するための措置となっている。

    2026年F1は、パワーユニット、空力、燃料、そしてレース運営までが一斉に刷新される大きな転換点となる。新しいマシンの性能だけでなく、エネルギー管理や空力モードの使い方がレースの鍵を握ることになりそうだ。