カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • アストンマーティンF1苦境の元凶は5年前 元代表「成功を急ぎすぎた」

    アストンマーティンF1苦境の元凶は5年前 元代表「成功を急ぎすぎた」

    アストンマーティンF1の元チーム代表オットマー・サフナウアーが、現在のチーム低迷の原因について厳しい見解を示した。

    サフナウアーは、現在の苦境は2026年シーズンの失敗だけではなく、約5年前から続く組織運営の問題に起因すると主張。ローレンス・ストロール率いる体制が「成功を急ぎすぎた」ことで、継続的に競争力を築くために不可欠な組織の安定性を失ったと指摘した。

    「成功を急ぎすぎたことが混乱の始まり」
    フォース・インディア時代からレーシングポイントを経て、2022年初頭までチームを率いたサフナウアーは、『High Performance Racing』ポッドキャストで司会のジェイク・ハンフリー、元フェラーリのエンジニアであるロブ・スメドレーと対談。その中で現在のアストンマーティンについて率直な評価を下した。

    アストンマーティンは近年、新ファクトリーや最新風洞施設の建設、2026年からのホンダとのワークスパートナーシップ、さらにエイドリアン・ニューウェイの招聘など、多額の投資を続けてきた。

    しかし、2026年シーズンは開幕から苦戦が続き、コンストラクターズランキングでも下位に低迷している。

    現在の問題はいつ始まったのかと問われたサフナウアーは、迷うことなくこう答えた。

    「ローレンスはもう8年間チームを所有している。5年前までさかのぼる必要がある」

    「私に言わせれば、この混乱はF1で成功を急ぎすぎたことから始まっている」

    「成功を急ぎすぎて忍耐を欠けば、人材の入れ替わりも早くなる」

    「そして最も成功しているチームというのは、組織が安定しているチームなんだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「勝つチームには人材の継続性がある」
    サフナウアーは、アストンマーティン最大の問題は資金や設備ではなく、人材が定着しない組織運営にあると分析した。

    「今のメルセデスにはトト・ヴォルフの下で人材の安定がある。レッドブル・レーシングが勝っていた頃もそうだったし、ロス・ブラウン時代のフェラーリも同じだった」

    サフナウアーは、トップチームはいずれも長期間にわたって中核メンバーが維持されていた点を強調。アストンマーティンは十分な資金や最新設備、そして高い野心を備えている一方で、本来時間をかけて築くべき組織づくりを短期間で実現しようとしたことが現在の苦境につながったとの見方を示した。

    ホンダとのワークス体制やニューウェイ加入など、新たな体制づくりが進むアストンマーティンだが、サフナウアーは設備投資だけでは成功は得られず、継続性と組織の安定こそがF1で勝利を収めるための最も重要な要素だと訴えている。

  • アストンマーティンF1 ニューウェイがアロンソ残留に自信「関係は続いていく」

    アストンマーティンF1 ニューウェイがアロンソ残留に自信「関係は続いていく」

    アストンマーティンF1のエイドリアン・ニューウェイ代表は、今季限りで契約満了を迎えるフェルナンド・アロンソについて、2027年以降もチームとの関係は続くとの見方を示した。

    ただし、その発言は必ずしもF1ドライバーとしての残留を意味するものではない。アロンソ自身は夏休み中に将来を決断すると明かしており、F1以外のカテゴリーへの参戦や、アストンマーティンで別の役割を担う可能性も排除していない。

    ニューウェイ「アロンソとの関係は続いていく」
    2023年には表彰台争いを繰り広げたアストンマーティンだったが、その後は競争力が低下。2026年シーズンも苦戦が続き、アロンソはサマーブレイク時点で獲得ポイントはわずか1点にとどまっている。

    さらに、2026年導入の新パワーユニット規則についても繰り返し不満を口にしており、その去就が注目を集めている。

    ハンガリーGPでアロンソの将来について問われたニューウェイは、引き続きチームにとって欠かせない存在だと強調した。

    「もちろん、フェルナンドは素晴らしいドライバーだ」

    「彼はフィードバックとドライビング能力の両面でチームに非常に大きなものをもたらしてくれる」

    「だから我々にとって彼は非常に重要な存在だ。フェルナンドはこのチームでの時間を楽しんでいると確信しているし、我々の関係も今後も続いていくと思っている」

    F1継続とは限らないニューウェイの発言
    もっとも、「関係は続いていく」というニューウェイの言葉は、アロンソが2027年もF1ドライバーとして残留することを明言したものではない。

    実際、アロンソはオーストリアGPの週末、自身の将来について夏休み中に決断する考えを示す一方で、F1以外のカテゴリーでレースを続ける可能性にも言及していた。

    「まだ何も決めていない。おそらく8月の夏休み中に考えて、休み明けのザントフォールトかモンツァあたりで来年どうするか決めると思う」

    「レースは続けるつもりだ。自分はまだ速いと感じているし、モチベーションもある。この仕事が大好きだから、競争力がないとも、レースを楽しめなくなったとも感じていない」

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    F1を離れてもアストンマーティンへの献身は変わらない
    アロンソは一方で、F1に残るかどうかとアストンマーティンへのコミットメントは別問題だと説明している。

    「F1でレースをするかどうかは別の話だ」

    「カテゴリーそのものを楽しめること、パワーユニットや今のレギュレーションで走る感覚を楽しめることが必要なんだ」

    「考えなければならない要素はたくさんあるし、モータースポーツには多くの選択肢がある」

    それでも、アストンマーティンとのプロジェクトへの思いは変わらないという。

    「それでも僕はF1が大好きだ。このチームにも強くコミットしている。たとえレースをしなくても、このチームやプロジェクトへの献身は何も変わらない」

    「2023年にある程度の成功を収め、シルバーストンの新ファクトリーや組織改革、ホンダとのパートナーシップ、アラムコとの新燃料開発など、多くのことを一緒に築いてきた」

    「このチームはいずれ必ず成功し、世界選手権を争うようになると確信している」

    「それが来年なのか、3年後なのか、8年後なのかは分からない。それがドライバーとしての僕の時間的な限界かもしれない。でも、僕はドライバーとしてであれ、そうでなくても、アストンマーティンとともに世界王者になりたい。その思いは変わらない」

    WEC転向という現実的なシナリオも
    ニューウェイの発言とアロンソ本人のコメントを合わせて考えると、2027年以降もアストンマーティンとの関係を維持しながら、F1以外のカテゴリーへ活動の軸足を移す可能性も現実味を帯びている。

    アストンマーティンは2025年から「ヴァルキリー」でFIA世界耐久選手権(WEC)のハイパーカークラスと北米IMSAシリーズ最高峰クラスに参戦しており、アロンソは2018年、2019年にトヨタでル・マン24時間レースを制した実績を持つ。

    F1での現役続行だけが選択肢ではない今、アロンソが夏休み中に下す決断は、アストンマーティンの将来構想にも大きな影響を与えることになりそうだ。

  • ホンダF1 渡辺康治 アストンマーティンに慎重姿勢「ハンガリーはコース特性も影響」

    ホンダF1 渡辺康治 アストンマーティンに慎重姿勢「ハンガリーはコース特性も影響」

    アストンマーティンF1はハンガリーGPで16項目に及ぶ大規模アップグレード版「AMR26B」を投入し、今季ここ数戦と比べて大きく競争力を改善した。しかし、ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、この結果を過大評価すべきではないとの見方を示した。

    一方で、ホンダとアストンマーティンの開発体制については着実な前進を強調。ザントフォールトで投入予定の新型パワーユニットとさらなる車体アップデートによって、次のステップへ進むことに期待を寄せている。

    「ハンガリーGPはサーキット特性も影響した」
    ハンガリーGPでは、16項目の改良が施されたAMR26Bをフェルナンド・アロンソがQ2進出へ導き、決勝でもランス・ストロールが13位、アロンソが14位でフィニッシュした。

    シルバーストンやスパ・フランコルシャンといった高速サーキットで苦戦していたアストンマーティンにとって、明らかな前進が見られた週末だった。

    しかし、渡辺康治社長は、その改善にはコース特性も大きく関係していると語る。

    「サーキットの特性による部分もあります」

    ハンガロリンクは空力性能やシャシー性能の影響が大きい低速・中速主体のコースであり、高速区間の多い前戦までとは異なる条件だった。

    そのため、今回の結果だけでマシンの完全復活を判断するのは時期尚早との考えを示した。

    ホンダとアストンマーティンの連携は着実に前進
    慎重な姿勢を見せる一方で、渡辺社長はホンダとアストンマーティンの協力体制については確かな手応えを感じているという。

    現在は車両全体のパフォーマンスを向上させるための共通認識がチーム内で形成されつつあり、両者が同じ方向を向いて開発を進められていることを成果として挙げた。

    マシン全体としてどのように性能を引き上げるべきかについて、「明確な共通認識」が構築されつつあり、その点で着実な改善が進んでいると評価した。

    ホンダ・レーシング

    次の主役はホンダ新型パワーユニット
    ハンガリーGP後には、改良型ホンダ製パワーユニットを搭載したAMR26がハンガロリンクでフィルミングデーを実施。新エンジンとアップグレード版シャシーが初めて組み合わされた。

    この改良型パワーユニットは、夏休み明け最初の一戦となるオランダGPでレースデビューする予定だ。

    渡辺社長はアップデートについて、パワーユニットが中心になるとしながらも、車体との一体開発が重要だと説明した。

    「今回のアップデートはパワーユニットが中心になります。しかし、変更を行う際には一つの要素だけを単独で開発することはありません。常に車体とパワーユニットを一体として開発しています」

    アストンマーティンのエイドリアン・ニューウェイも、ザントフォールトではホンダの新パワーユニットに加え、AMR26への追加アップデートを投入することを明らかにしている。

    ザントフォールトが真価を測る重要な一戦に
    今回のハンガリーGPは、アストンマーティン復調への明るい兆しを示した一方で、その評価には慎重さも必要であることを渡辺社長は強調した。

    だからこそ、ホンダの新型パワーユニットと追加アップデートが揃って投入されるザントフォールトは、アストンマーティン・ホンダが本当に前進したのかを判断する重要なレースとなる。

    渡辺社長も「その意味でも、次のザントフォールトでは確かな結果を残したい」と意気込みを語っており、夏休み明け初戦は今後の巻き返しを占う大きな試金石となりそうだ。

  • アストンマーティンF1躍進の真の収穫「相関性が正しいことが最大の成果」

    アストンマーティンF1躍進の真の収穫「相関性が正しいことが最大の成果」

    アストンマーティンは2026年F1ハンガリーGPで投入した大規模アップデート「AMR26B」によって、シーズン前半とは見違えるような競争力を披露した。フェルナンド・アロンソは今季初のQ2進出を果たし、決勝でもアルピーヌに迫るレースペースを見せるなど、チームは確かな前進を印象づけた。

    しかし、チームアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサは、今回の週末で得られた最大の成果は順位やラップタイムではないと強調する。それは、今後の開発を左右する「相関性」が正しかったことだった。

    AMR26Bは期待通りの前進を実現
    ハンガリーGPで投入された新仕様のAMR26Bは、アストンマーティンに大きな変化をもたらした。

    チームはキャデラック、ウィリアムズ、ハースを上回る競争力を示し、アルピーヌとも互角に戦える位置まで復調。レーシングブルズやアウディにはまだ及ばないものの、長く苦しんできたシーズン前半から脱却する第一歩となった。

    DAZNスペインで解説を務めたデ・ラ・ロサは、予選終了後の時点で今回のアップデートを高く評価していた。

    「シーズン序盤を考えれば、このアップデートを持ち込めたこと自体が非常にポジティブだ。今後へ向けても希望が持てる」

    さらにアロンソについても手応えを語った。

    「フェルナンドはマシンバランスにずっと満足している。非常に堅実な第一歩だ。まだアップデートの性能をすべて引き出せてはいないが、ガレージでは『Q2には進める』という感触があった。フェルナンドならラップをまとめられると分かっていた」

    また、トップとの差が大きく縮まったことも重要だと指摘した。

    「見るべきなのは最速タイムとの差だ。トップとの差が約2秒まで縮まったことは非常に前向きな材料だ。これまでどれほど苦しんできたかを考えれば、大きな前進と言える」

    決勝では予選以上の競争力を発揮
    デ・ラ・ロサは、予選以上に決勝の内容を高く評価している。

    「予選でも大きく前進したが、決勝はさらに良かった。レースペースの方が予選より優れていた」

    アストンマーティンは13位と14位でレースを終えたものの、その内容には十分な価値があったという。

    「13位と14位という結果だったが、それは実力によるものだった。実際に自分たちより速かったマシンで完走できなかったのはオスカー・ピアストリだけだった。ほかはタイヤのデグラデーションや戦略で前に出られただけだ。これは非常に期待が持てる」

    また、今回投入した空力パッケージではロングランデータが不足していたことも明かした。

    「この空力パッケージでロングランをしていなかったので、多くの疑問があった。しかし信頼性も良く、タイヤのデグラデーションも良かった。この部分も改善されたようだ」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    デ・ラ・ロサが最も重視した「相関性」
    デ・ラ・ロサが何より重要だと強調したのは、アップデートが期待通りの性能を発揮したことだった。

    「僕たちは再びレースを戦えるチームになりつつある。そして非常に重要なのは、今回のアップデートが僕たちの期待通りの効果を発揮したことだ」

    その理由は、シミュレーションと実車の一致にあるという。

    「つまり、シミュレーションと実車の相関性が正しいということだ。それは単なる良い感触ではない。風洞やシミュレーター、CFDで今後試すものに対して大きな自信を与えてくれる。これは非常に価値がある。過去には必ずしもそうではなかったからだ」

    2027年へ向けた最大の財産
    F1では風洞やCFD、シミュレーターで得られたデータが実車で再現されなければ、アップデートの方向性そのものを見失ってしまう。

    アストンマーティンは2026年前半、その相関性の低さに苦しみ、開発効率が大きな課題となっていた。しかしAMR26Bでは設計段階で予測した性能がサーキットでも再現され、開発ツールへの信頼を取り戻した。

    これは単にハンガリーGPで競争力が向上したというだけではない。今後投入するアップデートの精度を高め、2027年マシンの開発にも自信を持って取り組める環境が整ったことを意味する。

    デ・ラ・ロサが「最大の成果」と表現したのは、まさにこの点だった。AMR26Bは速さだけでなく、アストンマーティンが再び正しい方向へ開発を進められることを証明した一台となった。

  • ホンダ・レーシングがコミケ初出展 アストンマーティンF1ショーカーも展示

    ホンダ・レーシングがコミケ初出展 アストンマーティンF1ショーカーも展示

    HRC(ホンダ・レーシング)は、8月15日・16日に東京ビッグサイトで開催される「コミックマーケット108」に初出展することを発表した。

    世界最高峰のモータースポーツで培ってきた挑戦の精神をより多くの人に届けることを目的とし、ビジョンクリエイターの河森正治氏とのコラボレーションプロジェクト「情熱駆動」を中心に、モータースポーツとエンターテインメントを融合したブースを展開する。

    会場となる南3・4ホールのNo.2231ブースでは、アストンマーティンF1のショーカー展示をはじめ、河森氏デザインの特別仕様シミュレーター「Honda eMS SIM-01」の初公開・販売、VTuber・戌神ころねとのコラボグッズなど、多彩なコンテンツが用意される。

    アストンマーティンF1ショーカーを展示
    ブースでは、ホンダ製パワーユニット「RA626H」を搭載するアストンマーティンF1のショーカー(AMR26)を展示。2026年シーズンからホンダとパワーユニットパートナーシップを結ぶアストンマーティンのF1マシンを間近で見ることができる。

    アストンマーティンF1ショーカー

    1300万円の特別仕様シミュレーターを初公開
    目玉企画の一つとなるのが、河森正治氏がデザインを手掛けた世界に1台だけの特別仕様シミュレーター「情熱駆動 Honda eMS SIM-01」だ。

    HRCが本物のフォーミュラカーをベースに製作した筐体へ、コミックマーケット108開催を記念したスペシャルリバリーを施したもので、会場で初公開されるほか、税別1300万円で販売される。

    また、「Honda eMS SIM-01」の振動ステージでは、レーシングカー特有の振動やサウンドを体感できる体験イベントも実施される。

    河森正治氏やVTuberとのコラボ企画も
    「情熱駆動」プロジェクトでは、Honda/HRCのモータースポーツへの情熱を河森氏ならではの世界観で描いた新ビジュアルを公開。会場限定グッズも販売される。

    さらに、Honda eMSと人気VTuber・戌神ころねの描き下ろしコラボビジュアルも初公開。こちらもコミックマーケット108限定グッズとして販売される予定だ。

    来場者向けには、Honda公式LINEとHonda Racing公式Xをフォローした人を対象に、鈴鹿サーキットで人気の土産「タイヤカスさきいか」をプレゼントするキャンペーンも実施。アンケート回答者には限定スマートフォン壁紙も配布される。

    河森正治 × ホンダ・レーシング戌神ころね × ホンダ・レーシング

    トークステージも開催
    会場では「HRC PASSION DRIVEN STAGE」も実施される。

    8月15日は「REAL × CYBER ~Honda/HRCの情熱とは?~」をテーマに、河森正治氏、TVアニメ監督の福田己津央氏、HRC代表取締役社長の渡辺康治氏が登壇。

    8月16日は「REAL × ENTERTAINMENT ~レースがつなぐ情熱~」をテーマに、HRCレーシングドライバーの佐藤蓮と声優の和泉風花が出演し、モータースポーツとエンターテインメントの魅力について語る。

    今回のコミックマーケット初出展は、HRCがモータースポーツファンだけでなく、アニメやゲーム、VTuberなど幅広いカルチャー層へアプローチする新たな取り組みとなる。展示や体験コンテンツを通じて、HondaとHRCが掲げる「情熱駆動」の世界観を発信する。

  • アストンマーティンF1 ニューウェイがAMR27開発着手「生産工程を大幅前倒し」

    アストンマーティンF1 ニューウェイがAMR27開発着手「生産工程を大幅前倒し」

    アストンマーティンF1のエイドリアン・ニューウェイ代表は、2027年マシン「AMR27」の本格的な設計作業がすでに始まっていることを明らかにした。2026年型AMR26で経験した開発の遅れを繰り返さないため、生産開始を大幅に前倒しする方針を示している。

    また、2027年のレギュレーション変更では、フロア前端部の設計変更が最も重要なポイントになると指摘し、新たな空力コンセプトへの期待を語った。

    AMR27は基本設計の段階へ
    ハンガリーGPでは16項目に及ぶ大規模アップグレードを投入したアストンマーティンF1。改良型「AMR26B」によりフェルナンド・アロンソは今季初めてQ2進出を果たし、チームは復調の兆しを見せている。

    その一方で、ニューウェイはすでに2027年マシン「AMR27」の開発へ着手していることを明かした。

    「はい。現在は初期の研究段階にある」

    「今はエンジンをホイールベース内のどこに配置するか、シャシーをどう配置するかなど、長いリードタイムが必要となる基本設計を決めているところだ」

    ニューウェイによれば、現在検討しているのはフロント・リアサスペンションのコンセプトやギアボックス形状など、空力性能に大きな影響を及ぼす要素だという。

    「フロントとリアのサスペンションコンセプト、ギアボックスの形状など、空力に大きく影響するあらゆる要素を検討している」

    2026年の反省から開発を前倒し
    ニューウェイは以前、2026年マシンの開発は大きく出遅れていたと説明している。

    AMR26の風洞モデル投入は2025年4月と、ライバル勢より約4か月遅れだった。また、ホンダ製パワーユニットが抱えていた問題の深刻さをチームが把握したのも2025年11月になってからだったという。

    その経験を踏まえ、AMR27では設計から生産への移行を大幅に早めることを最優先課題としている。

    「最大の目標は、2027年マシンを今年よりもはるかに早い段階で生産工程へ引き渡すことだ」

    「そうすれば今年のように全員へ大きなプレッシャーをかけずに済む」

    「重量や剛性、細部の作り込みまで、より効果的に最適化できるようになる」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    2027年規則で最大の焦点はフロア前端
    2027年にはパワーユニット規則とシャシー規則の両方が見直される。

    パワーユニットでは内燃機関の比率が引き上げられ、燃料使用量も5%増加。エネルギー回生やデプロイメントにも細かな変更が加えられる予定だ。

    一方、ニューウェイが最も重要視しているのはシャシー側の変更だ。

    「最も大きな変更は、フロア前端にある『ビブ』あるいは『ティートレー』と呼ばれる部分だ」

    この部分の前縁は約300mm後方へ移される予定で、それによってマシン前部をより低い位置で走らせることが可能になるという。

    「これによって、まったく異なる空力特性が生まれる」

    さらに、リアウイングはダウンフォースを減らすため高さが抑えられ、フロア前端の『ベアクロー』と呼ばれるフィン形状も5本から3本へ削減される。

    加えて、エキゾースト周辺やリアウイング周辺で各チームが活用してきた空力処理も禁止される見込みだ。

    「私たちにとって最も重要なのは、このフロア前端の変更だ。すべてのチームに新しい空力上の課題を与えることになる」

    急成長した組織に自信
    ニューウェイは、この1年間でアストンマーティンF1が急速に組織力を高めたことが、2027年レギュレーション変更への最大の武器になると考えている。

    2026年は新体制の立ち上げやホンダとの初年度という難しい状況に直面したが、その経験が今後の開発力向上につながるという見方だ。

    「この12か月で、私たちはチームとして急速に成長せざるを得なかった」

    「1年前とは比べものにならないほど成熟した組織になっている」

    「だからこそ、これから先に待っているものについて非常に楽観的に考えている」

    【関連】
    ・アストンマーティンF1再建へ「ニューウェイに18カ月与えよ」 元フェラーリ技術者

  • セルジオ・ペレス アストンマーティンF1放出の真相「このスポーツに忠誠心はない」

    セルジオ・ペレス アストンマーティンF1放出の真相「このスポーツに忠誠心はない」

    セルジオ・ペレスが、現在のアストンマーティンF1チーム誕生の裏側と、自身がチームを離れることになった経緯について振り返った。

    ペレスは、財政危機に陥っていたフォース・インディアの救済に重要な役割を果たしたにもかかわらず、チームがアストンマーティンへと生まれ変わるタイミングで放出された。しかし、セバスチャン・ベッテルが市場に出た状況を理解しており、「このスポーツに忠誠心はない」と受け止めたという。

    フォース・インディア救済に貢献も構想から外れる
    現在のアストンマーティンF1チームは、フォース・インディア、レーシングポイントを経て現在の体制へと発展した。

    2018年、フォース・インディアは深刻な経営難に直面していた。ペレスはチームを清算から守るため、自ら管財手続き入りを申し立てるという異例の行動を取り、その結果、ローレンス・ストロール率いるコンソーシアムによる買収が実現した。

    2019年からチームはレーシングポイントとなり、ペレスはランス・ストロールとコンビを組んだ。そして2021年、チームはアストンマーティンとして新たなスタートを切ることになる。

    しかし、そのプロジェクトにペレスの居場所はなかった。

    「ベッテルが加入するのは理解できた」
    『High Performance Podcast』で当時を振り返ったペレスは、長期的にチームへ残るつもりだったと明かした。

    「難しかったよ」

    「僕はチームと3年契約を結んでいたし、オプションもあった。将来はずっとそのチームにいるものだと思っていた。人生のほとんどを過ごしたチームだったし、ローレンスがチームを買収する手助けもした」

    「だから、ローレンスやランスと一緒に、そのプロジェクトの一員になれると本気で思っていた」

    しかし、その状況は4度のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルがフェラーリを離れることになったことで一変した。

    「でも、セバスチャンがフリーになった。4度のワールドチャンピオンが市場に出たんだ。このスポーツはそういうものだと理解していたし、ローレンスにとって非常に魅力的な存在になることも分かっていた」

    「彼にはオプションがあった。でも更新せず、セバスチャンを選んだ」

    「このスポーツに忠誠心はない」と実感
    チームから外されたことに失望はしたものの、ペレスは個人的な恨みを抱くことはなかったという。

    「その時に思ったんだ。『このスポーツに忠誠心はない』ってね」

    「個人的に受け止めることはなかった。今でもアストンの皆とは素晴らしい関係を築いている」

    ペレスは、この経験によって気持ちが折れることはなかった。

    2020年シーズン終盤のサクヒールGPでF1初優勝を飾ると、その活躍が評価され、2021年からレッドブル・レーシングへの移籍が決定した。

    セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)とセルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング)

    「レッドブルだけはないと思っていた」
    当時の心境について、ペレスはレッドブル加入だけは想像していなかったと語る。

    「だから、『じゃあ自分にできることは何だろう』と考えた。自分にできるのはコース上で結果を出すことだけだった」

    「翌年にいいチャンスがあればつかむし、なければ1年休んで戻ってくればいいと思っていた。いくつか話はあったけれど、翌年以降のものばかりだった」

    「そしてシーズン終盤に優勝して、レッドブルから声が掛かった」

    「僕が唯一『絶対に乗ることはない』と思っていたチームがレッドブルだった。あのチームはいつも育成ドライバーを起用していたからね。でも最終的にはレッドブルで走ることになった」

    ペレスはレッドブルで5勝を挙げた後、2024年シーズン限りでチームを離脱。2026年には新規参戦したキャデラックF1からグリッドへ復帰を果たしている。

  • アストンマーティンF1 デ・ラ・ロサがAMR26Bの改良点を徹底解説

    アストンマーティンF1 デ・ラ・ロサがAMR26Bの改良点を徹底解説

    アストンマーティンF1のブランドアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサが、ハンガリーGPで投入された大規模アップグレード仕様「AMR26B」について、チーム公式動画で各部の変更点を詳しく解説した。

    今回のアップグレードはFIAへの申告でも16項目に及ぶ変更が確認されているが、デ・ラ・ロサは実際にマシンの前に立ち、フロントからリアまで順番に新パーツを紹介。「ほとんどが空力面の変更だ」と説明し、それぞれの狙いについて語った。

    フロントウイングとノーズは完全新設計
    デ・ラ・ロサは、まずフロントウイングから解説を始めた。

    「ハンガリー、ブダペストで投入したAMR26の変更点を見ていこう。非常に多くの改良が施されているが、そのほとんどは空力面の変更だ」

    「フロントウイングはノーズとともに完全に新しくなった。メインプレーンもフラップもすべて新設計だ。エンドプレートも新しくなっていて、フットプレートだけでなくダイブプレーンも変更されている」

    ノーズも従来より細く設計され、ブレーキダクトも新形状となった。

    「ノーズはさらに細くなっている。そしてブレーキダクトも変更され、最適化された。これによってタイヤ内側を流れる空気がよりクリーンに通過できるようになっている」

    フロアからサイドポッドまで全面的に見直し
    続いてデ・ラ・ロサは、マシン中央部の変更点を説明した。

    「フロアもすべて新しくなった。ウェイクボードは以前より短くなり、ジオメトリーも変更されている。さらにフロア入口にあるフェンスも完全に新しい形状になった」

    さらに細かな部分にも手が加えられている。

    「ミラーとシャシーをつなぐ取り付け部分にも小さな変更が加えられている」

    サイドポッド周辺も空力効率を高めるために変更された。

    「サイドポッドのラジエーター吸入口も変更された。より細くなり、下側のリップは長くなっている」

    ボディワークについても見た目以上に大きな変更があるという。

    「ボディワーク自体も違う。全体の形状は似ているが、ご覧のようにコンパクトになっている。非常にタイトなパッケージングとすることで、より大きなアンダーカットを実現している」

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    リアタイヤ前方の空力処理を重点的に改善
    デ・ラ・ロサは、今回のアップグレードで特に重要な開発エリアとしてリアタイヤ前方を挙げた。

    「フロア後半部、そしてリアタイヤへ向かうこの部分はすべて変更されている。このエリアには非常に多くの作業が施された」

    その理由についても説明している。

    「ここはフロアをしっかりシールし、リアタイヤが発生させる乱れた空気がディフューザーの下へ入り込まないようにするため、とても重要な場所なんだ」

    リアセクションではブレーキダクトやサスペンションも改良された。

    「リアブレーキダクトとリアサスペンションのアームも見直され、不要な乱れを取り除いて改善された。目的はディフューザー上部へよりクリーンな気流を送り込むことだ」

    ディフューザーとリアウイングも全面刷新
    リアエンドでは、ダウンフォースを生み出す主要パーツも一新された。

    「ディフューザー自体も完全に新しくなっている」

    リアウイングについても従来とは設計思想が変わっているという。

    「リアウイングも新しく、すべてのエレメントが変更された。メインコードは長くなり、フラップは短くなっている。エンドプレートも変更され、内側の処理はよりクリーンになった。ビームウイングも新しくなっている」

    「ポテンシャルは大きいが最適化が必要」
    最後にデ・ラ・ロサは、これほど大規模なアップグレードでは性能を引き出すまでに時間が必要だと強調した。

    「全体として見ると、16か所ものパーツが完全に新しくなった。だから、これらすべての変更を最適化するために、これから多くの作業を進めなければならない」

    「ドライバーが快適に走れるように仕上げることが重要だ。このアップグレードには非常に大きなポテンシャルがあるが、その能力を引き出すためには膨大な作業が必要になる」

    「だからこそ、その作業をできるだけ早く始めなければならない」

    ハンガリーGPで投入されたAMR26Bは、アストンマーティンにとって2026年シーズン最大規模となるアップグレードだった。デ・ラ・ロサの説明からも分かるように、単なるフロントウイングやフロアの改良ではなく、車体全体を一体の空力パッケージとして設計し直した包括的な進化となっており、今後はそのポテンシャルを引き出すためのセットアップとデータ収集が重要なテーマとなる。

  • アストンマーティンF1再建へ「ニューウェイに18カ月与えよ」 元フェラーリ技術者

    アストンマーティンF1再建へ「ニューウェイに18カ月与えよ」 元フェラーリ技術者

    アストンマーティンF1は、2026年シーズン前半の苦戦を受けて大規模な体制改革を進めている。しかし、元フェラーリのエンジニアであるロブ・スメドレーは、オーナーのローレンス・ストロールに対し、エイドリアン・ニューウェイ率いる技術陣へ十分な時間を与えるべきだと訴えた。

    ニューウェイが設計したAMR26は期待された結果を残せず、開幕から11戦でチームが獲得したポイントはわずか1点にとどまった。車体性能だけでなく、ホンダ製パワーユニットの信頼性も苦戦の一因となっている。

    16項目アップデートで再建を開始
    ハンガリーGPでは、ニューウェイが主導した16項目に及ぶ大規模アップグレードを投入し、アストンマーティンは巻き返しへの第一歩を踏み出した。

    だが、スメドレーはチームが真に成果を上げるためには、技術陣を頻繁に入れ替えるのではなく、安定した環境を維持することが不可欠だと強調する。

    ポッドキャスト『High Performance』でスメドレーは次のように語った。

    「もう手を出さないことだ。エイドリアンは何度ワールドチャンピオンを獲得した? 18回だったかな(※実際には26回)。能力があることは証明済みだ」

    「彼の周りには優秀な男女のエンジニアが集まっている。彼らをまとめ上げ、同じ方向へ導くのがニューウェイの仕事だ」

    「だから余計なことはせず、そのまま任せるべきだ。そして評価するのは18カ月後でいい」

    頻繁な人事刷新への警鐘
    アストンマーティンは、ローレンス・ストロールが2018年にチームを買収して以来、チーム代表や技術部門を中心に幹部人事がたびたび見直されてきた。

    現在はニューウェイに加え、フェラーリから加入したエンリコ・カルディレも技術組織の再建に取り組んでおり、チーム全体を同じ方向へ導く体制づくりが進められている。

    スメドレーは、ここで再び組織変更を繰り返せば、その努力が無駄になる可能性があると警告した。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「安心して挑戦できる環境」が必要
    元アストンマーティン代表のオトマー・サフナウアーも、スメドレーの意見に同調した。

    「仕事における心理的安全性を与えなければならない。そうすれば、自分の職を失う恐怖を感じることなく、必要なリスクを取れるようになる」

    さらに司会のジェイク・ハンフリーは、現在のチームにはその環境が十分に整っていないとの見方を示した。

    「ここ4〜5年で多くの人が職を失ってきたという事実を見れば、心理的安全性があるとは思えない」

    「物事がうまくいかなければ、その代償を払うのは現場で働く人間だからだ」

    再建の成否は“時間”が握る
    ニューウェイ加入、カルディレ招聘、そしてハンガリーGPで投入された大規模アップグレードにより、アストンマーティンは本格的な再建フェーズへ入った。

    一方で、元フェラーリと元アストンマーティンの両経験者が口を揃えて指摘したのは、「組織を落ち着かせること」の重要性だった。2026年シーズン後半から2027年にかけて、ローレンス・ストロールが技術陣を信頼し、十分な時間を与えられるかどうかが、チーム再建の成否を左右する重要なポイントとなりそうだ。

  • アストンマーティンF1内部試算 メルセデスPUならQ3進出可能だった

    アストンマーティンF1内部試算 メルセデスPUならQ3進出可能だった

    アストンマーティンF1は、ハンガリーGPで投入したエイドリアン・ニューウェイ設計による新型シャシーによって今季初のQ2進出を果たした。一方でチーム内部では、ホンダ製パワーユニット(PU)の性能不足が依然として最大の課題であり、もしメルセデス製PUを搭載していればQ3進出も十分可能だったとの試算を行っているという。

    オランダGPではホンダが改良型PUを投入する予定で、その効果が後半戦の戦いを左右する重要な鍵となりそうだ。

    ホンダPUは1周あたり約1.5秒遅れと試算
    BBC Sportによると、アストンマーティンF1は内部分析で、現在のホンダ製PUは「最良のパワーユニットと比較して1周あたり約1.5秒遅れている」と評価しているという。

    2026年型マシンAMR26BはハンガリーGPで大規模アップデートを受け、フェルナンド・アロンソが今季初めてQ2進出を達成。決勝でもランス・ストロールが13位、アロンソが14位と、チームにとって今季最高の総合成績を記録した。

    シャシー面では大きな前進を遂げたものの、依然としてPU性能が足かせになっているというのがチームの見立てだ。

    なお、FIAはマイアミGP後の評価でレッドブル・フォードの内燃エンジン(ICE)を最高水準と位置付けた一方、メルセデスF1代表トト・ヴォルフは、ハイブリッドシステム全体を含めればメルセデス製PUが最も高性能だと説明しており、多くの関係者もこれに近い見方を示している。

    メルセデスPUならアロンソはQ3圏内だった可能性
    この試算を予選結果に当てはめると、アストンマーティンのポテンシャルは大きく変わる。

    アロンソはハンガリーGP予選Q2で1分19秒808を記録し、ランド・ノリスのトップタイムから2.352秒遅れていた。

    ここからチームが見積もる1.5秒の差を差し引くと、理論上のタイムは1分18秒308となる。このタイムであればQ2で7番手となり、マックス・フェルスタッペンとアービッド・リンドブラッドの間に入る計算だ。

    さらに、このタイムはQ3でニコ・ヒュルケンベルグが記録した1分18秒686も上回っており、メルセデス製PUを搭載していればQ3進出は十分現実的だったことになる。

    もちろん、燃料搭載量やエネルギーマネジメント、空力特性など単純比較できない要素はあるものの、少なくともシャシー性能そのものは中団争いに加われるレベルまで改善したことを示す試算と言える。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    オランダGP投入予定の新PUが反撃の鍵
    アストンマーティンF1は昨季までメルセデス製PUを使用していたが、2026年からホンダとのワークス体制へ移行した。

    しかし新世代PUは開発初年度ということもあり、序盤戦では振動や冷却、エネルギーマネジメントなど複数の課題を抱えてきた。

    その状況を打開するため、ホンダは夏休み明けのオランダGPで改良型PUを投入する予定となっている。今回のアップデートでは約50馬力向上するとの報道もあり、実現すればメルセデスとの差を大幅に縮める可能性がある。

    今回のハンガリーGPでは、ニューウェイ設計の新型シャシーが十分な競争力を持つことを示した。今後はホンダの改良型PUが期待どおりの性能を発揮できるかが、アストンマーティンF1が後半戦で継続的にポイント争いへ加わるための最大の焦点となりそうだ。