カテゴリー: アストンマーティンF1チーム

  • フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1との契約延長に年俸73億円要求報道

    フェルナンド・アロンソ アストンマーティンF1との契約延長に年俸73億円要求報道

    フェルナンド・アロンソが、アストンマーティンF1との契約延長に向け、年間4000万ユーロ(約72億8000万円)の年俸を求めていると報じられた。現在の年俸とされる3000万ユーロ(約54億6000万円)から約33%の増額となる。

    アロンソの現在の契約は2026年末がひとつの区切りとなっているが、現役を続ける場合には2027年だけでなく2028年までアストンマーティンで走る可能性が浮上している。

    一方、本人が将来を決断するうえでは、金銭面以上にマシンの競争力が重要になるとみられている。

    年俸4000万ユーロを要求か
    F1のビジネス事情を扱う『Business Book GP』の著者マルク・リマッハー氏は、アロンソがアストンマーティンとの契約を2027年と2028年まで延長するため、年間4000万ユーロを求めているとの情報を伝えた。

    リマッハー氏によれば、アロンソの現在の年俸は年間3000万ユーロ。要求通りなら1000万ユーロの増額となり、約33%の昇給に相当する。

    アロンソは2023年にアルピーヌからアストンマーティンへ移籍。当時締結された契約を経て現在もチームに所属しており、45歳となった現在もF1でトップレベルのパフォーマンスを維持している。

    『MARCA』によれば、年間4000万ユーロという金額はトップドライバーの市場価値から大きく外れたものではない。アロンソが持つ知名度やマーケティング面での価値、スポンサーへの訴求力などを考えれば、アストンマーティンにとって十分に正当化できる金額だとの見方もある。

    2028年まで現役続行の可能性
    今回の情報が事実であれば、注目されるのは年俸だけではない。アロンソが新契約を結べば、2027年だけでなく2028年シーズンまでF1で現役を続ける可能性がある。

    アロンソは2026年ハンガリーGPで、レースを続ける意思があれば2027年もアストンマーティンに残ることのできる契約が存在することを明かしている。一方で、2026年限りでF1から引退する可能性も完全には否定していない。

    さらに、アロンソには古巣アルピーヌへの復帰説も浮上しており、2027年のドライバー市場における重要人物のひとりとなっている。

    ただし、『MARCA』が得た情報では、アロンソが今後の進退を決めるうえで、現時点で金銭面が最大の問題になっているわけではないという。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    最大の判断材料はマシンの競争力
    アロンソが重視しているのは、2027年に競争力のあるマシンで戦えるかどうかだとされる。

    年間24戦という長いF1シーズンを戦ううえで、勝利や表彰台を狙えない状況が続けば、現役を継続するモチベーションにも影響する。アロンソは自身が競争を楽しめる環境にあるかどうかを含め、複数の要素を検討しているという。

    アストンマーティンは2026年シーズン序盤に大きく苦戦したが、エイドリアン・ニューウェイの指揮のもとでAMR26の改良を進めている。ハンガリーGPでは大規模なアップデートを投入し、シーズン序盤と比較して改善の兆しを見せた。

    さらに、ワークスパートナーであるホンダもパワーユニットの改善を進めており、夏休み明けのオランダGPでは改良版パワーユニットの投入が予定されている。アロンソにとって、こうしたプロジェクトの進展も将来を判断する重要な材料になる。

    オランダGPで進退表明の可能性
    『MARCA』によると、アロンソは夏休み明けに自身の将来について結論を出す可能性があり、8月21~23日に開催されるオランダGPの週に進退を明らかにする可能性もあるという。ただし、本人は決断を急いでいるわけではないとされる。

    パドックでは、アロンソとアストンマーティンの間ですでに条件面の合意が成立しており、正式発表のタイミングを待っているだけとの見方さえある。ただし、発表されるまでは契約延長が決まったと断定することはできない。

    アストンマーティンのマネージングテクニカルパートナーを務めるニューウェイも、アロンソの将来について継続を期待する姿勢を示している。

    「彼が残ってくれることを強く期待している」

    アロンソが年間4000万ユーロの条件で契約を延長すれば、F1でも最高額クラスの報酬を受け取るドライバーとなる。

    しかし、45歳のアロンソにとって最終的な焦点は年俸そのものではなく、アストンマーティンとホンダのプロジェクトで再びF1のトップを争えるかどうかにある。契約延長が実現すれば、アロンソは2028年までアストンマーティンのF1プロジェクトを牽引することになる。

  • レッドブルF1 アストンマーティンのマッカロー獲得へ ランビアーゼ後任に起用か

    レッドブルF1 アストンマーティンのマッカロー獲得へ ランビアーゼ後任に起用か

    レッドブル・レーシングが、技術・運営体制の再編に向けて新たな人材獲得に動いている。アストンマーティンで長年にわたって要職を務めてきたトム・マッカローを、レースエンジニアリング部門の責任者として迎える見通しだという。

    マッカローは2026年末をもってアストンマーティンを離れることがすでに明らかになっている。レッドブルでは、マクラーレンへの移籍が決まったと報じられるジャンピエロ・ランビアーゼが現在担っている役割を引き継ぐ可能性がある。

    マッカローが2026年末でアストンマーティンを退団
    マッカローは10年以上にわたり、フォース・インディア、レーシングポイント、アストンマーティンと名称を変えてきたシルバーストンのチームで要職を務め、主にトラックサイドのパフォーマンスとエンジニアリング部門を率いてきた。

    2025年初頭の上級管理体制の再編ではF1プロジェクトの第一線を離れ、「チームが参戦するレースカテゴリーのさらなる拡大」を担当する別部門のリーダー職に異動。その際、それまでのトラックサイドでの職務はチーフ・トラックサイド・オフィサーに就任したマイク・クラックが引き継いだ。

    F1公式サイトは、マッカローが2026年シーズン終了後にアストンマーティンを退団すると報道。その時点では、次の役職については不明とされていた。

    マッカローのF1でのキャリアは2002年、ウィリアムズにデータエンジニアとして加入したことから始まった。その後はレースエンジニアとなり、ニコ・ヒュルケンベルグ、ルーベンス・バリチェロ、ブルーノ・セナらを担当した。

    ウィリアムズで約10年間を過ごした後、2013年にザウバーへ移籍し、ヘッド・オブ・トラック・エンジニアリングを担当。その後、英国へ戻ってフォース・インディアに加入し、トラックサイドのエンジニアリング部門を率いた。

    マッカローが在籍したフォース・インディアは2016年と2017年にコンストラクターズ選手権4位を2年連続で獲得。レーシングポイント時代の2020年にはチーム初勝利を挙げ、コンストラクターズ選手権でも4位に入った。

    20年以上にわたってF1のトラックサイドで経験を積んできたマッカロー。その次の移籍先として新たに浮上したのがレッドブル・レーシングである。

    トム・マッカロー (アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    レッドブルがランビアーゼ後任としてマッカローを獲得へ
    ドイツ紙『Bild』のジャーナリスト、ミシェル・ミレフスキによると、マッカローはレッドブルで「ヘッド・オブ・レース・エンジニアリング」に就任する予定だという。

    「Bildが得た情報によれば、トム・マッカローは新たな『ヘッド・オブ・レース・エンジニアリング』に就任する予定だ」

    「彼はサーキットにおけるすべてのオペレーションを担当し、グランプリ期間中のエンジニアたちの仕事を統括することになる」

    このポジションを現在務めているのがジャンピエロ・ランビアーゼだ。

    ランビアーゼはレッドブルのヘッド・オブ・レース・エンジニアリングを務める一方、マックス・フェルスタッペンのレースエンジニアも兼任している。「GP」の愛称で知られ、無線を通じてフェルスタッペンと緊密に連携してきた側近のひとりでもある。

    しかし、そのランビアーゼはすでにマクラーレンと契約を結んだと報じられている。

    ミレフスキはランビアーゼの今後について次のように伝えている。

    「『GP』はマクラーレンへ移籍する」

    「フェルスタッペンの側近はすでに、この伝統ある英国チームと契約を結んでおり、長期的にはチーム代表になる可能性さえあると言われている」

    ランビアーゼがレッドブルを離れれば、サーキットでのエンジニアリング業務を統括する重要なポジションが空くことになる。マッカローはその後任として、レッドブルのトラックサイド部門全体をまとめる役割を担うとみられる。

    一方で、ランビアーゼが兼任してきたフェルスタッペンのレースエンジニアについては、マッカローがそのまま引き継ぐのか、それとも別の人物が担当するのかは現時点で明らかになっていない。

    レッドブルで続く組織再編
    マッカローの獲得が実現すれば、レッドブルが進めているマネジメントおよび技術体制の再編における新たな一手となる。

    チームでは長年モータースポーツアドバイザーを務めたヘルムート・マルコが退任。さらに、育成プログラムの新たな責任者としてグウェン・ラグリューを招聘するなど、人事面で大きな動きが続いている。

    そこにアストンマーティンで豊富な経験を積んだマッカローが加われば、レッドブルはサーキットでのエンジニアリング体制についても新たな段階に入ることになる。

    ウィリアムズ、ザウバー、そしてフォース・インディアから現在のアストンマーティンへと続くチームで20年以上にわたってF1の現場を経験してきたマッカローは、ランビアーゼ退団後のトラックサイド体制を再構築するうえで即戦力となる存在だ。レッドブルにとって、フェルスタッペンとチームをつなぐ重要人物を失った後の体制を安定させる重要な人事となりそうだ。

  • アストンマーティンF1反撃へ ニューウェイ「大きな遅れを取り戻そうとしている」

    アストンマーティンF1反撃へ ニューウェイ「大きな遅れを取り戻そうとしている」

    アストンマーティンF1のマネージング・テクニカルパートナーを務めるエイドリアン・ニューウェイは、2026年シーズン序盤の苦戦から巻き返しを図るチームの現状について、「大きな遅れを取り戻そうとしている」と語った。

    ハンガリーGPでは大幅に改良されたAMR26Bを投入し、今季最大の前進を見せたアストンマーティン。夏休み明けのオランダGPではホンダの新型パワーユニット(PU)も投入される予定で、さらにバクーまでシャシー側のアップデートを継続し、後半戦でさらなる競争力向上を目指す。

    ニューウェイ「大きな遅れを取り戻そうとしている」
    アストンマーティンはハンガリーGPでAMR26に大規模なアップデートを投入。ノーズやフロア、サイドポッド、リアサスペンションなど広範囲に手が加えられ、シーズン序盤から抱えてきたマシンの問題に対する大きな修正となった。

    ニューウェイは、ハンガリーで投入した改良に加え、今後もザントフォールト、そしてバクーに向けて開発を続けていくと説明した。

    「技術的な進化という意味では、ここハンガリーに持ち込んだマシン、そして先ほど話したようにザントフォールト、その後バクーに持ち込むアップデートも含めて、非常に大きなステップを踏んでいると思う」

    一方で、今回の進歩によって一気にトップ争いへ加われるわけではないことも認めている。

    「我々が大きな遅れを取り戻そうとしているのは明らかだ。これによって我々が最速のマシンになるのか? 残念ながら、そうではない」

    「だが、これまでいた位置から大きく前進することになるのか? そうだと思う」

    実際、ハンガリーGPではフェルナンド・アロンソが今季初めて予選Q2進出を果たし、決勝ではランス・ストロールが13位、アロンソが14位でフィニッシュ。ポイント獲得には届かなかったものの、AMR26Bは従来型よりも扱いやすく、競争力も改善したことを両ドライバーが認めている。

    ザントフォールトではホンダ新型PUを投入へ
    次戦オランダGPでは、シャシー側の開発と並んでホンダの新型パワーユニットにも注目が集まる。

    ホンダはハンガリーGP後にハンガロリンクで行われたフィルミングデーで新仕様PUを搭載したマシンを走らせ、最大200kmの実走テストを実施した。新型PUはザントフォールトでレース投入される予定で、一部では約30馬力の出力向上が見込まれていると報じられている。

    2026年からアストンマーティンのワークスパートナーとしてF1に本格復帰したホンダだが、シーズン序盤はパフォーマンスだけでなく、信頼性や振動など複数の問題に直面した。

    アストンマーティン側もAMR26の競争力不足に苦しんだことで、両者にとって厳しい船出となった。しかしニューウェイは、その苦境が結果としてホンダとアストンマーティンの連携を強めることにつながったと考えている。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    「悲惨なスタート」がホンダとの関係を強化
    ニューウェイは、シーズン開幕から数カ月の間に最も大きく進歩した部分のひとつとして、ホンダとアストンマーティンの関係を挙げた。

    「本当に進歩したのは、まさに『関係』という部分だと思う」

    「『悲惨なスタート』としか言いようのない状況から始まったが、常にポジティブな面を探すとすれば、その状況によってホンダと我々アストンマーティンの間に非常に緊密な協力関係が生まれたことだ」

    ニューウェイによれば、その連携強化は特定の分野に限ったものではなく、マシンとPUをひとつのパッケージとして改善していくため、幅広い領域で進められている。

    「我々はあらゆる領域で、その関係をさらに発展させ続けている」

    「関係性という観点から見れば、我々が遂げている進歩には非常に満足している。通常、関係が改善すれば、パフォーマンスも改善していくものだ」

    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長も最近、アストンマーティンとの間でマシン改善に向けた共通理解が深まっていることを明かしており、双方が開発の方向性をより緊密に共有する段階へ進んでいる。

    ハンガリーを起点に後半戦で巻き返しへ
    ハンガリーで投入したAMR26Bは、アストンマーティンにとって2026年シーズンの方向性を変える最初の大きな一歩となった。

    しかし、ニューウェイ自身が認めているように、現時点でトップチームとの差が解消されたわけではない。ザントフォールトではシャシーのさらなるアップデートとホンダの新型PUが投入され、その後もバクーに向けて開発が続けられる。

    シーズン序盤の「悲惨なスタート」を経て、シャシーとパワーユニットの両面でようやく改善の兆しを見せ始めたアストンマーティン。ニューウェイは現状を冷静に捉えながら、ホンダとの連携を深め、大きく開いたトップ勢との差を段階的に縮めようとしている。

  • アストンマーティンF1 ストロール会長の先見性 予算上限前の投資がチームを救った

    アストンマーティンF1 ストロール会長の先見性 予算上限前の投資がチームを救った

    ローレンス・ストロールがF1予算上限導入前に行った巨額投資は、現在苦戦が続くアストンマーティンにとって長期的な資産となり、チームの企業価値を大きく押し上げたとの見方が示された。

    2026年シーズンのアストンマーティンは開幕から低迷が続いているが、その一方でシルバーストンの新ファクトリーや風洞施設など、舞台裏ではF1屈指の環境が整えられている。

    これらはローレンス・ストロール会長が2021年のF1予算上限(コストキャップ)導入前に進めた大型投資によるもので、現在ではその先見性が再評価されている。

    予算上限導入前の投資が大きな強みに元アストンマーティンF1代表のオトマー・サフナウアーは、ストロールの拙速なチーム運営が現在の混乱を招いたと指摘している。一方で、施設への積極投資については大きな成果をもたらしたとの評価もある。

    ストロールはアストンマーティンをタイトル争いができるチームへと押し上げるため、シルバーストンのファクトリー刷新や最新風洞の建設などに多額の資金を投じた。

    2026年型AMR26はエイドリアン・ニューウェイの判断で大規模アップグレード投入が遅れたこともあり、開幕直後は厳しい戦いを強いられた。しかし、チームの設備面では現在のF1でも屈指の水準に達している。

    対照的に、ウィリアムズは予算上限導入前の設備投資が十分ではなく、現在もインフラ整備で後れを取り戻す作業を続けている。

    株式報酬もコストキャップ対策に
    アストンマーティンは従業員にチーム株式を付与する制度も導入した。これにより給与水準を抑えつつ、社員には別の形で報酬を提供できる仕組みを構築した。

    F1のコストキャップではドライバーの給与とチーム内で最も高給な3人の給与は対象外となるが、それ以外の人件費は予算上限に含まれる。そのため株式によるインセンティブは、優秀な人材を維持しながらコスト管理を行う有効な手段となった。

    ローレンス・ストロール(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

    「ストロールは将来を見据えていた」
    オランダのジャーナリスト兼コメンテーターであるネルソン・バルケンブルフは、ポッドキャスト『Nailing The Apex』で、アストンマーティンとウィリアムズの違いについて次のように語った。

    「ジェイムス・ボウルズは以前から『コストキャップはウィリアムズにとって非常に厳しい』と言ってきた」

    「たとえ資金があって新しい風洞やCFD設備を造りたくても、現在のレギュレーションでは簡単には実現できない」

    「その点でローレンス・ストロールは非常に強いコミットメントを示した。彼には将来を見通す先見性があり、さらにそれを実行できる資金力もあった」

    「だからこそ予算上限が導入される前に、必要な設備のほとんどを完成させる、あるいは少なくとも投資を済ませていた」

    「その結果、アストンマーティンへの投資は守られただけでなく、チームの企業価値そのものを大きく高めることになった。一方でドリルトンはそうしなかったため、今も制約を受け続けている」

    短期的な苦戦と長期戦略は別問題
    アストンマーティンは2026年シーズン序盤こそ苦戦しているものの、施設・人材・開発環境への投資はすでに完了している。2026年型マシンの競争力不足と、チームが将来的に持つインフラの価値は切り分けて考えるべきだという見方も強まっている。

    ニューウェイの本格的な開発体制とホンダ製パワーユニットが軌道に乗れば、ストロールが予算上限導入前に進めた巨額投資が、今後のタイトル争いにつながる土台として真価を発揮する可能性がある。

  • フェルナンド・アロンソ ホンダF1に全幅の信頼「問題解決は時間の問題」

    フェルナンド・アロンソ ホンダF1に全幅の信頼「問題解決は時間の問題」

    アストンマーティンとホンダは、2026年シーズン序盤の苦戦によって厳しい状況に置かれている。それでもフェルナンド・アロンソは、両者が問題を解決し、競争力を高めていくことに「何の疑いもない」と強調した。

    アストンマーティンはF1ハンガリーGPで大幅改良型「AMR26B」を投入し、マシンの競争力を大きく向上させた。

    そして次戦オランダGPでは、ホンダが改良型パワーユニットを投入する予定となっている。アロンソは、その成果が今後のプロジェクトを占う重要な材料になると考えている。

    アストンマーティンへの揺るぎない信頼
    2023年にアストンマーティンへ加入したアロンソは、移籍初年度に表彰台を重ねたものの、その後はチームの競争力低下に直面してきた。2026年も新レギュレーションへの対応に苦戦し、シーズン序盤は期待された結果を残せなかった。

    それでも、45歳となったアロンソがチームに対する忍耐を失っている様子はない。むしろ、現在の体制が最終的には成功につながるという確信を示している。

    Motor.esによると、ハンガリーGPを前に、アストンマーティンからどのような「答え」を得たいかと質問されたアロンソは、そもそも答えを必要としていないと語った。

    「僕は答えが必要だとは思っていない。チームについてはかなり明確な考えを持っているし、すべての問題を解決できると確信している」

    「時間はかかる。でも、エイドリアン(ニューウェイ)が遅かれ早かれ僕たちにグリッドで最高のマシンを与えてくれることに、何の疑いもない」

    アロンソがこの発言をしたのは、AMR26Bを実際にドライブする前だった。その後、ハンガリーGPでは新型マシンが従来より明確な進歩を示し、チームが進めてきた開発の方向性に一定の手応えをもたらした。

    「このマシンで最初の一歩を確認したい。最初の数レースを通じて得られる理解も見たいと思っている。そして来年にはさらに多くのものが出てくると思う。それは間違いないし、その先の数年間も同じだ」

    ホンダにも「何の疑いもない」
    アロンソの信頼は、アストンマーティンのシャシー部門だけに向けられたものではない。2026年からワークスパートナーとなったホンダについても、その技術力に強い信頼を示している。

    アストンマーティン・ホンダは今季、新世代パワーユニットの信頼性や性能面でいくつかの問題に直面してきた。しかし、アロンソはホンダが最終的に問題を解決することを疑っていない。

    「パワーユニットについても、僕は何の疑いも持っていない」

    「ホンダが問題を解決するのは時間の問題だと思っている。なぜなら、それが彼らが過去40年間のレース活動でやってきたことだからだ」

    ホンダとアロンソといえば、マクラーレン・ホンダ時代の厳しい関係が知られている。当時は競争力と信頼性の不足に対してアロンソが公然と不満を表明する場面もあったが、現在の関係は大きく異なる。アストンマーティンとホンダは問題を共有しながら改善を進めており、アロンソもその取り組みを支持している。

    フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム / ホンダF1)

    「いつ競争力を持つか」が最大の未知数
    一方で、アロンソは現状を楽観視しているわけではない。アストンマーティン・ホンダがライバルに対して出遅れていることも認めている。

    「僕たちが不利な状態からスタートしたのは事実だ。今はそのプロセスに取り組んでいて、レース週末ではその痛みも経験している。でも、問題を解決するために全員が一緒になって取り組んでいる」

    そのうえで、アロンソが最大の焦点として挙げたのが、マシンが本格的な競争力を手にする時期だ。

    「問題は、いつマシンが競争力を持つようになるのかということだ。そこが未知数だ。おそらく次の2レースで、ある程度の答えが見えてくると思う」

    その最初の舞台となったハンガリーGPでは、AMR26Bによってシャシーと空力面で明確な前進が確認された。アロンソ自身も改良後のマシンについて、従来より予測しやすくなったと評価している。

    そして次の焦点はホンダだ。8月末のF1オランダGPでは改良型パワーユニットの投入が予定されており、ザントフォールトはアストンマーティン・ホンダの現在地を測る重要な週末となる。

    アロンソが繰り返すのは、問題の存在そのものではなく、それを解決できる体制があるという確信だ。ハンガリーでAMR26Bが示した前進に続き、ザントフォールトでホンダの改良型パワーユニットがどこまで差を縮められるか。アストンマーティン・ホンダの2026年後半戦を占う次の焦点となる。

  • アストンマーティンF1 2026年低迷の内幕 ニューウェイ計画はなぜ躓いたのか

    アストンマーティンF1 2026年低迷の内幕 ニューウェイ計画はなぜ躓いたのか

    2026年シーズン前半に苦戦を強いられたアストンマーティンF1。その原因について、BBC SportのF1担当記者アンドリュー・ベンソンが、これまで明かされていなかったプロジェクトの舞台裏を交えながら詳細に解説した。

    2026年仕様「AMR26」は、エイドリアン・ニューウェイ加入の遅れや風洞施設の完成延期、さらにホンダ製パワーユニットの開発遅延が重なり、開幕時点で大きなハンディキャップを背負っていたという。

    ハンガリーGPで投入された大規模アップデートによってようやく改善の兆しが見え始めたものの、ベンソンは「ニューウェイが本来目指すマシンが完成するのは2027年になる」との見方を示している。

    ニューウェイ加入で開発は2か月後退
    ベンソンは、2026年レギュレーションへの対応が当初から予定通りには進まなかったと説明する。

    「2026年の新空力レギュレーションは2025年1月2日に正式発表された。しかし、エイドリアン・ニューウェイがアストンマーティンでマネージング・テクニカルパートナーとして正式に働き始めたのは3月2日だった」

    ニューウェイは着任直後、それまで進められていた設計作業を中止し、自身のコンセプトへ全面的に切り替えるよう指示したという。

    その結果、開発スケジュールは約2か月遅れることになり、プロジェクト全体へ影響が及んだとベンソンは説明している。

    新風洞の完成遅れで他チームとの差が拡大
    開発をさらに難しくしたのが、新風洞施設の稼働延期だった。

    「風洞は4月中旬までモデルを投入できる状態ではなかった。その時点でライバルより約4か月遅れていた」

    さらに、ホンダ製パワーユニットについても想定以上の遅れがあったという。

    「チームは昨年11月になるまで、ホンダのエンジン開発が大きく遅れていることに気付いていなかった」

    これらの問題が積み重なり、バルセロナとバーレーンで行われたプレシーズンテストでは、車体・パワーユニットともに競争力と信頼性を欠いていることが明らかになった。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    開発体制を全面刷新してハンガリー仕様へ
    その後、アストンマーティンは開発体制そのものを見直した。

    ベンソンによれば、ニューウェイは「仕事の進め方を全面的に作り直した」と説明しており、組織改革や新たな開発システムの導入、さらにマシン設計の見直しを進めたという。

    その成果がハンガリーGPで投入された16項目に及ぶ大型アップデートだった。

    新仕様のAMR26Bは軽量化に加え、空力性能も大幅に改善され、ベンソンは「ラップタイムを約2秒短縮したようだ」と評価した。ただし、実際のサーキットでの改善幅はそこまで大きくはなかったとみられる。

    ホンダ新PU投入でも本格勝負は2027年
    アストンマーティンは夏休み明けのオランダGPでホンダ製パワーユニットのアップグレードを投入する予定だ。

    ベンソンは、このアップデートによって一定の性能向上は期待できるものの、メルセデスなどトップ勢とのエンジン性能差を一気に埋めるほどではないと分析する。

    現在の改善幅は30馬力弱とみられる一方、トップとの差は約60馬力あるとの見方もあり、依然として大きな隔たりが残るという。

    そのうえでベンソンは、次のように締めくくっている。

    「ニューウェイが本当に目指しているマシンを見ることになるのは2027年だ。そして、その競争力はホンダが2027年型パワーユニットでどれだけ成功するかにも左右される」

    2026年の苦戦は単一の要因ではなく、ニューウェイ加入時期の遅れ、風洞完成の延期、ホンダ製パワーユニット開発の遅延という複数の問題が重なった結果だった。ハンガリーGPから改善の兆しは見え始めたものの、本格的な評価は2027年マシンまで待つ必要がありそうだ。

  • ホンダF1 F1プロジェクト経験者を呼び戻し反撃へ「体制は回復できる状態」

    ホンダF1 F1プロジェクト経験者を呼び戻し反撃へ「体制は回復できる状態」

    ホンダF1が、2026年シーズン前半の苦戦から巻き返しへ向け、開発体制を強化していることが明らかになった。

    ホンダ・レーシング(HRC)のトラックサイドマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原慎太郎氏は、以前のF1プロジェクトを経験した技術者を呼び戻し、組織の立て直しを進めていることを明かした。

    RacingNews365の独占インタビューで折原氏は、問題が悪化していく過程や現在までの改善状況を詳しく説明。シーズン後半に投入されるアップグレードへの自信も明かした。

    「競争力があると思っていました」 想定外だった開幕の苦戦
    2026年レギュレーションに合わせて開発されたホンダの新型PUは、アストンマーティンとの新プロジェクトとして大きな期待を集めていた。

    しかし実際には、バッテリー由来の激しい振動、信頼性不足、エネルギーマネジメントの問題が重なり、アストンマーティンはシーズン前半をキャデラックと争うほど苦しい状況で過ごした。

    エイドリアン・ニューウェイは後に、この振動がフェルナンド・アロンソとランス・ストロールの手に神経障害を引き起こす可能性まで懸念していたことを明かしている。

    折原慎太郎氏は、その状況について率直に語った。

    「大きな衝撃だったと言えると思います。通常であれば、私たちは競争力があることを期待しています」

    「それがF1に復帰した理由でもあります。ですから、自分たちのパフォーマンスが良くないと分かった時は、本当に大きな衝撃でした。ある程度は予想していた部分もありましたが、実際にそうだと分かった時は衝撃でした」

    実は1月には異変を察知していた
    折原氏によれば、問題はバーレーンテストや開幕戦メルボルンで突然発生したものではなかった。

    2025年シーズン終了後から徐々に状況は悪化しており、2026年1月には危機感を抱いていたという。

    「状況は突然悪くなったわけではなく、少しずつ悪化していました」

    「今年の1月になって、状況が悪化していることに気付きました。昨年はトップコンテンダーではありませんでしたが、ウインターテストのような状態ではありませんでした」

    「ですから状況は徐々に悪化していて、年明けには『あまり良いポジションではないかもしれない』と感じていました」

    この証言は、ホンダがバルセロナで初めて問題の深刻さを認識したと以前説明していた内容とも一致しており、開幕前から危機的状況だったことが改めて裏付けられた。

    振動問題を克服 「誇りに思っています」
    その後、ホンダとアストンマーティンは原因究明を最優先事項として開発を進めた。

    マイク・クラックは「まず問題を理解することが最優先」と繰り返し説明し、アロンソも前半戦を「学習期間」と表現していた。

    その成果が表れたのがハンガリーGPだった。アストンマーティンは大規模なシャシーアップデートを投入し、空力性能と車体バランスを改善。さらにホンダもPU側で振動対策や耐久性向上を進めてきた。

    まもなく迎えるオランダGPでは、ホンダも2026年最初のアップグレードを投入する予定となっている。

    折原氏はここまでの成果について強い自信を示した。

    「冬季テストから現在まで、そしてファクトリーのメンバーが成し遂げたことを誇りに思っています」

    「大きな振動の問題は解決しました。そして耐久性とエネルギーマネジメントの面でも大きく前進しました」

    「今年ここまで達成してきたことを考えれば、今後についてもかなり自信を持っています」

    ホンダF1  / ホンダ・レーシング

    ザントフォールトでPUアップデート投入へ
    ハンガリーGPでは、アストンマーティンが大規模なシャシーアップデートを投入し、空力性能と車体バランスを大幅に改善した。

    次戦オランダGPでは、ホンダも2026年最初のADUO(Additional Development and Upgrade Opportunities)を投入する予定となっている。

    2026年のPUレギュレーションでは、性能面で基準に達していないメーカーに対し、ホモロゲーション期間中でも一定範囲の性能改善が認められている。

    ホンダはこの制度を活用し、内燃エンジンを中心としたアップグレードを投入する計画だ。

    経験者を呼び戻し体制も強化
    折原氏は、技術体制そのものも強化が進んでいると説明した。

    以前、ニューウェイはレッドブル時代を知る経験豊富なホンダのF1エンジニアが数多く離れていたことが、新プロジェクトに影響したと語っていた。

    これに対しホンダは、経験豊富な技術者を現場へ呼び戻すとともに、新世代エンジニアも半年間で大きく成長したという。

    「今年は、以前のF1プロジェクトを経験した専門家を何人か呼び戻しました」

    「また、このプロジェクトで初めてF1に携わった若いエンジニアたちも、冬季テストから前半戦までで多くの経験を積みました」

    「ですので、現在の体制はパフォーマンスと信頼性を回復できる状態にあると考えています」

    ホンダとアストンマーティンの新プロジェクトは、期待とは程遠いスタートとなった。しかし折原慎太郎氏の証言からは、最大の課題だった振動問題を克服し、組織体制も着実に立て直しつつあることがうかがえる。

    オランダGPで投入されるPUアップグレードは、その再建プロジェクトが本格的な反撃へ転じるかを占う重要な一戦となりそうだ。

  • ホンダF1 折原慎太郎が明かす苦戦の真相「問題の深刻さは1月に判明」

    ホンダF1 折原慎太郎が明かす苦戦の真相「問題の深刻さは1月に判明」

    2026年から導入されたF1新レギュレーションで、アストンマーティンとのワークス体制をスタートさせたホンダ。しかし、シーズン序盤はパフォーマンス不足や信頼性トラブルに苦しみ、期待された船出とはならなかった。

    ホンダF1のトラックサイドマネージャー兼チーフエンジニアを務める折原慎太郎が『Autosport』の独占インタビューで、問題の深刻さを本格的に認識したのは2026年1月だったことを明かした。

    なぜ開発段階では見抜けなかったのか、その経緯と現在の改善状況を説明している。

    昨年末は「問題ない」と判断も 1月に状況が一変
    2026年に向けた新世代パワーユニットの開発は、2025年末の時点では順調に見えていたという。

    折原慎太郎は、当初の状況について次のように振り返った。

    「おそらく昨年末の時点では、それほど悪い状況ではありませんでした。性能やドライバビリティはまだ開発段階でしたが、見た限りでは問題ないように思えました」

    しかし、年が明けた2026年1月になると状況は急変した。

    「1月になって、一部の領域で問題というより、性能が上がったり下がったりを繰り返していることが分かりました。性能向上が見つかっても、同時に信頼性の問題も見つかるという状態でした」

    ホンダは信頼性を最優先したため、得られた性能向上の一部をあえて後退させざるを得なくなり、その結果として開発スピードも鈍化した。

    「1月の段階で、自分たちの性能と信頼性では競争力がないと認識しました。バルセロナで走り始めると、他メーカーと比べて性能面で明らかに劣っていることが分かりました。また、バッテリー側にも問題が見つかりました」

    バッテリートラブルで貴重なテスト時間も失う
    バッテリー関連の不具合は、冬季テストにも大きな影響を与えた。

    アストンマーティンとホンダはライバルとの差を縮めるため、多くの走行データを必要としていたが、トラブルによってその機会を失うことになった。

    「今年の初めには、自分たちが良い状況ではないことを認識していました。昨年末の段階でも競争力不足は感じていましたが、ここまで深刻だとは予想していませんでした」

    最大の課題は「すべてが同時に変わったこと」
    折原慎太郎によれば、今回の苦戦には単一の原因があるわけではない。

    2026年レギュレーションでは、パワーユニットのあらゆる要素が一斉に変更されており、その複雑さが最大の課題になっているという。

    「どのコンポーネントが最も難しいかを一つ挙げるのは難しいです。今回のレギュレーションでは、すべてが大きく変わりました」

    「例えばMGU-Kは約120kWから350kWへと大幅に出力が増えました。それだけでも非常に大きな変化です」

    「さらに内燃エンジン側でも燃料流量が変更されています。つまり、すべてが大きく変わったこと、その組み合わせこそがホンダにとって最大の難しさでした」

    現在のホンダ製パワーユニットは内燃エンジンの出力不足が大きな課題となっており、ザントフォールトで投入予定のアップグレードは、この弱点を改善することを主目的としている。

    ホンダF1 / ホンダ・レーシング

    MGU-H廃止がドライバビリティに大きく影響
    一方、電動系では効率向上だけでなく、ドライバビリティの改善も重要なテーマとなっている。

    折原慎太郎は、その大きな要因としてMGU-H廃止を挙げた。

    「MGU-Hがなくなったことも、パワーユニットメーカーにとって非常に大きな課題です」

    「これはパワーユニットメーカーにとって最も興味深いポイントかもしれません。私がこれまで何度も話してきたドライバビリティですが、その大部分はMGU-Hがなくなったことに起因しています」

    「目標とする過給圧を維持することが、パワーユニットサプライヤーとして非常に難しくなりました。どれか一つの部品が最大の課題というより、やはりすべての変更が同時に起きたことが最大の難しさでした」

    ザントフォールトで反撃開始へ
    ホンダは競争力を完全に取り戻すには時間がかかると認めているが、その第一歩としてザントフォールトで新仕様エンジンを投入する予定だ。

    このアップグレードは内燃エンジン性能の改善に特化したもので、すでにハンガロリンクで実施されたフィルミングデーで初走行を終えている。

    開発責任者自らが明かした今回の証言からは、ホンダが苦戦した理由は単なる設計ミスではなく、新レギュレーションでパワーユニット全体の設計思想が一変したことにあったことが浮き彫りになった。ザントフォールトでのアップグレードが、その巻き返しの第一歩となるか注目される。

  • アストンマーティンF1大躍進 元フェラーリ技術者「トップ勢と同じ開発ペース」

    アストンマーティンF1大躍進 元フェラーリ技術者「トップ勢と同じ開発ペース」

    2026年F1ハンガリーGPで投入されたアストンマーティンF1の大規模アップグレード「BスペックAMR26」が、チームに待望の前進をもたらした。

    元フェラーリおよびウィリアムズのエンジニアであるロブ・スメドレーは独自データを分析し、このアップグレードによってアストンマーティンは「シーズンを通じた開発競争でトップチームと同じペースを維持した」と高く評価した。

    一方で、ホンダの新パワーユニット投入が予定されるオランダGP以降には、さらなる飛躍への期待も示している。

    独自データが示したAMR26の進化
    ハンガリーGPでは16項目に及ぶ大規模アップデートを投入したアストンマーティン。フェルナンド・アロンソは今季初めて予選Q2進出を果たし、決勝ではランス・ストロールが13位、アロンソが14位でフィニッシュした。

    このパッケージによって、アストンマーティンはキャデラックを上回り、さらにウィリアムズも逆転したとの見方が広がった。

    ウィリアムズのカルロス・サインツJr.は「アストンマーティンは今や中団最高のシャシーを持っている」と評価したが、この見解について現場運営責任者マイク・クラックは「そうは思わない」と否定している。

    そんな中、ロブ・スメドレーはポッドキャスト『High Performance Racing』で独自に入手したデータを公開し、BスペックAMR26の実力を分析した。

    コーナー性能は圧倒 エンジン性能が課題
    スメドレーが最初に示したのは、アロンソとサインツJr.の速度トレース比較だった。

    分析によると、最低コーナースピードではアロンソがほぼすべてのコーナーで上回っており、「ダウンフォース量が大幅に増えたことで、より安定し、高性能なマシンになっている」と評価した。

    一方で、ストレートでは状況が逆転する。

    スメドレーは次のように説明している。

    「メルセデス製パワーユニットと両車の空力抵抗の差によって、アロンソはストレートで大きく不利になっている」

    実際、サインツJr.はストレートで最大約10km/hも高速だったという。

    そのため、ウィリアムズはコーナーでは劣るものの、ストレートスピードで大きくタイムを取り戻していたことがデータから明らかになった。

    トップ勢と同等の開発ペースを維持
    スメドレーが特に注目したのは、予選ポールポジションとの差をシーズンを通じて比較したデータだった。

    スペインGP以前のアストンマーティンは、ポールタイム比で平均4.1%遅れていた。

    しかし、スペインGP以降は各トップチームが新アップデートを投入したことで、その差は約5%まで広がっていた。

    ところが、ハンガリーGPでは再び3.9%差まで縮小した。

    スメドレーはこの結果について次のように分析している。

    「数字だけ見れば0.2%改善しただけとも言える。しかし重要なのは、トップチームがアップデートを重ねる中でも、アストンマーティンは同じ開発ペースを維持できたということだ」

    つまり、一度失った競争力を取り戻しただけでなく、開発競争そのものでも先頭集団に食らいつけるようになったことを意味しているという。

    アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム

    ホンダ新PUが次の鍵
    もっとも、この分析にはまだ新しいホンダ製パワーユニットは含まれていない。

    ホンダはオランダGPで改良型PUを投入予定であり、ハンガリーGP後にはBスペックAMR26との組み合わせでフィルミングデーも実施した。

    スメドレーは、ザントフォールトはエンジン性能への依存度が高いサーキットであることを踏まえ、「アストンマーティンはホンダがこの新エンジンで一段階引き上げてくれることを本当に必要としている」と期待を寄せた。

    また現時点ではキャデラックやウィリアムズは上回ったものの、「ハースにはまだ及んでいない」との見方も示している。

    さらなるアップデートも投入予定
    アストンマーティンの開発はここで終わらない。

    エイドリアン・ニューウェイは、オランダGP、さらにイタリアGPまたはアゼルバイジャンGPに向けても追加アップデートを準備していることを明かしている。

    スメドレーは「本当に彼らが求めていたのは安定した開発プラットフォームだった」と語り、さらにシミュレーションと実車の相関性が改善されたことも高く評価した。

    「関係者に聞く限り、実際のマシンはシミュレーションが予測した通りの性能を発揮した」という。

    元アストンマーティン代表のオトマー・サフナウアーも当初は懐疑的だったものの、「シミュレーション通りの結果が得られた」と相関性の改善を認めている。

    今回のアップグレードは、単なる一時的な性能向上ではなく、開発の方向性が正しかったことを裏付ける重要な成果となった。ここにホンダの新パワーユニットと今後の追加アップデートが加われば、アストンマーティンが中団争いからさらに上位勢へ迫る可能性は十分に高まりそうだ。

  • ホンダF1とアストンマーティンの関係改善が加速 新PU投入へ「完全に方向性が一致」

    ホンダF1とアストンマーティンの関係改善が加速 新PU投入へ「完全に方向性が一致」

    ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長は、シーズン序盤に課題が指摘されていたアストンマーティンとの協力体制について、「ますます良くなっている」と語り、2026年F1第12戦オランダGPで投入予定の新スペック・パワーユニットに向けて、両者の連携が大きく前進していることを明かした。

    2026年シーズン開幕当初、アストンマーティンとホンダは深刻なエンジン振動や信頼性問題に苦しみ、エイドリアン・ニューウェイ率いる車体開発陣との連携にも課題があると報じられていた。

    しかし、ハンガリーGPでは大規模アップグレード版「AMR26B」が投入され、フェルナンド・アロンソが今季初めてQ2進出を果たし、両マシンとも決勝で順位を上げるなど、チームは明確な前進を示した。

    渡辺康治「改善の方向性で完全に一致している」
    SUPER GT富士大会を訪れた渡辺康治社長は、アストンマーティンとの現在の関係について次のように説明した。

    「アストンマーティンとのパートナーシップはますます良くなっています」

    「マシン全体のパフォーマンスをどう改善するか、どのような目標を設定するか、そしてそのためにどんなテストを行うかについて、いまは完全に方向性が一致しています」

    ホンダは先週、ハンガロリンクで実施されたアストンマーティンのフィルミングデーで、新スペック・パワーユニットを初めて実走させた。このエンジンは夏休み明けのオランダGPで実戦投入される予定となっている。

    渡辺はアップデートの考え方についても次のように説明した。

    「次のザントフォールトでは主にパワーユニットのアップデートになります。ただ、何かを変更するときは片方だけを開発することはありません」

    「常にクルマ全体として進めています。その意味でも、次のザントフォールトでは良い結果を出したいと思っています」

    ホンダ・レーシングの渡辺康治とアストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチームのローレンス・ストロール

    デ・ラ・ロサ「ホンダとの関係は信じられないほど改善した」
    アストンマーティンのブランドアンバサダーを務めるペドロ・デ・ラ・ロサも、技術面だけでなく両者の関係性そのものが大きく改善したと語った。

    「コミュニケーションは大きく改善した」

    「ホンダとの関係は、あらゆるレベルで信じられないほど改善した。新しいテクニカルレギュレーションの下で仕事を始めた当初は、お互いの人となりや仕事の進め方をまだ十分に理解していなかった」

    さらに、カスタマーチームを持たないホンダならではの事情も影響したと説明する。

    「ホンダにはカスタマーチームがなかった。それも、この状況では簡単ではなかった。良い仕事をするには、お互いを理解する必要がある」

    信頼性問題を乗り越えた経験が連携を強化
    デ・ラ・ロサは、シーズン序盤の信頼性問題が結果的に両者の結束を強めたと振り返った。

    「信頼性に関する非常に複雑な問題を、一緒に乗り越えられたことをとても嬉しく思っている」

    「バーレーンや開幕数戦では完走できなかった。それでも私たちは団結し、解決策を見つけるために協力し続けた」

    こうした経験を通じて、両者の連携はさらに強固になったという。

    AMR26Bが相関性改善の成果を証明
    デ・ラ・ロサは、ハンガリーGPで投入された「AMR26B」の成功は、ラップタイム以上に大きな意味を持つと強調した。

    「今回の結果は、シミュレーションツールが正しく機能していること、そして風洞やCFDとの相関性が高いことを示している」

    「以前はそうではなかった。だからこそ、今後の開発でもツールに自信を持てるようになった」

    これはアストンマーティンが長年苦しんできたシミュレーションと実車の相関性の問題が改善しつつあることを示す重要な成果でもある。

    新ホンダPUには期待も慎重姿勢を崩さず
    一方で、オランダGPから投入される新スペック・パワーユニットについては、30~50馬力向上との報道もあるが、デ・ラ・ロサは冷静な姿勢を崩さなかった。

    「私たちなりの期待はある。しかし、まだシミュレーターでも試していない」

    「予測をする前に、慎重でいるのが一番だと思う」

    車体側の大規模アップグレードで相関性の改善が確認され、ホンダ側も新パワーユニットの投入準備を終えた。開幕当初は苦戦が続いたアストンマーティンとホンダだが、技術面だけでなく組織面でも足並みを揃えつつあり、オランダGPはその成果を示す最初の実戦となる。