F1アゼルバイジャンGPが、将来的に現在のバクー市街地からカスピ海に建設される人工島へと舞台を移す可能性が浮上した。
大規模リゾート開発「Sea Breeze」の一環として、炎の形をした人工島「Fire Island」を建設する計画が進められており、その中にはF1アゼルバイジャンGPの開催を想定したサーキットも明確に盛り込まれている。
268ヘクタールの人工島「Fire Island」
Fire Islandは、カスピ海沿岸で進められているSea Breeze Resortの大規模開発プロジェクトの一部で、総面積は268ヘクタールに及ぶ。
Sea Breezeは、この人工島プロジェクトを実現するため、中国の大手インフラ企業CSCEC Infrastructureと協力協定を締結したことを発表している。
ただし、Fire Islandそのものの計画が初めて公表されたのは2025年にさかのぼる。アゼルバイジャンの実業家エミン・アガラロフは、「ロシア-イスラム世界:カザンフォーラム2025」で、ロシアのマラト・フスヌリン副首相とともに計画を紹介していた。
アガラロフによれば、このプロジェクトはアゼルバイジャン大統領の支持も得ているという。
炎の形をしたFire Islandは、Sea Breezeで開発される2番目の人工島となる。すでに最初の人工島として、三日月形の島の建設が進められている。
F1アゼルバイジャンGP用サーキットを明記
注目されるのは、Fire Islandの計画にF1用サーキットが明確に含まれていることだ。
CSCEC Infrastructureとの協力協定に関する発表では、「F1アゼルバイジャンGPのためのサーキットも島内に計画されている」と明記されている。
ただし、現時点ではサーキットの建設スケジュールは発表されていない。ましてや、現在バクー中心部で使用されている市街地サーキットからアゼルバイジャンGPを移転する時期についても何も決まっていない。
バクー市街地開催の交通問題を解消
新サーキット構想は、単に壮大な新施設を造るという目的だけではない。
アガラロフによれば、アゼルバイジャンGPを人工島へ移転する場合、その狙いのひとつはバクー市街地でF1を開催することによって生じる問題を軽減することにある。
現在のバクー市街地サーキットでは、グランプリ開催のたびに大規模な道路封鎖が必要となり、首都の交通にさまざまな制限が生じる。
アガラロフは、サーキットを人工島へ移すことで、毎年のアゼルバイジャンGP開催時に発生している交通渋滞や市民生活への影響を緩和できると説明している。

バクーの象徴的な市街地コースから移転の可能性
アゼルバイジャンGPは2016年にバクーの市街地でF1初開催を迎えて以来、カレンダーを代表する市街地レースのひとつとして定着してきた。
現在のコースは、カスピ海沿いを走る非常に長い全開区間や、旧市街の城壁付近を抜ける極端に狭いセクションなど、バクーならではの景観を特徴としている。
そのため、Fire Islandへの移転が実現すれば、アゼルバイジャンGPの性格は大きく変わることになる。
もっとも、人工島に建設されるサーキットがどのようなものになるのかは、まだまったく明らかになっていない。レイアウト、全長、コース特性だけでなく、建設開始時期についても具体的な情報は示されていない。
それでも、Fire Islandの開発計画にはF1が明確に組み込まれており、すでにサーキット設計を手掛ける建築家らにもプロジェクトへの提案を求めるための接触が行われているという。
実現までには多くの段階が残されているものの、Fire Island計画が進展すれば、長年バクー市街地を舞台としてきたF1アゼルバイジャンGPが、カスピ海に浮かぶ人工島の専用サーキットへと移る可能性が出てくる。


























