カテゴリー: アウディ

  • アウディ 2026年F1マシンのシェイクダウン画像を公式公開

    アウディ 2026年F1マシンのシェイクダウン画像を公式公開

    アウディは、スペインで実施した初期シェイクダウンが成功裏に終わったことを受け、2026年F1マシンの最初の画像をティーザーとして公開した。

    2026年からザウバーのチーム運営を引き継ぐドイツの自動車メーカーであるアウディは、バルセロナで走行を行い、ニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトの両名がステアリングを握った。

    一方で、アウディR26を装った偽の画像がソーシャルメディア上で広く拡散された。これにより、人工的に生成されたその画像が、2026年仕様の新世代マシンではなく、前世代のマシンのデザイン要素を明らかに取り入れていたことから、チームが何らかの「ミュールカー」を走らせているのではないかという憶測も生まれた。

    アウディが意図的に混乱を招くようなプレシーズンの“予告”を行った形となったが、サーキット外の遠方から撮影された一部の動画や写真については、より信憑性が高そうに見えるものもあった。ただし、いずれもマシンの全体像を明確に捉えたものではなかった。

    それでも、アウディがこのテストで2026年型マシンを実際に走らせていたのは事実であり、バルセロナから共有された一連の画像の中には、加工処理を施した形でその姿を示す2枚の写真も含まれていた。

    そこでアウディは、シェイクダウンの画像を正式に公開。マシンの全体が移ったものは一枚だけ。残る写真は雰囲気重視のチームショットで、そこに写っているのは、チーム代表マッティア・ビノットを含むチームメンバーのみだ。彼らは、新パートナーであるアディダスによる、黒地に白いストライプを配したシンプルなアウディ・レヴォルトF1チームのウェアを着用している。

    アウディ F1

    今回走行したマシンは、月末に全11チームが参加予定の非公開合同テストで使用される仕様と近いものになる可能性が高い。ただし、バーレーンで行われる公開テスト、そしてシーズン開幕戦オーストラリアGPで走るR26とは、最終的にはかなり異なる“遠い親戚”のような存在になる可能性もある。

    すでに明らかになっているように、最初期のアウディ製エンジンは、テスト期間中の信頼性と走行距離を最優先した保守的な仕様となっており、最終的にホモロゲーションされる仕様は別物になる見通しだ。

    そのエンジンをできるだけ早い段階で走らせることが、アウディがこれほど早期に初回シェイクダウンを実施した主な理由のひとつでもあった。

    この種の非公開プロモーションイベント、いわゆるフィルミングデーでは、走行距離が200kmに制限され、使用できるピレリタイヤも指定されているものの、それでも一定レベルの走行と初期的なマシン評価は可能だ。アウディは、今回の最優先事項は「マシンの完全な機能確認」であり、本格的なパフォーマンス作業は正式なプレシーズンテストで行うとしている。

  • 【動画】 アウディ 2026年F1マシンを全チームに先駆けてシェイクダウン

    【動画】 アウディ 2026年F1マシンを全チームに先駆けてシェイクダウン

    アウディは、1月9日(金)にカタルーニャ・サーキットで2026年F1マシンでの極秘テストを実施。初走行は大きなトラブルもなく終了し、エンジンを中心とした基本的なメカニズムは問題なく機能したという。

    2026年F1シーズンが、早くも静かに幕を開けた。最初にコースへ姿を現したのは、グリッドで最も早く動き出したチーム、アウディF1チームだ。

    今回のテストは非公開で行われており、FIAが定める「カメラが入り、一般に公開される場ではチームの識別カラー(リバリー)を使用する」という義務は適用されない。そのため、アウディF1が使用したマシンの外観は極めてシンプルだった。

    車体は完全なブラックで統一され、確認できたロゴはリアウイングに入ったアウディのエンブレムのみ。このマシンは市販イメージとは程遠い、明らかな開発用プロトタイプであり、バーレーンで披露される最終仕様とはほとんど共通点がない“ミュールカー”だ。

    当初は情報流出を防ぐため、厳重な警備体制を敷く計画もあったようだが、今回の走行内容がほぼパワーユニット関連に限定されていることから、セキュリティは最終的に簡素化された。

    走行プログラムでは、ニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトの2名が担当し、それぞれ約100kmずつ走行。現地にはアウディF1プロジェクトの責任者であるマッティア・ビノットの姿も確認されている。

    また、少人数ながらマーケティングチームも帯同しており、近く公式画像が公開される見込みだ。チーム関係者は全員、アディダスが手がけた黒一色の新ユニフォームを着用。その姿は「バルデベバスでトレーニングするレアル・マドリードの選手のようだ」と冗談交じりに語られるほどだった。

    アウディF1はこうして、2026年F1シーズンへの第一歩を踏み出した。表舞台に出るのはまだ先だが、そのプロジェクトはすでに走り始めている。

  • アウディF1 元フェルスタッペン担当メカニックをチームマネージャーに起用

    アウディF1 元フェルスタッペン担当メカニックをチームマネージャーに起用

    元マックス・フェルスタッペンのチーフメカニックを務めたリー・スティーブンソンが、F1新規参戦を控えるアウディで重要な新役職に就くことが明らかになった。

    レッドブル・レーシングでマックス・フェルスタッペンを長年支えたスティーブンソンは、アウディのワークス参戦準備が本格化し始めた2年前にザウバーへ移籍。

    以降、同じく元レッドブルの人材であり、現在はアウディのチーム代表を務めるジョナサン・ウィートリーとともに、ヒンウィルを拠点とするチームでチーフメカニックの役割を担ってきた。

    アウディは2026年のF1本格参戦に向けた準備を加速させており、その一環としてスティーブンソンをチームマネージャーへ昇格させる決断を下した。長期的な体制移行の中でも、主要スタッフの多くは引き続きチームに残る見通しで、アウディは高い継続性を武器に新時代へ臨む構えだ。

    今週のアウディは特に慌ただしい動きを見せている。12月19日に、2026年マシンR26に搭載されるエンジンの初回ファイアアップが行われたことが発表されたばかりで、チームはライバル勢に先んじて準備を進めている。

    アウディは1月20日にベルリンでR26を正式発表する予定で、その翌週にはカタロニア・サーキットで行われる公式プレシーズンテストに参加する。さらにそれに先立ち、F1の規則で認められた撮影日数の一部を利用し、同サーキットで金曜日にシェイクダウンを実施する見込みと報じられている。

    新たにチームマネージャーへ就任するスティーブンソンの存在は、アウディがF1参戦初年度から安定したオペレーションを築くうえで、大きな支えとなりそうだ。

  • アウディF1の目標はなぜ2030年? ビノットがフェラーリの歴史で示した理由

    アウディF1の目標はなぜ2030年? ビノットがフェラーリの歴史で示した理由

    アウディF1チーム代表のマッティア・ビノットは、2030年までにF1の頂点に立つというチーム目標について、その背景と難しさを改めて説明した。

    ドイツの自動車メーカーであるアウディは、ザウバーを引き継ぐ形で今季からF1に参戦し、自社製パワーユニットを投入する。昨年末にはミュンヘンでイベントを開催し、デビューシーズン用のコンセプトリバリーを公開するとともに、2030年にF1タイトルを争うという目標を発表した。

    この目標が実現すれば、アウディは参戦5年目でグリッドの最前線に立つことになる。

    2030年のタイトル目標以前に表彰台の頂点に立つ可能性について問われると、ビノットはRacingNews365に対し、次のように語った。

    「レースに勝つことは、もちろん可能だ」とビノットは語った。

    「我々が目指しているのは2030年にチャンピオン争いをすることであり、それは単に勝つという話ではなく、2030年にパドック全体のベンチマークになるということだ」とビノットは続けた。

    「メディアやファンの視点から見れば、とても長く感じるかもしれない。それは理解している」とビノットは認めた。

    「だが、しっかりとした基盤を築くのにどれだけ時間がかかるかを考えれば、決して長くはない。これは非常に挑戦的な取り組みだ」とビノットは強調した。

    「もしそれ以前に勝てるのであれば、我々は勝ちに行く。ただし、他のチームを見ても分かるように、基盤を作るには時に長い時間が必要になる」とビノットは付け加えた。

    アウディ F1

    ビノットが引き合いに出したフェラーリの例
    アウディ加入以前、ビノットは2019年から2022年までフェラーリのチーム代表を務めていた。数十年にわたりフェラーリに在籍し、ミハエル・シューマッハ時代の成功も内部から経験している。

    ビノットは、シューマッハがフェラーリでタイトルを獲得するまでにも、長い年月が必要だったことを指摘した。

    「私はフェラーリでの経験がある」とビノットは語った。

    「ジャン・トッドは1993年に加入し、最初のタイトルを獲得したのは1999年だった。単純に計算すれば、ミハエル・シューマッハ、ジャン・トッド、ロス・ブラウンとともに、どれだけ時間がかかったかが分かる」とビノットは述べた。

    「チーム作りとは、人の数やその相互作用、ツール、プロセス、手法、施設、製造能力など、あらゆる要素が関わってくる。本当に多くのものが必要だ」とビノットは説明した。

    「よくサッカーに例えられる。プライベートチームとしてのザウバーに非はないし、彼らは良い仕事をしてきた。ただ、たとえば三部リーグで戦っているクラブが、チャンピオンズリーグを制したいと考えたとしよう」とビノットは語った。

    「翌シーズンに名前がアウディになったからといって、すぐにチャンピオンズリーグで勝てるわけではない」とビノットは続けた。

    「チャンピオンズリーグで勝つためには、道筋と計画を明確にしなければならない。そして、それには数シーズンを要するんだ」とビノットは結論づけた。

  • アウディ 2026年F1マシン「R26」を全チームに先駆け1月9日にシェイクダウン

    アウディ 2026年F1マシン「R26」を全チームに先駆け1月9日にシェイクダウン

    アウディは、2026年F1参戦に向けた重要な節目として、1月9日(金)にバルセロナでF1マシンのシェイクダウンを実施する。ドイツメーカーにとって、実走行での初披露となる。

    新型「R26」はフィルミングデーを実施し、ニコ・ヒュルケンベルグとガブリエル・ボルトレトがステアリングを握る予定だ。これによりアウディは、アクティブ・エアロダイナミクスを採用したシャシーと、電動出力の比重が高まる新パワーユニットを特徴とする2026年F1新時代において、最初にトラック走行を行うチームになる可能性が高い。

    これは、2026年に向けてザウバーを自社ブランドへ刷新して以降、アウディとしての初走行であり、同時にアウディ初のF1エンジンが実環境で走る初めての機会でもある。

    F1の公式テストは同じサーキットで月末まで行われない予定であり、それを考えると今回のシェイクダウンは異例の早さだと言える。

    フィルミングデー規定と今後のスケジュール
    スポーティング・レギュレーションで「プロモーショナルイベント」として規定されるフィルミングデーでは、走行距離は最大200kmまでと定められており、これはカタロニア・サーキットで最大42周に相当する。R26はデモンストレーション用のピレリタイヤを装着して走行する。これらは公式テストやグランプリで使用されるコンパウンドとは異なる。

    各チームは今季、フィルミングデーを2日間実施することが認められており、ライバル勢も新車のシェイクダウンにこの機会を活用すると見られている。

    アウディ 2026年のF1世界選手権 フォーミュラ1カー

    早期シェイクダウンに込められたビノットの狙い
    この動きは、プロジェクト責任者であるマッティア・ビノットが、プレシーズンを通じた信頼性確保の重要性を強調してきた姿勢を反映している。できるだけ早い段階で走行距離を稼ぎ、初期トラブルを迅速に洗い出して対処することを優先していることを示唆している。

    ビノットは以前、The Raceに対し、12月19日に初めて火入れされたこの仕様のアウディF1エンジンについて、「3月にホモロゲーションされる最終仕様とは距離があるものになる」と述べていた。

    「これは長い旅路のための、しっかりとした基盤を築いたということだ」とビノットは語っている。

    今週初めには、12月のファイアアップ、すなわちエンジンが初めてシャシーに搭載された状態で稼働した瞬間について、ビノット自身が「特別な瞬間」と表現し、チーム代表のジョナサン・ウィートリーも「極めて重要なマイルストーン」と位置付けていた。

    今回のシェイクダウンは、1月20日にベルリンで行われる、正式名称Audi Revolut F1 Teamの正式ローンチに先立つ、もう一つの重要な局面となる。その3日後には、バルセロナで非公開の初回テストが控えている。

  • ガブリエル・ボルトレトが語るアイルトン・セナの遺産「ドライバー以上の存在」

    ガブリエル・ボルトレトが語るアイルトン・セナの遺産「ドライバー以上の存在」

    ガブリエル・ボルトレトは、自身のレーシングキャリアに今なお大きな影響を与え続けている故アイルトン・セナについて振り返った。

    ブラジル出身の21歳であるボルトレトにとって、F1で3度のワールドチャンピオンに輝いたセナは、時代の隔たりや実際のレースをリアルタイムで見た経験がないにもかかわらず、疑いようのないヒーローだという。

    現在ボルトレトは、2度のワールドチャンピオンでありマネージャーを務めるフェルナンド・アロンソ、そして4度のタイトル獲得者で親しい友人でもあるマックス・フェルスタッペンという、F1史に名を残す存在に支えられている。それでもなお、彼はセナが今も生きていて、自分に直接助言を与えてくれる存在であってほしいと願っている。

    「そのことはすでに考えたことがあるし、もし実現したら本当に素晴らしいことだっただろう」と、ボルトレトは昨シーズン終盤に行われたRacingNews365の独占インタビューで語った。

    「当然ながら、何らかの形で彼に会って、話をしてみたかった。自分のヒーローとそんな時間を過ごせたら、本当に特別なことだったはずだ。

    でも人生では、すべてを手に入れることはできない」

    さらにボルトレトは、次のように付け加えた。

    「もしかしたら、いつかどこか別の場所で彼に会える日が来るかもしれない」

    ガブリエル・ボルトレト F1 アイルトン・セナ

    映像と証言から学んだセナの本質
    それでもボルトレトは、長年にわたってセナから多くのことを学んできたという。それは過去の映像を見て得たものだけでなく、当時セナとともに過ごした人々から話を聞く中で吸収したものでもある。

    セナから何を学び取ったのかを具体的に問われると、ボルトレトは、自身の糧となっている4つの重要な要素を挙げた。

    「規律、献身性、知性、そしてレース以外の場面でも素晴らしい人間だったということだ」とボルトレトは語る。

    「それらすべてが合わさって、彼というドライバーを形作っていた。

    僕が彼から受け取っているのは、サーキット上でのドライバーとしての姿だけじゃない。オフ・トラックで人々とどう接していたか、その素晴らしさも含めてだ」

    さらに、セナの“伝える力”にも強い印象を受けているという。

    「僕自身も意識していることのひとつだけど、多くのジャーナリストから聞いた話として、彼はマシンのフィーリングをどう感じていたのかを説明しようとしていたらしい。皆さんが理解できるように助けていたというのは、とても興味深いことだと思う。

    皆さんの仕事は簡単ではない。僕たちドライバーがやっていることを、世界中に伝えなければならないわけだからね。だからこそ、そうした姿勢はとても大切だと思うし、彼はそれが本当に上手かったと多くの人から聞いている」

    最後にボルトレトは、セナの存在がいかにして永遠のレガシーを築いたのかを、次のように語っている。

    「彼は、自分がサーキットでやっていたことを説明し、理解してもらおうとしていた。

    そうしたすべてが、彼をレジェンドにした。偉大なドライバーであり、何十年にもわたって語り継がれ、これからも永遠に残り続けるレガシーを築いた人物だったんだ」

  • アウディF1が示した前進 ヒンウィルの空力“特殊部隊”の役割

    アウディF1が示した前進 ヒンウィルの空力“特殊部隊”の役割

    アウディは初の正式なF1シーズンを迎えるにあたり、2025年にトラック上で達成した進歩によって、その信頼性を大きく高めている。その背景には、技術責任者のジェームス・キーが「スペシャルフォース(特殊部隊)」と呼ぶ空力チームの存在がある。このチームは、2025年マシンの競争力を劇的に向上させた。この呼称は、困難なスタートを切ったザウバーC45の改善を任された、約10名の小規模な空力エンジニア集団に対して使われている。

    彼らの成功した取り組みによって、このマシンはF1の極めて競争の激しいミッドフィールドにおける本物の争い手へと変貌した。これは重要な意味を持つ。なぜなら、それはBMW撤退後の長年にわたる投資不足を経て、追い上げる立場にあったチームが、開発ツールに対する理解と微調整の深さを増してきた結果だからだ。

    2025年シーズンを迎えるにあたり、ザウバーの2024年マシンがシーズン終盤に見せた改善は、より低く、より硬いセットアップで走らせるというコンセプトへの転換を示しており、正しい方向に進んでいることを裏付けるものだと期待されていた。2024年にプルロッド構成へと変更されたフロントサスペンションや空力面にもさらなる洗練が加えられ、その進歩を定着させるための進化型となるはずだった。

    バーレーンで行われた前年のプレシーズンテストで走行したマシンは、開幕戦オーストラリアに向けて空力アップグレードが投入されることが前提だったものの、深刻な問題がすぐに明らかになった。これは、2024年序盤に相関問題が浮上したときとまったく同じ状況だった。

    「残念ながら、トラックに出た途端、マシンはシミュレーターやデータから予想していた挙動とはまったく違っていた」とキーはThe Raceに語っている。

    「『どうしてまた同じことをやってしまったんだ?』という感じだった」

    「今回は別の理由によるものだったが、プロセスの失敗だったのは確かで、我々があまりにも脆弱だったことを示していた。相関の問題が再び起きていた」

    「だが、チームの功績として評価すべきなのは、我々が本当に何をしたいのかを特定できたことだ。この話は、本が一冊書けるほどだ。会議の数も、頭を抱えたり、机を叩いたりした回数も膨大で、我々全員にとって途方もなくフラストレーションの溜まるものだった。しかし、とにかく団結した」

    「私が非常にポジティブだと感じたのは、優秀な若手空力エンジニアのグループがいたことだ。彼らに『26年マシンが大きな主軸になるが、君たちは25年マシンのためのスペシャルフォースだ』と言った。非常に才能ある若い空力エンジニアが約10人いて、その挑戦を与えた」

    「彼らは不安になったり、ストレスを感じたりするどころか、『表彰台を獲りたい。やってやろう』という挑戦として受け止めた。その姿勢とチームスピリットが、問題を解決へ導いた大きな要因だった。信念と粘り強さがチームにもたらすものを示す、素晴らしい実例だった」

    それには莫大な専門知識も必要だった。シーズン中盤、スペイン、オーストリア、イギリスの各グランプリで導入された3段階のフロアアップグレードは、大幅な改善をもたらした。これらはダウンフォースを増加させただけでなく、空力的なロバスト性を大きく高め、気流の失速や渦の破綻が起きにくくなり、その結果として一貫性が増し、ドライバーにとって扱いやすいマシンとなった。これによって、ザウバーは有能なミッドフィールド勢となり、ニコ・ヒュルケンベルグがシルバーストンで有名な表彰台を獲得するに至った。

    アウディ F1

    空力のロバスト性を取り戻すための戦い
    これは、細部の限界領域で作業を行う必要があったという点で、非常に印象的だった。アンダーフロア空力の複雑さと不安定さ、そして無数の高エネルギーで相互に影響し合う渦は、極めて大きな課題である。周囲の環境条件、路面の不完全さ、バンプ、その他数え切れない要因が、さらなる困難を生み出す。ザウバーが得たような成果を出すためには、そうした細部の奥深くまで踏み込む必要があった。

    「根本的には、流体物理学と、何が機能して何が機能しないかという話だ」と、2023年9月に技術責任者に就任したキーは語る。

    「私が着任した当初、我々が弱かったのは、私が『空力のロバスト性』と呼んでいる部分、つまり本当に機能するものを作り出す力だった。それを判断するための基準が圧倒的に足りなかった。風洞では相関が取れても、このテーマにはあまりにも多くの要素がある」

    「ツールの使い方、相関の取り方、その他多くの要素、そして前提としている仮定――そうしたものが少し弱く、一部は時代遅れだった。それが、おそらく最も大きな学びであり、その後の開発にも貢献している」

    「非常にポジティブだったのは、バルセロナに向けて正しい方向性を認識できた後、それが非常に迅速にフォローアップされたことだ。2レース後には次のステップがあり、その後さらにもう一段階があった。非常に速いペースで展開していった」

    その後、チームは2026年に最大限集中する必要性から開発を停止したが、マシンを安定したポイント獲得圏内に押し上げることには成功していた。もしザウバーがこれほどの進歩を遂げていなければ、アウディの将来性に対する疑念ははるかに大きなものになっていただろう。これは、このチームが確実に改善を遂げていることを示す、紛れもない証拠である。

    キーによれば、2025年マシンについても、レギュレーションが安定していれば投入できたはずのまったく新しいマシンについても、実現できなかったさらなる改良案が数多くあったという。それは、開発ツールと空力理解において、本物の進歩があったことを示している。ルールは完全に変わったが、基礎となる科学への理解は、2026年プロジェクトを支える土台となっている。

    それに加えて、スタッフ数の増加、昨夏に開設されたイギリスのテクニカルセンター、そしてスイス・ヒンウィルのファクトリー設備を改善するための投資を考えれば、ザウバーが長年にわたる投資不足から追いつきつつあることは明らかだ。

    こうした開発面での進歩と、トラックサイドでの実行力という点でのチームの鋭さの向上が組み合わさり、2023年や2024年と比べて、ザウバーは大きく前進している。

    「それは2つの良い例だ」と、アウディF1プロジェクトの責任者であるマッティア・ビノットはThe Raceに語っている。

    「チームにエネルギーがあり、良い結果を出し始めると、自信はどんどん高まっていく」

    「ジョナサン(ウィートリー、チーム代表)の下でトラックにいるレースチームは、多くの自信をもたらしてくれた。それは非常に重要だ。そしてファクトリーに戻ると、我々は非常に若いチームなので、若いエンジニアたちが好奇心を持ち、勇敢で、学ぶ意欲があり、目標に向かって前進しようとしている姿を見ることを誇りに思っている。素晴らしいことだ」

    この「スペシャルフォース」の成功は、示唆に富んだ一場面である。それ自体が再現可能なものではないが、特にビノット体制の下で、このチームが本物の前進の勢いを築き上げ、F1の頂点へ向かう急な上り坂を登る能力を少なくとも示したことの象徴だ。今後1年も厳しい戦いになるだろうが、昨年トラック内外で示された活力は、2030年の世界選手権争いという野心に向けて、このチームを良い位置に立たせている。

    今日においては非常に野心的な目標だが、わずか12か月前であれば、ばかげていると思われていただろう。そして、それこそが進歩の定義なのである。

  • アウディ、2026年F1マシンで初のエンジン始動に成功

    アウディ、2026年F1マシンで初のエンジン始動に成功

    アウディは、2026年のF1参戦に向けた重要な節目を迎えた。スイス・ヒンウィルのファクトリーにおいて、2026年用シャシーに搭載されたアウディ製パワーユニットが、初めて問題なく始動した。いわゆる「ファースト・ファイアアップ」であり、長年にわたる開発が机上の段階から現実へと移行した瞬間を示す出来事だ。

    実際の初始動は2025年12月19日に行われていたが、今回初めて公にされた。

    ファイアアップは、すべてのF1プロジェクトにおいて極めて重要なチェックポイントであり、各コンポーネントが正しく機能し、エンジンとシャシーの統合が計画どおり進んでいることを確認する意味を持つ。

    アウディにとっては、ドイツ・ノイブルクのエンジン部門、スイス・ヒンウィルのシャシーチーム、そして英国ビスターの新技術拠点という三拠点の協業が、初めて具体的な成果として結実した瞬間でもある。アウディは、この成功がプロジェクト全体が順調に進んでいることを示していると強調する。


    「アウディにとって、F1への参入はブランドの継続的な刷新における重要な要素だ。このマイルストーンは、我々の『Vorsprung durch Technik(技術による先進)』という野心を明確に示すものだ。これはシームレスなチームワークと、卓越性を徹底的に追求してきた結果であり、アウディ全体にとっての指針となると、アウディAGのCEOであるゲルノット・デルナーは述べている。

    「今回のプロジェクトは変革の触媒であり、誇り、アイデンティティ、そして熱意を育んでいる。このファイアアップによって、ヒンウィル、ノイブルク、ビスターの各拠点で取り組んできたチームの努力が真に命を吹き込まれ、アウディのモータースポーツ史における刺激的な新章の始まりを告げるものとなった。」

    また、プロジェクト責任者のマッティア・ビノットも、この瞬間の重みを強調した。

    「ファイアアップは常に特別な瞬間だが、今回は新たな始まりを意味する。これは、我々の集団的な野心と、ノイブルクおよびヒンウィルのチームによる献身的な作業が具体的な形となったものだ。すべてが初めて一つにまとまるのを見ることで、プロジェクト全体に計り知れないエネルギーがもたらされる。我々は、改善への飽くなき意欲に支えられた長い旅路に向けて、確かな基盤を築いた。」

    さらに、チーム代表のジョナサン・ウィートリーは、部門間の連携が正しく機能している証だと語る。

    「今回のファイアアップ成功は、すべての部門にわたる作業と協力体制の質を裏付ける、極めて重要なマイルストーンだ。これはチーム全体を活性化させ、次の開発段階、そしてマシンを初めてトラックに持ち出す瞬間に向けた明確な焦点を与えてくれる。この成果によって、メルボルンで迎える我々の初レースが鮮明に見えてきた。我々は一つのチームとして、この基盤の上に積み重ねていく。」

    この段階を終え、Audi Revolut F1 Teamは次のマイルストーンへと進む。1月20日にはベルリンで2026年シーズンのリバリーが正式に発表され、1月末にはバルセロナで初の合同テストが予定されている。アウディのF1プロジェクトは、いよいよ実戦に向けた最終フェーズへと入った。

    アウディ 2026年のF1世界選手権 フォーミュラ1カー/フォーミュラ1エンジン

  • ニコ・ヒュルケンベルグ「2026年に向けてアウディF1は悪くない位置にいる」

    ニコ・ヒュルケンベルグ「2026年に向けてアウディF1は悪くない位置にいる」

    ニコ・ヒュルケンベルグは、2025年のザウバーに明確な進歩があったと振り返り、2026年に向けて前向きな見通しを示した。チームは2025年シーズン序盤に苦戦したものの、シーズン中盤以降に立て直しを図り、2026年にアウディのワークスチームとして新たな章を迎える土台を築いたという認識だ。

    2025年シーズンを総括し、ヒュルケンベルグは次のように語っている。

    「全体的にはポジティブな気持ちでシーズンを振り返っている。年を通して、スポーツ面でも組織面でも重要なステップを踏めたと思う。2026年に向けて、しっかりとした基盤ができたと感じている。」

    シーズンは決して平坦ではなかった。ヒュルケンベルグは、年初の状況について率直に振り返る。

    「僕たちは期待していたよりも弱いスタートだった。自分たちの本来のレベルやポテンシャルを下回っていたと思う。」

    しかし転機となったのはバルセロナ以降だったという。

    「そこから多くを修正できたし、ポイントを獲得できるレースが増えていった。」

    具体的な成果として、ヒュルケンベルグ自身のシルバーストンでの3位、バルセロナでの5位に加え、チームメイトであるガブリエル・ボルトレトのブダペストでの6位、オーストリアでのダブルポイントフィニッシュを挙げている。

    「カタールは不運だったけれど、全体を見れば、事前に目標としていたものは最終的に達成できたと思う。」

    2026年アウディF1への布石としての2025年
    2025年が2026年への良い土台になっているかと問われると、ヒュルケンベルグは慎重ながらも前向きな姿勢を崩さなかった。

    「そうであってほしいと思っている。今年の進歩は間違いなく本物だった。サーキット上のパフォーマンスだけでなく、チームとしての連携やコミュニケーション、オペレーションの面でもね。」

    特に舞台裏での変化が大きかったと強調する。

    「明確な前進を感じている。それがあるからこそ、僕たちは決して悪くない位置にいると思える。」

    ニコ・ヒュルケンベルグ アウディ F1

    課題は残る──PU部門とヒンウィルの統合
    一方で、プロジェクトがまだ発展途上であることも隠さない。

    「改善できる点は常にある。チームとして、そして人員の面でも、まだ成長の途中だ。」

    とくに重要なテーマとして挙げたのが、パワーユニット部門とヒンウィルのシャシー拠点、そしてレースチームとの完全な統合だ。

    「新しいパワーユニット部門を、ヒンウィルやレースチームと完全に統合することが今は重要だ。」

    2026年は、チームが初めて完全自社開発のパワーユニットで戦うシーズンとなるだけに、この統合は成否を分ける要素となる。

    2026年への過度な期待は禁物
    2026年シーズンの具体的な競争力について、ヒュルケンベルグは慎重な姿勢を貫いている。

    「多くの憶測が飛び交っているけれど、誰も本当のことは明かさない。みんな互いに手の内を隠している。僕自身、これ以上の憶測を加えたくはない。」

    前向きな感触を持ちながらも、現実的な姿勢を忘れてはいない。

    「僕たちは頭を下げて、ひたすら努力を続け、できる限り最高のパッケージを作る必要がある。最終的に、どこにいるのかは時間が教えてくれるだろう。」

    2026年、Audi Revolut F1 Teamとして新たなスタートを切るチームに対し、ヒュルケンベルグは静かな自信と現実的な警戒心の両方を持ってシーズンを見据えている。

  • アウディF1、2拠点体制に自信 レッドブルを成功例に「距離は障害ではない」

    アウディF1、2拠点体制に自信 レッドブルを成功例に「距離は障害ではない」

    2026年からF1に参戦するアウディは、スイス・ヒンウィルとドイツ・ノイブルクという2拠点体制でプロジェクトを進める。この体制について、距離が開発の障害になるのではないかという見方もあるが、アウディF1プロジェクト責任者のマッティア・ビノットは、その懸念を明確に否定している。

    ビノットは、距離の問題に対する「成功例」としてレッドブル・レーシングを挙げた。

    近年タイトルを獲得してきたレッドブル・レーシングは、パワーユニット関連の拠点が日本、シャシー開発はイギリスと、アウディ以上に離れた体制で成功を収めてきたという。

    「2社間の距離が問題になるとは思っていない。周囲を見渡せば、フェラーリを除くほとんどのチームは、パワーユニットとシャシーで異なる拠点を持っている」とビノットはRacingNews365の独占インタビューで語った。

    レッドブル・レーシングの成功が示す“距離の克服”
    ビノットは、レッドブル・レーシングの事例を具体的に引き合いに出した。

    「レッドブル・レーシングは近年、パワーユニット拠点が日本、シャシー拠点がイギリスという体制でタイトルを獲得してきた。彼らにとってそれが成立し、成功しているのであれば、ヒンウィルとノイブルク間の約3時間の移動が障害になることはない」

    アウディは、旧ザウバーの本拠地であるヒンウィルをシャシー開発の拠点とし、新設されたノイブルクの施設で自社パワーユニットを開発する。構造的には、すでにF1で成功してきたモデルに近いと言える。

    アウディ F1

    最大の課題は“スピード”
    現時点でのプロジェクトの進捗について問われると、ビノットは率直にこう答えた。

    「チームが発展しているやり方には満足している」

    ビノットによれば、アウディがザウバーを引き継ぎF1参戦を決めて以降、さまざまな困難があったが、その中でも最も大きく、今も続いている課題は「意思決定と開発のスピード」だという。

    「ザウバーは、これまで素晴らしいプライベートチームだった。だが目標もリソースも、これから我々が目指すものとは異なっていた」

    「成功するチームになるために重要なのは開発のスピードだ。すべてはスピードであり、そこを最も強く変えようとしている」

    外からは見えない成果
    ビノットは、短期間で得られた成果に強い手応えを感じていると明かした。

    「数カ月で達成されたことを見ると、非常に満足している。これは何百万人ものファンには見えないが、ファクトリーにいる我々には見えている」

    「彼らは優秀で、有能な人たちだ。目標が明確になり、全体が動き出せば、信じられないほどの成果を出している」

    技術や設備よりもまず“速さ”
    最後にビノットは、課題を整理しつつも、最優先事項を再確認した。

    「もちろん技術も、キャパシティも、ツールも課題として挙げられる。長いリストになるだろう。だが私にとって、最初に来るのはスピードだ」

    アウディは、レッドブル・レーシングの成功例を道しるべにしながら、2026年F1新時代に向けて“速さ”の改革を進めている。距離は問題ではなく、いかに迅速に動けるか。その一点が、プロジェクトの成否を左右することになりそうだ。